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(総務課関係)

1.雇用均等・児童家庭局の組織体制

(1)本省

 今回の中央省庁再編により厚生省児童家庭局と労働省女性局を統合し雇用均等・児童家庭局を設置。児童福祉関係行政は雇用均等・児童家庭局が所掌することとなった。各課の所掌事務に関する従来との変更点は、次のとおり。

(1) 旧企画課は「総務課」に名称を変更。所掌事務については、従来より担われてきた事務と基本的に同様であるが、地方厚生局の設置に伴い、監査業務を地方厚生局に委任し、企画課児童福祉監査指導室を廃止。
(2) 家庭福祉課については、従来の事務に加え、乳児院に関する事務を母子保健課から移管するとともに、婦人相談所や婦人保護施設に関する事務を社会・援護局保護課から移管。
(3) 育成環境課、保育課については従来どおり。
(4) 母子保健課については、乳児院に関する事務が家庭福祉課に移管された。

(2)地方厚生局

 従来、児童福祉関係行政において地方支分部局は設置されていなかったが、 今般の再編に伴って、新たに地方厚生局が設置された。児童福祉関係行政の 中で本省から地方厚生局に委任された事項は次のとおり。

(1) 保育士、児童福祉司の養成の指定及び監督に関すること
(2) 指定養育医療機関及び指定療育医療機関の指定及び監督に関すること
(3) 養育医療、療育医療に関する診療報酬の支払の差止めに関すること
(4) 児童福祉に関する緊急時の執行事務に関すること
(5) 児童福祉施設の措置費及び運営費の監査に関すること
(6) 児童委員の委嘱及び解嘱並びに表彰に関すること
(7) 社会福祉法人の一般的監査
など


2.少子化対策について

(1)少子化対策推進基本方針及び新エンゼルプランについて

 少子化対策については、従来から様々な取組みを行ってきたが、平成11年の合計特殊出生率は1.34と過去最低になるなど、少子化が進行しており、少子化対策の推進は引き続き重要な課題となっている。
 このため、平成11年末に策定された「少子化対策推進基本方針」及び「新エンゼルプラン」に基づき、総合的な少子化対策を推進するとともに、内閣総理大臣の主宰の下で「少子化への対応を推進する国民会議」を開催し、国民的な広がりのある少子化への取組を進めているところである。

(1) 少子化対策推進基本方針について

 政府が一体となって、家庭や子育てに夢を持てる環境の整備を推進するため、中長期的に進める総合的な少子化対策の指針として、少子化対策推進関係閣僚会議において、平成11年12月17日に「少子化対策推進基本方針」が策定された。
 当該方針は、仕事と子育ての両立や子育てのそのものに係る負担感を緩和・除去し、安心して子育てができるような様々な環境整備を進める ことにより、21世紀の我が国を家庭や子育てに夢や希望を持つことが できる社会にしようとするものであり、具体的には、

の6項目が掲げられている。

(2) 新エンゼルプランについて

 「新エンゼルプラン」は、少子化対策推進基本方針に基づく重点施策の具体的実施計画として、平成6年12月に策定された「エンゼルプラン」及び「緊急保育対策等5か年事業」を見直し、働き方、保育サービス、相談・支援体制、母子保健、教育、住宅等について、大蔵、文部、厚生、労働、建設、自治の6大臣の合意により、平成11年12月19日に策定された。
 この「新エンゼルプラン」は、従来の「緊急保育対策等5か年事業」における保育対策のみならず、母子保健等の幅広い少子化対策の重点施策について、平成16年度の整備水準を示すなど具体的実施計画として策定したものであり、平成13年度予算(案)においては、3,153億円を計上したところである。

【平成13年度予算(案)における新エンゼルプランの主な内容】

ア 保育所待機児童の解消など子育て家庭への支援策

イ 母子保健医療体制の整備

ウ さらに、ファミリー・サポート・センター事業の総合的な展開を図ることとし、か所数を大幅に増加(82か所→本部182か所、支部455か所)するとともに、対象者を自営業者や家庭の主婦など子どもを持つすべての者に拡大することや保育所との連携の強化を行うことなど、地域の子育て支援機能の強化を図ることとしており、関係部局等と連携のもと積極的な取組をお願いしたい。

