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参考1

規制改革・民間開放の推進に関する第1次答申(抄)
―官製市場の民間開放による「民主導の経済社会の実現」―

平成16年12月24日
規制改革・民間開放推進会議

III.主要官製市場等の改革の推進

10 ハローワークの民間開放促進
【問題意識】
 ハローワーク(公共職業安定所)は、無料職業紹介事業、雇用保険関連事業等を実施する国の機関であり、全国の職員数は約24,000人(うち半数が非正規職員)、うち約15,000人の職員(うち非正規職員は約9,000人)が職業紹介に関わる業務に従事している。
 近年、中高年ホワイトカラーや若年失業者の増加等、失業者の質が多様化するなかで、ハローワークにおいても、総合規制改革会議及び経済財政諮問会議における議論や「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(平成15年6月27日閣議決定)及び「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月4日閣議決定)を踏まえ、民間のノウハウを効率的・効果的に活用するための取組に努めてきているが、ハローワークによる求職・求人のマッチングは、必ずしも効果的に実施されていないとの指摘もある。また、民間出身で短期間しか雇用されない非常勤職員が、個別相談的な業務や求人企業の開拓業務を行っており、こうした官が雇用する民間出身者の比率が急速に高まり、常勤の公務員数に匹敵する水準に達している。このような非常勤の民間人活用の仕組みが、十分なインセンティブメカニズムを有しているか、どれだけ職業紹介に結びついているか、またそのためにかけられた費用の全体像についての情報は、十分に開示されていない。また、職業紹介については、教育・訓練事業と一体的に実施すべきであるが、民間とは異なり、国の公共職業訓練事業はハローワークと独立の事業であり、両者の連携をより緊密にし、実効をあげる必要がある。さらに、公共職業訓練事業については、求職者の選択に基づき訓練コースを決定する制度や個々の職業訓練の民間委託が進められてきているが、求職者のニーズに対応したサービス(メニュー・受講時間等)となっていないとの指摘もある。
 他方、職業紹介や職業訓練に関わる民間事業は、既に成長・発展してきている。民間の有料職業紹介事業者は、企業が必要とする求人を、求人企業の費用負担の下、求職者には原則として無料でマッチングサービスを提供している。その意味では、官民のどちらがサービスを供給する主体であっても、その事業は、求職者にとっては無料の職業紹介事業であることは変わらず、職業紹介費用の負担者が国か企業かの違いに過ぎない。
 今後とも国が公務員を用いて自ら行う全国的な無料職業紹介事業を維持するか、それとも、既に知見・ノウハウを有する民間事業者の力を活用して抜本的な民間開放を行い、サービスのコスト削減・質向上を目指していくかの選択が迫られている。
 このような状況の下、「規制改革の推進に関する第3次答申」(平成15年12月22日総合規制改革会議)では、『職業紹介事業の地方公共団体・民間事業者への開放促進』として、以下のとおり指摘している。
 「公共職業安定所(ハローワーク)については、その基本的な機能とサービスの質を維持した上で、民間委託の更なる拡大に加え、公設民営方式等の導入、独立行政法人化、地方公共団体への業務移管等、その組織・業務の抜本的な見直しについて、検討を進め、結論を得べきである。なお、ハローワークについては、求職・求人のマッチング率が必ずしも高くないとの指摘もある。」

【具体的施策】

(2)「市場化テスト」の実施【再掲】
 経済財政諮問会議において、ハローワーク関連事業について「市場化テスト」(官民競争入札制度)のモデル事業(平成17年度における試行的導入)の対象とすべき旨議論されており、小泉総理からは、市場化テストについて「まずは17年度に試行的に導入するモデル事業を成功させていただきたい」との指示が出されていることを踏まえ、民間事業者等からの市場化テストに関する提案を踏まえ、下記の取組を、市場化テストのモデル事業として適切に実施する。【平成16年中に対象事業を決定、平成17年度中に実施】

エ アビリティガーデンにおける職業訓練の民間開放
 「アビリティガーデン」(生涯職業能力開発促進センター)は、独立行政法人雇用・能力開発機構が設置・運営する施設として、現在、ホワイトカラー関連職種を対象とした職業訓練コースの研究開発及び実際の職業訓練の実施を行っている。
 民間事業者等の知見・ノウハウを活用することにより、サービスのコスト削減・質向上を目指していく観点から、土日・夜間においてこれまで未使用であったアビリティガーデンの施設・設備を活用した職業訓練事業(職業紹介等訓練修了者を対象とする就職支援に関わる事業を含む)を市場化テスト(モデル事業)の対象とする。
 なお、具体的な職業訓練の内容(講座の設定や運営、施設の有効活用等)については、民間事業者等が落札した場合にはその創意工夫が最大限発揮されるよう必要な措置を講ずるものとする。


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