ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 政策統括官(統計・情報システム管理、労使関係担当)で実施している検討会等> 社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の改善に関するワーキンググループ> 第1回社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の改善に関するワーキンググループ 議事録(2017年3月7日)




2017年3月7日 第1回社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の改善に関するワーキンググループ 議事録

政策統括官(統計・情報政策担当)付参事官(企画調整担当)付統計企画調整室

○日時

平成29年3月7日(火) 14:10~15:20


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(中央合同庁舎5号館12階)


○出席者

構成員(五十音順、敬称略、○:主査)

  樋田 勉
  永井 暁子
○野口 晴子

事務局

  細井統計企画調整室長
  藤井統計企画調整室長補佐
  大澤統計企画調整室長補佐
  瀧原審査解析室長
  新居審査解析室長補佐
  原田社会統計室長
  川津社会統計室長補佐
  十川社会福祉統計専門官

○議題

社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査における調査方法の見直しについて

○議事

○細井統計企画調整室長

 それでは皆様おそろいですので、ただいまから、「社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の改善に関するワーキンググループ」の第1回を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、第15回の厚生労働統計の整備に関する検討会に引き続きまして、お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。当ワーキンググループの委員は、先ほど開催されました整備検討会において座長より指名・構成されているところです。

 それでは委員の御紹介をいたします。獨協大学経済学部国際環境経済学科教授の樋田委員です。


○樋田委員

 樋田です。よろしくお願いします。


○細井統計企画調整室長

 日本女子大学人間社会学部社会福祉学科准教授の永井委員です。


○永井委員

 永井です。よろしくお願いいたします。


○細井統計企画調整室長

 早稲田大学政治経済学術院教授の野口委員です。


○野口委員

 野口です。よろしくお願いします。


○細井統計企画調整室長

 ありがとうございます。なお、本日御欠席ですが、早稲田大学の西郷先生にも審議の御協力をお願いしております。よろしくお願いします。

 次に主査について御報告します。当ワーキンググループの主査につきましては、先ほど申しました整備検討会座長より野口委員が指名されております。野口委員の御了承も頂いておりますことから、以降の進行を野口主査にお願いいたします。


○野口主査

 皆様改めまして、本日は年度末の大変お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございます。先ほど開催されました厚生労働統計の整備に関する検討会におきまして、津谷座長より本ワーキンググループの主査に御指名を受けました野口でございます。私では非常に力が足りないかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

 早速ではございますが、第1回ワーキンググループの議事を進めていきたいと思います。本日の議題は、「社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査における調査方法の見直しについて」です。それでは事務局より御説明をよろしくお願いします。 


○原田社会統計室長

 ありがとうございます。それでは私から資料2「社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の見直しについて」を御説明します。

 資料2を御覧ください。こちらに見直しの経緯、見直しの概要について書いてあります。先ほどの整備検討会で御説明した内容と重複しますが、1.見直しの経緯につきましては、この2つの調査は現在全数調査ということで実施しております。平成21年から民間事業者による郵送での配布・回収に調査方法を変更したことによりまして、全数回収が困難になっております。平成24年より「基本票」という形で基礎的な項目については行政記録情報を活用して全数を把握しておりますが、利用者数、従事者数など詳細な項目を把握する「詳細票」については全数の回収ができておりません。そういう意味で、統計結果精度及び有用性の向上が課題となっております。また、高齢化の進展等により施設・事業所数の大幅な増加が見込まれるため、被調査者負担の軽減、調査実施の効率化も課題となっております。

 こうしたことから2.見直しの概要ですが、現在の全数調査を抽出という形に変更しまして、調査結果については、現在実数で公表しているものを推計数を公表することで精度、有用性の向上を図り、また推計値での経年比較が可能となるという見直しを予定しております。後ほどの資料により詳細について御説明します。

 2ページ、本ワーキンググループにおいて検討していただきたい内容です。この2つの調査の標本化に当たっての標本設計、目標精度、抽出方法、推計方法等をどうするか。それから標本化に伴う今後の取組、例えば回収率向上のための取組、こういうことについて御議論を頂きたいと考えております。

