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2018年6月18日 平成30年度第1回水道における微生物問題検討会

医薬・生活衛生局水道課水道水質管理室

○日時

平成30年6月18日

 

○場所

厚生労働省中央労働委員会 労働委員会会館 205会議室(2階)

○出席者

委員(敬称略)
  

秋葉 道宏 五十嵐 良明 泉山 信司 春日 郁朗
勝山 志乃 吉田 弘 島崎 大 橋本 温
 

関係者(敬称略)

安藤 茂 三浦 尚之

○議題

(1)クリプトスポリジウムの不活化と除去に関する補足情報について
(2)水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針の改定案について
(3)その他

○議事

 

 

○小林係長
 それでは、定刻よりも少し早いですが、ただいまより平成30年度第1回「水道における微生物問題検討会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙中にもかかわらず、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
 本検討会の開催に当たり、事務局を代表いたしまして、水道課水道水質管理官の東より御挨拶を申し上げます。
 
○東水道水質管理官
 水道水質管理官の東でございます。
 皆様方におかれましては、日ごろより水道行政の推進に御協力いただきまして、ありがとうございます。
 御案内のとおり、今朝方、大阪北部で大きな地震がございまして、水道施設のほうも少し被害があったということでございます。特に、枚方市とか高槻市とか、いわゆる北摂地域のほうで施設の破損と断水、濁水が生じているところでございます。現在、厚生労働省としても情報収集中でございますけれども、一日も早く施設の復旧がなされるよう願っているところでございます。
 本日は、前回3月の検討会に引き続きまして、クリプトスポリジウムの対策において地表水にも紫外線を導入するということで御議論いただいているところでございますけれども、先生方からの御意見等も踏まえまして、今回、資料1と2に根拠資料も付けさせていただき、資料3に事務局としての改定案をまとめさせていただきました。本日は短い時間ではございますけれども、この改定案につきまして忌憚のない御意見を賜れれば幸いでございます。
 どうかよろしくお願いいたします。
 
○小林係長
 本日の出席状況ですが、10名の委員のうち8名に御出席いただいております。
 今回から大阪健康安全基盤研究所主任研究員の枝川委員にも御参画いただいておりますが、先ほどもございましたように、本日発生した地震の影響により、本日は欠席の御連絡をいただいております。
 また、船坂委員も同様に欠席の御連絡をいただいております。
 また、オブザーバーとして2名の関係者の方々にも御出席いただいております。前回に引き続き、水道技術研究センターの安藤様。今回、国立保健医療科学院の三浦様に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 引き続きまして、事務局にも異動がありましたので、御紹介いたします。
 まず、室長補佐の草川でございます。
 
○草川水道水質管理室室長補佐
 よろしくお願いします。
 
○小林係長
 私、小林と申します。よろしくお願いいたします。
 次に、配付資料の確認をいたします。配付資料については、こちらの議事次第の裏面に記載してございますので、不足等ございましたら、お申しつけください。
 また、こちらに加えまして、本日急遽、A41枚紙の資料もお配りしております。こちらについても、過不足等ございましたら事務局へお申しつけください。
 それでは、以降の議事進行に先立ちまして、座長の選出を行いたいと思います。
 参考資料2にございます検討会運営要領におきまして、座長は平成30年度第1回検討会において、委員中より選出することとしております。
 事務局といたしましては、昨年度に引き続き、秋葉先生にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
 
(「異議なし」と声あり)
 
○小林係長
 それでは、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、御協力をお願いいたします。
 以降の進行につきまして、秋葉座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○秋葉座長
 座長を御指名いただきました国立保健医療科学院の秋葉でございます。
 本日は、前回の検討会で委員の皆様方から出された御意見に対する補足の説明と、対策指針の改定案を提示して、闊達な議論を展開し、座長として取りまとめてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、議題に入る前に、本検討会の公開の取扱につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
 
○小林係長
 本検討会の運営要領にて、検討会の公開の取扱については、検討会において決定することとしております。その取扱の案を参考資料3につけてございます。
 この検討会は、個人情報の保護等の特別な理由がない限り、基本的に公開することとしており、原則公開でございます。委員のお名前、御職業、会議資料、議事録についても公開でございます。
 なお、検討に必要なために、取りまとめ前の中間段階の調査結果、あるいは先生方から未発表の研究成果を出していただく場合は、知的財産権の保護という観点から非公開とさせていただきたいと思います。
 以上です。
 
○秋葉座長
 ありがとうございました。
 それでは、早速議題に入りたいと思います。議題1「クリプトスポリジウムの不活化と除去に関する補足情報」について、島崎委員より資料1、三浦主任研究官より資料2の説明をお願いいたしたいと思います。
 では、初めに、島崎委員、よろしくお願いいたします。
 
○島崎委員
 島崎でございます。
 前回のこの微生物問題検討会で、実際に諸外国等でクリプトスポリジウムのアウトブレーク等があった後に紫外線消毒の施設を入れて、その効果について何か情報はあるかという御意見が出たかと思います。そのような事例の一つとして、英国Wales北西地域での集団感染、その後に紫外線処理が導入されたという事例を紹介いたします。
 2005年10月から翌年1月にかけて231名のクリプトスポリジウム集団感染が発生し、218名がCryptosporidium hominisであると同定されております。現地の疫学調査により、水道水との関連が強く示唆されました。この浄水場ですが、6万名に給水を行っておりますCwellyn浄水場です。その水源として、Llyn Cwellyn貯水池がございます。かなり広大な貯水池ですが、取水口の対岸には大型の下水処理場が、また別荘などの個人所有のセプティックタンクが13カ所以上存在しています。
 ここは、非常に清浄な原水水質ではあるのですが、集中豪雨などにより高濁度が原水で発生した場合には、原水から大腸菌や腸球菌などの糞便指標が検出されていました。また、原水水質が非常に良好であるため、化学凝集と沈殿、砂ろ過等は行われておらず、マンガン除去のための圧力砂ろ過、あとは塩素消毒のみであったということです。感染患者は、9月末ぐらいから徐々に発生して、現地の保健部局が、11月18日から免疫不全患者に対する煮沸勧告を行い、また同月29日より全住民へ煮沸勧告が拡大されたということです。
 環境水の調査によって、対岸の下水処理場やセプティックタンク、また貯水池そのものからCryptosporidium hominisが検出され、一部の試料は遺伝子型も同一であったということがわかっております。
 この浄水場ですが、集団感染の発生前から発生以降において、浄水処理に特段の障害は認識されていませんでした。Wales現地の浄水の水質基準である、濁度1NTU未満や、大腸菌の不検出も守られていました。しかしながら、継続的にごく低濃度のクリプトは検出されていました。Wales基準では、ろ過流量約40L/時間の条件でおよそ1日間、約1,000Lを連続ろ過して、そのろ過サンプルの中に10L当たり1オーシスト未満という浄水中のクリプトの規制値がありました。その最大濃度が0.0764オーシスト/10Lなので、この規制は守られていたということです。
 クリプトスポリジウム対策として、当時のWalesの規制では、物理的な砂ろ過や膜ろ過などによる除去のみが認められていたのですが、この浄水場に短期間で導入可能な手法であること、また、2002年には米国EPAで紫外線がクリプトスポリジウム対策として認められており科学的な根拠があることに基づいて、専門家の会議が水道会社に対して紫外線消毒の導入勧告をしております。
 速やかに翌年1月6日に設置が完了し、翌日7日から全量処理を開始した。同月中旬の専門家会議にて、浄水中のクリプトスポリジウム数が、後ほど紹介しますが、低下し続けている。罹患者は新たに発生していないことから、紫外線未処理の浄水が完全に配水管網から排除されるまでの期間を考慮して、1月30日に煮沸勧告が解除されたということです。この事例を契機にして、2007年のWalesの規制改正では、浄水中のクリプト規制値が撤廃されて、紫外線処理など病原体の感染能力を損なう、不活化する処理を新たに認めたという経緯がございます。
 (2)考察に入りますけれども、原水が非常に良好で、EUの飲料水用地表水取水指令75/440/ECのA1グレードというものに相当するため、濁度が非常に小さいということで化学凝集は適切ではない。また、適用したとしても、クリプトの除去性は向上しなかっただろうという考察が、現地の報告書に記されておりました。凝集処理でのフロック形成が困難との認識であったと思われます。
 また、この浄水場は、イギリス全土の水道水質に関する規制部局である水道水検査官事務所(DWI)が求めている、全ての水道会社を対象としたクリプトスポリジウムリスクの自主評価にて「重大なリスクなし」と判定され、DWIの承認も受けていたということです。
 また、この浄水場では、各ろ過池出口に濁度計を設置して連続モニタリングを行っていた。また、マンガン除去の砂ろ過池ですけれども、逆洗後にはスロースタートを実施しており、クリプトスポリジウムの対策に沿った管理が行われていたということですが、一方で、逆洗後の再開直後のろ過水濁度は大幅に増加していたとの記述もあります。いずれにしても、クリプトスポリジウムの対策としては、この浄水場の処理プロセスや運転管理は不十分であったものと判断されます。
 2ページ目の下半分に示しておりますFigure 2は、文献番号(1番)「Journal of Water and Health」からの引用ですけれども、横軸が2015年の年末までの日付で、縦軸が10L当たりのクリプトオーシスト数です。
 もう一つページをめくっていただきますと、これは2005年11月3日から2006年2月28日までの期間を通じての調査結果の表となっており、表の左側が浄水中のクリプトスポリジウムの数です。下から2行目にこの期間全体を通じての平均0.0137オーシストという数値がございます。この期間、118日間にわたって毎日、約1,000Lをろ過してクリプト検査を行っていたということです。年明け以降、紫外線が導入された際のクリプトの濃度が示されていないのですけれども、このFigure 2から各バーの値を読み取り、さらに全期間の平均濃度が0.0137オーシストであることを考慮し、資料の陽性率が全期間を通じて同じという仮定を入れてはいるのですが、年明け以降のクリプト濃度を推定いたしました。
 すみません、修正させていただきたいのですが、2ページ目の下から3行目、当該期間の平均濃度を0.090と書いてございますが、0を1つ増やしていただけますでしょうか。0.0090です。失礼いたしました。0.0090オーシスト/10Lであると。年末までの平均濃度が0.0184ということなので、年明け以降、半分ぐらいのオーシスト濃度まで下がっていると推定されました。
 とはいえ、実際にオーシストが存在していた状況で、1月7日より紫外線による全量処理が始まって、1月30日には煮沸勧告も解除されたとはいえ、水道水を直ちに飲む人がどれだけいるかという議論はあるかもしれませんが、それ以降、罹患者は一切確認されていないということですので、浄水中にごくわずかにクリプトが存在するような状況であっても、紫外線処理はクリプトスポリジウムを不活化し、かつ感染の防御に有効であっただろうと、この資料から読み取れるということです。
 私からは以上でございます。
 
