自己負担上限額を定める際の所得区分の認定について

<本資料について>
 自立支援医療の支給認定に際しては、同時に自己負担上限額を認定する必要があるところ、当該認定ついては基本的に次の作業を行うこととなる。
  1  「世帯」の範囲を確認する。
  2  「世帯」の所得状況を確認する。
  3  必要に応じ「重度かつ継続」に該当するかどうかを確認する。

 本資料は上記のうち、1及び2について説明するものであり、最終的な流れをフロー図で示せば次頁のとおり。


(参考)
 自立支援医療の対象となる医療は、
  (1)  従来の育成医療
  (2)  従来の更生医療
  (3)  従来の精神通院公費負担医療(以下「精神通院医療」という。)
の3種類である。
 また、本資料中、
   ・  受診者 自立支援医療を実際に受ける者(障害者・障害児)
   ・  受給者 自立支援医療費を支給される者(障害者・障害児の保護者)
   ・  申請者 自立支援医療費の支給を申請する者(障害者・障害児の保護者)
   ・ 世帯 住民基本台帳上の世帯
   ・  「世帯」 自立支援医療における「世帯」(医療保険単位・後述参照)
と整理している(受診者と受給者とを区別しているのは、育成医療等の場合において、実際に医療を受ける者と自立支援医療費を支給される者が異なるためである。)。



(参考) 自立支援医療費の支給認定のフロー
支給認定については、提出された書類に基づき、次の流れで認定する。

(参考) 自立支援医療費の支給認定のフローの図



<所得区分について>
 ○  18年4月から、自立支援医療に係る自己負担の月額上限額については、受給者の属する「世帯」の収入や受給者の収入に応じて、以下の5区分に設定する。
 (1)  生活保護 ・・・・・・・・・・・・ 0円
 (2)  低所得1 ・・・・・・・・・・・・ 2,500円
 (3)  低所得2 ・・・・・・・・・・・・ 5,000円
 (4)  中間所得層 ・・・・・・・・・・・・ 医療保険の自己負担限度額(公費負担あり)
 (5)  一定所得以上 ・・・・・・・・・・・・ 医療保険の自己負担限度額(公費負担なし)

 なお、所得区分(4)又は所得区分(5)に該当する場合であって、受診者が「重度かつ継続」に該当するときにおける負担の月額上限額については、受給者の属する「世帯」の収入に応じて、以下の区分とする。
 (4)’ 中間所得層1 ・・・・・・・・ 5,000円
 (4)” 中間所得層2 ・・・・・・・・ 10,000円
 (5)’ 一定所得以上(重継) ・・・・・・・・ 20,000円
(所得区分(5)’は施行後3年間の経過措置
所得区分概念図

1. 対象者  :  従来の更生医療、育成医療、精神通院公費の対象者であって一定所得未満の者(対象疾病は従来の対象疾病の範囲どおり)
2. 給付水準  :  自己負担については1割負担網掛け部分)。ただし、所得水準に応じて負担の上限額を設定。また、入院時の食費(標準負担額)については自己負担。

所得区分概念図

※1  (1)  育成医療(若い世帯)における一時的な高額医療費発生の場合への経過措置(段階的縮小)を実施する。(施行後3年を経た段階で、医療費の分布、平均負担率等を踏まえ見直す。)
 (2)  再認定を認める場合や拒否する場合の要件については、今後、実証的な研究結果に基づき、制度施行後概ね1年以内に明確にする。
※2  (1)  当面の重度かつ継続の範囲
  ・  疾病、症状等から対象となる者
  精神 ・・・・・・・ 統合失調症、躁うつ病(狭義)、難治性てんかん
  更生・育成 ・・・・・・・ 腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害
  ・  疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者
  精神・更生・育成 ・・・  医療保険の多数該当の者
 (2)  重度かつ継続の対象については、実証的な研究成果を踏まえ、順次見直し、対象の明確化を図る。
※3  「一定所得以上」かつ「重度かつ継続」の者に対する経過措置は、施行後3年を経た段階で医療実態等を踏まえて見直す。