 4.今後の主なスケジュールです。大まかに今後のスケジュールを書いております。本調査については3か年でワンサイクルという形で、現在の調査は平成27年から平成29年まで3か年で実施をしておりますので、その後の調査年度は平成30101日の調査から今回御議論を頂く形での標本設計への見直しを行いたいと考えております。そういうスケジュールで考えますと、来年度、平成29年の4月から我々のほうで予算案の検討に入りますし、またその後、総務省への承認申請と事務的な手続が発生してきますので、今回の検討については本年6月をめどに御報告を頂きたいと考えております。

 34ページ目は本調査の概要について書いております。3ページ目が社会福祉施設等調査についてです。こちらの調査は、全国の社会福祉施設等の数、あるいは従事者の数、在所者の数、こういった基礎的な情報を把握しているものです。全国の老人福祉施設、障害者支援施設、障害福祉サービス事業所、児童福祉施設等の全数に対して毎年101日現在で調査を実施しております。先ほど申し上げましたように調査の内容が「基本票」と「詳細票」という形で分かれておりまして、基本票については、都道府県・指定都市・中核市を調査対象として行政記録情報を活用して施設の種類、所在地、定員等について把握をしております。詳細票については、基本票で把握をした施設等に対して、利用者の数や従事者の数を把握するために調査票を配布して回収しているものです。

 4ページ、こちらが介護サービス施設・事業所調査です。こちらは全国の介護サービス施設・事業所の数、利用状況、従事者の状況、利用者への提供内容などを把握して、介護サービス関連施策の基礎資料を得ることを目的に実施しているものです。こちらは介護保険制度の対象となっている施設・事業所の全数を対象として毎年101日現在の状況について調査を行っております。こちらも社会福祉の調査と構造は一緒です。「基本票」と「詳細票」という形に分かれております。基本票については、都道府県を対象として施設の名称、所在地、定員等について行政記録情報を活用して全数を把握しております。詳細票については、基本票で把握をしました事業所に対して調査票を郵送する形で実施をしております。介護保険施設については在所者の数、居室の状況、従事者の数など、事業所については、利用者の数あるいは従事者の数などを把握しているものです。

 5ページ、こちらは先ほど簡単に御説明しましたが、本調査方法の過去からの推移を図にしたものです。平成20年以前は厚生労働省が都道府県等を通じて、実際には福祉事務所の方、保健所の方に配布をしていただく形で都道府県等による調査票の配布・回収を行っておりました。このため、平成20年調査以前は全数調査ということでほぼ全数を回収できておりました。それが、平成21年以降市場化テストの導入ということで、厚生労働省が委託しました民間事業者による郵送での調査票の配布・回収に調査方法を変更しました。このため全数の回収が現在困難になっている状況です。そういうことがありましたので、平成24年からは、行政情報から把握可能な項目については基本票ということで、都道府県等に対してオンラインによって調査票の配布・回収を行っております。詳細票については、基本票で把握した施設・事業所に対して郵送で調査票の配布・回収を行っている状況です。

 6ページ、こちらも説明が一部重複しますが、現状と課題ということで書いております。先ほど来御説明をしておりますように、郵送による調査票の配布・回収に変更してから回収率が100%でなくなっているということで、主なものについて過去の回収率の推移をそちらに図示してあります。施設によって結構ばらつきはありますが、保育所で言いますと、平成27年に94.5%の回収率、有料老人ホームになりますと若干落ちまして84.8%、介護サービス施設・事業所調査については、例えば訪問介護ですと78.5%、居宅介護支援事業所については85.8%という形で、大体8割から9割ぐらいの回収率で推移している状況です。このように調査年ごとに回収率が変動しますので、当然実態の数値との乖離は生じておりますし、また実数での経年比較が現在の調査ではできないことが非常にネックになっているということです。

 7ページ、こちらは過去の、平成24年以降の各施設・事業所の数の推移を表したものです。高齢化の進展等によりまして、特に高齢者関係の施設・事業所については数が今後も大幅に増加することが見込まれております。そこに一部抜粋して載せておりますが、例えば有料老人ホームについて見ますと、平成24年に7519でありましたのが平成27年には1651という形で非常に急激な数の増加となっています。下の表は介護サービス施設・事業所調査です。こちらもかなりの伸びを示しております。今後もこういった形で施設・事業所数が増えていくことを考えますと、被調査者負担の軽減あるいは我々調査を実施する側の事務の効率化も課題になってきます。