○秋葉座長
 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、三浦主任研究官のほうから説明をお願いいたします。
 
○三浦氏
 三浦でございます。
 前回の微生物問題検討会において、ろ過水濁度0.1度以下を維持した場合とろ過に紫外線処理を追加した場合で、どの程度リスクに差が見られることが予想されるか比較する必要があるという御指摘がございました。その点につきまして文献を調査いたしましたので、御報告いたします。ろ過水濁度とクリプトスポリジウム除去効果の関係を調査した研究がほとんどない中、パイロットスケールの浄水処理プラントを用いた評価を報告した文献がございましたので、参考として情報を整理いたしました。文献は、Huckらによって2001年に発表されたAWWARFの報告書です。
 それでは、配付資料2を用いて説明をしてまいります。
 1.はじめに。
 Huckらは、ろ過池の設計と運転パラメータの設定が病原微生物の除去性に与える影響を評価することを目的として、バイロットスケールの浄水処理プラントにおいて運転条件を変化させてクリプトスポリジウム及び枯草菌芽胞の除去性を調査しました。その中で、2つのパイロットプラント、Metropolitan Water District of Southern California、MWDと資料中においては略しますが、こちらとOttawaパイロットプラントにおいて、最適な運転条件とそうでない運転条件におけるろ過水濁度とクリプトスポリジウム除去効果を報告しました。
 この報告に基づいて、本検討資料では、ろ過に紫外線処理を追加することによる除去・不活化効果を推定し、ろ過水濁度を0.1度以下に維持した場合のクリプトスポリジウム除去効果と比較しました。
 2.パイロットプラント及び実験条件の概要についてです。
 MWDパイロットプラントは、Colorado川の水を原水としております。粒子の除去を目的に最適化された凝集剤注入率が比較的低く設定されたプラントです。一方で、Ottawaパイロットプラントは、Ottawa川の水を処理しておりまして、粒子に加えてTOC、すなわち有機物の除去を目的として凝集剤注入率が比較的高く設定されたプラントになっております。MMD及びOttawaバイロットプラントは、前塩素処理を行う急速ろ過システムを採用し、計画処理能力はそれぞれ65及び87㎥/日でした。また、ろ過池は、アンスラサイトと砂の二層ろ過で構成されております。原水の水質としましてはMWDが、運転方法としてはOttawaのほうが日本の状況に近い値と思ってごらんいただければと思います。
 2つのパイロットプラントでは、不活化したCryptosporidium parvumオーシストを108個添加して、安定したろ過運転条件のほかに、最適でない凝集状態、安定状態へ移行するろ過層成熟過程、高負荷状態及び漏出の大きく分けて5つの条件におけるクリプトスポリジウム除去性を評価しました。本検討資料では、安定したろ過運転の観測データを最適な運転条件による結果と見なし、それ以外の4条件のデータを最適でない運転条件として整理することとしました。
 3.ろ過水濁度とクリプトスポリジウム除去効果の関係についてです。
 MWDパイロットプラントの最適な運転条件では、ろ過水濁度は0.05~0.06NTU、クリプトスポリジウムの対数減少値は2.1~4.1が観測されていました。表4が生のデータを文献よりコピーしてきたものになります。この除去効果は、Huckらが整理した既往の実規模浄水場における対数減少値、1.9~4以上という値と同程度の結果でした。また、日本国内の浄水場においては、原水とろ過水中のクリプトスポリジウム濃度測定データに基づき、2~3logの対数減少値が報告されております。
 一方で、最適でない運転条件では、ろ過水濁度は0.05~0.88NTUまで観測されており、クリプトスポリジウムの対数減少値としましては0.1から3.4という結果になっておりました。その中で、ろ過層成熟過程、高負荷状態、及び漏出の条件においては、ろ過水濁度が0.05~0.09NTUであり0.1NTU未満が観測されている場合がございまして、そのときのクリプトスポリジウムの対数減少値は1.3~3.4で、最適な運転条件と比較しておよそ1~2log下がってしまうという結果が報告されておりました。
 もう一方のOttawaパイロットプラントの結果ですが、最適な運転条件では、ろ過水濁度は0.02~0.04NTU、クリプトスポリジウムの対数減少値は4.9~5.8が観測されていました。こちらは、表6に生の観測データを示しております。
 このように、2つのパイロットプラントにおいてクリプトスポリジウムの対数減少値に2logほど差が見られておりますが、著者らは、この差についてメカニズムを説明することはできないと述べておりました。
 一方で、最適でない運転条件では、ろ過水濁度は0.05~0.98NTUが観測されており、クリプトスポリジウムの対数減少値としましては1.4~5.3が報告されていました。MWDパイロットプラントと同様に、最適でない運転条件であってもろ過水濁度が0.05~0.07NTU、クリプトスポリジウムの対数減少値が3.0~5.0と、除去が良好な場合も観測されていました。また、ろ過水濁度が0.16~0.17NTUの場合においても、5.0~5.3のクリプトスポリジウム対数減少値が達成されている場合も見られました。このデータまでがHuckらが実際にパイロットスケールの浄水プラントを用いて行った実験の結果になります。
 前回の検討会では、濁質が含まれた水においても、濁度が2度以下である場合には、紫外線処理による不活化速度への影響は見られないという研究成果が報告されておりましたので、Huckらが報告した除去効果に紫外線照射による不活化効果を加算することで除去・不活化効果を推定することといたしました。
 LeChevallier and Auは、低圧・中圧水銀ランプ及びパルスランプを用いた紫外線照射によるクリプトスポリジウム不活化効果を整理し、10mJ/cm2以下の低照射線量でクリプトスポリジウムを3log不活化できると報告しております。また、金子は、低圧紫外線による照射線量とクリプトスポリジウムの不活化効果の関係を整理しまして、10mJ/cm2の照射線量におけるクリプトスポリジウムの対数減少値を3.7以上と報告しました。また、Medemaらは、クリプトスポリジウムを3log不活化するのに必要な紫外線照射線量を9mJ/cm2と報告しました。
 本検討資料では、紫外線照射によるクリプトスポリジウム不活化効果を安全側に考慮することとしまして、10mJ/cm2の照射線量におけるクリプトスポリジウムの対数減少値を3以上として取り扱い、2つのパイロットプラントのろ過水濁度0.1度以上における除去効果の部分に加算することといたしました。その結果、MWDパイロットプラントでは、紫外線処理を追加することにより、3.1以上から4.7以上の除去・不活化効果が見込まれ、最適な運転条件により、ろ過水濁度0.1度を維持する場合、2.1~4.1という値でしたが、こちらと同程度かそれ以上の対数減少値になるという試算になりました。
 また、Ottawaパイロットプラントにおきましては、紫外線処理を追加することによる除去・不活化効果は4.4以上~6.3以上になりました。安全側に考慮することとして、ろ過水濁度が0.16~0.17NTUの場合でも5.0~5.3の対数減少値が達成される場合がございましたが、こちらは除いて計算いたしました。この結果より、最適な運転条件によってろ過水濁度0.1度を維持する場合と同程度か、または対数減少値がやや小さくなる場合も生じることが考えられました。
 配付資料に記載した文章で説明してまいりましたが、資料の10ページに図1及び図2としまして、MWD及びOttawaパイロットプラントの実測値をプロットで示しております。
 図1を用いて説明しますが、横軸方向にろ過水濁度、こちらはNTUが単位です。縦軸方向にクリプトスポリジウムの対数減少値になっております。青の四角が最適な運転条件として運転された場合の観測値、赤のプロットが最適でない運転条件の結果です。そして、本文中でも説明しましたが、最適でない運転条件においても、濁度0.1度以下の値が観測されており、その場合には1.4から3.4の対数減少値が報告されておりました。その部分を含めて、青色で網かけをしております。
 赤で網かけした部分が、濁度0.1度を維持しなかった場合の観測されたクリプトスポリジウム対数減少値となっております。この部分に紫外線照射線量10mJ/cm2による不活化効果を3log以上加算しますと、上の紫で示した部分にクリプトスポリジウムの除去・不活化効果のレンジが入るという試算になります。その値が3.1以上から4.7以上になります。
 以上でございます。
 