 ○  各所得区分の留意事項等は、次のとおり。
 所得区分(1)について
 所得区分(1)の対象となるのは、受診者の属する世帯が生活保護世帯である場合であるものとする。

 所得区分(2)について
 所得区分(2)の対象となるのは、受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税世帯(注1)であって、受給者に係る次に掲げる収入(障害者に対する一般的な制度として給付される収入として考えられるもの)が80万円以下である場合であって、かつ、(1)の対象ではない場合であるものとする。
 
 ・ 地方税法上の合計所得金額(注2)
 (合計所得金額がマイナスとなる者については、0とみなして計算する)
 ・ 障害年金等(注3)
 ・ 特別児童扶養手当等(注4)

   (注1)  「市町村民税世帯非課税世帯」とは、受診者の属する「世帯」のすべての世帯員が自立支援医療を受ける日の属する年度(自立支援医療を受ける日の属する月が4月〜6月である場合にあっては、前年度)分の地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による市町村民税(同法の規定による特別区民税を含むものとし、同法第328条の規定によって課する所得割を除く。以下同じ。)が課されていない者又は市町村の条例で定めるところにより当該市町村の条例で定めるところにより当該市町村民税を免除された者(当該市町村民税の賦課期日において同法の施行地に住所を有しない者を除く。)である世帯をいう。
   (注2)  「合計所得金額」とは、地方税法第292条第1項第13号に規定する合計所得金額をいう。
   (注3)  「障害年金等」とは、障害基礎年金、障害厚生年s金、障害共済年金、遺族基礎年金、遺族厚生年金、遺族共済年金等の公的年金をいう。
   (注4)  「特別児童扶養手当等」とは、特別障害者手当、障害児福祉手当、経過的福祉手当、特別児童扶養手当をいう。

 所得区分(3)について
 所得区分(3)の対象となるのは、受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税世帯(均等割・所得割の非課税)である場合であって、かつ、(1)・(2)の対象ではない場合であるものとする。

 所得区分(4)について
 所得区分(4)の対象となるのは、受診者の属する「世帯」に属する者の所得税額(納付すべき所得税額)の合計が30万円未満の場合であって、かつ、所得区分(1)〜(3)の対象ではない場合であるものとする。
     (注)  育成医療について
 育成医療については、所得区分(4)の対象になる場合、激変緩和のための経過措置を設けることとしている。

 所得区分(4)’について
 所得区分(4)’の対象となるのは、所得区分(4)の対象のうち「重度かつ継続」に該当し、かつ、「世帯」に属する者がいずれも所得税非課税である場合であるものとする。

 所得区分(4)”について
 所得区分(4)”の対象となるのは、所得区分(4)の対象のうち「重度かつ継続」に該当し、かつ、「世帯」に属する者の所得税額の合計が30万円未満の場合であるものとする。

 所得区分(5)’について
 所得区分(5)’の対象となるのは、所得区分(5)の対象のうち「重度かつ継続」に該当する場合であるものとする。

 ○  所得区分の設定の際にいずれの区分に該当するか否かの判定に当たっては、所得確認に係る事務負担を考慮し、税情報を基本として判定に当たるものとする(詳細は後述参照。)。

 さらに、所得区分(2)に該当するかどうかを検討する場合は、税情報では収入額を把握できないこととなるが、障害者に対する一般的な制度として給付される収入については、税情報に加えて判定するものとする。

(注)  老人保健制度における高額医療費の負担区分の低所得Iの基準では、雑所得での公的年金等控除額を65万円とした上で、地方税法上の各所得金額がそれぞれすべて0円であるときを要件としている。
 これと同様の方法を採用した場合、
 ・  各所得項目につき、それぞれ税情報を取り寄せる必要があることから、事務が繁雑となること。
 ・  黒字の所得項目がないこと(所得項目のいずれもが0円であること)が要件となっているため、黒字所得と赤字所得を相殺する損益通算後の合計所得金額を用いる場合より、対象者の範囲が狭くなること。
から、老人保健制度とは異なり合計所得金額を基本として、算定することとする。