(3) 地方公共団体における少子化対策への取組について

 少子化対策推進基本方針においては、「地方公共団体においては、本基本方針の策定趣旨、内容を踏まえ、少子化対策の計画的な推進を図るなど、地域の特性に応じた施策を推進するものとする」としている。都道府県、指定都市及び中核市が実施主体となる事業について、新エンゼルプランに沿った積極的な取組をお願いするとともに、各都道府県におかれては、管内の市町村に対して、少子化対策推進基本方針及び新エンゼルプランの趣旨を周知し、新エンゼルプランに沿った事業の実施を促すとともに、その事業の実施のための必要な支援をお願いしたい。
 また、地方公共団体において、少子化対策を推進する上で計画的な取組みが重要であるため、教育、住宅等の関連分野を含めた施策の推進について、都道府県、市町村の各段階において、関係部局・関係機関とも連携し、地方版エンゼルプランの策定・見直しを含めた積極的な取組みをお願いしたい。
 また、その際、幅広い住民の計画策定への参加、地方版エンゼルプランの新エンゼルプランと同様の数値目標の設定などにも留意されたい。

(2)少子化対策への取組について

(1) 少子化への対応を推進する国民会議等について

 少子化への対応の推進に当たっては、政府の施策のみならず、社会全体の取組みとして国民的理解と広がりをもって子育て家庭を支援することが求められている。
 このため、内閣総理大臣の主宰の下で各界関係者が参加する「少子化への対応を推進する国民会議」の開催に協力するとともに、国民会議の活動を含め、少子化への対応に関し、広く国民に向けた情報発信を行うこととしている。
 具体的には、平成13年度において子育て支援基金を活用して実施される「少子化への取組についての全国キャンペーン」(中央・地方フォーラムの開催等)を支援するほか、職場や地域における取組をテーマに「少子化時代の企業の在り方を考えるシンポジウム(仮称)」を開催することとしている。
 少子化への対応については、地方公共団体においても、広く国民に向けた情報提供や広報・啓発活動など引き続き取り組むことが重要であることから、NPOなど民間団体の取組に対する支援も含め、都道府県内における取組が一層図られるよう特段の配慮をお願いしたい。

(2) 少子化対策臨時特例交付金について

 本交付金については、平成11年度補正予算において約2千億円を予算計上し、全都道府県・市町村に対し、予算総額全額の執行がなされたところである。交付金のうち、平成11年度に各自治体で執行されなかった分については、平成12年度及び13年度において市町村が設置した基金事業として、1,060億円の事業実施が予定されている。
 基金を設置した市町村については、事業の実施に際して、平成13年度末までに当該基金から所要経費を取り崩して支出することとなる。また、当該年度末までに基金を解散し、この時点において基金に残余財産が生じたときは、国庫に納付しなければならないとされていることから、本交付金の趣旨を十分踏まえ、地域における少子化対策に資する事業への最大限の活用を図られたい。
 また、都道府県におかれては、管内の市町村に対し、本交付金の適正な実施及び早期執行について周知方よろしくお願いしたい。

(3) 少子化対策資料集等について

 先般、全国の都道府県及び市町村における少子化への取組事例をご報告いただいたところであるが、これを基に、国の施策や国民会議参加団体の地方組織の取組事例をまとめた「少子化対策資料集」を作成し、3月末に都道府県及び市町村の担当課宛に送付することとしているので、今後の少子化対策の推進のために活用されたい。
 また、平成13年度についても、地方における先進的な取組を引き続き情報発信していく予定であるので、新規事業の実施、地方版エンゼルプランの見直し及び少子化に関する検討会の設置などの動きについて情報提供をお願いしたい。


3.児童相談所の充実について

(1)児童福祉司の地方交付税措置について

 平成12年11月に「児童虐待の防止等に関する法律」が施行され、児童虐待相談の受付が一層増加しているところであるが、平成13年度の地方交付税法改正法案においては、児童虐待への対応の中心となる児童福祉司に関して、地方交付税の積算基礎人員が増員されるとともに、児童相談所における児童虐待対策に必要な諸経費についても積算基礎に見込まれることとなったのでご留意の上、児童福祉司の増員等の児童虐待対策の推進をお願いしたい。

児童相談所費(12年度) (13年度)
給与費
  職員A
  児童福祉司(職員A)
  職員B
20人
17人
 4人
 

 
同左
19人
同左
需用費等9,847千円17,540千円
〔*標準団体(人口170万人)当たり〕

(2)児童福祉司の任用資格認定通信教育について

 平成13年度、児童福祉法第11条第1項1号に規定する厚生労働大臣の指定する講習会の課程を通信制により開設し、児童福祉司の人材養成を行うこととしているので、児童福祉司を希望する職員の受講についてご配意をお願いする。
 なお、本講習については、職員の専門性向上の観点から現任の児童福祉司についても積極的な活用をお願いする。
 募集要領等については、通信教育を実施する全国社会福祉協議会中央福祉学院より、社会福祉研修を担当する部局に送付しているのでご了知願いたい。

