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1 支援費制度施行準備等について

(1)  支援費制度施行準備について
 平成15年度より施行される支援費制度については、これまで各自治体において準備にご尽力いただいているところであるが、利用者が自らサービスを選択して利用するという趣旨を十分に生かすためには、選ぶに足りる事業者を確保することが重要である。
 しかしながら、各都道府県等の事業者指定の状況をみると、いまだ十分に事業者を確保できていない状況が見受けられる。ついては、各事業所に対し、支援費制度の事業者として指定を受けていくよう積極的に働きかけを行っていただきたい。
 また、居宅生活支援を利用しようとする者については、今年度中に支給決定を行う必要があることから、各市町村においては、利用希望者に対する制度の周知、申請勧奨等について積極的に行うことが求められる。その際、これまで在宅サービスを受けていた者のみならず、新たに在宅サービスの利用を希望する者にも、情報が十分行き渡るよう、市町村の広報誌等による広報のみならず、身体障害者相談員等の活用を図るなど、様々な手段により本制度の周知を図るとともに、利用申請についての働きかけを積極的に行うよう、管内市町村に対し助言等を行っていただきたい。
 なお、国としては、現在、利用者向けのリーフレットの作成及び広報のためのポスターを作成しているところであり、今年度お配りしたパンフレットと同様に各都道府県等を通じて配布することとしている。
 現在、措置により施設に入所している者(いわゆるみなし入所者)については、経過措置として平成15年度中に支給決定をすればよいこととされているが、この取扱いについては、本年11月27日付けの本職部長通知でお示ししたとおり、各施設の安定的な運営を確保することにより、支援費制度への円滑な移行を図る観点から、計画的な支給決定事務を行うよう、各市町村に対し助言等をお願いしたい。
 厚生労働大臣が定める支援費の基準及び利用者負担の基準については、先般その案をお示ししたところであるが、これらを定める告示案は、今月予定している支援費制度担当課長会議でお示しすることとしており、また、正式な告示は、2月を目途に定める予定としているので、管内市町村において準備に遺漏なきよう助言等をお願いしたい。
 その他、支援費基準に関連した告示、居宅介護従業者の要件を定める告示等の発出を予定しているところであり、その周知等についてもよろしくお願いしたい。

(2) 市町村への事務委譲について
 平成12年の児童福祉法及び知的障害者福祉法の一部改正により、平成15年度から、知的障害者については、知的障害者の実情把握、相談及び指導、知的障害者更生施設等への入所に係る事務、職親の委託事務、短期入所事業に係る事務、知的障害者地域生活援助事業に係る事務が、障害児については短期入所事業に係る事務が、それぞれ市町村に委譲されることとなっている。
 この法律改正の趣旨は、住民に最も身近な市町村において福祉サービスが適切に提供されるようにすることであることから、これらの事業について市町村が円滑に事務を行うことができるよう、都道府県においては、助言指導等特段の配慮をお願いしたい。
 また、市町村への事務委譲に伴う業務量の増加については、市町村に対する地方交付税の算定基礎への算入を総務省に要望しているところであり、その具体的措置の内容については、現在、総務省において検討されているところである。
(参考)市町村に事務委譲される事務
区分 〜平成15年3月 平成15年4月〜
施設サービス (知的障害者関係)
都道府県、指定都市、中核市、市及び福祉事務所設置町村
(知的障害者関係)
市町村
職親委託 都道府県、指定都市、中核市、市及び福祉事務所設置町村 市町村
在宅サービス
・短期入所事業(ショートステイ) (障害児関係)
都道府県、指定都市
(知的障害者関係)
都道府県、指定都市、中核市
(障害児関係)
市町村
(知的障害者関係)
市町村
・知的障害者地域生活援助
 事業(グループホーム)
都道府県、指定都市、中核市、市及び福祉事務所設置町村 市町村

(3) 支援費制度移行に伴う経営資金(つなぎ資金)の貸付について
 平成15年4月から支援費制度が実施されることに伴い、指定身体障害者更生施設等及び指定居宅支援事業者等の当初の運営に係る経営資金(いわゆるつなぎ資金)が必要となることから、社会福祉・医療事業団において貸付事務の準備を行っているところである。
 借入に係る手続き等については、社会福祉・医療事業団から別途通知されたところであるが、その取扱いについて遺漏のないよう管内の施設及び事業者に対して周知及び指導をお願いしたい。
 なお、繰越金等を有する施設については、繰越金等をつなぎ資金として使用できる旨、先般、「身体障害者更生施設等における繰越金等の取扱いについて」(平成14年11月18日事務連絡)をもって連絡したところであるので、借入の協議等に当たっては、この点にも留意しつつ適切な取扱いをお願いしたい。
(参考)
 (1)利率  事業団の定める率(貸付時期の財投融資資金の利率)
 (2)貸付金の限度額  所要資金の額
 (3)所要資金  2ヶ月分(ただし、在宅は3ヶ月分)
 (4)償還期間  5年以内
 (5)3ヶ月賦償還(利息同様)
 (6)無担保融資  1,000万円以内

