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中小企業退職金共済制度の概要

1. 制度の目的
 中小企業退職金共済制度(以下「中退制度」という。)は、独力では退職金制度を設けることが困難な中小企業について、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって退職金制度を確立し、中小企業の従業員の福祉の増進を図るとともに、中小企業の振興に寄与することを目的としている。

2. 中小企業退職金共済制度の概要
 中退制度には、主に常用労働者を対象とする「一般の中小企業退職金共済制度」と、厚生労働大臣が指定した特定の業種に期間を定めて雇用される労働者(期間雇用者)を対象とする「特定業種退職金共済制度」があり、現在、特定業種退職金共済制度として、建設業、清酒製造業及び林業が指定されている。

3. 一般の中小企業退職金共済制度の仕組み
一般の中小企業退職金共済制度の仕組みの図

【制度の特色】

 (1)  税制上の優遇
 ・  掛金は税法上損金又は必要経費扱い。
 ・  退職金は一時金で受け取る場合には退職所得控除が、分割して受け取る場合には公的年金等控除が認められている。

 (2)  掛金助成制度
 ・  新規加入の場合、原則として掛金月額の1/2を1年間助成。
 ・  掛金月額引上げの場合、原則として引上げ額の1/3を1年間助成。

 (3)  退職金の額
 退職金の額は、掛金月額と掛金納付月数により固定的に定まる基本退職金(現在の予定運用利回り 1.0%。)と、機構の運用実績により付加される付加退職金の両者を合算したものとなる。

4. 特定業種退職金共済制度の仕組み
特定業種退職金共済制度の仕組みの図

【制度の特色】

 (1) 税制上の優遇
 ・  掛金は税法上損金又は必要経費扱い。
 ・  退職金を受け取る場合には退職所得控除。

 (2)  掛金助成制度
 ・  新規加入の場合、原則として、1年間の1/3を助成。

 (3)  共済証紙の共済手帳への貼付
 期間労働者が所持する共済手帳に事業主が雇用日数に応じて共済証紙を貼付し、当該労働者が業界で働くことをやめたときに、機構から直接労働者に退職金が支給される。

 ※  特定業種退職金共済制度の予定運用利回り
・ 建設業  2.7%
・ 清酒製造業  2.3%
・ 林業  0.7%


【参考】
 中小企業退職金共済制度の現況(平成14年度末現在)

  一般 建設業 清酒製造業 林業
実施事業所数 58.5万 40.6万 17.3万 0.26万 0.37万
対象従業員数 497.8万 259.9万 229.9万 3.4万 4.6万


 中小企業退職金共済制度における退職金等の支給状況(平成14年度)

  計又は平均 一般 建設業 清酒製造業 林業
支給件数 43.7万件 33.5万件 9.8万件 0.07万件 0.35万件
支給総額 5,175.8億円 4,237.7億円 899.6億円 8.1億円 30.4億円
退職者の平均納付期間 160.7月 115.1月 112.0月 197.0月 147.0月

(注) 一般の中小企業退職金共済制度の支給件数は、一時金払件数と分割払延件数との合計である。


 中小企業退職金共済制度の財政状況(平成14年度)
(単位:億円)
  一般 建設業 清酒製造業 林業
収益〔掛金、運用収入〕 4,452.4 3,712.3 7,151.3 3.7 21.2
費用〔退職金支払、責任準備金増等〕 4,655.3 3,882.5 747.3 3.6 21.9
当期利益金 △202.9 △170.2 △32.1 0.08 △0.66
累積利益金(平成14年度末) △2,315.9 △2,571.0 275.4 3.6 △24.0
資産総額(平成14年度末) 39,608.2 30,098.5 9,273.2 79.4 157.1