○秋葉座長
 どうもありがとうございました。
 年度末に開催されました前回の検討会で皆様から出されました意見に対して、補足説明ということでお二方に説明いただきました。
 それでは、この2つの報告に関しまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。
 資料1は、実際の浄水場での事例で、クリプトスポリジウム集団感染が発生し、その対策として、紫外線を導入しましたら、それ以降、感染が制御されている。新たなクリプトスポリジウムの対策に紫外線照射が有効であったということであります。
 資料2につきましては、濁度0.1度相当のリスク評価を行うべきとのことでした。それについては、パイロットスケールの実験で、その除去性を検討したものです。よろしいでしょうか。
 
○橋本委員
 島崎先生、先ほど先生も危惧されていたとおりだと思うのですけれども、煮沸勧告が解除された後に患者さんが出ていないからということは、議論としては少々難しいところですね。そこは強調して考えないと。もちろん、紫外線効果はあると思います。とは言うものの、正当に考えた場合に、当然、事故の後に飲水量は減るでしょうし、気分的な問題ありますし、煮沸勧告が解除されたからといって煮沸をやめるかどうかという話にもなりますし、そういう意味でこれはマックスだというのは、ちょっと追記したほうがいいと思います。
 
○島崎委員
 橋本委員の御指摘のとおりだろうと思います。ですので、これをもって患者が出ていないということに対して、100%、それが紫外線の効果であるということではなくて、おっしゃるとおり、生水を摂取すること自体がこの地域で変化した可能性についても考えるべきだと思います。
 とはいえ、大規模な感染が発生した直後の疫学調査はもちろんあるわけですけれども、その後のフォローアップ的な疫学調査というものはなかなか見受けられない。そういう調査に予算や人員を割きがたい面もあると思いますので、現状入手できる限りの資料で言えるところであることを御理解いただければと考えております。
 
○秋葉座長
 では、泉山先生。
 
○泉山委員
 島崎先生、興味深い文献の御紹介ありがとうございます。
 イギリスの集団感染は、クリプトの濃度が非常に低いにもかかわらず起きてしまった、0.0764オーシスト/10Lでも集団感染になってしまったという、貴重な報告だったと思います。結局、このオーシストの濃度がずっと続いていたのか、今も続いているのか、よくわからないところであって、とにかく安全のために紫外線を入れていこうという方向には賛成です。この濃度が低い条件であればいいかどうかというのは、正直よくわからないところがあるのですけれども、とにかくリーズナブルな費用でもって対策をしていくという考え方自体はよくわかるつもりで、紫外線を入れて安全性を向上させたというのはすばらしいことだと思っています。
 いずれにしましても、(紫外線照射された後の)クリプトをたくさん飲んでいる実例、私も探してみたのですけれども、見つからず。気分の問題もあるし、余りいいことではないので、なるべくクリプトを取り除いた上で、どうしても取り切れないものを紫外線で対策しているというのが実際かなという気がしています。とにかく対策をしていって、安全性を向上させることについては賛成です。
 
○秋葉座長
 どうもありがとうございます。
 ほかにご意見等ございますでしょうか。よろしいですか。
 続きまして、議題2に入りたいと思います。「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針の改定案」について、資料3を事務局から御説明をお願いいたします。
 
