1.医療保険制度の現状 |
○ | 日本の医療保険制度は、病気やケガをしたとき、国民の誰もが医療機関に保険証を提示して、医療費の一部を負担するだけで医療を受けることができる国民皆保険制度をとっています。 | |||||||||
○ | 急速な高齢化の進展に伴って老人医療費を中心に医療費が増大する一方、経済の低迷により保険料収入は伸び悩んでいます。 医療費は、平成2年には20.6兆円(うち老人医療費5.9兆円)だったものが、12年には30.4兆円(うち老人医療費11.2兆円)と急増しています。
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○ | このため、各医療保険制度の財政は非常に厳しい状況にあります。 | |||||||||
○ | 特に中小企業のサラリーマンやその家族(約3,600万人)の方が加入する政府管掌健康保険(政管健保)の財政は大幅な赤字が続いており、3割負担を導入しなければ、医療費の支払いが滞る状況にあります。 |
2.3割負担へのご理解とお願い |
○ | このような中で、国民皆保険を将来にわたり守っていくためには、保険料だけに負担を求めるのではなく、患者の方々にも相応の負担をお願いすることが必要です。 |
○ | 自営業者の方などが加入する国民健康保険やサラリーマンの家族の外来は既に窓口負担は3割となっており、サラリーマン本人の3割負担は、制度を通じた「分かりやすく公平な給付」を実現するものです。 |
○ | 仮に3割負担を実施しなければ、保険財政をさらに悪化させ、より大きな負担増として国民生活に影響を与えることとなります。 |
○ | 中小企業のサラリーマンやその家族(約3,600万人)の方々を対象とした政府管掌健康保険(政管健保)については、仮に3割負担を実施しない場合、平成15年度の収支は約3,400億円悪化すると見込まれます。 |
○ | 政管健保の15年度予算案は、診療報酬の改定の影響などによる14年度の医療費の減少も織り込んだ上で編成していますが、最近の保険料収入の減少などから、政管健保の財政状況は厳しい状況にあり、3割負担を導入した場合でも、15年度における積立金は約900億円にとどまります。 |
○ | このため、仮に3割負担の導入を凍結した場合には、積立金を取り崩しても、約2,500億円の穴があくことになり、15年度には政管健保の医療費の支払いを行うことができなくなります。 医療費を支払うためには、サラリーマンの方の保険料を現在予定されている引上げ(被保険者1人あたり年間約2.5万円)に加え、さらなる引上げ(同1.8万円)を行わなければならなくなります。 |
○ | また、3割負担導入に合わせて、以下のような措置も実施されます。
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○ | 薬剤一部負担金の廃止により、サラリーマン本人の負担増が緩和されます。 また、サラリーマンの家族(通院)や国民健康保険の方は、従来より3割負担ですので、薬剤一部負担金の廃止により、負担は減少します。 |
○ | なお、医療保険制度においては、患者負担には一定の歯止め(自己負担限度)が設けられており、一般的な所得の方では1か月当たりの限度額が72,300円(医療費が高額な場合にはプラス1%)となっており、単純に負担が2割から3割へと1.5倍になるわけではありません。 自己負担限度額を超える金額は払い戻され、実質的な負担割合は3割より軽くなります(例えば、医療費が100万円かかった場合は、自己負担は約8万円、自己負担割合は8%です。)。 |
○ | 特に、所得の低い方(住民税非課税の方)については、自己負担限度額を従来の水準(35,400円)に据え置くなどの配慮も行っています。 |
照会先 厚生労働省保険局保険課 03-5253-1111 内線 3247 |
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(単位:億円) |
(図3) 1か月あたりの自己負担限度額
制度改正前 〜14年9月 |
制度改正後 14年10月〜 |
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上位所得者 (月収56万円以上) |
121,800円+1% (70,800円) |
139,800円+1% (77,700円) |
一般 | 63,600円+1% (37,200円) |
72,300円+1% (40,200円) |
低所得者 (住民税非課税) |
35,400円 (24,600円) |
据え置き |
具体例 (一般の方の場合)
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