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2 ホームレス対策について(地域福祉課)

(1) ホームレスの現状及びこれまでの対応について
 近年の経済雇用情勢等を背景に都市公園、河川敷等で野宿生活を送るいわゆるホームレスが、大都市部を中心に増加傾向にある。平成13年9月末現在の全国のホームレス数は約2万4千人であり、平成11年10月末における約2万人から約4千人の増となっており、その分布も大都市ばかりではなく、地方都市への拡散がみられる現状にある。
 ホームレス問題への対応については、こうした現状を踏まえ、関係省庁及び関係地方公共団体からなるホームレス問題連絡会議において取りまとめられた「ホームレス問題に対する当面の対応策」(平成11年5月26日)に基づき、関係省庁及び関係地方公共団体が連携し、各種施策を推進してきたところである。

(2) ホームレス自立支援法の施行
 ホームレス問題への対応については、当面の対応策に基づき、各種施策を推進してきたところであるが、経済雇用情勢が好転しないこともあって、ホームレスは増加傾向にあり、こうした現状から「与党三党ホームレス問題に関するワーキングチーム」が設置され、法制定を含めた議論がなされた結果、議員立法による「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(以下「法律」という。)が平成14年8月7日に公布施行されたところである。
 この法律の内容の一つとして、国は地方公共団体の協力を得てホームレスの実態に関する全国調査を行い、厚生労働大臣及び国土交通大臣はその結果を踏まえ、ホームレスの自立支援等に関する基本方針を策定することとなっている。
 また、都道府県はホームレスに関する問題の実情に応じた施策を実施するため必要と認められるときは、基本方針に則し、実施計画を策定するとともに、市町村は基本計画及び都道府県の実施計画に則し、実施計画を策定しなければならない旨規定されている。
 現在、各都道府県等の協力を得てホームレスの実態に関する全国調査を実施しているところであるが、この調査結果については本年3月末までに取りまとめることとし、平成15年度の早い時期に基本方針を策定することとしているので、各都道府県においては実施計画の策定に向けた準備を進めるとともに、管内市町村に対して周知方願いたい。

(3) ホームレスの自立支援等に関する施策の推進について
 ホームレス問題への対応については、雇用、福祉、住宅等各分野にわたって施策を総合的に推進する必要がある。このため、各地方公共団体においては、福祉部局を中心に関係部局と連携の下に総合的に施策を推進するための庁内体制を整える必要がある。平成14年度第1次補正予算(案)及び平成15年度予算(案)においては、これまで実施してきたホームレス自立支援事業及びホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター)の拡充、運営費の改善等を図るとともに、法律第8条の基本方針に掲げる事項のうち、必要のある事業を早急に実施する必要がある。
 ついては、都道府県においては、ホームレスの実態等を踏まえ、事業の実施について管内市町村への支援及び周知方願いたい。



 ホームレス自立支援事業及びホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業)の改善及び拡充
 ホームレス自立支援事業については、平成12年度より実施しているところであるが、平成15年度予算(案)において運営費の改善(指導職員の増員)及び実施か所数の増を図ることとしている。
 また、ホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業)については、平成13年度より実施しているところであるが、平成14年度第1次補正予算(案)において緊急的な対応として、前倒しによる整備を図ることとしており、平成15年度予算(案)においては、リース料の増額等運営面での改善を図ることとしている。
 ついては、ホームレスを多く抱える地方公共団体においては、当該事業の実施に向け積極的な対応を図られたい。



 ホームレス総合相談推進事業の創設
 ホームレス問題への対応は、ホームレスの置かれている様々な状況を把握し、個々の状況に応じて必要とされる施策を実施することが重要である。このため平成15年度予算(案)において、ホームレスに対する総合的な相談体制を確立するため、行政、支援団体、地域住民等で構成する協議会を設置し、ホームレス問題に関する協議・調整、総合相談の企画等を行うとともに、相談計画に基づく巡回相談活動等を実施するホームレス総合相談推進事業を創設することとしている。
 ついては、ホームレスを多く抱える地域を有する地方公共団体において当該事業の実施に向け積極的な対応を図るとともに、当該事業の実施に当たっては、社会福祉法人、NPO等の民間団体との連携、協力の下での実施を検討されたい。
 なお、当該事業の実施に伴い、従来、奨励的に補助していた相談事業については、当該事業に移行することとしたので留意されたい。



 ホームレス能力活用推進事業の創設
 平成13年度よりモデル的に実施してきた本事業について平成15年度予算(案)において、従来の都市雑業的な職種の開拓、情報収集・提供等に加え、就労のための知識を付与する講習会の実施など、その内容の改善を図ることにより当該事業を本格的に実施することとしている。
 ついては、自立支援センター又はシェルターを設置している地方公共団体においては、同施設との連携の下で本事業を実施するとともに、当該事業の実施に当たっては、社会福祉法人、NPO等の民間団体との連携、協力の下での実施を検討されたい。