 8ページ、こういう課題があることから、見直しの方向性ということで、こういった課題に対応するために、この2つの調査について全数調査から標本調査への見直しを行いたいと考えております。それによる効果です。(2)に書いてあるように、標本調査方式の導入を契機として、1/1抽出のサービスを含む全てのサービス別に一定の精度の下で母集団全体の状態を推計して推計値を公表する形になりますので、統計結果の精度が向上するとともに、推計値での経年比較も可能となるということで、統計結果の有用性の向上が図られるものと考えております。(3)です。標本調査にすることで調査客体数が減少しますので、調査を受ける側の負担軽減も図られるということと、我々の調査の実施面での効率化も図られると考えております。実施時期です。先ほど申し上げましたように、現在実施中の事業が平成27年度から平成29年度の3か年ということで、その次の事業期間となる平成30年度からの見直しを実施したいと考えております。

 9ページ、具体的に標本化するときの標本設計の考え方です。まず基本票については、これは都道府県等が把握しております行政記録情報を活用しておりますので、これまでと同様に毎年全数を把握したいと考えております。詳細票については、結果精度の向上、それから負担の軽減等々といった理由から標本調査方式を導入したいと考えております。

 基本的な考え方(1)です。この両調査の詳細票により得られた数値については、それぞれの政策担当部局の政策立案の過程で主に使用されておりますが、特に国、都道府県において、保育士あるいは介護従事者の人材確保対策を検討する際の基礎資料としての価値が高いと我々としては考えております。そうしたことから、標本調査の導入に当たっては、サービス別に中心的な職種の都道府県別数値の結果精度を維持することが可能な標本数を確保するという、基本的な考え方に立ちたいと考えております。

 具体的な抽出方法は(2)です。両調査の前年調査により得られた名簿に記載された施設・事業所を母集団としまして、サービス、それから都道府県を層とする層化無作為抽出法により抽出を行うという案としております。

 (3)目標精度です。両調査ともに、サービス別に中心的な職種の都道府県別従事者数及び常勤換算従事者数の標準誤差率が5%以内となることを目標精度としたいと考えております。なぜ5%なのかは難しいのですが、我々厚生労働省が現在実施している標本調査においても目標精度5%としているものが多いので、そういった他の調査も参考にして5%という設定にしております。

 10ページ、標本調査の対象サービスです。これは平成25年の調査結果を用いて、サービス別に中心的な職種の都道府県別従事者数及び常勤換算従事者数の標準誤差率が5%以内となるように目標精度を設定して、前年調査までの回収率も勘案して標本設計を行った結果、標本調査の対象となるものについては以下のとおりとしたいと考えております。社会福祉施設等調査については、保育所とサービス付き高齢者向け住宅以外の有料老人ホーム、それ以外のサービスについては、調査客体が少ない等の理由で1/1抽出という形で考えております。介護サービス施設・事業所調査のほうについては、こちらもある程度母集団の数が多いものということで、訪問介護、通所介護、居宅介護支援、介護予防支援、この4つについて標本調査とするということで、それ以外のサービスについては1/1抽出としたいと考えております。

 参考ということで、平成25年調査結果を用いて抽出率を試算した結果、どの程度の抽出率になるかというのをそこに書いております。実際に、平成30年に調査実施するときにはこれと一緒になるわけではありませんが、大体このぐらいの抽出率になるのではないかと考えております。保育所ですと全体で20%の抽出率、有料老人ホームですと70%、訪問介護が50%、通所介護が60%、居宅介護支援が30%、介護予防支援が60%、大体これぐらいの抽出率になるものと考えております。

 1112ページ目は現在の2つの調査の調査対象の一覧です。網掛になっているものが抽出対象とするもので、網掛をしていないものについては今までどおり1/1抽出ということで考えております。

 13ページ、結果の推計方法です。これも先ほど御説明しましたが、サービス別、都道府県別に母集団全体の状態を推計して公表することを考えております。(6)結果の表章です。こうしたサービス別、都道府県別の従事者の結果精度を維持するという考え方に立ちまして、標本調査導入後は、詳細票の集計結果については都道府県別までの表章となります。なお基本票による集計については全数を今後も把握していきますので、従来と同様に市区町村までの地域表章をすることが可能となります。

