平成13年2月
厚生労働省
1 | 趣旨 | |
少子化が進行する中で、働きながら子どもを産み育てやすい雇用環境を整備し、仕事と子育ての両立の負担を軽減することは、経済社会の活力を維持していく上でも重要かつ喫緊の課題となっており、仕事と家庭の両立支援対策を充実するため、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正を行う。 | ||
2 | 概要 | |
(1) | 育児休業等を理由とした不利益取扱いの禁止 | |
育児休業や介護休業の申出や取得を理由とする事業主による不利益な取扱いを禁止する。 | ||
(2) | 時間外労働の制限 | |
小学校就学前の子の養育又は家族の介護を行う労働者は、1年150時間、1か月24時間を超える時間外労働の免除を請求できることとする。 | ||
(3) | 勤務時間の短縮等の措置の対象となる子の年齢の引上げ | |
勤務時間の短縮等の措置に係る事業主の義務の対象となる子の年齢を1歳未満から3歳未満に引き上げる。 | ||
(4) | 子の看護のための休暇の努力義務 | |
事業主は、小学校就学前の子の看護のための休暇制度を導入するよう努めなければならないこととする。 | ||
(5) | 転勤についての配慮 | |
事業主は、労働者の転勤については、その育児又は介護の状況に配慮しなければならないこととする。 | ||
(6) | 国による意識啓発等 | |
国は、労働者の仕事と家庭の両立についての意識啓発等を行う。 | ||
3 | 施行期日 | |
平成14年4月1日。ただし、21)及び6)については、平成13年10月1日。 |
第一 | 不利益取扱いの禁止 | ||
一 | 育児休業を理由とした不利益取扱いの禁止 | ||
事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。(第十条関係) | |||
二 | 介護休業を利用とした不利益取扱いの禁止 一は、介護休業申出及び介護休業について準用するものとすること。(第十六条関係) | ||
第二 | 時間外労働の制限 | ||
一 | 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限 | ||
(一) | 事業主は、労働基準法第三十六条第一項本文の規定により労働時間を延長することができる場合において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(日々雇用される者を除く。二及び第三において同じ。)であって次のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求したときは、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、制限時間(一月について二十四時間、一年について百五十時間をいう。二において同じ。)を超えて当該労働時間を延長してはならないものとすること。(第十七条関係) | ||
イ | 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者 | ||
ロ | 労働者の配偶者で当該請求に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する場合における当該労働者 | ||
ハ | イ及びロに掲げるもののほか、当該請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの | ||
(二) | (一)の請求は、その期間中は制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなる一の期間(一月以上一年以内の期間に限る。以下「制限期間」という。)について、その初日(以下「制限開始予定日」という。)及び末日(以下「制限終了予定日」という。)を明らかにして制限開始予定日の一月前までにしなければならないものとすること。 | ||
(三) | (一)の請求がされた後制限開始予定日の前日までに、子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなすものとすること。 | ||
(四) | (一)の請求に係る子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じた場合、当該子が小学校就学の始期に達した場合又は産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合においては、制限終了予定日前においても制限期間が終了するものとすること。 | ||
二 | 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限 | ||
一((一)ロを除く。)は、要介護状態の対象家族を介護する労働者について準用するものとすること。(第十八条関係) | |||
三 | 公務員に関する特例 | ||
国営企業に勤務する国家公務員及び地方公務員に関して、一及び二についての特例を設けるものとすること。(第六十一条関係) | |||
第三 | 事業主が講ずべき措置 | ||
一 | 勤務時間の短縮等の措置の対象となる子の範囲の拡大 | ||
事業主は、一歳から三歳に達するまでの子を養育する労働者に関して、育児休業の制度に準ずる措置又は勤務時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置を講じなければならないものとすること。(第二十三条関係) | |||
二 | 子の看護のための休暇の措置 | ||
事業主は、その雇用する労働者のうち、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、労働者の申出に基づくその子の看護のための休暇(負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行う労働者に対し与えられる休暇(労働基準法第三十九条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く。)をいう。)を与えるための措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。(第二十五条関係) | |||
三 | 労働者の配置に関する配慮 | ||
事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならないものとすること。(第二十六条関係) | |||
四 | 事業主が講ずべき措置に関する指針の範囲の拡大 | ||
厚生労働大臣が定める指針の対象として、法の規定に基づき講ずべき措置以外の子の養育又は家族の介護を行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関して指針となるべき事項を加えるものとすること。(第二十八条関係) | |||
五 | 職業家庭両立推進者 | ||
事業主は、法の規定に基づき事業主が講ずる措置及び子の養育又は家族の介護を行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために講ずべきその他の措置の適切かつ有効な実施を図るための業務を担当する者(以下「職業家庭両立推進者」という。)を選任するように努めなければならないものとすること。(第二十九条関係) | |||
第四 | 国等による支援措置 | ||
一 | 国による職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための措置 | ||
国は、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を妨げている職場における慣行その他の諸要因の解消を図るため、これらの者の職業生活と家庭生活との両立に関し事業主、労働者その他国民一般の理解を深めるために必要な広報活動その他の措置を講ずるものとすること。(第三十三条関係) | |||
二 | 指定法人による支援 | ||
厚生労働大臣は、指定法人に次に掲げる業務を行わせるものとすること。(第三十九条関係) | |||
(一) | 職業家庭両立推進者に対して、第三の五の業務を円滑に実施するために必要な知識を習得させるための研修を行うこと。 | ||
(二) | 子の養育又は家族の介護を行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための広報活動その他の業務を行うこと。 | ||
第五 | その他 | ||
その他所要の整備を行うものとすること。 | |||
第六 | 施行期日等 | ||
一 | 施行期日 | ||
この法律は、平成十三年十月一日から施行するものとすること。ただし、第二及び第三の一から四までについては、平成十四年四月一日から施行するものとすること。(附則第一条関係) | |||
二 | 経過措置等 | ||
この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに関係法律の規定の整備を行うものとすること。(附則第二条から第六条まで関係) |
照会先 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課長 熊谷 毅 課長補佐 青山 桂子 電話 5253-1111(内線7856) 3595-3274(ダイヤルイン)