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2018年10月30日 第275回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局需給調整事業課

○日時

平成30年10月30日(火)10:00~

 

○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1・2会議室(12階)

○出席者

委員

(公益代表)鎌田委員
(労働者代表)村上委員、永井委員、奈良委員
(使用者代表)正木委員、佐久間委員、高野委員
 

事務局

田畑大臣官房審議官、牛島需給調整事業課長
新田主任中央需給調整事業指導官、古屋需給調整事業課調査官、米岡需給調整事業課長補佐
永島需給調整事業課長補佐

○議事

○鎌田部会長 それでは、ただいまから第275回労働力需給制度部会を開催いたします。議事に先立ちまして、本日は公益代表の松浦委員と藤本委員が所用により御欠席されております。それから事務局の異動で田畑審議官が着任されました。本日が初めてということですので、一言、御挨拶をお願いいたします。
 
○田畑審議官 大臣官房審議官職業安定担当の田畑です。7月31日に着任し、もう3か月ぐらい経っているわけですが、それ以降、公開でのこの部会の審議は初めての出席となります。大分前に需給調整事業課長ということで、この部会に深く関わらせていただいた時期もありますが、大分間があいておりますので、是非よろしく御指導のほどお願い申し上げます。
 
○鎌田部会長 どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは本日の進め方ですが、お手元の次第にある議題1、2について公開で御審議をいただき、その後、許可の諮問審査を行います。許可の審査については資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、これについては「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため非公開といたします。傍聴されている方々には御退席いただくことを、あらかじめ御承知いただきたいと思います。
それでは議事に入ります。カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。それでは本日の議事に移りたいと思います。まず、議題1の職業紹介における求人不受理に係る職業安定法施行令、同施行規則及び指針の一部の改正について事務局より御説明いただいた後に、質疑の時間を取ることといたします。事務局より御説明をお願いいたします。
 