 14ページ、IVの今後の取組についてです。全数調査から標本調査に変更する例は、実は政府の統計でも余りないわけですが、今回そういう見直しをするということで、注意点、こういったことに留意してくださいということを周知する必要があると考えております。まず、1つ目はユーザーへの周知ということです。標本調査方式を導入することによって、表章する結果数値もこれまでと異なりまして推計値となります。ですので、これまでの集計結果との比較という形ではできなくなります。こういった調査結果との関係で注意が必要な点については、誤解や混乱が生じないように私どものほうできちんと周知をしていきたいと考えております。なお、平成30年調査以降は同じ調査方法により実施をしますので、その後の連続性は確保されることになります。それから被調査者への周知ということです。現在は毎年全ての施設・事業所に調査票をお送りしているわけですが、抽出率が1/1以外のサービス、先ほど申し上げた6つのサービスについては調査客体にならない年が出てきます。そうした混乱が生じないように、こちらも都道府県等の御協力を頂きながらきちんと周知をしたいと考えております。

 15ページ、今回標本調査にすることで結果的に精度は向上することにはなりますが、それでもやはり回収率が落ちますと精度に影響してきますので、これまで回収率向上のための取組をいろいろしてきましたが、これまでの取組に加えてオンライン調査の活用も含めた更なる取組について今後も検討していく必要があると考えております。

 別添として、別添1-1、別添1-2ということで、両調査の平成30年以降の概要ということで書いております。これは、現在やっている調査に、今申し上げた見直しをした場合の変更点を下線部で示しているものです。説明が重複をしますので、こちらの説明は割愛します。あと、資料としては、回収率が別添3-1、施設・事業所数の推移が別添4-1ということで参考までに付けております。私からの説明は以上です。


○野口主査

 ただいまの事務局の説明について、御質問も含め、委員の皆様方にお伺いいたします。話を整理するために、質疑のポイントを2つに分けて皆様に伺います。1つ目は、標本設計の考え方についてです。2つ目は、その他全般についてです。お気付きの点をお二人の委員の先生にお伺いいたします。まず1点目の、標本設計の考え方について何かありますか。


○永井委員

 質問です。全数を標本にすると精度が上がるというところにちょっと引っかかっています。最後に御説明があったように、回収率によるものだということです。そもそも回収率が下がったので、全数から標本調査とする。でも、標本になると回収率が上がるということが前提となって、精度が上がる、維持できるということなのではないかと思います。コストとかいろいろな面で全数調査をやめるということになったのではないかと思いますが、本当に精度は上がるものなのでしょうか。


○原田社会統計室長

 精度が上がるのかということについて御質問を頂きました。詳細票の現在の調査は8割から9割の回収率で、その8割から9割の回収率で回収されたものを、我々としてはそのままの形で結果ということで公表しております。例えば、8割の回収率のものだと、その欠けている2割分については何らの推計をしない形での公表ということです。介護人材、保育人材で従事者数がどのぐらいいるのかを把握したいというときには、我々の公表している調査結果を用いて、それぞれの政策担当部局のほうで推計をして、それで使っているのが実態です。

 標本調査にすることで、回収率はもちろん100%というのはなかなか難しいのですけれども、実際に回収できた調査票に対して、結果を推計して公表するという形になります。その推計値がこれまで公表していた値に比べると精度が向上するということです。その推計値を今後も平成30年以降は公表し続けるということです。今までは、回収率が変動すると、経年比較もできなかったわけですけれども、そういうことを加味した上での推計値を平成30年以降は公表してまいりますので、精度も向上しますし、経年比較も可能になると考えております。


○樋田委員

 私も、委員から質問のあった点は気になっていました。資料の文章から、標本調査に移行すると精度が自動的に上がるような印象を持ちました。実際には、標本調査に移行してサンプルサイズが減るので、客体に対して手厚いサポートをすることが可能になり、その結果、非標本誤差を縮小できた場合には精度の向上が見込めるということです。