(3)保護者へのカウンセリングの充実について

 平成13年度、児童相談所において、児童虐待をする保護者への指導を効果的に行うため精神科医等の助言・指導を得て行うカウンセリング強化事業(仮称)を実施することとしたので、下記に留意の上、事業実施に向けた準備方お願いする。
 なお、この事業は、「家庭支援体制緊急整備促進事業」の一事業として実施することとしている。

(1) 補助額 700千円(児童相談所1か所につき)
(2) 補助率 1/2
(3) 実施か所数 114か所
(中央児童相談所及び児童虐待相談件数が多い児童相談所を予定)
(4) 実施上のポイント
カウンセリング強化事業(仮称)
1 趣旨

 児童虐待に対する児童相談所の対応は、児童の保護を最優先に取り組んできたところであるが、児童の最善の利益を図るためには、家族の再統合を目差した積極的な指導が求められている。
 児童虐待を行う保護者は、自身の被虐待体験等による心の問題を抱えている場合もあるとも言われていることから、児童福祉司、心理判定員等による指導に加え、精神科等の医師(以下、「精神科医等」という。)の協力を得て、保護者の指導を行うものであり、もって、児童の福祉の向上に資するものである。

2 事業内容

(1)本事業は、児童虐待問題に関して知見を有する精神科医等と嘱託等の契約関係を締結し実施するものである。
 なお、契約の内容については地域の実情を踏まえて締結して差し支えない。

(2)精神科医等の役割は、以下の通りとする。

ア 児童虐待の相談を受理した際に行う医学的診断において、必要に応じて診断を行うものとする。

イ 処遇会議において、必要に応じ保護者に関する処遇方針について医学的診断に基づき、助言を行うものとする。

ウ 処遇会議において保護者に対する心理療法が必要であると決定した場合、心理療法を担当する職員に対し適宜助言を行うとともに必要に応じ面接を行うものとする。

(3)留意事項

ア 本事業を円滑に実施するには、児童、保護者の状態の変化に即した対応が必要である。そのためには、担当する精神科医等との情報交換を密にし、情報の共有化を図り、効果的な対応の確保に努めること。

イ 本事業を実施するに際し、個人情報の保護には十分留意すること。

(4)一時保護所事務費の支弁方法について

 一時保護所の事務費については、これまで事務費単価に職員数を乗じて支弁してきたところであるが、平成13年度にその方式を変更することを検討しているのでご留意願いたい。具体的な取扱いについては、おって連絡させていただきたい。

(5)一時保護所への心理職員の配置について

 平成13年度、一時保護所に心理職員を配置し、児童の行動観察、心理療法等を行い、虐待を受けた児童の適切な保護に資することとしたので、下記に留意の上、事業実施に向けた準備方お願いする。

(1) 補助額 1,683千円(10月実施)
(2) 補助率 1/2
(3) 実施か所数 59か所
(4) 実施上のポイント
一時保護児童処遇促進事業(仮称)
1 目的

 本事業は、「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号)が平成12年11月20日に施行されたことに鑑み、一時保護所に心理職員を配置し、児童の行動観察、心理療法等を行い虐待を受けた児童の適切な保護に資するものである。

2 実施主体

 本事業の実施主体は、都道府県・指定都市とする。

3 事業の内容

(1)心理職員の配置

 中央児童相談所に付設する一時保護所に心理職員を配置し、下記の業務を行う。なお、地域の実情により配置する一時保護所は変更できるものである。

(2)心理職員の業務

(1) 生活場面での面接
(2) 行動観察
(3) 心理療法
(4) その他必要な事項

(3)心理職員の資格

 心理職員は、学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学において、心理学を専修する学科又はこれに相当する課程を修めて卒業した者とする。