○永島補佐 求人不受理の取扱いについて御説明いたします。関連資料については、横置きの資料1-1、縦置きの資料1-2が関連資料となっておりますのでよろしくお願いいたします。それでは資料1-1を中心に御説明いたします。
改正の趣旨に記載がありますが、求人不受理は、就職後のトラブルの未然防止を図るためにハローワークや、あるいは民間の職業紹介事業者等において、一定の労働関係法令違反の求人者からの求人を受理しないことができるということを措置しているものです。こちらは平成29年の改正職業安定法において、法律レベルでは既に措置をしているところです。具体的な規定についてはお手元の資料1-2に、職業安定法第5条第5項には、既に改正された規定が載っております。この下線が引いてある部分が今回改正された箇所です。
資料1-1に戻り、この職業安定法第5条の規定については、平成29年改正職業安定法の公布日から3年以内施行とされており、本日は施行に向けて関係政令・省令・告示(指針)案の内容について御説明いたします。資料1-1の下に改正前と改正後の内容が比較されておりますが、まず、現行の制度について少し御説明いたします。原則の所に記載しておりますとおり、求人を受理するに当たっては、全ての求人を受理しなければならないという全件受理の原則が大前提となっております。
一方で、原則の例外として、昨今、ブラック企業問題などを受けて、平成28年3月から先行的にハローワークの学卒求人に限定し、職業安定法とは別の法律、若者雇用促進法第11条において、一定の労働関連法令違反の求人者による新卒者向け求人は受理しないことができるという規定が盛り込まれております。こちらのほうが先行的に施行されており、更にこちらの法律についてはハローワーク限定となっているのですが、国会から要請があり、ハローワーク限定で良いのかということで、「新卒者向け求人は受理しないことができる」の横に、「※左記に準じた取組を進めるように勧奨」となっておりますが、こちらは若者法の指針に基づいて、ハローワークで求人不受理となったものについては、民間の事業者にもハローワークに準じて扱わないように勧奨しているというところです。こちらが現行の制度です。
改正の趣旨の※に御注目ください。こちらは若者法の国会審議のときに附帯決議が付されました。鍵括弧の所に「法の施行状況を踏まえ、不受理とする求人者の範囲及び不受理の対象となる求人の範囲の拡大を検討すること」とされ、これを踏まえて平成29年3月に公布された改正職業安定法において措置いたしました。
具体的な改正の内容は、まず現行のハローワークに限定していた不受理の適用対象について、民間の職業紹介事業者、特定の地方公共団体を含めた全職業紹介事業者に広げるということ、あとは求人不受理の取扱いの範囲として、新卒者向けの求人に限定していたところを一般の求人にも広げるということで、こちらの取扱いを拡大しているということです。
今回、お諮りするのは、この改正内容の赤枠部分です。以下の求人について受理しないことができるとして、「一定の労働関係法令違反の求人者による求人」、具体的に労働関係法令違反の何法の何条が不受理の対象となり得るのかを、政令で規定し、あとはどのような違反、違反の程度や不受理期間がどのような設定になるかということについては省令で設定いたします。
それでは、具体的な政令の規定です。2ページ目は一定の労働関係法令違反の対象として政令で規定予定の条項です。こちらは現行の若者雇用促進法の政令で対象条項としてピックアップされているものと基本的には同じ条項を盛り込んでおります。ただ一部追加しているものがあり、職業安定法の平成29年改正のときに付された附帯決議を受けたものです。具体的には、資料の真ん中の点線の囲み部分の所に、「求人申込みの不受理の対象に、職業安定法に基づく勧告又は改善命令を受け、これに従わずに公表された者からの求人を追加することについて検討すること」を国会より要請されているところです。こちらの附帯決議を受け、青枠部分の右側に、附帯決議への対応として、職業安定法の第48条の3第3項において、この職業安定法の違反で勧告又は改善命令を受けて、更にこれに従わなかった場合には公表するという規定があります。この公表の対象とされる規定について、左側の青枠部分の条項を今回追加するという所が若者雇用促進法との相違点となっております。こちらが政令の規定です。
続いて、3ページ目は省令に規定予定の内容となっております。どのような場合に不受理の対象となるのかということですが、こちらも基本的には若者雇用促進法と同様の整理となっております。まず、不受理の対象となる違反の程度、基準法、最賃法における賃金や労働時間等に関する対象条項については、過去1年間に2回以上同一条項違反で労働基準監督署などに是正指導を受けている場合、それから対象条項違反で送検、公表された場合、あるいは職業安定法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の違反で是正勧告に従わず、公表となった場合を想定しております。
不受理の対象となる期間についても、若者雇用促進法の同様の整理となっております。まず1つ目の○の所です。是正指導、是正勧告、公表の場合は、法令違反が是正されるまでの期間は当然不受理期間となりますが、更に違反が繰り返されないことを確認するために、是正後、6か月経過後までを不受理期間とすると設定されております。
2つ目の○の所は、送検されて公表された場合のパターンです。送検事案については、送検後1年間は不受理期間ということで設定されております。ただ、この場合も1つ目の○と同様に、是正後6か月経過するまでの期間については、繰り返さないことを確認するということで、例えば、送検後に1年間不受理期間が到来したとしても是正から6か月経っていなければ、その分延長される設定になっております。以上が省令事項です。
4ページ目は、求人不受理に関する留意事項ということで、告示レベルで職業安定法の関係指針で規定をしようと考えているものです。指針には新たに2つの規定を検討しております。まず下段からですが、職業安定法においては不受理とするかしないかは、法律上では受理しないことが「できる」と規定されており、実際、受理するかしないかという判断については、職業紹介事業者の判断によるところとなっております。ただ一方で、2つ目の○に書いてありますとおり、不受理要件に該当する求人を求職者に紹介することに関しては、求職者の観点からも記載のような観点で問題があることもあり、指針において今回、職業紹介事業者が求人申込みを不受理の要件に該当すると知った場合には、当該求人の申込みを受理しないことが望ましい旨を規定するものです。
上段部分は、職業紹介事業者が不受理取扱いを行う上で、不受理要件に該当するか否かの情報をどのように把握するかという観点の話です。2つ目の○の部分の所に、現行の若者雇用促進法において、法律では不受理対象となっていないものの、先ほど申し上げましたとおり、民間の職業紹介事業者に対しても若者雇用促進法の関係指針において、ハローワークで学卒求人の不受理求人となった場合には、それに準じた取扱いを要請しているという部分です。ただこの中で、1つ目の○の課題があります。求人者に対する労働関係法令違反に関する指導状況という部分で、行政機関の外に情報提供することについては、その情報が情報漏洩するリスクも懸念されますし、また、指導監督に係る機密情報ということもありますので、なかなか民間の職業紹介事業者に対して、指導状況に関する情報を提供することが難しいということになっております。
そこで現行の若者雇用促進法においては、通達に基づいて職業紹介事業者が求人者に対して指導中の労働関係法令違反があるかないかというところについては、自己申告書に記載をしていただき、その提出を求めるという形で求人不受理の対象に該当するかどうかの確認を行っているところです。今回の職業安定法に基づく求人不受理取扱いについては、若者雇用促進法では通達レベルでしたが、指針レベルに格上げし、青字部分の「求人者に対して自己申告させるべきである旨」を指針で規定することを検討しているところです。
資料5ページは参考です。現行の若者雇用促進法に基づくハローワークにおける学卒求人の不受理取扱いとされた件数です。平成28年3月に若者雇用促進法が施行されて以降、累計で108件、不受理取扱いの件数が上がっているということです。条項別に見ても労働基準法違反が多い状況となっております。
最後になりますが、資料1-2の3ページをご覧ください。施行期日についてです。平成29年の改正職業安定法の公布日が平成29年3月31日でした。この公布日を起算して3年を越えない範囲内で、政令で定める日を施行日とすることとなっております。今回、事務局からは、平成32年3月30日ということで御提案したいと考えております。こちらは求人不受理の拡大に伴い、不受理となり得る求人の範囲が広がりますので、ハローワークも含め、民間の事業者についても、業務処理についてシステム改修等が必要になります。このシステム改修に相当程度の期間を要するということ、それに加えて、求人者等関係者に十分な周知期間を取らせていただくということで、平成32年3月30日としたいと考えております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 この件について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。永井委員どうぞ。
 
○永井委員 今回の職業安定法の求人不受理規定は、今まで若者法で新卒求人に限っていた不受理規定を、一般求人にも拡大するものですが、若者法の求人不受理規定をそのまま残す意図を教えて頂きたいと思います。
それから、求職者の分かりやすさという観点では、若者法の規定は削除して職業安定法に一本化することのほうがいいのではないかという意見も添えたいと思います。
 
○鎌田部会長 この件について事務局から何かありますか。
 
○牛島課長 永井委員からの御指摘ですけれども、法制的な整理というところがあります。確かに職業安定法の規定がハローワークにも適用されることになります。ハローワークでの取扱いという意味では、若者雇用促進法の規定の存在意義は乏しくなってきます。法制的な議論で、若者雇用促進法については船員の職業安定法がそれを準用する形で、船員の紹介においても適用がなされています。そこについては法制上の議論の中で、若者雇用促進法の規定を準用するという形はそのまま維持した上で、諸々の規定を設計する構造になっています。そういう意味では、若者雇用促進法の規定というものは法律上は残っています。
ただ周知に当たっては、確かに分かりにくさがあるというのは御指摘のとおりだと思いますので、施行日までに、そういう構造になっているということも含めて、分かりやすく周知はしていきたいと考えております。そういう事情がありますので、御理解を賜ればと思います。
 
○永井委員 法的な構造上の問題ということですね。
 
○牛島課長 はい、そのように御理解を頂きたいと思います。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○永井委員 はい。
 
