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建築物衛生法関連政省令改正の概要
1.はじめに
我が国では、戦後の経済発展、人口の都市への集中、建築技術の目覚ましい進歩等に伴って、都市部を中心に大規模な建築物が数多く建設され、そのような建物の中で一日の大半を過ごす人々が飛躍的に増大した。生活や活動の場である建築物は、安全性はもとより、健康で衛生的な環境が保持されていなければならない。建築物における衛生的環境の確保は、建築物の設計・施工と維持管理が併せて適切に行われることにより達成されるが、建築物の構造や用途が多様化している今日にあっては、日常の維持管理の寄与度が大きいことは言うまでもない。
建築物における衛生的環境の確保に関する法律(略称:建築物衛生法)は、不適切な建築物の維持管理に起因する健康への影響事例が昭和30年代にいくつも報告されたことを受け、建築物の維持管理に関し、環境衛生上必要な事項等を定めることにより、建築物における衛生的な環境の確保を図り、公衆衛生の向上及び増進に資することを目的として、昭和45年に制定されたものである。
この法律が施行されてから30年余が経過し、この間、建築物の衛生水準が著しく向上したことは多くの人が認めるところであるが、近年、より衛生的で快適な生活環境への社会的ニーズの高まり、地球温暖化問題・省エネルギー対応等の環境配慮型の建築物への関心の増加など、建築物衛生を取り巻く状況は大きく変化してきており、本法律についても、建築物衛生上の新たな課題に対応すべく、関連政省令の見直しを行う運びとなった。
見直しに先立ち、本法律に規定している建築物環境衛生管理基準の在り方等について検討するため、平成13年10月に建築物衛生管理検討会(座長:吉澤 晋(愛知淑徳大学現代社会学部教授))を設置し、平成14年6月までに計6回にわたり、有識者の方々による議論をお願いしてきた。
その後、本検討会の報告書が平成14年7月に取りまとめられ、この報告書の提言を踏まえ、建築物衛生法関連政省令の改正を行うべく、パブリックコメント等の手続きを経て、今般の改正政省令の公布に至ったものである。
2.関連政省令の改正の概要
(1)特定建築物の範囲の見直し
特定用途(興行場、百貨店など特定建築物の要件として定められている用途)に供される延べ面積が3,000m2以上である建築物のうち、特定用途以外の用途に供される部分の延べ面積が特定用途に供される部分の延べ面積の10%を超える建築物を新たに特定建築物の対象に加えること。
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- <趣旨>
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「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」では、興行場、百貨店、事務所などの建築物のうち、多数の者が使用・利用し、その維持管理について環境衛生上、特に配慮が必要な建築物を「特定建築物」と定め、その範囲を政令で定めている(施行令第1条)。
現行の政令では、興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校、旅館など、第1条各号に掲げる特定の用途に用いられる建築物のうち、延べ面積が3,000m2以上(学校教育法第1条に規定する学校の場合は8,000m2以上)である建築物を特定建築物としているが、これら特定の用途以外に用いる部分の面積が特定の用途に用いる部分の面積の10%を超える建築物(以下「10%除外規定適用建築物」という。)については、特定建築物の対象から除外している。
これは、昭和45年の政令の制定時には、建築物全体を同一の基準で維持管理することが前提とされており、特定の用途以外に用いられる部分が一定以上の建築物は、対象から除外することが合理的と考えられていたためである。
しかしながら、近年、建築物の大型化・複合用途化が進む中で、特定用途部分の延べ床面積が非常に大きいにもかかわらず、特定建築物に該当しない10%除外規定適用建築物が増加しており、過去に実施された実態調査の結果では、これら10%除外規定適用建築物は、特定建築物と比較して、建築物環境衛生管理基準の不適合率が高く、利用者の健康への影響が懸念される場合があるとの結果が出ている。また、建築物全体を同一の基準で維持管理するという考え方は、現在の建築物の維持管理の実態に必ずしも合致していないという問題も生じている。
このため、従来、特定建築物から除外されていた10%除外規定適用建築物を新たに特定建築物の対象に加える旨の改正を行った。
(2)空気調和設備又は機械換気設備の維持管理基準の見直し
(1) | 建築物環境衛生管理基準に従って空気環境の調整を行わなければならない空気調和設備及び機械換気設備について、中央管理方式の設備に限定している規定を削除すること。 |
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- <趣旨>
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特定建築物の空気調和設備及び機械換気設備の維持管理については、現行、「中央管理方式(各居室に供給する空気を中央管理室等で一元的に制御する方式)」の設備に限って、維持管理の基準が適用されることとされている。
これは、昭和45年の政令の制定時には、建築物全体を同一の基準で一元的に管理することが前提とされており、中央管理方式の設備に限定することが合理的と考えられていたためである。
しかしながら、昭和45年当時には家庭用のルームクーラーとして専ら利用されていた「中央管理方式以外の空気調和設備(各居室において個別に管理する方式)」が、最近は、技術改良等により比較的規模の大きな建築物においても導入されるようになっている。また、1台の室外機により複数室の室内機に冷媒を供給する方式の空気調和設備も普及している。
