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1.HIV感染者の障害認定等に係るプライバシー保護について

 ア  HIV感染者の身体障害認定については、平成10年4月1日に施行されて以来、まもなく6年目を迎えようとしている。
 HIV感染者が安心して障害者に係るサービスを利用できるようにしていくためには、各種福祉サービスの窓口業務に携わる職員を始め、一般の行政窓口においても、HIV感染者への理解を深め、プライバシーの保護に配慮した適切な対応を行うことが重要である。

 イ

 このことに関しては、国と「HIV弁護団・原告団」との協議の中でも、各自治体が、それぞれの職員に対し、職種を超えて広く研修会等を継続的に実施することにより、周知徹底を図ることについて要望を受けているところであり、各自治体の障害福祉部局の窓口にとどまらず、一般行政窓口においても、HIV感染者をはじめとする障害者のプライバシー保護等について十分留意されるよう、関係部課・関係機関に対する助言をお願いいたしたい。


2.障害者ケアマネジメント体制支援事業について

 ア  障害者ケアマネジメントについては、平成9年度以来、モデル的事業である「障害者ケアマネジメント体制整備推進事業」などを通じ、その普及に努めているところであるが、本事業としては平成14年度が最終年度となっている。

 イ

 平成15年度からは、本事業を「障害者ケアマネジメント体制支援事業」と改称するとともに、国の「指導者研修」の内容を充実するなど、全体として以下のような取組を考えている。
(1)  国が実施する「指導者研修」については、新規研修に加えて、すでに国の研修を修了し、第一線で活躍している方々を対象とするスキルアップのための上級研修を組み入れることなどにより、引き続き都道府県等で中心的な役割を果たす人材の育成に努めることとしている。
(2)  都道府県等については、「障害者ケアマネジメント体制支援事業」を通じ、
 都道府県等が実施する「従事者研修」について、国の研修と同様に、新たに上級研修を実施し、さらに専門性の高い人材の確保に努める。
 各障害保健福祉圏域に設置された連絡調整会議を総括し、又は「従事者研修」の企画・立案、社会資源の開発等について検討することを目的とした「障害者ケアマネジメント推進協議会」を設置する。
などして、都道府県等における障害者ケアマネジメント体制の一層の充実、強化を図ることとしている。

 ウ

 各都道府県等におかれては、障害者ケアマネジメントの一層の発展のために、積極的・主体的な取組がなされるようお願いいたしたい。


3.障害認定基準の一部改正について

 ア  身体障害者手帳の交付事務については、平成12年度から自治事務となっており、国としては、地方自治法に定める技術的助言(ガイドライン)として、身体障害認定基準をお示ししているところ。

 イ

 今般、「そしゃく機能障害」及び「ぼうこう又は直腸機能障害」の認定基準を改正し、平成15年4月1日から適用することとして、すでに関係通知を発出したところである。
 特に、今回の改正では、認定基準内容の変更に加え、「身体障害認定基準」やこれに関連する諸通知間の整合性を図るため、様々な通知を整理したところであり、その内容を十分にご理解いただいた上、4月1日からの運用に混乱をきたすことがないよう、管下の関係諸機関等への周知徹底をお願いいたしたい。


4.身体障害者更生相談所及び知的障害者更生相談所の役割について

 ア  身体障害者更生相談所及び知的障害者更生相談所は、従前より身体障害者及び知的障害者の更生援護に関し、専門的技術的中枢機関としての役割を担ってきているところであり、専門的な知識及び技術を必要とする相談・指導業務や医学的、心理学的及び職能的判定業務などを実施しているところである。

 イ

 本年4月からの支援費制度の施行に伴い、更生相談所の業務にも新たな展開が求められることとなり、更生相談所は市町村が行う支給決定業務に係る援助・指導の役割を担うこととなる。
 即ち、市町村が居宅生活支援費の支給決定、施設訓練等支援費の支給決定、障害程度区分変更等を行うに当たり、特に専門的知見を必要とする場合には、更生相談所に対し意見を求め、意見を求められた更生相談所は医学的、心理学的及び職能的判定を行い、市町村に意見書(判定書)を送付することとされている。
 また、障害の状況が同様である障害者に係る障害程度区分の結果が、決定を行う市町村により著しく異なることがないように、研修等を通じて市町村を指導することが期待されるところである。
 こうした観点から、平成15年度予算案において、障害程度区分の決定に関する市町村職員への研修実施に係る経費を新たに確保したところであるので、各更生相談所においては、上記の趣旨を踏まえ、継続的な研修の実施に努められたい。

