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 ホームヘルプサービスの充実について

(1)  障害者に対するサービス提供体制の確保及び充実について
 訪問介護員(ホームヘルパー)については、障害者プランに基づき平成14年度までに計画的に増員してきたところであるが、新たにスタートする新障害者プランにおいても達成目標を定め、これに基づき基盤の整備を図ることとし、平成15年度予算(案)では4,520人分増を計上したところである。
 ホームヘルプサービスは、障害者の地域生活を支援する基本的なサービスとして、より一層の充実を図っていく必要があることから、各市町村に対し、プライバシーに十分配慮の上、対象者の実態把握を的確に行い、地域の障害者のニーズ等を十分反映したサービスが提供できるよう、サービス提供体制の充実についての助言指導を徹底願いたい。
(2)  障害児ホームヘルプサービス事業の運用について
 本事業は、重度の障害のため日常生活を営むのに著しく困難な障害児のいる家庭にホームヘルパーを派遣して、適切な家事、介護等の日常生活を営むのに必要なサービスを提供するものであり、派遣の対象は、重度の障害児の属する家庭であって、障害児又はその家族が障害児の入浴等の介護、家事等の便宜を必要とする場合となっている。
 しかしながら、市町村によっては、家族の同居を理由に入浴等の介護や住居の掃除等の家事援助を提供しないなど、未だサービス内容を極めて限定して実施しているところが見受けられる。平成15年度からの支援費制度においては、支給決定の際の勘案事項として、「保護者の状況」を盛り込んでいるが、これは、家族の同居を理由に支援費の支給を行わないという趣旨ではなく、利用者のニーズに応じて支給決定すべきものであるので、各市町村に対し本事業の趣旨の一層の徹底及び助言を行い、本事業が適切に運用されるよう努められたい。
 なお、平成15年度からの支援費制度においては、屋外での移動に著しい制限のある視覚障害児、脳性まひ等全身性障害児及び知的障害児の外出の際のニーズに応えられるよう、新たに、移動介護の類型を設定することとしているので、利用者の状況に応じて活用されるよう各市町村に助言指導願いたい。
(3)  知的障害者ホームヘルプサービスへの積極的な取組について
 知的障害者ホームヘルプサービスは、知的障害者の地域生活を支える上で重要な事業である。しかしながら、その取組が不十分な市町村が見受けられるので、都道府県等においては、管内市町村における本事業のニーズ把握に努めるとともに、どの市町村においても知的障害者ホームヘルプサービスが受けられるよう、事業者の指定申請の勧奨に積極的に努められたい。
(4)  ホームヘルパー養成研修事業について
 平成15年度からの支援費制度においては、ホームヘルパーの資格要件として、原則、養成研修の課程を修了した者とすることとしているところであり、障害者に対するホームヘルパーの養成及び確保を推進し、サービスの質の向上を図る観点から、障害の特性や多様な要望に的確に対応することができるよう、本事業の積極的な実施に努めるとともに、都道府県・指定都市以外が行う養成研修事業として指定する際には、その円滑な事務処理についても十分配慮願いたい。
 また、身体障害者の日常生活支援(仮称)及び知的障害者(児)の外出時の移動の介護については、新たに研修課程を設定することとしており、この詳細については後日示すこととしている。(障害児の外出時の移動の介護については、身体障害者と同様の予定。)
 なお、重度の視覚障害者及び脳性まひ者等全身性障害者の社会参加を促進するに当たっては、本事業が重要な役割を果たしているので、この養成及び確保についても更なる配慮を願いたい。

