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2015年11月10日 第3回水道事業基盤強化方策検討会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課

○日時

平成27年11月10日(火) 14:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室(中央合同庁舎第5号館12階)


○出席者

構成員(50音順)

浅見構成員 有田構成員 浦上構成員 鍬田構成員 阪口構成員
佐藤構成員 滝沢座長 友岡構成員 永井構成員 古川構成員
柳川構成員 湯谷構成員

厚生労働省

福田部長 赤澤課長 宮崎課長 高澤室長 小柳補佐
久保補佐 安里補佐

○議題

(1)地方分権改革における水道事業等の認可権限移譲について
(2)水道事業の基盤強化方策について
(3)その他

○議事

久保補佐

 それでは、定刻となりましたので、第3回水道事業基盤強化方策検討会を開催したいと思います。

 構成員の皆様におかれましては、ご多用中にもかかわらずお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに構成員の皆様の出欠状況をお知らせします。本日は石井先生がご都合によりご欠席となっております。それから、友岡先生はまだおみえになっていませんが、おくれるというご連絡がございましたので、じきにいらっしゃると思います。

 また、鍬田先生におかれましては今回からのご出席ということでございますので、初めにご紹介させていただければと思います。神戸大学大学院の准教授、鍬田泰子様でございます。

 

鍬田構成員

 神戸大学の鍬田です。第1回、第2回と、出席できておりませんでしたが、議事録は確認させていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

久保補佐

 よろしくお願いいたします。

 ここで傍聴の皆様にお願いでございますが、カメラの撮影は、ここから先はご遠慮いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 議事に入ります前に本日の配付資料の確認を行います。お手元に、座席表の下にクリップどめで資料の束があると思います。クリップを外していただきますと、最初の紙が議事次第及び別紙で出席者のリストがついております。その次が資料1で「地方分権改革に基づく都道府県への認可権限移譲の要件について(事務局案)」でございます。続きまして資料2-1で「水道事業の基盤強化方策の検討の方向性について(論点メモ)」でございます。その次が資料2-2で、パワーポイントの資料になりますが、「水道事業の基盤強化に関する現状と課題、取組について」でございます。その他参考資料が2種類ございまして、一つ目が開催要綱、参考資料2が「平成26年の地方からの提案等に関する対応方針」という閣議決定の抜粋でございます。

 なお、本日は前回の議事録をつけておりませんが、まだ事務的に確認作業の最中ということで、でき次第お送りしたいと思います。

 資料にご不足等ございましたらお申しつけいただければと思います。

 それでは、以降の議事進行を滝沢座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

滝沢座長

 皆さん、遠いところをご参加いただきましてありがとうございます。

 本日は議事が2点ございます。一つ目は従来から議論していただいております地方分権改革における水道事業等の認可権限移譲について、もう1点は水道事業の基盤強化方策について、こちらは今回から議論が始まるところでございます。よろしくお願い申し上げます。

 前回の検討会で都道府県の方、4府県でしたが、お話を伺ったところでございます。今回の検討会に向けて、皆様のご意見も踏まえて事務局のほうにとりまとめをお願いしたところでございます。本日、とりまとめ案というものを資料1でご用意いただいております。

 では資料1について簡単にご説明をお願いいたします。

 

安里補佐

 それでは資料1をご説明させていただきます。

 こちらは、前回、都道府県ヒアリングの際にお示しした事務局案は、こうしてはいかがでしょうかというような疑問形で書かれておりましたが、今回、これで検討会として「よし」といっていただけたらなという思いを込めまして、「……としてはどうか」というのを「……とする」というような表現に直しつつ、全体を整えた形になっております。

 1ページ目でございます。1ページ目は内容的には前回お示ししたものと変更はありませんが、権限移譲の大もとになっています閣議決定を確認的に書かせていただいております。 「平成26年の地方からの提案等に関する対応方針」ということで、本年1月30日に 閣議決定しておりますが、決定内容は枠の中でございまして、厚生労働省の所管の事務権限を、丸数字1から丸数字4の四つの要件を満たしたものについて移譲するとなっております。

 1点目が、広域化等を促進する水道事業基盤強化計画、(仮称)ですが、これを策定していること。2点目として、業務の監視体制を十分に整える都道府県であること。3点目として、その事務・権限の移譲を希望するものに対して、4番目ですが、都道府県内で水利調整が完結する水道事業等、都道府県が経営主体であるものを除いておりますが、こちらを対象に移譲するとしております。なお書きとして、都道府県内で水利調整が完結しない水道用水供給事業から受水する水道事業については、当該水道用水供給事業との事業統合を行うことを計画に盛り込んだ場合には移譲対象とする。これが閣議決定で示された大枠でございます。この大枠のうち、二重傍線を引いている部分、水道事業基盤強化計画の詳細な内容、それから業務の監視体制を十分に整える都道府県、この業務の監視体制が十分というのはどういうことか、ということをこの検討会で議論いただきまして、まとめさせていただくものになっております。

 ページをおめくりいただいて、議論していただいた中身の詳細に入ってまいります。

 今回資料を作成するに当たり、これまでの議論を踏まえまして「記載のポイント」というのを追加させていただきました。記載のポイントをみていただければ求める要件がより具体的にイメージできるかなと思っております。

 2ページ目でございますが、広域化等を推進する水道事業基盤強化計画の内容がどういうものかという説明が2ページ目から始まります。1)は、変更はございませんが、計画に書いていただきたい4要素を示させていただいております。広域化に関すること、それから施設関係、それから水質の関係、そしてそれらの取組の実効性を確保するための取組という四つの構成をとっていただきたいという案にしております。

 2)でございますが。広域化等の推進に関する取組としてどういうことを記載していただきたいか。記載のポイント以外の部分は、おおむねこれまでのものと変わっておりません。1点だけ、細かくいえば、最初のポツの「広域化、官民連携、ダウンサイジング等の水道事業の運営基盤の強化に関する取組」の後ろに「目標年度」と示させていただきましたが、これは、今までも目標年度を示していただきたいというお話はしておりましたが、資料中抜けておりましたので、改めて記載したものです。

 記載のポイントですが、書いていただきたい項目ごとに、イメージをつかんでいただけるように書いてございます。圏域の設定というのは、例にございますが、A市・B市・C町を○圏域、D市・E市・F村を△圏域とするとか、県内一水道を目指す、そういうことを書いていただければと思っております。地域連携の内容、助言や調整の取組についても、同じように例示を入れさせていただきました。

 皆さんが一番関心が高いと思われる目標年度についてもポイントを記載してございますが、広域化等の取組は事業統合だけではなくて様々あると思いまして、前回も事業統合にこだわらず経営統合も入れたらいいのではないかというようなご指摘がありましたが、事務局としてもこの計画の対象は事業統合に限るつもりはありませんで、経営統合といったことも含めておりますが、そういった広域化等の取組について目標年度を示していただきたいということとともに、もしできるのであれば、さらに段階的な工程、段階的な工程ごとの目標年度や年次スケジュール、こちらも可能であれば示していただきたいという内容にしてございます。

