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2017年6月21日 第8回地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会(地域力強化検討会)

厚生労働省社会・援護局地域福祉課

○日時

平成29年6月21日15:30~18:00


○場所

厚生労働省 9階 省議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2(中央合同庁舎5号館))


○出席者

原田 正樹 (座長)
相田 義正 (構成員)
朝比奈 ミカ (構成員)
大原 裕介 (構成員)
奥山 千鶴子 (構成員)
越智 和子 (構成員)
勝部 麗子 (構成員)
鴨崎 貴泰 (構成員)
櫛部 武俊 (構成員)
中 恵美 (構成員)
野澤 和弘 (構成員)
藤山 浩 (構成員)
堀田 聰子 (構成員)
横山 美江 (構成員)

○議題

(1)第5回~第7回検討会での議論の整理(案)について
(2)その他

○議事

 

1.「我が事」の地域づくりについて

櫛部委員

○ 旧音別町は、それまで町の中心部だったところが、市町村合併により周辺化した。そのなかでカフェができ、集まってきた人たちの話をきくと、困窮していたり、孤立していた。そのようななかで、本人たちの自尊心を掻き立てていくことが大事だと感じた。

○ モデル事業を行ったから広がる訳ではないし、優秀なソーシャルワーカーがいなければ拡がらない訳でもなく、「どのような地域でも、こうすればできる」というメソッドを示す必要がある。

○ 元自治体職員として、福祉事務所で福祉6法を扱い、総合性をもっていかないと、その人や地域全体が見えてこない。厚労省も、社会局と老健局の合併をするくらいでなければ、自治体は変わっていかない。

  藤山委員

○ 資料4は、間違ったことは書かれていないが、これでは進まない。

○ 地域づくりをしていく際の、地域の大きさの認識が無さすぎる。300人から3,000人ぐらいと考えている。しかし、300人では専門職が配置できないので、重層的に組合せて3,000人ぐらいのレベルになっていく。

○ 「べき論」で終わってはいけない。仕組みが必要であり、具体的には1つなぐ人、2組織、3場所、4予算が必要。

○ 何がキーストーンなのかが分からない。条件整備、手法、細かな配慮、目的が混在している。

○ どうしたら成果があがったのかがわかるような物差しが必要。例えば地域、集落ごとの介護や医療費を示し、その変化をみていくことで成果が見えてくるだろう。

  中委員

○ 抽象的になっている理由は、住民が一括りになっているからではないか。小集団で考えても、フェーズやカテゴリーごとでアプローチが変わってくる。

○ 福祉関係者以外の人がみたとき、「福祉からみた上からの地域づくり」だと感じられないか、点検が必要。

○ ポジティブな視点でみると、地域は宝の山。なにもボランティアを新たにはじめることだけが地域づくりではない。「自分は地域活動なんてできていません」と言い切る人も、丁寧に暮らしぶりをききとっていくと、「それって地域活動ですよ」といえることを日常的にされていたりする。近所の方のゴミ出しを手伝っていたり、さりげなく「電気がついている(いない)」を見守っていたりする。意識付けができると、「支えられているだけの人」も「支えるだけの人」もいなくなる。「支え手でもあり、支えられ手でもある」ことを地域で共有していくためには、自然発生的にされている取り組みの意味付けやリフレーミングがいる。

  勝部委員

○ 自治の単位、地域の単位は誰が決めるのか。国が小学校区と決めても、実際とずれていては意味がない。

○ 地域の状況、データが、地域の中で共有されていることは大前提。

○ 例えば、子ども食堂をやれていないからダメな地域なのではない。他の取組で補われていることを、説明していく必要がある。地域の人がその課題から何を実践するかは、自ら決めていくことが重要。

○ 地域づくりのための専門職の役割として、人がつながっていく場の作り方を明記するようなガイドラインやノウハウを提案できないか。

  奥山委員

○ 子育て分野は、転入者が多く、地域を捉えにくい。ライフステージごとにみていくことが必要ではないか。

○ 地域子育て支援拠点事業は、全国で7,000か所ぐらいあるが、そうした場が、自分の地域にどの位あるかを見せていくことが必要ではないか。

  大原委員

○ まだまだ福祉が特別な場であり、社会的排除の課題が自分とは関係ないものだと思われている。子どもや障害者が過ごす場を、住民の日常生活の中で見える化していくことが、我が事の第一歩ではないか。具体的に教育の現場で情報を伝えたり、就労支援として地域の経済に役立てていくなど、風景として見せていくことを目指すべきではないか。そうしなければ、排除されている人をまた集めるだけになる。その結果、ネガティブなイメージをもたれてしまう可能性もあるが、知らない、関心がないと思われるより良い。

