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独立行政法人雇用・能力開発機構中期目標


 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定に基づき、独立行政法人雇用・能力開発機構が達成すべき業務運営に関する目標を次のとおり定める。
 平成16年3月1日
厚生労働大臣 坂口  力
経済産業大臣 中川 昭一
前文
 昨今の厳しい経済情勢や、産業構造の急速な変化の中、大量の離職者が生じており、こうした者に対し適切な職業訓練を行い、再就職へとつなげていくことが喫緊の課題となっている。また、若年者の職業に対する意識の低下や若年不安定就労者の増大が問題となっており、若年者に対する取組も重要な課題である。一方で従来のものづくり産業の空洞化が進み、ものづくり産業に不可欠な技術の集積が困難となっていることへの対応も課題である。
 独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)は、こうした情勢の中、国に代わって、離職者に対する効果的な職業訓練等を実施し、雇用のセーフティネットとしての役割を果たすほか、在職者や学卒者についても職業訓練を実施し、産業の基盤を支える人材の育成に努めるものとする。職業訓練の実施に当たっては、企業等のニーズに応えた訓練コースの設定、キャリア・コンサルティングの積極的実施による、個々人の能力・適性・希望に応じた訓練コースの選定を行い、有用かつ効果的な実施に努める。
 また、若年者に対する職業意識の形成、職業訓練の実施、就職支援等若年者の就業について総合的な支援を推進する。さらに、中小企業の雇用創出、雇用管理改善等の雇用開発及び勤労者の計画的な財産形成の促進を行い、国及び関係機関との連携の下、これらによりすべての労働者がその能力を発揮し、雇用及び生活の安定が図られる社会の実現を目指すものとする。

第1 中期目標の期間
 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第29条第2項第1号の中期目標の期間は、平成16年3月1日から平成20年3月31日までの4年1ヶ月とする。

第2 業務運営の効率化に関する事項
 通則法第29条第2項第2号の業務運営の効率化に関する事項は、次のとおりとする。

 組織体制について、業務の効率的・効果的実施の観点から、適宜弾力的な見直しを図ること。

 一般管理費及び業務経費(運営費交付金を充当するものに限る。)については、効率的な利用に努め、中期目標期間の最終年度までに、雇用・能力開発機構の平成14年度の相当経費に比べて、15%以上削減すること。

 助成金の支給、融資等の業務については、厳正な審査を引き続き実施しつつ、制度の趣旨・目的の一層の周知を行い、申請内容を適正化させるとともに、事務手続の効率化、担当者の審査能力向上等を図り、平均処理期間(申請書の受付から支給等の決定までの期間)が特に長い助成金等について重点的に平均処理期間を短縮することとし、中期目標の最終年度までに、1件当たりの平均処理期間を平成14年度と比べて10%以上短縮すること。

 在職者を対象とする職業訓練については、特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月19日閣議決定。以下「整理合理化計画」という。)に基づき、地方公共団体や民間教育訓練機関との適切な役割分担を図り、毎年度訓練コースについて精査し、真に高度なもののみに限定して実施し、地方公共団体や民間教育訓練機関で実施することが可能な訓練は廃止すること。
 また、整理合理化計画に基づき、民間外部講師の一層積極的な活用を図ることとし、時代の変化に対応した効率的・効果的な職業訓練の実施を図ること。
 特に高度な専門的技能・知識の習得を目的とする職業訓練については、地域の能力開発ニーズ、費用対効果等を考慮の上、集約して実施した方が効果的なものは、集約して実施する等、効果的な職業訓練の実施に努めること。

 離職者を対象とする職業訓練については、整理合理化計画に基づき、民間教育訓練機関との適切な役割分担を図る観点から、当該地域において民間では実施できないもののみに限定して実施することとし、また、民間教育訓練機関の育成という点も踏まえ、国の定める職業訓練実施計画に基づき民間委託の拡大を図り、かつ、機構の行う職業訓練についても、民間外部講師の一層積極的な活用を図ることとし、時代の変化に対応した効率的・効果的な職業訓練の実施を図ること。