○鎌田部会長 正木委員どうぞ。
 
○正木委員 こういう機会なので、少し基本的なところで政府の見解を伺います。そもそも職業安定法第5条の5の趣旨なのですけれども、なぜ民間の職業紹介事業者等まで「全ての求人を受理しなければならない」という原則があるのか、後々の質問のためにまずそこを伺います。
公共に関しては、国民に憲法第27条第1項で勤労の義務を課しているからとか、鎌田先生の御本によると、求職者の労働権を保障しているからということです。別の本では、国民に職業選択の自由を保障するという憲法第22条の観点、戦時中に軍需産業に誘導した反省等があるからという理由も伺っております。
そうすると、これは少なくとも公共に課すべきもので、行政処分として行って、不服審査の対象となるというのが筋かと思うのですけれども、まず政府としての考え方を確認させてください。
 
○鎌田部会長 この点について、事務局からお願いします。
 
○牛島課長 非常に根本的な御指摘で恐縮ですけれども、正木委員御指摘のとおり、今は民間の職業紹介所も含めて全件求人受理の原則はかかっています。その趣旨は今御指摘のあったことに尽きます。昔のコンメンタールを見ても、やはりマッチングというのは幅広い求職者、幅広い求人の中からより適切性の高い求人と求職者をマッチングさせることで、先ほどありました職業選択の自由であるとか、勤労権の保証というものにつながっていくのだという構造の下、全件受理の原則というものがかかってきます。
確かにハローワークは公共の機関ですのでそこは分かりやすいのですけれども、民間の職業紹介事業者も、これは民間といえどもそういうマッチングの機能の一翼を担うという考え方の下、そういう公的要請も強いということもありますので、全件受理の原則がかかっているという構造になっています。
ただし、民間は一方で自らの独自性であるとか特性を発揮していただくということもあります。ここについては別途取扱職種を限定し、事業活動を行うことを可能とするという構造を準備することで、一定の調整を図っています。ただ、大原則としてあるのは、職業選択の自由、勤労権の保証といったところを確保するためには、広範な求人・求職の中でのよりマッチングの精度を上げていくというところがありますので、そこについては民間の事業者についても一定の役割、公的役割を担っていただくという考え方の下、現在のような建付になっているという整理です。
 
○正木委員 先ほどの永井委員のお話ともつながるのですけれども、本来個別の法令違反には個別の罰則等が科せられているということです。それでありながら、職業安定法で別途こういう形で罰を与えるというか、別のものを科すということについては二重処罰のような形になるので、慎重であるべきだと思います。だからこそ、ここでこうやって審議をして、決定しようということだと思います。
ただいまのお答えを受けても、求人を受理するということは非常に重たい責務で、憲法上の責任も負っているわけです。その内容と、「受理しないことができる」という、事業者の裁量というような構成に違和感がある。片や慎重に執行すべき、罰を与える与えないみたいなことが、片や事業者の裁量の下にあるというのは矛盾しないのかというように感じるわけです。その辺についてはどのように捉えるのか。趣旨は重たいのに、「ことができる」という、非常に裁量のある構成について気持ち悪いと思っているのですが、どのように考えたらいいのでしょうか。
 
○牛島課長 今の御指摘の点については、1段目の回答と裏表の部分があろうかと思います。要は全件受理の原則ということで、基本的には受理をすることが基本になっているわけですので、その原則を外すことになってくると、「そこは行わないことができる」というような構造に自ずとなってくるのではなかろうかと思っています。
しかしながら、求人不受理というのは、そういった求人の内容だけではなくて、求人者の属性に着目して、そこにマッチングをしたときに、果たして働く方、就職される方が勤務を継続できるのか、能力を発揮できるのかという観点から、政策上の観点から、そういうところについてはマッチングの対象から一定程度外すことが適当であるという考えでおります。そういう意味では、確かに「不受理とすることができる」というところでは一段弱いという部分はあります。ただ、法律上の建付がそのような形になっておりますので、その辺は一定程度誘導するという意味で、本日の資料1-1の4ページにあるように、基本的には該当することをした場合には求人の申込みを受理しないことが望ましいという方向を位置付けることで、基本的にはそういう悪質な求人者への就職というところを、一定程度ブロックするというところを誘導していければという考えでおります。事務局からの回答は以上です。
 
○鎌田部会長 それについては私も意見があります。事務局の意見は意見として、正木委員は処罰という言葉を使っておられました。実はこの求人不受理というのは、いわゆる処罰という性格のものではなくて、公共職業安定所に関しては、すべからく先ほどから話題になっている勤労権、それから職業選択の自由のためにサービスを提供するという責務でそうしているわけです。
このサービスの提供を、今言った要件の下で提供しないということなのです。受ける側からすれば確かに不利益のように見えますけれども、それは何か不利益を課するということ自体が目的ではなくて、サービスを提供しない、利用させないという趣旨だと思うのです。
「できる」規定というのは、例えば行政処分とか処罰という、処罰ができるというのは確かにおかしい話なのです。ただ今言いましたように、そのサービスを提供しないという観点から言えば「できる」規定ということも筋が通るのではないか。そのサービスをする、しないという観点で言えば、それは裁量が許されるのではないか。そういう趣旨で私は理解しています。
 
○正木委員 はい。先生のおっしゃるところは非常にすっきりと分かります。だからこそ申込みを受理しないことができる。サービスなので提供しなくてもいいということなのだと理解いたしました。
 