 身体障害者の地域生活の支援について

(1)  身体障害者デイサービス事業について
 本事業は、新障害者プランにおいて達成目標を定め計画的に基盤整備を図ることとしており、平成15年度予算(案)においては、60カ所増の960カ所分を計上したところであり、地域のニーズを踏まえた基盤整備が図られるよう関係市町村に助言指導願いたい。
 本事業については、従来は、運営費補助方式又は事業費補助方式であったが、支援費制度施行後は、全て利用人員1人あたりの単価により補助を行うこととなるので留意願いたい。
 また、入浴サービス加算、給食サービス加算及び送迎サービス加算を設けることとしたので、各市町村に対し周知願いたい。
 さらに、従来、デイサービス事業の枠組みで行っていた「訪問入浴サービス」は、支援費制度施行後はデイサービス事業とは別の単独事業として「訪問入浴サービス事業」としたところであるので、各市町村に対し周知願いたい。
(2)  短期入所(ショートステイ)事業について
 本事業は、新障害者プランにおいて達成目標を定め計画的に基盤整備を図ることとしており、平成15年度予算(案)においては、52床増の1,652床分を計上したところであり、地域のニーズを踏まえた基盤整備が図られるよう関係市町村に助言指導願いたい。
 本事業については、支援費制度施行後は、重度、中度、軽度及び遷延性意識障害者別に単価設定するとともに、新たに送迎加算を設けることとしたので、各市町村に対し周知願いたい。

 知的障害者の地域生活の支援について

(1)  知的障害者地域生活援助(グループホーム)事業について
 知的障害者が地域生活を送ることができるようにするため、知的障害者地域生活援助(グループホーム)事業の拡充に努めてきたところであり、新しい障害者プランにおいても計画的に拡充を図っていく予定である。
 平成15年度予算(案)においては、在宅福祉サービスの基盤整備を積極的に進める観点から、大幅な拡充を図ったところであり、13,836人分(3,459か所分(対前年度600か所増))の予算を計上したところである。市町村においては知的障害者の地域生活支援の観点から、積極的な取組をお願いしたい。
 なお、平成14年度には、グループホームの入居対象者の要件について、「グループホームの入居を必要とする者(入院治療を要する者を除く。)」としたところであり、重度化・高齢化した知的障害者であっても、地域生活を希望する場合には、グループホームにおいて生活することができるよう、特段の配慮をお願いしたい。
 さらに、本事業の実施にあたっては、公営住宅の積極的な活用が望まれていることから、建設部局との連携強化をお願いしたい。
(2)  知的障害者生活支援事業(生活支援ワーカー)について
 地域で生活する知的障害者の相談に応じ助言等を与えるなど、地域生活に必要な支援を行う知的障害者生活支援事業(生活支援ワーカー)については、各障害保健福祉圏域に1名づつ配置することを目標として、その拡充を図ってきたところである。
 平成15年度予算(案)においては、全国166か所で生活支援ワーカーを配置できるよう予算の確保を図ったところである。
 ついては、未だ実施していない県等にあっては、本事業に積極的に取り組まれるようお願いしたい。
(3)  在宅知的障害者日帰り介護(デイサービス)事業について
 在宅の知的障害者の日中活動の場を確保することは重要であることから、在宅知的障害者日帰り介護(デイサービス)事業については、新しい障害者プランにおいても計画的に拡充を図っていく予定である。
 平成15年度予算(案)においては、対前年度40か所増の272か所分の運営費予算を計上しているところである。
 なお、重度の知的障害者の日中の活動の場として、身近なところでの利用が望まれることから、都道府県におかれては事業者の指定申請の勧奨に積極的に努められたい。
(4)  小規模作業所から小規模通所授産施設への移行促進について
 小規模作業所については、地方単独助成事業のための地方交付税措置が行われており、財源の手当がなされているところである。それに加えて、在宅重度障害者通所援護事業費等の国庫補助により、その運営を支援しているところであるが、これは民間団体への補助の形で行っているため、平成14年8月7日に閣議了解された「平成15年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(いわゆる概算要求基準)において、1割相当を削減するとされたことから、平成15年度予算案における補助か所数は、1割減となっている。
 一方、こうした小規模作業所については、より安定した経営を確保することが望ましいことから、社会福祉法人の設立要件を緩和することにより、平成13年度より、法定施設である小規模通所授産施設への移行を積極的に進めているところである。平成15年度予算案においては、身体障害、知的障害、精神障害の3障害合わせて、小規模通所授産施設の運営費について、対前年度397か所増(240か所→637か所)としたので、都道府県等においては、引き続き小規模作業所から小規模通所授産施設への移行の促進に努められたい。

