事業者指定事務等の取扱いについて

 事業者指定事務の取扱いの詳細については、今後、指定基準と併せてお示しすることとなるが、都道府県、指定都市及び中核市(以下「都道府県等」という。)の施行準備事務を進めていただく観点から、今回、18年4月から9月における障害者自立支援法上の障害福祉サービス事業者(居宅サービス事業者)に係る事業者指定事務について、現段階における基本的な考え方をお示しする。
 また、併せて、事業者指定事務及び届出等事務の大都市特例の取扱いを整理したので、都道府県等においては事務処理体制の整備に御配慮願いたい。


I  18年4月から9月における事業者指定事務の取扱いについて

 指定の基本的な考え方

(1) 基本的な考え方
 障害者自立支援法においては、3障害(身体、知的、精神。障害児を含む。以下同じ。)の垣根のない一本化した指定を行うこととしており(3障害の受入が可能)、事業者においては、障害種別にかかわらず、利用者を受け入れることが基本となる。
 ただし、一方で、障害特性に応じたサービスの専門性の確保にも十分な配慮が必要であることから、サービスの専門性を確保するため特に必要がある場合においては、障害種別を特定して事業を実施することも可能とする。

(2) 障害種別の特定の取扱い
 事業者がサービス提供を行う障害種別を特定する場合は、運営規程において「主たる対象者」を明記するとともに、指定申請の際に、その理由を付したものを併せて都道府県知事に提出するものとする。
 ※ 「主たる対象者」の範囲については、障害種別による特定に限り認める(身体障害、知的障害、精神障害、障害児。なお、現行の指定身体障害者更生施設については、18年10月以降に新体系に移行する場合に身体障害のうちの肢体不自由、視覚障害、聴覚・言語障害、内部障害の特定についても認める予定。)。
 各事業者は、「主たる対象者」について、重要事項説明書や広告等により利用者に周知する。
 都道府県、指定都市、中核市は、障害種別の特定の申請を受けた場合は、その必要性を審査の上、サービスの専門性を確保する上でやむを得ないものと認められる場合は、種別の特定を認めるものとする。
 なお、事業者における障害種別の特定に係る情報は、利用者がサービス事業所を選択する際に不可欠な情報となることから、指定に際して公示すべき情報とすることが適当である。

(3) 障害種別の特定の効果
 障害種別の特定を行った事業者は、「主たる対象者」からサービスの利用申込みがあった場合には応諾義務が課されるが、「主たる対象者」以外の者からサービスの利用申込みがあった場合には、正当な理由としてサービス提供を拒否できるものとする。

 18年4月のみなし指定事務

(1) みなし指定の手続
 自立支援法の施行日(18年4月1日)に改正前の支援費制度において指定を受けている事業者については、18年4月1日に自立支援法上の障害福祉サービス事業者としてサービスの種類ごとにみなし指定がなされる。
 ※ 居宅介護は、居宅介護、外出介護、行動援護に区分される。
 みなし指定の有効期間は、18年10月からサービス体系が再編されることを踏まえて18年9月30日までとし、10月以降の事業実施については、都道府県の定めるスケジュールに従い、有効期限の一定期間前までにあらためて自立支援法に基づく指定申請を行うものとする。

(2) 精神障害者の居宅サービス事業者のみなし指定
 現行で指定制度がない精神障害者の居宅サービス事業者については、自立支援法上、みなし指定の対象となる範囲を定めることとなっている。
 みなし指定の対象となる事業者は、改正前の精神保健福祉法に規定する精神障害者居宅サービス事業を行っている者であって、次のいずれにも該当するものであることとする予定。
 (1)  法人格を有すること
 (2)  都道府県から事業に要する費用の一部を補助されたものであること

(3) みなし指定時における障害種別の特定の取扱い
 みなし指定についても、3障害一本の指定となる。したがって、例えば、居宅介護で身体障害者福祉法の一法のみの指定を受けていた場合であっても、基本的には3障害の垣根のない指定となるため、事業所ごとに応諾義務が課される範囲を明確化する観点から障害種別の特定の取扱いを行う。
 障害種別を特定するための手続については、都道府県等及び事業者の双方の事務負担を考慮し、下記のとおり取り扱う予定。
 特段の届出がない限り、現行において実施している障害種別に特定して実施するものとみなす。
 18年4月から対象とする障害種別を拡げて実施する場合は、都道府県等が定める日までに都道府県等に届出を行う。(18年4月1日より後に拡げる場合も同様)
 新たな加算の届出、新たな運営規程の提出の要否等については今後検討の上提示。

(4) 都道府県等の事務
(1)  現行の精神障害者居宅サービス事業者については、みなし指定の対象となるか否かを確認し、みなし指定の手続を行う。
(2)  みなし指定の対象となる支援費制度の指定居宅サービス事業者及び精神障害者居宅サービス事業者に対し、18年4月以降にサービス対象とする障害種別を拡げる場合の届出を期限を区切って事業者に勧奨する。
(3)  事業者からの(2)による届出をとりまとめ、みなし指定の対象事業者に係る下記の事項を公示する。
(公示事項)
 ・ 事業所番号
 ・ 指定事業所の名称及び所在地
 ・ 指定事業者(法人)の名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名及び住所
 ・ 指定の年月日
 ・ サービスの種類
 ・ 対象とする障害種別を特定する場合は主たる対象者
公示方法は、法律上、特に限定するものではないので、各都道府県等の公示規則等で定めるところにより行う。
18年4月から9月の事業者番号の付番方法は別途提示。
みなし指定事務に係るスケジュール(案)
18年1月下旬   事業者指定事務の詳細を提示
18年2月上旬   都道府県等において事業者説明会を開催
〜2月末日   精神障害者居宅サービス事業者のみなし指定要件の確認
対象とする障害種別の拡充の届出を受付
3月中旬   ワムネット及び市町村に事業者情報を提供
3月下旬   公示
〜4月1日    