○鎌田部会長 そういうことです。
 
○正木委員 一方で求めているのは、4ページの指針のほうで言うと、「受理しないことが望ましい」と。サービス品質を向上させるためになるべく受理しないということのようなのです。求人者の自己申告のみによって、これを担保することはなかなか困難だと思います。民間事業者のシステムの改修というお話がありましたけれども、何らかのデータベースで簡単に参照できるというのが本来あるべきことではないのかと思われます。
もう1つは、新卒の場合はともかく、中途採用1件ごとに自己申告させるというのは非常に困難というか煩雑だと思います。求人する事業者が契約を締結するときに、職業紹介事業者等に1回申告すれば、事業変更で是正勧告とか、送検とか、公表があったとか、不受理期間を経過したとか、ストライキを実施したとか、何かそういう「変更発生の都度申告してください」という程度にしていただくということで、毎回自己申告する必要はないのではないか。
また、第5条の5の第1項第5号で暴力団の話がありますけれども、「暴力団でありません」というのを併せて自己申告書のフォーマットに入れていただいたらいいかと思います。
 
○鎌田部会長 この点について、事務局はいかがですか。
 
○牛島課長 具体的な運用については、施行までに詰めていく話だと思います。ただ、職業紹介事業者の判断ではありますけれども、自己申告については、その都度慎重を期して取っていただくというところを基本としつつ、あとは求人者と職業紹介事業者とのある意味信頼関係と言いますか、そういうところもあろうかと思います。ただ、基本的には毎回確認を取っていただくというのをベースに運用は組んでいくべきではないかと思っています。
暴力団の関係等については、自己申告のシートを、今も若者雇用促進法関係ではそういうものがありますので、それをどのように織り込んで実効性があるものにするかというところは検討してまいりたいと思っております。
 
○鎌田部会長 追加はありますか。
 
○正木委員 結構です。
 
○鎌田部会長 村上委員どうぞ。
 
○村上委員 今の正木委員の御指摘の部分は、若者法を議論するときも、安定法改正のときも同じような議論がありました。「受理しなければならない」ということと、「受理しないことができる」という部分の規定ぶりについては、法的な構造は理解しつつも、若干の違和感が残る部分はあります。その上で今のやり取りの中で、4ページで職業紹介事業者が求人の申込みが不受理の要件に該当することを知った場合、法文上は「受理しないことができる」であっても、実質上、「受理しないことが望ましい」との規定を置くとしていますが、「望ましい」では少し弱いのではないかと思います。「受理すべきではない」など、もう一段強めることはできないのかというのが1点目の意見です。
それに併せて、今回の資料には職業紹介事業者のことのみが書いてありますけれども、安定法の改正で、募集情報等提供事業者についても指針の中で位置付けられたと承知しています。募集情報等提供事業者に関しても、不受理要件に該当するような求人広告の申込みなどは「受理すべきではない」、あるいは「受理しないことが望ましい」というような規定を定めるべきではないかというのが2点目の意見です。
 
○鎌田部会長 事務局のほうで用意ができたらコメントをお願いします。
 
○牛島課長 1点目の「受理しないことが望ましい」の強さの程度ですけれども、これは、あくまで委員の皆様方の違和感というところは認識しつつも、法律上は「受理しないことができる」というようなところが規定ですので、そこを指針において「受理しないことにする」ということをやってしまうと、指針で定められる範囲というものを超えてしまう部分がどうしても出てきてしまうのではないか、ただ、「そういったことが望ましい」というところについては、周知に当たっては力を入れて職業紹介事業者にも取組を促していきたいと思っております。指針の規定上はこういう形でまずはスタートさせていただく、というところを御理解いただけないかということです。
募集情報等提供事業者については平成29年の職業安定法改正、これは募集情報の適正化のために指針において、例えば有害の業務に就かせる目的の募集情報であるとか、法令に違反する募集情報であるとか、実際の業務内容と違う内容を含んだ募集情報に該当すると認めるときは、端的には募集情報の内容を変更してくださいという依頼をするとか、掲載をしないようにすること等適切に対応することが規定されているところがあります。
この求人不受理と同じような取組を募集情報提供事業者に義務づけることを、指針の中で規定できるかと言われると、若干この指針の要請を超えてしまう部分があります。ただ、募集情報等提供事業者の役割の大きさというのは、私どもも理解をしているつもりですので、基本的にはそういう取組を募集情報等提供事業者も採っていただくように運用、若しくは周知の中で働きかけてまいりたいと考えております。
 
○村上委員 今のお答えは理解しつつ、指針の実効性についてお伺いします。例えば、育児・介護休業法違反で勧告しても従わなかったので公表したというような事案や、最低賃金法違反でマスコミなどでも報道されたような事案にもかかわらず、職業紹介事業者が当該求人者に自己申告を求めずに求人を受理していた場合、行政はどのように対応するのでしょうか。職業紹介事業者に対し、指針に基づいて求人者に自己申告させるべきことや、自己申告させた上で求人受理しないことが望ましいということを、指導できるのでしょうか。
 
○牛島課長 あくまで個別のケースにおける対応というのは、まちまちいろいろなパターンがあるということは御理解いただきたいと思います。指針についても、これは法令に基づく指針であれば、指導にもいろいろなレベルがありますので、若しくは注意をするとか、いろいろなやり方があります。こういう中でどういう対応をとるかというのは、その都度ケース・バイ・ケースの判断になります。指針違反だったら何も対応しないということにはしておりません。そこは必要性に応じて、なにがしかの対応を労働局としてはとっていきます。あくまで法律に基づく違反という評価まではなかなか難しいですので、法律違反をして、是正指導したけれども従わないときは、そこから先の行政処分だとか、そういうところにはなかなか導き出せるものではないです。
個別のケースに応じて、悪質性がちょっと強いと言いますか、影響度が大きいというようなことであれば、それは必要な対応をとっていくというのが一般的な動きになってまいります。その中で、こういった扱いに、ここの部分についても対応していくという動きになろうかと思います。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○村上委員 はい。
 