一方で、中央管理方式以外の空気調和設備を設けている建築物は、現行では、建築物環境衛生管理基準の適用外とされているため、換気量が十分に確保されず、室内空気の汚染が懸念されることや十分な湿度管理が行われておらず、冬季には低湿度状態になる傾向にある等の問題が指摘されている。
このため、今般、中央管理方式以外の空気調和設備及び機械換気設備についても、中央管理方式と同様の維持管理を行うよう、維持管理基準の見直しを行ったものである。
(2) | 空気環境の調整を行わなければならない物質の基準に「ホルムアルデヒドの量」を追加し、その基準値を「1m3につき0.1mg以下(0.08ppm)」とすること。 |
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- <趣旨>
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近年、住宅等の気密性の向上、化学物質を放散する多様な建築材料や家庭用品の普及等に伴い、住宅等における化学物質等による室内空気の汚染と、それによる健康被害が指摘されている。
地方公共団体等で実施した調査によれば、ビル等の建築物については、室内に発生源が存在せず十分な換気量が確保されている条件下では、建築物の竣工後、時間の経過に伴い化学物質の濃度は低減する傾向にある。しかし、建築物の構造等の条件によっては、建築物の竣工及び使用開始後の一時的な期間、化学物質の濃度が高くなり、健康への影響が生じる可能性を示唆する報告もある。
先に紹介した「建築物衛生管理検討会」の報告の中でも、「建築物の使用開始時や大規模な修繕・模様替を実施した場合には、ホルムアルデヒド等の化学物質の濃度測定を実施し、濃度測定の結果、比較的高い水準の化学物質濃度が認められた場合には、維持管理上必要な改善策を講ずるといった対応が必要」との指摘を受けており、本指摘を踏まえ、ホルムアルデヒドの濃度の基準を新たに追加した。
また、具体的な測定については、
ア. | 特定建築物の建築、大規模の修繕、大規模の模様替を行った際に、測定すること |
イ. | 測定時期は、特定建築物の建築、大規模の修繕、大規模の模様替を行い、その使用を開始した日以後最初に訪れる6月1日から9月30日までの間とすること |
ウ. | 測定器は、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン捕集-高速液体クロマトグラフ法により測定する機器、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール法により測定する機器又は厚生労働大臣が別に指定する測定器により測定すること |
等を省令により新たに規定した。
(3) | 空気調和設備を設置している場合は、病原体によって居室の内部の空気が汚染されることを防止するための措置を講ずること。 |
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- <趣旨>
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近年、冷却塔等で増殖したレジオネラ属菌の集団感染、空気調和設備に起因する結核の集団感染、冬季の低湿条件下でのインフルエンザの集団感染が起きており、空気清浄装置、加湿装置、冷却塔、ダクト等の空気調和設備の構成機器が、種々の病原体の汚染源となりうることが報告されている。
これを防止するためには、空気調和設備のシステム全体の点検・清掃を定期的に実施するとともに、加湿装置や冷却塔の補給水について、雨水や下水処理水ではなく水道水質基準を満たす水を用いるなどの措置を講ずる必要がある。
このため、空気調和設備の維持管理の基準について、レジオネラ属菌等の病原体によって居室内の空気が汚染されることを防止するための措置を講ずることを新たに追加したものである。
具体的な措置としては、
ア. | 冷却塔及び加湿装置に供給する水は、水道水質基準を満たす水を用いること |
イ. | 冷却塔、冷却水及び加湿装置の汚れの状況を、当該機器等の使用開始時及び使用期間中の1ヶ月以内ごとに1回、定期的に点検し、必要に応じて換水、清掃等を行うこと |
ウ. | 空気調和設備内に設けられた排水受けの汚れ及び閉塞の状況を、当該機器の使用開始時及び使用期間中の1ヶ月以内ごとに1回、定期的に点検し、必要に応じて清掃等を行うこと |
エ. | 冷却塔、冷却水の水管、加湿装置の清掃を1年以内ごとに1回、定期的に行うこと |
等を省令により、新たに規定した。
(3)給水装置の維持管理基準の見直し
(1) | 現行では、飲料水を供給する場合に限って、水道法の水質基準に適合することとしているが、飲料水として供給する水の定義範囲を明確化し、飲用以外の生活用の目的で水を供給する場合も、水道法の水質基準に適合させること。 |
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- <趣旨>
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給水設備の維持管理基準については、現行の政令では、飲料水を供給する場合に限り、水道法の水質基準に適合する水を供給することとされている。
しかしながら、近年、利用者の快適性の追及や技術の向上等に伴い、大規模の建築物において、飲用目的だけでなく、浴用や炊事用など幅広い目的のために加熱した水を供給する給水設備が増えている。こうした給水設備については、レジオネラ属菌等の細菌類の増殖や金属類の溶出などによる水質劣化が見られることが報告されており、これを防止するための措置を講ずることが必要になっている。