 続きまして3ページ目でございますが、広域化の関係で閣議決定のなお書きですね、事業統合を行うことを条件に権限を移譲する場合についての記載を重ねて書いております。統合を条件に権限移譲を希望する場合には、統合をいつまでにしたいと思っているという目標年度と、対象となる事業を明確に示した上で工程を示していただきたいという内容にしてございます。

 それから、目標年度自体でございますが、100年先というわけにはいかないと思っておりますが、大体計画策定から20年以内ぐらいはいいのではないかという形で示しております。参考として、我々がもっております交付金の交付対象期限とか、それから、恐らく手を挙げてくる都道府県は都道府県水道ビジョンを作成されているところが多いと思いますが、そちらの計画期間を調べましたところ、7年から21年というような幅でしたので、20年以内かなという形で書いてございます。

 それから関係者との調整ですが、これは当たり前のことではございますが、水道事業者の方等と意見交換をしていただいて、地域の実情を踏まえた内容にしていただきたいということを書いてございます。

 ページをめくりまして、4ページ目には、施設の整備関係と水質の管理関係を書いてございます。丸数字2の施設の整備関係ですが、ポツを三つ並べてございますが、経年化や耐震性に関する情報とか、2点目で目標の設定と書かれております。こちらについては前回、情報をわざわざ調査していたりすると足踏みになってしまうのではないかというご意見とか、目標の設定自体が厳しいのではないか、広域化より施設のほうが厳しいのではないかというご意見もいただいたかと思います。

 我々が考えております情報というのは、水道統計等で示されている既存の情報があると思いますので、まずそういうデータをもとに取組を考えてほしいという趣旨でございますので、記載のポイントのほうにその点を書かせていただきました。それから施設関係の目標でございますが、ぎちぎちの厳しい目標を挙げなければいけないというわけではなくて、せめて国が示しています、例えば耐震適合率を平成34年度までに基幹管路について50%にもっていこうというような目標がございますが、そちらを参考にしながら目標を定めていただければいいと思っておりますので、その点を書いてございます。

 アセットマネジメントの活用については、実施率の向上だけではなくて、さらに一歩先に進んだ結果をどう活用していくかという取組も言及していただきたいという注釈をつけさせていただいております。

 丸数字3の水質管理についても、同じように具体的なイメージが湧くように記載のポイントや記載例をつけさせていただきました。水質の管理については、都道府県内における調整を都道府県に音頭をとっていただきたいと思っておりまして、水質監視体制自体に都道府県が必ずプレーヤーとして入らなければいけないということは考えておりませんので、もちろんそうしていただいても結構でございますが、県内の調整役として体制を整えてほしいという内容になってございます。

 続きまして5ページ目でございますが、丸数字4は取組の実効性を確保するための取組ということで、こちらも具体的な記載例などを入れてございます。

 計画の内容は以上ですが、5ページ目の真ん中、3)で、前回も国が計画を今後フォローしていくに当たって対面で意見交換をする場を設けてはどうかというご意見をいただきましたので、その趣旨で表現を修正しております。

 4)は、今申し上げたような計画について既に都道府県水道ビジョンなどの設定がありましたら、そちらを引用する形でよいということを示しております。

 それから、5ページ目の下半分になりますが、業務の監視体制についてでございます。こちら、専任職員が5名以上いること、丸数字2として水道技術管理者又は水道技術管理者に準ずる者を置くことという要件とさせていただいております。前回こちらについて、専任職員5名という決め打ちはいかがなものかというご意見もいただいたのですが、全国平均が4名であることを踏まえると、5名は最低ラインとして必要ではないかということで、5名にさせていただいております。

 それから、2点目の水道技術管理者又は準ずる者ですが、水道技術管理者だけにするとなかなか厳しいのではないか、行政経験も踏まえた形にしてはどうかというご意見をいただきましたので、事務局で検討いたしまして、行政の中にさまざまな分野がございますが、認可の指導監督を行っている場合は水道事業の実態にも詳しくなっているだろうと想定されますので、そちらの経験は実務経験に加えた上で水道技術管理者の要件を満たすかどうかを判定していきたいということで、水道技術管理者に準ずる者という形を加えさせていただきました。

 内容は以上でございますが、この内容につきまして、前回ヒアリングに応じていただいた都道府県と、あと二つ、そもそも手挙げ式の地方分権に提案をいただいた都道府県にみていただきまして、ご意見を伺っておりますが、いずれの都道府県からも、これでは厳し過ぎるからやめてくれといったご意見は寄せられておりません。事務局としては、この要件であれば意欲のある都道府県の方は乗っていただけるものになっているのではないかと思っております。

 事務局からの説明は以上でございます

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 前回お示しいただいたものと大体同じだと思いますが、どこか変わったところがありましたでしょうか。

 

安里補佐

 内容的に変わっていますのは、最後の業務の監視体制の部分で「水道技術管理者に準ずる者」というのが加わった、この1点だけになります。

 

滝沢座長

 前回お示しして、前回の会議でもいろいろなご意見をいただいたところではございますが、その点も踏まえて事務局内で議論いただいて、各自治体、都道府県にも原案についてご意見をいただいた上で事務局案としてお示しいただいたものでございます。事務局といたしましては、できればこの案で皆様のご承認をいただければというところではございますが、ご意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

 前回、私の記憶では、ややご意見が出たのは目標年度を示すというところと、専任職員の問題ですね。国が適宜状況を把握するようにというのは対応済みだと思いますので、そのようなところでしょうか。改めてごらんいただきまして、皆様ご意見ございますでしょうか。

 どうぞ。

 

鍬田構成員

 2点ほどお伺いさせていただいてよろしいですか。

 広域化に当たっての基盤強化計画の中には、ある程度具体的な市町村の名前が入っていないといけないものを想定されているのですか。これから調整を始めようとするところも出てくるかと思います。計画ということは、ある程度内部で調整が進んでいる状態でないと計画に書けないわけですね。そうではなくて、今後やっていこうと思っているが、まだ市町村内で考えがまとまっていないところも含めての計画も含まれるのですか。

 もう一つは、目標年度の話がありましたが、目標年度を書くということは、逆にそれが達成できなかったときのペナルティみたいなものを何か考えられているのかどうか、そうでなければ、逆に目標年度は要らないのではないかという気もするのですが、その2点について教えてください。

 

安里補佐

 ご説明いたします。

 まず具体的な市町村名まで入った計画になる必要があるかどうかですが、手を挙げている都道府県の中で、事業統合するから認可権限をくださいといっているのか、そうでないかによって分かれてくると思います。事業統合を要件としない場合にはそこまでぎちぎちなものでなくても大丈夫なのですが、用水供給事業とこの水道事業を事業統合したいと思っているので権限をくださいという形になる場合には、明確に対象事業体名も書いていただく必要があると思っています。