○東水道水質管理官
 それでは、資料3に基づきまして御説明したいと思います。
 前回の検討会の御議論を踏まえまして、また先ほどの資料1、2で御説明がございました知見を加えて、今回、事務局のほうで改定案を取りまとめさせていただいたところです。前回も御説明いたしましたが、今回は地表水に紫外線処理を導入する点に特化した改定をしたいと考えております。他の課題点、例えば指標菌、今は大腸菌及び嫌気性芽胞菌の両方になっておりますけれども、これ自体が適切か等々の課題につきましても、現在、知見を収集しているところでございまして、今後、必要に応じて見直しを検討していきたいと考えております。
 それでは、資料3の中身を御説明させていただきたいと思います。
 原案である平成19年の指針を改定したところを赤い見え消しで示しているところでございます。
 1ページ目の「1.背景及び目的」でございますけれども、中ほどの下あたり、平成19年3月にレベル4からレベル1までの汚染のおそれの程度に応じた予防対策を実施すべきこと、それから、レベル3の施設への対策として紫外線処理施設を位置づけること等を規定した対策指針を策定して、平成19年4月から適用しているところでございます。
 今般、我が国の厚生労働科学研究の成果や諸外国の報告書等から、地表水への対策として、ろ過設備を導入した上で紫外線処理設備を導入することによって、従来のろ過処理と同等以上の対策をとることが可能であるとの科学的知見が得られたことを踏まえ、レベル4の施設の予防対策に紫外線処理設備を新たに位置付けるために、本指針を一部改定したものであるということでございます。
 ここでクリプトスポリジウム等の「等」は、クリプトスポリジウム及びジアルジアを指しており、変えておりません。
 続きまして、2ページ目のレベルの判定基準は変えておりません。
 2ページ目の中ほど、感染経路、指標菌等。先ほど申し上げましたとおり、指標菌についても、今後、何らかの知見が集まり次第、見直しも検討しますけれども、今回はそのままにしております。
 2ページ目の下のリスクレベルの判断ということで、レベル4から、3ページ目、レベル1までの判断のレベル、これも前回と変更ございません。
 それから、「3.予防対策」で、3ページ目の下の四角の中です。(1)施設整備、(ア)レベル4というところ。ここは大きく変えたところでございます。以下のいずれかの施設を整備することということで、(a)と(b)を示しております。
 まず、(a)は従来の濁度0.1度の話ですけれども、ろ過設備(急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過等)であって、ろ過池またはろ過膜の出口の濁度を0.1度以下に維持することが可能なもの。若干、書きぶりを変更しましたけれども、本質的には(a)は変えておりません。
 それから、今回、新たに追加したのは(b)でございます。ろ過設備(急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過等)及びろ過後の水を処理するための紫外線処理設備であって、以下の要件を満たすものとしております。
 ①クリプトスポリジウム等を99.9%以上不活化できる紫外線処理設備であること。ここは今回大きく変えたポイントの1つ目でございます。従来まで、地下水に対してですが、紫外線照射槽を通過する水量の95%以上に対して、紫外線を常時10mJ/cm2以上確保することという定量的な値を記載しておったのですけれども、前回、神子先生からも、95%以上という書き方は、逆に言うと5%は当てなくていいのではないかという御指摘もございました。
 事務局のほうで、10年前、どういう経緯で95%以上にしたかを調べたところ、根拠といたしましては、紫外線処理設備を通過する水に基本的に全量当てるのですけれども、水流にムラがあったり、水塊が生じたりして、万遍なく10mJ/cm2当てるのは難しいということで、どれぐらいの割合で当てればいいのだろうと考えたときに、95%以上当てれば99.9%不活化できるのではないかということで、明確な根拠はなくて、95%以上当てれば概ね大丈夫だろうということで10年前は決めたところでございました。本来の目的は99.9%以上不活化するということでございますので、その性能に見合った形の紫外線処理設備を導入すべきだと、そういう記述にしたほうがクリアになるのではないかということで、ここでは性能基準を①で定めたということになります。
 では、従来の95%以上という機器も使えるようにしなければいけないということなので、この性能基準を満たす具体例ということで、ちょっと飛びまして、5ページ目の中ほどに○として書いておりまして、最初のポツに、処理対象とする水の全量に対して、概ね10mJ/cm2以上の紫外線を照射できる構造のものと変えました。これは、概ねということで、原則10 mJ/cm2当てなければいけないのですけれども、水流のムラというのも生じるので、若干曖昧な形ですけれども、これで従来95%以上ということで対応していた機器でも対応できる形にしています。
 もう一点、紫外線(253.7nm換算)という書き方にしました。従来の指針では、253.7nm付近という書き方をしていたわけです。これは、当時10年前は低圧水銀ランプが主流でございまして、そのときには中圧水銀ランプというのも若干あったのですけれども、昨今はLEDランプも開発されつつありますので、今回、低圧だけじゃなくて、ほかのランプも使えるような形で換算という表現にしています。
 余談ながら、低圧の水銀ランプは波長がこの253.7nm、単波長しかないのですけれども、中圧とかLEDは250から280nmぐらいの複数波長があるということで、その換算の意味はその下に※1と書いていますが、253.7nm換算照射量は、光源から発光される200から300nmの紫外線について、そのクリプトスポリジウム等不活化効果を、253.7nm付近の紫外線を基準として他の波長の照射量を換算して算出する、と今回記載したところでございます。
 戻りまして、4ページの上の四角の中でございますけれども、②として、従来の地下水の考え方と同じで、紫外線処理設備の処理対象とする水が以下の水質を満たすものであることということで、濁度2度以下、色度5度以下、紫外線(253.7nm付近)の透過率が75%を超えるもの。基本的にこれらを満たした水に、先ほどの①の条件の装置の紫外線を当てれば不活化できると考えております。
 ③は、これも変えていませんけれども、十分に紫外線が照射されていることを常時確認可能な紫外線強度計を備えていること。
 ④は、ろ過池等の出口の濁度の常時測定が可能な濁度計を備えていること。④については、その下のレベル3の④と若干違っていますが、レベル3は地下水ということで水質の変動が少ないということでしたが、今回、地表水ということで、必ず濁度計を備えることとさせていただいています。
 続きまして、(イ)レベル3でございます。これは書きぶりだけ直したところです。
 (b)①は、先ほど申しました性能基準に記載を変えております。クリプトスポリジウム等を99.9%以上不活化できる紫外線処理設備であること。
 それから、4ページ目の下の枠外、紫外線照射量のところでございます。これは、従来の指針にも書いていますけれども、文献の記載がありませんでしたので、WHOのガイドライン(第3版)によればと修飾語をつけています。
 それから、5ページ目、今回、新たな知見ということで、2つ記載を加えております。
 1つが、紫外線消毒ガイダンスマニュアル、米国のEPAが出したものによれば、低圧紫外線ランプから発せられる紫外線12 mJ/cm2を水に照射することにより、クリプトスポリジウムを99.9%不活化することができる。11mJ/cmでジアルジアを99.9%不活化することができる。
 もう一点が、WHO飲料水におけるクリプトスポリジウムのリスク評価の文献を載せていまして、こちらは紫外線9mJ/cm2を水に照射することにより、クリプトスポリジウムを99.9%不活化することができるという記述を加えました。
 それから、5ページ目、先ほど説明したところは省略しますが、その下に4つポツがあります。これは、位置づけを書いただけで、いわゆる性能基準を満たす例ということで、2つ目のポツが、紫外線照射槽は水流の偏りのない、所定の滞留時間が得られる構造のもの。
 3つ目のポツが、適正なランプ照射強度を持つ紫外線ランプを選定し、必要な紫外線強度分布を得られるようランプが配置されているもの。
 次のポツが、ランプスリープ等を適切に洗浄できるもの。
 それから、地震時の揺れ対策やランプ本体やランプスリープ等の破損防止措置がとられているもの。また、紫外線ランプの点灯状況を常時確認できるものとしています。
 ランプスリープのところに「等」をつけました。このランプスリープとは、紫外線のランプそのものを保護するカバーみたいなものですけれども、低圧とか中圧水銀ランプに使われていたのですけれども、LEDでも使えるような形でランプをカバーするものということで、何でも読めるような形にということで「等」をつけました。
 それから、6ページの中ほどの原水等の検査。検査の頻度を書いていますけれども、ここも今回は見直しはしないところです。
 6ページの下の(3)運転管理です。(ア)ろ過。
 まず①でございますけれども、ろ過設備であって、ろ過池等の出口の濁度を0.1度以下に維持することが可能なものを整備することにより対応する場合は、ろ過池等の出口の濁度を常に0.1度以下に維持すること。
 ②ろ過設備及びろ過後の水を処理するための紫外線処理設備を整備することにより対応する場合は、ろ過池等の出口の濁度を可能な限り低減させること。これが今回の2つ目のポイントです。この文言を今回つけました。
 ※2ということで、枠外にWHOの水質ガイドラインの記述を参考につけています。この「可能な限り」の意味ですけれども、日本語のほうを読みます。この消毒というのは、単に塩素消毒だけじゃなくて、紫外線を当てるということも消毒という意味で使っておりますけれども、「消毒の効果を確保するためには、濁度は1NTUを超えるべきではなく、もっと低い方が望ましい。良好に運営されている市町村の大規模な供給では、消毒前で常時0.5NTU未満を達成できるはずであり、平均は0.2NTU以下にできるはずである」とされております。ということで、「可能限り」というのは、基本的に原則1NTUを超えないようにしてくださいというメッセージをここで示したところでございます。
