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自主点検結果の概要
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緊急対策要綱の骨子案
| 1 | 都道府県労働局幹部による経営トップに対する安全管理の徹底指導 | ||||||||||
| 2 | 個別の事業場に対する安全管理の重点的な監督指導等の実施
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| 労働災害の発生率には、事業場によって大きな開き |
| (1) | 今回分析を行った対象事業場の労働災害発生率(年千人率)(注1)の平均は5.37であり、0.00から53.63までの大きな開きが見られた。
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| (2) | 以下の分析は、経営環境の変化や安全管理活動の状況と労働災害発生率との関連性の有無を明らかにするため、第1五分位(災害の発生率の最も低いグループ)と第5五分位(災害発生率の最も高いグループ)の比較を中心に行った。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 災害の発生率の低い事業場では、事業場のトップ自らが積極的に安全管理活動を実施し、安全委員会の活動も活発。 |
| (1) | 事業場のトップ(=総括安全衛生管理者)が自ら行う安全管理活動の実施項目別に実施率を比較すると、災害の発生率が低い事業場では、「安全管理活動計画の作成」、「安全に係る考え方の周知」、「危険要因除去低減のために必要な判断」、「現場の声を聞く」といった活動がよく実施されていた。 |
図表2−1 事業場のトップが自ら行う安全管理活動(複数回答)

| (2) | 事業場のトップ自らが行う安全管理活動の項目数と災害発生率との関係では、トップがより多くの項目の安全管理活動を行う事業場ほど、災害発生率が低い傾向が見られ、事業場のトップ自らが安全管理活動を行うことが災害防止上重要であることが示唆された。 |
図表2−2 事業場のトップが行う安全管理活動項目数別 平均災害発生年千人率

| (3) | 災害の発生率の高い事業場では、当該事業場の労使が協力して安全問題を審議する場である安全委員会で、「意見交換が十分行われているとは言えない」とする割合が高く、安全委員会で活発に審議することが重要であることが示唆された。 |
図表2−3 安全委員会における意見交換の状況

| (4) | 安全委員会における個別の審議項目で見ると、災害の発生率が高い事業場では、「安全管理体制の検証、見直し」、「安全に関する新たな規定の作成、改訂」、「基本的な安全教育体系の作成、改訂」といった災害防止上必要な方針、計画、体制の見直しなどの事項のほか、「設備等の新設・変更を行う場合の安全面からの事前評価及び導入手続きの検討・改訂等」などを審議した割合が相対的に低い。 |
図表2−4 平成14年度の安全委員会で審議した事項(複数回答)

| 安全管理業務従事人員数の減少幅が大きいほど、スタッフの知識経験の低下を認識。また、災害の発生率の高い事業場では、安全担当部署のスタッフの人員及び知識経験の不足感が高い。 |
| (1) | 安全管理を担当する組織の安全管理業務従事正味人員数は、5年前と変わらないものが約半数で、増加したものと減少したものの割合はほぼ同じであった。 人員数の増減割合と災害発生率との間には特別の関連性は見られなかったが、人員数の増減割合別に、安全担当部署のスタッフの知識経験の程度に係る認識を見ると、人員数の減少した度合いが高いほど「10年前の方が上回る」と認識する総括安全衛生管理者(注)の割合が高く、人数が減少すると担当スタッフの知識・経験を維持することが難しくなることが推測される。
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図表3−1 安全担当部署のスタッフ数の増減状況

図表3−2 安全管理業務従事正味人員数の増減とスタッフの知識経験の程度との関係

| (2) | 災害の発生率の高い事業場では、安全担当部署のスタッフの人員数が「やや不足」「不足」していると総括安全衛生管理者が認識する割合が40%となった。また、スタッフの人員数の不足感が強いほど災害発生率が高く、「不足している」とした事業場の平均災害発生率は「十分である」とした事業場の2倍に達するなど、災害防止のためにはスタッフの充足が必要であることが示唆された。 |
図表3−3 安全担当部署のスタッフの充足状況に係る総括安全衛生管理者の認識

| (3) | 災害の発生率の高い事業場では、現在の安全担当部署のスタッフの知識経験が「やや不足」「不足」と認識する総括安全衛生管理者が43%となった。また、スタッフの知識経験の充足度が低いほど災害発生率は高く、前記(2)の結果と相まって、安全担当部署のスタッフの能力確保が災害防止上の重要な要素であることが示された。 |
図表3−4 現在の安全担当部署のスタッフの知識・経験に係る総括安全衛生管理者の認識

| 安全担当部署の予算の不足感がある事業場は災害発生率が高い。また、死亡災害を発生させた事業場では、安全管理活動に要する費用を5年前より減少させた割合が高い。 |
| (1) | 安全担当部署の予算が「不十分である」とした事業場の災害発生率は、「十分確保されている」とした事業場の2倍に達した。 |
図表4−1 安全担当部署の予算の充足状況に係る総括安全衛生管理者の認識

| (2) | 安全管理活動に要する費用は、65%の事業場が5年前より増加させたが、死亡災害を発生させた事業場ではその割合が低く、20%以上の事業場で5年前より30%を超える減少があった。 |
図表4−2 安全管理活動に要する費用の5年前からの増減

| (3) | 安全管理を担当する組織の人件費は、63%の事業場で5年前より増加しているが、死亡災害を発生させた事業場では減少の割合が高い。 |
図表4−3 安全管理を担当する組織の人件費の5年前からの増減状況

| 災害の発生率の高い事業場では、協力会社との安全管理の連携が弱く、情報交換も不十分。 |
| (1) | 災害の発生率の高い事業場では、協力会社との安全管理の連携状況が全般的に弱く、中でも「協力会社の作業場所の巡視」、「異常時の連絡体制の確保」及び「協議組織の設置、運営」において、実施率の差異が大きい。また、作業間の連絡調整に際しても、計画段階の調整や実施後の定期的な進捗状況の把握及び再調整が低調である。 |
図表5−1 構内の協力会社との安全管理の連携状況(複数回答)