このため、給水設備を設ける場合、飲用目的だけでなく、これに類するものとして、炊事用、浴用(旅館業法の許可を受けている施設における浴用を除く。)、手洗い用その他人の生活用に水を供給する場合も、飲料水を供給する設備の範疇に含め、水道法の水質基準に適合する水を供給することとした。
(2) | 生活用の目的以外の目的で水(いわゆる雑用水)を供給する場合は、人の健康に係る被害が生ずることを防止するための措置を講ずること。 |
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- <趣旨>
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給水設備の維持管理の基準については、今回の政省令改正で水道法の水質基準に適合しなければならない給水設備の範囲を、飲用目的だけでなく、これに類するものとして生活用として供給する場合も含むこととした。
しかしながら、近年、建築物内で発生した排水の再生水や雨水、下水処理業者の供給する再生水、工業用水などを、便所の洗浄水をはじめ散水、修景用水、栽培用水、清掃用水などの、いわゆる雑用水として、多様な用途に用いるようになっている。
これらの雑用水は、人の飲用や浴用など日常の生活用として供給されるものではないが、汚染された雑用水を噴水の飛沫等の形で吸引あるいは小児が誤飲すれば、健康被害が生じるおそれがあるなど、衛生上の問題が指摘されているところである。
このため、生活用の目的以外の目的で水(いわゆる雑用水)を供給する場合には、人の健康に係る被害が生ずることを防止するための措置を講ずることを新たに基準に追加した。
具体的な措置としては、
ア. | 給水栓における遊離残留塩素の含有率を0.1ppm(結合残留塩素の場合は0.4ppm)以上に保持すること。ただし、供給する雑用水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある等の場合には、遊離残留塩素の含有率を0.2ppm(結合残留塩素の場合は1.5ppm)以上に保持すること |
イ. | 雑用水槽の点検など、有害物や汚水等によって水が汚染されることを防止ための措置を講すること |
ウ. | 雑用水を散水、修景、清掃に使用する場合は、し尿を含む水を原水として用いないこととし、pH値、臭気、外観、大腸菌群、濁度について、建築物環境衛生管理基準に適合すること |
エ. | 雑用水を水洗便所に使用する場合は、pH値、臭気、外観、大腸菌群について、建築物環境衛生管理基準に適合すること |
オ. | 建築物環境衛生管理基準のうち、遊離残留塩素、pH値、臭気、外観については、7日以内ごとに1回、大腸菌群、濁度については、2ヶ月以内ごとに1回、定期検査を実施すること |
カ. | 供給する雑用水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに供給を停止し、かつ、その雑用水を使用することが危険である旨を関係者に周知させること |
等を省令により、新たに規定した。
(4)清掃及びねずみ等の防除
日常行う清掃のほか、大掃除を6ヶ月以内ごとに1回、定期的かつ統一的に行うこと。
ねずみ等の発生場所、生息場所などについて、6ヶ月以内ごとに1回、定期的かつ統一的に調査を実施し、調査結果に基づき、ねずみ等の発生を防止するための措置を講ずること。
殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合は、薬事法上の製造販売の承認を得た医薬品又は医薬部外品を用いること。
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- <趣旨>
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ねずみ、昆虫等は、病原微生物を媒介し、人に感染症をもたらすおそれがあることから、建築物における衛生的環境を確保する上で、その防除が重要視されてきた。現在、我が国では、媒介動物が関与した感染症の発生は極めて少なくなっているものの、世界的には発展途上国だけではなく先進諸国においても、しばしば媒介動物が重大な疾病問題の原因となっている現状がある。また、近年、建築物の大型化や室内の温熱環境の向上に伴い、都市部においてねずみやゴキブリが増加傾向にあることが指摘されており、今後も、疾病予防の観点から、建築物におけるねずみ、昆虫等の対策に注意を払うことが重要である。
一方、「防除とは、殺そ剤や殺虫剤を散布することである」と誤解され、一部では、殺そ剤及び殺虫剤の乱用や不適切な使用が見受けられており、近年、薬剤を防除に使用することへの批判が強まっている。このような中、建築物におけるねずみ等の防除においては、IPM(総合防除)という考え方が注目されている。IPMは、「害虫等による被害が許容できないレベルになることを避けるため、最も経済的な手段によって、人や財産、環境に対する影響が最も少なくなるような方法で、害虫等と環境の情報をうまく調和させて行うこと」と定義されており、生息状況調査を重視した防除体系である。
改正前の省令規定では、建築物維持管理権原者は、日常行う清掃のほか、清掃及びねずみ等の防除を6ヶ月以内ごとに1回、定期的かつ統一的に行うこととされてきたが、これらの現状を踏まえ、(1)日常行う清掃と6ヶ月に1回の清掃の明確化、(2)ねずみ等の防除における生息状況調査の導入、(3)ねずみ等の防除に殺そ剤・殺虫剤を用いる場合の人体への安全性の担保、等を目的として、省令の規定内容を標記のよう改めることとした。
特定建築物の範囲の見直し
改正前 |
(1)建築基準法にいう建築物 であること
(2)A>3,000m2 (学校の場合はA>8,000m2 )