○鎌田部会長 この点については、今までいろいろ皆さんから御意見を頂きました。法律の観点から言うと、この不受理というのをどう法的に位置付けるかというのが最大の問題で、そこは処罰なのか、行政処分なのか、いわゆるサービスの不提供という事務的な対応ということなのか、この辺のところがあります。私の理解では、サービスの不提供というように位置付けて考えているのではないかと思っています。異論もいろいろあるかと思いますが、そういう観点から見ると、事務局から説明していただいたことについては一貫していると私は思っています。ただ、そもそもの位置付けがそれでいいのかという議論は、正に建付の問題ですので、今後あり得るかなとは思っています。佐久間委員どうぞ。
 
○佐久間委員 1点お願いします。村上委員又は正木委員から出た意見で結構集約されていると思うのです。自己申告というのは出てこないおそれがかなりあるだろうと思います。
ここは労働局や労働基準監督署でデータベースを持っていただいて、それを見られるような状態にしておいていただかないと、なかなか出てこないのではないかと思います。特に「望ましい」という形になると。
あとは、この条項の違反の関係が「等」なのです。これを2回という形でやっていますので、この同じものを2回というのは、その企業が常習的に例えば週40時間とか、1日8時間とか、こういう条項違反を重ねてやってくることが多々あるのでしょうけれども、やはりこの一つ一つの条項まで同じものが2度というのはなかなか出にくいのではないか、分かりにくいのではないか。6か月たったらまた許されるという形のものというのが、2回、3回というのがもしあった場合に、そういう企業は取消しでもいいような気がするものですから、その辺のこれからの留意点ということで今後も考えていきたいと思います。
 
○鎌田部会長 御意見ということでよろしいのですか。
 
○佐久間委員 データベースの関係だけお願いします。
 
○牛島課長 委員の皆様方は重々御承知の上での御指摘だと思います。やはり、監督指導の状況というのは、情報公開等があっても、基本的には不開示事由に該当するので、個別の指導状況は公開できないという扱いをしております。そういう中でこの運用をどのようにこなしていくかというときに、確かにデータベースで見られるようにするということについては1つのアイディアとしてはあります。
先ほど申し上げました情報の管理、行政運営の観点からすると非常にハードルが高い方法です。ただ、そういった該当する事業所にはこういった所があるというのは、ある意味行政内部としてもきちっと管理はした上で、自己申告であるとか、その辺を絡めて、どうもここの事業所が自己申告を出してきている内容というのは本当に大丈夫かというようなところを、紹介事業者のほうで不安に思う場面はあろうかと思います。そういうときにどういった確認のやり方があるのかというところも含めて、少しでも運用でこなせる部分があるかというところは検討してまいりたいと思います。ただ、データベースを作って、それを行政機関外の方が広く見られるようにするというところについては、先ほど申し上げたような課題がありますので、なかなかハードルが高いですというところは御理解いただければと思います。
 
○鎌田部会長 この点についても、公表ということの法的性格をどう見るか。企業名公表は、行政は処分だと捉えていますので、今言ったように二重処罰になってきます。確かに不便、便利ということで言えば、登録して公開したほうが、事業者としてもやりやすいということはあります。いわゆる行政処分ということになりますので、それは控えるという立場でこの問題は位置付けているのだと御理解いただければと思います。私としては、公表というものの性格についてはそういったものであるということなので、しないということだというように思っています。
 
○牛島課長 部会長のコメントですけれども、公表はあくまで行政処分とは一線を画しています。制裁という意味合いという意味では御指摘のとおりではありますけれども。
 
○鎌田部会長 いや、それは、そうではないと私は思っています。ただ、行政がそのように説明するのは分かります。ただ、一貫性ということから、先ほどのサービス提供の議論でも、多分行政はそういう説明をしていないのではないかと思うのです。私は、そういうことで一貫させているということです。私自身はこの規定を作ったときの部会の委員でもありましたので、そういう位置付けで議論もしましたし、私の理解もある。それは行政の意見と違うというのは、それはそれでいいのですけれども、非常に大切な論点だと思っています。村上委員どうぞ。
 
○村上委員 今の整理で言うと、法的性質がどうなのかということはいろいろ議論があるかと思います。求職者目線での政策的な意図ということで言えば、いわゆるブラック企業のような体質を持つ企業などは、求職者が求人票や求人広告だけ見てもそれを見抜くことができません。そのため、一定程度悪質な体質を持つ求人者に対しては、マッチングの段階でそのような企業の情報を求職者に提供し、ミスマッチを防ぐ政策的な意図があって、それではどういう方法があるのかと検討した結果が求人不受理規定の創設であったと理解しております。この措置で良いのかなど、様々な課題があり、そもそも求人段階でやるのが良いのか、もっと違う段階でやるのが良いのかというのはあるかと思いますが、一定程度整理したのがこの若者法の求人不受理規定だったと理解しています。
その上で対象条項についてです。今回は若者法をベースに対象条項を追加していくという提案であると理解しています。しかし、若者法の新卒求人不受理の対象条項そのものが十分であるのか検討が必要ではないかと思います。当時若者法を議論したときには、若い人たちは求人情報をきちんと読み取る力がないのではないかとか、早期離職の原因として、過重労働により休日が取れないというような意見が多く、そこに対しての条項を入れるべきではないかという議論がありました。そのうえで、家族形成期なので、育児・介護休業法も入れていくべきだという議論があって現在の規定が入っています。法令違反を繰り返すなり、悪質な事業所を紹介するのはどうなのかという視点で言うと、例えば外国人労働者の受入れ拡大の動きなどもある中では、入管法違反の送検事案なども対象条項に追加することも検討するべきではないかと思います。
また、障害者雇用促進法も第47条で公表規定があります。毎年度ではないものの公表案件があることを踏まえると、障害者雇用の法定雇用率も引き上げられてきている中では、障害者雇用促進法上の公表規定の対象になった事案も、今回の不受理の対象に含めるべきではないかと考えます。
 
