1 我々、APECメンバーエコノミー(国・地域)の人材養成担当閣僚は、2001年9月29日及び30日に、第4回人材養成大臣会合のため、日本国・熊本に参集した。我々は、「グローバリゼーションの下での社会・経済の発展と豊かさの共有を目指した人材養成」というメインテーマの下で議論を行った。APEC事務局が参加した。
2 我々は、ニューエコノミーが更なる成長と発展のための多くの機会を提供することを確認した。ニューエコノミーに備えた人材養成戦略を進めている中で、我々は、目下、産業構造や人口構造、必要となる技能及び雇用形態の変化のみならず、経済成長の減速と高失業という経済環境に直面している。
3 我々は、効果的かつ継続的な結果を生み出すために、政府は各種のパートナーと密に協力していかなければならないことを確認する。このことは、2000年にブルネイで開催されたAPEC閣僚会合及び本年、中国・北京で開催されたAPEC人材養成ハイレベル会合において留意された。今会合で、我々は、関係者(ステイクホルダー)間の協力関係を強化する決意を新たにする。
[APEC諸活動の賞賛]
4 我々は、人材養成活動を更に進める機会を提供してくれるものとして、APEC人材養成ハイレベル会合を高く評価し、北京イニシアチブを支持する。北京会合の成功は、ニューエコノミーにおける人材に関する理解を一層深め、行動のための新たな可能性を開拓したステイクホルダー間の連携が、いかに強いものであるかを物語っている。我々は、人材養成に関する経済・技術協力行動計画が着手されたことを認識し、社会的セーフティネットを強化するためのアドホックタスクフォースの活動を歓迎する。我々は、人材養成作業部会と他の関係部会に対し、適切な場合には、フォローアップ活動を行い、これらのイニシアティブのもたらした成果を活動計画に盛り込むよう要請する。
5 我々は、人材養成作業部会が数々の業績をもたらし、更に第3回人材養成大臣会合において強調された優先事項に対応して、広範なプロジェクトを始めたことに対して、同部会を賞賛する。我々は、第3回人材養成大臣会合以来、運営効率を高め、他のAPEC部会との調整を強化し、以て自らの使命の達成のために人材養成作業部会が行ってきた活動を同様に評価する。
6 我々は、「APECにおける女性の統合のためのフレームワーク」に留意し、ジェンダーの視点をAPECの活動の主流に育成していくよう、我々の努力を強化していくことに同意する。我々は、ジェンダー視点を主流化する活動と人材養成が、APECにおいて相互に密接に関係しており、分野横断的なテーマとなっていることを再確認する。我々は、2002年のホストエコノミーであるメキシコが、女性問題に優先順位を置いていることを歓迎するとともに、第2回女性問題大臣会合を開催するメキシコのイニシアティブを賞賛する。
[ニューエコノミーに備えた労働市場]
7 ニューエコノミーは、影響の仕方や程度の違いはあるが、全てのエコノミーに影響を与えている。我々は、ニューエコノミーが新たな機会を創出する一方で、産業界、労働者、教育者、訓練機関及び政策決定者に対し問題を提起していることを認識する。我々の任務は、ニューエコノミーを形成し、推進する力をより良く理解し、21世紀の労働力に提起される課題に対処するとともに、創出された機会とより広範に共有された繁栄をより一層享受できるよう環境を整備することである。
8 我々は、経済条件や技術、産業構造の急速なシフトにより労働市場の不安定性がもたらされたことを経験している。これらの状況のシフトは、特定の労働者にとっては打撃的な影響をもたらし得る。労働市場政策、職業紹介サービス及び社会的なセーフティネットにより、学校から雇用へ、雇用から雇用へ、失業から雇用へ、さらには雇用から引退への円滑な移動が確保されなくてはならない。
9 労働市場政策は、仕事、家族構成及び職場の性質の変化に積極的に対応すべき推進力である。我々は、仕事と家族のバランスを尊重するような政策を支援するものと断言する一方、こうしたバランスを確保することは、女性にとって特有の挑戦をもたらし得ることに留意する。機会は新たな仕事の仕方の中で生ずる一方、我々は、労働者の利益を保護しつつ、競争力を促進するために、適当な場合には、ステイクホルダーと協力を試みるものとする。
[グローバリゼーションのもとで全ての労働者のために成功の機会をもたらすための知識と技能の向上]
10 適応力のある熟練労働力は、ニューエコノミーが継続的な経済成長を果たすために不可欠である。ニューエコノミーの下で要求される職業能力が高まるのに呼応して、個々人が生涯学習や職業能力の向上に加わることにより、以て全てのステイクホルダーが集団として職業能力開発に取り組むことが必要とされる。高度な職業能力開発を実施するためには、各エコノミーは適切かつ総合的な労働市場政策を実施するよう求められる。特にそれは、デジタルデバイドを縮小するという要請に応えるものでなくてはならない。
