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3 地域福祉の推進について(地域福祉課)

(1) 地域福祉の総合的な推進について
 我が国においては、社会経済情勢が大きく変貌する中で少子・高齢社会の到来や核家族化の進展などにより、家庭や地域の相互扶助機能は弱体化し、地域住民相互の社会的なつながりも希薄化するなど地域社会が変容しつつある。国民生活の安心と幸せを実現するためには、人々が手を携えて、生活の拠点である地域に根ざして助け合い、生活者として誰もがその人らしい安心で充実した生活が送れるような地域社会を基盤とした地域福祉を推進することが極めて重要となっている。
 このような観点から、平成12年6月に改正された社会福祉法においては、今後の社会福祉の基本理念として「地域福祉の推進」及び「地域福祉計画」に関する規定が設けられたところである。
 都道府県、指定都市及び中核市においては、今後、次のような取組みを通じて地域福祉の総合的な推進を図る必要がある。



 地域福祉計画の策定について
 本年4月1日より、地域福祉計画に関する社会福祉法の規定が施行される。
 地域福祉計画は、住民の主体的な参加により、地域における生活ニーズを明らかにするとともに、その解決に向け公民協働により多様なサービスを総合的に提供する体制を計画的に整備するものであり、その策定過程を通して、住民が自らの地域に関心を持ち、互いに助け合い、支え合うような人と人との関係づくりを進めるものとして、今後の地域福祉を総合的に推進する上で大きな柱となるものである。
 地域福祉計画の策定指針については昨年4月1日付で通知したところであるが、都道府県においては、地域福祉計画策定ガイドライン及び地域福祉支援計画を策定するとともに、管内市町村において地域福祉計画が策定されるよう支援願いたい。

 社会福祉協議会について
(ア)  社会福祉協議会(以下「社協」という。)は、地域福祉を推進する様々な団体等により構成されており、社会福祉法においても地域福祉を推進する中心的な団体として位置づけられている。
 また、社協はこれまで地域福祉を推進するため、住民参加の促進やボランティア活動の振興、まちづくり等の実績を有することから、地域福祉計画策定に当たっては、重要な役割を担うことが期待されている。

(イ)  一方、平成13年12月11日の総合規制改革会議の答申(規制改革の推進に関する第1次答申)では、社協が地域福祉推進の中核としての役割を担うべきとの基本的な方向性が示され、主に次のような具体的な提言がなされている。
(1)  他の民間事業者、社会福祉法人では行いにくいサービスについて重点的に取り組むこと
(2)  在宅福祉サービスの実施に当たっては、公的助成のみに依存することなく、当該地域におけるサービスの実態を踏まえ、他の事業主体の参入による競争を妨げることのないよう、適切な運営に努めること

(ウ)  こうしたことから、都道府県、指定都市及び中核市においては、社協が地域住民の視点に立ち、地域福祉の総合的な推進役として、その期待に十分応えるよう、また、市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定に当たって一定の役割を担うよう、今後とも一層の指導、支援を願いたい。

 ボランティア活動の振興
(ア)  国民のボランティア活動に関する関心は年々高まっており、全国社会福祉協議会が把握しているボランティア活動者数は、722万人(平成13年4月現在)にも及び、福祉、環境、災害救援等様々な分野で多様な活動が展開されている。
 住民の多様なニーズを解決するためには、公的サービスのみならず、住民の自発的な参加によるボランティア活動に対する期待は大きく、公的サービスとボランティアなどのインフォーマルなサービスが連携し、総合的にサービスを提供することが必要である。

(イ)  平成15年度においても、従前どおりボランティア振興事業及びボランティア養成等事業を実施することとしており、各地方公共団体においては、これらの事業の活用を図り、住民がボランティア活動に参加しやすくなる体制の整備、地域が求めるボランティア活動団体の育成、ボランティア活動リーダーの養成等、創意工夫によりボランティア活動の振興に努められたい。

(ウ)  なお、平成15年度の「全国ボランティアフェスティバル」については、本年10月11日・12日に石川県(金沢市)で開催することとしており、各地方公共団体においては幅広い参加が得られるようボランティア関係者等への周知を願いたい。
 なお、今後の開催地については、平成16年度(第13回)については、滋賀県で開催することが既に決定されているところであるので了知願いたい。

 民生委員活動の推進
(ア)  民生委員は、地域住民にとって最も身近な相談相手であり、また関係行政機関に対する協力事務等を行っているところであるが、そうした日々の活動の積み重ねが事件・事故を未然に防ぎ、高齢者や障害者等地域住民が安心して暮らせる地域社会の形成に大きく貢献しているところである。
 地域福祉を推進する上で、住民の生活実態を把握し、住民の立場に立って相談・援助を行う民生委員に対する期待と任務の重要性はますます増していくものであり、各地方公共団体においては、今後とも民生委員活動の円滑な遂行と充実が図られるよう努めるとともに、研修などを通じて、民生委員の資質向上が図られるよう配慮願いたい。

(イ)  なお、平成15年度の全国民生委員児童委員大会は、本年10月23日・24日に宮城県(仙台市)において開催することとしているので了知願いたい。

(2) 地域福祉権利擁護事業について
 地域福祉権利擁護事業は、痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者等判断能力が不十分な方々に対して、福祉サービスの利用支援や日常的金銭管理等の援助を行う事業として平成11年10月から開始された。

 本事業の実施状況を見ると、平成14年10月末までに利用に関する相談や問い合わせが約25万件、利用の決定を行ったものが約7千8百件となっており、一定程度の事業の普及が図られてきているものの、都道府県毎の相談件数、契約締結件数等には、大きな格差が生じている。

 都道府県においては、都道府県社協に対して、利用ニーズの把握、要援護者が適切に本事業を利用できるよう事業の一部を市区町村社会福祉協議会に委託する等の本事業の実施方法の工夫、サービス内容の向上等について、一層の支援、指導等を行うことにより、本事業が普及・定着するよう配慮願いたい。

 特に本年4月から、障害者が自らサービスを選択し、契約によってサービスを利用する支援費制度が導入されることから、判断能力が不十分な障害者が福祉サービスを利用するに当たり、適切に本事業を活用することができるよう支援願いたい。

 なお、要援護者が地域で自立した生活を送るためには、本事業の更なる充実強化を図る必要があることから、平成15年度より、新たに事業の実施主体を指定都市社会福祉協議会に拡大することとしており、指定都市においては、財政措置を含めて体制整備を図るとともに、指定都市社会福祉協議会が円滑に本事業を実施できるよう支援願いたい。
 また、運営適正化委員会については、従来どおり都道府県社会福祉協議会内に設置することとなるので留意願いたい。


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