 学卒者を対象とする職業訓練については、整理合理化計画に基づき、民間外部講師の一層積極的な活用を図ることとし、時代の変化に対応した効率的・効果的な職業訓練の実施を図ること。

 「私のしごと館」については、果たすべき役割及び事業内容の在り方について検討を行い、自己収入の増加及び運営に係る経費の更なる効率化を図ること。

第3 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
 通則法第29条第2項第3号の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項は、次のとおりとする。

 業績評価の実施及び公表による業務内容の充実について
 適正な業務の推進に資するため、業績評価を行い、業務運営に反映すること。さらに、業務内容の透明性を高め、業務内容の充実を図る観点から、業績評価の結果や機構の業務の内容について、ホームページ等において、積極的かつ分かりやすく公表すること。

 雇用開発業務について
 就職資金の貸付け、中小企業事業主等に対して行う雇用管理の改善に関する相談その他の援助、建設業事業主等に対して行う雇用管理の改善等に関する相談その他の援助、沖縄県における離職者等に対する援助、介護労働者の福祉の増進を図るための債務保証等については、事業主等のニーズに応えた効果的な実施を目指し、下記事項のとおり実施すること。
 (1)相談等業務について
(1) 利用対象者に対し周知し、相談件数の増大を図ること。また、相談者等の要望に的確に応えた相談を行い、相談終了時にアンケート調査を実施し、80%以上の者から役立った旨の評価が得られるようにすること。
(2) また、講習・研修等の実施についても、終了時にアンケート調査を実施し、80%以上の者から必要な知識等の習得に役立った旨の評価が得られるようにすること。
 (2)助成金の支給、貸付等の業務について
(1) ホームページ及びパンフレットにおいて、制度内容、利用条件、相談・受付窓口等を公開し、申請者の利便を図ること。
(2) 説明会や相談業務を通じて、制度の趣旨等を申請者に対し十分に周知することにより、申請者の利便を図るとともに申請内容の適正化や不正受給の防止を図ること。なお、説明会については、終了時にアンケート調査を実施し、内容を理解した旨の評価を80%以上得られるようにすること。
(3) 申請に係る諸手続の合理化を進めることにより、申請者の手続面での負担の軽減を図ること。
(4) 職員研修等による担当者の審査能力の向上、実地調査の実施等により、不正受給の防止に努めること。

