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7 福祉人材確保対策の推進について(福祉基盤課)

 介護保険制度や支援費制度の実施など利用者本位の社会福祉制度を構築するための改革が進められ、福祉サービスも質の一層の向上が求められている中で、それを担う質の高い人材の養成確保は、ますます重要な課題となっている。
 このため、厚生労働省においては、平成4年に制定された、いわゆる福祉人材確保法(社会福祉事業法等の一部改正)等に基づき、福祉人材の養成・確保のための総合的な施策を推進しているところであるが、各都道府県市におかれても、質の高い福祉人材の養成確保について格段の御配意をお願いしたい。

(1) 社会福祉事業従事者等に対する研修の充実
 介護教員養成講習会の拡充
 介護福祉士養成施設の教員の資質の向上を図り、質の高い介護福祉士を養成する観点から、介護福祉士養成施設における専任の介護教員(社会福祉援助技術、社会福祉援助技術演習、介護概論、介護技術、形態別介護技術、介護実習又は介護実習指導を教授する教員をいう。)について、介護教員講習会の受講を必修化し、平成13年度から全国社会福祉協議会中央福祉学院(以下「中央福祉学院」という。)と中央福祉人材センター及び都道府県福祉人材センターにおいて講習会を実施してきたところである。
 平成15年度においては、現在実施されている全国7ブロックのうち新たに受講希望が集中する大都市部(関東信越、近畿)の2ブロックについて、受講希望者に対応するために講習会を拡充することとしたので、御了知願いたい。

 国立保健医療科学院における都道府県等行政職員研修
 平成14年度から、国及び地方自治体の福祉担当職員を対象にした研修を国立保健医療科学院において実施してきたところであり、平成15年度においても、国立保健医療科学院において研修を実施することとしているので、本研修の積極的な活用をお願いしたい。

 中央福祉学院における社会福祉研修
 上記イ以外の社会福祉研修については、平成15年度においても中央福祉学院に委託して実施することとしているので、本研修の積極的な活用について、一層の御配意をお願いしたい。
 なお、平成15年度の委託研修の詳細については、後日、研修要綱を発出する予定であるので、御了知願いたい。

 社会福祉事業従事者の現任訓練の在り方
 平成15年度において、社会福祉事業従事者の研修全体について、社会福祉基礎構造改革等を踏まえた内容となるよう見直しを図るため、全都道府県市の研修及び民間団体等が行っている研修等を対象とした実態調査や、専門家を含めた検討会を設置し、社会福祉事業従事者に対する研修の在り方、体系化を行うことにより、その研修内容の充実を図る予定であるので、各都道府県におかれては実態調査、検討等に対して格段の御協力をお願いしたい。

(2) 都道府県福祉人材センター運営事業の推進
 インターネットによる求人・求職システム
 平成15年度において、現在、来所による手続を行うことになっている求人・求職の申込み(登録)について、自宅や事業所等からインターネット(電子メール等)により登録し、紹介を受けることを可能にするシステムを開発し、より一層、求職者の利便性の向上を図ることとしたところであるので、都道府県人材センター及び福祉人材バンクにおいて、積極的な活用及び利用者への周知をお願いしたい。
 なお、インターネットによる求人・求職システムは、平成15年度中に稼働を開始する予定である。

 福祉人材確保推進事業の再編
 社会福祉事業従事者の確保を推進するため、福祉人材確保推進事業において都道府県に設置された福祉人材センターの運営及び介護福祉士等の修学資金の貸付けを行っているところであるが、平成15年度において、都道府県福祉人材センター運営事業のうち、「福祉マンパワーバンク事業」、「人材確保相談事業」及び「福祉人材サテライト事業」については、より地域の実情に応じた取組が行えるよう、「介護予防・地域支え合い事業(老健局)」に「高齢者介護施設等支援事業」として統合・メニュー化したので、高齢者担当部局と十分な調整を図り、事業量の確保に努められたい。

(3) 福利厚生センター事業の推進
 中小規模の事業者が多い社会福祉事業の中で魅力ある職場づくりを進めるためには取り分け福利厚生の充実が必要であり、福利厚生センターにおいては、平成14年度には指定保養所等の利用助成額の改定を行い、また接遇講習会を新規に実施するなど、各種福利厚生事業の充実に努めてきたところである。
 このような事業内容の改善に加え、各都道府県市のひとかたならぬ御支援により、平成14年12月における会員数は16万1,000人となり、昨年に比べ1万人以上増加している。各都道府県市におかれても福利厚生センター事業の周知について引き続き御協力をお願いしたい。

(4) 社会福祉士及び介護福祉士
 社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設の指定
 社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設については、引き続き増加傾向にあり、平成15年4月開設予定のものも含めると、社会福祉士養成施設は40施設48課程(定員8,116名)、介護福祉士養成施設は384施設460課程(定員26,170名)となっているほか、平成16年4月以降の新規開設の照会も相当数に上っている。
 新規開設や定員増を予定する養成施設を管下に有する都道府県市にあっては、学生の確保、卒業生の就職先の確保及び実習施設の確保の見通し等の観点から、当該養成施設に対する適切な助言をお願いしたい。
 また、都道府県市におかれては、養成施設における実習施設の確保について、従来御協力を頂いているところであるが、今後とも、引き続き格段の御協力をお願いする。特に、介護福祉士養成施設については、平成12年4月の入学生から居宅介護実習が必修化されているが、実習先の確保に非常に苦慮している状況がみられることから、特段の御配意をお願いしたい。
 なお、社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設の指定及び監督に関する事務のうち、新規開設課程の指定及び職権による指定の取消し以外の事務については、平成13年1月から地方厚生局において行っているところであるので、御了知願いたい。

