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視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第2回)議事録

 


1.日時
 令和元年度11月28日(木曜日)14時00分~16時30分

2.場所
 文部科学省東館13階 13F1~3会議室

3.議題
 1.視覚障害者等の読書環境等の整備の推進に係る基本的な計画の策定について
 2.その他

4.議事録
【中野座長】 定刻になりましたので,ただいまから視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第2回)を開催させていただきます。前回座長に選任していただきました慶應大学の中野でございます。本日も進行させていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
本日は雨の中,お忙しいところお集まりいただき,まことにありがとうございます。本日は第1回の協議会に引き続いて,構成員からの意見聴取を行いたいと思います。
初めに,前回御出席がかなわなかった委員の皆様で,本日より参加してくださっている方がおられますので,事務局より御紹介をお願いしたいと思います。

【小林障害者学習支援推進室長】 事務局の,文部科学省の小林でございます。本日から御出席の委員について,お名前を御紹介させていただきます。
市川委員でございますが,まだ御出席ではないですね,申し訳ございません。
藤堂委員でございます。

【藤堂委員】 よろしくお願いいたします。

【小林障害者学習支援推進室長】 よろしくお願いいたします。
また,本日は小池委員が御欠席で,調布市立図書館から返田様に代理出席をいただいております。

【返田(小池委員代理)】 よろしくお願いいたします。

【小林障害者学習支援推進室長】 また,近藤委員が御欠席です。
なお,本日は厚生労働省の橋本部長方が,業務の都合上,途中で退席する可能性がございますので,あらかじめ御了承ください。
以上です。

【中野座長】 どうもありがとうございました。
では続いて本日の配付資料の確認を,同じく事務局からお願いしたいと思います。

【小林障害者学習支援推進室長】 本日の配付資料ですが,資料1としてお示ししている構成員からの提出されたヒアリング資料は,前回会議でお渡しした机上にございますピンクのファイルにとじておりますので,そちらを御参照ください。また,そのほか資料2,資料3と,参考資料1として竹下委員より御提出のあった資料を配付してあります。そのほか不足などございましたら,事務局までお知らせください。

【中野座長】 どうもありがとうございました。過不足ございませんでしょうか。
それでは,先ほど最後に説明がありました参考資料1について,竹下委員からもし補足説明がありましたらお願いしたいと思います。

【竹下委員】 竹下です。後から出して申し訳ございません。
第1回の意見交換の場で,サピエについていろいろ数字を出しました。この数字,口頭でお伝えしても,いろんな数字が行き交って混乱させてはまずいと思いまして,現在のサピエの水準について御参考までに数字を出しました。お願いいたします。

【中野座長】 どうもありがとうございました。
それでは,本日は1つの議題,意見聴取でございます。意見聴取の進め方については前回も確認させていただいたんですけれども,事務局より,再度御説明をお願いしたいと思います。

【小林障害者学習支援推進室長】 前回と同様ではございますが,意見聴取の進め方について改めて御説明いたします。
皆様の御発表は15分以内でお願いします。時間管理のため,残り1分となりましたら事務局がベルを鳴らします。そうしましたら,発表者の方は御発言をおまとめください。お時間を超過する場合には,発言の最中でも事務局よりその旨お伝えする場合がございますので,どうか御容赦ください。
また,質疑応答,意見交換の時間は,3件のヒアリングが終わりましたら設けます。この時間についても,残り1分となりましたら事務局でベルを鳴らしてお知らせします。質疑応答と意見交換の時間では,直前のヒアリングに関する内容を中心に御発言いただきますようお願いします。
また,次回の第3回のヒアリングが終わった後で,全体を通じた意見交換を行う予定でございます。
以上です。

【中野座長】 御説明ありがとうございました。
では,本日も全部で6件の御発表がございますので,早速進行をさせていただきたいと思います。3件発表していただいた後で質疑応答を入れさせていただいてという,前回と同じような流れで進めさせていただきます。
それでは,最初の発表者である見形委員より御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【見形委員】 皆さん,改めてこんにちは。DPI日本会議の見形と申します。きょうは上肢障害の立場でお話をさせていただけたらと思っております。よろしくお願いします。
最初に,皆さん資料を御覧になりながら聞いていただけたらと思うんですけれども,私自身は先天性障害で,介助が必要で,24時間の介助を受けながら日常生活を送っています。読書をする経験は,子供の頃は障害が軽かったので本をめくれていたんですけれども,進行性の病気なので,ページをめくるという動作が徐々に困難になってきました。
その中で,私が読書をしばらく諦めていた時期がありました。この制度ができたことで私にとって本を読む,見る新しい形態が生まれるということで,大きな衝撃でもありましたし,科学の進歩というか,電子図書もかなり増えてきて,しゃべる本という,こちらの「基本的な方針」でもちょっと触れておりますが,聴く,見るだけの本ではなくて,聴いて,しゃべったりする本が読めるということだったり,あと私は子供時代に飛び出す絵本とかそういったものがとても好きでしたので,触って感じられる本や,いろんな媒体を,障害によって必要なものを選んで読める権利,知る権利にやっと到達していけるというか,障害当事者にとってとても有用な制度が確立されていくのかなという期待を物凄く持ちました。
せっかくの法律なのですが,このような法律の宣伝というか啓発がまだ全くされていないと思っているので,障害当事者だけのサービスではないというところで啓発キャンペーンが必要なのではないかと。これは上肢障害者にはもちろんなんですけれども,どうしても読書バリアフリーは視覚障害の方のみのサービスであるという認識がすごく強いので,その辺の宣伝を強化していく必要があると思っております。
あと,民間企業の人たちへの啓発ももちろん必要だと思うんですけれども,PRとして携帯ショップなどの機関を利用できないのかなとか,教科書もこれを検討されているとは思うんですけれども,学校の場でももっと子供たちにこういった媒体を宣伝して使っていってもらえるような形や,図書館もスマホやタブレットが普及していますので,そういった扱い方のデモンストレーションとかも図書館の中で実施できたらいいのではないかと思います。本屋さんも,神田とかでも潰れていっている状態ですので,もっと本を読むということをフラットに,みんながすぐ手に取ってスマホのアプリと同じような感覚で読めるようなスタイルを推進していったらいいのではないかなと思います。そんなアクセシブルな電子書籍が可能になる時代にこれからなっていくのであろうと思いますので,その道筋をこの会議の中で立てていけたらいいと感じています。
次の2番ですが,上肢障害者も対応するテキストデータ化を急ぎたいと書いてありますが,先ほど私がお話ししましたとおり,上肢障害,あと,ベッドに臥床しているというか寝たきりになってしまっている障害のある人たちがどれだけ読書を諦めてきたかということがあります。このような媒体を知らないで諦めていくというのはとてももったいないし,残念なことです。様々な読書媒体を体験できる,これも民間媒体ですけれども,国際福祉機器展とかそういったものをもっともっと活用していけたらいいのではないかなと思います。
あとは,点字図書館。これはネーミングで視覚障害者の方だけのものという感覚になってしまいがちだと思うので,読書の障害を持っているいろんな方たちが利用できるということを大幅にPRできたらいいのではないかと考えます。これは点字図書館の方のお話も是非伺いたいと考えました。また,多くの多様な地域生活を行う障害者が,私も関わっていますが,自立生活センターとの連携強化で,当事者なくしてこの制度は成り立たないと思うので,私たち障害のある当事者がユーザーになりますので,その人たちとの連携を是非,密にとっていただきたいなと思います。
(2)に移りますが,円滑な利用のための支援の充実ということで図書館のバリアフリー化をいろいろ羅列していますが,図書館に行ってもお手洗いが狭かったり,なかったり,ベッドがなくてトイレができないとか,これは全体的なバリアの問題です。リフトがないとお手洗いができない障害の方もいるので,トイレに設置できないものかとか,そういったこともすごく考えますし,あとは在宅で,郵送でいろんなもの,本を届けるサービスとか,データのやりとりも円滑に進められると読書率がもっとアップするのかなと思います。いろんなところに,障害児も含め,施設も含め,障害のある人たちがいるので,その辺の連携も強化していかなければいけないと考えます。
次に行きます。「2.インターネットを利用した・・・」というところで,(1)「サピエ」の運営への支援ということで,これは先回もお話があったと思うんですけれども,助成金がとても少なくて活動がとても大変と聞いております。この制度もできてきたので,運営補助金をもっとフォローしていただけないのかなというふうに感じています。
また,特定書籍の方に移ります。3番なんですが,これも点字図書館,公立図書館などで点訳,音訳,拡大などの作業をうまく進めるための,出版社の方へどういう書籍のデータ提供が可能なのかとか,どういうデータが一番いいのかとか,そういう費用について検討していかないと実際はうまくいかないものだと思うので,それも検討課題だと思います。
次の4番がアクセシブルな電子書籍というところですけれども,出版社の負担も少なく,容易にインターネット上からの電子データ購入が実現できるよう,それを実現できるデータ提供の出版社の負担軽減は可能なのかどうかも検討していけたらいいと思いました。
6番は端末機器についてですけれども,これも日常生活用具というのがありますが,DAISYプレーヤーを含む情報機器の補助,あとは貸出なども検討できるといいのかなと考えました。また,特別支援教育については障害のある子供たちの読書環境の改善をする,情報提供をする,読めない壁を取り払う。読めないことで子供たちも諦めてしまうという現実があると思いますので,見る教科書とか,触る教科書とか,本当にあらゆるソースを使って学習保証をしていけないものかと考えています。
8番,人材育成などについてですけれども,司書等の資質向上というところで書かせていただいております。図書館の利用の際に障害当事者が,これは講義,研修などができたら一番いいのかなというふうに思いますが,障害者だけではなく高齢者の方や,外国の方のサービスも含めてサポートしていけたらいいのかなと思います。そういった実際の読書障害者への対応に対するカリキュラムなどは,先ほど申した自立生活センターのスタッフだったり,そういった当事者が関わって教えるというか,伝えていく機会が是非必要ではないかと思っています。
最後,終わりにというところです。図書館,出版業界が,当事者にとって,障害者にとってより分かりやすく検索やダウンロードを可能にするために,運営資金やサポート体制を作ることが重要ではないかと思います。点訳や音声化,テキストデータ化をボランティアさんにずっと頼ってきた長い歴史があると思うんですけれども,ボランティアで培う資源だけではなく,やはりきちんとした保証を付けて,お仕事としてやっていたけるようなものにしていかないと全く広がっていかない制度になってしまうと思います。
また,読書バリアフリーを実現するには上肢障害含め,いろんな障害者の方の意見を聞きながら,インクルーシブ視点を大事に,それを基本に継続していく協議のこのような場が定期的に行われることが望ましいかと思います。また,どれだけ実現したかという達成目標というか,もちろん行うと思うんですけれども,数値を見える化していかなければならないと思います。そして先ほどと重ねて申しますが,やはり実際にこの制度がどういうふうに使われているのか,どのぐらい普及しているのかということを定期的に評価していく機関,又はそういう場が必要だと感じております。
以上です。