<「世帯」の考え方・確認方法等について>
 【原則的な考え方】
 ○  自立支援医療における「世帯」については、「医療保険の加入単位」、すなわち「受診者と同じ医療保険に加入する者」をもって、「生計を一にする世帯」として取り扱うこととする。
 これは、(1)自立支援医療は、基本的には医療保険の自己負担部分を助成する機能を持っていること及び(2)医療保険における自己負担の上限額等は同じ医療保険に加入する者を単位として設定していることという実態に着目したことによる。

 ○  具体的には、同一単位の被保険者証の交付を受けている単位によって「世帯」の範囲を判断することとなるが、「世帯」の範囲等に関する具体例については、別添資料を参照。
 →  申請の際に、申請書の他、受給者の名前が記載(被保険者本人として記載又は被扶養者として記載)されている被保険者証・被扶養者証・組合員証など医療保険の加入関係を示すもの(以下「被保険者証等」という。)の写し(育成医療の場合は受給者のものに加えて受診者の名前が記載されている被保険者証等の写しも同時に)を提出させるものとする。
 あわせて、受診者の属する「世帯」に属する他の者の名前が記載された被保険者証等の写しを提出させるものとする。
 →  ただし、「世帯」に属する他の者の名前が記載された被保険者証等の写しについては、被保険者証等の形式や加入している医療保険によって、実質上、提出する必要のある範囲が異なることとなる点に注意(この点については<所得の確認方法について>を参照。)。

  (注)  「市町村民税世帯非課税世帯」については、その属する「世帯」の世帯主及びすべての世帯員が自立支援医療を受ける日の属する年度(自立支援医療を受ける日の属する月が4月又は5月である場合にあっては、前年度)を基準として非課税であるかどうかを判断することとしているところ、仮に、自立支援医療を受ける日の属する月が4月又は5月である場合であって、6月以降も継続して自立支援医療を受けることとなっているときには、6月以降、課税状況が判明した段階で、利用者の属する「世帯」が、再度市町村民税世帯非課税世帯に該当するかどうかにつき確認を行うことを妨げない。

 ○  なお、実際の世帯の認定については、
 (1)  育成医療の場合、都道府県、指定都市(以下「都道府県等」という。)又は中核市に対して資料が提出されるので、これを当該都道府県等又は中核市が確認し、認定
 (2)  更生医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを当該市町村が確認し、認定
 (3)  精神通院医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを市町村が確認の上、都道府県等に送付、当該送付を受けた都道府県等が資料を再確認の上、認定
することとする。
 ちなみに、(3)の場合については、認定主体としての各都道府県の判断により、提出された資料を逐一確認するのではなく、市町村の確認結果をもって世帯を確認したこととして認定する取扱いとしても差し支えない。


 【世帯の範囲の特例】
 ○  上記の原則にかかわらず、受診者と同一の「世帯」に属する親、兄弟、子どもがいる場合であっても、その親、兄弟、子どもが、税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、上記原則からいえば同一「世帯」であっても、特例として、受診者及びその配偶者を別の「世帯」に属するものとみなす取扱いを行うことを、受給者の申請に基づき選択できる。
 なお、この特例を認め得る場合は、
 @  受診者及びその配偶者は市町村民税非課税である一方、
 A  これ以外に同一の「世帯」に属する者が市町村民税課税であるとき
のみとする。
自立支援医療に係る「世帯」の特例について