 18年4月から9月の新規指定事務
(1) 基本的な取扱い
 18年4月から9月までの間に新たに居宅サービス事業を実施する事業者から指定申請があった場合は、自立支援法に基づく18年4月から9月までの指定基準に基づき新規指定をすることが可能。
 その場合、18年10月以降の指定基準への適合性と併せて審査し、原則として10月以降も引き続き事業が実施できる場合に指定を行うことが適当。
 指定期間は、基本的には6年間となるが、18年4月から9月までと10月以降の指定基準を踏まえて、取扱いの詳細は今後提示する。

(2) 欠格条項(法第36条第3項第4号から第11号)の運用
 自立支援法では、悪質な事業者を制度から排除するため、過去5年以内に指定取消しを受けているなど一定の事由(欠格事由)に該当する者については指定をしてはならないこととしている。
 具体的には、次のとおり。
(1)  申請者が、禁錮(こ)以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
(2)  申請者が、この法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるもの(※)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
(※) 政令で定めるもの(案)
児童福祉法
身体障害者福祉法
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
社会福祉法
老人福祉法
社会福祉士及び介護福祉士法
介護保険法
精神保健福祉士法
(3)  申請者が、自立支援法の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者(当該指定を取り消された者が法人である場合においては役員等を含み、当該指定を取り消された者が法人でない場合においては管理者であった者を含む。)であるとき。
(4)  申請者が、指定の取消しの処分に係る行政手続法の規定による聴聞手続の通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から起算して5年を経過しないものであるとき。
(5)  (4)に規定する期間内に事業の廃止の届出があった場合において、申請者が、聴聞手続の通知の日前60日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員等又は当該届出に係る法人でない者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の管理者であった者で、当該届出の日から起算して5年を経過しないものであるとき。
(6)  申請者が、指定の申請前5年以内に障害福祉サービスに関し不正又は著しく不当な行為をした者であるとき。
(7)  申請者が、法人で、その役員等のうちに(1)から(6)までのいずれかに該当する者のあるものであるとき。
(8)  申請者が、法人でない者(療養介護のみ)で、その管理者が(1)から(6)までのいずれかに該当する者であるとき。
 これら欠格事由の運用の方法については、今後提示する予定。


II  事業者の指定事務及び届出等事務に係る大都市特例の取扱いについて

 基本的な考え方

(1) 事業者・施設の指定事務(法第2章第2節第5款)は、18年10月から都道府県に一元化する。
(理由)
 ・ 介護保険制度における事業者指定事務との整合性の確保
 ・ 都道府県障害福祉計画の策定主体との整合性
 ・ 一元化の時期は新体系事業・施設や計画の施行時期と統一

(2) 事業者・施設の届出等事務(法第4章)は、大都市特例を設け、都道府県、指定都市、中核市で行う。(なお、精神障害者の居宅サービス事業に係る届出は、現在は都道府県、指定都市。)
(理由)
 ・ 社会福祉法における取扱いとの整合性の確保

 具体的な取扱い
(1) 新規参入
 指定
 18年9月までに事業開始予定のものは、都道府県、指定都市、中核市が指定。
 18年10月以降に事業開始予定のものは、都道府県が指定。
 ただし、地域の体制整備の状況等に応じ、政令市・中核市が、地方自治法に基づく事務の委託等により指定することもできる。
 届出等
 都道府県、指定都市、中核市が所管。

(2) 現行の事業者・施設
 指定
 18年9月までは、都道府県、指定都市、中核市が所管。ただし、精神障害者の居宅サービス事業者(ホームヘルプ、ショートステイ、グループホーム)に限り、県、指定都市が所管。
 18年10月以降は、すべて都道府県が所管。
 なお、
支援費の居宅サービス事業者(ホームヘルプ、外出介護、行動援護、デイサービス、ショートステイ、グループホーム)及び精神障害者の居宅サービス事業者の「みなし指定」は、18年9月末まで有効とし、
支援費の施設の「みなし指定」は、18年10月から23年度末まで有効とする。(新体系移行時には改めて指定が必要。)
 届出等
 都道府県、指定都市、中核市が所管。(精神障害者の居宅サービス事業者を含む。)
 精神障害者社会復帰施設は、18年10月以降も都道府県、指定都市が所管。

(3)  障害児施設の取扱い
 障害児施設は、障害者自立支援法の対象となっていないことから、指定も含め、少なくとも当面は、現行どおり、都道府県、指定都市(18年4月から児童相談所設置市を加える予定。)とする。



(参考資料1)
現行指定事業者・施設に対する障害者自立支援法による事業者指定の流れ

現行指定事業者・施設に対する障害者自立支援法による事業者指定の流れの図
(注1) 現行の指定事業者・施設に対する障害者自立支援法上の指定の流れを整理したもの。
(注2) 居宅系の「みなし指定」の有効期限は、平成18年9月30日とする予定。
(注3) 現行指定事業者・施設に係るみなし指定以外は、新事業体系への移行や新たな事業者・施設の参入(現行の精神障害者社会復帰施設からの移行を含む)には、指定申請による指定手続が必要。



(参考資料2)
障害福祉サービス事業者・施設の届出等及び指定に係る事務の所管(大都市特例の取扱い)

障害福祉サービス事業者・施設の届出等及び指定に係る事務の所管(大都市特例の取扱い)の図
 精神の居宅サービスに係るもの(障害者自立支援法の附則において指定障害福祉サービス事業者とみなされたものに限る。)については、中核市に事務を移さない。

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