【中野座長】 どうもありがとうございました。
引き続きまして,阿部委員より御発表をお願いしたいと思います。

【阿部委員】 日本身体障害者団体連合会,日身連といいますけれども,阿部です。お手元の資料に沿ってお話しさせていただきます。
楽しみを伴い感性を育むという大きな意義がある読書ということは,すごく大事なことだと思います。障害があるために読書を行うことに困難があった人にとって,環境が整備されるというのはとても大事なことだと考えております。この法律が障害者等の読書環境をより一層効果的に整備することを期待して,幾つか意見を申し述べたいと思います。意見の中には,既にお話しされた委員の皆様と重なる部分もあると思いますけれども,お話しさせていただきます。
1番目です。まず,この法律による「視覚障害者等」の定義として,「視覚障害,発達障害,肢体不自由その他の障害により,書籍について視覚に表現の認識が困難な者」と定義されております。このことは視覚障害のある方だけではなくてディスレクシアの方,上肢麻痺や上肢障害などで,ページをめくったり,書籍を取り扱うことに困難な身体障害,眼球焦点や眼球運動などの障害者を含んでいるということはすごく高く評価できることだと思います。
その上で,誰もが等しくという観点から考えれば,大きな規模の図書館において,現状ではありますけれども,視覚障害のある方へのサービスについて明記している一方で,まだほかの障害についても使えるというような明記がないということ。この法律によって支援の対象となるほかの障害について,これからはしっかりと明記していただきながら,受益者の幅の広さについて,私たち障害当事者や関係者にも十分に周知徹底していただきたいと思います。
2番目です。点字図書館の役割は大きくなるということ。ただ,今は点字図書館も人の配置,資金に関して大変ではないのかということを前回お伺いしました。とにかく点字図書館というのはとても大事なところなんですけれども,この名称からは視覚障害の方へのサービスに限定しているように受け止められかねないと考えられます。本法律に基づいて,ほかの障害の方々へのサービスを提供することについては十分に周知していただきたいと思います。点字図書館,図書館ともに,障害の多様性について対応できる職員の配置と施設そのもののバリアフリー化というのは,すごく大事になってくると思います。
3番目です。加齢等に伴って細かい字を見ることに困難を抱えるようになってきてというのは私の体験でもありますけれども,読書習慣から離れてきている高齢者の人が数多いように思います。高齢の方にとって読書が脳の活性化に重要であることは多くの指摘があることですので,このような高齢の人が読者バリアフリーにおける受益者の範囲に入るのか検討していただきたいと思います。また,受益者となるのであれば,そのことの周知を図っていただきたいと思います。
4番目になります。現在,障害者権利条約並びに障害者施策の向上により障害がある私たちが様々な国及び地方自治体の委員会などに参画して意見を述べる機会を得ていることはとても意義深いことだと思います。このようなときに,地方自治体も含めてなのですけれども,会議の資料や議事録などに点字資料などが準備されるようになってきてはいますけれども,全ての会議で準備されているとは言い難い現状もあると思います。また視覚障害者の方などの参加が想定される様々な会議やイベントなどが開催されるようになってまいりました。私の団体,日身連も視覚障害の方々も構成員になっております。そのような場合,障害に応じた資料の提供が十分に行われない場合もあるのではないかと思っているところですけれども,この法律に基づいて,障害特性に応じた資料の作成と提供が円滑に行われるように取組強化を図っていただくことができればいいなと思っています。点訳奉仕員の方々への要請は私の地域の団体でも行っていますけれども,すごく大事な役割をしていただいています。だけども,何といいますか,報酬といいますか,結構大変で,ボランティアでしていただくのが今の現状でございますので,この辺の強化がされるといいと思います。
それから5番にありますディスレクシアの方などを含めた発達障害児者の読書,教育にはマルチメディアDAISY,これは後ほど河村委員がお話しされると思いますけれども,とても効果的であると聞いております。この意義の大きさの周知を図るとともに,さらに特別支援教育などにおいて実践的にというか,実際の強化を図っていただきたいと思っています。
それから6番目になりますけれども,電子書籍などの販売が促進されることは読書バリアフリー法における受益者以外の多くの人々にとっても大きなメリットになります。受益者の幅も広げていただきたいと言いながら,もし受益者に入らなくても,電子書籍の販売が促進されることはとても多くの人にとってメリットです。技術の進歩に合わせて,その普及に努めていただきたいと思います。この法律の施行によって,技術の進歩が多くの方々のメリットになるようにと願っているところです。
それから,7番目です。マラケシュ条約の枠組みに基づいて,これは海外の触地図,グラフィックスなどの触図,点図などを入手・活用し,我が国におけるこの領域の進展を図っていただきたいと思います。これについても私が詳しく分かるわけではないんですけれども,私たちの地域でも触図を作ってみても大き過ぎるから分からないとか,小さ過ぎるから分からないということがあります。またこれも自分自身がよく分からないでお話しするのも何なんですけれども,視覚障害の方がこれから出掛けるところなどを考えるときにも触地図は大事だと思います。そのための機器があるということも存じ上げていますけれども,これが一般化するようになるといいなと思います。海外の取組の中で学ぶべきことがあればそれも促進することになるのかなと思いました。
それから8番目です。拡大読書器を含め,読書支援機器の普及は重要です。福祉機器として給付しやすくしていただくことはもちろんですけれども,これは多くの人に読書の喜びを体験し続けていただくための支援機器もまた重要なツールです。言ってみれば必ずしも給付の対象にならない人にとっても安価に入手できるように検討していただければと思います。給付の対象というのはいろいろ枠組みがあると思いますけれども,拡大読書器というのは高齢の人も含めて多くの人がさらに読書に取り組むときに今までの習慣を継続して読書に取り組むとき大事なのではないかと思います。
9番目です。図書館サービス等に関する人材としてピアサポートができる職員・ボランティアの育成は重要であると思います。障害による困難に対応して解決した体験があるのはその障害のある方です。そのような方がこの領域で力を発揮し,貢献できる,障害がある人にとっての活躍の場,障害がある人々はいろんな経験を持ってますので,そのような場ができることはとても大事だと思います。さらに障害の多様性に対応した適切なサポートができるよう,職員・ボランティアへの障害理解の研修の取組強化も含めて進めていただきたいと思います。障害がある人への配慮というのは,当事者の言葉が一番説得力があると思いますので,これは見形委員もお話しされたことだと思いますけれども,是非そのような取組をしていただくことが大事だと思いますし,障害がある私たちが図書館に行くこと,今までも行く環境にあったと思いますけれども,さらに多くの方が図書館,点字図書館を訪れることによって多くの市民の方々の理解にもつながる,そのような取組になるととてもいいと考えているところでございます。
ということで,私がお話ししたい内容は以上のことですけれども,どうもありがとうございました。以上で終わります。

【中野座長】 どうもありがとうございました。
3件目の藤堂委員の御発表が終わったところで質疑を入れさせていただきたいと思います。それでは3番目の御発表を藤堂委員,よろしくお願いいたします。

