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2018年8月10日 第127回疾病・障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会 議事録

健康局健康課

○日時

平成30年8月10日(金)13:30~16:30

 

○場所

省議室(9階)

○議事
 

○事務局 それでは定刻となりましたので、「第127回疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては御多忙の中、また大変お暑い中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日の議事ですが、予防接種に関する基本的な計画におけるPDCAサイクルに係る検討、認定に係る個別審議の2つの議題を予定しております。前半の基本的な計画のPDCAサイクルに係る検討の部分につきましては公開で行うこととなりますので、よろしくお願いいたします。
はじめに、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。多屋委員、長谷川委員、三田村委員、迎委員から欠席の連絡をいただいております。現在、委員25名のうち21名の出席により、過半数を超えておりますので、疾病・障害認定審査会令第7条の規定に基づき、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
また、開会に先立ち、7月31日付けで事務局側に人事異動がありましたので紹介させていただきます。健康局長が福田局長から宇都宮局長に、健康課長が正林課長から武井課長にそれぞれ交代となっております。それでは、開催に当たり、宇都宮健康局長より御挨拶を申し上げます。
○宇都宮健康局長 皆さんこんにちは。先週の7月31日付けで健康局長を拝命いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。委員の皆様方には、平素より予防接種行政の推進に御尽力・御協力をいただいておりますことを、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。また、本日は大変御多忙のところ、また暑い中を御参集いただきまして誠にありがとうございます。皆さん御存じのように、本分科会では予防接種法に基づくワクチン接種後に生じた健康被害につきまして、この法律に基づく救済給付を行うに当たりまして、その因果関係を御審議いただくということになっております。
ただ、この因果関係につきましては、「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」という従来の考え方にのっとって御判断いただいているところです。非常にいろいろと難しい問題があるかと思いますけれども、そういうところも御対応いただいていることを重ねて御礼申し上げます。
さて、先ほど、司会のほうから申し上げましたように、本日は、個別の審議以外に、それに先立ちまして「予防接種に関する基本的な計画」におけるPDCAサイクルに係る検討についても御議論いただくこととなっているところです。大変長時間になるかと思いますが、是非、忌憚のない御意見をいただきまして、今後の予防接種行政が更に向上しますよう、皆様方の御意見を賜りたいと思っております。今後とも是非、よろしくお願いいたします。
○事務局 それでは大変申し訳ございませんが、宇都宮健康局長と武井健康課長につきましては、他の公務のために退席とさせていただきます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元に、座席表と資料が1部、参考資料1部を配布させていただいております。もし、不足等ありましたら事務局までお申出ください。冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここで終了させていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので御留意をお願いします。
○五十嵐委員 ありがとうございました。それでは早速、議題1に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、お手元の資料に基づいて説明いたします。まず最初に、参考資料を御覧ください。PDCAサイクルの取組についての背景の説明です。予防接種法については、平成25年に大きな改正を行っており、それが1枚目上の資料です。改正の背景としましては、先進諸国と比べて公的に接種するワクチンの種類が少ない、いわゆるワクチン・ギャップの問題の解消や、予防接種施策を総合的かつ継続的に評価・検討する仕組みの構築等のため、予防接種制度について幅広い見直しを行う必要があるということです。
2.改正の概要ですが、大きく4点挙げられております。(1)予防接種の総合的な推進を図るための計画の策定で、本日御議論いただく背景となるものです。そのほかに、(2)定期接種の対象疾病の追加、(3)副反応疑い報告制度の法定化、(4)評価・検討組織への付議が、平成25年改正で制度化されました。
