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日本産ウシ等原料を使用した製品等の現状について

医医薬局審査管理課

○ 日本産のウシ等由来原料を用いた品目全体の構成

  平成12年12月の措置を実施するために、一部変更承認申請が行われたもの うち、変更により、国内産のウシ等由来原料(危険部位以外の部位)を使用する旨の記載のあるもの
医薬品 3021 438
部外品 2046 391
用具 32
合計 5099 836


○ 医療用医薬品(承認書を電子的に検索したもの)

概況:

1. 該当企業に対するアンケート調査では、現在保有している国内産のウシ等由来原料の大多数について、動物性飼料を使用していない確認の追跡を行うことは困難との回答を得ている。

2. 該当企業に対するアンケート調査では、動物性飼料を使用していないウシ等由来原料、又は外国産に切り替える予定を検討している企業が多い。原料の切り替えの時間の必要性については、「即時」できるものから「月単位」で対応が必要なものまでの幅のある回答を得ている。

リストの使用上の注意: 

(1) 本リストは、承認書のFDデータシステムにおいて原産国に「日本」と記載されているものを検索したものであるが、新規の検索機能を含めた当該システムにおける移行期間中であり、すべての国産ウシ原料を含む製剤がリストアップされているとは限らない。漏れのあるものについては、今後発出する関連通知において報告を求め、可及的速やかに必要な措置を講ずるよう指導する。

(2) ゼラチン、乳由来物(乳糖)は、国際的にもBSE感染性がないものと評価され、カプセル、賦形剤等に広く使用(米国FDAも地域制限をしていない。)されているが(英国産を除く。)、これらを含む製剤の承認書に原産国名の記載がない製品もあるため、これらを含むすべての製品の検索は完全ではない。

(3) 検索された製品のうち、すでに日本産以外の原料を使用していることの申告があったものについては、除外している。

(4) 高度の不活化処理(アルカリ処理、加熱加圧処理)を行って精製されるアミノ酸、脂肪酸、脂肪酸及びその誘導体、グリセリン類については、措置の対象から除外している。

(5) 表中のクラスは、参考1の欧州医薬品庁によるリスク分類を参考にしている。

製品 一般名 関係企業 ウシ等由来成分 クラス 適応
イムノブラダー膀注用 乾燥BCG(膀胱内用) 日本ビーシージー製造(株) 製造用剤(ウシ胆汁) IV 膀胱癌
サーファクテン 肺サーファクタント 三菱東京 有効成分(肺) III 呼吸窮迫症候群
エスポー注射液 エポエチンアルファ(遺伝子組換え) キリンビール 添加剤(ゼラチン加水分解物) IV 透析施行中の腎性貧血他
エスポー皮下用 エポエチンアルファ(遺伝子組換え) キリンビール 添加剤(ゼラチン加水分解物) IV 腎性貧血他
エポジン
(凍結乾燥品)
エポエチン 中外 添加剤(ゼラチン) IV 腎性貧血他
エポエード
(未発売)
エポエチンアルファ(遺伝子組み換え) 三共 添加剤(ゼラチン加水分解物) IV 腎性貧血他
ピシバニール 溶連菌製剤 中外 培養液(骨格筋) IV 胃ガン等の化学療法との併用
ノイトロジン G-CSF 中外 添加剤(ゼラチン) IV 好中球減少症
フエロン 注射用乾燥インターフェロン-β 東レ 初乳飲前仔ウシ血清(ただし、細胞培養液の添加剤としての使用) IV 膠芽腫、C型肝炎等
トロンビン トロンビン イセイ 有効成分(血液) IV 局所止血剤
トロンビン トロンビン 持田 有効成分(血液) IV 局所止血剤
トロンビン トロンビン 科薬 有効成分(血液) IV 局所止血剤
ケノコール ケノデオキシコール酸 山之内 添加剤(ゼラチン) IV コレステロール系胆石の溶解
アレルゲンエキス   鳥居 牛肉、牛革 IV アレルギー診断
レナルチン 肝臓加水分解物 イセイ 有効成分 III 肝機能の改善
コナン錠 塩酸アゼラスチン ウエルファイド 添加剤(ゼラチン) IV 気管支喘息他
ウロキナーゼコーワ注 ウロキナーゼ 興和 添加剤(ゼラチン) IV 血栓・閉塞性疾患等
ハクセリン軟膏 クロトリマゾール 久光製薬 添加剤(牛脂) 加熱処理※※ 抗真菌剤
サーモストン注 サケカルシトニン 富士製薬 添加剤(ゼラチン) IV 骨粗鬆症による疼痛
ヘモナーゼ ブロメライン・トコフォロール ジェイドルフ 添加剤(ゼラチン、乳糖) IV 痔核・裂肛
ヂーノン軟膏 大腸菌死菌 マルホ 添加剤(牛脂) 加熱処理※※ 痔疾
ベシカム軟膏 イブフロフェンピコノール 久光製薬 添加剤(牛脂) 加熱処理※※ 湿疹、皮膚炎等
スタデルム軟膏 イブプロフェンピコノール 鳥居薬品 添加剤(牛脂) 加熱加圧 湿疹、皮膚炎等
ルフール軟膏 フルオシノニド 久光製薬 添加剤(牛脂) 加熱処理※※ 湿疹、皮膚炎等
インファナル 吉草酸ベタメタゾン 久光製薬 添加剤(ゼラチン) IV 湿疹、皮膚炎等
パロチン錠10mg 唾液腺ホルモン 帝国臓器製薬 有効成分(耳下腺、顎下腺、耳下腺および顎下腺唾液) IV 初期老人性白内障、進行性指掌角皮症
※ 薬価削除の経過措置期間中(平成14年3月31日まで)
※※ 250℃ 60分加熱処理