【藤堂委員】 皆さん,こんにちは。NPO法人エッジの藤堂と申します。NPO法人エッジというのは,ディスレクシア,読み書きの困難を持っている人たちのことをまず知っていただくという,啓発と支援ということで,支援のツールをいろいろと開発するということと,似たような障害を持っていらっしゃる方たちとネットワークを組むという,この3つのことを目的として活動20年目に入っております。
どうしてこういうNPOを作ることになったかというと,自分自身がディスレクシアであるということ。それに気がついたのは四十幾つになってからです。息子が,15でイギリスに留学して初めてディスレクシアということが分かりました。その頃は日本ではディスレクシアという言葉は1人も知らない状態です。大人の方が脳梗塞を起こして読めなくなってしまうという状態をAcquired,後天的なディスレクシアと呼んでいました。そういう人たちを見ていくうちに,子供の中にも生まれつきそういう人がいるなということがやっと分かってきたのがこの20年間の歩みなんですね。そういう経験からというのと,私自身が帰国子女ということで,日本語の読み書きが多少できなくてもみんながカバーしてくれてきょうを迎えていて,一応慶應義塾大学を出て,60になって修士号も取っております。それに役立ったのは,やはり耳から聞くとか,読書が大好きなんです。いろいろ本を読みますけれども,自分のペースで好きな本を読みたいという気持ちが非常に強いです。
我が子なんですけれども,彼はイギリスに留学していろいろな支援を受けまして,その中の一つがやはり読むものをいろいろな形で提供してもらったという経験がございます。それだけではなく,時間を延長してもらったり,いわゆる合理的な配慮と呼ばれているものをきちんと受けて,それが今の日本の文部科学省が出している対応指針に相当生かされていると思います。どうして私がここにいるかということを少し御説明させていただいてから本題に入りたいなと思ってお話ししております。
イギリスで息子がそうだと分かったときは,もう目からうろこという感じで,これまでの苦しみは何だったのかということで,ああ,こういう機器を使えばこれだけの道が広がるのだなということを実感いたしました。それプラス,使うということに対してちゅうちょがある,それが日本での問題かなと思います。ディスレクシアの人に合理的な配慮を受けていいんだよと言っても,読み上げてもらえるんだよと言っても,じゃあなかなかそうしてもらおうという気にならない子がいっぱいいるんですね。人口の10%ぐらいいると言われているので,相当数だと思います。なので,そういう人たちが十分な教育の機会,そして社会に出てからいろいろ読書を楽しむだけではなく,ありとあらゆる情報を手に入れるということへの道が開かれているんだよということをプレーンに示してあげたいなと思っています。
マラケシュ条約というのはそれを約束してくれる条約の一つであろうと思っていますので,これが国内法にきちんと対応されたというのはとてもうれしいことだと思っています。ただ,この文言を読んでいきますと,どうも「視覚障害者等」の「等」の中に入れられてしまっていて,その上で発達障害の中に入ってしまうと,発達障害というイメージは,どちらかというと自閉症ですとかADHDという,見て目立つ大変さに対しての対応が先に進んでいるような気がいたします。読み書きの困難という事に対しての支援とか対応とか,気付きさえもまだまだないのが現状です。センター試験で配慮申請をした人の数が,55万人受験した人の中の50人程度だそうなんです,ディスレクシア又はLDということで。これはびっくりするぐらい少ない数です。本人が気付いていないということもあるかもしれないし,そういう道が開けているということさえも知らないかもしれないし,又は知っていたとしてもそれを受けることへのちゅうちょがあります。これが一番大きな問題だと思って,この読書バリアフリー法ができることによって学校でもそういう支援を受けるということが大丈夫なんだよと,あなたが障害者だからとか,あなたができないからではなくて,当たり前のことなんだよというふうに広がっていってほしいなと思っています。
私は,意見書,非常に簡単なものを出しましたけれども,きょうの資料に関して一言申し上げさせていただくと,PDFで送られてきましたけれども,書体がばらばらなんですね。できましたらばモリサワUD教科書体というフォントで統一していただくと,多分,私のもモリサワUD教科書体で出しております。ところが文部科学省でWindows10を持っていないものだから,反映されないで印刷されています。こういう小さいところから配慮をしていただきたいなと思うんですね。別にディスレクシアの人だけではなく,多くの人が読みやすいフォントである,そして教育的であるということが分かっているものなので,そういうところから考えてほしいなと思うんですね。「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与すること」の実施とうたっております。でもそのためにはまだまだやらなくてはいけないことがあるのではないかと思います。
まず,「視覚的な障害者等」となってしまっていて,どうも基本となっているのが視覚障害者へのサービスになっているなということがすごく感じられるので,どうにかしてこれが先ほどからおっしゃっている高齢者だとか手足がうまく動かない方だとか私たちのようにディスレクシアといって,目は私,視力1.5ずっとあります。今はちょっと老化で低くなっていますけれども,そういう人たち,高齢者になっても読めるとか,外国人の方たちのことももう一つの検討委員会で話しています。こういう方たちにも使えるんだよ,そうやって知的好奇心に応えることができるんだよ,毎日の暮らしに困らなくていいんだよということを伝えていきたいなと思うので,その文言をどうにか工夫していただきたいなということ。それから,障害者というふうに書いてあるんですけれども,医療モデルではなくやはり社会モデルで,私たちにとっては医療的には脳の構造なので,実際にどこがおかしいんですかというのはなかなかまだ解明されていません。多分ここがうまくつながっていないんだろうなということは分かりますけれども,私を障害者と言うのかと考えたら,なかなか手帳も取れません。そして医師の方は,私の訴えとかでそうなんだろうということは言っていただけるかもしれないけれども,その診断書はどれだけ信頼できるでしょうか,なんですね。目が悪いとか,手がない,足がないということであればその機能を推し量ることは非常に簡単だと思いますけれども,なかなかできないということがございます。
もう一つは,やはり地域間格差とか経済格差というのがあると思いますので,それを解消するために国立図書館をはじめ各地の図書館,学校図書館などであまねく使えるようにしていただきたいということ。それから先ほど教科書にもということですけれども,教科書科の方がここにいらっしゃらないんですけれども,教科書に関しては相当DAISY化も進んでいますし,ほかにUDブラウザーとか私どもで使っているBEAMというのもございます。
もう一つ最後に,皆さんおっしゃっていますけれども,点字図書館という名称をどうにかしていただきたいなと思います。私たち,許されているんですけれども,使ってもいいよと言われていますが,なかなか点字図書館では使う気になりませんということで,できるだけ,私ども,「AITALK声の職人」という音を使っております。人工音声ですけれども十分聞けるものなので,一つの技法に限らず,いろいろな方法で作られたものが提供されるようにしていただきたいと思います。
以上です。

【中野座長】 どうもありがとうございました。
それぞれの御発表,御協力を頂きまして15分以内でお話をしていただきました。3件の御発表がありましたので,ここで質疑応答に移りたいと思います。御質問や御意見がありましたら頂きたいと思いますが,いかがでしょうか。
では,宇野委員お願いします。

【宇野委員】 見形委員に3点お伺いさせてください。
まず1つ目ですが,視覚障害者は全国で30から35万人といわれていますけれども,身体障害者の中で上肢障害又は寝たきり等でいわゆる読書に困難のある方々というのは大体全国的にはどれぐらいいらっしゃるんでしょうかというのが1つ目です。
2つ目ですが,情報端末のこととも絡みますけれども,今,私がここに手元に持っているのは視覚障害者がよく使っているDAISYプレーヤー,リンクポケットというものです。8万5,000円するものなんですが,視覚障害のために作られてきた音声図書,録音図書というのは,上肢障害,寝たきりの方にも今でも使っていただける状況にあると思うんですね。でも,端末としてこういう物理的なボタンが出ているリンクポケットのようなDAISYプレーヤーというものが上肢障害の方にとっての使い勝手がどうなのか,若しくはスマホなどのアプリでスマホの画面をタッチしてDAISYを再生する方が便利なのか,その辺は人によって違うかもしれませんが,率直な使い心地を教えていただきたいと思います。
3点目ですが,自立生活センターというお話がありましたが,ちょっと不勉強で教えていただきたいんですけれども,全国の自立生活センターというのは何か所ぐらいあって,そしてそこに仮にサピエとか国会図書館のネットワークが伸びていくとすると,日常的に身体障害の方は自立生活センターで図書と出会っていくというのがどのぐらい効果的なのか。この3点をまず教えてください。

【中野座長】 それでは見形委員,御回答をお願いできますでしょうか。まず1番目の,上肢障害の人の人数ですね。

【見形委員】 実際に今,宇野先生から頂いた人数についてですけれども,カウントをまだできていないので,実際にはどのぐらいそういうニーズがあるのかというのはまだ調査をしておりません。すみません,はっきりとこの場でお伝えができないです。上肢障害や寝たきりの障害の人たちは筋ジストロフィーやALSの方が多いんですけれども,国立病院だったりとかそういう施設に物凄くたくさんまだいらっしゃったり,していますし,もちろん呼吸器を着けながら自立生活をしている障害者もどんどん増えているので,人数的にはいると思うんですけれども,まだ上肢障害の方たちがこの読書バリアフリーのサービスをたくさん享受しているかというと,まだ始まったばかりでなかなか進んでいないというのが実際のところです。私も,恐らくですけれども,埼玉に住んでいるんですが,埼玉の上肢障害で多分1番目のユーザーというか,サピエを使っているユーザーの1人になっているという感じで,それが半年ぐらい前のことなので,まだ数人というか,埼玉県でも数人のが利用しているレベルの状態でやっているので,これからどんどん,私を通じて,DPIを通じて,宣伝してユーザーを広げていきたいなと思っているような状況です。
2つ目の質問ですが,先ほど見せていただいたプレーヤーですけれども,私に限ってですけれども握力がないので,ボタンが押せるかどうかというのがちょっと分からないんですけれども,介助者に押してもらうとか,あとは補助器具を使ってクリックをするとか,声で反応するようなものに,例えばアレクサみたいなもので反応すれば使えるようになるのかなと思います。私がまだ使ったことがないので,ちょっと押して,やってみたいなって感じですけど,でも8万円ということでびっくりしましたので,もう少し安価になったらいいのになと思います。
3つ目,すいません。

【宇野委員】 自立生活センターの数。

【見形委員】 自立生活センターは全国に120か所以上あります。どんどん広がって作られているので,まだ空白県,自立生活センターがない県もあるんですけれども,全国に点在しています。東京や関東は物凄く多いんですけれども,障害当事者がサービスの受け手ではなくて担い手になるということで,当事者が中心となり介助派遣サービスや権利擁護活動を中心に行っています。相談業務も行っています,先ほどおっしゃられたような国会図書館やサピエと連携していくことによってユーザーにつなげることもできないかと。自立生活相談、自立生活プログラムを通じての中で私たちが直接こういうものがあるよということを伝えて,ユーザーを増やしていくことは可能だなと自分なりには思っています。障害当事者へのPRと啓発もできるかなというふうに思っています。

【宇野委員】 ありがとうございます。

【中野座長】 ありがとうございます。
厚生労働省から,1番目の御質問に対するお答えかと思いますが,お願いします。

【金原自立支援振興室長】 読書に困難のある上肢障害の方ということなんですけれども,程度の差があるので細かい数字は分からないんですけれども,あくまでも上肢障害の方の数ということだけで言いますと,平成28年にやっている調査からの推計は63万2,000人でございます。

【中野座長】 どうもありがとうございます。
阿部さんから,今の質疑について補足されるようなことはございますか。

【阿部委員】 補足というよりも,自立生活センターですけれども,やはりこの運営というのは結構経済的,財源的にも大変なのかなと思います。私は自立生活センターと関わっているわけではないのですけれども,その辺のところの運営の大変さについて,お話しいただければと思います。