予防接種の総合的な推進を図るための計画の概要が、そのページの下に付いております。構成としては、第1の予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関する基本的な方向から第8までの8部構成となっております。健康被害救済の関係に関しては、右上にある第4の予防接種の適正な実施に関する施策を推進するための基本的事項に書かれています。その具体的記載の内容に関しては、追って御説明を申し上げます。
2ページ目の上は、予防接種行政に関する審議会・審査会の全体像です。先ほど御説明しました予防接種法の改正の概要のうち、評価・検討組織に関する部分としては、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の下に3つの部会、予防接種・基本方針部会、研究開発及び生産・流通部会、副反応検討部会が置かれています。
一方で、健康被害の救済制度の関係では、疾病・障害認定審査会に、感染症・予防接種審査分科会が置かれており、本日開催されているのが、この分科会です。
予防接種健康被害救済制度に関して、概要は下に付けています。予防接種の副反応による健康被害は、極めてまれであるけれども、不可避的に生ずるものであることを踏まえて、接種に係る過失の有無にかかわらず、迅速に救済する。予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、市町村より給付を行う。その際、専門家により構成される疾病・障害認定審査会において、因果関係に係る審査を行っていただいているということです。
3ページ以降には、「予防接種に関する基本的な計画」の原文をそのまま付けています。ここからは資料に基づいて御説明申し上げたいと思いますが、本日御議論いただきたいのは、この「予防接種に関する基本的な計画」に関しては、具体的な中身として、予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、今後の予防接種に関する中長期的なビジョンが示されています。このビジョンに沿って予防接種施策がどのように進められてきたのかと。この基本計画は、平成26年に定められているわけですが、そこから4年ほどたってきている中で、どのように進めてきたかということを今、各関係の審議会のほうで議論をしているところです。
資料に戻って、この基本計画の中に救済の部分の記載があります。その進捗状況を整理した資料について、本日御確認いただければということです。
「資料」を御覧ください。まず「予防接種に関する基本的な計画」に、救済の関係でどのようなことが書いてあるのかを説明します。四角で囲まれている部分に、定期の予防接種は、感染症の発生及びまん延の予防のため、法に基づく公的な制度として実施している中で、極めてまれではあるが予防接種の副反応による健康被害が不可避的に発生するという特殊性に鑑み、国家補償の観点から、法的な救済措置として健康被害の救済を実施しているものである。健康被害救済制度については、引き続き客観的かつ中立的な審査を行うとともに、国、地方公共団体その他関係者は、国民にとって分かりやすい形で情報提供する必要がある。また、国民が予防接種に対して安心感を得られるよう、定期の予防接種の健康被害救済制度及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構が実施する健康被害救済制度について、制度の周知及び広報の充実に取り組む必要があると記載されています。
この基本計画に基づく取組状況については、2番として整理しています。まず、(1)健康被害救済に係る審査の実施です。予防接種法に基づく救済に関しては、先ほどの局長の冒頭での御挨拶にもありましたが、我が国の従来からの救済制度の基本的な考え方「厳密な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」にのっとり、おおむね2か月ごとに本分科会、疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会を開催して救済に係る審査を実施していただいています。
また、先ほど申し上げた基本的な計画における記載のうち、健康被害救済制度の周知に関して、定期の予防接種の健康被害救済制度については、厚生労働省ホームページにおいて制度に関するリーフレットを掲載して広く周知するとともに、市町村に対して、予防接種を実施する際の予診において、健康被害救済制度に関する説明を行うよう求めています。
また、PMDAが実施する健康被害救済制度に関しては、国が都道府県や保健所設置市、医療関係団体などに対して周知に係る協力依頼の通知を発出して、PMDAがテレビCMや新聞広告、Web広告を行うとともに、ホームページに特設サイトを設けてリーフレットなどを掲載し、広く周知に努めているところです。
2ページの「参考1」として付けましたのは、この分科会で御議論いただいた結果として、給付種類別の認定実績を整理したものです。年度ごとに医療費・医療手当、障害児養育年金、障害年金、死亡一時金、遺族年金、遺族一時金、葬祭料の関係に関して、何件を認定したかという実績を整理したものです。例えば、平成29年度においては医療費・医療手当に関しては65件の認定を頂いたということです。
