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平成14年度男女雇用機会均等法の施行状況


1 相談、指導等状況
 (1)  雇用均等室への相談

雇用均等室への相談の図

(相談者の内訳)

  相談者の内訳の図

 (注) 「その他」欄には、賃金・労働時間・深夜業の男女均等取扱い等に関する相談が含まれていること


(2)  雇用均等室における個別紛争解決の援助(均等法第13条に基づく援助)


雇用均等室における個別紛争解決の援助の図



(3)  機会均等調停会議による調停(均等法第14条に基づく調停)


機会均等調停会議による調停(均等法第14条に基づく調停)の図



○ 平成14年度 (件)
  申請件数 開始
   双方受諾 双方又は
一方拒否
次年度への
繰り越し
法第6条関係
(配置)
8 8 7 0 1
法第6条関係
(昇進)
1 1 1
法第8条関係
(定年・退職・解雇)
2 2 1 0 1
11 11 8 0 3
(平成15年3月31日現在)


(4)  雇用均等室における制度是正指導(均等法第25条に基づく助言等)

(件)
事項 14年度
法第5条関係
(募集・採用)
259
法第6条関係
(配置・昇進・教育訓練)
125
法第7条関係
(福利厚生)
64
法第8条関係
(定年・退職・解雇)
18
法第21条関係
(セクシュアルハラスメント防止対策)
4,975
法第22条・23条関係
(母性健康管理)
7
5,448



 雇用均等室における個別紛争解決の援助事例(均等法第13条に基づく援助)

産前産後休業を請求したところ解雇を通告された事例
(サービス業、労働者数約10人)
【女性労働者からの申立内容】
 社長に対し、産前産後休業の請求、育児休業の取得の申し出をし、休業スケジュールを提出したところ、翌日、翌月末で解雇するとの通告を受けた。解雇理由として、業務多忙の折、急な欠勤等は困るため、相談者を解雇し、新規に従業員を採用したほうがよいからとの説明を受けた。相談者は社長に対し、妊娠を理由とする解雇は違法である旨伝えたところ、社長より契約社員として再雇用したいとの提案があったが、正社員としての継続勤務を求め、援助申立を行ったケース。
【雇用均等室における援助内容】
 事業主から事情聴取したところ、相談者の解雇は経営悪化により親会社から人員整理を求められたためであって、解雇通告の時期が、産前産後休業の請求等の時期と重なったのは偶然であると主張した。また、相談者の契約社員としての再雇用の提案を撤回し、給与2か月分の和解金を支払って解決したいとの提案があった。
 室は、解雇通告が産前産後休業の具体的スケジュールが提出された翌日に行われていることからすると、妊娠を理由とする解雇として均等法第8条違反が強く推測されるため、解雇を撤回するよう指導した。
【結果】
 事業主は解雇を撤回し、相談者は、産前産後休業、育児休業取得後、職場復帰し、正社員として継続勤務することが確約された。


支店の統廃合に伴い、子供を有する女性のみが転居を伴う遠方への配置転換を命じられ、退職勧奨された事例
(金融・保険業、労働者数約1,200人)
【女性労働者からの申立内容】
 県内の複数の支店が統廃合され、勤務先の支店が廃止されることに伴い、余剰人員が発生するとの理由から、転居を伴う遠方の他県にある支店への転勤について内示があった。相談者には就学前の子供がおり、家庭の事情から遠方の他県にある支店への転勤には応じられないとして、人事担当者にその旨申し出たところ、後日、人事担当者より本社に伝えた結果として、転勤の内示は決定しており、これに不服である場合は退職するよう伝えられたが、納得できず、転勤の内示の撤回を求め、援助申立を行ったケース。
【雇用均等室の援助内容】
 B社から事情聴取したところ、支店の統廃合によって、相談者の担当業務に余剰人員が発生したための配置転換であり、転勤先での社宅確保も相談者について優先的に行っていると主張した。
 室は、廃止される他の支店においても、産前産後休業直後の女性労働者が遠方の他県にある支店への転勤が内示され、退職に至った者がいたことを把握し、子供を有していることを理由として女性のみ不利益な配置転換をすること、子供を有する女性であることを理由に解雇することは、均等法第6条及び第8条に反する旨説明するとともに、転勤の内示を撤回するよう指導した。
【結果】
 事業主は転勤の内示を撤回し、相談者は、希望どおり市内にある支店で継続勤務することとなった。


出産後の職場復帰に当たり、一方的に時間外労働のない補助的業務へ配置換えされた事例
(サービス業、労働者数約50人)
【女性労働者からの申立内容】
 第2子の産前産後休業期間中に休業前の配属先である調査部門の組織変更があったため、新設された部門の補助的業務に配置換えするとの内示があった。復帰後の短時間勤務の申出等は行っておらず、一方的に決定されたものである。研究職として採用されており、研究職として職場復帰したいと申し出るも受け入れられず、援助申立を行ったケース。
【雇用均等室の援助内容】
 事業主から事情聴取したところ、相談者の休業前の配属先が組織変更によって消滅したため、各部門のマネージャーと面接し、復帰先を検討したが、調査部門内のグループ間の研究職の配置換えは各グループの専門性が高いため困難であること、相談者は保育所の迎えの時間には退社したいとの意向があることから、相談者に配慮し、時間外労働のない復帰先を内示したものであり、研究職としての処遇に変更はないものと主張した。
 室は、相談者は第2子出産までフレックスタイム制を利用して勤務し、その上で時間外労働も行ってきており、第2子出産により時間外労働のない業務への配置を望んでいるわけではなく、一方的に子供を有することを理由に女性のみ補助的業務に配置することは均等法第6条に反すると説明し、相談者を研究職に配置することについて両者で再度話し合いの場を持つよう指導した。
【結果】
 事業主は配置換えの内示を撤回し、相談者は時間外労働に柔軟に対応する旨事業主に伝え、調査部門に研究職として職場復帰することとなった。