【中野座長】 見形さん,いかがでしょうか。

【見形委員】 そうですね,簡単にはいかないところではあります。財源が国から助成されているわけではありませんので,多くはNPO法人だったり,任意団体としてやっているところが圧倒的に多いです。財源というのは相談支援事業の,相談支援のケアプランというかプランニングをしたお金が入ってきたり,あとは企業の助成金を受けてそれを使わせていただくことだったり,議員さんとかすごく協力していただいておりますけれども,あと日本財団さんとか,そういったところの企業からの援助を受けながらやっている部分と,あとは介助派遣事業所を大体持っているところが圧倒的なので,そこの部分からの,一部ですけれども,利用するということもありながら活動しているという感じで,主には本当は,あとは一般会費というか,賛同してくださる法人の方,皆さんもそうだと思うんですけれども,NPO法人だと会費制なので会費の納入をたくさんしていただくということで,多くは会費収入も使いながらの活動になっています。

【中野座長】 どうもありがとうございます。

【阿部委員】 よろしいですか。ですから,自立生活センターはすごく大事な役割を果たしていると思います。当事者の体験を基に地域で生活する方々がそこでトレーニングをしたりすることも含めて大きな役割を果たしているけれども,その財源的には本当にいろんな苦労があるということで,もっと安定してその運営ができるようになるといいなと思ってます。ありがとうございます。

【中野座長】 ありがとうございます。
多分ほかにも,先ほど2番目の御質問にあった上肢障害で使える様々な支援機器というのは,視線で入力したり,今様々な取組が特別支援学校等でも行われていますので,それぞれの特性に応じたシステムというのが多分必要になってくるのではないかなと思います。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
はい,お願いします。

【高橋委員】 日本図書館協会の高橋と申します。質問ではないのですが,見形さんの御意見の中で,図書館でスマホやタブレットPCのデモンストレーションを検討してはというお話がありましたので,それについて意見を述べたいと思います。
私の勤務する図書館でも,マルチメディアDAISYとかタブレットPCを図書館のカウンターの脇の目立つ場所に置いて1日中デモンストレーションで動かしております。そうしますと,図書館に来館されている方は目にされて利用もされますけれども,そのほかに噂を聞きつけて,利用してみたいという新しい来館者が生まれてという例もございます。先日も90歳になる高齢者の方が,加齢によって見えづらくなったということで,そういった機器を使ってみたいとわざわざ来館されました。やはり利用がないとかニーズがないとか言う前に,そういった機器の存在を示すこと,あるいはそういう障害者サービスというサービスがあることをお知らせすることで,これがよく,広く普及していくのではないかなと思っております。
多くの図書館でこうした取組を進めるには,やはりその支援機器を整備できるような財政的な措置を講じていただきたいと思います。
それから,機器の操作方法についての講座は,機器の普及にはとても大切なことだと思います。私どもの図書館でも様々な支援機器やスマートフォン,あるいはパソコンでの操作方法を教えてほしいという問い合わせが本当に日常的に寄せられておりまして,そのサポートで多くの時間を割いております。読書支援機器の活用講座を開催しておりますけれども,県立図書館という場所の問題もありますので,こうした取組をより住民に身近な市町村立図書館でも開催できるように支援をしていければと思います。
以上です。

【中野座長】 ありがとうございました。
意見及び御提言を頂き,ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。先ほどのお三方の提言の中には,点字図書館という名前をもう少し多くの人が利用できるようなものにできないかということで,点字図書館等の御意見もお伺いしたいという御発言もあったかと思いますけれども。
何か,振ってしまった感じになりましたが,竹下委員,お願いします。

【竹下委員】 全視情協の竹下です。
今の御指摘については,資料を見た段階から頭を抱えているんですけれども,本当に御指摘のとおり,点字図書館という名称が対象の方を非常に狭くしている,広がらないということは非常に痛感しています。私も絶えずいろんな方の見学を御案内するんですけれども,例えば1つの地域の民生委員の方が20人,人権推進委員の方が20人来られても,その中で点字図書館という言葉を聞いたことがあるという人が1人か2人です。さらに,仮に点字図書館を知っていたとしても,そこが点字以外のもの,今のように録音図書や電子書籍やサピエをしているということは,皆さん全く御存じないわけですね。そういった意味では私たちも本当に変えたいし,変えるべきだと思っています。
ただし,そのときに是非御理解と御支援を頂きたいのは,1つは全国で八十数館の点字図書館があるわけですけれども,そこの大半が公立ですよね,公立民営。そして半分ぐらいが指定管理です。そこにおいて,前回も申し上げましたけれども,条例とか規程において,「点字図書館の対象者は身体障害者手帳を持つ視覚障害者」と規定しているわけです。ですから,その名前だけを勝手に変えることができない。だから,名前を変えるにしても自治体の承認を得るということ,それが一つあります。
それからもう一つ,これは手前味噌になるんですけれども,私の勤めております日本ライトハウス情報文化センターは,1979年にいち早く点字図書館という言葉をやめて,最初は「日本ライトハウス盲人情報文化センター」にしました。そのとき点字図書館という言葉は取りましたけれども,盲人という言葉はありました。そして10年前に新館を開館したとき,もうこれからは著作権法も変わってサピエで様々な方々に情報を提供するというところで,盲人を取って,「日本ライトハウス情報文化センター」にしました。ところが,日本ライトハウス情報文化センターといっても,これまた一体何の施設なのか。視覚障害の方はもちろん,それ以外の方にも通じないという部分があって,本当は一体どういう名称でどういうアプローチをしたらいいのかと非常に頭を悩ませたところです。
そしてやはり,これは振るわけではありませんけれども,1つはこの場でもう一つのテーマになっている,公立図書館等は誰もが使える,どんな人でも使えるんだということを広めていくと同時に,点字図書館も狭い意味での視覚障害者からどんどん広げていく,両方からのアプローチが必要だなと感じております。
以上です。

【中野座長】 ありがとうございました。今後の議論にとってすごく重要な方向性を出していただけたと思います。
ほか,いかがでしょうか。お願いします。

【返田(小池委員代理)】 調布市立図書館の返田と申します。たまたま今,うちもマルチメディアDAISYと布の絵本の展示を図書館のメインフロアで,2か月ほど行う予定でちょうど始まりました。実際の機器を用いてのデモンストレーションです。こういった取組をしている図書館の数は少ないですけれども,図書館の中でも始めている図書館が確実にあるということ。そしてこれからはその動きを是非こういった計画などでバックアップしていただいて,推進できるようにするということと,先ほど日本図書館協会の方がおっしゃいましたけれども,やはり機器の問題がありますので,そこのバックアップもできればお願いしたいということ。
それから,名称の問題で言うと,公共図書館でもこういったサービスの名称については非常にいろいろ検討がされておりますが,なかなかぴったりした名称が見つからず悩んでおります。障害者サービスという名称が今は一般的に用いられていますけれども,今後,障害者と言ったときの範囲と,この法律が考えている実際の利用する方の範囲というのには一般の印象として非常に大きなずれがあると思っております。なので,点字図書館に限らず,公共図書館においてもこのあたりはいいアイデアがあれば是非考えていきたいところではあります。
もう1点,機器の問題ですけれども,これから機器の開発等が非常に盛んになっていくということが予想されますが,実際の利用者にとって何が一体使いやすい機器なのかということを是非考えながら作っていただきたいと思います。とても高性能でいろんなことができる機器を自在に操る方もいれば,マルチメディアDAISYのユーザーの方で,自分の持っている機器と同じ操作ならできるけれども,ちょっとでも違った操作が間に入ると全く使えないという方が実際にいらっしゃいますし,高齢の方でボタンが5つ以上あると使えないとか,現実にそういうことでDAISYの音声図書が聞けない方がいらっしゃいます。そういったところを含めて,是非これからの開発を御検討いただければと思います。

【中野座長】 ありがとうございます。開発という視点も今後の議論の中で考えていくべきだという御意見を頂きました。
もう1件ぐらいはお時間ありますけれども,ございますか。
では安形委員,お願いします。

【安形委員】 安形です。先ほどの宇野委員から見形委員への質問の回答の中で,アレクサというスマートスピーカーの話をちょっとされたんですけれども,やはり今までの機器とは違いましてボタン等がない,さらにディスプレー等がない。ほかの機器に比べてかなり安価にできるようなものだと思うんですけれども,スマートスピーカーみたいなものはどのぐらいの使い勝手と言いましょうか,私自身は普通にスマートスピーカーで電子書籍を読み上げてもらって聞いて利用したことがあるんですけれども,どのぐらいの感じなのかと,本当に印象で構いませんので教えていただけませんでしょうか。

【中野座長】 見形委員への御質問ですね。

【安形委員】 はい。あと,視覚に障害がある方で,もしスマートスピーカーを御利用になったことがある方がいらっしゃいましたら,教えていただければと思います。

【中野座長】 では,まず見形委員,お願いします。

【見形委員】 やっぱり操作がないということで,声でアレクサを立ち上げて,何とかをクリックしてとか,これを読ませてとか言うだけなので,介助者に指示を出すこともなく,その辺は自由になるのかなとは思うんですが,私の場合は声をなかなか聞き取ってもらえないというのがあって,認知させるのがちょっと難しかったりするところがあります。何回も叫んでみたりと,そういうふぐあいは生じます。声が大きな障害者の方ならいいのかもしれませんが,聞き取りにくい声だとちょっと,なかなか反応してくれない。これはどんな機器でもそうなのかもしれないんですけれども,認識度が上がっていけばもう少し有用なのかな,誤動作がないのかなとか,その辺は改善の余地ありだと思います。