<原則>
自立支援医療に係る「世帯」は、同一保険単位で認定
(右図の網掛けの範囲、すなわち、家族Aと受診者・配偶者が同一「世帯」となる。)。

(1) 税制上の関係は問わない。
(2) 保険内の扶養・被扶養関係は問わない。

<特例>
下記の要件(1)及び(2)をいずれも満たしていれば、受診者及びその配偶者の所得に基づくことも選択することができる。


  (要件(1))
税制上、同一の「世帯」に属する親兄弟、子ども等が障害者を扶養控除の対象としていないこと。
(右図では、家族Aが受診者を扶養控除の対象としていないこと)

(要件(2))
医療保険上、同一の「世帯」に属する親兄弟、子ども等の被扶養者となっていないこと。
(右図では、受診者の加入している健康保険上、受診者が家族Aの被扶養者となっていないこと)

  ※ 「世帯」を同一保険単位で考えるので、受診者が国保に加入している場合は、要件(2)は自動的に満たしていることとなる。
住民票上の世帯の図

 ○  特例の実際
特例については、上記@・Aを満たす場合であって、
 (1)  同一「世帯」に属する他の者が受診者及びその配偶者を市町村民税上、扶養関係に基づく各種控除の対象としていないこと
 (2)  受診者及びその配偶者が同一「世帯」に属する他の者の医療保険の被扶養者となっていないこと
ときに認めることとなる(なお、この特例を適用せず、医療保険単位という原則に沿って自立支援医療費の支給を受ける場合には、(1)・(2)を勘案する必要はない。)。
   →  この特例的な取扱いを行う際には、申請書の他、次に掲げる事項について確認することとする。
   同一「世帯」に属する者の市町村民税の税情報(受診者及びその配偶者が扶養関係に基づく各種控除(以下「扶養控除」という。)の対象となっていないか確認するため)
  ※  なお、ある年度において扶養関係にあったものの、その後生計を別にしたような場合は、税の申告が年1回であることから、次回の税申告時には扶養控除の対象から外れることとなる者については、その旨の確認を本人から取る(誓約書の提出を想定)ことにより、別の「世帯」とみなす取扱いができるものとする。
 医療保険関係の証明(被保険者証等の写し等)
  →  上記(2)を証明するためには、
   受診者及びその配偶者が国民健康保険に加入していること
 受診者が健康保険の被保険者であること
 受診者は健康保険の被扶養者であるが、当該健康保険の被保険者がその配偶者であること
が示される必要がある。
 したがって、この場合は加入している医療保険にかかわらず、受診者の被保険者証等の写しに加え、配偶者の被保険者証等の写しを提出させる必要があることとなる。

(注)  このような特例的な取扱いを認めるのは、すでに与党からの確認質問に対する平成17年7月13日の衆議院厚生労働委員会における答弁でも示されたとおり、障害者の自立という観点から、本人の所得のみに基づいた負担上限とすべきという要望がある一方で、医療保険制度等において、受診者を被扶養者とすることなどで事実上の経済的な恩典を受けている場合に、障害分野においてのみ特別な取扱いを行うことについて国民の理解が得られるか疑問があるという観点から、原則は医療保険単位で「世帯」を認定することとしつつ、例外的に、福祉サービスと同様、月額負担上限を受診者とその配偶者の所得に基づくことも選択できるように扱うこととしたところ。


 【世帯の範囲が変化した場合】
 ○  加入している医療保険が変更となった場合など「世帯」の状況が変化した場合は、新たな被保険者証の写し等必要な書面を添付の上、速やかに変更の届出をしてもらう(支給認定の変更の申請とは異なるものであることに留意。)。
 なお、「世帯」を医療保険単位で考えることから、上記の例では、新たな被保険者証の写しが届いてから、変更の届出が行われても問題ないものと考えられる。



 (別添)  自立支援医療における「世帯」の具体例(親A・B及びその子C)
          ※ 以下、この別添資料における世帯は「「世帯」」を示すものとする。

 パターン1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険※の被保険者本人 A・B・Cは同一世帯
健康保険においてAの被扶養者
健康保険においてAの被扶養者
          ※ 本資料にいう健康保険とは、国民健康保険以外の全ての医療保険を指すものとする。