 標本調査に移行すると標本誤差が発生するので、新たに発生した標本誤差と、今までに発生していた未回収による非標本誤差の縮小、全体として縮小しないことには精度は向上しないわけです。ですから、どのようにして未回収を下げるかというところが非常に大事なところになります。同時に、無回答の処理方法についても計画をしておく必要があると考えます。


○原田社会統計室長

 ありがとうございます。御指摘のとおりです。標本設計にしたから当然精度が上がるというものではありませんので、今御指摘を受けた点も含め、どのように回収率を向上させていくかということも検討させていただいて、またお示しをしたいと思います。


○永井委員

 今の説明はそのとおりだと思います。見直し後の調査のところで、サンプリングとか、そういうところをここで検討するというようなこともありました。そもそも郵送調査を同じ方法でやっていれば、必ず失敗するような気がいたします。調査方法として、本当に標本抽出調査をするのであれば、調査方法をかなり手厚いものに変えていかないと、全数調査のときよりも荒れたデータになるのではないかと思います。


○野口主査

 私から1点お伺いします。回収率の推移ということで、平成21年から頂いています。平成21年以前は、都道府県にお願いしていたということですが、これは100%回収という理解でよろしいのですか。


○原田社会統計室長

 ほぼ100%。ほぼという言い方も変なのですが、5ページを御覧ください。平成20年調査以前は系統が2つに分かれています。基本的には上の系統の都道府県等を通じて調査をしておりまして、こちらのほうは100%回収できていました。一部直接郵送していたものについては全数が回収できていませんでした。上のほうの系統でいくと、100%回収できていた状況です。


○野口主査

 しつこいようですけれども、郵送で一部オンラインで回収されていた事業所というのは、すぐには分からないかもしれないのですけれども、全体で言うとどのぐらいのパーセンテージでしょうか。


○川津社会統計室長補佐

 すみません、手元に資料がないのですけれども、さほど多くの数ではなかったと思います。


○野口主査

 1割未満ぐらいでしょうか。後で結構です。他に委員の先生方から標本設計について何かありますか。


○永井委員

 漠然とした質問なので質問になっていないかもしれません。これまでに未回収率が上がった要因についての分析というのはかなりされたのですか。郵送調査になったから下がったという部分で説明されていたと思うのです。対象の中身の変化というか、公的なものが減って、かなり民間の施設が増えてとか、小規模が増えてとか、何か施設側の変化、調査対象の変化によって、どこの部分が回収率が低下しているのか。そのような未回収が増えた要因について、郵送以外の要因というのも出ていたでしょうか。


○原田社会統計室長

 基本的には今御説明いたしました5ページなのですが、平成20年調査以前と平成21年以降で乖離がガクッと生じています。次第に回収率が下がったというものではありません。他の調査もそうですけれども、厚生労働省が政府として実施する統計で、かつ、制度を所管している立場から都道府県等の福祉部局のほうに、我々のほうからお願いをして、都道府県としても我々にきちんと御協力いただけるという信頼関係のもとにやっておりました。施設に直接郵送される調査とはちょっと性質が違い、要は調査系統として都道府県等が入っていたという形になっております。

 ですから、それを国が直接実施する。国には手足がありませんので、民間事業者に委託して郵送という形になったのが一番の要因です。私立が増えたから、といった性質のものではないと考えております。ただ、個々の施設ごとの回収率を見るとばらつきがあります。先ほど一部抜粋してお示しをしましたけれども、6ページで、例えば保育所等については大体9割、100%近い状態で推移をしております。これは想像するに保育所というのは認可された形で行政が関与するということで、補助金等の支給もあります。そういうこともあって、恐らく協力してあげようという意識が高いのかなと。逆に有料老人ホームは届出等はありますけれども、基本的には認可保育所とはかなり仕組みが異なりますので、そういうことで各サービスごとにばらつきはかなりあるのかと承知しております。


○樋田委員

 これからの検討の中で、どのように未回収を減らしていくかが、大事なポイントだと思います。過去のデータを使い、どの様な事業所で未回収が起きているのかを、基本票を参考にして調べておく必要があると考えます。一般的には規模が小さい事業所は未回収が多い傾向があります。この調査ではどのような傾向があるかをあらかじめ検討しておく必要があると思います。