【安形委員】 ありがとうございます。

【中野座長】 よろしいでしょうか。
では藤堂委員,お願いします。

【藤堂委員】 さっき多分,私は10分しか話していないような気がして。違う音がビーッとしたのを聞いて,あ,私の時間だと思ったんです。そのためにちょっと話したかったことが抜けてしまっていて,今のことに関連しているのでお話ししたいです。
やはり,できるだけシンプルに,今ある技術でも対応できることはいっぱいあると思っていまして,例えば今は教科書を音声化していますけれども,「AITalk声の職人」という非常に優れた音声化プログラムがありまして,それで200タイトルぐらいをたった2人ぐらいでさくさくと作っております。イントネーションと読み方を本当に正確にしておりますので,遜色ないし,それをmp3に落とすことができるんです。そうすると,既存のICレコーダーだとか,スマホだとか,ありとあらゆる機器にダウンロード,入れることができるんです。そうすると,その障害を持っていらっしゃる方が一番使いやすい機器,また,個々によって違いますので,個々で一番使いやすいものというのが汎用できるなと考えておりますので,障害者用ということで,どんどん技術が優れていくのも1つなんですけれども,もっと簡単に考えて,そこにあるもので対応できるものというのもすごくあるんだということに気が付いていただきたいなと思います。
以上です。

【中野座長】 ありがとうございます。もう時間がないのですが,1分以内でお願いします。

【竹下委員】 たびたびすいません。全視情協の竹下です。
一言,御報告なんですけれども,今,全視情協,サピエでは,日本点字図書館さんと協力しながら,AIスピーカーによるサピエのシステムを検討しています。視覚障害の方の中にも非常にAIスピーカー,スマートスピーカーを使いこなして,便利に使っている方がいますけれども,そういう発想ではなくて,今,使われている機器なんかを使うのが困難な方々に,より簡単にサピエを使っていただけるようにという考えで取り組んでいるところです。失礼しました。

【中野座長】 ありがとうございました。ちょうど予定の時間になりましたので,一旦これで質疑を中断させていただいて,後半の発表に移らせていただきたいと思います。
後半3件,御発表を頂きますけれども,まず最初の御発表は河村委員からお願いいたします。

【河村委員】 日本DAISYコンソーシアムの河村と申します。
先ほどDAISYについても何人かの方が言及されたわけですが,私どもの基本的な仕事は,規格を開発して,それを普及するということで,規格ですので様々な製品がその規格を使えるように,オープンな規格を無償で提供するということで,国際的な連携の中で規格をこれまで開発してまいりました。それがDAISYという名称で,1996年から開発に着手しまして,もう23年ぐらいたっておりますけれども,今,世界中で50か国以上普及しておりまして,合計タイトル数で100万タイトルぐらいになっているかと思います。
マラケシュ条約。これも時々話題になっておりますが,マラケシュ条約に基づいて,締約国の間ではDAISY規格の図書を国際交換できる仕組みが作られておりますけれども,そこに目録登録されているDAISYタイトルは,今40万タイトルぐらいであります。これにアメリカと日本のものが加わりますと,さらに40万タイトルぐらい増えますので,世界中でオンライン図書館の形で80万タイトルぐらい。その中の多くは専門書でございますけれども,それがDAISY形式という国際的な共通規格で利用できる段階に達しているということでございます。
現在のDAISYという規格がどこを目指しているのかということと,きょうの議題とがかぶってくるわけですけれども,これから著作権を制限して,障害のある方たちにアクセスを保障するための「特定書籍」と呼ばれておりますが,その特定書籍においても,それから,さらに発行者自身が作るアクセシブルな電子書籍においても,共通してEPUBという,これは電子出版業界の標準規格でございますけれども,そのEPUBを使ってDAISYと全く同じ機能,あるいはそれ以上の機能を実現するという開発を今,やってきているところです。
その結果,今現在,ISOという国際標準規格の団体がございますが,ISOの規格としてEPUB図書のアクセシビリティに関するISO標準が今投票にかかっているところでございます。既に提案をしておりまして,この投票が来年の7月ぐらいに完了する予定で,来年の中頃には国際規格としてEPUBのAccessibility1.0というものが規定されます。当然それに基づいて日本の国内でそれを活用するためのJIS規格が,ほとんど翻訳をすればそのまま使えるというものになりますので,制定されて,前回の会議以来,「標準の規格があったらいいんだけど」ということが幾つかコメントの中であったと思うんですが,アクセシビリティに関する国際規格及びJIS規格が成立する見込みになっております。
具体的にどういうことかと申しますと,この電子書籍がどのようにアクセシブルであるかということを必ず記述するという,メタデータと呼ばれている領域ですが,メタデータにおいてどういうアクセシビリティを備えているのか,あるいは備えていないのか,それを必ず記述するということが標準に採用されるという見通しでございます。
そこに様々な障害あるいは障害以外による読書における障壁というものがあるわけですけれども,それらのニーズを持っている方に,この本が使えるのか使えないのかということが事前にも分かる。それから,そこに絞りを掛けて検索をすると自分に合ったアクセシビリティを備えているものがわかり,その中で本を選ぶ,そういうことができるようになっていくことを構想しております。
そういうことを仕事としてやっているのが,日本DAISYコンソーシアムが日本から会員になっておりますスイスに籍を置きます国際DAISYコンソーシアムという国際的な標準化団体の仕事でございます。それを前提とした上で,今提案されております基本的な法的な枠組みについてのコメントを申し上げたいと思います。
お手元の資料の20ページの2というところから始まります。この20ページから私の2ページのコメントを書かせていただいているんですが,タイトルは,「障害の有無に関わらず,全ての人の読書アクセシビリティを高めるための基本施策について」です。障害のあるなしとは無関係に,いわゆるユニバーサルデザインとしての読書アクセシビリティを高めることが,基本施策の目的ではないだろうかという立場からのコメントになっております。
20ページの真ん中の下ぐらいの2というところから,個別のコメントを申し述べております。まず,2のところでは「視覚障害者等」というふうに,前回も議論になりました,この「等」とは何だということの定義と,同じように学校教育法においては「障害等」ということで,また別の形で「等」が使われておりまして,学校教育法が改正されたわけですが,それの主たる改正ポイントが,この障害等がある児童生徒に対しては,デジタル教科書を全教科にわたって使えるようにして,紙の教科書を使用するという義務を外すという改正が行われたわけであります。そのときに,デジタル教科書ってこういう形で障壁を低くできるんですよと,政府答弁で様々なデジタル教科書の話がありましたけれども,基本的にはそれら全部の機能を備えるものとしてDAISY教科書のモデルが使われていたと理解をしております。
先ほど藤堂さんからも言われましたが,今,並行して外国人等の教科書についての議論が文部科学省で行われておりまして,そこではいわゆる音声教材,読み上げる教材が障害のある日本の児童生徒だけではなく,日本語に通じない外国籍あるいは日本籍であっても日本語に通じない生徒に極めて有効であるという結果が出ているという指摘が行われているところです。
読書バリアフリーというふうに,私は大いに結構な表現だと思うんですが,その際に,こういう実際に読書の障壁にどういう人たちが今ぶち当たっていて,なぜそこでその障壁が越えられないのかという,人に沿ってその課題を解決するための手立てがどういうものなのかというふうに考えていきますと,共通に使えるものはどんどん使っていくという発想が必要ではないかと考えるところであります。
この発想に関しては,例えば総務省の方では今,様々な形でデジタル活用共生社会という概念で,デジタル技術を活用して共生社会を築いていくんだと,これは国際的にもe-Inclusionと呼ばれているものと同じ方向を向いているわけですが,そのような形で考えるときに,高齢化という条件とか,多様性という条件とか,必ずしも障害だけに絞って,その課題を解決していくという枠組みを払って,全体としての取組の成果を上げるとしています。これはユニバーサルデザイン化と呼ばれるものと方向が一致しておりますので,そういう積極的な技術についての利活用という観点での取組が必要ではないかと考えます。
それと関連して3番目ですが,関係団体へのヒアリングの中で,全日本ろうあ連盟,ALS協会あるいは聴覚障害者情報提供施設協会等にも,やはり読むことへの障壁というもので,様々な課題解決のニーズがあると思いますので,あるいはシーズもあると思いますので,少し聞き取りの範囲をこの協議会においては幅を広げる必要があるのではないかと考えております。
4番目に,幅広い障害特性に配慮した利用しやすい書籍という法律案,骨子の中の表現がございます。これに対しては,先ほど来申し上げましたように,書かれた日本語が,例えば著作権法の表現ですと,視覚的著作物と聴覚的著作物という概念で分けておりまして,視覚的著作物についてはこれこれ,聴覚的著作物についてはこれこれというふうに言っているんですが,現実の世界では,だんだん最初から私どもがスマホなどで読んだり,インターネットで読んだりするものには動画というものが文字と一緒に出てくるという,動画の情報提供というのがどんどん増えていく傾向にあり,5Gの導入の中で,それがさらに極端になっていくだろうと思われます。したがいまして,そういったものを総合的に考えていく視点というのが重要ではないかと思います。
5番目に,「利用しやすい電子書籍等」ということですが,これは先ほど来,申し上げましたように,ユニバーサルデザイン化を図っていく際に,今進めておりますEPUBのAccessibility1.0というのは,かなり様々な対応策というものがその中に含まれているんですが,まだ手話を,あるいは動画を必要とされる方が,もともとの書籍の内容を理解するための手法というものが,技術的にはこれからの開発課題でもあります。人生だんだん年を取っていくと,今1つの障害のある方には別の障害も出てきますし,今全く障害がないと思っている人々も,加齢と同時に複数の障害を抱えていくということを考えたときに,このユニバーサルデザイン化というのは全ての人が共通に考えなければいけないことかと思います。
そして,これらのことは書籍発行者の責任においても課題を解決していくことが重要であります。
また,全ての人がというときに,教科書というもののが学齢期の子供たち全てが使うものであることに着目して,そこにおいてアクセシブルな教科書をきちんと使いこなして情報を得ていくということが,戦略的な重要課題と考えます。したがいまして,その部分を戦略的に位置付けることが重要だと思います。
最後に国際交換。先ほどもうすぐ100万タイトルが国際交換できるようになりますというふうに申し上げたんですが,これは日本からも提供して,初めて外国からも提供されるという,「持ちつ持たれつ」の関係ですが,今回の基本法においては外国からの取り寄せに力点が置かれる余り,日本から提供する責務ということについてちょっと弱いように思いますので,これは両方きちんとやっていくべきと考えます。
以上です。

