厚生労働省労働基準局長 (公印省略) |
せき柱及びその他の体幹骨、上肢並びに下肢の障害に関する 障害等級認定基準について |
1 | 改正の趣旨 今般の改正は、平成16年2月に報告のあった「整形外科の障害等級に関する専門検討会」の検討結果に基づくものであること。 |
ア | 変形障害 せき柱の変形障害については、障害等級を3段階で認定するとともに、障害の程度については、従来外見により判断していたものを改め、原則として椎体高の減少度やコブ法による側彎度を測定して評価することとしたこと。 |
イ | 運動障害 頸部及び胸腰部が強直したものを「せき柱に著しい運動障害を残すもの」(第6級の4)とし、頸部又は胸腰部のいずれかの可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限されたものを「せき柱に運動障害を残すもの」(第8級の2)としたこと。 |
ウ | せき柱の頸部と胸腰部に障害を残す場合 せき柱の頸部と胸腰部に変形障害又は運動障害を残した場合は、原則として、併合の方法を用いて準用等級を定めることとしたこと。 |
エ | 荷重機能障害 頸部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするものを第6級、同様に頸部又は腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするものを第8級に準ずる障害として取り扱うこととしたこと。 |
ア | 上肢の機能障害 |
(ア) | 人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2を超えるものは、「関節の機能に著しい障害を残すもの」(第10級の9)と取り扱うこととしたこと。 |
(イ) | 前腕の回内・回外については、その可動域が健側の可動域角度の1/4以下に制限されているものについて第10級、1/2以下に制限されているものを第12級に準ずる障害として取り扱うこととしたこと。 |
イ | 上肢の変形障害 |
(ア) | 長管骨にゆ合不全を残す場合について、ゆ合不全の生じた箇所と硬性補装具の必要性の程度によって障害の程度を評価することとし、上腕骨又は橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残し常に硬性補装具を必要とするものを「偽関節により、著しい運動障害を残すもの」(第7級の9)、上腕骨又は橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等にゆ合不全を残すもの又は橈骨若しくは尺骨のいずれか一方にゆ合不全を残し時々硬性補装具を必要とするものを「偽関節により、運動障害を残すもの」(第8級の8)とすることとしたこと。 また、長管骨の骨端部に生じたゆ合不全や、尺骨又は橈骨の骨幹部等にゆ合不全を残すものであっても、硬性補装具を必要としないものは、長管骨の変形として評価することとしたこと。 |
(イ) | 「長管骨に変形を残すもの」(第12級の8)の対象を拡大し、長管骨の骨端部のほとんどを欠損したもの又はその直径が一定以上減少したもの及び上腕骨が一定以上回旋変形ゆ合したものについても含めることとしたこと。 |
ウ | 手指の欠損障害 示指の亡失の等級が第10級の5から第11級の6に1級引き下げられ、小指の亡失の等級が第13級の4から第12級の8の2に1級引き上げられたほか、これに伴い、複数の手指を亡失した場合について障害等級表の一部が改正されたものであること。 |
エ | 手指の機能障害 |
(ア) | 手指の機能障害についても、欠損障害と同様の改正がなされたものであること。 |
(イ) | 母指の運動について、橈側外転及び掌側外転の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されたものを母指の用廃と取り扱うこととしたこと。 |
(ウ) | 手指の末節の指腹部及び側部を支配する感覚神経が断裂し、当該部位の感覚が完全に脱失したものは、手指の用廃と取り扱うこととしたこと。 |
ア | 機能障害 人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節について、上肢と同旨であること。 |
イ | 変形障害 |
(ア) | 長管骨にゆ合不全を残す場合について、上肢と同様の改正を行ったこと。 |
(イ) | 「長管骨に変形を残すもの」(第12級の8)の対象を拡大し、大腿骨又は脛骨の骨端部のほとんどを欠損したもの又はその直径が一定以上減少したものも含めることとしたこと。 |
(4) | 関節の機能障害の評価方法及び関節可動域の測定要領 次の点を明記することにより、関節の機能障害の評価方法を明確にしたこと。 |
ア | 各関節の主要運動と参考運動の意義とそれぞれの範囲 各関節の主要運動の範囲を一部見直すとともに、参考運動の評価方法を明確にしたこと。 |
イ | 関節の強直の意義 関節の「完全強直又はこれに近い状態」の範囲を明確にすることとし、その状態を単に「強直」という用語を用いることとしたこと。 |
ウ | 主要運動が複数ある場合の関節の機能障害の評価 主要運動が複数ある肩関節及び股関節については、いずれか一方の主要運動の可動域が、健側の可動域角度の1/2以下に制限されている場合には関節の著しい機能障害と、また、同じく3/4以下に制限されている場合には関節の機能障害と認定することとしたこと。 |
(5) | 用語の改正 障害等級表上の用語を一部改正したものであること。 |
3 | 基本通達について 基本通達のうち、「第1 障害等級認定に当たっての基本的事項」については、別紙「せき柱及びその他の体幹骨、上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準」に基づく障害等級の認定を行うに当たっても、引き続き適用があること。 |
4 | 施行期日等について |
(1) | 本認定基準は、平成16年7月1日以降に支給事由が生じたものについて適用し、平成16年6月30日までに支給事由が生じたものについては改正前の認定基準によること。 |
(2) | 現に障害(補償)年金を受給している者については、改正した認定基準を適用しない。 ただし、労働者災害補償保険法第15条の2施行規則第14条の3又は施行規則第18条の8に基づく障害(補償)給付変更請求書(様式第11号)の提出がなされた場合には、改正した認定基準に基づき障害等級を認定し、必要に応じて障害(補償)年金を改定すること。 |