 そうでない場合の話ですが、そうでない場合でも、当然圏域の設定とかをする場合には市町村名が入ってくると思うのですが、我々がイメージしていますのは、都道府県の水道ビジョンを書くに当たって、記載例に書いているとおりですが、A・B・Cは何圏域で、D・E・Fは何圏域というような書き方を、どれほどぎちぎちした意見照会かはわかりませんが、関係市町村にこういう水道ビジョンを書こうと思っているけれどいいですか、いいですよというようなやりとりを常識の範囲内でして策定していると思うのですが、その程度の合意といいますか、勝手に書いているだけだと認められないと思いますが、一言は断っていて、水道ビジョンなりの大きな、何十年先ぐらいの計画について書くのはいいよというような合意はできているというイメージでおります。

 それから、目標年度を達成できなかった場合にペナルティがあるのかというご質問でございますが、事業統合を要件として権限を移譲するものでなければ、目標年度を徒過したからといってペナルティというのは考えておりませんが、何年までに事業統合をするという目標を掲げてやっていますという都道府県が、我々は毎年フォローしますので、目標達成に我々としても応援していくわけですが、目標を達成できなかった場合には、法令の枠組みとしては指定して権限を移譲するという形を考えておりますが、指定の効力を一部停止するというような規定も用意はしたいと思っています。ただ、実際にそれを使いたいと思っているかというと、もちろんそうではなくて、毎年度のフォローで実現に向けていただきたいですし、もし達成が厳しいという状況がみえてきて、逆にもう少し先なら大丈夫ということになりましたら、計画を策定し直していただくとか、そういうことをして対応していきたいと思っております。

 

滝沢座長

 よろしいですか。

 ほかにご意見ございますでしょうか。

 どうぞ。

 

阪口構成員

 今の鍬田先生と近い話ですが、前にも私はいったと思うのですが、あくまでこれは、都道府県が都道府県内の広域化を進めましょうという意気込みが大事なのです。ですから都道府県のビジョンに、うちの都道府県はこんな形で広域化を進めますよ。奈良県でしたら三つぐらいに圏域を分けて、こうやってやろうね。大阪府の場合でしたら府域一水道だといっています。今後20年程度で府域一水道を目指しましょうといっていたら、それで広域化の対象の事業体は全部権限移譲してあげたらいいのではないですか。

 

安里補佐

 閣議決定に従って構成をつくっておりますので、なお書きに当たらない場合にはおっしゃっていただいた広い意味で、県内一水道を目指してやります、目標年度は20年先なら20年先でと宣言していただけるのであれば、水利調整が完結する事業体については権限移譲するという方針でおります。ただ、水利調整が完結しない場合の特別な取り扱いは、閣議決定のなお書きの部分ですが、こちらについては事業統合を目標にやっていただきますので、都道府県を疑うわけではないのですが、閣議決定で書かれていることと齟齬を来しては問題がありますので、目標年度を宣言していただいて、それに向けてちゃんとフォローさせていただきたいと思っております。

 

阪口構成員

 私も閣議決定は読ませてもらっているのですが、なお書きのところはあくまで用水供給事業との事業統合を行うことを計画に盛り込むといっているのです。盛り込み方です。大阪府の場合は大阪府が府域一水道を目指しますといっています。計画に盛り込んでいるのです。それは、どことどこがいつまでにやるというところまで突っ込む必要はないだろうといっているのです。

 前にもいいましたけど、決まったところをやるなら、都道府県が促進する必要はないわけです。広域化に向けて、後ろを向いているところを、前を向かすことをしないといけないわけです。ですから、統合が決まっているところではなしに、対象の事業体を全部権限移譲するべきだといっているのです。

 

安里補佐

 今やりとりをしながら、ちょっと誤解があるなと思ったのですが、大阪府の府内一水道を平成四十何年ぐらいまでにやるという宣言で、オーケーですというと変ですけど、前後するのですが、計画としか書いていないというお話でしたが、計画というのは、いつまでに何をやるというのがセットで計画だと行政としては読むのが通例だと思っていまして、そういう意味で、計画と書かれているのに「いつまでに」の部分が全くないというのはあり得ないだろうというのが一つあります。

 それから、先ほど私の説明で、事業統合を条件とする場合にはそうでない場合よりもきっちりとしたものをとご説明したので、皆さんの頭の中に、そうすると広域化等の取組は20年先でもオーケーだけれども、事業統合はもっと手近な目標でないといけないというイメージが湧いてしまっていたら、それは私の説明が間違っていたというか、ミスリーディングでして、事業統合をしますという目標年度も20年先で構いませんので、恐らく手を挙げる都道府県は、水道ビジョン等で何十年先までには一水道を目指したいとか、何十年先には県内を三つぐらいに事業統合で固めていきたいというようなことは打ち上げていらっしゃるのではないかと思いますので、そういう意味で、この案で意気込みを後押しするような形で権限移譲ができるのではないかと考えております。

 

阪口構成員

 今の話を聞いたら私がいっているのと同じなのですが、この記載のポイントだと、具体的にどこどこの市が統合する、いつまでに、というのを書かないといけないことになっているので、でなしに、あくまで統合の対象となるのは府域全域でなければいけない。水利調整のできないところはだめ、これは閣議決定で決めていますから、例えば豊中市みたいに別の河川からとっているところはだめ、これはわかっているのですが、それ以外のところならみんなオーケーにしてあげたらどうですか。

 

安里補佐

 今やりとりをさせていただいて誤解を生んだ原因がわかったのですが、なお書きを適用する事業統合の場合に工程を明確に示してほしいと書いていますが、これは言葉が足りなかったなと思ったのですが、20年先の目標であるとして、20年先に到達するまで、3年後にはこれをする、10年後にはこれをするというようなものではなくて、20年後にここに行きたいというものがあったときに、例えば来年とか再来年は具体的にどうするかということは、さすがに決まっていると思うのです。そこを書いてほしいという意味で、記載のポイント等は通知等に生かさせていただこうと思っているのですが、その際にきっちり見直しを入れたいと思いますが、なお書きの適用になる事業統合だからといって20年間のびっちりとした工程を示せということは求めておりませんで、権限移譲してくださいと手を挙げた段階でみえている2年なり1年、もしかしたら3年先ぐらいまで決めているかもしれませんが、わかっている範囲の具体的なことを示してほしいという内容にしております。

 

滝沢座長

 まず、水利権の調整ができるかできないかという違いがあって、水利権の調整が要らない場合は原則として圏域の設定をすればいいという趣旨ですね。1ページ目にありますなお書きのところで、当該水道用水供給事業との統合を行うことを上記計画に盛り込んだ場合には権限移譲しますということが書かれておりまして、これに沿って統合を条件に権限移譲する場合はという3ページ目の四角書きが書かれている。そこに統合目標年度と、統合を計画する水道事業及び用水供給事業を明確に示し、統合に向けた工程を示すというところがご意見をいただいているところかと思います。