【中野座長】 ありがとうございました。
引き続きまして,高橋委員に御発表を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

【日本図書館協会(佐藤)】 一言いいですか。すいません,日本図書館協会の高橋委員に代わりまして,この発表は私の方でやらせていただきます。私は日本図書館協会の障害者サービス委員会委員長をしております佐藤聖一と申します。埼玉県立図書館に勤めている全盲の司書の者です。発言よろしいでしょうか。

【中野座長】 はい,お願いします。

【日本図書館協会(佐藤)】 ありがとうございます。まず,資料に沿って説明していきますけれども,読書バリアフリー法ができたことに大変,私たちは高い評価を出しています。それは,今まで視覚障害者等への情報提供というと,例えば点字図書館が福祉の世界で行うとか,教育の世界で行うとか,いろいろなことがありまして,ちょっとやりにくい部分が実はありました。ところが,この法律で初めて例えば文科大臣,総務大臣を並べてこう書いていただいて,ほかの関係省庁の皆様,つまり,全てのオールジャパンで障害者へ情報提供しましょうということが,この法律には書かれています。それで,実際にこの協議会において,様々な関係者の方々が一緒に論議をされているという,この姿を見ても,そのことが今までと全く違う視点で障害者の情報提供をするんだということに,私どもは非常に高い評価を出しているものです。
では,まず1番で総括的な意見を述べさせていただきます。まず(1)として,視覚障害者等の定義について,前回も今回もこれについて既に論議されているわけですけれども,視覚障害などがあって,又は障害だけでもなくて,様々な理由で,何らかの理由で資料が,図書館というか印刷された本などが利用できない方々が全て対象になっていると考えています。これは著作権法や読書バリアフリー法,また,障害者の権利条約においても,読書に対して何らかの社会的障壁のある人たちが全てその対象者であると考えているわけです。
ところが,現行の福祉制度においては,ある特定の障害者又はその程度まで特定して,その人たちに対してサービスやいろいろな支援を行うというのが非常に多くなっております。これについて今までも論議があったところですけれども,きちんと障害者を特定して何かをするというものではないんだということを明記する必要があるのではないかと考えています。
続いて(2)ということで,視覚障害者等の情報提供では,著作権法37条第3項で作られた資料と,これは例えば点字図書などのものもありますし,録音図書,DAISYなどきょういろいろ論議されているものですけれども,著作権法第37条第3項で作られたものと,あと,出版社などがアクセシブルな電子書籍を販売するという,この2つが両輪だと考えています。もちろん37条第3項で作るものについても,例えば点字図書であったり,拡大写本であったり,アナログな本もありますし,DAISYのようなデジタルのものもある。それから,出版社が販売されるものについても,そういう意味では点字付き絵本のようなアナログのものもあれば,例えばEPUBのようなアクセシブルな電子データもある。そういうふうに考えるわけですけど,この法律ではその辺がクロスして書かれているので,ここは間違いないようにすることが大事なんですけども,それで大切なのは,今後とも著作権法第37条第3項で作られる資料と,特にデータが多くなると思うんですけども,それと出版社が販売するところのアクセシブルな電子書籍が両輪のように必要であると思っています。特に今後のことを考えると,アクセシブルな電子書籍の発行は非常に重要な要素であります。ところが,残念ながら今回の基本計画では,こちらについての取組がまだちょっと不十分なのではないかと。調査研究のレベルでは困るのではないかと考えています。
それから,(3)として公共図書館の障害者サービスについて,いろいろ今までも御意見がありました。ちょっと簡単にまとめておきたいと思うんですけれども,まず,その対象者は,障害者サービスという言い方は確かに障害者を限定しているイメージがあるんですけれども,本当は図書館利用に障害のある人々ということで,様々な障害者などを利用対象者と考えています。扱っている障害者サービス用の資料も,DAISYや点字などもありますけれども,LLブックとか,布の絵本とか,様々な障害者サービス用資料を扱っています。それから,その資料を制作している図書館も,公共図書館の100館ほどの図書館が録音図書などを作っています。
それから,その資料を提供する方法として,例えば窓口はもちろんですけれども,郵送サービスや宅配サービスなど,様々なサービス手法をとっています。例えば施設に出向いていっての貸し出しやサービスなども含めて,様々なサービスを実はしているんです。これだけ聞くと非常にいいわけですけれども,ところが,実際にある一定レベルの障害者サービスを行っている図書館が,全国に2割ないという数字が出ておりまして,2017年の国会図書館調査によりますと,ある一定水準以上の障害者サービスを実施している図書館が全国に2割ないんです。これが大きな問題で,残念ながら図書館のサービスが受けられない地域が8割以上あると言っていいということだと思います。
それに加えて,学校図書館においても,例えば先ほどから論議されている発達障害の方などは,特別支援学校ではなくて地域の学校に通っている子供も多いんです。ところが,学校図書館においては,さらに障害者サービスということになると,非常に厳しい状態になっているという事実があります。
これらの事実を考えた上で,私どもは点字図書館などと連携をしながら,一緒に是非障害者などへの情報提供をしていきたいと考えています。
続いて,大きな2番で個別項目についてお話をしていきたいと思います。
まず(1)で,視覚障害者等による図書館の利用の体制の整備についてのところがあったと思うんですけれども,この項目で公共図書館のことをきちんと御指摘頂いていて,大変に感謝しているところです。私どもは,是非皆さんと協力して情報提供に努めていきたいと考えております。
それから,(2)で電子書籍を利用するための用具の給付についてお話をしたいと思います。ここのところで何回も日常生活用具給付制度のことなどをお話しされていると思うんですけれども,これの問題点は,最初にお話ししたように特定の障害者に限定したサービスになっているわけです。例えばDAISY再生機では,重度の視覚障害者しか給付対象にならない。そこで,ほかの人はいきなり8万5,000円で買ってくださいという話になってしまうわけです。ところが,DAISYが使える人は,先ほどのディスレクシアの人や,寝たきりの人や,例えば手の不自由な方,施設とかにいてなかなか出られない方とか,いろいろな方にDAISYを利用してほしいんです。そういう人たちにも再生機を使ってほしいんですけれども,残念ながら,いきなり8万5,000円で買ってくださいというお話になっているわけです。4万8,000円のもあると思うんですけれども。
それで要するに大事なことは,本当に必要な人に必要な給付が受けられるかどうかというところなんです。残念ながら,この制度はそういう視点でできていないんです。ですので,例えばDAISYと言っても,もしかすればタブレットで子供たちは聞く人が多いですし,音声パソコンでいける人もいますし,だから,本当に必要な人に必要なものが安価で提供できるような制度に変えていってほしいと私どもは思っております。
多分,日常生活用具給付制度は自治体の事業と位置付けられていますので,今後,自治体が作る計画に対しても,きちんとそういうことを述べられるような,また,国からも何らかの予算措置などが必要であれば,それについても書いていただきたいなと思っています。日常生活用具の問題は,期間の問題とかいろいろまたありますので,皆さんのところで論議していただければと思います。
それから,用具のところで,図書館や点字図書館では,先ほどもお話があったように来館する利用者に対して,図書館は個別のDAISY再生機の使い方などをやっているところです。ただ,それができない図書館もまだありますので,まだまだ図書館にも普及していく必要がありますけども,ただ,来館する方に関しては何とか図書館や点字図書館で頑張りたいと思っているところです。ところが,本当にこれを普及するためには,実は寝たきりの人とか来られない人たち,視覚障害者でも来られない人はたくさんいます。そういう人たちに対しては,その人のおうちに行っての個別の支援が必要であると考えているんです。それが本当にできるのはどこなのだろうか。例えばITサポートセンターの強化とか,何らかの別の組織も巻き込みながら,自宅に出向いての個別支援の方策を考える必要があると思います。
先ほどちょっと,私が発言権がないので言わなかったんだけど,例えばAIスピーカーはすごく可能性があると私も視覚障害者なので思っていますが,実は一番最初の設定をすることができないんです。使えるように設定するためには,スマホか何かで登録しなきゃいけない。視覚障害者の人は,それができないんです。ですから,やはり自宅に出掛けていって,そういう環境を作ってあげることが必要になると思います。
それから,(3)でアクセシブルな電子書籍等の技術の研究開発についてですけれども,ここ数年,国はこれに関してたくさんのお金を掛けていただいて,努力されてきたと認識しています。ところが,現実ではアクセシブルな電子書籍はほとんど発行されていません。その理由は何なんだということをきちんと検証する必要があります。
それから,では現状で出版社などが制作している電子書籍のデータってどうなっているかというと,先ほど河村委員からも話があったように,結構アクセシブルなEPUBデータで元は作られているケースが非常に多いと認識しています。つまり,このままでも障害者の方が使える状態のデータを結構日本はお作りになっている。そのことは今回のこの協議会の委員でもある日本電子書籍出版社協会の御意見も読ませていただいて,そういうことは書いてありました。だから,非常に勇気付けられましたけれども,そういうEPUBデータで既に作成されていたんです。もちろん完璧なアクセシブルかどうかはちょっと分かりませんけれども,ですので,それは音声をユーザー側にデータを渡していただければ,きちんとユーザー側の音声環境で読めるんです。DAISY再生機も読めることが分かっていますので,ですので,せっかくあるデータを,じゃ,何で普及しないかということは,要はこれを販売したり,提供したりする仕組みの中で例えばDRMを掛けたりして,せっかくいいデータをわざわざというか,使えないようにしているんです。そこのところ,つまり,研究開発では,その提供方法,販売方法について是非,力を入れてほしい。せっかくあるデータを活用してほしいと思います。その中で特に図書館がそれを購入して使えるような環境作りを是非お願いしたい。図書館から提供することによって,それを,要するにただで借りたい人は借りられる,買える人は買えるという環境ができると考えています。
時間がないので3番で不足しているところです。(1)の司書資格を取る中に,障害者サービスなどの科目を入れてほしいというのを是非お願いします。それから,(2)に書いてある郵便料金の問題なんですけれども,郵送貸出は非常に有効なサービスなんです。ところが,録音図書は盲人にしかただで送れないんです。これは総務省や国交省の問題になると思うんですけども,本当に寝たきりの人や特別支援学校などに必要な資料が送れるような方法を考えていただきたいというのが,この郵便の問題は非常に重要だと思っているので,是非お願いいたします。
すいません,時間がなくて。ありがとうございました。