「参考2」に記載しているのは、先ほど御説明申し上げたもののうちの周知の関係です。厚生労働省のホームページに掲載してあるリーフレットと、PMDAが用意しているリーフレットを参考として載せてあります。この基本的な計画における取組状況に関しては、以上のように事務局で整理しておりますので、この内容について御確認いただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 御説明ありがとうございました。ただいまの御説明に、何か御質問等はありますか。資料の2ページの参考1には、該当年度ごとの医療費・医療手当等の認定実績が書いてありますが、これは否認した例やその数は書かれていないのですね。
○事務局 今回、実績を整理するときに、実際に救済の対象となった方の数ということで、整理をさせていただいております。
○五十嵐委員 この審査会ではもっとたくさんの人をきちんと審議して、否認もしているのだという実態がわかるように、否認した数も本当は書いていただいたほうがよいと思うのですが、いかがでしょうか。
○中山委員 こういう統計の場合、まず申請件数がスタートになると思うのです。それがあって、裁判所の司法統計などでもそうなのですが、申請件数と認定件数と否認件数の割合が取り上げられるべきだと思います。もちろん、取下げとか細かいものはいろいろあるのですが、今、五十嵐委員がおっしゃったように、55件とか65件というのは非常に少ない件数しかやっていないような感じもしますので、その辺りも整理されたほうがよろしいのではないかと思いました。
○五十嵐委員 ありがとうございます。
○事務局 この審査会を開催するごとに、この審査会の審議の結果で、何人を認定、何人を否認、何人を保留というようなところで、審査会ごとに毎回その結果を公表させていただいております。それを集計するに当たり、保留の方に関しては、その後いずれかの段階で審議いただいているということで、単純に足し上げることが難しいかなということで、今回は認定の実績だけを掲載することとしました。
○五十嵐委員 ほかにいかがですか。
○樋口委員 何点かあります。余り時間が長引くようでしたら、注意してください。基本は今のお話にもあると思うのですが、私もこの審査会にずっと参加させていただいていて感じていることは、やはりここできちんとした審議が行われていることが、外の世界というか、私を含めて普通の人たちに十分伝わっていないのが残念でなりません。このようにPDCAサイクルを行って、例えばこの5年についてどうだったかというようなことを明らかにして、こういうことをやってきて、これからどんな点を改善すべきかを議論しているという様を、このように公開で見せる。さらに、いろいろな所で発信していくことが、やはり重要なのではないかと思っており、その上での発言だと思っていただきたいのです。
例えば毎回出席していると、今のように認定件数だけでは、どのぐらいの数が出ていて、そのうちどれだけ認定されたかが分からないのは、今おっしゃったように数字の正確さを本当に重視すると、必ずしも一致しない時差のギャップがあるようなもので、何分の何とか言われても困るからというのは非常によく分かるのですが。
私の専門はアメリカ法で、前に少しだけ勉強したことがあります。アメリカで同じような救済制度があります。しかし、アメリカでの救済率に比べて、やはり日本のほうがこういう制度での救済は、遥かに高いのです。ですから、そういうことはやはり知ってもらいたいですし、時差があってもそういう意味では正確ではないです。しかし、一応比較するとこういうぐらいだという蓋然的な話でいいわけですから、このぐらいの救済が行われていますということをやはり知らせるべきだと思います。
逆に、もう1つ申し上げたいのは、ここでは不可避的に健康被害が発生するのだけれども、健康被害が発生する確率は非常に低いのです、そうでないと困ると思うのですが。それぞれの所での申請件数もあるのです。そもそも、副作用、予防接種のワクチンで、予防接種がどれだけ、何十万件、何百万件行われている中で、種類によって違うかもしれませんが、この年度のある時点では、申請数がこのぐらい、その中で認定がこのぐらいというような概略を示してくださると、もちろん不運な人もいるのだけれども、大多数のケースでは予防接種には意味があってやっているわけですから、やはりそれを理解していただくことになるのではないかと思いました。
その上で、どこまでのデータを公開するかは行政の裁量で考えていただければいいと思います。まず第1点としては、申請から認否の判断まで時間がかかります。毎回、一生懸命議論しているのだけれども予定している件数を全部やれることは、なかなかありません。しかし、PDCAサイクルだというのであれば、5年前に比べて、この審査会で回数を増やすなり、時間を増やすなりして、救済するときまでの期間が、これだけ縮まりましたというのが、結果として出てくるといいと思うのです。