 社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設に対する指導の充実
 社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設は、国家資格の有資格者を養成するものであり、常に質の高い教育を行うことが特に求められるものであるが、近年、養成施設の中には、
 (1)  専任教員の数が不足している
 (2)  教員要件を満たしていない教員がいる
 (3)  定員を遵守していない
 (4)  実習施設の変更等の必要な事務手続を行っていない
等、不適切なものが多数散見される。
 こうした養成施設に対しては、各地方厚生局において、各都道府県の関係部局との連携も図りながら、厳しく指導することとしており、悪質な養成施設については指定取消しの処分もあり得ると考えているので、御了知願いたい。

 社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設における合併授業又は合同授業
 社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設においては、現在、合併授業又は合同授業を実施することは認められていないが、他の職種(学科)と授業を行う機会を設けることにより、職種間の連携に資する授業を展開できること等の観点から、教育水準を確保できる範囲内において合併授業又は合同授業を実施することを可能とする方向で検討している。

 社会福祉士及び介護福祉士の国家試験
(ア) 国家試験の改善
 社会福祉士及び介護福祉士国家試験については、試験の透明性を高める等の観点から、平成14年7月5日に「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士国家試験出題基準・合格基準」を制定し公表したところである。
 また、第15回試験から合格基準点及び正答を公表するとともに、試験結果の照会者に対して、受験者本人であることを確認の上、得点を開示する予定としているので御了知願いたい。
 さらに、介護福祉士国家試験については、第15回試験の筆記試験合格者から筆記試験の免除制度を廃止(第14回試験の筆記試験合格者については、第15回試験の筆記試験に限り免除)することとしているので、併せてご了知願いたい。

(イ) 国家試験の実施
 社会福祉士及び介護福祉士の国家試験の実施に当たっては、試験地の都道府県に多大なる御協力を頂き、改めて感謝申し上げる。
 試験地の都道府県には、会場や要員の確保などの面で、たいへん御苦労をおかけしているところであるが、試験の実施主体である財団法人社会福祉振興・試験センターにおいては、試験地の都道府県の負担を少しでも軽減するために、試験業務の合理化に努めているところである。
 社会福祉士及び介護福祉士は、福祉サービスの中核的な担い手であり、厚生労働省としても、社会福祉サービスの質の向上等を図るために資格取得を促進し、質の高い福祉人材を養成・確保することは極めて重要な施策であると考えているので、今後とも、両国家試験の実施について格段の御協力をお願いしたい。
(1)  第15回社会福祉士国家試験
・試験日 平成15年1月26日(日)
・試験地 12都道府県15会場
(北海道、青森県、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県)
・受験申込者数  36,763人(対前年17.9%増)

(2)  第15回介護福祉士国家試験
・試験日 筆記 平成15年1月26日(日)
実技 平成15年3月 2日(日)
・試験地 筆記 12都道府県28会場
(北海道、青森県、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県)
実技 12都道府県23会場
・受験申込者数  73,159人(対前年12.3%増)

 合格発表は、両試験とも平成15年3月31日(月)
 厚生労働省及び財団法人社会福祉振興・試験センターにその受験番号を掲示して発表するとともに、同センターのホームページ(http://www.sssc.or.jp/)上に合格者の受験番号を掲載する。

 社団法人日本社会福祉士会及び社団法人日本介護福祉士会が実施する継続研修に対する支援
 社会福祉士及び介護福祉士の質の向上を図るためには、継続研修の実施が不可欠であるが、社団法人日本社会福祉士会及び社団法人日本介護福祉士会は、その中核的な職能団体として、社会福祉士及び介護福祉士に対し各種研修事業を実施しているところである。
 各都道府県市におかれては、両会が行う研修事業が円滑に行われるよう、今後とも御協力をお願いしたい。

(5) 社会福祉主事
 社会福祉主事養成機関等
 社会福祉主事養成機関については、平成15年4月開設予定のものも含めると88機関112課程(定員11,891名)となる。
 新設や定員増を予定する養成機関を管下に有する都道府県市にあっては、学生の確保、卒業生の就職先の確保、実習施設の確保の見通し等の観点から、当該養成機関に対する適切な助言をお願いしたい。
 また、都道府県市におかれては、社会福祉主事養成機関における実習施設の確保について、従来御協力をいただいているところであるが、今後とも、引き続き格段の御協力をお願いする。
 なお、社会福祉主事養成機関及び社会福祉主事資格認定講習会の指定及び監督に関する事務については、平成13年1月から地方厚生局において行っているところであるので、御了知願いたい。

 三科目主事の資質の向上
 社会福祉主事は、社会福祉に携わる者の基礎的な資格として、今後とも重要な役割を果たしていくことが期待されているが、社会福祉主事全体の資質の向上を図るためには、いわゆる三科目主事の資質の向上を図ることが必要である。
 このため、「社会福祉主事の資格に関する指定科目履修者の資質の向上について」(平成12年9月13日社援第2075号厚生省社会・援護局長通知)により、三科目主事の研修課程の指針を示しているところであるが、各都道府県市におかれては、この指針を参考とし、より一層三科目主事に対する研修の積極的な実施に努められたい。
 また、平成14年10月30日に地方分権改革推進会議がまとめた「事務・事業の在り方に関する意見」において、「社会福祉主事について、より一層の活用を図るための方策について規定の在り方を含めて検討を行い、平成14年度を目途に結論を得て、平成15年度目途に措置する。」と提言されていることから、その方策について検討しているところである。


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