○鎌田部会長 永井委員どうぞ。
 
○永井委員 付け加えになるかもしれませんが、企業名公表に関してです。現在のパート法第18条、2020年には法律名がパ―ト・有期法に変わりますけれども、パート法にも公表規定があります。安定法の不受理規定は一般求人を対象とするものでありますので、パートや契約社員の求人も射程に置いているということを踏まえれば、パート法の企業名公表も不受理の対象に含めるべきではないかと思っています。
また、高年齢者雇用安定法第10条にも公表規定があります。厚生労働省のQ&Aで、高齢法の企業名公表の場合は、「ハローワークでの求人の不受理の措置を講ずる」としています。そのため、今回の不受理規定の対象に、高齢法の公表規定を対象に含めるべきではないかと考えます。
 
○鎌田部会長 事務局どうぞ。
 
○牛島課長 対象条項の関係での御意見を頂きました。いろいろな論点があろうかと思います。一概に永井委員と村上委員が言われた御意見を否定するものでは決してありません。ただ、一方で制度をうまくスタートさせていくことを考えたときに、私どもとしては先行の事例として若者雇用促進法がありますので、そこをベースに、まずはそこの対象条項をベースにした上で、まずは若者法から広がってくるのは、民間の職業紹介事業者にも広がっていく、学卒以外の求人にも広がっていくというような、そこの広がりをまずこなしていければというところがあります。
その上で今御指摘のありましたような部分、若しくはそれにとどまらないものもあるかもしれませんけれども、その辺については施行後の状況等を見ながら、この場でも御議論いただいて、どういった形のところが考えられるのかというのは不断に検証していければと考えております。
 
○鎌田部会長 意見として伺うということですね。
 
○牛島課長 はい。
 
○鎌田部会長 その点について何かありますか。
 
○正木委員 最初に議論させていただいたとおり、むしろ求人は原則受理するということが非常に重たい責任です。戦前の軍需産業に誘導していったというような話ではないですけれども、いたずらにこれは受けない、これは受けない、これは受けないで、しかも「受けなくてもいい」というような形のものを増やしていくということについては慎重に考えていくべきであります。また、大変たくさん情報が増えてくると、自己申告と言っても漏れがあるとかいろいろなことになったときに、今の法律構成だと、誰にどう責任があるのか、ハローワークでも「見過ごしました」と言われても不服審査もできないというような状態です。やはり、これは構造をしっかり考えて設計をする。対症療法的にやっていくのには限度があるのではないかと思います。
 
○鎌田部会長 永井委員どうぞ。
 
○永井委員 関連するのか、対症療法になるのか分からないのですけれども、今ご発言があった公表についてです。資料1の5ページの実績です。若者法による求人不受理の件数ということですが、労基法違反と最賃法違反によるもののみで、育介法、均等法の公表案件の不受理実績はゼロです。ゼロである理由は、そもそも育介法、均等法の公表案件がない、少ないということによるのだと思いますが、違反の程度の設定にそもそも課題があることを示しているのではないのでしょうか。
もちろん公表事案が多ければよいということでは決してありません。法違反がないことがあるべき姿ではありますが、実績ゼロということはこの公表制度の実効性に疑問を感じざるを得ません。今回を機に公表の前段階の勧告でも不受理とするということも検討すべきではないかという意見を申し上げます。
 
○鎌田部会長 御意見ということですが、よろしいですか。
 
○牛島課長 はい、御意見として。まず事務局としては御意見を踏まえつつ、平成29年度の職業安定法改正をどのように施行させていくかというところがまずスタートだと思っておりますので、その辺の状況も踏まえながら、また御意見等々を随時頂ければと考えております。
 
○村上委員 もう一度確認したいのですけれども、対象条項についてです。入管法は別として、育介法、均等法の公表案件は若者法で対象条項に入っているから職業安定法においても、そのまま不受理の対象条項にしている。一方でパート、有期法、高齢法及び障害者雇用促進法は今回は対象にしないという趣旨の答弁であったと思います。同じ公表事案の中で対象を線引きする理屈はあるのでしょうか。公表事案という性格は変わらないと思うのですが、あえてそこに線引きをする積極的な理由はあるのかないのか、お伺いしたいと思います。
 
○牛島課長 基本的には御議論の中でということだと思います。今回の対象条項の整理として、1つは平成29年に就業構造基本調査の中で、離職理由にはどういうところが多いのか、あるいはそこに入ったときに、どういう場合は離職するのかというところで聞いています。そのときに労働時間、休日といった労働条件であるとか、賃金に関すること、あとは結婚や出産といったところが離職の理由としては多いということがあります。
これは実態論でありますけれども、基準法令違反が疑われる企業への重点監督を実施した結果、出てくる案件というのは、やはり過重労働であるとか、賃金不払残業といったところが多くなってきています。こういうところを踏まえると、基本的には今御提案申し上げているようなところが、離職を引き起こしてしまう、定着がなかなか見込めないという意味での第一優先グループではないかというところを考えています。
次のパート、有期契約労働者、障害者をどう扱うかというのはいろいろな場面で御議論いただきながら、今後検討していく課題ではないかという感覚でおります。
 
○村上委員 結局求人不受理の目的は何か考えるところから、対象条項をどのように定めるのか整理していくことが必要です。若者法は若い人たちを対象としており、就業後の定着や早期離職防止に向けて、求職の段階で、ミスマッチを防ぎ、定着できるような企業に就職するようにマッチングしていくという目的でこの条項を選んできました。その上で家族形成期の支援や、女性活躍ということも踏まえての対象条項を選んだのです。目的が少し変わってくれば、対象条項も変わり得るという理解をしていきたいと労働側としては思っています。
○牛島課長 御意見は伺いつつ、障害者や高齢者と言っていくと、そこは対象者がある意味限定されて、その中でいろいろな取組をやっていくことになります。職業安定法の仕組みというのは、そういう対象者にはとどまらず、全般的にとかかってくるようなルールになってまいりますので、そういうところも1つの考慮要素としてはあるかと思っております。繰り返しになりますけれども、どういう対象条項をこれからいろいろな状況の中で、施行時点ではこれでスタートしつつ、それでもう絶対に変えないというものではないと思っておりますので、またいろいろな場面で御意見を頂きながら検討していければというのが事務局の考え方です。
 