11 質の高い基礎教育が受けられること及び識字力、計算力を向上させることは、より一層の学習と職業能力修得のための基礎であることに我々は合意する。エンプロイアビリティの維持を促進するために、個人は生涯学習にいそしまねばならない。同様にまた、労働者と使用者は共に職業能力の開発・向上に努めるべきである。このため、我々は、労働者の職業能力が労働市場で十分に評価されるべきであることを確認する。各エコノミー内において職業能力評価基準が向上されることにより、職業能力開発及び経済効果が効果的なものとなる。さらに、現在及び未来において必要とされる職業能力及び職業についての正確で適切な労働市場情報を使用者と協力して提供することは、個々人が雇用環境の進展からの利益を享受できるようにするための準備となる。
12 グローバリゼーション、技術の変化及び人口動態の変化は、職業訓練、再訓練及び従業員の職業能力開発への投資が、組織の機動力を高め、労働者を引き付け続けるために優先的に取り組むべき事項となることを示唆している。生涯学習システムにとって職場はその重要な構成要素であるため、あらゆる機関が学習の場となるよう奨励されるべきである。とりわけ、我々は、中小零細企業に対して、現在進行中の職業訓練と能力開発の機会を提供することが必要であることを認識する。これらの機会には、金融及び貿易の実務における訓練も含まれるべきである。これにより、中小零細企業及び地域社会の生産性、質及び競争力が高まるであろう。
13 グローバリゼーションの中にあっても、雇用機会の多くはしばしば地域社会にある。地域社会における職業能力開発は、当該地域のニーズや優先課題に呼応するようなものでなければならない。地域社会こそ、職業能力開発の取組みの焦点となるべきものである。
14 21世紀の労働力に必要とされる職業能力を考慮すると、我々は、これまで労働力とされてこなかった人々を含めた全ての人々の能力を引き出さなければならない。障害者、女性、若年者、高年齢者及び先住民を労働力として活用することが、経済的にも社会的にも避けられなくなってきている。
[人材養成戦略の発展のための労使その他のステイクホルダーの参画]
15 ニューエコノミーとグローバリゼーションの進展によって、人材養成における全てのステイクホルダー間の強力で生産的な協力関係が一層重要となっている。ここにいう協力関係は、人材養成における伝統的なステイクホルダーである産業界、労働界、政府機関、教育訓練機関ばかりでなく、更には労働者、家庭、コミュニティ、ボランティアのような地域社会におけるステイクホルダー、また、国際機関を含む他の団体全てを取り込んだ包括的なものでなければならない。我々は、「北京イニシアティブ」及び現在発展しつつあるニューエコノミーに備えた人材養成戦略において、ステイクホルダー及びパートナーシップに重要性が与えられていることを認識する。
16 我々は、相互信頼や責任感、一体感、お互いの物の見方や貢献に対する尊敬の念といった価値観は、人材養成と全ての人々の発展を支える上で、重要なものと考える。
17 我々は、ニューエコノミーが人々の将来の職場に多くの課題をもたらすこと、及び各エコノミーは経済が競争力を維持できるよう、主要なステイクホルダー間の新しい多様な協力関係と対話が必要とされることを認識する。
[結語]
18 ニューエコノミーは、地域全域にわたる人々の生活水準の向上の機会を提供する。我々の討議の結果、職場組織、労働市場、更に政策における適応力をますます高める必要があることが明らかとなったばかりでなく、ニューエコノミーにおける知識がいかに重要であるかが明確になった。
また、デジタル・ディバイドの解消のために、エコノミー間の協力と情報の共有が重要である。
19 我々は、人材養成作業部会が、今後も引き続き人材養成に係る諸課題に直面することに鑑み、以下のような事項が優先されるべきであることに合意する。
我々は、人材養成作業部会に対して、上記の優先事項に取り組む際に、現在APECで進行中の数多くの関連する活動を念頭に置き、種々のイニシアティブの相互補完性を高め、取組みの重複を避け、ステイクホルダー間のパートナーシップの持続性を高めることに努める旨指示する。
20 我々は、ニューエコノミーに向けた人材養成戦略に関連し、人材養成調整グループ(HCBCG)において現在取り組まれている作業に留意し、人材養成作業部会が今後とも人材養成調整グループと協力し、これに参加することを支持する。
21 この第4回人材養成大臣会合の宣言を「熊本宣言」と称する。我々は、我々の会合の成果を2001年10月に中国・上海で開催されるAPEC閣僚・首脳会合に報告する。
22 我々は、日本政府及び熊本の人たちの、当会合における心のこもったもてなしとすばらしい会議の運営に、心からの感謝を表明する。
23 我々は、第5回人材養成大臣会合において、人材養成の問題について更なる議論を行うことを期待している。我々は、次回会合の準備を人材養成作業部会に指示する。
厚生労働省大臣官房国際課海外情報室 (内線 7314)