 あと、ついでにもう一つのポツ、1NTUは欧米で使われている単位でございまして、我が国は「度」ですけれども、実際は測定法とか濃度条件によって異なってくるということで、厳密に1NTUが幾らだという換算はできないのですけれども、大体0.6~0.8度に換算できるという補足情報もつけさせていただいています。
 戻りまして、四角の中の③ろ過池等の出口の濁度を常時把握すること。
 ④は変えていませんけれども、急速ろ過の場合は、原水が低濁度であっても、必ず凝集剤を用いなさい。
 ⑤は記録をしっかり残しなさいとしています。
 7ページの下の共通の留意事項は、0.1度以下に保つ場合と、ろ過プラスUV、両方読めるような書きぶりにしているということの修正でございまして、基本的に変えておりません。
 急速ろ過における留意事項についても、ジャーテストをしっかりやりなさいということ。ここも書きぶりは変えておりません。
 8ページ目、中ほど、d)急速ろ過操作とあります。ここも濁度0.1度の管理でも、ろ過プラスUVの管理でも、両方読める形にしたのですけれども、4つ目のポツにろ過池の洗浄の記述がございます。当初案は、濁度0.1度管理の話を書いていまして、洗浄排水の最終濁度が2度以下、可能であれば1度以下を目標にすると書いていましたが、ここは今回、ろ過プラスUV、そのろ過が1NTU以下を目指すことに伴って、変える必要がもしかしたらあるのではないかと検討しましたけれども、実際、水道事業者もこの辺のことはクリアできているようなので、この辺の記述は変更しないでいいと考えています。
 それから、8ページの下の緩速ろ過法における留意事項も同じような記載がございまして、下から5行目にろ過速度の話。1日5mを超えないようにとか、その下に、かき取ったろ過砂を再利用する場合には、洗浄水の濁度が2度以下になるように。ここの書きぶりも変えなくていいかどうか検討したのですけれども、実際、水道事業者もこの程度ならやれるのではないかということで、記載は変えておりません。十分低くなるまでとしています。
 (イ)紫外線処理ということで、ここも連動した改正でございます。四角の中でございますが、①紫外線強度計により常時紫外線強度を監視し、十分に紫外線が照射されていることを確認すること。※3として、枠外です。例えば、処理対象とする水の全量に対して紫外線(253.7nm換算)の照射量が概ね10mJ/cm2以上得られていることを確認するとしています。
 それから、四角の中に戻っていただきまして、②でございます。これも両方読めるようにということで、「取水」というものを「通水」に変えています。紫外線処理の対象となる水か以下の水質を満たさなくなった場合は、通水を停止することとしています。その条件としては、濁度2度以下、色度5度以下、紫外線の透過率が75%を超えることとしています。
 それから、③ですけれども、記録が大事だという前回の御指摘も踏まえて、記録することと加えております。
 留意事項も連動した修正でございますので、省略します。
 10ページ目、記録のところでございますけれども、紫外線に特化して、どういう記録が大事かということでございますけれども、ランプの点灯状況、紫外線強度・照射量、ランプ交換日及び点灯積算時間等が大事だということで、これらの記述を加えました。
 10ページの(ウ)施設整備中の管理、この辺は修正するところがなく、11ページも同様です。
 12ページ目、水道利用者への広報のところ。ここも両方満たすような書きぶりにしようということで、レベル3またはレベル4の浄水施設において、浄水処理の異常等によって、運転管理の要件を確保できなくなった場合においても、当該水道水が感染源となるおそれがあることに留意して、必要な広報を行うこととしています。
 あと、最近はインターネットも主流になっていますので、「インターネット等」と入れています。
 あとは、13ページも連動した修正でございます。
 それから、水道事業者さんは15ページの絵をまず見るのではないかと思います。今回、レベル4のほうには、「ろ過(濁度0.1度以下のみ)又はろ過した後に紫外線処理」と直しております。レベル3につきましても、「ろ過(濁度0.1度以下のみ)又は紫外線処理」と修正しています。
 16ページ以降は、クリプトスポリジウムとジアルジアのそれぞれの感染に関する情報についてですが、この辺は新たな知見がなかったので、修正はしておりません。
 以上が資料3の説明でございました。
 続きまして、これはテーブル席のみお配りしておりますけれども、本日御欠席の船坂委員からコメントがございましたので、簡単に御説明と、事務局としての考え方について御説明したいと思います。本日、新幹線が運転見合わせのため出席できませんということで、委員会で公開していただきまして、議事録にも記載してほしいということでございます。
 質問が3つございまして、1つ目、読み上げますと、きょう島崎先生から御説明いただいた資料1は、紫外線装置が導入された経緯が示されていますが、紫外線装置を導入した浄水場の濁度は1NTU以下との記載で、今回の濁度2度でも良いとする根拠になっていません。
 資料2は、低濁度の水に紫外線を照射すれば除去効果が増すという仮想実験を図示(図1、2)したものと理解します。
 LeChevallierも金子も濁度のある水での照射実験をしていないと思います。この資料では図1、2を示すことで、安全性を印象付けようとしていると思います。また、実験もせずに濁度とクリプト濃度の関係に理想値を重ねたグラフを示されても科学的な意味は感じられません。
 ただし、濁度を取り除いた水に紫外線を照射すれば安全が増すことは理解できますので紫外線装置の導入は安全側に傾きますので歓迎です。
 問題は、①どの程度の濁度まで紫外線が有効か、安全が担保されるのか、が示されなければなりません。
 ②また、同じ濁度と言っても自然界にはカオリンのように紫外線を反射するような濁質ばかりではなく、逆に吸収するような濁質(例えば有機物)も存在するはずですので、前回の委員会でも言いましたように、実機レベルでの検証が必要ということになるのではないでしょうかというのが大きな質問1です。
 これは、事務局としては、今回、三浦先生から御説明いただいた資料の比較、文献調査の比較は、1NTU以下の場合の実機レベルのクリプトの不活化の試験ということで、1NTU以下については濁度0.1度を、何らかのろ過プラスUVに変更することによってリスクが増えることにはなっていないということで、安全性は保たれているのではないかと考えております。
 加えて、先ほど資料3で御説明しましたとおり、可能な限り濁度を低くしなさい。具体的に1NTU以下でコントロールしなさいというメッセージ性も伝えておりますので、その意味では、安全性は今回の変更によっても変わらないと事務局としては考えています。
 続いて、質問2です。資料3の対策指針(改定案)についての御質問ということで、3ページ、施設整備の(b)についてです。①と③はUV装置に関することで、②と④は前処理のろ過装置関連の事象であることから、これらをそれぞれに分けて記載すべきではないでしょうかという質問と。
 また、「色度2度以下」と書いてあります。これは、濁度の誤りだと思います。「濁度2度以下」については、6ページの運転管理で「0.1度以下で運転管理すること」と記載されているので、「濁度2度以下」ではなく、「0.1度以下で運転管理すること」と記載して、誰にでも分かりやすくすべきではないでしょうか。
 それから、6ページ目、コメ印の引用文、これは7ページの※2を指していると思います。日本語訳の続きには「クリプトなどには0.3NTU以下での消毒が特に顕著な効果が期待できる」旨の特記が書かれていますので、その部分まで引用すべきでないでしょうか。
 それから、7ページ、8ページ目で、ろ過に係る留意事項は(ア)の①および②に共通したものと理解されますので、①では出口濁度を0.1度以下に維持する必要があることから、その旨の記述が必須ではないでしょうか。という御意見をいただいています。
 これも事務局としては、書き方の問題なのかなということで、基本的には原案どおりでいいのかなと思っています。
 ただ、1つ、WHOのガイドラインの引用部分、※2で「クリプトなどには0.3NTU以下での消毒が」期待できると書いています。確かにそのような記述はあるのですけれども、ここで当方が言いたかったのは、改定案の7ページの一番上、消毒の効果を確保するためには、濁度1NTUを超えるべきじゃないということで、UVを効果的に使うためには、1NTUを下回る濃度で紫外線を当てなさいという意味で案を書いておりますので、ここも修正の必要はないのではないかと考えております。
 それから、大きな質問の3、最後ですけれども、安全性の考え方についてとございます。読み上げますと、水道の水質管理には、濁度管理が重要なポイントであることは申すまでもありません。従来の基準は0.1度で管理することとされていたのに、2度以下と給水栓での水質基準値とされたことについて、安全性対策はどのように考えておられるのでしょうか。今回は、クリプトスポリジウムに限定されているようですが、浄水場の現場ではエキノコックス等他の感染症対策も必要になります。基準が緩くなった今回の改正についてこの点についてはどのように考えておられますか。因みに、食品では動物実験値(ADI)の100分の1を規制値にしています。という御質問でございます。
 今回は、繰り返しになりますけれども、資料2でもありましたとおり、何らかのろ過、しかもできる限り濁度を下げた上で紫外線を当てるということで、水質基準の2度とは完全に切り離しているということでございますし、ほかの感染症対策、対塩素、対UVの病原生物もないことはないということでございますけれども、基本的にクリプトはオーシストが大体5μmで今回の対策で除去もできますし、可能性としては考えられるかもしれませんけれども、他の病原生物が浄水中に検出されたり、あるいは感染症が発生したという事例もないので、基本的に今回は私どもの案で進めさせていただいた上で、継続的に情報収集には努めていきたいと考えております。
 長くなりましたけれども、以上でございます。
 