○ 一般用医薬品(代表的製剤を無作為に抽出しアンケート調査)

概況:

1. 該当企業に対するアンケート調査では、ほとんどの現状の国内産ウシ原料について、動物性飼料不使用の追跡は困難との回答。

2. 複数の原料のソースがあるので、原料の切替え予定には柔軟性があるものがある。

ウシ等由来成分 クラス 承認書の日本以外の原産国の記載
アキョウ(靱帯、骨) IV 中国
レバー末(肝臓) III  
レバプロモン(肝臓) III  
肝臓エキス(肝臓) III  
肝臓加水分解物 III 米国
肝臓分解エキス(肝臓) III 米国、オーストラリア、カナダ、メキシコ、ニュージランド
心臓エキス IV ブラジル、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、米国
精製牛骨(骨) IV 米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド
コール酸(胆汁)及びデヒドロコール酸 IV ニュージーランド、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、コロンビア、エクアドル、インド、ベネズエラ、メキシコ、パナマ、パラグアイ、南アフリカ、ウルグアイ、米国
胆汁エキス IV カナダ、米国、オーストラリア、メキシコ、ニュージーランド
胆汁末、胆汁エキス末 IV 米国、カナダ
胆汁末 IV オーストラリア、ニュージーランド
動物胆(牛胆汁) IV 米国、カナダ


○ 医薬部外品、化粧品原料(動物由来原料メーカー大手8社へのアンケート調査)

概況:

1. 該当企業に対するアンケート調査では、原則、と畜場経由での原料を入手しているが、動物性飼料不使用の追跡は困難との回答を得ている。

2. 該当企業に対するアンケート調査では、原料の切り替えは、他動物又は外国産を予定している。


ウシ等由来成分 部位 クラス
コラーゲン IV
ウシ骨髄脂/牛骨 骨、骨髄 III
コラーゲン IV
エラスチン 靱帯、腱 IV
ウシ血清アルブミン 血液 IV
ウシ血液除タンパク 血液 IV
ウシヘマチン液 血液 IV
加水分解ウシ赤血球除タンパク 血液 IV
ホエイ IV
硬化油 IV
水溶性コラーゲン IV
加水分解エラスチン 靱帯 IV
アテロコラーゲン IV
エラスチン 靱帯 IV


○ 医療用具

1. 該当企業に対するアンケート調査では、動物性飼料不使用の追跡は困難な例があることが報告されている。

2. 該当企業に対するアンケート調査では、原料の切り替え予定は、外国産を含む。

注: 検索された製品のうち、すでに日本産以外の原料を使用していることの申告があったものについては、除外している。

製品 関係企業 ウシ等由来成分 クラス 用途
ボーンジェクト 高研 ウシ大腿骨 IV 歯科用骨補填材
コーケンティシュガイド 高研 ウシ腱 IV 歯周組織再生誘導材
テルプラグ テルモ ウシ皮 IV 歯科用創傷被覆材