(3)B/A*100<10(%)
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→ |
改正後 |
(1)建築基準法にいう建築物 であること
(2)A>3,000m2 (学校の場合はA>8,000m2 )
(3)B/A*100<10(%)
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特定用途の延床面積Aとは、
(1) | 専ら特定用途に供される部分 |
(2) | 特定用途に附随する部分(廊下、階段、洗面所等) |
(3) | 特定用途に附属する部分(百貨店内の倉庫、事務所附属の駐車場等) |
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1.空気調和設備又は機械換気設備の維持管理
(1)中央管理方式の限定削除
現行は、中央管理方式の空気調和設備・機械換気設備を設けている場合に限り、空気環境に係る基準(表1のうち1〜6の基準)等が適用されていますが、改正後は、以下のいずれかの設備を設けている場合には、同基準等が適用されます。
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(適用設備)
1.空気調和設備: | 空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給をすることができる設備 |
2.機械換気設備: | 空気を浄化し、その流量を調節して供給をすることができる設備 |
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(表1:空気環境に係る維持管理基準)
1 | 浮遊粉じんの量 | 空気1m3につき0.15mg以下 |
2 | 一酸化炭素の含有率 | 100万分の10以下(10ppm以下) |
3 | 二酸化炭素の含有率 | 100万分の1000以下(1000ppm以下) |
4 | 温度 |
@. | 17度以上28度以下 |
A. | 居室における温度を外気より低くする場合は、その差を著しくしないこと |
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5 | 相対湿度 | 40%以上70%以下 |
6 | 気流 | 1秒間につき0.5m以下 |
7 | ホルムアルデヒドの量 | 空気1m3につき0.1mg以下 |
(注) | イ. | 機械換気設備については、4・5の基準は適用されない。 |
ロ. | 1〜6については、2か月以内ごとに1回、定期に測定すること。 |
ハ. | 7の測定については、(2)を参照のこと。 |
(2)「ホルムアルデヒドの量」の維持管理基準への追加
空気調和設備又は機械換気設備を設けている場合は、ホルムアルデヒドの量について、(1)の7にある維持管理基準に適合する空気を供給すること、また、特定建築物において、新築等を行った場合は、表2の方法により室内空気中のホルムアルデヒドの量の測定を行うことが必要となります。
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(表2:ホルムアルデヒドの量の測定について)
(1) | 測定時期
新築・増築、大規模の修繕、大規模の模様替えを完了し、当該建築物の使用を開始した時点から直近の6月1日から9月30日までの間 |
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(2) | 測定に用いる測定器
下記のいずれかを用いること。
イ. | DNPH捕集-高速液体クロマトグラフ法により測定する機器 |
ロ. | 4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1・2・4-トリアゾール法(AHMT吸光光度法)により測定する機器 |
ハ. | 厚生労働大臣が別に指定する測定器 |
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(3) | サンプリング
イ. | 場所:各階ごとの任意の居室 |
ロ. | 時間帯:通常の使用時間 |
ハ. | 位置:居室中央部の床上0.75m〜1.20mの高さ |
ニ. | サンプリング時間:30分間 |
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(3)空気調和設備の病原体汚染を防止するための措置
空気調和設備を設けている場合は、病原体によって居室の内部の空気が汚染されることを防止するため、表3に掲げる措置が必要となります。
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(表3:空気調和設備に関する衛生上必要な措置)
(1) | 冷却塔及び加湿装置に供給する水は、水道法第4条に規定する水質基準に適合していること。 |
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(2) | 冷却塔及び冷却水について、当該冷却塔の使用開始時及び使用期間中の1か月以内ごとに1回、定期に、汚れの状況を点検し、必要に応じ、清掃及び換水等を行うこと。 |
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(3) | 加湿装置について、当該加湿装置の使用開始時及び使用期間中の1か月以内ごとに1回、定期に、汚れの状況を点検し、必要に応じ、清掃等を行うこと。 |
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(4) | 空気調和設備内に設けられた排水受けについて、当該排水受けの使用開始時及び使用期間中の1か月以内ごとに1回、定期に、汚れ及び閉塞の状況を点検し、必要に応じ、清掃等を行うこと。 |