 障害児の療育支援等について

(1)  障害児通園(デイサービス)事業について
 本事業は、在宅の障害児(者)に対し、通園の方法により、日常生活の基本動作の訓練や集団生活への適応の訓練を行うものであり、ホームヘルプサービス事業やショートステイ事業とともに重要な事業として、新障害者プランにおいて達成目標を定め、計画的に基盤整備を図ることとしており、15年度予算(案)においては372人増を計上しているところである。
 こうした重要性に鑑み、地域のニーズに応じて事業実施できるよう人数規模別の単価を設定することとしており、地域のニーズを踏まえた基盤整備が図られるよう、市町村に対し、本事業の実施について助言指導願いたい。
(2)  重症心身障害児(者)通園事業について
 本事業は、重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複する在宅の重症心身障害児(者)に対し、通園の方法により日常生活の基本動作、機能訓練等必要な療育を行うことにより、運動機能等の発達を促し、併せて保護者等の家庭における療育技術の習得を図る事業であり、新障害者プランにおいて達成目標を定め、計画的に基盤整備を図ることとしており、15年度予算(案)においては12か所増を計上しているところである。
 本事業の実施施設は、A型が重症心身障害児施設、肢体不自由児施設及び肢体不自由児通園施設、B型が障害児(者)施設等となっているが、国庫補助に当たり、重症心身障害児(者)の受け入れ体制に支障がない場合は、弾力的な取扱いをしているところである。
 また、利用人員5人は毎日集まらないが、日によってはこれに達するニーズが存在する地域があることから、身近な地域で療育訓練を受けられるようにするため、平成15年度より、新たにB型について、各実施場所毎に実施日を決めてチームが巡回する方式を導入することとしたところであり、地域のニーズに応じて、本事業を積極的に実施願いたい。
(3)  難聴幼児通園施設の運営について
 難聴幼児通園施設は、現在、全国で25か所となっている。この施設は、強度の難聴の幼児を保護者の下から通わせて指導訓練を行う施設であるが、中には、その機能が充分に活用されていないところも見受けられることから、適正な事業運営が図られるよう努められたい。
 また、平成12年に「新生児聴覚検査事業実施要綱」(平成12年10月20日児発第843号児童家庭局長通知)が示され、難聴幼児に対する早期療育が重要となっていることから、同施設未設置の道府県、指定都市にあっては、難聴幼児通園施設の設置について積極的に検討されたい。なお、施設設置が困難な場合には、障害児通園(デイサービス)事業の活用など、難聴幼児の早期療育を実施できる体制の整備に努められたい。
(4)  知的障害児自活訓練事業の創設について
 知的障害児についても、知的障害者更生施設等で行われているのと同様に、施設を退所し、地域生活へ円滑に移行できるよう、自活訓練の機会を設けることについて、要望されてきたところである。平成15年度予算(案)においては、知的障害児施設に入所している障害児について、養護学校高等部卒業時を施設退所のきっかけとし、地域での自立した生活を送るために、必要な基本的生活の知識・技術を修得するための個別指導を一定期間集中して行うことにより、地域生活への円滑な移行を図ることとしたものである。
 なお、本事業に係る詳細については、別途お知らせする予定である。