図表5−2 作業間の連絡調整の実施状況

| (2) | 災害の発生率の高い事業場では、工事の発注先である協力会社等に危険性に係る情報を口頭で知らせる割合が24%と極めて高い。口頭で連絡する事業場の災害発生率は高く、文書で知らせるとともに、現場で再度内容を確認することの重要性が示唆された。 |
図表5−3 工事の発注にあたり、危険性に係る情報を協力会社等に知らせる方法

| 災害の発生率の高い事業場では、安全教育実施計画の作成や、現場作業員向けの定期的な安全に関する再教育の実施が低調。作業マニュアルの定期的な見直しや訓練もなされていない。緊急時マニュアルの内容も不十分。 |
| (1) | 安全教育実施計画はほとんどの事業場で作成されているが、災害の発生率の高い事業場では作成していない割合が高く、作成の有無で平均災害発生率に2倍弱の格差が見られた。 |
図表6−1 安全教育実施計画の作成状況

| (2) | 現場労働者に対する安全に関する定期的な再教育も、災害の発生率の高い事業場では半数近くで実施されていない。再教育を実施していない事業場の災害発生率は高く、定期的な安全に関する再教育が災害防止に有効であることが示唆された。 |
図表6−2 現場労働者の全員に対する一定年数(5〜10年程度)ごとの安全に関する再教育の実施状況

| (3) | 災害の発生率の高い事業場では、4割近くが「作業工程の大幅な変更や組織の改変等がなければ」特に内容のチェックはしていないが、そのような事業場の災害発生率は他の区分の事業場よりはるかに高く、作業マニュアルの定期的な見直しが災害防止上大切な役割を果たしていることが示唆された。 |
図表6−3 作業マニュアルの定期的な内容チェックの実施状況

| (4) | 災害の発生率の高い事業場では、作成した作業マニュアルに基づく訓練を実施している割合が低く、作業マニュアルの違反行為のチェック・確認等を行っている割合も低い。区分ごとの災害発生率を見ても、作業マニュアルを作成した旨の周知のみでは不十分で、内容の説明や訓練が重要であることが示唆される。また、違反行為に至った場合の要因調査も災害発生率の高い事業場の23%で実施されていない。 |
図表6−4 作業マニュアルの周知及び必要な訓練等の実施状況

図表6−5 現場労働者が作業マニュアルどおりに作業していることの確認状況(複数回答)

図表6−6 作業マニュアルの違反行為に至った要因の調査の実施状況

| (5) | 緊急時に備えた対応として、災害の発生率の高い事業場では、「被災者、要救助者への対応」、「人員の所在の確認方法」、「被害を最小限に食い止めるための危険事象別の初期対処の方法」、「防災資機材の所在及び使用方法」など、緊急事態発生時の具体的な対処方法に係る項目が緊急時マニュアルに盛り込まれている割合が低い。 |
図表6−7 緊急時マニュアルに盛り込まれている項目(複数回答)

| 災害の発生率が高い事業場では、外部情報の活用やリスク評価の実施が低調。一方、リスク評価や労働安全衛生マネジメントシステム実施事業場の災害発生率は低い。 |
| (1) | 職場における設備や作業の危険要因を除去、低減することが災害防止上重要であるが、災害の発生率の高い事業場では、設備・作業の危険要因の洗い出しは行われているもの、「危険予知活動(KY活動)の情報」、「メーカーからの危険要因の情報」、「機械の包括安全基準」、「社外の災害事例」などを活用している割合が低く、洗い出した設備・作業の危険要因のリスク評価の実施率も低い。リスク評価を行っていない事業場の平均災害発生率は、リスクを点数化して客観的に比較している事業場より6割高く、災害防止にリスク評価が果たす役割の高さが示唆される。 |
図表7−1 設備・作業の危険要因の洗い出しに活用している情報源(複数回答)

図表7−2 設備・作業の危険要因のリスク評価の実施状況

| (2) | 総括安全衛生管理者の見解(自由記入欄)において、「安全活動の現状」又は「特に取り組んでいる事項」として、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)(注)を運用中、構築中、あるいはリスク評価実施の記載があった事業場は全体の34%を占め、災害発生率もこれらの活動を実施していない事業場に比較して、3割以上低い。 |
図表7−3 労働安全衛生マネジメントシステムに関連する活動の有無による災害発生率の比較
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| 労働者数や業績の変化など、主要な経営指標と災害発生率との間には、直接的な関連性までは見られなかった。 |
図表8−1 自社労働者数の5年前からの増減の状況

図表8−2 業績(生産量あるいは売上高)の5年前からの増減の状況

図表8−3 総費用の5年前からの増減の状況

図表8−4 設備年齢(注)の状況
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