 ホームレス緊急援護事業の実施
 平成14年度第1次補正予算(案)において、長期の野宿生活により栄養状態や健康状態が悪化しているホームレスに対する緊急一時的な対応として、毛布、日用品等を備蓄し、支給する「ホームレス緊急援護事業」を実施することとしているので、ホームレスを多く抱える地方公共団体においては、本事業の実施について積極的な対応を図られたい。


厚生労働省の平成15年度ホームレス対策予算(案)の概要



ホームレス対策予算
平成14年度予算額
1,351百万円
平成15年度予算(案)
2,703百万円

    ホームレス自立支援事業 1,204百万円
 ホームレスに対し、宿所及び食事の提供、健康診断、生活相談・指導等を行い、自立意欲を喚起させるとともに、公共職業安定所との密接な連携の下で職業相談・紹介等を行うことにより、ホームレスの就労による自立を支援する。
 ○実施か所数 11か所(1,400人分) → 16か所(1,900人分)
 ○実施主体 市(区)(社会福祉法人等に委託可)  ○補助率 : 直接補助、間接補助 1/2
 ○補助基準単価(案) :
50人施設@ 67,328千円 79,239千円  100人施設@ 101,919千円 114,339千円
   200人施設@ 176,668千円 193,282千円  300人施設@ 250,778千円 276,139千円
   ・賃貸の場合、1か所当たり 60,000千円を加算。

    ホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業) 446百万円
 都市公園等でテント張り・小屋掛けにより生活するホームレスに対して、緊急一時的な居住場所を提供することにより、ホームレス自身の健康状態の悪化等を防止することにより、ホームレスの自立を支援する。
 ○実施か所数 9か所(2,500人分) → 11か所(3,100人分)
 ○実施主体 市(区)(社会福祉法人等に委託可)  ○補助率 : 直接補助、間接補助 1/2
 ○補助基準単価(案) :
50人施設@ 17,091千円 33,140千円  100人施設@ 27,899千円 52,058千円
   200人施設@ 47,562千円 75,881千円  300人施設@ 67,225千円 115,724千円
   600人施設@ 130,121千円 149,439千円        

 ホームレス総合相談推進事業 306百万円
 ホームレスを多く抱える地域において、行政、支援団体、地域住民等で構成するホームレス総合相談推進協議会を設置し、ホームレス問題に関する協議・調整、総合相談の企画等を行うとともに、相談計画に基づく巡回相談活動等を実施することにより、ホームレスの自立を支援する。
 (1) 相談活動推進事業
 総合相談推進協議会によるホームレス問題に関する協議・調整、相談事業計画の企画立案、相談記録の管理等を行う。
 (2) 巡回相談指導事業
 ホームレスに対し、直に面接を行い、生活相談などを行う。相談の結果により、自立センターへの入所指導、シェルターの利用案内、帰郷のための援助、生活保護等の各種施策の活用に対する助言を行うとともに、関係機関との連携を図る。
 ○実施主体 市(区)(社会福祉法人等に委託可)  ○補助率 : 直接補助、間接補助 1/2
 ○補助基準単価(案) : 相談活動推進事業 1か所@ 4,998千円
巡回相談指導事業 1チーム(相談員10名の場合)当たり27,313千円

    ホームレス能力活用推進事業 44百万円
 一般雇用施策での対応が困難なホームレスに対し、清掃業務や雑誌回収などのいわゆる「都市雑業的」な職種の情報収集・提供等及びその職種についての知識・技能の付与を行う事業を本格実施し、ホームレスの自立を支援する。
 ○実施か所数 2か所 → 5か所
 ○実施主体 : 市(区)(社会福祉法人等に委託可)  ○補助率 : 直接補助、間接補助 1/2
 ○補助基準単価(案) : 1か所当たり17,552千円

    日雇労働者等技能講習事業(職業安定局) 463百万円
 日雇労働者及び自立支援センターに入所しているホームレスに対し、職場で必要とされる技能・資格を習得させ、就労機会の確保を図るとともに常用化の促進を図る。

 ホームレス等試行雇用事業(職業安定局) 240百万円
 自立支援センターに入所しているホームレスや常用雇用を希望する日雇労働者を対象に、短期間試行的に民間企業に雇用してもらうことにより、ホームレス等の新たな職場への円滑な適応を促進し、常用雇用への移行につなげる。試行雇用実施事業主に対しては奨励金を支給する。


平成14年度ホームレス対策補正予算(案)

  ホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業) 300百万円
 平成15年度新規分(600人分)の前倒し整備

ホームレス緊急援護事業 200百万円
 健康状態が悪化しているホームレスに対し、緊急一時的な対応として、日用品等を備蓄し支給することにより、ホームレスの自立を支援する。
○実施主体 : 市(区)(社会福祉法人等に委託可)  ○補助率 : 直接補助、間接補助 1/2


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