中小企業退職金共済制度の加入状況の推移

イ 一般の中小企業退職金共済制度   ロ 特定業種退職金共済制度
  共済契約者数 被共済者数(人)   建設業退職金共済制度 清酒製造業退職金共済制度 林業退職金共済制度
共済契約者数 被共済者数(人) 共済契約者数 被共済者数(人) 共済契約者数 被共済者数(人) 共済契約者数 被共済者数(人)
63 343,257 2,312,125 63 131,822 1,720,896 125,580 1,625,984 2,778 39,870 3,464 55,042
平成元
年度
357,319 2,435,935 平成元
年度
133,943 1,749,615 127,716 1,654,518 2,735 39,709 3,492 55,388
369,346 2,552,012 137,016 1,783,831 130,733 1,688,991 2,723 39,417 3,560 55,423
379,351 2,652,047 139,035 1,804,434 132,737 1,710,379 2,709 39,148 3,589 54,907
390,781 2,715,291 141,869 1,839,074 135,575 1,746,558 2,702 38,880 3,592 53,636
397,957 2,751,423 144,402 1,880,942 138,053 1,788,431 2,692 38,642 3,657 53,869
401,545 2,781,199 147,679 1,949,029 141,303 1,857,205 2,686 38,190 3,690 53,634
405,120 2,805,730 150,841 2,005,356 144,465 1,914,323 2,676 37,712 3,700 53,321
410,499 2,806,352 154,349 2,054,152 147,966 1,964,653 2,666 36,838 3,717 52,661
410,315 2,778,684 157,221 2,081,679 150,864 1,994,045 2,658 36,267 3,699 51,367
10 408,552 2,725,281 10 160,853 2,135,135 154,542 2,049,246 2,635 35,776 3,676 50,113
11 413,006 2,706,972 11 165,822 2,211,178 159,463 2,126,157 2,623 35,296 3,736 49,725
12 421,708 2,729,365 12 169,431 2,254,636 163,036 2,170,773 2,620 34,890 3,775 48,973
13 419,957 2,662,819 13 173,342 2,310,906 166,988 2,228,617 2,612 34,395 3,742 47,894
14 406,303 2,598,824 14 179,090 2,379,088 172,789 2,298,969 2,575 33,930 3,726 46,189

(注) 各年度の数値は、年度末(3月末)現在のものである。



都道府県別一般の中小企業退職金共済事業及び特定業種退職金共済事業加入状況(平成15年9月末現在)

都道
府県
一般の中小企業退職金共済制度 建設業退職金共済制度 清酒製造業退職金共済制度 林業退職金共済制度
共済契約者数 被共済者数 共済契約者数 被共済者数 共済契約者数 被共済者数 共済契約者数 被共済者数
北海道 18,226 124,104 11,454 289,467 15 597 782 9,111
青森 5,130 38,929 2,412 41,625 37 295 153 1,603
岩手 4,963 38,646 2,128 39,671 48 429 179 2,385
宮城 7,974 51,518 2,647 40,573 49 870 48 659
秋田 4,564 37,591 1,993 30,530 42 832 118 964
山形 5,803 43,583 2,157 33,382 60 575 59 486
福島 6,786 44,310 3,665 55,377 103 693 128 1,981
茨城 7,235 42,860 3,460 34,068 77 482 35 392
栃木 6,150 35,774 3,008 34,795 51 515 81 624
群馬 6,635 43,293 2,928 24,545 45 376 147 584
埼玉 13,486 81,947 3,976 56,474 59 555 32 137
千葉 10,110 57,740 4,588 55,943 44 475 28 438
東京 54,743 383,709 6,602 107,051 14 198 62 176
神奈川 18,276 109,790 5,740 60,702 17 190 37 357
新潟 12,190 96,760 2,871 51,266 102 844 66 689
富山 3,914 31,031 1,782 26,937 26 359 31 629
石川 4,655 33,229 1,354 23,478 52 717 56 1,224
福井 3,140 22,073 1,969 25,002 54 321 23 757
山梨 2,084 13,778 1,586 21,123 33 254 41 317
長野 8,703 65,770 2,887 36,040 110 937 100 1,610
岐阜 8,478 54,929 2,365 35,792 67 606 161 752
静岡 13,745 84,203 4,155 45,352 34 699 108 814
愛知 24,172 145,718 4,894 76,010 85 1,165 87 347
三重 4,440 27,334 3,027 30,806 48 462 44 446
滋賀 3,972 25,685 2,549 26,047 66 786 21 386
京都 9,925 48,651 4,757 40,559 73 2,625 95 564
大阪 31,571 195,739 12,588 142,967 24 380 3 126
兵庫 14,354 85,322 9,506 79,519 120 5,859 57 718
奈良 2,784 17,367 3,334 18,078 61 562 0 0
和歌山 2,644 16,523 2,627 28,430 34 362 141 1,145
鳥取 1,989 13,390 1,126 21,418 35 242 44 314
島根 2,960 22,401 1,408 27,806 50 300 50 654
岡山 7,108 48,417 2,892 39,960 101 1,150 38 623
広島 9,238 66,647 3,216 52,580 101 1,845 47 793
山口 5,058 35,082 2,409 43,687 99 734 21 644
徳島 2,934 18,483 3,553 28,334 42 191 55 848
香川 3,470 24,573 1,317 14,086 23 262 8 211
愛媛 3,169 21,177 2,836 41,587 57 700 68 953
高知 3,676 22,787 1,724 35,624 20 491 71 1,785
福岡 12,111 77,549 9,640 104,374 85 1,502 56 1,150
佐賀 1,852 12,970 1,553 22,524 47 600 23 328
長崎 4,385 27,281 3,705 33,640 29 189 16 257
熊本 5,694 34,189 4,393 54,342 17 205 65 1,525
大分 3,351 24,761 3,779 46,031 55 511 39 1,113
宮崎 3,187 21,070 3,622 43,074 59 236 112 2,657
鹿児島 6,484 38,366 4,770 65,854 92 484 68 1,288
沖縄 3,073 15,977 3,903 46,931 0 0 8 215
400,591 2,623,026 174,855 2,333,461 2,562 33,662 3,712 45,779