4 留意事項

(1)児童相談所において児童虐待相談が一層増加することが予想されるので、一時保護所へ専任の心理職員を配置し、一時保護児童への心理的ケアを充実するものであること。

(2)一時保護期間において、行動観察、心理療法を効果的に実施するためには、特定場面に限定して対応するだけでなく、生活場面を積極的に活用するものであること。

(3)当該心理職員は、中央児童相談所に付設する一時保護所に配置するものであるが、必要に応じ他の一時保護所の児童に対しても指導に当たること。

(6)一時保護所の施設整備費補助基準面積の改善について

 平成13年度、一時保護児童の生活の質の向上に資するため一時保護所の施設整備費補助基準面積を9.9平方メートルから18.4平方メートルに改善することとしているので、一時保護所の積極的な改善をお願いする。


4.児童福祉施設の整備及び運営等について

(1)児童福祉施設の整備について

(1) 平成13年度予算(案)の状況について

ア 社会福祉施設等施設整備費

 施設整備費については、平成12年度補正予算において802億円、さらに平成13年度予算(案)として1,366億円、合わせて2,168億円を予算計上し、特別養護老人ホーム等の介護関連施設、多機能保育所、障害者プラン等にかかる施設整備の着実な推進を図ることとしている。


【雇用均等・児童家庭局関係の具体的な内容】

(ア)多機能保育所整備分として、従来からの整備量に加えて72億6,800万円を計上し、新エンゼルプラン(平成12年度〜平成16年度)を踏まえて老朽化している保育所の改築、地域の需要に応じた保育所の多機能化を図るための整備や都市部における保育所の分園等の整備を推進する。

(イ)老朽民間社会福祉施設緊急改築整備については、平成13年度以降も引き続き5年計画により整備の促進を図ることとし、38億9,400万円を計上し、災害に強く、快適な居住空間を備えた施設への改築整備を推進する。

(ウ)一般整備分として、100億4,300万円を計上し、上記以外のその他の施設整備についても所要の整備量を確保する。

イ 平成13年度における改定事項

(ア)児童養護施設等の心理療法室の整備

 児童養護施設においては、従来から不登校児童のみならず虐待を受けた児童の心のケアも行っており、これを明確化するため、現行の対象児童を名称とした不登校児童等治療室を心理療法室に名称変更して整備を行う。
 併せて、情緒障害児短期治療施設の不登校児等治療室の名称も上記と同様に心理療法室に変更する。

(イ)児童養護施設及び乳児院の親子生活訓練室の整備

 虐待等により児童養護施設や乳児院に入所した児童に対しては、施設において心のケアが行われ、保護者等に対しては児童相談所による在宅指導が行われることとなるが、再び保護者等と子が一緒に暮らせるようにするためのステップとして、家庭復帰後の良好な親子関係を構築するための「親子生活訓練室」の整備を行う。
 ○ 一施設当たり 29.8平方メートルを加算

(ウ)一時保護所(児童相談所)の補助基準面積の拡大

 虐待を受けた児童の受入の増加による居室、遊戯室、学習室及び保護者の面談室の整備を行うための補助基準面積の改善を行う。
 ○ 9.9平方メートル → 18.4平方メートル

(エ)地すべり防止危険か所等危険区域に所在する施設の移転整備計画の延長及び対象区域の拡大

 平成13年度以降も計画の延長を行うとともに、危険区域の見直しを行い、より一層の整備の促進を図る。
 ○第5次計画の策定(平成13年度〜17年度)
 ○危険区域の見直し
    土砂災害等により被害のおそれがあると都道府県等において指定している区域
 ○社会福祉・医療事業団における無利子融資の延長

ウ 社会福祉施設等設備整備費

 設備整備費については、平成12年度補正予算において1億円、さらに平成13年度予算(案)として101億円、合わせて102億円を予算計上し、施設整備量に対応した必要な額を確保したところである。

(2) 平成13年度の整備方針等について

ア 基本的整備方針

 児童福祉施設の整備については、各都道府県等における老朽施設の実態や近年の入所児童の動向など施設全体の状況を踏まえ、計画的な整備が図られるよう配慮されたい。
 平成13年度においては,次の事項を基本として整備を図ることとしているが、限られた財源を効率的かつ有効に活用する見地から、施設整備の事業内容を十分吟味した上で、必要な整備を行うこととしている。

(ア)保育所の整備については、低年齢児を中心とする待機児童の解消を第一に考慮し、待機児童解消を図るための創設、増築や低年齢児の受入れ拡大を図るための乳児室・ほふく室等の整備や内部改修工事、余裕教室等を活用した改築整備の促進、都市部における保育所分園の整備の促進を図るとともに、「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画」(新エンゼルプラン)を踏まえて、老朽化している保育所の改築に併せて、地域における子育て支援のための子育て支援相談室等の整備、一時保育事業のための保育室等の整備、乳幼児健康支援一時預かり事業のための保育室等の整備など、地域の実情に応じつつ創意工夫を重ねて、積極的かつ効果的な整備を推進する。

