1 改正パートタイム労働指針のポイント |
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◆正社員と職務が同じパートタイム労働者についての「正社員との均衡」の考え方◆
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○ | 「職務が同じ」かどうかは、まず「職務の範囲」を比較し、その場合、通常従事する作業が同じかどうかについて、個々の作業の幅や組合せについても比較して判断します。作業後の清掃など臨時的・付随的な作業に違いがあっても、同じ職務と考えられます。ただし、作業の幅や組合せが大きく異なる場合、例えば、正社員がパートタイム労働者の行う作業に加えて、生産計画の策定、顧客対応なども行うような場合には、職務そのものが違うと考えられます。 個々の作業を比較するに当たっては、トラブル発生時や臨時・緊急時の対応、ノルマなどが同じように職務上の「責任」として含まれているか、与えられた権限の範囲についても考慮します。また、作業を行うに当たって必要最低限の能力や難易度、複雑度などの「職務レベル」、肉体的・精神的負担などの「労働の負荷」なども含めて判断します。 |
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○ | 「人材活用の仕組みや運用など」が実質的に異ならないかどうかは、人事異動の幅・頻度、役割の変化(責任・権限の重さの変化)など、労働者が時間的経過の中でどのような職務経験を積む仕組みがあるのかということと、その仕組みが実際に運用されているか実態をみて判断します。人事異動には転勤も入りますが、同じ事業所内の異動や異なる職種への異動も含まれ、その範囲を幅として比べます。頻度についても、回数だけを比べるのではなく、幅とも関連してみることが必要です。このような人材育成のあり方は、時間的経過の中で、労働者にどのような職務経験を積ませていく仕組みがあるかについて、制度化または慣行化され客観的に把握できるものによって、みていくこととなります。 以上のようなことを例示として、総合的に「人材活用の仕組みや運用など」を判断していきますが、制度の有無だけで違っていると判断するのではなく、運用も含めて判断します。単に労働時間が短いだけでは、「人材活用の仕組みや運用など」が異なることにはなりません。 |
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※ | 比較に当たっての考え方 パートタイム労働者と職務が同じ正社員の人材活用の仕組みや運用などの状態がいくつかある場合は、その中にパートタイム労働者と人材活用の仕組みや運用などが実質的に異ならないものがあるかを比較することになります。なお、育児・介護などの家族的責任を有する労働者については、その事情に配慮したために異動の幅や頻度が少ないことがありますが、そのような取扱いについては比較に当たって対象から除くことが望まれます。 |
○ | 職務が正社員と同じで人材活用の仕組みや運用などが正社員と実質的に異ならないパートタイム労働者の場合、処遇の決定方法を合わせるなどの措置を講じた上で、意欲、能力、経験、成果などに応じて処遇することにより、正社員との均衡の確保を図るように努めてください。「処遇の決定方法を合わせるなど」とは、例えば、賃金については、正社員とパートタイム労働者で同じ体系の賃金表を適用する、支給基準、査定・考課基準、支払形態などを合わせること、またこれに相当するような取組が考えられます。処遇の決定方法が同じでも、査定や業績評価などを行うに当たって、意欲、能力、経験、成果などを勘案することにより、個々の労働者の賃金水準は違ってきます。 |
○ | 職務が正社員と同じで人材活用の仕組みや運用などが正社員と異なるパートタイム労働者の場合、人材活用の仕組みや運用などについて正社員との違いの程度を踏まえつつ、パートタイム労働者の意欲、能力、経験、成果などに応じた処遇についての措置などを講ずることによって、正社員と処遇の均衡を図るように努めてください。 |
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○ | 「転換するための条件の整備」としては、パートタイム労働者から正社員へ転換する制度の導入のほかに、例えば、能力・経験に応じた職務ランクを設けて一定のランク以上のパートタイム労働者は正社員とする制度の導入、正社員への転換に向けた教育訓練・能力開発を行うこと、正社員への転換に関する情報提供などが考えられます。 |
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事業主は、雇い入れた後、パートタイム労働者から処遇について説明を求められたときは、誠意をもって求められた内容について説明するように努めてください。その際、パートタイム労働者と正社員の職務の内容、人材活用の仕組みや運用などとの関係についても説明することなどによって納得性を高めることが大切です。パートタイム労働者が処遇について説明を求めたことを理由として、そのパートタイム労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないことは当然のことです。 |
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「意見を聴く機会を設けるための適当な方法」としては、例えば、職場での労使協議、職場懇談会、意見聴取、アンケートなどがあげられます。事業所の実情に応じて、パートタイム労働者の意見を聴くことができる方法を工夫するよう努めてください。 |
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「苦情処理の仕組みを活用するなど」には、事業所内の苦情処理制度を活用するほか、人事担当者が窓口になって苦情に対応することも含まれます。また、短時間雇用管理者が選任されている事業所では、短時間雇用管理者を活用することも考えられます。苦情処理の仕組みなどについては、パートタイム労働者に周知を図ることが望まれます。 |
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第 | 2 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっての基本的考え方 |
1 | 人事異動の幅及び頻度、役割の変化、人材育成の在り方その他の労働者の人材活用の仕組み、運用等(2において「人材活用の仕組み、運用等」という。)について、通常の労働者と実質的に異ならない状態にある短時間労働者については、当該短時間労働者と通常の労働者との間の処遇の決定の方法を合わせる等の措置を講じた上で、当該短時間労働者の意欲、能力、経験、成果等に応じて処遇することにより、通常の労働者との均衡の確保を図るように努めるものとすること。 |
2 | 人材活用の仕組み、運用等について、通常の労働者と異なる状態にある短時間労働者については、その程度を踏まえつつ、当該短時間労働者の意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡を図るように努めるものとすること。 |
第 | 3 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置 |
(1) | 労働条件の明示
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(2) | 就業規則の整備
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(3) | 労働時間
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(4) | 年次有給休暇 事業主は、短時間労働者に対して、労働基準法の定めるところにより、別表に定める日数の年次有給休暇を与えるものとする。 |
(5) | 期間の定めのある労働契約 事業主は、短時間労働者のうち期間の定めのある労働契約(以下この(5)において「有期労働契約」という。)を締結するものについては、労働基準法に基づき定められた有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)の定めるところにより、次に掲げる措置を講ずるものとする。