大腿骨は、1,100℃ 1時間の焼成を行っていることから、高度不活化原料であり、対応は不要。


(参考1)

臓器別の感染伝播リスクの分類

(スクレイピーのヒツジ及び山羊からの組織等の感染性実験に基づくの分類)

カテゴリー 感染伝播リスク 臓器等
高リスク 脳、脊髄、眼
II 中リスク 回腸、リンパ節、近位結腸、脾臓、扁桃、(硬膜、松果体、胎盤)、脳脊髄液、下垂体、副腎
III 低リスク 末梢結腸、鼻粘膜、末梢神経、骨髄、肝臓、肺、膵臓、胸腺
IV リスクなし 血液凝固物、便、心臓、腎臓、乳腺、乳、卵巣、唾液、唾液腺、精嚢、血清、骨格筋、精巣、甲状腺、子宮、胎児組織、(胆汁、骨、軟骨、結合組織、髪の毛、皮、尿)
(出典: 欧州医薬品庁Note for Guidance on Mininising the Risk of Transmitting Animal Spongiform Encephalopathy Agents via Human and Veterinary Medicalnal Products)

( )かっこ内の臓器は、基となる研究には含まれていないが、他の報告により、示唆されたもの。



(参考2)

医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具に用いられるウシ等
由来原料の主なもの
主な由来臓器 リスク・カテゴリー 医薬品 医療用具 医薬部外品・化粧品
肝臓 III 肝臓エキス、末、加水分解物(有効成分)

リン酸ベタメタゾン(有効成分)

   
III アプロチニン(有効成分)

肺抽出物(有効成分)

   
膵臓 III インスリン(有効成分)

デオキシリボヌクレアーゼI(有効成分)

リボヌクレアーゼA(製造用剤)

酢酸ブセレリン(有効成分)

キモトリプシン(製造用剤)

   
血液 IV ウシ血清(製造用剤)

幼牛血抽出物(製造用剤)

トランスフェリン(製造用剤)

胎児血清(製造用剤)

血清アルブミン(添加剤)

子牛血清(製造用剤)

トリプシン(製造用剤)

プラスミン(製造用剤)

   
IV コハク化ゼラチン(製造用剤)

ゼラチン加水分解物(製造用剤)

ビタミンA及びD(有効成分)

アキョウ(有効成分)

ゼラチン(添加剤、カプセル等)

ヒドロキシアパタイト(歯科骨補填剤)

ゼラチン(人工血管等)

 
骨格筋 IV 牛肉(製造用剤)

ニュートリエントブロス(製造用剤)

L−アスパラギン酸(有効成分)

   
心臓 IV ハートエキス(製造用剤)

ハート末(製造用剤)

牛心臓(製造用剤)

チトクロームC(有効成分)

心のう膜(心臓弁)  
胆嚢・胆汁 IV ウルソデオキシコール酸(有効成分)

ケノデオキシコール酸(有効成分)

デオキシコール酸(製造用剤)

五黄(有効成分)

   
IV 乳糖(添加剤)

トリプチケースソイブロス(製造用剤)

トリプトン(製造用剤)

ペプトン(製造用剤)

ポリペプトン(製造用剤)

ラクトアルブミン(製造用剤)

カザミノ酸(製造用剤)

スキムミルク(製造用剤)

バクトトリプトン(製造用剤)

ビタミンB12(有効成分)

ラクトプロピオン酸

ヒドロコルチゾン(製造用剤)

カゼイン(添加剤)

シアノコバラミン(有効成分)

  カゼインナトリウム

ケフィラン水溶液

ホエイ

乳糖

IV ゼラチン(添加剤、カプセル等) コラーゲン(局所止血材、人工血管、歯周組織再生誘導材等) イソステアリル加水分解コラーゲン液

サクシニルアテロコラーゲン液

ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンカリウム液

加水分解コラーゲン液

コラーゲン

ケラチン

靱帯 IV     加水分解エラスチン液
唾液腺 IV 唾液腺ホルモン(有効成分)    
睾丸 IV ヒアルロニダーゼ(有効成分)    
気管 I,II以外 コンドロイチン硫酸ナトリウム(有効成分)    
その他:
 脂肪(牛脂)から、精製されるアミノ酸、グリセリン、脂肪酸及びその誘導体が広く、医薬品の添加剤(賦形剤)、部外品・化粧品の成分として用いられている。


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