(イ)児童養護施設の被虐待児童受入れのための体制整備や大部屋解消等 のための整備のほか、子育て支援短期利用事業等地域のニーズに合った事業を積極的に実施する整備や既存の社会資源を有効活用するため、公立学校の余裕教室等の子育て支援のための拠点施設等への転用整備を推進する。

(ウ)施設入所児童等の安全性を確保するとともに、居住環境、保健衛生等処遇の一層の向上を図る観点から、老朽施設の改築、大規模修繕等の整備を推進する。
 なお、この場合、建設後の経過年数及び老朽度を重視するとともに、火災、地震等の防災対策にも十分配慮する。

イ 平成13年度施設整備費の国庫補助協議について

 社会福祉施設整備費の国庫補助協議については、既に通知しているところであるが、「社会福祉法人の認可について(平成12年12月1日障第890号、社援発第2618号、老発第794号、児発第908号)」、「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について(平成9年3月28日社援企第68号)」等を踏まえ、協議対象施設の選定をしていただいているところであり、引き続き法人審査について万全を期されたい。

ウ その他の留意事項

(ア)補助金の富裕団体の調整について

 富裕団体向けの補助金等の調整については、平成13年度においても、引き続き補助金等の整理合理化の一環として富裕団体に対して調整措置を講ずることとしているので了知願いたい。

(イ)鉄骨造等の国庫補助基準単価の適用について

 建物が従来の鉄筋コンクリート、ブロック、木造に該当しない構造における国庫補助基準単価の適用については、平成13年度事業より次のように取り扱うこととするので了知願いたい。

ア)鉄骨鉄筋コンクリート造については「鉄筋」単価を適用する。
イ)鉄骨構造、その他の構造の場合で、強度・耐久性が鉄筋コンクリート造と同等の工法である場合は、「鉄筋」単価を用い、その他は「ブロック」単価を用いる。

 なお、「鉄筋」単価を用いる場合は、強度・耐久性が鉄筋コンクリート造と同等である旨を証明する書類(都道府県市の建築課または一級建築士等による証明)を添付すること。

(3) 社会福祉施設整備業務の再点検等について

 平成9年3月31日に取りまとめた「施設整備事業等の再点検のための調査委員会報告書」で明らかにしたとおり、各都道府県市が行う契約手続に準拠、一括下請負の禁止などを補助金の交付の条件とすること等建設工事の適正化、補助金交付対象施設の明確化等の措置を講じ周知徹底を図っているところである。
 各都道府県市におかれては、施設整備業務のさらなる再点検、都道府県部課長会議等での指導の徹底や未然防止策の検討など再発防止対策に万全を期されたい。
 また、施設整備等を行う社会福祉法人がその施設の建設工事請負業者等から多額の寄付を受けることについては、いわゆる水増契約をして請負業者等からリベートを受けたとの疑惑をもたれる恐れがある。
 建設費の相当部分が公費や社会福祉・医療事業団からの公的融資により賄われている事業であることに鑑み、社会通念に照らし、疑惑をもたれる恐れがある寄付金等に関して、今後、以下の基本的な考え方に基づき、必要な通知の改正を予定しているのでご了知願いたい。

寄付金等の取扱いについての基本的な考え方

1.補助事業を行う社会福祉法人は、当該事業に関わる建設工事請負業者又は備品納入業者から寄付金を受領する行為(ただし、共同募金会に対してなされた寄付金を除く。)及び実質的に当該法人が寄付金を受領したものとみなされる行為をしてはならない。(これを補助金の交付の条件とする。)

(1) 建設工事請負業者又は備品納入業者

  • 当該事業に関して、当該法人と請負契約等を締結した業者及びその下請業者
  • 上記業者の役員(個人)
(2) 寄付金
  • 現金及び有価証券全般(使途を当該事業に指定していないものも含む。)
  • 現物(社会常識を超えない程度のものを除く。)

