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独立行政法人産業医学総合研究所中期目標


 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定に基づき、独立行政法人産業医学総合研究所が達成すべき業務運営に関する目標を次のとおり定める。

平成13年4月1日 厚生労働大臣 坂口 力

第1 中期目標の期間

 独立行政法人通則法(以下「通則法」という。)第29条第2項第1号の中期目標の期間は、平成13年4月から平成18年3月までの5年とする。

第2 業務運営の効率化に関する事項

 通則法第29条第2項第2号の業務運営の効率化に関する事項は、次のとおりとする。

 効率的な業務運営体制の確立

 独立行政法人化に伴って要請される業務運営の効率化と労働衛生に関する調査及び研究の充実との両立を図るため、次の目標を達成すること。

(1) 効率的な業務運営体制の確立
 効率的かつ柔軟な組織編成を行うこと。また、研究員の採用に当たっては、資質の高い人材をより広く求めることができるよう工夫すること。
(2) 内部進行管理の充実
 業務の進行状況を組織的かつ定期的にモニタリングし、必要な措置を、適時かつ迅速に講じるための仕組みを導入し、実施すること。
(3) 業務運営の効率化に伴う経費節減
 運営費交付金を充当して行う事業については、中期目標期間中において、新規追加・拡充部分を除き、平成13年度の運営費交付金の最低限2%に相当する額を節減すること。

 効率的な研究施設・設備の利用

 研究施設・設備の活用状況を的確に把握するとともに、他の研究機関等との協力・連携を図り、研究施設・設備の共同利用を促進する等、その有効利用を図ること。

第3 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項

 通則法第29条第2項第3号の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項は、次のとおりとする。

 労働現場のニーズの把握

 労働者の健康の保持増進及び職業性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査及び研究を行うことにより、職場における労働者の健康確保に資する目的で設立された独立行政法人として、職場で生じている労働衛生上の諸問題を的確にとらえ、労働現場のニーズに対応した調査及び研究、技術支援等を積極的に実施するため、毎年度、業界団体や産業医、衛生管理者等との間で情報交換を行うとともに、研究所の業務に関する要望、意見等を聞くことを目的とする場を設けること。

 労働現場のニーズ及び行政ニーズに沿った調査及び研究の実施

 労働現場のニーズ及び行政ニーズへの対応を通じてその社会的使命を果たすため、次に掲げる調査・研究の業務を確実に実施すること。

(1) プロジェクト研究
 現在我が国が直面する労働衛生上の課題に対応するため、次の重点研究領域において、別紙1に示すプロジェクト研究(研究の期間、研究の方向及び明確な到達目標を定めて、重点的に研究資金及び研究要員を配する研究をいう。)を実施すること。
 有害因子等による健康影響の実態の調査及び健康管理手法の開発
 化学物質等の健康影響機序の解明及び有害性評価法の確立
 ストレス、疲労等の要因の解明及び職場環境の快適化
 より精度の高い化学物質、物理因子等の測定法の開発及び作業環境管理・作業管理手法の開発
(2) 基盤的研究
 将来生じ得る研究課題にも迅速かつ的確に対応できるよう、研究基盤としての研究能力を継続的に充実・向上させるため、国内外における職業性疾病、産業活動等の動向を踏まえつつ、別紙2に示す研究領域において、基盤的な研究を戦略的に実施すること。
(3) 職業性疾病その他の労働者の健康障害等の原因の調査、有害因子へのばく露等の 状況の究明及び対策の研究並びに災害調査技術の向上に関する研究
(4) 労働衛生に関する国際基準、国内基準の制改定等への科学技術的貢献
(5) 労働衛生に関する国内外の科学技術情報、資料等の調査

 外部評価の実施及び評価結果の公表

 研究業務を適切に推進する観点から、「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」(平成9年8月7日内閣総理大臣決定)に基づき、研究課題について第三者による事前評価、中間評価及び事後評価を積極的に実施し、その結果を研究業務に反映するとともに、評価結果及びその研究業務への反映内容を公表すること。

 成果の積極的な普及・活用

 調査及び研究の成果の普及・活用を促進するため、積極的な情報の発信を行うこと。

(1) 学会発表等の促進
 中期目標期間中における学会発表及び論文発表(行政に提出する災害調査報告書を含む。)の総数を、それぞれ1,000回以上及び400報以上とすること。
(2) インターネット等による調査及び研究成果情報の発信
 調査研究の成果については、原則として研究所ホームページに掲載すること。 また、調査研究の成果の事業場等での利用を進めるため、一般誌等での成果の普及を図ること。
(3) 国内の労働衛生研究の状況の把握及び労働衛生研究機関への情報の提供
 我が国の労働衛生研究機関の研究資源を有効に活用し、山積する労働衛生研究上の課題について効率的かつ質の高い研究を実施する環境を整備するため、国内の労働衛生研究機関の協力を得て、最新の労働衛生に関する研究の状況を把握し、120機関以上の関係研究機関に必要な情報を提供すること。
(4) 講演会等の開催
 調査研究の成果の一般への普及を目的とした講演会等の開催や研究所の一般公開を毎年度実施し、主要な調査研究成果の紹介及び研究施設の公開を行うこと。
(5) 知的財産の活用促進
 調査研究の成果については、特許権等の知的財産権の取得に努めること。また、研究所が保有する特許権のうち実施予定のないものについては、当該特許権の実施を促進するため、その全数について、特許流通データベース等を活用した積極的な公表を行い、知的財産の活用を促進すること。