(参考)知的障害児自活訓練事業の概要
(1)  事業の対象
 知的障害児施設(通所施設を除く。)に入所する障害児のうち、養護学校高等部卒業見込児童であって、卒業前の6か月間に個別訓練を行うことにより、卒業後に地域で就労自立することが可能と認められる児童。
(2)  対象児童の居住場所
 一般の居住棟と同一敷地内にあることを原則として、かつ、一般の居住棟から独立した建物とし、一人一居室を確保したうえで、通常の生活に必要な設備を有するものとする。(当該施設に隣接した借家等でも可。)
(3)  訓練期間
 訓練期間は6か月。
(4)  事業の実施及び訓練の内容
 自活訓練担当責任者を配置し、次の指導項目についてあらかじめ6か月間の指導計画を定め効果的に行う。
・個人生活指導 ・社会生活指導 ・職業生活指導 ・余暇利用指導
 この場合に、本体施設の処遇の低下にならないよう、本体施設に代替職員を採用する等の所要の措置を講ずる。
(5)  事業費の加算
 1人当たり月額単価 92,300円  
     122,810円 (施設外に借家を借りて実施した場合)
(6)  平成15年度予算(案)
 ・予算額(案)     84,537千円
    ※ 児童入所施設措置費の加算として執行
(7) 補助率(負担割合) 1/2(国 1/2 都道府県・指定都市 1/2)

 福祉施策と雇用施策の一体的推進について

(1)  福祉と雇用の連携施策について
 障害者の就労と地域生活の支援を進めていくためには、障害者の職業生活全般にわたり、雇用、福祉、教育等の関係機関が連携を図りながら取り組んでいくことが効果的である。
 このため、雇用、保健福祉、教育等の関係機関の連携を図りつつ、障害者の就業面及び生活面の一体的な支援を行うことにより、障害者の雇用の促進及び職業の安定を図ることを目的として、平成14年度から「障害者就業・生活支援センター事業」を創設したところであるので、障害者の就労と地域生活を支援する観点から、都道府県等において、積極的な取組をお願いしたい。
 また、障害者授産施設の入所者が企業等の事業所において授産活動を行うとともに、公共職業安定所が職業相談、個別求人開拓、職場定着の支援を行う「施設外授産の活用による就職促進モデル事業」を平成13年度から実施しているところであり、本事業についても実施に向けた検討をお願いしたい。
(2)  授産施設等に対する官公需の発注等の配慮について
 昨今の厳しい経済状況は、授産施設や小規模作業所における授産活動に深刻な影響を及ぼし、その運営が不安定なものととなっていること踏まえ、先般、「障害者を多数雇用する事業所、授産施設等に対する官公需の発注等の配慮について」(平成14年10月30日厚生労働省職高発第1030002号、厚生労働省障発第1030003号)を通知し、都道府県等における授産施設等の製品の積極的な活用をお願いしたところであるので、都道府県等においては、授産施設等の安定的な運営が図られるよう、特段のご配慮をお願いしたい。
 また、管内市町村、関係団体等に対する通知の趣旨等の周知徹底に努められたい。

 緊急地域雇用創出特別交付金の活用について

 平成13年度第一次補正予算において、平成16年度末までの事業として、緊急地域雇用創出特別基金事業が創設され、一定の雇用創出効果を挙げているところであるが、先般、「緊急地域雇用創出特別基金事業の運用の改善について」(平成14年12月20日厚生労働省発職第1220002号厚生労働事務次官通知)を各都道府県あて発出し、一層の効果的な活用をお願いしたところである。
 本事業においては、推奨事業例として、「〔福祉・保育〕(15)授産活動等推進員を派遣し、授産施設・小規模作業所の機能向上、障害者の作業能力の向上、就労支援ネットワークの構築を図る事業、(16)IT技術について、障害者に教育訓練を行う指導員を配置し、在宅就業を促進する事業」が挙げられているところであり、授産施設、小規模作業所、自宅等において、こうした事業を実施することは、雇用創出効果が図られるだけでなく、障害者の自立と社会参加を促進する上で、極めて有用であると考えられるので、福祉・労働部局が連携し、事業の積極的な実施について検討いただき、本事業の一層の活用をお願いしたい。