 職業能力開発業務について
 (1)関係機関等の連携について
 職業訓練の実施に当たっては、都道府県労働局、都道府県、事業主団体、教育機関等と十分に連携を図ること。
 (2)効果的な職業能力開発を実施するための人材ニーズの把握について
 効果的な職業訓練を実施するため、各地域ごとに、人材ニーズの把握を徹底し、把握したニーズに基づき、適切な訓練カリキュラムを設定すること。
 (3)在職者を対象とする職業訓練について
 社会の産業構造の変化が急激化する中、企業の事業展開等にあわせて、個々の労働者が職業能力を向上させていくことが、我が国の健全な経済発展のために必要不可欠となっている。また、産業の基盤を支えるための高度な職業能力の向上も引き続き重要である。こうした状況を踏まえ、機構は、事業主等のニーズ等に基づき、在職者を対象とした職業訓練を実施すること。
(1) 受講者に対してアンケート調査を実施し、80%以上の者から職業能力の向上に役に立った旨の評価が得られるようにすること。また、事業主の指示により職業訓練を受講した場合については、当該事業主についてもアンケート調査を実施し、80%以上の者から受講者に職業能力の向上が見られた旨の評価が得られるようにすること。
(2) 在職者訓練の効果を客観的に把握する観点から、受講者が習得した能力(習得度)の測定・評価を実施すること。
 (4)離職者を対象とする職業訓練について
 昨今の厳しい雇用情勢の中、失業者に対して、適切かつ効果的な職業訓練を実施し、再就職へとつなげるものとすること。
(1) 訓練の結果が再就職に結び付くよう、受講指示前に十分なキャリア・コンサルティングを実施し、意欲、適性、能力等に応じた訓練コースの選定を行い、就職に資する訓練効果の高い職業訓練を実施すること。また、訓練開始時より積極的に就職支援活動を行うこととし、これらにより、中期目標期間の最終年度までに、施設内訓練修了者の就職率を75%以上とし、委託訓練修了者の就職率を60%以上とすること。
(2) 上記目標を達成するため、また、民間教育訓練機関の育成という点も踏まえ、民間教育訓練機関への委託については、委託先の開拓を積極的に実施し、かつ、委託に際しては、機構が有する職業能力開発及び就職支援のノウハウの提供や指導を行うこと。
 (5)学卒者を対象とする職業訓練について
 日本の産業の基盤を支える人材を育成するために、職業能力開発大学校等の専門課程においては、実験・実習を多く取り入れた職業訓練を実施し、技術革新に対応できる高度な知識と技能・技術を兼ね備えた実践技術者を養成する。また、応用課程においては、産業界や地域のニーズに応じて、新製品の開発、生産工程の構築等に対応できる生産技術・生産管理部門のリーダーとなる人材を養成するものとすること。
(1) 中期目標期間の最終年度までに専門課程及び応用課程の修了者のうち、就職希望者の就職率を95%以上とすること。
(2) 職業能力開発大学校等について、産学連携や他大学等関係機関との連携を強め、より地域に開かれたものとすること。
 (6)新分野等への事業展開の支援について
 新規成長分野等において雇用創出の実現を図り、円滑な労働移動を促進するため、関係機関との連携を図りつつ、これらの分野において中小企業等の創業・経営革新を職業能力開発の側面から支援すること。
 (7)職業訓練指導員の養成について
 職業訓練指導員については、職業能力開発に関するニーズに的確に対応するため、技能習得の指導ができるだけでなく、訓練のコーディネート、キャリア・コンサルティング、就職支援などに対応できる幅広い能力を有する人材の養成を目指すこと。
 (8)若年者対策について
 近年、フリーター等若年不安定就労者が増大しており、中長期的な競争力・生産性の低下等が懸念され、若年者を我が国を支える「人材」として育成していくことが喫緊の課題となっている。こうした中、機構においては、「私のしごと館」を中心に、若年者の職業意識の形成、職業訓練の実施、就職支援等若年者の就業について総合的な支援を行うものとすること。
(1)職業意識の形成の支援等
 (イ) 専門家や関係者による若年者向けキャリア・コンサルタントの能力要件や養成カリキュラムの開発を受けて、先導的にキャリア・コンサルタントの養成を積極的に行う。また、大都市部において、こうしたキャリア・コンサルタントを活用すること等により、フリーター等若年不安定就労者の職業理解を促進し、職業意欲の喚起を行い、安定就労への誘導を積極的に実施すること。
 (ロ) 「私のしごと館」において、若年者のキャリア形成を総合的に支援するため、展示・体験事業、ライブラリィ事業、相談・援助事業等の各事業を効果的に実施することとし、年度内の各事業のサービス利用者の延べ数を40万人以上とする。
 また、各事業のサービス利用者に対してアンケート調査を実施し、毎年度80%以上の者から今後の進路について具体的なイメージが湧いた、仕事というものや将来の自分の職業について考えるようになった等の回答が得られるようサービスの向上を図ること。
(2)訓練の実施
 高校卒業後フリーター等不安定就労を繰り返す者等に対して、働きながら学ぶことにより一人前の職業人を養成する日本版デュアルシステム等の事業主と協力した実践的な職業訓練を積極的に実施すること。
 また、職業意識の啓発や社会人として必要なマナーや常識等に関する講習を行い、職業訓練へと繋げていくこと。
 (9)キャリア・コンサルティングについて
 職業能力開発大学校等においてキャリア・コンサルタントの養成を進める。また、キャリア・コンサルティングの能力を身につけたアドバイザーを各都道府県センター等に配置し、労働者等へのキャリア・コンサルティングの充実を図ること。また、これらのアドバイザーについて、研修を行う等により質の向上を図ること。
 (10)調査・研究について
 人材ニーズの把握、キャリア形成の過程の把握、職業訓練技法の開発等効果的・効率的な職業訓練の実施に資する調査・研究を実施すること。
 (11)労働者の職業能力の開発及び向上を促進するための助成金及び技能者育成資金について
(1) ホームページ及びパンフレットにおいて、制度内容、利用条件、相談・受付窓口等を公開し、申請者の利便を図ること。
(2) 説明会や相談業務を通じて、制度の趣旨等を申請者に対し十分に周知することにより、申請者の利便を図ること。助成金については、申請内容の適正化や不正受給の防止を図るとともに、説明会終了時にアンケート調査を実施し、内容を理解した旨の評価を80%以上得られるようにすること。
(3) 助成金については申請に係る諸手続の合理化を進めることにより、申請者の手続面での負担の軽減を図ること。
(4) 職員研修等による担当者の審査能力の向上を図ること。助成金については、併せて、実地調査の実施等により、不正受給の防止に努めること。