【中野座長】 どうもありがとうございました。
それでは,少し時間が押しておりますので,引き続き長尾委員から御発表を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

【長尾委員】 皆さん,こんにちは。堺市の障害施策推進課課長の長尾と申します。よろしくお願いいたします。
私の方は,地方公共団体の障害福祉部局の職員という立場で,この会議に出席させていただいております。したがいまして,意見というよりも,初日の会議,2日目の会議と皆さん方の意見を聞かせていただいて,大変勉強させていただいているところでございます。
今回,基本計画骨子案に対する意見ということで,事前に事務局の方から提出をということであったんですが,資料のイメージをつかめないまま提出させていただきましたので,書いている内容が細かいものになってしまっております。したがいまして,本日の説明につきましては,この資料に記載していないことも含めて,少し説明させていただきたいと思いますので,御了承のほどよろしくお願いいたします。
まず,お手元の資料を御参照ください。今般の基本骨子案に対する意見ですが,主に地方公共団体に関係する項目であります「3 施策の方向性」の1,2,6,8の各項目を中心に意見を述べさせていただきます。
まず,この計画骨子案の全体的な印象ですが,この計画については,図書館関係者だけに限らず,広くいろいろな方々に見ていただく必要があると考えております。また,今回の法律の対象となるのは視覚障害者の方だけに限らず,発達障害者や肢体不自由の障害者など,様々な読書困難な方々も対象に含まれております。そういった意味では,これまで図書館に余り縁がなかった方々,図書館を利用する機会がなかった方々,あるいはその保護者の方々,支援者の方々,そういった方々にも,この基本計画に関する内容を理解していただく必要があると考えております。
例えば1つ例を出しますと,本計画骨子案の中には,国立国会図書館,公立図書館,大学の図書館,学校図書館,点字図書館,サピエ図書館,こういった様々な図書館の名称が出てきますが,ここにいらっしゃる方々は当然それぞれの役割等々は御承知のことと思いますが,先ほど申し上げました,これまで図書館を余り利用したことのない障害のある方にとっては,こういったそれぞれの図書館の現状の役割や違い,特性,そういったものをまずは知っていただかなければ,本計画骨子案の意図が正確に伝わらないと考えております。
例えば丁寧な注釈であったり用語解説を入れるなど,あるいは計画本体とは別で何らかの説明資料を加えるなど,できるだけいろいろな方々が読んで分かりやすいようにする必要があるのではないかと考えております。
次に,少し細かくて申し訳ないですが,各項目における用語の使い方について,かいつまんで何点かだけ説明させていただきます。
まず,1.(2)円滑な利用のための支援の2つ目のポツになりますが,先ほど来から「障害者サービス」という言葉が出てきますが,これが一般的によく使われている表現なのでしょうが,これがどこまで,どういう方を指すのかというのが少し分かりづらいのかなと思いました。もう一つは,いわゆる障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスと少し紛らわしく感じる部分があるのかなと感じました。
次のページ,6(1)端末機器等及びこれに関する情報の入手支援のところで,「適正な運用を図る」という表現がされております。これが何をどのように適正な運用を図るのかが非常に分かりづらいなと感じました。おそらく日常生活用具給付制度の支給対象者を見直すという意味合いだと思われますが,この適正という言葉を使うことによって,逆に給付の対象者を制限するようなことを連想させてしまうように感じました。
用語に関する意見について、その他は資料のとおりです。
それと,最後にということで記載しているんですが,こちらは計画骨子案に対する直接な意見ではないかもしれませんが,地方公共団体が本計画にのっとった施策を推進していくに当たって危惧されることや,課題などを踏まえた意見を少し述べさせていただきます。
まず,法第8条においては,地方公共団体は国の基本計画を勘案して,地方公共団体における計画を定めるよう努めなければならないとなっており,地方公共団体の基本計画は,努力義務となっておりますが,現実問題として地方公共団体が基本計画を策定し,実効性のあるものにしていくためには,相当な財政的負担が生じることが予想されます。例えば今後,点字図書館や公立図書館においてアクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上,インターネットを利用したサービスの提供体制の強化,こういったものなどを進めていく上では,制作機器の充実や人員体制の強化といったものが必須となってまいります。
本会議の初日の議論の中でも出ておりましたが,現状,各地域の点字図書館においては,点字図書,録音図書等の制作機器の購入,更新等に大変苦労をしているという実態があります。また,制作活動を支えているのは多くのボランティアの方々であり,それらの方々の確保も大変な状況にあるということでございます。
今般,点字図書館の管理運営費に対する国の身体障害者保護費負担金が月20万円から月40万円に増額されたところですが,今後も地方公共団体において持続的に施策を進めていく上では,さらなる財政措置の充実を希望いたします。
また,障害者総合支援法の地域生活支援事業においては,点訳・朗読奉仕員等養成研修事業などが補助の対象となっておりますが,こちらの方は統合補助金となっているため,事実上,ほとんどの自治体が超過負担,いわゆる持ち出しとなっており,この部分についても御配慮を頂きたく思います。
また,端末機器等及びこれに関する情報の入手支援,情報通信技術の習得支援などに関しましては,障害当事者が容易に端末機器を入手できるよう,日常生活用具給付制度の支給対象範囲の見直しの検討も必要になってきます。こちらも先ほど来,議論に出ておりますが,この日常生活給付制度につきましては自治体の裁量となっております。例えばDAISYプレイヤーの給付対象は,ほとんどの自治体において視覚障害者1,2級の方が対象として限定されています。今後,3級以上の視覚障害者あるいは読書困難な発達障害者,肢体不自由の障害者などにも対象を広げていく検討が必要になってくるものと考えられます。
この日常生活用具に係る経費につきましても,先ほど申し上げました障害者総合支援法の地域生活支援事業の統合補助金の対象となっておりますが,事実上,ほとんど自治体の持ち出しとなっておりますので,この部分についても重ねて御配慮を頂きたく思っております。
本計画では,最終的には障害のある方も,ない方も,誰もが身近な図書館を利用できるような環境整備を目指していくものでございますが,先ほど来,皆さん方の意見を聞かせていただいておりまして,自治体としても1つは点字図書館の名称をどうするかというような問題,あるいは視覚障害者以外の方々を対象として,どのように点字図書館の存在を周知していくのか。あるいは公立図書館において障害者に対する支援をどのように充実していくのか。そういった様々な課題がありますが,そういった課題も踏まえまして,なかなか一朝一夕には物事は進んでいかないと思いますが,各自治体におきましては,関係者の意見を聞きながら,地域の実情に応じた形で読書環境の整備に取り組んでいく必要があると考えております。
以上です。よろしくお願いします。

【中野座長】 どうもありがとうございました。
それでは,質疑応答に移りたいと思うんですが,最初に,先ほど河村委員からヒアリング団体について,さらに団体を増やしてはいかがかという非常に重要な御指摘を頂きました。この点に関して事務局の方でお考えがありましたら,ちょっと御紹介頂ければと思いますが,いかがでしょうか。

【金原自立支援振興室長】 事務局でございます。河村委員から御提案頂きました4団体に関してでございますけれども,事務局から連絡を取らせていただき,団体の御意向も踏まえながら,御意見を頂くということで考えさせていただければと思います。頂いた意見につきましては,後日,構成員の皆様とも共有をさせていただければと考えております。

【中野座長】 どうもありがとうございます。河村委員,よろしいでしょうか。

【河村委員】 はい。

【中野座長】 ありがとうございます。
それでは,残り時間もあと10分程度でございますけれども,質疑応答に入りたいと思いますが,いかがでしょうか。では,三宅委員,お願いします。

【三宅委員】 日本視覚障害者団体連合の三宅と申します。
日本図書館協会様にお尋ねしたいんですけれども,一部名称を「障害者サービス」から「図書館の利用が困難な方のサービス」という形で取り組まれているという発表がありましたけれども,こういうことを変えられて,利用者にどのような変わりがあったかというのを是非教えていただきたいんですけれども,いかがでしょうか。

【中野座長】 御回答よろしくお願いします。

【日本図書館協会(佐藤)】 お答えします。確かに図書館利用に障害のある人々へのサービスという形で定義は変更してきているんです。ところが,残念ながら,その言い方は余りにも長くて,そのように図書館に掲示できない感じなんです。例えば私の担当も障害者サービス担当という名前なのですが,これを図書館利用に障害のある人々へのサービス担当ですと電話に出られない。何かもっといい方法はないかなと,先ほど返田さんからもお話がありましたけども,まさに今,検討しているところです。
やはり障害者でしかやらないようなイメージがあって,高齢者の人などが利用しにくいんじゃないか。自分と関係ないと思っている人たちも多いんですね。ですので,この辺の言い方を,ちょっとあれですけど,うちの館長なんかはちょうど読書バリアフリー法ができたから,読書バリアフリー担当でいいんじゃないかとか言われているんですけれども,そういうのも含めて本当にいい名前は残念ながら検討中で,まだそれほど広めていない。広まっていないというか,そういうところです。申し訳ありません。

【中野座長】 三宅委員,よろしいでしょうか。

【三宅委員】 ちょっとよろしいですか。日本視覚障害者団体連合の三宅です。そうしますと,今のところ特に従来の利用者が余り今までと変わらないような利用のされ方をしていて,今のところは例えば高齢の方だったりとか,視覚障害以外の方たちの利用は,まだ見えていないということでよろしいんでしょうか。