(3) 実質的に当該法人が寄付金を受領したものとみなされる行為

  • 当該法人へ寄付を行う者が請負業者等から金銭を受領すること。
  • 上記以外の場合で、法人の理事、監事、評議員及び職員が請負業者等から金銭を受領すること。

2.仮に、1の条件に違反していた事実が判明した場合は、その金額を総事業費から差し引き、補助金の再算定を行った結果、過大に補助金を受給していた場合は、交付決定の一部を取り消し、過大受給した補助金の返還を求めることとする。


 さらに、不正受給の事実が発覚した場合には、補助金を返還させることはもとより、不正に関与していた者についての告発を行うなど、厳正な対処をお願いする。

(4) 木材利用の推進について

 「社会福祉施設等における木材利用の推進について(平成9年3月6日社援施第37号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)」により、木材の積極的な活用についてご配慮をお願いしているところであり、また林野庁から「公共施設等における木材の利用促進について(平成10年1月14日9−10林野庁木材流通課長通知)」により、木材の利用の一層の協力依頼があるところである。
 木材・木製品の積極的な利用については、児童や高齢者等にとって精神的なゆとりと安らぎのある生活環境づくりや林業・木材産業や山村地域の活性化、環境問題への対応や森林整備を通じた国土保全の観点からも重要であると考えており、社会福祉施設の整備に当たっては、内装等への木材の利用や木製品の利用など積極的な活用にご配慮頂くと共に、貴管内の市町村及び社会福祉法人等に対しても、木材の利用促進の周知方よろしくご配慮願いたい。

(5) 社会福祉施設等におけるPCB使用安定器の事故に関する対策について 業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器については昭和47年に製造が中止されているが、現在でも一部の施設において使用が続けられている実態がある。
 こうした状況の中、先般、八王子市等の小学校で耐用年数が過ぎた蛍光灯用のPCB使用安定器が破裂し、PCB絶縁油が小学生の身体に付着するという事件が発生した。
 こうした事件は、国民の健康を保持する上で見過ごすことのできない事態であることから政府一体となって対策に取り組む旨閣議了解されたところである。
 ついては、貴管内の社会福祉施設等においても、PCB使用安定器の安全対策について周知徹底を図るとともに、使用・保管実態の調査についてご協力方お願いしたい。

(2)児童福祉施設の運営について

(1) 適正な運営管理の推進について
 児童福祉施設の運営費の運用及び指導については、従来から適正な指導をお願いしているところであるが、運営費の不正使用などの不祥事により児童福祉施設に対する国民の信頼を著しく損なうことのないよう、指導監査の結果を踏まえた運営の指導にあたる等、指導監査担当課等との連携を図り、適正な施設運営について引き続き指導をお願いしたい。

(2) 感染症予防対策について
 児童福祉施設における感染症予防対策については、従来より特段の指導をお願いしているところであるが、今後も引き続き十分な対応を図ることが必要である。
 特に、インフルエンザの対応については、毎年冬季に流行を繰り返し、患者数の多さや、症状の重篤性から国民の健康に対して大きな影響を与えている感染症であり、さらに、近年は、乳幼児における脳炎・脳症の問題等が指摘されているところであり、児童福祉施設においても十分な注意が必要とされているところである。
 ついては、「社会福祉施設における今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」(平成12年11月10日社援施第46号)、「社会福祉施設等における結核感染の予防について」(平成11年10月15日社援施第40号)、「社会福祉施設におけるレジオネラ症防止対策について」(平成11年11月26日社援施第47号)等を踏まえ、貴管内の児童福祉施設に対して適切な指導をお願いしたい。

(3)児童福祉施設の防災対策について

(1) 児童福祉施設の防災対策の取組について
 児童福祉施設の防災対策については、入所児童等の安全確保の観点から、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」(昭和62年9月18日社施第107号社会局長、児童家庭局長連名通知)等の趣旨を踏まえ、貴管内の児童福祉施設に対し指導を願っているところである。施設の運営上、入所者の安全確保は最重要課題であることを再認識いただき、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備の整備及び夜間防火管理体制の整備など、施設における具体的、効果的な防災対策に万全を期すよう貴管内の児童福祉施設に対する指導の一層の徹底に努められたい。
 施設整備費においても、入所児童等の防災対策、処遇改善の観点から、防災対策に配慮した整備を優先的に採択することとしている。また、措置費・保育所運営費においても、地域住民との連携による合同避難訓練や避難用具の整備等を行う総合防災対策強化事業を施設機能強化推進費のメニュー事業として算入しているところであり、これらの制度の活用を図り、児童福祉施設の防災対策の充実をお願いしたい。
 特に地すべり防止区域等災害発生のおそれがあるとして指定されている地域等に所在している児童福祉施設については、「災害弱者関連施設に係る土砂災害対策の実施について(平成11年1月29日社援第212号)」をもって、関係省庁と連携して、児童福祉施設等の立地状況を踏まえた総合的な土砂対策を講じるよう通知しているところであるが、各都道府県市におかれても、次の事項に留意しつつ、適切な措置をとるようお願いしたい。