 パターン2−1−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人
健康保険においてAの被扶養者

 パターン2−1−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・Bは同一世帯
Cは単独世帯
健康保険においてAの被扶養者
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人

 パターン2−2−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人
健康保険においてBの被扶養者

 パターン2−2−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
健康保険においてCの被扶養者
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人

 パターン3
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・B・Cは
それぞれ別世帯
A・C・ACと同じ健康保険だが被保険者本人
ACとは別の健康保険において被保険者本人
A・B・ABと同じ健康保険だが被保険者本人
ABとは別の健康保険において被保険者本人

 パターン4
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・B・Cは同一世帯
国民健康保険の被保険者
国民健康保険の被保険者

 パターン5−1−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
健康保険において被保険者本人
国民健康保険の被保険者

 パターン5−1−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・Bは同一世帯
Cは単独世帯
国民健康保険の被保険者
健康保険において被保険者本人

 パターン5−2−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
健康保険において被保険者本人
健康保険においてBの被扶養者

 パターン5−2−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
健康保険においてCの被扶養者
健康保険において被保険者本人

 パターン6−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 Aは単独世帯
B・Cは同一世帯
国民健康保険の被保険者
国民健康保険の被保険者
          ※ ここにいう「世帯主」は国保の擬制世帯主である。以下本別添資料において同じ。


 パターン6−2−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 A・Bは同一世帯
Cは単独世帯
健康保険においてAの被扶養者
国民健康保険の被保険者

 パターン6−2−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
国民健康保険の被保険者
健康保険においてAの被扶養者

 パターン6−3−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 A・B・Cは
それぞれ別世帯
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人
国民健康保険の被保険者

 パターン6−3−2
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険において被保険者本人かつ世帯主 A・B・Cは
それぞれ別世帯
国民健康保険の被保険者
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人



<所得の確認方法等について>
【原則的な考え方】
 ○  どの所得区分に該当するかは、申請者の申請に基づき認定することとする。
 なお、例えば、申請があったとしても、提出資料や申請者からの聞き取りから、
   ・  所得が一切確認できなければ、所得区分(5)として取り扱うこととし、
   ・  所得税額が30万円未満であることのみ確認できるような場合は所得区分(4)として取り扱うこととし、
   ・  市町村民税世帯非課税であることのみ確認できる場合は所得区分(3)として取り扱う
こととする。
 →  現在すでに育成医療・更生医療・精神通院医療を利用している者についても、区分を設定するため、申請を出すように周知することが必要。
 負担上限額の申請と支給認定の申請とは本来異なる位置づけの申請であるが、自治体の事務の便宜上、支給認定の申請様式と負担上限額の申請様式との間で共通化できる部分について、これを共通化した申請書を用いることとする。

 ○  どの所得区分に該当するかは課税状況によって決せられることから、所得区分(2)に該当するかどうかを確認する場合を除けば、各都道府県等は、「世帯」に属する者の課税状況を確認すればよいこととなる。


【確認の対象となる所得】
 ○  「世帯」の所得の確認については、医療保険の保険料の算定対象となっている者の所得(=課税状況)を確認する。

 ○  したがって、国民健康保険加入者については、同一の加入関係にある者全員の所得を確認することになる。
 一方、健康保険(被用者保険)加入者については、被保険者本人の所得を確認することになる。
 →  つまり、
   ・  国民健康保険加入者については、「世帯」の確認の際、受診者と同一の加入関係にある者全員の被保険者証の写しを提出させることが必要となる一方、
   ・  健康保険(被用者保険)加入者については、受診者の被保険者証の写しと被保険者本人の被保険者証の写しが必要(受診者が被保険者本人であれば後者は不要)
となることになる。
 「世帯」の認定方法とあわせて数例の実例を提示すれば、次表のとおり整理される(表内の世帯という文言は「世帯」を意味している。)。