 国内外の労働衛生関係機関等との協力の推進

 労働衛生分野における我が国の中核的研究機関として、蓄積された知見に基づき、国内外の労働衛生分野の研究の振興に積極的に貢献すること。

(1) 労働衛生分野における国内外の若手研究者等の育成への貢献
 国内外の若手研究者等の育成に貢献するため、これらの者の研修受入れ及び研究所職員の他機関への派遣の推進に努めること。
(2) 研究協力の促進
 国内外の労働衛生関係研究機関との研究協力のための研究所研究員の派遣及び他機関研究員の受入れの推進に努めること。

第4 財務内容の改善に関する事項

 通則法第29条第2項第4号の財務内容の改善に関する事項は、次のとおりとする。

 運営費交付金以外の収入の確保
 競争的研究資金、受託研究及びその他の自己収入のそれぞれを獲得すること。

 経費の節減を見込んだ予算による業務運営の実施
 運営費交付金を充当して行う事業については、「第2 業務運営の効率化に関する事項」で定めた事項に配慮した中期計画の予算を作成し、当該予算による運営を行うこと。


別紙1

プロジェクト研究

重点研究領域 研究課題 研究の目的 研究の到達目標 研究予定期間 備考
重点研究領域1:
有害因子等による健康影響の実態の調査及び健康管理手法の開発
 労働者の心身の健康度指標の開発
労働者の心身の健康度を評価する指標を開発することにより、適切な労働負荷管理に資する。
(1)労働負担の高い職場(長時間労働、深夜業、精神的負担等)における心身の健康度の調査
(2)労働負荷の適切な管理のための心身の健康度評価方法の開発
平成14年度中に終了すること。 平成12年度からの継続研究
 作業環境におけるダイオキシン類ばく露の生体影響に関する研究
ダイオキシン類へのばく露による生体影響を評価するための鋭敏な指標を開発することにより、健康管理に資する。
(1)焼却作業従事労働者のダイオキシン類ばく露と生体影響の評価
(2)職業性ダイオキシン類ばく露の早期生体影響評価のための鋭敏な指標と測定方法の開発
平成15年度中に終了すること。 平成12年度からの継続研究
 作業関連疾患・生活習慣病における職業因子の寄与に関する疫学的研究
様々な職場における作業関連疾患・生活習慣病における職業因子の寄与を明らかにし、職場におけるこれらの予防方法の樹立に資する。
(1)作業環境、作業内容と健康診断結果に関する疫学的調査及び作業関連疾患・生活習慣病に関する職業因子の解明
(2)職場における作業関連疾患・生活習慣病に対する予防方法の究明及び行政への提言
中期目標期間中に終了すること。  
 職業病・作業関連疾患発生状況に関する全国サーベイランス
職業病及び作業関連疾患の発生状況等を全国規模で集約するための仕組みを構築することにより、作業関連疾患における職業要因及び非職業要因の継続的な評価に資する。 [中期目標期間中の実施目標]
職業病・作業関連疾患情報を系統的に入手するための小規模なモデルサーベイランス網の構築

[参考:研究終了時における到達目標]
全国の病院を対象としたサーベイランス網構築方略とデータベース化の提案

中期目標期間中に開始すること。 次期中期目標期間への継続を想定
重点研究領域2:
化学物質等の健康影響機序の解明及び有害性評価法の確立
 労働環境中における内分泌かく乱物質(いわゆる環境ホルモン)等の遺伝子レベルの健康影響評価法等に関する研究
作業環境中の化学物質が遺伝子機能に及ぼす影響を効率的に解析・評価する方法論を確立することにより、内分泌かく乱物質等についてのリスク管理に資する。
(1)任意の化学物質がヒトの遺伝子発現に及ぼす効果を系統的に検索する方法の確立
(2)(1)の方法によるばく露後のヒト遺伝子発現変化の検索
(3)(2)の結果に基づく化学物質毒性の分子論的理解と化学物質対策の構築(平成13年度)
(4)特定の化学物質に応答する遺伝子発現を指標としたばく露影響評価法の確立(平成13年度)
平成13年度中に終了すること。 平成11年度からの継続研究
 フロン代替品に係わる労働衛生対策確立のための研究
作業環境中のフロン代替品へのばく露による健康影響を評価するための生化学的指標を開発することにより、フロン代替品による健康障害の予防に資する。
(1)フロン代替品の化学構造や物性と有害性との関係の解明
(2)有害性評価のための新しい手法の開発
(3)動物からヒトへの外挿法の改善
平成14年度中に終了すること。 平成11年度からの継続研究
 作業環境中の有害因子に対する感受性を決定する遺伝的素因に関する研究
個人間に見られる作業環境中の有害因子に対する感受性の違いを遺伝的素因の面から検討することにより、労働衛生管理上の新たなリスク管理手法の導入に資する。 [中期目標期間中の実施目標]
(1)作業環境中の有害因子(化学物質・物理因子等)に対する感受性の個人差を決定する原因遺伝子の検索・同定
(2)リスク評価への応用に関する基礎的検討