ア 関係部局との連絡体制の緊密化
 施設の防災対策の整備のためには、土砂災害に関する知識の向上、土砂災害危険か所等、避難場所、警戒避難基準等の情報提供等、総合的な支援体制が必要である。そのため、管理者に対して、防災対策に関して総合的な指導がされるよう、各都道府県等において、関連部局との連携・連絡体制を緊密にされるようお願いしたい。

イ 地域住民等も交えた避難訓練の実施
 施設における避難訓練については、従前から各施設の設備及運営に関する基準等において、定期的に行うこととするとともに、指導監査においても重要な項目として指導をお願いしているところである。
 施設における防災対策としては、地域消防機関、自主防災組織、地域住民等との連絡・連携体制を確立することが重要であり、避難訓練の実施に当たっては、地域消防機関、自主防災組織、地域住民等が参加したものを実施するよう、施設に対して一層の周知徹底をお願いしたい。

(2) 被災施設の早期復旧について
 社会福祉施設等災害復旧事務の取扱いについては、「社会福祉施設災害復旧費国庫負担(補助)の協議について」(平成7年3月30日社援施第76号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により、災害発生後速やかに、雇用均等・児童家庭局所管施設については、雇用均等・児童家庭局総務課に報告をお願いするとともに、災害復旧事業の早期整備を図り、施設運営に支障が生じないよう指導の徹底をお願いしたい。

(3) 防災拠点型地域交流スペースの整備について
 災害時における児童・高齢者等の要援護者は、体育館等を活用して設置される通常の避難所では生活スペースを確保することや福祉サービスの提供を受けることが、極めて困難になることが多い。
 このため、平成12年度補正予算において、これら要援護者に対する処遇を確保するため、従来の地域交流スペースの整備に併せて、被災要援護者の受入れが可能となる設備等を備えたスペースを一体的に整備するものを対象とし、施設整備では35,000千円、設備整備では3,900千円を定額で補助することとしたので、防災関係部局とも連携を図り、計画的な整備を図られたい。


5.平成13年度児童福祉行政指導監査の実施について

 児童福祉施設等に対する指導監査の実施については、児童福祉行政の適正かつ円滑なる実施の確保を図るための技術的助言の一環として、平成12年4月25日児発第471号厚生省児童家庭局長通知「児童福祉行政指導監査の実施について」の別紙「児童福祉行政指導監査実施要綱」をお示ししたところであるので、引き続きこれを参考の上、適切な指導監査の実施を図られるようお願いしたい。

(1)社会福祉法人の運営の適正化について

 これまで国が行ってきた指導監査の結果等から、社会福祉法人の運営状況については、理事会の開催及び監事監査が形骸化され、形式的となっている事例が多く見受けられた。
 社会福祉法人に対する規制緩和が行われ、その主体性の向上が図られていく中で、社会福祉法人のもつ公共性・公益性に鑑みて、社会福祉法人の役員の責務の重要性についてさらに指導の強化を図る必要がある。
 ついては、指導監査部門と事業主管部門とが常に十分な連携を図りつつ、社会福祉法人及びその運営する施設の実態の的確な把握及び情報の共有化を図り、これら法人・施設の実情を踏まえた指導監督が一体的・効率的に行われるようお願いしたい。
 なお、問題を有する法人に対しては、問題発生の原因や経緯を把握し、解決に向けた具体的方針等を作成し、継続的に指導されるようお願いしたい。

(2)児童福祉施設の運営の適正化について

 児童福祉施設の指導監査に当たっては、

(1) 職員処遇及び非常災害・危険防止等の運営管理に関する事項、

(2) 処遇計画の作成・検討、入所児童等の意見表明の機会の確保・懲戒権濫用の禁止、給食の状況及び健康管理等の入所者処遇に関する事項、

(3) 経理規程の遵守及び予算決算の適正な執行等の財務管理に関する事項、

等に配慮し、施設全般にわたって指導をお願いしたい。
 特に、児童養護施設等入所児童等の処遇については、児童等の最善の利益に配慮し、苦情解決のためのしくみが設けられているか、体罰等懲戒権が濫用されていないか等人権に配慮した適切な運営が行われるよう指導をお願いする。特に体罰等の懲戒権の濫用については、児童養護施設等における体罰の事例もあり、社会問題化しているところであるから、その未然防止に向けて特に厳正な指導監査を行われるようお願いしたい。
 なお、児童の自立支援計画の策定・実践等を通じて進学・就労等の選択に際し、児童の意向等に十分配慮し、児童の自立への支援の状況等についても留意して、指導監督を行うよう配意をお願いしたい。