○秋葉座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、資料3の指針の改定案と、先ほど説明があった船坂委員から御提出された質問事項につきまして事務局から報告がありました。これにつきましても御意見、御質問、コメントがあればお願いいたします。
 
○五十嵐委員
 船坂委員の質問の2に関係することですけれども、レベル4の(b)の書きぶりで、②が紫外線処理設備の処理対象とする水が以下の性質を満たすものであることと書いてあるのですけれども、船坂委員のように、ここの書きぶりとしては設備のことを記述するべきであって、対象とする性質を書くことではないのかなと思います。要は書きぶりだと思うのですけれども、多分この②の意図としては、紫外線処理の前のろ過設備がこの水質を満たすようなろ過設備であるということを言いたいために、これを書いたのではないかなと僕は思ったのですが、違うのですか。
 つまり、②の主語として、ろ過設備は以下の水質を満たすものというような書きぶりにすると、もうちょっとわかりやすくなるのではないかなと思いました。(a)は、ろ過設備で濁度が0.1以下に維持することが可能なもの。(b)のろ過設備というのは、0.1まではしなくてもいいのですけれども、もうちょっと濁度が緩いところまででいいという意味での書きぶりで、この②というところを書かれたのかなと思ったのですが、これは違うのですか。設備のことを言うには、1、2、3、4と並べる感じではないのかなと。水質は水質で別に扱うべき、あるいはもっと前のところで書くべきなのかなと思ったのです。
 
○東水道水質管理官
 ここで、①は紫外線設備の要件だと。②は、その設備を用いて、処理する水の要件だと。全く別のことを書いているわけです。ちなみに③は紫外線強度計、④は濁度計を備えるということで、これもまた別の話です。その意味では、順番的に、①、②をどうこうするような話でもないような気もするのですけれども、皆さん、いかがでしょうか。
 
○秋葉座長
 どうぞ。
 
○泉山委員
 このページ3の施設整備の(a)、(b)、①、②、③と見ていると、ろ過のことについては、濁度0.1の1行でシンプルに終わるのですけれども、紫外線のところは細かくたくさん書いてあって、もっとシンプルな書きぶりでよかったのではないかという気がしました。
 例えば(b)は、「ろ過設備(急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過等)及びろ過後の水を処理するための紫外線処理設備であって、クリプトスポリジウム等を99.9%以上不活化できるもの。」と書けば、それで話としては終わりで、②、③、④は四角の外に追い出して備考にしてしまえば、とてもすっきりすると見ていました。五十嵐先生のご指摘と、ちょっと違った話になってしまったのですけれども、わかりやすくしたいという(意図は一緒です)。
 あと、濁度2度という表現がここに出てきて、気にする人は非常に気にしているので、ここに濁度2度という表現がなければ気にならなくなるのではないかという配慮です。
 
 
○秋葉座長
 いかがでしょうか。そのことにつきましては、9ページにも紫外線処理の(イ)で再度出てくる。泉山委員が言われるように、同じ記載があって、わかりにくいということですね。
 
○泉山委員
 重複している。
 
○秋葉座長
 重複しているということですね。
 どうぞ。
 
○東水道水質管理官
 御意見ありがとうございます。
 今の泉山委員がおっしゃるのは、①だけ四角の中に残して、②、③、④については、むしろ5ページ目の具体例に当たるのか、留意事項なのか、その辺で整理したほうがよろしいのではないかという御意見ですね。わかりました。この辺は書きぶりなので、また事務局のほうで検討させていただきたいと思います。
 
○秋葉座長
 どうぞ。
 
○春日委員
 今回の改訂において、紫外線照射によるクリプトスポリジウムの不活化を99.9%、すなわち3logの除去と明記した点は、水道水質のリスク管理において大きな前進と評価したいと思います。ただ今の泉山委員のご指摘に関連することですが、②で挙げている濁度や色度の水質要件を、99.9%不活化とイコールであると、誤認しないように留意する必要はあるかもしれません。水質要件はあくまでも適用条件であり、それ自体を達成することが99.9%不活化を保証するものではないということですね。
 泉山先生のおっしゃるとおり、この要件は附帯事項として、リスク管理目標とは切り分けて表示するのが適切であると思います。
 
 
○秋葉座長
 はい。
 
○東水道水質管理官
 泉山先生と全く同じ御意見かなと理解しました。そこは、文章上、整理したいなと思います。
 
○秋葉座長
 どうぞ。
 
○島崎委員
 これは、恐らくこれまでのレベル3の書きぶりと少しそろえるということもあって、今、事務局からいただいたレベル4のところでは、紫外線処理に入る前の段階として、このような書きぶりになっていると思います。
 泉山先生がおっしゃるように、(b)①だけでもいいとする判断はあるかと思います。ただ、大前提としては、地表水に対しては前処理で必ず濁度をコントロールして、それを紫外線に当てる。そこは誤解されてはいけないところだと思いますので、前処理として必ずろ過を施して、紫外線に入る水質の要件は、地下水と揃えるという趣旨で、このような細やかな条件を書いているのかなと私自身は理解しております。
 
○秋葉座長
 結局、この文言が重複して記載されているということも、わかりづらいということですね。しかしながら、実際に、どこを修正すればいいのかということになってきますと、前段でレベルの施設整備全体としては、初めにここで要件を(イ)レベル3に合わせて、書き込んでおくことが重要であるというのが島崎委員からの発言でありましたが、いかがですか。
 どうぞ。
 
○泉山委員
 紫外線の施設について、しっかり書いてあるのは好ましいということになるのですけれども、一方で、ろ過施設に関してはこと細かには書いてなくて、非常にアンバランスだなという印象を受けています。ろ過については、ちゃんとろ過をしなさいと非常にわかりやすく書いてある。一方で、紫外線の設備については、かなり細かな条件が書いてあるという状況になっていると思います。①の99.9%以上の不活化という言葉があれば、それで足りるような気がしたのですけれども、いかがでしょうか。
 
○五十嵐委員
 そのろ過設備のことですけれども、(a)のろ過装置で出口の濁度を0.1以下にすることが可能なろ過設備。(b)のろ過設備というのは、そこまでは達成しなくてもいいろ過設備ということだと思うのですけれども、その要件が(b)に書いていないので、そこがわかりにくいというか、書かなくてもいいのかどうかというところです。
 