[参考:研究終了時における到達目標]
労働衛生管理における活用の在り方に関する提言

中期目標期間中に開始すること。 次期中期目標期間への継続を想定
 有害因子ばく露の低濃度化等の状況における生体影響指標の開発と健康管理
従来の生体影響指標に比べ、より鋭敏な指標を開発し、健康診断等の健康管理への適用を図ることにより、有害因子への低濃度長期ばく露に起因する産業中毒の予防に資する。 [中期目標期間中の実施目標]
化学物質等のばく露状況の低濃度化の把握

[参考:研究終了時における到達目標]
(1)低濃度ばく露の有害性を評価する手法の開発
(2)低濃度ばく露状況に適用できる健康影響指標の開発

中期目標期間中に開始すること。 次期中期目標期間への継続を想定
重点研究領域3:
ストレス、疲労等の要因の解明及び職場環境の快適化
 情報化職場の快適化に関わる労働衛生上の要件に関する研究
情報技術を職域へ導入する際の労働者の疲労やストレスを科学的に把握して、人間工学上の望ましい要件を明らかにすることにより、情報化が急速に進みつつある中での職場の快適化に資する。
(1)情報化職場の快適化に向けた課題抽出
(2)労働衛生に関わる人間工学上の実践的マニュアルの策定
中期目標期間中に終了すること。  
 筋骨格系障害予防のための疫学的及び労働生理学的研究
腰痛等の筋骨格系障害についてバイオメカニズム的な検討を行うことにより、筋骨格系障害予防対策の見直しに資する。 [中期目標期間中の実施目標]
(1)筋骨格系障害の発生機序のバイオメカニズム的検討
(2)筋骨格系障害予防対策の提言のための介入研究

[参考:研究終了時における到達目標]
筋骨格系障害予防対策への提言

中期目標期間中に開始すること。 次期中期目標期間への継続を想定
 高年齢労働者の職業性ストレスに関する総合的研究
情報技術化が進む中での高年齢労働者の産業ストレスを多角的アプローチにより把握し、その解決策を探ることにより、高年齢労働者にとってより快適な労働環境の構築に資する。
(1)疫学、免疫学、生理学、心理学的手法を総合的に用いた産業ストレスに関する評価
(2)高年齢労働者の産業ストレスとその予防対策への提言
中期目標期間中に終了すること。  
重点研究領域4:
より精度の高い化学物質、物理因子等の測定法の開発及び作業環境管理・作業管理手法の開発
 有機溶剤等を取り扱う非定常作業の作業環境管理に関する調査研究
非定常的な作業時における有害ガスの発生状況を正確に測定できる方法を開発することにより、当該作業時の作業環境の実態調査及び評価並びにその管理方法の検討を行い、非定常作業における作業環境管理方法の確立に資する。
(1)非定常作業に適用できる作業環境測定、ばく露測定の手法の開発
(2)代表的な非定常作業に関する有害物質発生の現状と有効な測定方法を基礎にした、ばく露防止のための作業環境管理方法の検討及び行政への提言
中期目標期間中に終了すること。  
 労働環境における全身振動ばく露の計測と対策に関する研究
全身振動による身体的負荷を減少させる工学的対策を確立することにより、全身振動にばく露されることによる健康障害の予防に資する。
(1)全身振動にばく露される労働者のばく露量の正確な測定法の確立
(2)全身振動による負荷を減少させる工学的対策の確立
中期目標期間中に終了すること。  


別紙2

基盤的研究領域


(1)職場有害因子の健康影響に関する疫学的研究
(2)職業性ストレスの健康影響に関する研究
(3)長時間労働、深夜業等の健康影響評価と対策
(4)情報関連機器に関わる人間とシステムのインタラクション
(5)機器操作に関わる労働生理学的及び人間工学的研究
(6)緊急に対策が求められている有害因子の健康影響に関する研究
(7)化学物質と物理的因子の有害性評価に関する研究
(8)職場有害因子の生体影響機序に関する基盤的研究
(9)有害化学物質の環境濃度・ばく露レベルの計測と評価に関する研究
(10)有害物理因子の計測と評価に関する研究
(11)有害化学物質・有害物理因子の制御と管理技術に関する研究
(12)保護具に関する研究
(13)職場における健康管理に関する研究
(14)行政調査資料等による作業関連疾患等に関する研究



 照会先:労働基準局 安全衛生部計画課 (内線5550)


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