(3)保育所入所事務の適正な実施について

 保育所への入所については、市町村や保育所の提供する情報に基づき、保護者等が希望する保育所を選択して申し込みを行うこととされているが、一部市町村において情報の内容が不十分な面が見られるところである。
 特に、市町村における入所児童の選考に当たっては、児童の家庭の状況、地域の実情等を十分に踏まえて、市町村が定める客観的な選考方法等に基づき公正に行われるよう指導をお願いしたい。
 また、都市部を中心に待機児童(特に低年齢児)が生じている状況であり、定員に余裕のある保育所での受入れ、または入所の円滑化措置を活用するなど、待機児童の解消に向けたきめ細かな施策の実施について指導をお願いしたい。
 情報提供の実施状況あるいは広域入所の取組みはもとより、待機児童の解消についても、要保育児童数や保育ニーズの的確な把握を行い、保育所の実情等をも勘案し、地域の実状にあった保育行政が行われるよう、市町村の指導についてお願いしたい。

(4)措置費等関係事務の適正な実施について

 児童入所措置費及び保育所運営費等関係事務の適正な執行を確保する観点から、これらの事務を行う関係機関における負担金等の支弁及び徴収等経理事務に対する指導について配慮をお願いしたい。
 特に、保育所入所に係る徴収金の世帯階層区分の認定については、保護者から必要な書類を求める等により、課税状況の的確な把握に努めるとともに、税務関係機関との連携強化により、適正な事務が確保されるよう指導をお願いしたい。

(5)認可外保育施設の指導監督について

 認可外保育施設に対する指導監督については、平成13年4月から、より効果的に指導監督を行うための「認可外保育施設指導監督の指針及び指導監督基準」を施行することとしており、近日中に通知の発出を予定している。
 本通知に基づき、児童の処遇、安全や衛生の確保を期するために、設備面のみならず、処遇面についても引き続き点検指導をお願いしたい。

(6)国における指導体制及び都道府県等に対する実地指導等について

(1) 国における指導体制について

 従来、旧児童家庭局企画課監査指導室で実施してきた児童福祉行政関係 の指導監査については、本年1月6日発足した地方厚生局において行うこととしている。
 本省と地方厚生局の業務分担については、追って詳細をお示しすることとしているが、基本的な考え方は以下のとおりである。

【地方厚生局が行う事務】

ア 児童入所施設措置費及び保育所運営費(以下「措置費等」という。)の監査に関すること。(厚生労働省組織規則第717条第1項第1号関係)
 措置費等に係る市町村に対する立入検査については、都道府県の法定受託事務とされているが、「補助金等に係る予算の執行の適正を期する ため必要があるとき」に都道府県が立入検査等を行う際に、国も自ら当該事務を行うことができるものとされており、この場合、地方厚生局が立入検査等を実施する。

イ 緊急時における児童福祉施設等に対する検査及び調査に関すること。
(同組織規則第717条第1項第2号関係)

 児童の利益を保護する緊急の必要があると認める場合に限り、児童福祉施設及び無認可児童福祉施設等に対して、都道府県と連携の下、地方厚生局が立入検査等を実施する。

ウ 社会福祉法人に係る指導監督に関すること。(同組織規則第717条第1項第3号関係)

(2) 都道府県等に対する実地指導について

 児童福祉行政の円滑な実施を確保し、事務処理の適正化を図る観点から、都道府県等が行う児童福祉施設等の指導監査事務や市町村の入所措置等に対する指導事務について、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言の実施(実地指導)を行う方向で調整しているところであり、具体的内容が決まり次第、お知らせすることとするので、実施に当たっては、ご協力をお願いしたい。

(3) 都道府県等が実施する指導監査の結果報告について

 平成12年度の指導監査の結果報告については、提出していただく方向で検討しており、報告内容等決まり次第、お知らせすることとするので、ご協力をお願いしたい。


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