所得の勘案の具体例(親A・B及びその子C)
 パターン1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・B・Cは同一世帯
健康保険においてAの被扶養者
健康保険においてAの被扶養者
受診者 所得勘案
Aなら
Bなら
Cなら

 パターン2−1−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
健康保険の被保険者本人 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
Aと同じ健康保険だが被保険者本人
Aとは別の健康保険において被保険者本人
健康保険においてAの被扶養者
受診者 所得勘案
Aなら
Bなら
Cなら

 パターン4
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・B・Cは同一世帯
国民健康保険の被保険者
国民健康保険の被保険者
受診者 所得勘案
Aなら A・B・C
Bなら A・B・C
Cなら A・B・C

 パターン5−1−1
医療保険の加入状況 世帯の考え方
国民健康保険の被保険者かつ世帯主 A・Cは同一世帯
Bは単独世帯
健康保険において被保険者本人
国民健康保険の被保険者
受診者 所得勘案
Aなら A・C
Bなら
Cなら A・C


【所得区分の認定】
 ○  実際の所得区分の認定においては、
 1  受診者が生活保護世帯に属するかどうかを確認
 2  生活保護世帯に属しないのであれば、受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税かどうかを確認(→市町村民税世帯非課税なら3’へ)
 3  市町村民税世帯非課税でないのであれば、「重度かつ継続」の適用を求めているかどうかを確認。(→求めていれば4へ)
 求めていないのであれば、受診者の属する「世帯」について、各医療保険制度で保険料の算定対象となっている者の収入を確認し、所得区分(4)又は(5)のいずれに属するかを決定
 4  受診者が「重度かつ継続」に該当するかを確認
 5  該当しないのであれば、所得区分を決定(3の後段と同様)
 該当するのであれば、受診者の属する「世帯」について、各医療保険制度で保険料の算定対象となっている者の収入を確認し、所得区分(4)’、(4)”又は(5)’のいずれに属するかを決定
 3’  市町村民税世帯非課税であれば、受給者の所得を確認し、80万円を境に、所得区分(2)又は(3)のいずれに属するかを決定
するという流れになる。

 ○  申請する際に、添付する必要のある書類は次に掲げるもの。
 ・    受診者の属する「世帯」のうち、各医療保険制度で保険料の算定対象となっている者の収入を確認するために必要な者の分の市町村民税の課税状況等が分かる資料
  (資料の一例)
 市町村の証明書(利用者の属する世帯のうち、所得を勘案すべき者の市町村民税の課税・非課税状況)
 確定申告書の控えや源泉徴収票の写し(所得税の課税・非課税状況)
 標準負担額減額認定書など医療保険制度で住民税非課税の者に対する減免措置が行われていることを示す書面
 生活保護世帯であれば、福祉事務所の証明書や保護決定通知書の写し等
 ・    受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税である場合には、申請者の障害年金等、特別児童扶養手当等の受給状況がわかる資料
  (資料の一例)
 年金証書の写し、振込通知書の写し
 特別児童扶養手当等の証書の写し

 ○  なお、法律に基づき、市町村が必要な情報について調査を行うことは可能であるが、事務の便宜上、申請の際に必要な税情報や手当の受給状況等について調査同意を書面で得るような取扱い等を行うことは、差し支えない(この調査同意は、原則本人から得るものとするが、これが困難な場合は、自らの身分を示す適宜の書類を提出させた上で、保護者等から得てもよいこととする。)。
 また、申請者による添付書類から状況が確認できる場合は、添付書類で確認することを原則とし、添付書類だけで確認できない場合は、必要に応じ、税部局や社会保険事務所等に確認する。

 ○  月額負担上限額については、支給認定時に把握されている所得状況に基づき認定することとする。
 つまり、4月から6月までの間に認定する場合は、前々年の所得が月額負担上限額の認定の基礎になることとなり、その他の場合は前年の所得が基礎となることとなる。