女性であることを理由に総合職から排除されている事例
(運輸業、労働者数約100人)
【女性労働者からの申立内容】
 入社10年目で初めて昇格辞令が交付され、この10年間、昇格しなかった理由について直属の部長に説明を求めたところ、人事制度がコース別雇用管理となっており相談者が一般職であることから、コースの違いによって処遇差が生じているとの回答を得、相談者は自分が一般職であることを初めて知らされた。相談者は、男性総合職と同様に倉庫管理、荷物の運搬作業に従事していたため、一般職から総合職への転換希望を部長に申し出たところ、総合職は重量物の取扱い等物流作業全般に従事できる必要があるが、女性は重量物の取扱い業務が制限されているため総合職には配置できないと申出を拒否され、援助申立を行ったケース。
【雇用均等室の援助内容】
 事業主から事情聴取したところ、総合職には女性の就業制限に係る重量物の取扱い業務があることから、女性である相談者を総合職に配置できないものの、相談者の高い意欲は評価しているので、総合職とほぼ同じ処遇ではあるが、重量物の取扱い業務が求められず、全国転勤のない専門職を今後目指すことで双方合意していたはずであると主張した。
 室は、重量物の取扱い業務に従事する可能性があることを理由として総合職から女性を排除し、男性のみとすることは、総合職が従事する業務のすべてに重量物の取扱い業務が含まれるものではなく、総合職のほとんどは重量物の取扱い業務に従事していない現状からは、均等法第6条に反することが疑われ、こうした制度運用を是正するよう指導した。また、従業員に対し、コース区分間の職務内容や職務遂行上求められる能力を明確に伝え、コース振り分けに当たって説明を徹底するよう指導するとともに、本人の希望の考慮について検討するよう助言した。
【結果】
 相談者は就学前の子供がおり、家庭の事情から全国転勤には応じられないこともあり、専門職への転換を目指すこととし、事業主は相談者について、研修への参加や幅広い業務経験について配慮し、今後専門職への転換を検討することを確約した。


女性についてのみ昇格試験の受験候補者に登録してもらえない事例
(製造業、労働者数約1,200人)
【女性労働者からの申立内容】
 勤続年数25年、補助職として入社し、コース別雇用管理制度導入時に総合職となり現在に至るが、管理職への昇格試験を受験させてもらえず、一般社員のままとなっている。昇格試験の受験候補者に登録されないことについて部長に説明を求めたところ、評価が低かったためとの回答であったが、そもそも登録の決定基準が不明確であり、それが結果として昇格の遅れにつながっていること、相談者のみならず女性全体の昇進昇格が遅れていることに不満があるとして、今回の昇格に係る事実関係を明らかにするとともに、昇格の遅れの改善を求め、援助申立を行ったケース。
【雇用均等室の援助内容】
 事業主から事情聴取したところ、相談者よりも上位の評価であっても、基準に達しず昇格試験の受験候補者に登録されなかった男性もおり、女性であることを理由に登録しないことはないと主張したが、今回の人事制度の変更が考課者に十分周知されておらず、従業員に登録の決定基準が明確に伝わっていない可能性があることを認めた。
 室は、相談者の今回の昇格に関し男女差別があったことは確認できなかったが、人事制度が明確でないことが結果として相談者に不利となったことは否めず、昨年度昇格した者と比べて相談者の評価が必ずしも低くはないため、来年度の昇格試験の受験候補者として相談者の登録を確約し、昇格についても配慮するよう指導した。また、結果として女性全体の昇進昇格が男性に比べ低くなっていることから、女性の処遇を改善するようポジティブ・アクションの取組を行うことを併せて助言した。
【結果】
 事業主は相談者を来年度昇格試験の受験候補者に登録することを確約するとともに、評価委員会メンバーへの研修等ポジティブ・アクションの取組を進めていくこととなった。



 機会均等調停会議による調停事案の概要(均等法第14条に基づく調停)

申請事案 結果
■配置関係
 コース別雇用管理制度導入時(旧均等法下)、女性であることを理由に一般職に配置され、その後総合職に転換したものの、男性と比べ低く格付けられているとする事案

 機会均等調停会議において、調停委員が関係当事者双方から事情聴取及び意見聴取を行い、転換後の育成、上位級への昇格に向けた支援についての調停案の受諾を勧告し、関係当事者双方が受諾し、調停は終了した。
■配置関係
 コース別雇用管理制度導入時(旧均等法下)、女性であることを理由に一般職に配置され、その後コース転換を希望したものの、転換させてもらえないとする事案

 機会均等調停会議において、調停委員が関係当事者双方から事情聴取及び意見聴取を行い、(1)コース転換制度の積極的な運用及び転換希望者に対する支援、転換後の育成、(2)総合職への転換の実現に向けての積極的な支援についての調停案の受諾を勧告し、関係当事者双方が受諾し、調停は終了した。
■解雇関係
 妊娠を報告したところ、業務の廃止を通告され、退職又は他部門への配置換えを迫られた事案

 機会均等調停会議において、調停委員が関係当事者双方から事情聴取及び意見聴取を行ったが、業務は廃止されており、新たな配属先の条件が折り合わなかったため、申請者に対する解決金の支払い等について調停案の受諾を勧告し、関係当事者双方が受諾し、調停は終了した。
(注 )平成14年度に申請のあった調停事案のうち、年度内に終了したもののみ掲載していること


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