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平成12年8月31日

秋のポリオ集団予防接種の円滑な実施について

 平成12年5月、ロット39のポリオワクチンを使用した予防接種の一時見合わせをしたところですが、その後「ポリオ予防接種検討小委員会」において、円滑にポリオワクチン接種が再開されるよう国民に対する十分な普及啓発のため検討を進め、この度秋のポリオ集団予防接種の円滑な実施を目的とした報告書がとりまとまりました。

「ポリオ」と「ポリオの予防接種」について

○ ポリオの予防接種を全面的に再開します。
○ ポリオの予防接種は、お子さんが感染することを未然に予防するとともにポリオの流行を防ぐために非常に重要です。
○ ポリオとポリオの予防接種についてよく理解し、予防接種を受けて下さい。

この春のポリオの予防接種の見合わせと、この度の全面的な再開について

 この春、ある県において脳炎で亡くなったり、麻痺や髄膜炎の症状があらわれたという報告がありました。お二人とも、同じ製品番号のポリオワクチンによる予防接種を受けていたため、厚生省では、念のため同じ製品番号のワクチンを使用する予防接種の見合わせを行い、地元の県や医師会の参加を得た調査団を編成してワクチンに異常がないか調査をしました。また、製造過程などの再チェックなども行いました。その結果、お二人の症状の原因はワクチンとの関連がないこと、同時期に他の同様の報告はないこと、ワクチンの品質には異常はないことが明らかになりました。そのため、ポリオの予防接種を全面的に再開することとしました。
 また、厚生省では、ポリオの予防接種の全面的に再開するにあたって、ポリオとポリオの予防接種について、皆様によく理解していただくため、専門家による委員会を設け、あらためて情報の提供を行うこととしました。

ポリオとは? 予防接種の必要性とは?

●ポリオは、手や足の麻痺があらわれる感染症です。ポリオウイルスが人の口に入って腸の中で増えることで感染します。
●ポリオウイルスに感染しても大部分の人には症状はあらわれません(不顕性感染(ふけんせいかんせん)と言います)が、麻痺があらわれると、多くの場合、その麻痺は一生残ります。
●日本でも昭和35年には5,600人以上の患者が報告されましたが、予防接種の導入により制圧に成功しました。近年、日本では患者の発生はありませんが、海外ではまだポリオが流行している地域があり、ウイルスが国内に持ち込まれて感染する可能性があります。従って、予防接種を続ける必要があります。

予防接種によってポリオに対する免疫(抵抗力)をつけます。

●ポリオの予防接種は、毒性を弱くしたウイルスが入ったワクチン(生ワクチン)を飲む方法で行われます。
 予防接種法では、生後3か月から90か月(7歳6か月)の間に、6週間以上の間隔をあけて2回の予防接種を定めていますが、特に、生後3か月から18か月(1歳6か月)の間に行うことが望ましい方法です。
●お子さんのポリオの予防接種は、法律に基づいて市町村が実施します。費用(の一部:自治体の状況により書き分けること)は公費で負担されています。
●例年、対象となるお子さんの95%以上が予防接種を受けています。ポリオの予防接種は、最も安全で確実な効果があるワクチンの1つです。

ポリオの予防接種を受けた人(440万回に1回※程度)、予防接種を受けた人の周囲の人(580万回に1回※程度)に、ポリオと同じような麻痺を生じることがあります。

※20年間の日本国内のデータから計算した数字です。

●ポリオワクチン(生ワクチン)は、症状が出ないように毒性を弱めたポリオウイルスから作られています。
●ワクチンを作る際には、このウイルスの毒性が強くなっていないことを確認していますが、このウイルスがワクチンを飲んだ後に腸の中で増える過程で毒性が強まることがあります。そのため、きわめてまれにポリオと同じような症状があらわれることがあります。症状が出た人には大変不幸なことですが、これらの健康障害は、生ワクチンによって免疫をつけるしくみを考えると避けられないものといわざるを得ません。
●また、体の免疫機能が弱っている人は、毒性を弱めたウイルスでも麻痺を起こすことがあります。このような健康障害を避けるため、予防接種を受けられる子供さんの体調等の確認を十分に行ったり、より安全なワクチンの開発の努力が続けられています。
●予防接種を受けた後、便には1か月程度ワクチンのウイルスが出ています。ポリオに対する免疫のない人(予防接種を受けていない子どもやご両親など)の口に入っても多くの場合は不顕性感染となり症状はあらわれません。しかし、きわめてまれにポリオと同じような症状が出ることがあります。おむつなどを交換した後は、便の処理をきちんと行い、必ず手洗いをしましょう。

より安心して予防接種を受けていただくために。

●ポリオやポリオの予防接種について十分に理解して、予防接種を受けて下さい。
●体調や体質などについて、受ける前には必ず医師の診察を受けていただく必要があります。気になることがある場合は、必ず相談して下さい。
●免疫機能の弱っている人、あるいは現在かかっている病気によっては予防接種を受けられないことがあります。

※もっと詳しくお知りになりたい場合は、『ポリオ予防接種検討小委員会報告書』をご覧下さい。


(照会先)
保健医療局結核感染症課
担 当:藤井、飯野
内 線:2373,2383


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