○ 就労継続支援A型、B型というのがあるが、C型を提案している。Cはコミュニティの頭文字で、地域のなかで担い手を探している分野が数多くあり、そこに就労したい人をマッチングさせていくことを展開していきたい。

  野澤委員

○ 地域でトラブルをおこしがちな人の支援は相当難しいが、きちんと見えるようにすべき。例えば家族が支援していても、家族だけだと潰れてしまうので、ケアラーを制度で支援していくことが必要。この点が日本では決定的に弱い部分。

○ 素晴らしい実践をしているところは、必ず優れたリーダーがいる。そういうリーダーづくりが必要だが、必ずしも専門職ではない。

○ 愛媛県・愛南町の長野敏宏氏は、時間をかけ、病院組織、自分自身のヒエラルキーを解体し、精神障害者を地域で生活できるようにした。医療や福祉は、本来は病気など部分的に支援すればいいものを余計に支えすぎていることがあり、そこで支配構造が生まれるのではないか。そうした点を振り返るトップの姿勢が重要。

○ 「支えるー支えられる」という二元論ではなく、「支えるー支えられる」側が融合した上で何をするのか、この「何を」という目的が極めて重要。いわば三次元的な考え方が大事。具体的には仕事をし、お金を稼いで自立をしていくことが重要だと思っている。

  朝比奈委員

○ 就労Cは良いアイデアだと思う。資料4についても、具体的なものを落とし込んでいけばよくなっていくと思う。

○ 多機関協働モデル事業を行っている方々をみると、リアリティや主体性にバラツキがある。何となくやっているところも少なくない。

○ データの整理は自治体の役割だが、データの何をどこまで共有するかは、専門職と住民とでは異なる。また、その人の情報を、全て知らなければ地域で生活できないわけでもない。個人情報の取扱いもふくめ、ゼロか10ではなく、フェーズを分けて考えていくべき。

○ アパートを借りる際に、緊急連絡先が書けない人が少なくない。「多少の義務」とセットにしたり、就労Cと組合せながら、公的保証の仕組みを、具体的なツールとして記載してほしい。

 

2.住民に身近な圏域で「丸ごと」受け止めるために求められる機能と仕組みについて

勝部委員

○ 豊中市社協の取組がテレビで紹介され、問合せや相談が全国から沢山きている。そのなかで、自分たちのまちに自立相談支援機関があるのに知らなかったり、支援機関につなげるために問合せたら、「アウトリーチはしません」「相談は聞きますが、それ以上はしません」といった応えが返ってきた。自治体の格差がある。

○ 「丸ごと」支えるイメージがなかったり、家庭訪問の方法も分からずに、スーパーバイザーがいないため現場は苦しんでいる。その理由はソーシャルワーク研修のなかで、アウトリーチやソーシャルアクション、地域づくりに関する内容が不十分だからではないかと思われる。社会福祉士が業務独占資格になっていないために、卒業生が福祉以外の現場に行ってしまったりしている。地域づくりのできるソーシャルワーカーの養成が求められる。

  中委員

○ アセスメントの主体は地域住民であり、「我が事」にしていくことは、地域住民としての当事者性を培うことである。例えば、テレビの向こうで言われている「高齢化人口減少」ということは、社会問題であり、身近な「地域での課題化」に至っていない。自分の地域で起きていることとして「見える化」するだけでも、当事者としての認識が深まり、住民がどう動くかにつながっていくのではないか。

  野澤委員

○ SOSを出さない人は、公的支援につながらず、当事者性の強い人が支援している。そうした支援者への公的バックアップや、支援者の発掘・育成も、「丸ごと」の重要な柱ではないか。

  朝比奈委員

○ 課題は想像を超えたところにあり、身近な地域で支援していくのは限界がある。しかし、アンテナをはっておくことは必要。

○ 地域と心理的距離を持っている人には、都道府県などの広域での場や空間を、公的に支援しながら用意し、落ち着いたところで地域で関わりをもつようにすることが重要。

  大原委員

○ 都会での高校中退者が復学は難しく、都会で働くことも困難なため、地方で受け入れられないかとの相談があった。実際には地方では大歓迎であり、都市部の課題を地方で解決することができると感じた。さらに、ICTを活用すれば地域ごとの課題を、他の地域で解決することが全国的にできるのではないか。専門職が全てを抱え込まなくてもいいのではないかと感じた。