 読み方ですが、20年以内であるということは、最長20年後にはこういう姿になっているよということをまず示していただく必要があって、逆にいうと、20年たっても統合が実現できないような計画は計画とはいえないのではないかという見方もできると思います。2行目に書いてあります統合に向けた工程を示すとなると、ここに書かれているA水道、B水道、C水道は3年後、4年後、5年後、これを明確に書いていかなければいけないのかとなると、そこは前回もご意見をいただいたところでありますが、そこまで今の段階で明確に書ける状況にはないだろうというご意見をいただいているところですが、今それほどがっちりしたものではなくてもいいようなご回答をいただきましたが、もう少しこの辺をご説明いただけますか。

 

安里補佐

 なお書きの適用対象で移譲する場合については、我々も、特別な扱いをしますので、計画が実現するに当たって、本当に大丈夫だろうかという不安を解消する意味でしっかりしたものを示していただきたいと思っていまして、しっかりしたものの中身ですが、目標までの毎年のスケジュールを示すというところまでは求めておりませんで、統合に向けて来年はどうする、再来年はどうするという、みえている射程の範囲内のことをちゃんと書いていただきたいという意味でこの記載を入れております。

 それから、先ほどお伝えしませんでしたが、統合の進め方について、例示として協議会を設置して、業務の共同化をしてと書いていますが、何年先と決めていないけれども、手順としては協議会を置いて、まず業務を共同化してどうしていくというのを決めている場合には、そちらもきっちり書いていただいて、都道府県がやろうと思っていることをみさせていただいて、これはちゃんと統合するだろうと思えるものになっていればそれでいいと思っております。

 

滝沢座長

 ということですが、いかがでしょうか。

 湯谷構成員、どうぞ。

 

湯谷構成員

 なお書きのことではなくて全般的なことでお話ししたいと思うのですが、水道事業基盤強化計画(仮称)ということで「計画」となっていますが、これまでの議論といいますか、私の理解としては、あくまでもビジョン的なものと理解しておりまして、ビジョンといったら実行計画ではないですね。構想的なものと理解しているつもりですが、それで間違いないですね。

 であれば、都道府県にとってこの計画がどの程度のものかというのは非常に関心があるところなので、今後、法制化に向けて通知等でその辺の考え方を示されるということですので、そういう趣旨をきっちり書いていく必要があるのかなと思っております。

 

滝沢座長

 これは(仮称)になっていますが、今後どういうふうになるのでしょう。

 

安里補佐

 こちらの名称を政令に記載する形になると思っておりまして、どういう表現がいいか、法制局という法律の文言をチェックする部局と調整しております。調整がつきましたら正式名称になるというものでございます。

 

滝沢座長

 では湯谷構成員のご意見も参考にしていただきまして、「計画」となると、先ほどの話ともつながりますが、物ごとをすごくがっちり進めていくような感じを受けるということだと思います。

 柳川さん、何かございますか。

 

柳川構成員

 ちょっと流れとは違う方向で、基本的には、まあそうだろうねと思って聞いておりましたし、できるだけ簡単にという趣旨で、応援してくださいよというのが一貫した私の姿勢ですので、そうみたいだなという印象を私は受けたのですが、どうですかね。

 それはそれとして、ウーンと思っているのが、この目的が統合とか連携ではなくて、基盤強化が目的とちゃんと書いてあるし、そのとおりだろうと思いますが、それはもっともらしい言葉だけれども、改めて出てきた言葉ではなくて、過去ずっと言い続けてきて、いまだ。そこに少々問題があるのではないでしょうかというのが問題提起です。もうちょっと具体が欲しいな。

 ここで具体がどれだけ出てくるかはわからんけれども、何が一番私のところで困っているかというと、更新したいけれども金がないということなのです。そのことを考えたくもないというのも現実としてたくさんありそうだ。で、どうするの話があるわけですから、基盤強化という名前だけでやめないで、その実態は財源の確保ですよとか、そういうことが広域の連携ですよ、統合なのですよということにしてもらわないと、統合・連携の作文をすれば何かうまいことがあるのかみたいな話はちょっと違うのではないか。私の趣旨をすべてをあらわし切れないでおりますが、まずそう思いますというのが1点。

 いま一つは、この議論がどこまで続くかわからないでの話ですが、手の挙がったところはいい。皆さんもこれでいいといっている。だからいいのでしょうけれども、そうでないところの話です。どんどん続けてほしいのか、ある一定で権限移譲はやめたいのかというのもよくわからない。本当に圏域とかいうところに明かりがあるとすれば、どんどん推し進めるようなシナリオでないといかんと私は思うけれども、どこかでブレーキがかかっているような気がする。気がするですよ。それはどういうことなのでしょうかねということ。

 

安里補佐

 次の話題につながる話かなと思うのですが、この検討会はまさに基盤強化の検討会で、その中の一つとして今回の権限移譲の話がありますが、柳川構成員がおっしゃるように、我々としても、これは水道事業の基盤強化のために都道府県が頑張っているなら権限を上げるという構成を考えていまして、その一つとして事業統合なりで強化していくというのがあるのですが、この方向性をどう進めていくかについて、今回は閣議決定がこの部分だけ取り出されて決定されていますので、まずはこれはやります。今後これを発展させていくのか、それとも別の手法によって基盤強化策を推進していくのか、まさにこの検討会で議論していただきたいと思っていまして、それが本日の議題の二つ目になります。

 

久保補佐

 一つ目のご指摘の水道事業基盤強化計画の中身が広域化ばかりにみえるというのは、確かに私も議論していてだんだん頭の中がそうなってきている部分はあるのですが、あくまで計画に書いていただくのは広域化などの運営基盤強化に向けた、つまり人をふやしましょうとか、大規模化しましょうという取組だけではなくて、老朽化施設をどうやって更新していくのかという話、耐震化の促進の話、さらには広域的な水質管理をどうやるのか、この3本柱を全部書いてくださいということにしておりますので、広域化の計画だけあれば権限がおりるという形にはなっていないということでご理解いただければと思います。

 

柳川構成員

 多分そうですよね。どこで議論したってそうなるのです。だから、シナリオがわかりませんけれども、今はこういう部分が大事だけれども、足りない部分があるのですよといいたい。その足りない部分というのが、よそは知らないけれども、うちの事業体は四、五年前から議論がある。そういうところの議論がどこかであればいいなと思っています。

 

滝沢座長

 2番目の議題と密接にかかわる部分ですが、いろいろな施策の関連性をどこかで明示しながらやっていくことも重要かもしれないですね。これからいろいろなことに取り組まれると思うのですが、それをわかりやすく示すということも大事かもしれませんね。

 柳川さんのご指摘の二つ目ですが、第1段のグループとして現在やりたいという都道府県が幾つか手を挙げると思うのですが、その後、次が続かなくなってしまうと困りますよとご指摘されているのですが、阪口さんは恐らく同じような観点からご意見をいただいているのではないかと思うのですが、現在意欲が非常にあるところ、前回ご意見をいただいた自治体などはそうだろうと思うのですが、そこでとまってしまったら日本の全国の水道は、いいところとそうでないところに分かれてしまう。それではいけないだろうということで、基盤強化の計画そのものにどういうことを盛り込むかということももちろんありますし、議題の2で議論すべき内容もあるのですが、今現在、まず第1段階の成果をしっかりと見定めて、手を挙げたところにいい先例をつくってもらうということがまずやるべきことだと思いますが、そこに続いてもらうために、我々もしっかり考えなければいけないと思うところですが、今の時点で第2段策のグループを促す方策というのは、考えがありますでしょうか。