 勤労者財産形成促進業務について
 (1)周知について
(1) ホームページ及びパンフレットにおいて、制度内容、利用条件、相談・受付窓口等を公開し、各種情報の提供を充実させ、申請者である事業主の利便を図るのみならず、制度の恩恵を受けることとなる勤労者の利便を図ること。
(2) 説明会や相談業務等を通じて、制度の趣旨等を申請者である事業主のみならず、制度の恩恵を受けることとなる勤労者に対し十分に周知することにより、勤労者の利便を図るとともに、申請者については申請内容の適正化を図ること。
 (2)手続等について
(1) 助成金については、申請に係る諸手続の合理化を進めることにより、申請者の手続面での負担の軽減を図ること。
(2) 職員研修等による担当者の審査能力の向上を図ること。
 (3)その他
 融資業務の運営に当たっては、国及び関係機関と連携を図ることにより、適正な貸付金利の設定等、勤労者の生活の安定等に資する融資を実現すること。

 情報提供について
 業務内容については、ホームページにおいて各施設ごとの職業訓練実施状況等国民に必要とされる情報を分かりやすい形で提供すること等により、中期目標期間中の毎年度のアクセス件数が200万件以上となるようにすること。

 勤労者福祉施設については、平成17年度末までにすべて譲渡又は廃止すること。

 上記に個別に掲げる業務のほか、機構が行う業務については、国の雇用対策と密接に連携し、効果的・効率的な実施に努めること。

第4 財務内容の改善に関する事項
 通則法第29条第2項第4号の財務内容の改善に関する事項は、次のとおりとする。

 財形融資業務については、収益改善等に関する具体的な計画を策定の上、累積欠損の解消に向け、当該計画を着実に実行するとともに、適正な債権管理に努めること。

 暫定的に行う業務についても下記に従い、財務内容の改善に努めること。
 (1) 雇用促進融資については、債権管理を適切に行い、リスク管理債権の処理を進めるとともに、財政投融資への着実な償還を行うこと。
 (2) 雇用促進住宅については、家賃収入により完全独立採算としているところであるが、家賃の適正水準への引上げ等により自己収入の増加を図りながら、計画修繕を適切に実施するとともに、中期目標期間の最終年度までに、人件費及び事務費の管理経費を平成14年度に比べて概ね3割程度削減するなど、合理的な経営に努めること。

第5 その他業務運営に関する重要事項
 職業訓練指導員については、訓練のコーディネート、キャリア・コンサルティング、就職支援などへ対応する能力を備えた人材を確保するとともに、任期付き雇用や民間外部講師を積極的に活用することにより、社会のニーズに機動的に対応できる指導員体制を実現すること。


照会先:職業能力開発局 総務課 (内線5313)


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