○原田社会統計室長

 ありがとうございます。規模別とか、どういう分析の仕方があるか分かりませんが、我々のほうで整理したいと思います。


○樋田委員

 未回収の発生状況、未回収の原因(拒否、未着かなど)も確認をしておいたほうがいいと思います。民間事業者から督促の状況についても確認しておくと標本設計のときに役に立ちますので、是非御確認いただければと思います。


○野口主査

 ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思います。私も先生方と同じ疑問を持っております。いずれにしても標本誤差が生ずるのは同じことなので、今後精度の高い調査にするためには、先生方がおっしゃった未回収の要因を徹底して追求、検証し、できるだけ未回収の事業所に手厚いサポートをかけていくことが必要だと思います。規模が小さかったりすると、調査に答える人手が足りないということもあると思うのです。そうなると、非常にセレクション・バイアスというか、選択バイアスがかかりますので、その辺りの検証を詳しくお願いいたします。


○樋田委員

 先ほどの整備検討会でも御指摘がありましたけれども、事業所の開廃の状況を教えていただきたいと思います。


○野口主査

 施設・事業所の開廃について最新の情報はありますか。


○原田社会統計室長

 施設の廃止、新設の状況ですけれども、今回抽出の対象としております6つのサービスについて確認したところ、新設について施設全体に占める割合で見ると、保育所だと大体10%ぐらい新設があります。有料老人ホームで25%ぐらいの新設の割合です。訪問介護だと78%。通所介護で大体9%。居宅介護支援が7%。介護予防支援が45%という状況になっております。

 廃止のほうですが、これも全体に占める割合で見ると、保育所が11%ぐらい。有料老人ホームが45%。訪問介護も45%。通所介護も45%。居宅介護支援が3%。介護予防支援が1%という状況になっています。


○野口主査

 やはり、施設によって開廃の状況が違ってきているようですね。これは非常に重要です。本日、抽出率まで決定するということはないのですよね。


○原田社会統計室長

 抽出率はこの標本設計でやったときの結果としての抽出率になります。参考までに平成25年のデータを載せております。


○野口主査

 具体的な抽出率についても、基本的に先生方がおっしゃったような資料がないと、なかなか検討は難しいかもしれません。抽出率と具体的な数値等について皆さんから御意見があればお願いいたします。


○樋田委員

 抽出率を決めるときに、過去のデータからその層別のばらつきを考慮して抽出率を決めるというプランがここで紹介されていますが、そのやり方がよいのではないかと思います。しかし、層によっては毎年変動が大きいかもしれません。平成25年の調査結果のみを使って抽出率を決めるのではなくて、例えば3年分ぐらいのデータを抽出率の計算に使ったほうが、安定的な数字が得られて安心ではないかと思います。確認ですが、ここでいう抽出率は、100%の回収が得られた場合の数字なのか、それとも、層ごとに未回収が発生することを見込んだ数字なのかどちらでしょうか。


○原田社会統計室長

 回収率を反映した数字になっています。


○樋田委員

 分かりました。


○野口主査

 その場合、回収率というのは大体どのぐらいを見込んでいるのですか。


○川津社会統計室長補佐

 すみません、結果的な抽出率の資料しか手元になくて、抽出率がどれぐらいになるのかを計算した途中経過の数値は持ち合わせていません。


○野口主査

 是非そういう具体的な数値を幾つか頂いたほうが、具体的な検討ができると思いますので、御用意いただければと思います。

 1点お聞きします。民間事業者を平成21年から利用されているということなのですが、この民間事業者の方にヒアリング等はされたことがありますか。例えば、どういう施設が未回収だったかというお話も出ていましたが、何かそういうヒアリングというかフィードバックみたいな記録は残されているのでしょうか。


○原田社会統計室長

 民間事業者に対しては、回収率を向上させる観点から、回収できなかった方にどのようにアプローチしているとか、どういう反応があったというのは、私どものほうで調査をして把握しております。出せるものがあれば、次回の検討会にお示ししたいと思います。