○秋葉座長
 どうぞ。
 
○東水道水質管理官
 (b)のろ過の要件は、ここに書いていなくて、6ページの運転管理に書いているという整理にしているということです。
 
○秋葉座長
 どうぞ。
 
○橋本委員
 私も、UVに関しては99.9%という話で完結しているのかなと思うのですね。今、五十嵐先生がおっしゃったところと同じことなのですけれども、結局、7ページ、3logという定量的な評価がせっかくあるところで、可能な限りの低減ということを謳っておられる。これはメッセージで、下にWHOのガイドラインが出ているということは理解するのですけれども、これは僕は実感としてわからないのですけれども、水道事業体さんがこういうメッセージを受けたときに、体感としてどういうふうに感じるのかなというのをちょっとお聞きしたいのです。
 というのは、三浦先生のデータの10ページのパイロットプラントのケースで、ろ過が最適でない条件であっても、UVを3log不活化すれば3.1から4.7log、もしくは4.4から6.3log大丈夫だという話なのですが、一方で最適だよという条件で考えるならば、最適条件で求められた値に3log足して考えると、5logとか7logとか、場合によっては8log可能。8log可能なものが最適でない運転条件だと4logになってしまう可能性があるよということだと思うのです。
 すると、水道事業体さんがこれをどう捉えるかということで、例えば0.1度をたまに超えてしまうようなところでUVを入れることというのは、それはとても効果的だと思いますが、逆にこれが出てきたから2度でもいいのだな。今までの運転管理よりも低いレベルでもいいのだなと捉えた場合に、かなり危険なことになりませんか。特に、原水のクリプト濃度がポンと上がったりしたときに対応し切れないのではないか。だから、このメッセージというのがどのぐらい強いものなのか。場合によっては、もう少し強い言い方をしてもいいのではないかなと思います。
 
○秋葉座長
 船坂委員の質問3にも該当しますけれども、事業体でご参画いただいている勝山委員、何かコメントございますか。
 
○勝山委員
 今、お話がありましたように、紫外線を導入して濁度の管理を0.1度より甘くできると感じてしまえば、水道事業体では濁度を0.1度以下を保つということにかなり精力を傾けているところが多いと思いますので、濁度が0.1度以上でもいいですよみたいなお話がでてくれば、紫外線を入れるという条件はありますけれども、濁度管理が今より甘くなっていく方向に行くと思うのです。なので、運転管理が今より甘くなった状況に紫外線を入れて、本当に0.1度以下の状況を担保できるのかというところが水道事業体としては一番気になるところだと思います。
 運転管理は、楽になればなるほど、こちらとしてもいいですから。今、ギリギリのところで、どのような原水水質でも0.1度以下にするように努力し、それを維持するように皆で一生懸命やっているところです。今、議論になっているところの書きぶりというのはすごく重要になってくると考えています。ですから、初めのほうで濁度が2度までいいですよみたいな書き方になってしまうのは、いかがなものかと。
 
○秋葉座長
 濁度管理を緩和するというようにとられてしまう。
 
○勝山委員
 そういうふうにとられてしまいますので、特になかなか運転管理がうまくいっていないような事業体さんでは、そういうふうな方向に行きがちになるのかなということを危惧しているところです。
 
○秋葉座長
 どうぞ。
 
○春日委員
 今回の改訂は、濁度2度以下という従来のレベル3における紫外線の適用が、クリプトスポリジウムの99.9%の不活化に相当するということを明文化したとも言えます。レベル4において、ろ過と紫外線を組み合わせて99.9%の不活化を達成する上では、濁度2度以下でも問題ないことになります。
 先ほどの三浦先生に御紹介いただいた文献は、濁度管理のみによるクリプトスポリジウム除去の不確実性を議論するための重要なデータだと思いますが、残念ながら濁度と除去率の関係は1NTUまでしか示されていません。濁度0.1度から2度の間においての、濁度とクリプトスポリジウムの除去の関係はどうなっているのかという疑問は、いろいろなところから出てくるかもしれません。ただし、こうしたデータの蓄積が難しいのも事実です。従って、地表水処理における濁度管理の変動性、不確実性を考慮して、紫外線処理を多重バリアとして位置付ける安全側の考え方を強調すべきですね。
 
○秋葉座長
 島崎委員。
 
○島崎委員
 こちらの図1、図2は、非常に示唆的なデータかと思いますけれども、濁度1NTUを超えるような場合は、よほど適切ではない条件でも、そうそうは発生しないだろうと思っております。
 水道事業体から見て、今がクリプトスポリジウム除去にとって最適な処理条件であるか、あるいは少し最適でない、適切でない条件になっているかどうかというのは、ろ過水濁度からは判断しづらいというのが、この図に端的に現れているように思います。カオリン濁度相当で0.1度付近を十分下回る運転でも、MWDもOttawaもそうですが、クリプトの除去率には相当の幅がある。濃い水色で塗ってある部分が最適な条件の幅で、薄い水色のほうが最適でない条件も含めた幅ということですけれども、ろ過水濁度0.1未満の運転をしていたとしても、2logとか3log止まりのクリプト除去率にはなり得ると。すなわち、ろ過水濁度のみでは、今、クリプトの除去が最適なのかどうか判断するのはなかなか難しい面があります。
 さらに申しますと、凝集沈殿-砂ろ過に関しては、濁度除去では最適であってもクリプト除去生には3log程度のばらつきというか、幅があり得る処理なのだというのを私自身は認識しております。それを踏まえた上で、濁度をできる限り下げるという目安は、1とか0.5とかでも怪しいというメッセージになるかもしれません。実際、対策指針の改定案では常時0.5NTU未満、平均0.2NTU以下を目指すべきであるというWHOの推奨値が引用されております。
 ですので、その程度、あるいはそれ以上の水準の濁度管理を、本邦の水道事業体の方々にも目指していただきたいということを私自身としては考えておりますし、それは外部での講演や、私どもが開催する研修の機会でも繰り返して申し上げていきたい次第です。
 
○秋葉座長
 はい。
 
○橋本委員
 理解はするのですが、例えばこの書きぶりで、0.1度を目指しなさい。だけれども、たまに超えてしまうことはしようがないですよと判断するのか、2度でいいから、0.1度、頑張らなくていいのではないか、どっちをとるかという話です。そうすると、いろいろなところでアナウンスするよりも、しっかりと指針の中に、どう書くかはまた別として、0.1を目指した運転管理の中で超えてしまう。それに対してはUVで対応しましょうというスタンスのほうが、僕はいいのではないかと思います。
 
○秋葉座長
 0.1度以下を表記して、その保持が難しいところは、UVということですか、そうしますと元の対策指針の方針と変えないということになります。事務局のほうで、2度とした理由があったかと思いますが、その辺、いかがですか。結局、書きぶりをどのようにするかになってくると思います。
 
○東水道水質管理官
 今、おっしゃっているのは、水流の処理する水の要件で、濁度2度、色度5度については、基準値を意識した書きぶりです。透過率75%は、いわゆる吸収されるもの、有機物などを含めて75%は透過できるものだということで、当時のデータをもとに判断したものだと認識します。
 
○秋葉座長
 その他、具体的な数値を明示しないと、水道事業体で管理がしにくいということもあったかと思います。けれども、数値を明記してしまうと、0.1度ではなくて、もう少し濁度を上げてもいいということに受け取っていまうという場合もあるということです。今回の地表水の紫外線の適用というのは、そもそも10年前に対策指針が策定されて、その時は地下水のみ紫外線が適用できるということでありました。レベル4につきましては、ろ過水濁度0.1度以下に維持することが可能なろ過設備を整備するということになりました。
 10年の間に、その対策が遅々として進まない事業体がかなりの数に上ります。厚生科学研究補助金の研究成果で、特に小規模な事業体ではろ過設備を整備しても、0.1度以下を維持することがむずかしいとのことです。10年間経ちまして、その間紫外線の効果が明らかになり、先進国を中心に地表水でも適用されているわけです。今回はあくまでもろ過設備を整備して、それの補完という位置づけということです。しかしながら、前回も議論しましたように、0.1度とした根拠がきちんと示されていないということであります。
 これまでクリプトスポリジウムの集団感染が世界で発生していますが、凝集剤を入れていないとか、そういった操作の不備が原因として上げられることが多かったわけです。そういった意味では、0.1度をきちんと維持できるところはそのままでよいということです。しかし、最近、ゲリラ豪雨、巨大台風の襲来頻度の増大で濁度管理がむずかしいところがあります。ちょっと心もとないところは、ろ過の後に紫外線を導入して、対応するという選択種を増やしたということです。そういったことがベースとなっているわけでありますが、濁度の書きぶりによっては受け取る側が理解しにくいこともあると思います。いかがでしょうか。
 五十嵐先生、どうぞ。
 
