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重点事項

1.「健康日本21」及び健康増進法について

(1)「健康日本21」及び健康増進法の基本的な考え方

 我が国の平均寿命、健康寿命は、世界でも最高の水準にある。しかし、人口の急速な高齢化が進む中で、疾病構造が変化し、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、歯周病等の生活習慣病が増加している。生活習慣病は、痛みなどの自覚症状が現れないうちに進行し、最終的に重篤な症状発作に至り、生活の質を著しく低下させたり命を奪うことにもなる深刻な問題である。
 健康寿命の更なる延長、生活の質の向上を実現し、元気で明るい高齢社会を築くためには、疾病の早期発見や治療に留まらず、生活習慣の見直しなどを通じ積極的に健康を増進し、疾病を予防する「一次予防」に重点を置いた対策の推進が急務である。このため、平成12年より「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を推進している。
 また、「健康日本21」を中核とする国民の健康づくり・疾病予防を更に積極的に推進するため、医療制度改革の一環として平成14年3月に国会に健康増進法案を提出し、同年8月2日に公布され、平成15年5月1日から施行された。

(2)「健康日本21」及び健康増進法の推進方策等

 「健康日本21」については、(1)普及啓発の推進、(2)推進体制整備、地方計画支援、(3)保健事業の効率的・一体的推進、(4)科学的根拠に基づく事業の推進、を柱として推進することとし、具体的には、栄養・食生活、身体活動・運動、休養こころの健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がんという9分野、70項目にわたる目標数値を設定している。(資料1参照)
 また、健康増進法では、
 (1) 国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本方針の策定(厚生労働大臣)
 (2) 都道府県、市町村における健康増進計画の策定
 (3) 健康診査の実施等に関する指針の策定(厚生労働大臣)
 (4) 国民健康・栄養調査の実施、保健指導、特定給食施設、受動喫煙の防止等
を規定している。
 「基本方針」については、昨年4月に既に策定しているが、都道府県、市町村の健康増進計画については、都道府県においては、平成13年度中に計画の策定が終了しているものの、市町村においては平成15年7月現在で策定済は815市町村となっている。(資料2参照)今後は、住民に最も身近な市町村での計画の策定とこれに基づく施策の積極的な展開が必要であり、また、健康増進法においても市町村健康増進計画が明確に位置づけられたことから、策定に当たって市町村に対する支援について特段のご配慮をお願いする。
 なお、平成14年度から、地方公共団体の健康づくり・疾病予防対策に対して、地方健康増進計画の策定、健康づくり支援事業の実施などを柱とする地方財政措置(「ヘルスアッププラン」)が講じられており、平成16年度においても引き続き措置される予定であるので、このことを踏まえ積極的な事業の推進をお願いする。(資料3参照)
 また、健康増進法第9条の規定に基づき厚生労働大臣が定める健康診査等指針については、現在、「健康診査の実施等に関する検討会」を開催して、策定に向けて検討を進めているところであり、今年度中に指針案の取りまとめを行う予定である。(資料4参照)
 さらに、普及啓発活動については、平成12年から開設しているホームページに加え、平成13年7月からiモードによる情報提供を行っているほか、「健康日本21全国大会」を毎年度開催する(資料5参照)など、その強化に努めているところである。また、健康増進法に基づく基本方針において、毎年9月を「健康増進普及月間」と明確に位置づけ、当該月間に全国大会を開催するのを始め、各種の普及啓発等を行うこ ととしている。
 また、これら運動の目的を達成するためには、健康づくりに取り組もうとする個人を社会全体として支援することが不可欠なことから、健康づくり支援者の活動((財)日本食生活協会が行うヘルスサポーター事業)など民間団体等が行う事業との連携方よろしくお願いする。
 科学的根拠に基づく事業の推進については、今後、生活習慣と疾病予防・健康づくりとの関係等に関する科学的知見の更なる蓄積を図り科学的根拠に基づく運動の一層の推進を図るほか、「健康日本21」運動の中間評価を2005年度(平成17年度)に行うとともに、2010年度に最終評価を行い、その後の施策に反映させることとしている。現在、中間評価に向け評価手法検討会を開催し、評価方法について検討及び地方 自治体における試行実施を行うとともに、平成16年度から具体的な評価に取り組むこととしている。
 また、地域がん登録における個人情報の保護に関する法律等の扱いについて平成16年1月8日付健発第0108003号健康局長通知を発出したところであるが、地域がん登録事業に関する「個人情報の保護に関する法律」等の取扱いについて内閣官房及び総務省と協議を行った結果、健康増進法第16条に基づく地域がん登録事業については、民間の医療機関が国又は地方公共団体へ診療情報を提供する場合は、個人情報の保護に関する法律に規定する「利用目的による制限」及び「第三者提供の制限」の適用除外の事例に該当する等の取扱いとなったので、貴管下市町村、関係団体及び関係機関等に対する周知徹底とともに、地域がん登録事業の積極的な取組をお願いする。(資料6参照)


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