○野口主査

 他に先生方のほうから、標本設計についていかがでしょうか。永井先生と樋田先生から非常に重要な御指摘を受けたと考えております。1つは記述の面で、これは最終的な報告書の記載にも関連してくると思いますけれども、全数調査から数を減らして、標本調査にすることが要因となって、より精度の高いものになるという表記は、やはりもう少し正確を期して記載したほうがよいという御指摘です。もう1つは、未回収の原因について、もう少し具体的な資料が欲しいという御指摘です。例えば、どういう特徴を持った施設が未回収であるとか、その要因は何かといった御指摘です。あとは最新の回収率だけではなくて、過去数年間、あるいはそういうもののデータをプールして、ある程度安定したところの回収率で、それぞれの抽出率等を判断したほうがよいという御指摘です。あるいは、10ページにある抽出率を計算された途中経過といったものに対して、ちょっと具体的な数値が欲しいといった御指摘です。開廃状況についても最新のものだけではなくて、直近過去3年間なり5年間なりの開廃の数値を頂けると、標本設計をするのに有用である。そういうものを考えていくのに有用なベースとなり得るという御指摘でした。

 以上のような具体的な資料を、次回のワーキンググループまでに御用意いただくということでよろしいでしょうか。お二人の先生方それでよろしいですか。


○樋田委員、永井委員

 はい。


○野口主査

 第2点は「その他全般」です。標本設計以外、その他全般について先生方から何か御指摘はありますか。私から1点なのですけれども、例えば標本抽出をするということで、過去の全数調査のデータで、都道府県にお願いした、きちんとした100%近い回収率のデータがあるということでした。そこから今予想されている抽出率というか回収率を加味した標本の回収率みたいなもので、何かシミュレーションをしていただけると非常に有り難いのですが、いかがでしょうか。


○原田社会統計室長

 正確に理解できなかったのですが、過去の、現在やっている詳細票の。


○野口主査

 そうです。現在全数調査をされているわけですので、そこから今の段階では全数の数値が分かっているわけですよね。そこから仮に将来行うような抽出率で調査をした場合の数値がどのように異なってくるのかというシミュレーション、時間がない中で厳しいと思うのですが、そういうことは可能でしょうか。


○原田社会統計室長

 できるかできないかと言われれば、できるということですが、そこはなかなか難しくて、我々として過去に正確な数字、もちろん実態とは乖離しているのだけれども、正確な全数調査の数値として公表しているものが過去にあります。それと違う推計値を出すということが、逆に皆様方に誤解とか混乱とか、過去のものは間違っていたのかとか、そういう懸念も考えられます。そういうものを推計することは可能ではあるのですが、出すかどうかということについては慎重にならざるを得ない面もあります。引き取らせていただいて検討させていただければと思います。


○野口主査

 他にはいかがでしょうか。


○樋田委員

 2点あります。1つは欠損が起きた場合の処理方法を整理しておく必要があると思います。未回収は必ず起き、その処理方法もいろいろあります。厚生労働省として適切な処理方法を調査していただければと思います。

 2点目は、標本調査に移行する際に、標本抽出で使った層と、表章するときの層というのが変わってくる可能性があります。その場合の標準誤差の計算方法をどう処理するのかということもあらかじめ検討しておく必要があるかと思います。


○原田社会統計室長

 2点御指摘を頂きました。1点目の欠損が起きた場合の補完に関しては、我々厚生労働省の調査では、他の部局も含めるといっぱいあるので全部は把握しきれていませんが、基本的にそういうことはしていないと承知しております。仮にそれに似通ったものがあったとしても、何かで埋めるということで、データの改ざんではないのですけれども、その統計の信頼性にも関わる話ですので、基本的にそういうことはしないものと承知しております。御指摘の点を含めて検討はしたいと思います。

 2点目については、今回はサービス別、都道府県別で中心的な従事者の所で結果精度を維持しようということでやっています。それとは違う層で表章するときには、御指摘の問題が生ずると考えております。そもそも、そういう集計をするのかしないのか、する場合にどういうことに注意をしてするのかというようなことについても整理をさせていただきます。


○野口主査

 永井先生何かありますか。


○永井委員

 このワーキンググループでは、調査方法に関してまでは立ち入らないのですか。どこまで議論するのでしょうか。


○原田社会統計室長

 今回お願いしておりますのは、先ほど御説明申し上げました、全数から標本調査への移行に伴い、先ほど回収率の問題も御指摘いただきましたけれども、標本設計に変えることで、我々として対応しなければいけないことについて、こちらのワーキンググループで御議論いただく内容になっております。どうぞよろしくお願いいたします。