 

安里補佐

 正直、我々もそれをこれからどうしようか、頭を悩ましているところで、皆さん共通認識でいらっしゃると思うのですが、都道府県によって非常に取組に差があるという状況になっています。今回、優秀な都道府県についてはこの道が用意されたわけですが、やる気がないところにどう火をつけていくといいますか、どう動き出してもらうかというのに非常に頭を悩ましています。それがまさに本日これから議論していただくところで、皆さんのお知恵をいただきたいところでして、また、都道府県がやる気を示したときに、必ず権限移譲の道に進んで、このルートに乗って都道府県としての役割を果たしてもらうのか、それとも、ここには行かないけれども、違う形で都道府県として県内の水道行政を引っ張っていただけるような役割があるのか、そういうところも含めて今後検討したいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 

滝沢座長

 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

 

浦上構成員

 前回休んでしまいまして、議事録を確認して、また、大阪府には個別に説明いただきまして、そこで考えたことですが、例えば大阪府がほかの都道府県と違うところは、市町村それぞれの規模がある程度大きくて、自立的な経営が既に達成できている。ほかの都道府県は経営が脆弱なところがほとんどですので、広域圏を設定するとかいう形で、広域化というものが基盤強化の一つの重要な方策となり得る。ただ、大阪府は傘下の市町村それぞれがそれなりに自立的な経営をされていますし、そういう意味では、大阪府内において広域圏とか、あるいは府一水道ということをおっしゃっていますが、それは多分まだ先の話で、目先の話では、それぞれが自立しているので、それを支援したいという思いで今回手を挙げられていると思うのです。

 そういう意味では、今すぐに経営統合、事業統合を含めた広域化ではないけれども、市町村の広域化以外の老朽化施設の更新とか耐震化の取組に対していろいろかかわっていかれる、そういうリーダーシップをとりたいという都道府県におかれても権限移譲を可能にしていただけたらなと思います。ただ、大阪府のような個別の市町村がそれなりの規模があって、自立的に経営されているという状況なので、ある意味、特別なケースかとは思うのですが、そういう都道府県としてのリーダーシップのあり方、市町村とのかかわり方においても権限移譲が認められるとお考えですか。お伺いできればと思うのですが。

 

安里補佐

 大阪府型でなくても大丈夫かということだと思うのですが、今回我々が考えていますのはあくまで枠でございまして、経営基盤の強化についてどういうことをやろうと思っている、施設の関係をどうしようと思っている、水質の関係をどうしようと思っているという宣言をしていただいて、それがそれぞれ運営基盤の強化になっていますねと確認できたらそれでいいと思っておりまして、トップランナーになっているのだと思いますが、大阪府のようなタイプの基盤強化に限るつもりはございません。

 実際、広域化とか運営基盤強化となると事業統合とかがメーンになってくる向きがありますが、まだ相談を受けているわけではございませんが、事業統合は一切する気がない、経営統合なり事務的な協力をするだけであるけれども、県内が手を取り合って運営基盤を強化していきたいと思っているというような申し出がありましたら、それはそれで認める方向になるかと思っておりますので、このやり方でなければだめだということは全く考えておりません。都道府県の方々に知恵を絞っていただいて、うちの県としてはこういうやり方で水道事業の基盤強化に取り組んでいきたいということを、「計画」という形にしていますが、ある意味、宣言していただいて、無理がないなと我々として認められましたら権限を移譲していくということを考えております。

 

滝沢座長

 いろいろご意見をいただいたところでございます。浦上先生のご指摘にもありましたが、私、日本全国の水道を全部みたといえるほどみてはいませんけれども、地域によって経営状況、発展の歴史、水源の状況、いろいろな状況がさまざまでございます。それが経営状況に反映している部分もあろうかと思います。そういう意味では、全国のさまざまな水道を一くくりで、これをやったらうまくいきますよと、一つですべてがうまくいくという状況にはないというのが日本の水道の多様性でもあり、地域の特性が反映されていておもしろい面ではないかと思います。

 柳川さんにもご指摘いただきましたし、阪口さんにもご指摘いただいた点は、そういう多様な水道が取り残されてしまうような制度は好ましくないだろうという視点からのご意見だっただろうとお聞きしました。そういう意味では、今回の広域化、権限移譲に関する部分、これだけが施策ではないということと、これを実行するに当たって、最低限のラインといいますか、原則を多分ここに示していただいて、具体的にどういう計画になるかというのは、これから、ポイントという形で幾つかリストしていただきましたが、もう少し具体的に、何を書いたらいいかというのがわかるような形でお示しいただけるということですね。

 どうぞ。

 

有田構成員

 前回のところで少しわかった気はしていたのですが、本日のご回答の中で疑問が生まれました。どこか先進的に行われているところでの事例、事業統合と経営統合が一緒でなくてもという説明について具体例を教えてください。これまでの経験で、事業と経営は一体で動いているのが普通と思っていましたので、事業統合と経営統合、それぞれ違ったやり方で行われているところとかイメージというのをもう少し教えていただけたらと思うのですが。

 

安里補佐

 事業統合と経営統合のイメージだと思いますが、事業を統合する場合は、A町とC村の事業が一つになりますので、簡単にいうと、水道料金も同じになって、同じ施設を同じように利用していくという感じです。経営統合の場合は、経営者は同じになるのですが、事業としては分かれたままでもいいという形にしますので、水道料金がかけ離れているので分けたまま、それぞれの事業として収支をもって経営していきたいというのも認める形が経営統合というふうになります。

 

有田構成員

 佐賀県かどこかは経営統合でしたか。料金が違う。

 

柳川構成員

 昔ですね。

 

有田構成員

 そういう時代があった。ただ、一般的には事業と経営が一緒に動いていくので、特殊な形だと思うのです。なので、いろいろなところで説明されるときは、そういう事例をご存じの方はわかるかもしれませんが、普通は説明がないと疑問がわきます。

 

滝沢座長

 水道ビジョン等にも書かれていますが、広域化というのは、もともとは事業を完全に統合するということが目標ではあったのですが、実態を考えて、必ずしもそれに限らない、今いわれたものも含めて、いろいろな形の広域の連携を認めようというのが水道界の流れになってきています。

 ほかに何かご質問、ご意見ありますか。

 

有田構成員

 さまざまな計画といったときに、大体こういうことなのだろうなというのは私の頭の中には浮かんでいるのです。当然計画がないものは動きができなくて、それぞれの頭の中を統一的にするためにも計画というのは地域ごとに必要だと思うのです。そのときに、例えば計画策定時から、目標年度はわかるのですが、普通は3年度計画とか5年度計画で書かれていくと思っています。例えば3年後には事業統合であればこんなことをしていればうまくいくのではないですかとか、経営統合であればこういう形で動かしていかないとできないですよという先進事例みたいなものを、すべてが当てはまるとは思わないのですが、そういうことは考えていらっしゃらないのですか。