 ○  なお、実際の所得の認定については、
 (1)  育成医療の場合、都道府県、指定都市(以下「都道府県等」という。)又は中核市に対して資料が提出されるので、これを当該都道府県等又は中核市が確認し、認定
 (2)  更生医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを当該市町村が確認し、認定
 (3)  精神通院医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを市町村が確認の上、都道府県等に送付、当該送付を受けた都道府県等が資料を再確認の上、認定
することとする。
 ちなみに、(3)の場合については、認定主体はあくまで各都道府県であるから、各都道府県等の責任において、提出された資料を逐一確認するのではなく、市町村の確認結果をもって所得を確認したこととして認定する取扱いとしても差し支えない。


【支給認定の変更について】
 ○  受給者による支給認定の変更の申請については、当初の受給申請と同様の書面(ただし、添付書類は必要な書面のみでよい。)及び受給者に発行している受給者証の写しを提出させることとする。

 ○  なお、実際の所得の認定については、
 (1)  育成医療の場合、都道府県、指定都市(以下「都道府県等」という。)又は中核市に対して資料が提出されるので、これを当該都道府県等又は中核市が確認し、認定
 (2)  更生医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを当該市町村が確認し、認定
 (3)  精神通院医療の場合、市町村に対して資料が提出されるので、これを市町村が確認の上、都道府県等に送付、当該送付を受けた都道府県等が資料を再確認の上、認定
することとする。
 ちなみに、(3)の場合については、認定主体としての各都道府県の判断により、提出された資料を逐一確認するのではなく、市町村の確認結果をもって所得を確認したこととして認定する取扱いとしても差し支えない。

 ○  申請を受け、月額負担上限額の変更の必要があると判断した場合は、変更することを決定した日の翌月の初日から新たな月額負担上限額を適用するものとする(申請日から新たな月額負担上限額を適用するわけではない。)。

 ○  なお、申請日から新たな受給者証が受給者に届くまでの間に自立支援医療を受けた場合の受給者証の取扱い等については、以下の2案を軸に検討中。
  案1  償還払いにより対応する。
 この場合、受給者には、新たな受給者証、加入している医療保険の被保険者証、領収書(受診者名・医療点数が記載されているもの)・印鑑を持参させるなど、国民健康保険における取扱いと同様の対応を行うことを想定。
  案2  新たな受給者証が届くまで有効又は申請日の翌月の末日まで有効というように、一定期間に限って有効な「仮受給者証」を交付し、対応する。


【未申告者の取扱いについて】
 ○  非課税であることから申告をしておらず、課税・非課税の確認がとれない者については、原則として、申告したうえで非課税の証明書を取り、提出してもらうこととする(所得がありながらこれを隠していたような例もあり、原則としては非課税の証明書を提出してもらう必要がある。)。
 なお、非課税であることが確認できなければ、所得区分(5)として取り扱うことは既述のとおりである。

 ○  ただし、精神通院医療においては、これまで所得確認がなかったことなどを勘案し、新制度への切り替えに伴う当分の間の措置として、非課税の証明書が添付されていないにも関わらず非課税であることを申し述べる者が現れた場合については、例外的に、申請書類の提出を受けた市町村は、資料を都道府県に送付する際に、非課税であるとみなすことができるかどうかの意見を付して送付することとし、当該都道府県は、市町村の意見を参考に非課税であるとみなしてよいと判断すれば非課税とみなすことができるものとする。

 ○  なお、上記の者については、実際の合計所得金額が確定できず、収入が80万円未満なのかどうかの確認ができない。
 この場合、原則としては低所得2として取り扱うこととなろうが、非課税とみなした者の判断によって、その者を低所得1とみなす取扱いをしても差し支えない。
 ただし、この場合には、障害基礎年金1級を受給する者とのバランスを失することのないよう、本人の収入状況等を十分に確認するなどの配慮をされたい。

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