○野口主査

 調査内容というのは、調査項目に関することですか。


○原田社会統計室長

 調査方法に関連するものであれば是非お願いいたします。


○永井委員

 すごく瑣末な質問なのですけれども、郵送というのは、郵便局の郵送ですか、それとも何とかメールとか。自分も調査をするときに、郵便局の場合だと届かなかったものがあったり、転送してくれたりというようなものがあります。何とかメールというような形のものだと、ポストがあれば、とにかく投函していくので、意外と保育園などでも移転するようなことがあったり、認可が変わって、認証から認可に変わったから何とかとか、何かいろいろあったりするときに、サービスの内容が変わってくるので、どっちかなと思ったのです。


○川津社会統計室長補佐

 施設ないし事業所で記入していただいて、それを郵便局の郵送で返送していただく形を採っています。


○永井委員

 最初は持っていかれるのですか。


○川津社会統計室長補佐

 最初に届けるところも郵便局の郵送で届けて、記入していただいた後に、また郵便局の郵送で返送していただきます。


○永井委員

 最初の届けるところが、特定業者の話になってしまうのですけれども、サービスと異なっているので、そこを切るとすると、先ほどあった未回収の理由と関連してきます。届かなかったのかというのは、拒否なのか、いなかったのかというような理由が明記されていくことによって、未回収率を下げていくことができるのではないかと思います。1年目にすぐ対応できるかどうか分からないのですけれども、このときはこう、このときはこうというような具体的な指示をかなり出していくと、未回収率はかなり改善されます。対象がなかった場合は、母数のほうから削ってもいい。そして代理のものを入れる。そこに存在していないというか、なかったような場合というのはどのように対応するのかということも考えると、回収率の数字も変わってくるのではないかと思います。


○川津社会統計室長補佐

 我々が委託している民間事業者が郵便局の郵便で発送します。届かない調査票が発生した場合にもきちんと把握しております。また、未回収分についても、督促を行っていますので、提出されていない所がどこなのかというのは把握しております。


○野口主査

 他にはいかがでしょうか。本日のところはよろしいでしょうか。先生方どうもありがとうございました。非常に有益な御意見を頂きました。全般について整理させていただくと、こういう場合はほとんどないという理解で私も正しいと思うのですけれども、欠損が起きた場合に、他の調査等でどういう補完をしているか、厚生労働省内の他の調査についてお調べいただきたいということ。標本調査で、偶然の変動に考慮して、そういう場合に生ずる誤差をどうするのか、この辺も検討が必要である。調査方法について、どうして未回収なのかという理由を特定していくというところにも通じますけれども、郵送方法等について、過去の民間事業者からヒアリングの資料等々を次回のワーキンググループで出していただくというようなことをお願いさせていただきます。それでよろしいでしょうか。


○樋田委員、永井委員

 はい。


○野口主査

 その他全般についても、非常に貴重な御意見を頂きました。以上、標本設計の論点と、その他全般についての論点を再度事務局の皆様には整理をしていただければと思います。予定しておりました議題は以上です。それでは、事務局のほうへお返しします。


○細井統計企画調整室長

 委員の皆様、本日は貴重な御意見、御議論を賜りまして誠にありがとうございました。本日頂きました御意見については事務局で整理をさせていただき、次回のワーキンググループで御議論いただければと考えております。これをもちまして、第1回ワーキンググループを閉会させていただきます。次回のワーキンググループは、327()13時から開催を予定しております。改めて開催の御案内をさせていただきますので委員の皆様方におかれましては、御出席のほどよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中を誠にありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官(統計・情報政策担当)付
参事官(企画調整担当)付 統計企画調整室 統計企画係
電話:03-5253-1111(内線7373)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 政策統括官(統計・情報システム管理、労使関係担当)で実施している検討会等> 社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の改善に関するワーキンググループ> 第1回社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の改善に関するワーキンググループ 議事録(2017年3月7日)

ページの先頭へ戻る