○鎌田部会長 私の理解では、若者雇用促進法で初めて求人不受理という規定を設けたわけです。そのときに、なぜ新卒だけが不受理なのかということがそもそもからあったわけです。そのときに、今おっしゃったように、このブラック企業と言いますか、違反を繰り返す企業によって、求職をされる方にとっては取り分け大きな被害を被るのは新卒者だろうということで、一定の違反法令についての整理を行ったということです。
その際に、新卒に関わる規定、あるいは新卒に関わるところだけに限定してその法令をピックアップしたわけでもなかったと思うのです。やはり重大なということでやっていた。そういう考え方からいくと、今後対象法令は更に検討していくという性格のものであって、これでずっと限定をするというつもりでもなかったと思っています。ただ、今回は先ほど来事務局からの説明にありましたように、若者雇用促進法で限定されていたものを一般化したわけです。そうすると、この一般化したところで、円滑な運用をまずは図ろうということから、従前の対象法令についての枠組みをそのまま維持して入っていく。今後はその動向を見定めながら、対象の法令についても検討していくという位置付けなのかと思っています。私の意見としてはそのように考えています。
他に何かありますか。先ほどの勧告とか、公表とか、私もちょっとしゃべりたかったのですけれども、やはり求人不受理というのは法的性格は何なのかということが最大の問題なのです。これは何なのか、処罰なのか、行政処分なのか、あるいはサービスを提供しないということなのか。要するに、事実行為なのか、この辺の整理が非常に重要なところなのです。私もちょっとこだわってしまいましたけれども、実はこういうことがもしかしたら、こういう表の審議会で、このようにこういう問題だと指摘をしたことがなかったかもしれないのです。私は、常日頃この問題については、そこが一番重要な出発点だと思っています。一応論点の提起ということでお話をしておきます。
これについてはよろしいですか。いわゆる諮問等については後日行われるということでよろしいのですね。
 
○牛島課長 はい。
 
○鎌田部会長 本日これで決定というのではなくて。
 
○永島補佐 今後のスケジュールについてです。政省令案、そして告示案については近日中にパブリックコメントをかけさせていただきます。その結果も踏まえた上で後日この部会において要綱という形でお諮りをさせていただきたいと考えております。
 
○鎌田部会長 それでは、この職業紹介における求人不受理に係る職業安定法施行令、同法施行規則及び指針の一部改正(案)について、今回頂いた御質問、御意見等について、事務局にて精査の上後日要綱を示していただくということです。今説明がありましたように、職業紹介における求人不受理に係る職業安定施行令、同法施行規則及び指針の一部改正(案)について、後日要綱を提示してもう一度御議論いただくことにさせていただきます。こういうことでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
次に議題2「平成29年派遣労働者実態調査の概況」について事務局からの説明の後に質疑の時間を取ります。事務局から説明をお願いします。
 