○五十嵐委員
 ろ過後の紫外線照射設備については、レベル3の書きぶりをレベル4に持ってきたということだと思うので、もし変えるとなるとレベル3も変えなければいけないということになって、それはまた大変かもしれない。照射設備としては、レベル3のものはレベル4でも使えるということで、それが正しいなら、このまま残してもいいのではないか。
 あとは、その前のろ過設備については、(a)が従来あった0.1を維持するということ。(b)のろ過設備が、ここまでは達成しなくてもいいけれども、ろ過設備は必要だという書きぶりだと思います。そう考えてくると、ろ過設備のことはもうちょっと記述したほうがいいのではないかと言ったのですけれども、(a)が特別、(b)が普通のろ過設備ということであれば、事務局の原案で何となく意味合いとしては通じてくるのかなと感じます。
 
○秋葉座長
 いかがでしょうか。はい。
 
○泉山委員
 話が堂々めぐりになってしまってすみません、どうまとめたらいいのかという状況だと思いますけれども。まず、0.1度を目指すということは、当然みんな大事だと思う一方で、根拠がないという指摘に対して。資料2の10ページ目、0.1度を下回るところであれば、2logとか5log、クリプトが取れているという実験的な証明がされているわけで、0.1度を目指すことが大事なのはよくわかると思います。本対策指針としては、可能な限り低減させるという意識の高いことを書いてあって、それを守るのだ、頑張ろうということ。決してサボっていいという話ではないと思います。
 しかし、この対策指針は拘束力がないから、サボろうと思えばサボれてしまうという話が出てしまうわけですけれども、それは会議の範囲を超えてしまっている印象があります。現実問題としては、中小の水道が対策ができていないので、そこを何とかしたいという気持ちもわかるわけです。問題を切り分けて話をしないと、大手と中小は別の話だという印象を持って聞いていました。
 取り留めがなくなってしまって、すみません。
 
○秋葉座長
 泉山委員のご意見は重要なポイントと思います。
 
○橋本委員
 例えば、WHOのデータもあれですけれども、例えば三浦先生のこういうデータを示して、0.1度かわからないですけれども、低濁度に保たれているときにはこれぐらい除去できるのだということをちゃんと載せる。それを守らないところに対しては、紫外線だけの不活化率しか得られないことになりますよという実例を挙げてでも、もう少し強化しないと、すみません、堂々めぐりですが、私の気持ちとしては、可能な限り低減というだけでは少々弱いのではないかなと思います。実例を挙げて、せっかくいいデータがあるのですから、こういったものをちゃんと挙げてはどうかなと思います。
 
○秋葉座長
 そのことをわかりやすく盛り込んでいくということですね。
 事務局、いかがでしょうか。
 
○東水道水質管理官
 検討会の資料としては残りますし、ホームページ上でもオープンにしますので、問題ないと思いますけれども。指針の中に入れ込むかというのはなかなか難しいかと。
 
○橋本委員
 WHOの資料は書くのですね。
 
○東水道水質管理官
 既存の文献として、はい。
 
○橋本委員
 それと何が違うのかという。
 
○秋葉座長
 はい。
 
○島崎委員
 WHOの資料のほうは、世界各国の複数の事業体や文献データを集めた上で、各国の専門家から構成された委員会によってしっかり検証された公認のデータになるかと思います。資料2でお示ししたのは、AWWARFによる一つの報告書の中での限られた2浄水場での結果ですので、あくまで参考としての取り扱い方に留まるべきと思います。
 
○秋葉座長
 はい。
 
○春日委員
 橋本先生のご意見は確かに大事なポイントですね。明示的に書きにくいということであれば、「②ろ過施設及びろ過後の水を処理するための紫外線処理設備を整備することにより対応する場合、ろ過出口の濁度を可能な限り低減させること」のところに、例えば、地表水は水質が変動しやすいためなど、濁度低減を意識しなければならないのかという理由を書き足してはどうでしょうか。
 濁度低減をすべきしなければいけないかという要点を明示的に記述することは、ただ今のご議論の折衷案になるかもしれません。
 
○秋葉座長
 そうすると、濁度を下げるという効果の明確な根拠を明示するということですね。
 どうぞ。
 
○橋本委員
 例えば、別添の中にそういうデータを盛り込む。さまざまなクリプトのデータというか、それがずっとついているわけですから、そこに盛り込む形で、本文じゃなくても、春日先生がおっしゃるとおり、そういうものがちゃんと示されているというのが僕は重要だと思います。それをどう判断するかというのは、水道事業体さんにもよるのかもしれませんけれども、ここまで書いてあって、これがメッセージだというのはちゃんと示したほうがいいのではないかなと思います。
 
○秋葉座長
 いかがですか。その辺の書きぶりとしまして、なぜ濁度を下げるのか、根拠明確に示すということですね。
 
○春日委員
 はい。この点を書き足すことで、レベル3とレベル4の管理の違いも明確になると思います。
 
○秋葉座長
 水害があると、地表水というのは濁度の変動も非常に激しい。そういったところも少し盛り込んだほうがいいということですね。
 
○東水道水質管理官
 春日先生の御意見をもし採用した場合、どういう書きぶりがいいのか、今、ピンときませんが。
 
○春日委員
 地下水と比較して、地表水における濁度変動は大きいという点が大事ですね。
 
○秋葉座長
 変動しやすいでしょうね。
 
○春日委員
 変動しやすいということを示す資料としてただ今の橋本先生の御意見のように関連するデータを別添資料として提示することは有意義と思います。いずれにせよ、地表水と地下水のリスク管理上の留意点の違いをしっかりと喚起することは大事なことだと思います。
 
○東水道水質管理官
 事務局と座長で相談させていただいて、書きぶりについては検討したいと思います。
 
○秋葉座長
 その辺の書きぶりにつきましては、事務局と私のほうで再度検討したいと思います。
 ほかに。どうぞ。
 
○吉田委員
 特に、これはクリプトの話なので、ちょっと別の話になってしまうのですが、UVが入ることによって安全性が担保されるというのはよくわかったのですけれども、私はウィルスの立場なので、WHOのガイドラインも10mJ/cm2では完全ではないみたいなことを書いている。したがって、今回、最終的には塩素を使って安全が担保できていることがポイントだと思います。ですから、UVを入れたからと過信することなく、従来どおり塩素消毒というのも留意していただきたいというのが私のほうのコメントです。
 
○秋葉座長
 どうもありがとうございます。
 クリプトスポリジウム以外の病原微生物については濁度成分の除去と塩素消毒でその安全性が保たれたわけですが、クリプトスポリジウムは塩素に強い耐性があり、マルチバリアの原則上問題が生じることになります。その措置の一つとして地表水でもろ過後、紫外線処理の適用を検討しているわけであります。吉田委員がおっしゃるように、クリプトスポリジウム以外のウイルス等の病原微生物の対応は、現行の処理をきちんと実施しなくてはなりません。
 そのほか、如何でしょうか。よろしいですか。
 では、先ほどの書きぶりですが、濁度を下げる根拠を盛り込んだほうがよいとのご意見がありました。そこは、事務局と私のほうで検討した上で皆様にお示しして御了解を得た上でパブリックコメントの手続進めたいと思っております。
 そのほか、事務局のほうから連絡事項等がありましたら、お願いいたします。
 
○東水道水質管理官
 本日は、活発な御議論ありがとうございました。
 先ほど座長からございましたとおり、中身につきましては、座長とも相談した上で最終的な案を皆様にメール等でお送りして御確認いただくことにしたいと思います。その後、パブリックコメント等の手続を経まして、最終的には通知という形で公表していきたいと考えております。
 また、本日の議事録につきましては、後日、事務局のほうから御確認ということで送付させていただき、その後、速やかに厚生労働省のホームページで公表したいと思います。
 
○秋葉座長
 よろしいですか。
 それでは、以上で本日の検討会を閉会したいと思います。
 御協力どうもありがとうございました。
 

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