 

安里補佐

 都道府県の取組を後押しする意味でモデルを示したらいかがかというご意見だと思うのですが、それについては、今回の計画という形ではないのですが、水道行政は新水道ビジョンを打ち立てて、そのビジョンの中にこういうやり方もありますよという手法をご紹介させていただいたり、地域の懇談会という形で好事例を発表いただいて、やりとりをさせていただいて、それぞれヒントをもって帰っていただいたりというような取組をしていますので、そうした中で、うちの県はこれならいけるとかいうのをつかんでいただきたいなと思っております。

 

有田構成員

 ありがとうございました。そのときは、前回である程度事業統合、経営統合の話もわかったのですが、私の中では水道事業基盤強化計画が一番大事なのは老朽化施設の計画的な更新だと思って話を聞いていました。中々、そこまで行き着かないので、すごく違和感がありました。そこも、入ってくるということでいいわけですね。

 

滝沢座長

 よろしいですか。丸数字2に書いてありますが、老朽化施設の更新計画は記載してほしいという項目の中に入っています。

 ほかにご意見いかがでしょうか。

 なければ集約しますが、いいですか。

 先ほど少し話かけたところでございますが、さまざまなご意見を頂戴しました。ありがとうございます。ここに書かれた原則がございますが、あくまでも原則でございまして、具体的な計画が上がってきた段階で、書かれ方というのは、その地域の特性、事情、歴史的な状況に応じて少しずつ異なったものが出てくるだろうと思います。その辺は厚生労働省と当該地方自治体、都道府県ともさまざまな形での協議が必要な場面が当然出てくるだろうと思います。そういう中で今いただいたご意見をしっかりと酌み取って、できるだけ皆さんの背中を押すような、後押しするような形で進めていただくということで、こちらのポイントのほうも、もし詳しくお書きになるのであれば、できるだけ皆さんが「これならやれるな」というような書き方をぜひ工夫していただければと思います。

 そういう形でまとめさせていただきまして、原案をご承認いただくということでよろしいでしょうか。

 特にご異議がなければ。

 どうもありがとうございました。それでは原案のとおりご承認いただいたということで、今の点についてぜひ事務局でもご検討いただきたいと思います。

 それでは、続けてということになりますが、議題の2番目になります。水道事業の基盤強化方策について、事務局から資料2-1と2-2についてご説明ください。

 

安里補佐

 それでは、まさに今の手挙げ式の権限移譲が一例ではありますが、それ以外の方策として基盤強化についてどういうことがあるかをご議論していただきたいと思っておりまして、事務局として資料2-1と2-2をご用意させていただきました。

 資料2-1、2-2の関係性ですが、資料2-2、分厚い資料になりますが、こちらはパワーポイントの資料で、現状と課題、それから取組についてまとめさせていただいております。第1回のときに水道事業の基盤強化に関する現状と課題という資料を幾つかお示しさせていただきましたが、現状と課題についてもう少し深堀りするような資料、それから、実際そういう課題についてどういう取組を行っているかというものをまとめさせていただいています。こちらがある意味、水道事業の現状を示している資料になるかと思います。

 そこを踏まえた上で資料2-1をつくっております。本日ご議論いただきたいと思っておりますが、基盤強化方策の検討の方向性といいますか、我々としてこれが論点だと思っていて、ここをどうしたほうがいいだろうと思っていること、考えるに当たってこういうことを気にしたほうがいいのではないかというようなことをまとめさせていただいております。本日は時間の関係もありますので資料2-1を説明させていただきながら、適宜パワーポイントの資料をご紹介させていただくことを考えています。

 最初に、資料2-2の2ページ目にあります水道事業の抱える課題と取組のところで、共通認識といいますか、我々が思っている水道事業の課題の構造を皆さんにご説明しておきたいと思います。

 水道事業の抱える課題と取組としておりますが、直面する課題として三つ、人口減少に伴う課題として三つ書いております。水道事業が直面している課題といたしまして、管路の老朽化とか、耐震化とか、職員数が減少していること、これはまさに直面している課題としてあると認識しております。続いて人口減少社会が進むに伴って必ずやってくる課題といたしまして、課題の4、5、6としていますが、料金収入が減るとか、施設の最適化をしていく必要があるのではないかということ、それから過疎地域が生じてくるでしょうから、そこへの対応をどうするかというような課題があると思っております。

 また、その他の課題として、基盤強化という観点に限らないのですが、水道事業が直面している課題として、水質の確保とか、危機管理体制の話、それから水循環基本法が制定されましたので、そういうこともありますよという形で紹介しております。このパワーポイントは目次の役割もしておりまして、後ろに(p.3)などと書いておりますので、詳細な資料はページを参照に後ろをめくっていただければと思います。

 こうした課題を我々は認識していますが、それに対応する取組といたしまして、右上になりますが、我々としてこうしてほしい、こうするべきだと思っていますのが、水道事業体のほうで、それぞれ個々の事情があると思いますので、置かれた状況を把握していただいて、その地域の実情に応じてどういう対策をとるか検討して、実際に対応していただきたい。これが津々浦々の水道事業体でやっていただければいいなと思っている形でございます。

 そこにもっていくために、今我々なり都道府県がやっている支援を右下にまとめておりますが、国や都道府県としては、ローマ数字の1でございますが、立入検査等で個別に指導する場面があります。

 それからローマ数字の2ですが、ツールの提供などをして検討を支援・促進している。細かくいいますと、ツールを提供しているもの、新水道ビジョンの推進とか、アセットマネジメントの推進とかをしている部分と、実際の対応の手法を紹介しているもの、広域化の推進についてこういうやり方がありますよとか、官民連携もありますよというような手法の紹介をしている部分がございます。

 そして、大きな柱の3点目ですが、予算措置もしておりまして、全事業体がその対象になるものではありませんが、施設整備の補助をするような形で水道事業体の動きを後押ししているというのが今我々がやっている水道行政の枠になっていると思います。

 その認識をもちまして作っていますのが、資料2-1に戻っていただきまして、論点メモでございます。こちらは総論と各論に分けておりますが、総論のほうで我々が今思っています検討の方向性を大きくまとめております。

 総論の1に書いておりますのが、今まで厚生労働省において対策、どのようなことをしてきたかといいますと、今申し上げた形ですが、水道事業体を後押しするということを一生懸命やってきたつもりです。ただ、長年働きかけをしてきたつもりですが、いまだ課題解決には至っていない状況にありますというのが1段目でございます。

 2段目に書いておりますのが、各種ツールの提供、アセットマネジメントの簡易ツールの提供とか、耐震化計画の策定ツールの提供とか、さまざまなツールの提供をしておりますが、もう出そろったかなというところにあります。また、予算の誘導、こちらは国の財布が無限に開いているものではありませんので、一定の制限があるということを考えると、今までやってこなかった新たな手法を取り入れるときがきているのではないかと思っております。