 障害者施設の整備方針等について

(1)  平成15年度障害者施設の整備方針について
 障害者施設の整備については、新しい「障害者基本計画」及び「新障害者プラン」に基づき、平成19年度の数値目標の達成に向けて、通所授産施設、デイサービス等の日中活動の場の整備を計画的に図ることとしている。
 施設整備の協議に当たっては、都道府県及び市町村の障害者計画、障害保健福祉圏域の設定状況等を十分考慮の上、整備計画を策定するとともに、施設整備費の適切な執行を図る観点から、下記の点にも留意して国庫補助協議対象施設の精査に努められたい。
 なお、入所施設については、障害者基本計画において、「地域の実情を踏まえて、真に必要なものに限定する」こととしており、今後の入所施設の整備は、地域における在宅サービスの整備状況等を勘案し、真に入所が必要である者のニーズに対応するための必要最低限のものとする方針であるので、都道府県等の整備計画を策定する際には、こうした方針に十分に留意し、計画に反映するようお願いしたい。
(1)  障害者計画、障害保健福祉圏域の設定状況等を踏まえ、施設整備の必要性を総合的に検討し、真に緊急性の高い施設の整備を優先されたい。
 整備計画に当たっては、整備する圏域内の市町村障害者計画が策定されていることが必要と考えており、その内容を把握したうえでの整備計画である必要がある。
 なお、広域的な観点から複数の市町村の連携による施設整備の促進にも留意されたい。
 また、指定都市、中核市の所在する道府県においては、当該市との調整が十分に行われたものとされたい。
(2)  障害者施設の整備に際しては、その専門的機能を活用して、障害者の地域生活の支援事業を積極的に実施するよう指導されたい。
(3)  例年、国庫補助内示後に事業を取りやめる事例が見受けられるが、社会福祉法人の審査、施設選定には万全を期されたい。
(4)  近年、障害者施設の施設整備において、近隣住民から反対が生じるケースが増加しており、その中には、近隣住民に対する説明や対応が不十分なものも見受けられる。
 障害者の地域生活支援を進めていくためには、地域の方々の理解や協力が必要であるので、施設の整備においても、できるだけ早い段階で、正確でわかりやすい情報を近隣住民に伝え、説明するとともに、設置主体である社会福祉法人等に任せきりにするのではなく、各都道府県、指定都市、中核市併せて地元市町村も協同で対応するようお願いする。
(2)  平成15年度施設整備費の新規事項等について
 平成15年度より、次の措置を講じることとしているので、整備計画において十分に留意されたい。
(1)  国庫補助申請に係る事務負担軽減に伴う補助基準単価及び補助金算定方法の簡素・合理化
 国庫補助申請に当たって事務負担軽減を図るため、昨年度のゴールドプラン21関連施設と同様に、社会福祉施設整備費の対象となる全施設について、補助基準単価及び補助金算定方法の簡素・合理化を行う。
  (内容)
  ・ 定員1人(1施設)当たり補助基準単価の設定
  ・ 介護用リフト等特殊附帯工事費、解体撤去工事費等における1施設当たり補助基準単価の設定及び職員宿舎整備費補助の廃止
  ・ 算定方法の簡素・合理化
(2)  支援費制度施行に伴う身体障害者更生施設等の補助基準の改善
 支援費制度の施行に伴い、身体障害者更生施設及び身体障害者授産施設について、施設利用者の障害の程度を勘案して、補助基準の改善を行う。
  (内容)
(例)   【現行】   【改正後】
  肢体不自由者更生施設   6,300 千円 6,500 千円
  身体障害者授産施設   6,700 千円 7,000 千円