独立行政法人勤労者退職金共済機構中期計画(抜粋)

第2  国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置

  2 加入促進対策の効果的実施
(1)加入目標数
 中退共、建退共、清退共、林退共の各共済制度の最近における加入状況、財務内容、当該事業を取り巻く経済環境等を勘案して、計画期間中に新たに各共済制度に加入する被共済者数の目標を次のように定める。
  (1) 中退共制度においては     1,595,000人
  (2) 建退共制度においては 750,000人
  (3) 清退共制度においては 1,000人
  (4) 林退共制度においては 13,500人

(2)加入促進対策の実施
 上記の目標を達成するため、関係官公庁及び関係事業主団体等との連携の下に、以下の加入促進対策を効果的に実施する。 なお、各共済制度への加入促進対策の実施に当たっては、相互に連携して行うこととする。
 イ  広報資料等による周知広報活動
(1)  制度内容・加入手続等を掲載したパンフレット・ポスター等の広報資料を配布するとともに、ホームページを活用して共済制度の周知広報を実施する。
(2)  関係官公庁及び関係事業主団体等に対して、広報資料の窓口備付け、ポスターや懸垂幕等の掲出及びこれらの機関等が発行する広報誌等へ共済制度に関する記事の掲載を依頼する。
(3)  新聞等のマスメディアを活用した広報を実施する。
(4)  工事発注者の協力を得て、受注事業者による「建退共現場標識」掲示の徹底を図り、事業主及び建設労働者への制度普及を行う。
 ロ  各種会議、研修会等における加入勧奨等
(1)  関係官公庁及び関係事業主団体等が開催する各種会議、研修会等において、制度内容や加入手続等の説明を行い、制度の普及及び加入勧奨を行う。
(2)  小規模事業者等に対し、関係事業主団体等の開催する会議等を通じ、事務組合、任意組合の設立等を要請するなど、加入勧奨を行う。
 ハ  個別事業主に対する加入勧奨等
(1)  機構が委嘱した相談員、普及推進員等による相談業務等を通じて個別事業主に対する加入勧奨を行う。
(2)  機構から中退共制度への加入促進業務を受託した事業主団体等による個別事業主に対する加入勧奨を行うとともに、必要に応じ委託先を拡大する。また、既加入事業主に対し、文書等による追加加入に係る勧奨を行う。
(3)  関係事業主団体、工事発注者、元請事業者等の協力を得て、建退共制度の未加入の事業主に対する加入勧奨、制度周知等を行う。
(4)  関係機関の協力を得て、林退共制度未加入事業者を把握し、都道府県ごとの被共済者加入目標数を定めるなど、効果的な加入勧奨を行う。
 ニ  集中的な加入促進対策の実施
(1)  厚生労働省の協力を得て、毎年度、加入促進強化月間を設定し、月間中、全国的な周知広報活動等を集中的に展開するとともに、共済制度の普及推進等に貢献のあった者に対する表彰を行う。
(2)  都道府県及び市区町村の協力を得ながら、特定の都道府県においてマスメディア等を活用した集中的な中退共制度に係る周知広報活動及び各種会議における加入勧奨を行う。
 ホ  他制度と連携した加入促進対策の実施
(1)  厚生労働省の協力を得て、適格退職年金制度から中退共制度への移行を促進するための周知広報や勧奨を組織的に展開するとともに、より一層の移行促進をするため、適格退職年金を受託する生保、信託銀行との連携を強化する。
(2)  独自に掛金の助成・補助制度を実施する地方公共団体等の拡大・充実を働きかける。
(3)  建設業等に係る公共事業発注機関に対し、受注事業者からの掛金収納書及び建退共加入履行証明書徴収の要請を行う。
(4)  いわゆる「緑の雇用」の実施に当たり、林退共制度等への加入について事業者に指導するよう関係機関に要請を行う。


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