【日本図書館協会(佐藤)】 お答えします。それはちょっと違うかもしれません。確かに障害者サービスという言い方を主にはしていますけども,先ほど最初に申し上げたとおり,図書館では様々な対象者を対象として,障害者等へのサービスを行うようにということを広く進めているところです。
先ほどの国会図書館の調査なんかでも,一般図書などを例えば視覚障害者以外の来館できない人たちに郵送や宅配で送っている,そういう図書館が全体の20%ぐらいある統計が出ておりますので,視覚障害者じゃない人たちに対してのサービスが徐々に広まってきているということはあります。特にDAISYなどが視覚障害者だけじゃなくて,様々な利用者が利用できるということが分かってきております。それから,マルチメディアDAISYなどを特別支援学校など,そういうところにいろいろなPR活動も進めておりまして,やっている図書館では相当幅広く,まだPR段階が中心ですけども,PRもそうだし,実際に体験もしてもらいますし,実際として様々な障害者の人の利用がちょっとずつ増えてきていると思います。

【中野座長】 三宅さん,よろしいですか。

【三宅委員】 ありがとうございます。

【中野座長】 では,植村委員,お願いします。

【植村座長代理】 植村です。実はあしたの自由討議のときにお話ししようかなと思っていましたが,話題になったので。実はヒアリング対象で今回,学校図書館関係が抜けていることは重要なポイントかなと思っています。と申しますのは,佐藤さんから,日本図書館協会の報告書の23ページの(4)に読書困難な児童生徒が通常の学校に通っているんだという報告があります。これは文科省のホームページにも載っていますが,特別支援学校と小中学校における特別支援学級以外に,通常の学級に通っている通級による指導が0.98%,9万8,000人とあり,あるいは発達障害の可能性がある児童生徒が通常の学校に通っている比率がかなり高いという数字があります。
とともに,これももう一つ,文科省さんがいらっしゃる前で言うのも変なのですが,学校図書館ガイドラインの中には,これは2016年11月ですが,学校図書館における図書館資料の中に,発達障害を含む障害のある児童生徒や,日本語能力に応じた支援を必要とする児童生徒の自立や社会参加に向けた取組を支援する観点から,児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた様々な形態の図書館資料を充実するよう努めることが望ましいとあって,例えば点字図書,音声図書,拡大文字図書,LLブック,マルチメディアDAISY図書,外国語による図書,読書補助器,拡大図書器,電子図書館等の整備も有効であるというのを学校図書館に求めているんです。ということによって,通常の学校図書館における読書バリアフリー法による整備について,是非ここで視点として残しておきたいし,ここを確認頂きたいなと思っております。
以上です。

【中野座長】 御意見ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。宇野委員,お願いします。

【宇野委員】 日図協の佐藤さんにお伺いしたんですけども,8割強の公共図書館が十分な障害者サービスができていないということなんですが,今回の読書バリアフリー法の9条でそれを促進する条文があるわけですが,その他に例えば図書館に関する望ましい基準の中に,もう少しサービス充実のための記述をしていったら,よりスピーディーにいろいろなことが進んでいくのかなとも思ったんですが,それについてどう思われますかというのが1つです。
それから,前回の会議で竹下委員から,点字図書館がいろいろな障害者を引き受けるのは結構大変だから,点字図書館は視覚障害者,公共図書館はそれ以外の障害者というすみ分けをしたらどうかという御意見もあったんですが,今後,点字図書館と公共図書館,その公共図書館の中でも都道府県立図書館と市町村立図書館,この三者でいろいろな連携が進んで,サービスが充実することが望まれるわけですが,この三者の図書館のそれぞれの今後の役割,全ての障害者にサービスを提供するための役割分担について,もし佐藤さんの御意見があればお聞かせ願えますか。

【中野座長】 よろしくお願いします。

【日本図書館協会(佐藤)】 皆さんの貴重な意見,本当にありがとうございます。
まず,望ましい基準については,私どもの意見書にも書いてありますけども,望ましい基準も残念ながら障害別の書き方になっていて,高齢者とか障害者と書いてあります。これについてはもう少し,読書バリアフリー法の精神に合った形で変更した方がいいと思っておりますので,意見書の方にも望ましい基準を直してほしいということを書いてあります。
それから,点字図書館と私ども公共図書館の連携については,点字図書館は点字図書館のいいところがありまして,それは例えば資料制作能力が非常に高いとか,サピエ図書館などは非常に視覚障害者が使いやすいネットワークを構築されています。それに対して公共図書館は,利用対象者が幅広いとか,先ほど最初にお話ししたとおり特徴があるんです。ところが,残念ながらやっていない図書館がたくさんあると。そういう中で,これはお互いの弱点を補いながら一緒にやりましょうということが,やっと今回,この読書バリアフリー法でできるようになったと私は考えているところです。
それから,先ほどの例えば国立,県立,市立の連携問題。これは非常に重要な御指摘を頂いていると思っています。例えば埼玉県なんかでは,県立図書館は難しい資料のレファレンスなどが障害者にも使えるということを重要視しているので,結果的に専門書などが読める対面朗読ができたり,録音資料制作も専門書を中心に作っている。市町村図書館では比較的やさしい読み物や一般書を作ってもらうとか,そういうふうにすみ分けているんです。ところが,そういうことができる地域はまだまだ非常に少ない。特に県立図書館が余りサービスをされていない図書館が多いもので,まだまだ連携のところは非常に厳しいと思っています。ですので,この法律がちょうどできたところで,まずは県立図書館がきちんとやってほしい。それから,市町村にそれを普及してほしいという,まずはそういうことを最低限みんなやれるように頑張って普及に努めていきたいと考えています。

【中野座長】 宇野委員,よろしいでしょうか。

【宇野委員】 もう1点,よろしいですか。

【中野座長】 どうぞ。

【宇野委員】 前半の藤堂委員に2点,お伺いします。まずディスレクシアの人数なんですが,文科省の調査では6.3%とか6.5%が発達障害者という数字が出ていて,ディスレクシアは2.4%ぐらいだったと思うんですが,この数字は小中学校は1,400万人掛ける今の数字で出てくるのですが,ディスレクシアというのは年代別にも大体同じような発生と考えていいのか。30代でも60代でも掛ける2.4%ぐらいでいいのかというのがまず1点目です。
2点目は,先ほどフォントにそれぞれ好みがあるという話で,なかなか変えづらいPDFは難しいというお話もあったんですけれども,最もディスレクシアの人が望ましい電子書籍の媒体,購入とか,仮に図書館側から借りるとすると,買うとき,借りるとき含めて,どういう媒体で電子書籍を売ったり借りたりしたいかということを教えてください。

【藤堂委員】 ありがとうございます。藤堂です。
まず発生率なんですけれども,60になっても私のディスレクシアは治っていませんでしたので,一生続くものであります。ただ,大変さは年を追うごとにいろいろな方法を身に付けていけば,そこまで大変じゃなくなるという意味で,この文科省が取った統計というのが私,ずっと重きを置いておりまして,全国の普通の学校の先生方に,こういう子いますか,いませんかという質問肢を出して,その15ある質問肢の中の11までそうだというのが当てはまっていたらそうだねという1と数えられて,10までイエスと言われていても入っていないという問題がございます。
片や国際的にいろいろな統計を取りますと,大体人口の10%ぐらいはいますよというのが出ているので,私は10%と申し上げさせていただいているのと,日本語で調べたもので宇野彰先生が調べたものでは,読みで4%で,書きまでいくと8%というのが出ておりまして,ただ,それは英語を入れていないので,アルファベットが入ってくるともっと高くなると思われると言われているので,10%ぐらいずっとどの年代でもいますということなんです。ただし,教育できちんと対応されていれば,それほどハンディーでなくなっていくという状態は見られています。
もう一つは,2つ目の御質問に関して何が一番好ましいのかということなんですけど,これこそ年代によって変わっていくのかなと思います。あと,程度がいろいろございまして,私は小学校2年生並みの仮名の読みの問題がありますけれども,漢字で意味を取れるので,紙の媒体で読みやすいフォントであれば,すごく速く,速読ができるんです。内容を感じ取ることができるんですけれども,それでも大変な子というのはいっぱいいまして,そういう場合だったらマルチメディアDAISYで入門するのが一番いいかなと思われますし,大きくなったら例えばアクセスリーディングという,どんどん書いてあるテキスト状のものをばんばん読んでくれる方がいいんだという方もいらっしゃるので,それは本当に一人一人違うので,チョイスがあるということが望ましいと思います。ありがとうございます。

【中野座長】 では,河村先生,短めにお願いします。時間になっておりますので。

【河村委員】 ごく短く。今,藤堂さんから発達性のディスレクシアについてのお話がありまして,ほかに脳梗塞,脳外傷,事故とかスポーツで頭を強打すると,かなり脳外傷で読書に障害が出るということがございますので,どんどん増えていくと考えていった方がいいと思います。

【中野座長】 ありがとうございます。まだまだ御議論あるかと思いますけれども,本日の会議の時間になりましたので,あすもございますので,引き続き議論をお願いしたいと思いますが,本日の審議に関しては,ここまでとさせていただきたいと思います。
本日頂いた御意見につきましては,前回同様,事務局の方で整理させていただきますので,よろしくお願いいたします。
最後に事務局より,あすのことを含めて連絡事項がありましたらお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。

【小林障害者学習支援推進室長】 資料3にございますが,あした,第3回なんですが,11月29日,10時から12時を予定しております。会場は,本日と同じこちらの会議室でございます。資料3に文科省の3階と記載しておりますが,こちらは13階の間違いですので,申し訳ございません。
また,配付資料ですけれども,ピンクのファイルにとじましたヒアリング資料も含めて,あしたも同じ資料を使う予定です。お持ち帰りいただいても結構ですし,本日,配付した資料も含めまして,あすの会議の際にも御持参頂きますようお願いします。また,机上に置いておいていただければ,あすの会議の際にもこちらで御用意させていただきます。
以上でございます。

【中野座長】 どうもありがとうございました。
それでは,本日はこれで終了いたします。あすも引き続き,どうぞよろしくお願いいたします。

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