(3)  介護予防等拠点整備事業について【平成14年度補正予算】
 平成15年度より施行される支援費制度の趣旨に沿って適切な事業に積極的に取り組むなど、市町村が地域の実情に応じて、障害者が住みやすい魅力ある都市・活力ある地方の再生に向けて、障害者の自立と社会参加を促進する拠点を整備することを支援するため、平成14年度補正予算案において、「介護予防等拠点整備事業」を計上し、その中で、障害者の社会生活力を高めるための拠点整備等の事業を行うこととしている。
 具体的には、次の事業を対象とするものである。
  (1) 障害者の社会生活力を高めるための拠点整備
  (2) 障害者の授産活動を紹介するための拠点整備
  (3) 障害者訪問サービス活動の拠点整備
 なお、本事業は、従来から高齢者に対する事業として、介護予防の充実、痴呆性高齢者の在宅生活の支援等を図ることを目的として、平成10年度から計上してきたものであり、今般、新たに、支援費制度への移行も踏まえ、メニューの追加を図ったものであるので、都道府県等においては、高齢者対策の所管部局と連携の上、管内市町村への積極的な実施に向けた助言・指導をお願いしたい。
    介護予防等拠点整備事業     15,000,000千円
 介護サービスの提供体制の充実を図るとともに、介護予防教室の開催等、高齢者が要介護状態になることを予防するための事業や、痴呆 専用単独型デイサービスセンター、障害者の社会生活力を高めるための拠点等、市町村が地域の実情に応じて必要 な事業を行うための拠点を整備するものである。
(実施主体) 市町村(特別区・一部事務組合・広域連合を含む)
(補助率) 10/10
(主な事業内容) (1)介護予防のための拠点整備
(2)痴呆専用単独型デイサービスセンター等の整備
(3)ケアマネジメントリーダー活動拠点の整備
(4)障害者の生活訓練等のための拠点整備    等

(4)  知的障害者更生施設の敷地面積の要件について
 現行の「知的障害者援護施設の設置及び運営に関する基準(平成2年12月19日厚生省令第57号)」において、知的障害者更生施設(入所)については、建築面積の3倍以上の敷地を確保することが原則となっているが、都市部等において敷地の確保が困難な場合などを考慮し、入所者が運動するうえで必要な場所や避難するための充分な空地など、入所者の処遇等に配慮がなされている場合には、従来から、施設整備を認めているところである。ついては、都道府県においては、個別事情を考慮し、適切な対応をお願いする。

 障害者福祉施設等における不祥事の発生防止及びその対応について

 人権侵害の防止等については、機会あるごとに要請してきているところであるが、依然としてこれら不祥事が発生していることは、誠に遺憾である。
 ついては、以下のような事項に留意の上、平成13年7月23日雇児発第488号、社援発第1275号、老発第274号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について」に基づき、管下社会福祉法人・社会福祉施設に対する指導監督に万全を期されたい。
(1)  人権侵害等の防止について
  障害者の福祉の向上を図ることを目的としている社会福祉施設において、体罰等の人権侵害事例が見られること、知的障害者施設における入所者からの預り金の管理等について、不適切な取扱いが行われていたという事案が依然として見受けられることは、社会福祉事業の信頼を損い、また、適切な施設運営に真摯に取り組んでいる他の同種施設までが社会の不信感を被ることとなり、看過し難い問題である。
 このような不祥事が発生した場合は、その背景、事実関係の究明、法人及び関係者の責任の明確化、再発防止への取り組み、社会福祉法の規定に基づき講じた措置等一連の顛末を整理することにより、今後の不祥事の未然防止を図るとともに、類似例が発生した場合に迅速な対応を行うことができるよう情報の集約を図られたい。
 また、指導監査等の実効性を高めるためにも、福祉事務所にあっては、援護の実施者として、援護の委託をした知的障害者に対する処遇状況を適宜把握し、都道府県等が法人・施設の指導監査を行う際には、予め関係福祉事務所から入所者の処遇状況に関する情報を徴した上で、指導監査に努められたい。
(2)  不正・不明瞭な経理処理の防止について
 社会福祉施設の経理処理に当たっては、社会福祉法及び関係通知等に基づき適正な記録と透明性の確保を図ることが重要であるが、依然として、経理処理に関する不正・不明瞭な事例が生じており、都道府県等においては、こうした事例が今後生じないよう、一層の指導監督の徹底に努められたい。
(3)  施設整備に係る不正の防止について
 社会福祉施設整備費に係る不正受給等の防止については、かねてから指導監督の徹底をお願いしているところであるが、引き続き、施設整備業務の再点検の強化と未然防止策の検討を行い、発生防止に努められたい。
(4)  苦情解決の取組について
 障害者福祉施設の利用者等の権利擁護の観点から、障害者福祉施設の最低基準において、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならないことを明記しているところである。
 平成13年に実施された社会福祉施設等調査によると、未だに苦情解決体制が整備されていない施設があるので、都道府県においては、引き続き指導徹底を図られたい。

