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ポジティブ・アクションの実践
どの企業においても、女性が能力を最大限発揮できるようにするという姿勢で雇用管理を進めることが基本であり、影響力の大きい企業トップのイニシアティブはきわめて重要である。企業トップが先頭に立ってポジティブ・アクションを推進することが求められる。また、ポジティブ・アクションの実践においては、中間管理職の果たす役割が大きいことから、中間管理職の意識改革を図ることも大切である。
ポジティブ・アクションにおいては、男女間賃金格差の生成に大きく影響している男女間の職階格差や勤続年数格差の縮小に取り組むべきであり、特に、職階格差縮小の観点からは、以下(2)(女性に対する業務の与え方や配置の改善)に取り組むとともに、女性の勤続年数伸張の観点からは、以下(4)(ファミリー・フレンドリーな職場形成の促進)に取り組むことが求められる。
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女性に対する業務の与え方や女性の配置の改善
業務の与え方については、これまで、難易度や重要度の低い業務、定型的な業務が主として女性に割り当てられたり、評価の低い職務に女性を多く配置することがよく見られてきたのが実態である。
このように偏った業務配分や配置を改善するために、性にとらわれることなく個々の労働者の意欲や適性、職務遂行能力を基準とした配置を進めることや管理職研修に女性の能力発揮に配慮した業務の与え方に係る留意事項を含めることが求められる。また、労働者が希望職務や保有能力等を申告できる自己申告制度や、欠員ポストを補充する人材を広く社内で募集する社内公募制度、一定の条件を満たした社員が希望部署への異動を申告できる社内フリーエージェント制度の導入なども女性の配置改善に寄与するものである。
さらに、ライセンス制度(職務に必要なスキルを明確にし、その職務につくためのスキルを持ったものに試験等でライセンスを与え、欠員が出た場合にはそのライセンス保持者の中から配置する制度)や、女性登用を念頭においた後継者計画(管理者が自分の後任候補者数名を所属部門長や人事部門に登録する際に、最低1名は女性とすることのルール化)等も有効と考えられる。
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コース別雇用管理制度及びその運用の改善
コース別雇用管理制度について、男女間賃金格差の改善を図る観点から、コース区分決定方法など、制度そのものを点検することが大切である。
特に検討が求められるのは、コース区分の決定を入社時に行うのではなく、採用後一定期間の職務経験後に労働者の意欲・能力・適性等に基づき決定すること、コース転換の円滑化のための措置の導入(一定の条件を満たす労働者の希望を実現するコース転換制度の導入、コース転換希望者に対する教育訓練の実施等)、転勤の有無によるコース設定がキャリア形成上真に必要であるかどうかの再検討、である。
なお、コース別雇用管理制度の内容について、労働者に対して十分な説明がなされることが望まれる。また、併せて、転勤があることが条件になっている総合職の男女労働者を含め、育児・介護休業法第26条により企業は転勤を命ずるに際し、育児や介護の状況に配慮すべき責務があることにも十分留意する必要がある。
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ファミリー・フレンドリーな職場形成の促進
企業は育児・介護休業制度を利用しやすくするなどの職場環境の改善に努め、育児・介護を担うことの多い女性の仕事と育児等の両立の負担を軽減することが大切である。
特に、成果主義賃金が広がりつつある中では、これまで以上に育児・介護等家族的責任を有する労働者に配慮した仕組みが求められる。具体的には、育児・介護休業取得期間中における復職に向けた企業情報の伝達や、スキルの陳腐化を防ぐための通信研修の提供、在宅勤務制度などが考えられる。
また、依然として広くみられる恒常的残業を出来るだけ排除し、短時間勤務制度、フレックスタイム制などの活用を通じて柔軟な労働時間制度を採用するなど労働時間の面でも、家庭生活と職場生活が両立できるように努めることが必要である。 |