 新たな手法の例としては、情報発信の働きかけ。我々のほうでも、水道事業、今手を打たないと将来危ないことになるのではないかという危機感とか、水道事業体同士で健全な競争意識をもって取り組んでいただけるような情報発信や働きかけができないだろうか。それから、2点目ですが、我々は立入検査等に行きましても技術管理者の方に語りかける場合が多かったのですが、先ほど来話題になっていますが、施設の更新をしたいけれどもお金がないというのはまさに経営にかかわる問題ですので、技術面だけではなくて、首長、事業管理者の方への働きかけを強化する必要があるのではないか。それから、今まで行政指導スタイルで、法令上の義務付けという形はとっておりませんでしたが、場合によっては法令上、更新の義務とか、何らかの義務付けをするようなことを取り入れたほうがいいかもしれないと考えております。

 2点目ですが、こちらは水道法の歴史になるのですが、水道法自体が昭和32年につくられておりまして非常に古い法律である。その当時は普及率が低くて、整備普及を図ろうという時代の法律ですので、普及率が97.7%に達していることを踏まえて、また最近の気候変動によること、水循環基本法などが制定されたというような時代の変化に応じて変えるべき点があったら変えたほうがいいのではないかということが書かれております。

 以上を総論としまして、続いて各論に入っていきます。各論のほうは、柱立てですが、まず老朽化・耐震化対策などの施設整備関係、それから、施設整備をするに当たって財源の確保が必要ですので、水道料金の設定の関係、それから、そうしたことをやるためにも職員がいて検討する体制が必要ですので、それを進める意味でも広域化の推進等をどうするのだというような関係、それから施設規模の最適化、過疎地域、その他というような柱立てで書かせていただいております。

 戻りまして1ページ目、各論の解説に入ってまいりますが、各論の一つ目として水道施設の整備維持関係についてまとめております。1番目は皆さんよくご存じのことだと思いますが、昭和の建設投資のピークから大分時がたちまして、特に耐震化が弱い管路については待ったなしの更新が求められていると思うのですが、そういう検討をすぐさま始めていただくにはどういうことが必要だろうかというようなことを書いております。

 パワーポイントの資料としては6ページ目が関連すると資料中にも書いておりますが、設備投資のピークがある図で、これは第1回の資料にもお示ししたものになります。

 それから2点目ですが、我々として更新を実際に進めていくためにアセットマネジメントの推進というのを今までやってきました。資料は73ページから76ページになりますが、施設の状況を把握して、更新需要を把握して、どれぐらいお金が要るかを考えて、ピークを分散させたりして更新計画を立てる、そういうことを検討しやすいようなツールを提供しているわけですが、こちらの実施状況自体は6割いっておりますが、パワーポイントの76ページ目に状況をまとめておりますが、アセットマネジメントをやりましたかということに対して、何かしらやりましたというところは6割を超えておりますが、それをもとに更新計画とかをつくりましたかというところについては、アセットマネジメントはすごく簡単なものから難しいものまでございますが、高度なアセットマネジメントをやっていただいた事業体においても2割程度しか更新計画に反映していない。

 つまり計算はしてみたけれども、それをもとに実際の行動には移せていない。アセットマネジメントという言葉からすると、ちゃんと資産を管理して初めてマネジメントができているといえると思いますので、非常に心もとない状況にあると思っていまして、ここを一層推進するためにどういうことができるかを考える必要があるだろうと思っております。

 続いて2ページ目の真ん中の水道料金関係の柱になります。施設の状況を把握していただいて、これは更新が必要だとなったとして、では財源をどうするかというところでございますが、水道事業は水道料金をとれる形になっていますので、まずは水道料金の状況を気にする必要があると思うのですが、25ページに資料を用意しております。

 こちらは前回もお示しした資料になります。25ページ目の資料に棒グラフがあって、上に折れ線グラフがついておりますが、この折れ線グラフをみていただくと明らかですが、給水原価が供給単価を上回る状況が続いております。つまり料金収入で事業運営が賄われていない状態になっていると思われますが、こういうことは問題なのではないかと書かせていただいております。

 それから、2点目でございますが、施設の更新需要に対応するような資産維持費というものを水道料金に盛り込んでください。これは水道法の供給規定の条文を受けた省令の中でも資産維持費というのはみる対象ですよと書いておりますし、日水協で算定要領というのをつくっておりますが、その中でも明示的に触れているところでございます。

 関連資料としては、今みていただいたところを1枚おめくりいただくと、27ページ以降になりますが、水道料金の適正な設定についてということで、日水協がつくられた水道料金算定要領をパワーポイントに落とし込んでいるものですが、この中でも資産維持費を積みましょう。日水協の提案では対象資産に3%を掛ける形で算出しましょうと打ち出していらっしゃるわけですが、これが余り浸透していない状況にあります。

 隣のページの上のほうですが、29ページで資産維持費にかかる水道事業体の実態という資料がございますが、こちらも日水協の調査結果を紹介させていただいております。資産維持費相当額を参入しているかどうかということで、しているところは過半数に届いていない。43.2%にとどまっていますし、率の設定をしている、していない。していないところが3割程度ありますし、率を設定している場合にも、率の設定状況が、29ページの左下、文字が細かくて恐縮ですが、日水協が推奨している3%を守っているところは非常に少ない状況になっています。本来、資産維持に関する費用を水道料金に乗せてとっていく、こういう考え方を浸透させるために何ができるだろうかというのも一つの論点だと思いまして示させていただいております。

 続いて2ページ目の下のほうですが、事業基盤強化(広域化の推進等)関係としております。今申し上げました(1)の施設の整備とか、(2)のそれに向けた水道料金をどう考えていくかという検討が必要になってきますが、それをするためにも、職員の方が非常に少なくて日々の運用に追われていく場面ではなかなか検討が進まないと思います。職員数自体、全体として減っていますし、職員の高齢化も進んでいますので、「広い意味での広域化」と書いておりますが、いろいろな形で水道業界の中で人材の活用を図っていく必要があるのではないか。活用を図れるような余力があるところといいますか、活用を図るべき人材は、大都市の水道事業体とか、都道府県で用水供給事業をされているようなところにいるのではないかと書かせていただいております。

 関連資料は18ページ目から21ページ目としておりますが、こちらは水道事業体の職員の推移についてまとめた資料になります。18ページ目は第1回の資料でもお示ししましたが、職員の数が減っている状況を示しておりまして、おめくりいただいて、同じ分析を用水供給事業でしておりまして、例えば用供の事業体規模別、事業主別で職員の分布をみている資料になっております。また、21ページ目ですが、職員の数が少ないと職員の負担が大きいですね。ある意味、当たり前のことですが、そちらの資料もお示しさせていただいております。

 論点メモの3ページ目になります。広域化の話が続いておりますが、2として、広域化の利点として、今の規模のまま施設の更新を適切に行い得る料金設定を行った場合に、非常に高額な水道料金になってしまう市町村が出てくるという指摘もされております。こちらは資料の32ページ目に示しておりますが、新日本有限責任監査法人が行った試算ですが、これをみていただくと非常に高い水道料金の設定が将来見込まれるところが示されております。