  藤山委員

○ 「丸ごと」は理想の姿。世代や地域が分断されているなかでどうやって黒字にしていくか。島根県益田市の真砂地区では人口400人の中、商店がなくなり、送迎や保育、野菜づくりなどを、「丸ごと」足しあげて黒字を出している。

○ 安易なリーダー論は不毛であり、小さくても活動の場や集まりの場、仕組みをつくっていくなかでリーダーが生まれるのではないか。

 

3.市町村域における包括的な相談支援体制における協働の中核を担う機能について

櫛部委員

○ 2003年から自立支援プログラムに取組み、釧路モデルとよばれてきたが、自治体の政策は、観光や雇用が第一義的で福祉分野がいつも優先されるわけではない。しかしそうした場合であっても、福祉分野から農林課や観光課などとつながっていくと、福祉についても理解されるようになる。自治体の方向性とぶつかるのではなく一致させることで、役所内の縦割りが変わっていき、生活困窮者支援も進んでいく。

  大原委員

○ 自法人で地域包括支援センターをはじめることになったが、資格の壁を感じた。というのも、優秀な保健師がいたが、社会福祉士資格をもっていなかったために苦戦をした。地元で起きている課題を資格で縛るのではなく、専門性を担保しつつ、地域福祉計画や地元の市町村が認ればよいなど、フレキシブルな相談体制にすべき。

○ 働きたい、仕事をしたいという人が大勢くるが、ここに商店街の元組合長などがいたら、すぐに整理してくれるだろうと思う。そういうしつらえを、ある程度市町村の裁量に委ねてもいいのではないか。

  原田座長

○ この検討会では、「中間とりまとめ」においても、地域のなかのあるべき機能と整理している。資格そのものは問うていないし、しつらえも市町村で決めていくと整理したが、最終とりまとめでも同じでよいか。

  堀田委員

○ 全ての地域で、フルラインナップするのは困難。実際の資格よりも機能として整理し、地域福祉計画などで合意があったうえで配置していくべき。実際に認知症のデイサービスの場で洗車をしている例もある。

○ 人口数千人の範囲で行われるべきものと、一方で既に全国レベルでシェアリングが行われているものもあり、地域を越えて様々な難しさを持った方がたの支援やマッチングができる。単なる相談で終わらない展開にしていく必要がある。

  原田座長

○ その人の弱さを強みに置き換えるリフレーミングや、福祉の問題が、実は地域の観光や農業の課題にもつながっていくという解釈があるとしたときに、リフレーミングをする人は誰なのか。また、リフレーミングする人がいれば、つながっていくのか。

  中委員

○ 市町村では協議体がたくさんあり、「協議疲れ」が起こっていると言われるが、相談機関もたくさんあり、重なっているのにつながっていない。一次相談、二次相談といった総合相談そのものの構造化が必要。身近な圏域での相談の担い手においては、住民か専門職かのどちらか論ではなく、いかにタッグを組んでユニットとなり、出口まで伴走していくかが重要。そうすることで、当番医のように24時間365日どこかで誰かが相談にのり、つながる仕組みができていく。

  奥山委員

○ 市町村のなかで「丸ごと」の仕組みができたとしても、そこに子育て分野がコミットしていくのだろうか。厚労省が市町村向けにセミナーを開催したとしても、そこに子育て分野の担当者が行くかが心配。こういった不安解消に向け、国がバックアップしていただきたい。

○ 現場はつながらざるをえないなか、子育て分野は新参者として他から学ぶことができる。子育て分野はインフォーマルなところにこそ深い当事者グループがあったりするが、行政はインフォーマルなものとは関わろうとしなかったり、市町村を越えたところまでは関わりにくいという問題がある。

  越智委員

○ 医療サイドから福祉と積極的に関わりたいという動きがある。MSWがすべての医療機関にいるわけではないなか、地域のソーシャルワーカーと関わりたい、医療サイドに注文をつけてほしいと言われている。地域に単身者が増えているなか、入院時の保証の問題など、いろいろと課題があったときに、現実は難しい。行政は申請を受けた、受理したということで終わるかもしれないが、本当に解決しているのか、確認をしていく必要がある。

  中委員

○ 医療と福祉が連携できないのは、そもそも言葉の使い方が異なるから。同じ言葉で意味が違ったり、同じ意味を異なる言葉で表現している。例えば、「地域包括ケアシステム」と「地域共生社会」について、説明がその都度異なることがあるが、目指す方向性に大きく違いはないなどの例がある。「自立」や「予防」については同じ意味で認識されているかお互いに確認するところからはじめないと、ボタンの掛け違いが生まれる。

