戻る

IV章.具体的な援助技法

はじめに
 「ひきこもり」に関する相談・援助は増加の傾向にありますが、本人の来談がないことや、決定的な援助方法がないことなどにより、長期化することが多くなっています。「ひきこもり」事由とする相談は家族からのものも多く、援助の対象を特定できないことも、問題の一因となっています。
 ひきこもっている人々に対する援助にあたっては、自宅を中心とした生活から社会への参加に至る継続的な流れのなかで、さまざまなアプローチによって変化を引き起こしていくことが必要です。また、本人に対する援助のほかに、家族への援助を積極的に行っていく必要もあります。
 前章で述べたように、「ひきこもり」を主訴として相談をおこなうケースには、要因や背景といった点で多様性が見られるため、一概に「ひきこもり」に有効な援助技法を論じることはできません。個々のケースに対して、「ひきこもり」の状態を適切に判断し、達成することができる援助方針を立てていくことが必要です。この際、精神科リハビリテーションの枠組みにとどまらず、保健・福祉・教育・労働などの各領域にわたる活動を加え、本人や家族との個別相談、各種のグループワーク、就労や生活のサポート、さらには危機介入的な関わりなどをおこなっていくことが重要になります。

図:「ひきこもり」に対する援助のスキーム

図


参考文献:近藤直司編 「ひきこもり」ケースの家族援助 2001 金剛出版


トップへ
戻る