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(5) | 冷却塔、冷却水の水管及び加湿装置の清掃を、それぞれ1年以内ごとに1回、定期に、行うこと。 |
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2.給水装置の維持管理
(1)水道水質基準への適合等が必要な水の範囲
現行は、飲料水を供給する場合に限り、水道法第4条に規定する水道水質基準及び衛生上必要な措置等(表4)が適用されていますが、改正後は、人の飲用、炊事用、浴用その他人の生活用に水(温水を含む。)を供給する場合には、同様の基準等が適用されます。ただし、旅館における浴用水については、旅館業法に基づき、別途、維持管理が行われていることから、規制の対象外となります。
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(表4:飲料水に関する衛生上必要な措置等)
(1) | 給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率を0.1ppm(結合残留塩素の場合は、0.4ppm)以上に保持するようにすること。ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合又は病原物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれがある場合の給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率は、0.2ppm(結合残留塩素の場合は、1.5ppm)以上とすること。 |
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(2) | 貯水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するため必要な措置を講ずること。 |
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(3) | 水道法第3条第2項に規定する水道事業の用に供する水道又は同条第6項に規定する専用水道から供給を受ける水のみを水源として飲料水を供給する場合は、当該飲料水の水質検査を次に掲げるところにより行うこと。
イ. | 水質基準省令の表中1の項、2の項、6の項、10の項、30の項から32の項までの項、35の項、37の項及び41の項から46の項までの項の上欄に掲げる事項について、6か月以内ごとに1回、定期に、行うこと。 |
ロ. | 水質基準省令の表中21の項から25の項までの項の上欄に掲げる事項について、毎年、6月1日から9月30日までの間に1回、行うこと。 |
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(4) | 地下水その他の(3)に掲げる水以外の水を水源の全部又は一部として飲料水を供給する場合は、当該飲料水の水質検査を次に掲げるところにより行うこと。
イ. | 給水を開始する前に、水質基準省令の表の上欄に掲げるすべての事項について行うこと。 |
ロ. | 水質基準省令の表中1の項、2の項、6の項、10の項、30の項から32の項までの項、35の項、37の項及び41の項から46の項までの項の上欄に掲げる事項について、6か月以内ごとに1回、定期に、行うこと。 |
ハ. | 水質基準省令の表中21の項から25の項までの項の上欄に掲げる事項について、毎年、6月1日から9月30日までの間に1回、行うこと。 |
ニ. | 水質基準省令の表中12の項から20の項までの項、39の項及び40の項の上欄に掲げる事項について、3年以内ごとに1回、定期に、行うこと。 |
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(5) | 給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。 |
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(6) | (4)の場合においては、特定建築物の周辺の井戸等における水質の変化その他の事情から判断して、当該飲料水について水質基準省令の表の上欄に掲げる事項が同表の中欄に掲げる基準に適合しないおそれがあるときは、同表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。 |
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(7) | 遊離残留塩素の検査及び貯水槽の清掃を、それぞれ7日以内、1年以内ごとに1回、定期に、行うこと。 |
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(8) | 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させること。 |
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(9) | 給水に関する設備を設けて飲料水を供給する場合は、水道水質基準に適合する水を供給するため、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、これらの設備の維持管理に努めること。 |
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(2)雑用水を供給する場合の必要な措置