(4) 就労・地域生活支援強化事業(支援費制度円滑移行特別対策)について
【平成14年度補正予算関連】
 障害者福祉施設による障害者等の就労支援、自立と地域生活の支援を推進するため、障害者福祉施設の機能の充実強化を図ることが必要であり、特に、平成15年度からの支援費制度への移行に伴い、質の高いサービスを提供できる体制を強化し、利用者本位の機能訓練や就労支援の充実を図ることが喫緊の課題となっている。このため、平成14年度補正予算(案)において、障害者福祉施設措置費として、「就労・地域生活支援強化事業」を創設し、障害者等の就労支援、地域生活の支援を緊急に実施することとしている。
 具体的には、施設機能を活用して、次の事業を行う施設を対象として、事業に必要な費用を措置費に加算することとしている。
 (1)就労・地域生活移行を推進する事業
 (2)在宅障害者就労支援・地域ケアを推進する事業
 (3)施設機能を改善する事業
 (4)その他、上記目的等を行うために必要な事業
 なお、実施要綱等については補正予算成立後速やかに発出することとしているので、事業への積極的な実施に向けた検討をお願いしたい。
  就労・地域生活支援強化事業の推進 5,000,000千円
 現下の厳しい経済情勢の下、障害者の就労を支援し、自立と地域生活の確保・推進を図ることが喫緊の課題である。その一端を担う障害者施設においては、支援費制度の移行に伴い、利用者の就労・地域生活移行への推進を図るという施設の役割・機能が一層重要となっている。
 このため、施設機能を活用して、次のような事業を行うことにより、施設入所者等の就労支援等に資するものである。
   1)就労・地域生活移行を推進する事業
   2)在宅障害者就労支援・地域ケアを推進する事業
   3)施設機能を改善する事業
   4)その他、上記目的等を行うために必要な事業
  (実施主体) 都道府県、指定都市、中核市、市町村
  (補助率) 1/2
  (対象施設)  身体障害者更生施設、授産施設、療護施設
 知的障害者更生施設、授産施設

(5) 指定知的障害者入所更生施設等の利用者本人負担について
 支援費制度においては、利用者が施設でサービスを受けた場合の利用者本人負担について、利用者本人の前年の収入から必要経費を控除した額に基づき、判定することとしている。
 知的障害者福祉法においては、指定知的障害者入所更生施設及び指定特定知的障害者入所授産施設の施設訓練等支援に要した費用として、日常生活費が支援費に含まれるものとして支給されることとなっている。そのため、利用者本人負担の算定に当たって、利用者本人が負担しない日常生活費を必要経費として、収入から控除することは、適当でないと考え、その取扱いの見直しを行ったものである。
 しかしながら、利用者本人の急激な負担の増加に配慮するという観点から、平成15年度においては、従来認められていた日常生活費の額の半分を必要経費として収入から控除する経過措置を設けることとしている。



障害者ホームヘルプサービスに関する国庫補助金の取扱いについて

 障害者ホームヘルプサービスについては、平成15年度予算案において、約280億円(対前年13億円(5%)増、12/12月ベースの場合は14.5%増)を確保したところである。

 ホームヘルプ事業の国庫補助金については、来年度から新たにスタートする支援費制度が契約によってサービスを利用する仕組みであり、利用が促進される要素等もあるという面がある一方、現にホームヘルプサービスの利用実態には地域によって大きなばらつきがある。

 支援費制度のねらいは、全国どこでも障害者に対して一定水準のサービスが提供できるようにすることであり、そのためには、バランスのとれた提供体制の整備が重要な課題となっている。

 こうしたことから、ホームヘルプ事業の補助金については、適正な執行管理とともに、全国的にみて、より公平、公正に補助金を配分できる基準を設定する必要があると考えており、そうした観点に立った国庫補助基準の案について、近々お示しする予定である。

 本基準案は、あくまでも国費の交付基準であるので、個々のサービスの「上限」を定めるものではなく、また、市町村における支給決定を制約するものでもない。

 国庫補助基準の設定に当たっては、平均的な利用水準を上回る水準とすることにしており、通常の場合市町村の所要見込み額を超えることになるが、従前の国庫補助金を下回る市町村については、できる限り従前額が確保できるよう、激変緩和措置を検討することとしている。

 なお、本基準案については、関係団体等から意見が寄せられているところであり、現在、協議を進めているところである。


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