 ウ

 各都道府県等の更生相談所がこれらの役割を果たすことが、支援費制度の円滑な施行という観点においても重要であることから、管下市町村と連携を取りつつ、積極的に取り組まれるようお願いいたしたい。

 エ

 また、今後の更生相談所の役割については、昨年11月、身体障害者更生相談所のあり方検討委員会及び知的障害者更生相談所のあり方検討委員会による報告書が取りまとめられたところであり、今後、その内容を踏まえ、設置運営基準等を改正する予定である。


5.年金を受給していない障害者の問題について

   年金を受給していない障害者に現金給付を行うことについては、昨年8月に示された「坂口試案」を踏まえ、
(1)  拠出制の年金制度をはじめとする既存制度との整合性
(2)  給付に必要となる多額の財源確保の見通し
などの問題について十分に検討していくことが必要である。

(1) 生活実態の把握について

 今後の検討に当たっては、まず、年金を受給していない障害者の人数や実態などを把握する必要があることから、対象者の所在の把握が難しいことやプライバシーへの配慮等を考慮しつつ、厚生労働科学研究費により、生活実態に関する調査を助成することとしている。

(2)

障害者基本計画について

 昨年末に閣議決定された新しい障害者基本計画においては、年金を受給していない障害者の問題について、下記のとおり記載している。

 「年金を受給していない障害者の所得保障については、拠出制の年金制度をはじめとする既存制度との整合性などの問題に留意しつつ、福祉的観点からの措置で対応することを含め、幅広い観点から検討する。」


6.特別児童扶養手当・特別障害者手当等の額の改定について

 ア  特別児童扶養手当、特別障害者手当、障害児福祉手当及び経過的福祉手当については、特別児童扶養手当等の支給に関する法律及び昭和60年国民年金等改正法附則(経過的福祉手当)の規定に基づいて、公的年金と同様、毎年度、消費者物価指数の上昇又は低下に応じ、手当の額を改定することとされている。

 イ

 平成11年度以降、毎年、消費者物価指数は低下しているが、平成12年度から平成14年度の3年間は、公的年金と同様、社会経済情勢に鑑みて特例措置により手当の額を据え置いてきたところである。

 ウ

 平成15年度については、公的年金に関し、平成14年の消費者物価下落分(マイナス0.9%〜1.0%の見込み)の額の改定を行うこととされており、各手当についても、従来から公的年金と同じ取扱いとしてきていることを踏まえ、公的年金と同様、平成14年の消費者物価下落分の額の改定を行うこととしているので、関係機関・関係団体への周知方、お願いしたい。

 エ

 なお、こうした特例措置を講ずるため、公的年金及び各種手当等関係12法律の特例に係る一括法案を今国会に提出する予定である。


7.特別障害者手当等給付費の審査事務の地方厚生局への移管について

 ア  厚生労働省所管の補助金等の審査、交付、確定等の事務(以下、「審査事務」という。)については、企画立案事務と実施事務の分離という中央省庁改革の基本理念を徹底すること、効率的な対応を図ること等の観点に立って、平成15年度から段階的に地方厚生局に移管することとされたところである。

 イ

 これにより、特別児童扶養手当事務取扱交付金及び特別障害者手当給付費国庫負担金に係る審査事務については、平成15年度から地方厚生局に移管することとしている。
 このため、平成15年度以降、両経費に係る都道府県からの交付申請書や実績報告書等の送付については、都道府県を管轄する地方厚生局あてに行われることとなるので、関係課室等への周知方、お願いしたい。

 ウ

 なお、両経費に係る交付要綱の策定等の企画立案関係業務については、引き続き、本省において実施することとしている。


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