  堀田委員

○ 資料2にある地域共生社会と地域包括ケアシステムのイメージ図は残念である。

○ 医療は地域包括ケアを理解しているが、「我が事丸ごと」は分からない。スローガンとしてどの部分を行うのか、医師はどう関わっていくのか、何を実現しようとしているのかが分からない。

○ 例えば、病院ではたくさんの健康・医療情報をもっている。糖尿病やMCIなど、医療機関ならではの情報に基づいたつながりを、イングランドでは「社会的処方」といって、薬ではなく、支援先につなぐ仕組みがある。単に、難しい疾患や障害のことだけでなく、楽しみや喜びも結び付けて、セルフマネジメントに対するモチベーションを高めるなど、医療機関が果たし得る役割はとても大きい。だからこそ、医療も乗ってくれるような「我が事・丸ごと」の方向性を明確に示していくことが重要。

  藤山委員

○ 「食べる」「しゃべる」「歩く」ことで、いきいき暮らすことができる。その結果として、医療費が軽減されることを評価するなど、医療機関にも関わってほしい。

 

4.地域福祉(支援)計画、市町村・都道府県・国の役割について

野澤委員

○ 前段の議論とも関係するが、相談支援に関する資格が行先を阻んでいる。スタッフの資格や経験年数、相談件数など、定量的な評価は意味をなさない。むしろ定性的な評価を都道府県・市町村がしっかりと行うべきだが、数年で異動してしまうなかで、長く専門的に担っている人がしっかりと定性的な評価もしていくことが必要で、それをどう育てていくかが重要。市町村に対しては、都道府県の役割も重要。

○ すぐに役立つものは、すぐに役立たなくなるので、評価の仕組みを設けながら、養成して、実践して、それを評価していく循環の仕組みをつくっていくべき。

  相田委員

○ 民生委員に対する評価は量的なものが多く、何軒まわったなど「正」の字でカウントしていく。単に件数だけでは実態が表せない。

○ 民生委員は、福祉の中心にはなれない存在で、むしろ血液やリンパ液のように住民の困りごとを行政や社会福祉法人に運んでいる。いないと困る存在でもあるだろう。

○ 行政から民生委員への仕事も多すぎる。成り手不足も課題。そういうなかで、行政も民生委員に対して強く言えず、そのため研修も中途半端だったり事例研究などもできなくなっている。特に都道府県については、怖がらずに良い研修を行ってほしい。

○ 民生委員の選び方にも問題があるように思う。東京都では町会が推薦しているが、町会加入率が落ちているなかで限られた人で選んでいる。一方で大きなマンションができれば、400世帯、600世帯ぐらいが急に増え、町会に入らなくても支援していかなければならない。そうした矛盾点を根本から見直してほしい。

  大原委員

○ 財源も限られ、高齢化していくなかで、個人資産を相続できない人が増えている。自治体は遺贈をもらうことができるようにはなっているが、一方で大きな公営住宅をつくっている。むしろ空き家をリフォームして貸せばいいのではないか。

○ ふるさと納税に対して返礼品を返すのではなく、市町村の特定のミッションに対して寄附する仕組みが有効ではないか。

○ 地方では、能力が高くても仕事に就けない人が少なくない。テクノロジーを使って、職につなげたり、さらにはスーパーバイズする仕組みなども考えていくべきではないか。

  堀田委員

○ 看護師版ウーバーの開発をしている人もおり、そのような全国的な調整は非現実的ではない。

○ 国交省でも、住まい対策をいろいろと講じている。地域福祉支援計画などでも、住まいの視点を入れる必要がある。

○ 地域では様々な計画が立てられている。せめて地域福祉計画は、福祉分野のみならず、商工、教育、住まい、医療などとも横断的であってほしい。

○ 財源についても、各分野に様々ある。それを集めてくればかなりのことができる。

○ KPIの弊害がでている。基礎的な指標は必要であるが、自分たちのまちをどうしていきたいか、地域の関係者がこぞって議論し、指標化していくことも必要。

○ 生きづらさを抱えている人が大勢いる。個人がどう変われたのかの指標をつくることが有効ではないか。


鴨崎委員

○ 受益者の変化と同時に、KPIで事業の目的が達成されたかを見ていくことの両方が大事。そのなかで、SIBなどのように成果に応じて予算配分を変えていく。その時に、自治体のデータが重要となる。

○ 不動産寄附については、NPOも受けられるが、キャピタルゲインに対する非課税措置がないことが課題になっている。

(以上)

 


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