私が直接には関係しなかった例ですがよく知られている例では、医療事故訴訟があります。医療事故は裁判の中でも認定がものすごく難しい事件なので、すごく時間がかかっていたのです。場合によっては10年以上です。それで医療集中部ということで、浦和、埼玉など、医療に特化した部を作りました。もちろん質を維持しながらですが、時間を短縮するためです。そうすると、例えば2年ぐらいで一審が終わるというようなデータが、はっきり出てきて、つまり努力した結果が出ているというのが裁判所でもあるのです。いわんや、行政でも、救済や認定の手続の時間が、この5年間でどれだけ縮まっただろうかというのは、PDCAサイクルであって然るべきかなと。それから、ここの審査会が関係するものではないのでしょうが、先ほどの5年前、4年前の計画を見ると、このきっかけになったのはワクチン・ギャップだという話があります。そうすると、このワクチン・ギャップがどういう形で、この5年間に、この部分とこの部分だけはギャップが少し縮まっています。特に海外で開発されていながら、日本では一応承認されていないというのが、どういうものがあって、それは今どういう状況にあるのかみたいな話も、私としては知りたい気がします。
最近、私は厚労省の関係では、自分で分からないのにと言って参加しているのは申し訳ないのですが、データヘルスという視点が重視され、データを基にして、ビッグデータなどと言われるようなもので、今後の厚生行政を変えていこう、考えていこうという動きがあります。ここでも、5年前の所にデータという言葉がこの審査会の関係でもありますし、第6という所にもあります。この関係で、結局は、データの公表という1番目の問題に戻ると思うのですが、どういうデータに基づいて何らかの施策が考えられるようになってきたかどうかというようなことにも、関心があります。
私は法学部に属していますので、本来、裁判上の救済と、ここでの救済というのは質の違うものなのです。明らかに、ここでの救済のほうが手厚いのです。裁判というのは本当に厳しくて、過失を認定しないといけませんから、なかなか認められません。だからこそ、こういう救済制度があるのです。ところが、ともすると、ここで否定された事例が裁判になって認定されるというか、肯定される例がなくはないのです。そうすると、このPDCAサイクルでいえば、この5年間で問題になったものが、私としては、それで終わってしまえばいいと思うのですが、しかし、いろいろな考え方がありますので、特に否認された例などで、裁判にいってどういうことになったのかというようなこともあって、それをどう考えたらいいかを考える材料として出てきたらいいかなと思うのです。基本は、裁判のほうが厳しくて、こちらのほうが緩やかだという建前が何かおかしくなっているようだと、こちらが反省するのか、裁判所が反省するのか、いろいろ考え方があって、そこは議論の在り方ですが、でも制度の立付けはそうなっているということは、裁判所も理解しているはずなのです。ですから、そこをどう考えていただくか。しかも、裁判所に鑑定人として出てくる以上に、こちらのほうには本当の専門家がたくさん入っておられるはずなのです。そこをどう考えたらいいのかというようなことは、少し大きな制度的な問題として、もし何かがあれば出てくると思います。
最後に、ここでも出てきているように医薬品の救済制度としてPMDAがありますね。向こうは向こうなりに別の種類の医薬品なのでしょうが、審査をやっています。しかし、制度の趣旨は同じように手厚く救済しようという話なのです。そうすると、具体的な審査の中で、PMDAで行っている手厚さと、こちらで行っている手厚さは何か連携というか、必ず同じ基準でないといけないかどうかは難しいと思うのですが同じように手厚い救済という話になっているといいと私は思うのです。そうなっていると信じていたいのですが、やはりデータの中でそういうことも出てくると、日本では何であれ、こういう問題について手厚い救済制度をきちんと備えているのだなということが、皆さんに分かっていただけるのではないかと感じました。長くなって申し訳ありません。
○五十嵐委員 長年、この委員をお務めいただいたならではの非常に貴重な御意見だと思います。事務局からお返事いただけることはありますか。
○事務局 非常に幅広い観点からの御意見でしたので、その御意見も踏まえまして、しっかりと検討したいと思います。何点か少し補足をさせていただきます。申請から認定までの期間に関しては、ある程度、書類の整理が素早くできて、この審査会にお掛けすることが比較的速やかにできるケースと、内容によっては難しいケースとがあるということで、少し個別ごとの期間の分布が一様でないという課題があります。そういった中で、どういった形でお示しすることが一番良いかなということを考えたいと思っております。
今回の審査会には、救済の関係ということで、救済の関係の記述の部分だけを御報告申し上げましたが、基本的な計画に基づく全体像がどんな感じになっているのかということに関しては、また整理をしていきますので、この審査会の先生方にも情報提供しながらやっていきたいと思います。その中で、例えばワクチン・ギャップの関係で申し上げますと、当初は7つのワクチンについて日本で定期接種化をする必要があるという議論があった中で、それに更にロタも含めて8つのワクチンが議論の俎上に残っている中で、6つのワクチンに関しては定期接種化が行われており、残り2つのワクチン、それ以外にも帯状疱疹のワクチンなど新しいワクチンが次々と薬事承認されているものを、厚生科学審議会の小委員会で1件1件評価をしているところです。
