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児童扶養手当制度が改正されます

 母子家庭が自立した生活を送ることを支援するため、子育て支援、就労支援、養育費の確保策など総合的な施策の展開が進められています。この一環として児童扶養手当についても制度を改正し、平成14年8月から適用することとしています。


 最近、離婚が大変増えています。これに伴って母子家庭も増えています。

 女性が一人で子どもを育てながら、働き、子どもとともに生活をするために必要な収入を得ることは大変です。

 児童扶養手当制度は、このような母子家庭の生活の安定と自立を促進するため設けられた制度です。この制度が母子家庭の自立の意欲を高め、またこれから母子家庭がさらに増えても、制度が母子家庭の皆様を支えることができるよう改正を行います。


児童扶養手当の改正内容について

 母子家庭等に支給されている児童扶養手当制度が今年の8月から改正されます。現在は、所得に応じて、手当額は2段階(全部支給が月額42,370円、一部支給が月額28,350円)ですが、今回の改正では、全部支給と一部支給の所得の限度額が変わり、一部支給の手当額については、所得に応じてきめ細かく定められます。
 また、児童扶養手当の支給事務は、現在、都道府県で行っていますが、8月からは、市が行います。(福祉事務所を設置する町村では、町村が行います。また、福祉事務所を設置していない町村の区域は、引きつづき都道府県が事務を行います。)

(1)改正の趣旨

 現在の児童扶養手当は、所得に応じて手当額が2段階のため、収入が増えても、収入と手当の合計額である総収入額がかえって減ってしまう場合があります。今回の改正では、就労等により収入が増えた場合、手当を加えた総収入がなだらかに増えていくように、手当額がきめ細かく定められます。

(2)具体的な内容

(ア)所得制限限度額と手当額の見直し

 現在の手当は、母と子ども1人の母子家庭を例にとると、収入が204.8万円未満の場合は、全部支給の42,370円(月額)が支給されています。また、収入が204.8万円以上で300万円未満の場合は、一部支給額の28,350円(月額)が支給されています。
 今回の改正では、全部支給、一部支給、支給停止を決定する所得の限度額が変わるとともに、一部支給の額が所得に応じてきめ細かく設定されます。
 まず、所得の限度額は、先ほどの母と子ども1人の母子世帯を例にとると、収入が130万円(「所得」で、57万円)未満の場合は、全部支給額が支給され、収入が130万円以上で365万円未満(「所得」で、57万円以上で230万円未満)の場合には、一部支給額が支給されます。
 また、支給額(月額)は、全部支給はこれまでと同じ42,370円ですが、一部支給は、所得に応じて、42,360円から10,000円までの10円きざみの額となります。(詳しくは「改正後の手当額」の算式をご覧下さい。)
 なお、扶養親族等の数が異なるとこれらの限度額は変わります。さらに手当額も第2子については月額5,000円、第3子以降については1人につき月額3,000円が従来どおり加算されます。実際の適用は、収入から給与所得控除などを控除し、養育費の8割相当額を加えた額(児童扶養手当では、これを「所得」と言います。)と「平成14年度所得制限限度額」の表に記載されている限度額とを比較して、全部支給、一部支給、支給停止のいずれかに決まります。このため上記の収入130万、365万円はあくまでも目安です。

(イ)所得の範囲等の見直し

 児童扶養手当を請求する者が母親の場合には、所得の範囲が次のように変わりますのでご留意ください。(養育者については、従来どおりです。)

ア 母がその監護する児童の父から、その児童について扶養義務を履行するための費用として受け取る金品等について、その金額の80%(1円未満は四捨五入)が「所得」として取り扱われます。

イ 従来、収入から控除していた寡婦控除、寡婦特別加算は控除しないこととなります。

ウ また、請求者が特別障害者控除を受けている場合、収入から控除できる額が35万円から40万円に引き上げられます。(これは母と養育者の両方に適用されます。)

(ウ)制度改正に伴う配慮

 このような児童扶養手当制度の改正が、生活に与える影響を緩和する観点から、現在、児童扶養手当を受給している方で今回の改正により手当額が減額となった方を対象に新たな貸付金(特例児童扶養資金)を設け、無利子の貸付を行います。(詳しくは「母子福祉貸付金の活用」をご覧下さい。)

(3)実施時期

 今回の改正は、今年の8月から実施されます。なお、手当の実際の支払いは、8月分から11月分までの4ヶ月分をまとめて12月に行われますので、新しい制度による手当の支給は、12月支給分からとなります。
 また、今回の改正に伴って、毎年の現況届などの記載事項も変わります。さらに、新たに養育費等に関する申告書などの書類も提出していただくことがありますのでご留意ください。


児童扶養手当の給付水準(母と子ども1人の世帯)図


平成14年度所得制限限度額
(平成14年8月1日以降)
扶養親族等の数 本人 孤児等の養育者、配偶者、扶養義務者の所得制限限度額
全部支給の所得制限限度額 一部支給の所得制限限度額
  万円 万円 万円
0人 19 192 236
1人 57 230 274
2人 95 268 312
3人 133 306 350
4人 171 344 388
5人 209 382 426
(注)1 受給資格者の収入から給与所得控除等を控除し、養育費の8割相当額を加算した所得額と上表の額を比較して、全部支給、一部支給、支給停止のいずれかに決定されます。
 所得税法に規定する老人控除対象配偶者、老人扶養親族又は特定扶養親族がある場合には、上記の額に次の額を加算した額。
(1) 本人の場合は、
(1)老人控除対象配偶者又は老人扶養親族1人につき10万円
(2)特定扶養親族1人につき15万円
(2) 孤児等の養育者、配偶者及び扶養義務者の場合は、老人扶養親族1人につき6万円
 扶養親族等が6人以上の場合には、1人につき38万円(扶養親族等が2の場合にはそれぞれ加算)を加算した額。

○ 改正後の手当額

 全部支給は、月額42,370円です。
 一部支給は所得に応じて月額42,360円から10,000円まで10円きざみの額です。具体的には次の算式により計算します。

手当額 = 42,360円 ー(受給者の所得額※1 ー 所得制限限度額※2)× 0.0187052
└―――――――――――――――――――――――――┘
10円未満四捨五入
※1 収入から給与所得控除等の控除を行い、養育費の8割相当額を加算した額です。
※2 所得制限限度額は、上記の表に定めるとおり、扶養親族等の数に応じて額が変わります。

 次の表は前述の算式を使って計算した扶養親族が1人の場合(母と子ども1人の世帯)の手当額の例です。

所得額(年額) 手当額(月額)
57万円 42,360円
100万円 34,320円
130万円 28,710円
160万円 23,090円
190万円 17,480円
220万円 11,870円


母子福祉貸付金の活用

 今回の児童扶養手当制度改正による生活への影響を考慮して、都道府県、指定都市、中核市で行っている母子福祉貸付金に、特例児童扶養資金が創設されます。
 この貸付金は、従来から児童扶養手当を受給していた母子家庭で、今回の児童扶養手当制度の改正により、平成14年7月に受給していた児童扶養手当の額(第2子以降の加算を除く。以下同じ。)と引き続き8月以降に受給する児童扶養手当の額が減額になる者を対象として、その差額(この額が1ヶ月に貸りられる限度額となります。)を児童扶養手当制度の改正後5年間(平成14年8月から5年間)貸付を受けることができる制度です。また、この貸付金の返済は、貸付が終了した1年後から始まり、10年以内に返済を終えることとなります。無利子の貸付金です。

 今回の制度改正等により、資金が必要となる場合には、最寄りの自治体の窓口や母子相談員等にご相談下さい。


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