散水、修景、清掃、水洗便所の用に供する水(雑用水)として、雨水、下水処理水等を使用する場合には、人の健康に係る被害が生ずることを防止するため、衛生上必要な措置等(表5)が必要となります。ただし、水道水を用いている場合については、規制の対象外となります。
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(表5:雑用水に関する衛生上必要な措置等)
(1) | 給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率を0.1ppm(結合残留塩素の場合は、0.4ppm)以上に保持するようにすること。ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合又は病原物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれがある場合の給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率は、0.2ppm(結合残留塩素の場合は、1.5ppm)以上とすること。 |
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(2) | 雑用水の水槽の点検等有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。 |
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(3) | 散水、修景、清掃の用に供する水は、以下により維持管理を行うこと。
イ. | し尿を含む水を原水として用いないこと。 |
ロ. | 次の基準に適合すること。
pH値 | 5.8以上8.6以下であること |
臭気 | 異常でないこと |
外観 | ほとんど無色透明であること |
大腸菌群 | 検出されないこと |
濁度 | 2度以下であること |
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ハ. | pH値、臭気、外観の検査を7日以内ごとに1回、大腸菌群、濁度の検査を2か月以内ごとに1回、定期に行うこと。 |
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(4) | 水洗便所の用に供する水は、以下により維持管理を行うこと。
イ. | pH値、臭気、外観、大腸菌群について、(3)ロ.の基準に適合すること。 |
ロ. | pH値、臭気、外観の検査を7日以内ごとに1回、大腸菌群の検査を2か月以内ごとに1回、定期に、行うこと。 |
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(5) | 遊離残留塩素の検査を、7日以内ごとに1回、定期に、行うこと。 |
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(6) | 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに供給を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を使用者又は利用者に周知すること。 |
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(7) | 給水に関する設備を設けて雑用水を供給する場合は、人の健康に係る被害が生ずることを防止するため、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、これらの設備の維持管理に努めること。 |
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3.清掃及びねずみ等の防除
清掃及びねずみ等の防除の実施方法は、表6のとおりです。
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(表6:清掃等及びねずみ等の防除)
(1) | 清掃
日常行う掃除のほか、大掃除を、6か月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うこと。 |
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(2) | ねずみ、昆虫その他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのる動物(ねずみ等)の防除
イ. | ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ等による被害の状況について、6か月以内ごとに1回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ等の発生を防止するため必要な措置を講ずること。 |
ロ. | ねずみ等の防除のため殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合は、薬事法上の製造販売の承認を得た医薬品又は医薬部外品を用いること。 |
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(3) | 掃除、廃棄物の処理、ねずみ等の発生及び侵入の防止並びに駆除を行う場合は、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、掃除及びねずみ等の防除並びに掃除用機器等及び廃棄物処理設備の維持管理に努めること。 |
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