データヘルスの関係に関しても、主には救済の関係というよりは、予防接種行政の中では、副反応疑い報告制度で報告される副反応が疑われる症状の評価という観点で、予防接種歴がない方における症状の発生頻度みたいなものと比較できないだろうかというようなところで接点があり、どういった形でできるのかということもしっかり検討していきたいと思っております。簡単ではありますが、以上です。
○五十嵐委員 ほかはいかがでしょうか。
○中野委員 資料の2.これまでの国の取組の(1)の括弧で括ってある箇所で、「接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」とあります。冒頭に局長も触れられましたが、我が国の従来からの救済制度の基本的な考え方ということで、もちろん私はこれに賛成ですし、救済制度はこれからもそのように運用していくのがいいのではないかと考えております。
ただ、文章になっているものを見ますと、例えば参考資料の2ページの「予防接種健康被害救済制度」に書いてある文言は、2つ目の○に「健康被害が生じた場合、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、市町村より給付」と記載があります。そうしますと、個々の本審査会で審議をして、健康被害救済が認められたものは、即、ある意味、一般の国民の皆様からは、それはもう接種を受けたことによるものであると、1対1関係でつながってしまうようなことがないのかなということを常日頃から思っております。参照する文章として何か文章を探そうと思うと、この「接種を受けたことによるものである」という文章しか出てこないので、これまでの救済制度での基本的な考え方のほうが、私は大切だと思います。これが何らかの形で表に出るような形で表現していただけると、有り難いなと思っています。
○事務局 この救済制度に関しては、予防接種法の第15条に、健康被害の救済措置という規定があります。その中で、「市町村長は、当該疾病、障害又は死亡が当該定期の予防接種等を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、給付を行う」という表現となっております。ここの運用に際しては、先ほど申し上げたように、否定できない場合には認定するという基本的な考え方で運用しています。実際に個々の審査結果の通知に当たっては、どういった根拠で今回認定になったのか、あるいは否認になったのかということを丁寧に御説明するということで、御本人にはそれなりの御説明ができている形になってはいますが、法律の文言上は、このような形になっておりますので、その点についてどういう対応ができるかについては、引き続き検討していきたいと思います。
○五十嵐委員 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。この審査会は、毎回非常に難儀な内容を検討していただいており、先生方には本当に御尽力いただいていることを感謝いたします。そして、今回、初めてこのような振り返りが行われ、資料は不完全かもしれませんが、認定実績等も出てまいりました。これからは、今日の審査会で御指摘いただいた情報をもう少し深めることも検討していただきたいと思います。
それから、実はPMDAでの救済審査会もあるわけですので、その実態などについても同じような指標で、私どもの審査会、厚労省の審査会とPMDAの審査会とで、情報を共有するようなこともあっていいのではないかと思います。こんなことはできるかどうかは分かりませんが、5年に1回ぐらいはPMDAと厚生労働省の審査会を合同でやってもいいのかなと思いました。
それから、樋口先生から貴重な御指摘を頂いたのですが、米国でも同じような制度があって、それが運用されているということですので、そのデータなども、もし入手できるのでしたら参考になるのではないかと思います。これは米国だけではなく、もしかすると欧州にもあるかもしれませんので、もしそういうデータを入手できるようでしたら、私どもに頂ければ、これからの運営にも大きな参考になるのではないかと思いました。いずれにせよ、この振り返りは非常に重要ですので、これからもPDCAがきちんと回るようにやっていきたいと思います。この審査会は大変重要ですので、引き続き先生方の御尽力をお願いいたします。それでよろしいでしょうか。それでは議題1は、これで終了いたします。どうもありがとうございました。
続いて、審議2にまいりますので、御準備をお願いいたします。
○事務局 審議の公開については、ここまでとなります。傍聴者の皆様におかれましては、退室をお願いいたします。また委員の皆様におかれましては、資料を御用意いたしますので、そのままお待ちいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 

(了)

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