○米岡補佐 それでは、平成29年派遣労働者実態調査の概況について御報告いたします。資料は、こちらのタブレットを御覧いただければと思います。この調査は平成16年以降、おおむね4、5年おきに実施してきました調査で、今回の調査は4回目に当たる平成29年の調査結果が先般取りまとめられたということで、御報告する次第です。調査の概要は、1ページから3ページにかけて記載しております。この調査は大きく2つのパートに分かれており、前半が事業所を対象とした調査、後半が派遣労働者を対象とした調査となっております。事業所調査につきましては派遣元ではなく、主に派遣先の観点から広く一般の事業所を対象に調査をかけたものになっております。
4ページ以降は調査の結果の概要を記載しておりますが、何分量が多いものですから、幾つか主なポイントと思われるところを取り上げて説明いたします。まず、4ページを御覧ください。全事業所に占める派遣労働者が就業している事業所の割合ですが、12.7%となっており、前回調査の結果がこの表の一番下にある10.8%ですので、この5年間で2ポイントほど増加している状況になっております。
次に、少し飛んで7ページを御覧ください。派遣労働者が就業している事業所、先ほどの12.7%の事業所における派遣労働者を就業させる理由を尋ねております。一番大きい理由が、「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」というものが73.1%、次に「一時的・季節的な業務量の変動に対処するため」というものが、続いて35.8%となっております。
9ページです。派遣労働者の方が就業している業務につきまして、これは事業所側に聞いた調査結果です。右下に「一般事務」とある所が33.1%で、最も多くなっております。それから次に、「事務用機器操作」、これが左上になりますが19.1%、また右下ですが物の製造が14.5%となっております。
10ページは、派遣契約の状況について尋ねております。まず上段の派遣契約期間ですが、2か月から3か月が最も多く46.7%、次に3か月から6か月が多く21%となっております。下段の(2)の通算派遣期間について見ますと、1年から3年が最も多く34.6%、次に3年を超えるが多く18.2%、3番目に6か月から1年が17.8%と続いております。
11ページは、派遣労働者に対する教育訓練、能力開発の実施状況について尋ねております。過去1年間の実施状況につきまして、59%の事業所が教育訓練等を実施していると回答しております。その実施方法の内訳を見ますと、OJTが多く84.6%となっております。
12ページ以降は、新規調査項目、5年前には聞いていなかった項目で、例えば過半数労働組合の有無や過半数代表者の選任状況といったものを聞いております。12ページの上段につきましては、「過半数労働組合がある」と答えた所が25.7%、「過半数労働組合がない」というところの中で、「過半数代表者はいる」と答えていただいている所が35.9%となっております。こちらの数字につきまして1点御注意いただきたい部分が、この調査時点が昨年10月時点のもので、御承知のとおり前回の平成27年の派遣法の改正から3年が経過するよりも大分前に調査をかけているものでありますので、あくまで途中経過の参考値として御覧いただければと思います。12ページから13ページ以降にかけて、幾つか過半数労働組合の関係と続いておりますが、これにつきましてもあくまで途中経過の参考値として御覧いただければと思います。
少し飛んで16ページです。派遣労働者を正社員にする制度の割合について、聞いております。下の表の中で少し見にくいのですが総数と書いているところは、派遣労働者を受け入れていない事業所も含めて聞いたものになっておりますので、その下の派遣労働者の就業の有無の、派遣労働者が就業している欄を御覧いただくのがより実態に近いかと思います。この欄で見ますと、派遣労働者を正社員に採用する制度があると答えている所が24.4%、そのうち実際に過去1年間に正社員に採用したことがあると答えている所が6.3%となっております。
19ページ以降につきましては、派遣労働者に対する調査の結果を記載しております。まず19ページですが、派遣労働者の方の属性について聞いております。上段の年齢について見ますと、40~44歳の方が最も多く16.5%、35~39歳が13.5%、45~49歳が13.1%と続いております。その下の表のすぐ下の前回平成24年の調査結果についても併記しておりますが、今回の調査のほうが若干年齢が上がっているといったような傾向が見られます。
21ページは、派遣労働者として働いてきた通算期間について尋ねております。10年以上の方が最も多く19.2%、5年以上10年未満が19%、3年以上5年未満が16.3%となっております。
22ページにつきましては、現在従事されている派遣の業務について聞いております。こちらにつきましては先ほどの事業所側に聞いた調査結果と同様の結果となっており、一般事務、事務用機器操作、物の製造が上位3位になっております。
26ページの下段から27ページの上にかけては、派遣労働者の方の賃金について尋ねております。1,000円~1,250円が最も多く35.5%、次に1,250円~1,500円が続いて21.1%となっており、平均賃金は1,363円となっております。前回調査が平均1,351円ですので、若干微増しているような状況になっております。
28ページは、各種手当、各種制度等の状況について聞いております。「通勤手当」の支給については、実施がある派遣労働者の方の割合が50.8%と、約半数の方に通勤手当が支払われているといった実態になります。また「賞与・一時金」につきましては、19.5%の方に支給があるとなっております。また一番下の「昇給」につきましては、15%の方に昇給があるといった状況です。
33ページと34ページにかけては、33ページが派遣元への要望、34ページが派遣先への要望について尋ねたものです。派遣元に対する要望としては、賃金制度を改善してほしい、継続した仕事を確保してほしいといった要望が多くあり、34ページの派遣先への要望を見ますと、派遣契約期間を長くしてほしいといったような要望が多くなっております。
37ページは、今後の働き方の希望について尋ねております。結果を見ますと、派遣労働者以外の就業形態、例えば正社員、パート等で働きたいと答えていらっしゃる方が48.9%、派遣労働者として働きたいとおっしゃっている方が26.8%、そして、その他が22.9%となっております。
38ページに、派遣労働者以外の就業形態で働きたいとおっしゃっている方の希望の内訳について掲載しております。上の段の表を御覧いただくと、派遣労働者以外とお答えになっていらっしゃる方のうち正社員として働きたいと答えていただいている方が80.8%、パート等の正社員以外とお答えになっている方が11%となっております。
調査結果の主なポイントの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 この点について、御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。
 
○村上委員 質問だけですか。
 
○鎌田部会長 御質問、御意見どうぞ。
 
○村上委員 ありがとうございます。大変興味深い調査結果であると思います。平成25年改正を踏まえた追加の項目も入れていただいているので、改正法の状況や課題が浮び上がっているか、きちんと精査をして考えていきたいと思います。
2点だけ申し上げますが、1点目は派遣労働者への調査の中で、やはり教育訓練やキャリアコンサルタントに関して、「やってもらっていない」、「分からない」といった回答が多い結果になっております。派遣会社から派遣労働者にきちんと周知されているのか、原因の分析と周知徹底に向けた対策を考えていく必要があるのではないかと思います。2点目は派遣労働者から派遣元への要望として、「賃金制度を改善してほしい」が、最も多い回答となっております。7割以上の派遣労働者が自分の収入で生計を立てていることからすれば、やはり少しでもいい賃金制度にしてほしいと要望があるのは当然であり、同一労働同一賃金の法改正も行われましたので、実効性があって、派遣で働く方の処遇改善につながっていくように、施行段階でもしっかりその点を留意して取り組んでいただきたいと思っています。以上です。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。
 
○佐久間委員 調査結果をありがとうございました。私どもも項目が少ないのですが、先般、中小企業労働事情実態調査を実施し、その結果をまとめました。私どもが調査したのは300人以下の事業者になるわけですが、大体10.7%が派遣を活用している調査結果が出ました。今回こちらの調査ですと、もちろん大企業も入っています。もし集計の関係で分からないかもしれませんが、要は100人から299人まで、企業規模は5人から29人や、100人から299人までが概ね厚生労働省関係の調査では区分となっていますが、この人数が少ないところや、5人から299人をまとめると大体どのぐらいのパーセンテージが出ているかは分かりますでしょうか。概数でも結構ですが。
 
○米岡補佐 お答えいたします。今お尋ねいただいた企業規模別の派遣労働者を受け入れている割合ですが、年度末にまた年報という形で、より詳細な結果を公表する中で、そういった内容も含めて集計し公表する形になっております。
 
○佐久間委員 分かりました。ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。それではないようですので、議題2の平成29年派遣労働者実態調査の概況については以上としたいと思います。
公開部分は以上といたします。議事録の署名は奈良委員、高野委員にお願いいたします。事務局からは、連絡事項はありますか。
 
○永島補佐 傍聴者の皆様に御連絡いたします。傍聴者の皆様におかれましては、委員の随行の方が退席後に、事務局の誘導に従って御退席いただければと思います。よろしくお願いいたします。
                                

 

(了)

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