(参考)知的障害者施設の例
施設種別 施設数
  うち、苦情解決の
ための取組あり
知的障害者更生施設(入所)  1,344 1,055(78.5%)
知的障害者授産施設(入所) 366 269(73.5%)
※ 「平成13年社会福祉施設等調査」より

 療育手帳の交付により受けられるサービス内容の周知について

 昨年8月6日に開催された「新しい障害者基本計画に関する懇談会(第3回)」において、知的障害者が参考人として出席し、新しい障害者基本計画についての意見が提出されたところである。その中で、療育手帳に関して、「手帳でつかえるサービスを、自分たちにわかるように知らせてほしい。」という要望があり、このことを踏まえ、都道府県等においては、療育手帳を交付する際等に知的障害者向けのサービスを記載した小冊子を配布するなど、サービス内容の周知に努めるとともに、文章には、ふりがなをふる等、わかいやすい表記をする等特段の配慮をお願いする。

10  特殊法人心身障害者福祉協会(国立コロニー)の独立行政法人化について

 特殊法人から独立行政法人への移行について
 重度の知的障害者の保護・指導等のための施設「国立コロニーのぞみの園」(群馬県高崎市)を設置・運営する特殊法人心身障害者福祉協会にあっては、「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)を踏まえ、独立行政法人化することとし、先の第155回臨時国会において「独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法案」を提出し、審議の結果、同法は平成14年12月6日成立、同月13日公布されたところである。(平成14年法律第167号)
 新たな独立行政法人の設立(及び心身障害者福祉協会法の廃止)は平成15年10月1日を予定している。
 新法人については、重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、知的障害者の支援に関する調査及び研究等を行うことを目的とすることが同法に明記されており、施設生活から地域生活への移行促進を柱とする知的障害者福祉行政の目的達成に積極的に貢献しようとするものであることから、都道府県担当部局においては、知的障害者の支援等に関し、新法人の情報提供機能等の活用を図るようお願いしたい。
 なお、支援費との関係では、本年4月から心身障害者福祉協会が設置する福祉施設において提供される支援がその対象となり、10月以降は独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園における支援が対象となる。



(参考)

独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法の概要

 特殊法人等改革の一環として、心身障害者福祉協会の業務を承継する独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園を設立するため、その名称、目的、業務の範囲等について定めるとともに、関係法律について所要の改正を行う。

 1 概要
 (1) 法人の名称
 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園(以下「のぞみの園」という。)とする。
 (2) 法人の目的
 重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、知的障害者の支援に関する調査及び研究等を行うことにより、知的障害者の福祉の向上を図ることを目的とする。
 (3) 業務の範囲
 のぞみの園は、その目的の達成のため、次の業務を行う。
 イ  重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援を提供するための施設を設置し、及び運営すること。
 ロ  知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための効果的な支援の方法に関する調査、研究及び情報の提供を行うこと。
 ハ  知的障害者援護施設において知的障害者の支援の業務に従事する者の養成及び研修を行うこと。
 ニ  知的障害者の支援に関し、知的障害者援護施設の求めに応じて援助及び助言を行うこと。
 (4) 法人の種類
 特定独立行政法人以外の独立行政法人とする。ただし、役職員に対しては、秘密保持義務及びみなし公務員規定を置くものとする。
 (5) 役員
 理事長、監事二人を置き、理事二人以内を置くことができる。
 (6) 資本金
 のぞみの園の資本金は全額政府出資とし、出資額は心身障害者福祉協会から、のぞみの園に承継された資産の額とする。

 2 独立行政法人への移行に伴う措置
権利義務の承継
  心身障害者福祉協会の一切の権利及び義務は、のぞみの園が承継する。
 3 独立行政法人に移行する時期の見込み
公布日 平成14年12月13日(法人の設立は、平成15年10月1日を予定)

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