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(6) | 解雇の予告
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(7) | 退職時等の証明
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(8) | 賃金、賞与及び退職金 事業主は、短時間労働者の賃金、賞与及び退職金については、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。 |
(9) | 健康診断 事業主は、短時間労働者に対し、労働安全衛生法の定めるところにより、次に掲げる健康診断を実施するものとする。
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(10 | )妊娠中及び出産後における措置 事業主は、妊娠中及び出産後1年以内の短時間労働者に対し、労働基準法及び雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の定めるところにより、次に掲げる措置を講ずるものとする。
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2 | 短時間労働者の教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善 |
(1) | 教育訓練の実施 事業主は、短時間労働者の職業能力の開発及び向上等を図るための教育訓練については、その就業の実態に応じて実施するように努めるものとする。 |
(2) | 福利厚生施設 事業主は、給食、医療、教養、文化、体育、レクリエーション等の施設の利用について、短時間労働者に対して通常の労働者と同様の取扱いをするように努めるものとする。 |
(3) | 育児休業及び介護休業に関する制度等 事業主は、短時間労働者について、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の定めるところにより、次に掲げる措置を講ずるものとする。なお、イの(ロ)に掲げる者に該当するかどうかに関し、期間を定めないで雇用される者と実質的に異ならない状態となっているかどうかを判断するに当たっては、子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成14年厚生労働省告示第13号)に定める事項に留意するものとする。
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(4) | 雇用保険の適用 事業主は、雇用保険の被保険者に該当する短時間労働者について、雇用保険法の定めるところにより、必要な適用手続をとるものとする。 |
(5) | 高年齢者の短時間労働の促進 事業主は、短時間労働を希望する高年齢者に適当な雇用の場を提供するように努めるものとする。 |
(6) | 通常の労働者への応募機会の付与等 事業主は、通常の労働者を募集しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事する短時間労働者に対し、あらかじめ当該募集を行う旨及び当該募集の内容を周知させるとともに、当該短時間労働者であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、これに応募する機会を優先的に与えるよう努めるものとする。 |
(7) | 通常の労働者への転換に関する条件の整備 事業主は、短時間労働者の通常の労働者への転換について、これを希望し、かつ、その能力を有する短時間労働者のニーズが自らのニーズに合致する場合において、当該事業所の実情に即して、これが可能となる制度の導入、必要な条件の整備等をするように努めるものとする。 |
3 | 職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置の実施 事業主は、短時間労働者の職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置を講ずるように努めるものとする。 |
4 | 所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者の取扱い 事業主は、所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ短時間労働者のうち通常の労働者と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、労働条件その他の処遇について通常の労働者と区別して取り扱われているものについては、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。 |
5 | 労使の話合いの促進のための措置の実施 |
(1) | 事業主は、短時間労働者を雇い入れた後、当該短時間労働者から当該短時間労働者の処遇について説明を求められたときは、その求めに応じて説明するように努めるものとする。 |
(2) | 事業主は、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっては、 当該事業所における関係労使の十分な話合いの機会を提供する等短時間労働者の意見を聴く機会を設けるための適当な方法を工夫するように努めるものとする。 |
(3) | 事業主は、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮した処遇について、短時間労働者から苦情の申出を受けたときは、当該事業所における苦情処理の仕組みを活用する等その自主的な解決を図るように努めるものとする。 |
6 | 短時間雇用管理者の選任等 |
(1) | 短時間雇用管理者の選任 事業主は、常時10人以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、短時間雇用管理者を選任し、次に掲げる業務を担当させるよう努めるものとする。
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(2) | 短時間雇用管理者の氏名の周知 事業主は、短時間雇用管理者を選任したときは、当該短時間雇用管理者の氏名を事業所の見やすい場所に掲示する等により、その雇用する短時間労働者に周知させるよう努めるものとする。 |
短時間労働者の 週所定労働時間 |
雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分に応ずる 年次有給休暇の日数 |
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短時間労働者の 週所定労働日数 |
短時間労働者の 1年間の所定労働 日数(週以外の期間 によって労働日数が 定められている場合) |
6箇月 | 1年 6箇月 |
2年 6箇月 |
3年 6箇月 |
4年 6箇月 |
5年 6箇月 |
6年 6箇月 以上 |
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30時間以上 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 | ||
30時間未満 | 5日以上 | 217日以上 | |||||||
4日 | 169日から216日まで | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | |
3日 | 121日から168日まで | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 73日から120日まで | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 48日から72日まで | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 | |
備考 上に掲げるもののほか、所要の経過措置が労働基準法施行規則の一部を改正する省令(平成12年労働省令第49号)において定められている。 |