 一方、統合いたしますと施設を共用化できたりして値上げ幅が圧縮できるということもございますので、広域化はそういう点でも有効ではないかと書かせていただいております。資料の9394ではなくて、9293になると思いますが、こちらは実際に統合によって値上げの幅が抑えられた事例を、岩手中部地域の例ですが、示させていただいております。

 それから、3としておりますが、官民連携というのも職員が少なくなっている場合の対応の手法として考えられるものでございますが、民間企業が参入意思を示すのは、初めから一定以上の事業規模を有しているところになるのではないかという点も触れさせていただいております。こちらは96ページの資料に官民連携について推進協議会をしていますということを紹介させていただいております。

 4点目ですが、経営統合や事務協力、事務代行とか官官連携、いろいろなやり方がありますが、広い意味での広域化の推進を一層図っていくために何が必要か、まさに議論いただきたいところですが、事務局として書かせていただいたのは、職員が少なくて広域化の検討を行う組織体力がない水道事業体を助けて、引き受けていただく関連する水道事業体の方に広い視野をもって課題の検討をしていただけないかというような働きかけを行うには、都道府県内全体を見回して企画立案を行う立場にある都道府県の関与が必要なのではないかと書かせていただいております。広域化の推進における都道府県の役割を強化すべきではないかと書かせていただいております。

 関連資料は94ページになります。水道課で行った調査の結果をまとめたものですが、水道の広域化が進まない理由についてアンケート調査を行った結果をまとめております。

 5点目ですが、広域化を行うに当たっては、これは今すぐではなくて将来、100年先ぐらいの話になるかと思いますが、効率的な水質管理やエネルギー効率の観点からは、将来的には流域単位でまとまっていくことが望ましいのではないかというのも書かせていただいております。資料のほう、99ページとしていますが、こちらは神奈川県で広く流域単位で連携を図っていこうという取組がございますので、そちらを紹介させていただいております。

 続きまして(4)施設規模の最適化関係になります。現行の水道法では、水需要が増加する場合に変更認可を受けることを求めておりますが、今後は需要が減少していく場面が多いだろう。計画が過大になってしまう場合も想定されるわけですが、そうした場合に備えて施設規模の最適化を促す必要はないかと書かせていただいております。

 資料としては36ページから38ページに用意させていただいております。36ページが現状の認可制度をイメージしたものになっておりまして、増加する場面で変更の認可が必要です。ただ、減少していく場面においては、水源を変えるというような事例があれば、その時点で水源を変えるという理由によって変更認可が必要ですが、単に給水量が減りますというようなことは変更認可の対象ではありませんということを説明させていただいております。

37ページ目、38ページ目で浄水施設や導管の施設の余裕状況をみられるような資料を用意しております。こちら、注意が必要なのは、この資料をみていただきますと計画水量より現実はもうちょっと下にきていることが読み取れるような資料になっているかと思いますが、当然施設には一定の余裕をもたせると思いますので、余裕の範囲内なのか、過大だといえるのかということは精査が必要ですが、全体のデータとしてみたときにはこういう数字がみえてくるという資料でございます。

 続きまして(5)過疎地域の関係ですが、限界集落と呼ばれるような場所に対してどうしようかという話になります。資料としては101ページ、102ページ目をごらんいただければと思います。導管を維持するには、従来と同じような、都市部と同様の施設投資をするには過大なこともあるのではないかと書かせていただいておりまして、資料では、今調査などを行っておりますが、新たな手法による給水方法として簡易的なろ過池を設けて給水を行うような手法、事例を紹介しておりますが、全国的にどういうニーズがあるかという調査をこれからやっていくという状況にあります。

 最後に4ページ目、(6)その他になります。その他として、1点目は水質の関係ですが、現在、「安全でおいしい水」を日本は確保できていると思いますが、これを維持するために水質の確保は引き続き課題ですねという形で触れさせていただいております。資料のほうは43ページ目以降に水質関連の資料をまとめております。

 それから、2点目ですが、先日の常総市のことが記憶に新しいと思いますが、今後、首都直下型の地震とか南海トラフ巨大地震等の大規模災害の発生、気候変動に伴う豪雨災害の増加が予測されておりますので、災害時の事業体間の連携とか、水道事業における危機管理は重要性を増していますねということを書かせていただいております。

 最後に3点目ですが、水循環基本法の関係になりますが、水循環基本法に基づいて策定された水循環基本計画というのがございますが、こちらでは地下水管理の必要性がうたわれております。一方で地下水から水をくみ上げる専用水道がふえているという報告も寄せられております。専用水道がふえていることに関してですが、大口の利用者ほど逓増する料金体系が一般的にとられていると思いますが、そうしたことが専用水道に逃げていくといいますか、そちらを利用する方がふえていく一因となっているのではないかという指摘もございますので、ご紹介させていただいております。資料は55ページから58ページ目にまとめてございます。

 長くなりましたが、資料の説明は以上です。

 

滝沢座長

 幾つかの項目に分かれておりますが、残りの時間がおよそ40分程度ですので、1項目ずつやっていると最後までたどり着かない可能性がありますので、まとめて議論させていただければと思います。

 最初に総論がありまして、各論として(1)から(6)まであるという形です。幾つかに区切らせていただきたいと思いますが、まず総論と、各論の施設整備関係について、何かお気づきの点、あるいはご意見がございましたら頂戴したいと思います。どの点でも結構でございます。

 どうぞ。

 

友岡構成員

 総論部分でちょっと意味の確認ですが、新たな手法の例として競争意識を抱いていただけるような形という話ですが、具体的なイメージが湧かないので、多分、施設更新に関して他の自治体がやっているのだったらうちもやろうというふうなインセンティブの働かせ方かなという気もするのですが、他方で値上げの問題もあるだろうから、普通は値下げのためのインセンティブというイメージだから、逆の方向なので、その辺の具体的な話。

 それから、本質的な問題として法令上の義務付けのイメージを教えていただけないかな。この2点です。お願いします。

 

安里補佐

 競争意識を抱いていただけるようなというところは、まさに友岡先生がおっしゃったような、どこどこ事業体がどういうレベルにあるかというのがわかるような形でお示しすれば、ライバル市町村みたいなものがあるかもしれませんが、隣も自分と同じぐらいの更新率だと思っていたら、あそこは頑張っているぞというのがわかったらやる気になっていただけるとか、全国的にみて自分の事業体はレベルが低いほうだったなというのがわかればやっていただけるとか、そういうことを期待して情報を発信していきたい。

 

友岡構成員

 ヤードスティック的な話ですね。定規を決めて、これは非常に効率的な自治体なのだけど、おたくはやっていない。ただ、それだったら、自治体が主体とこれまではなってきたのだけど、自分で比較すればいいのですが、こういったものは率先して比較をしてくれるとか、比較の基準とか、要するにチェック機能ですね、そういうものが伴わないといけないのかな。そこら辺が気になったのでフォローアップさせてください。

 もう一つをお願いします。

 

安里補佐

 法令上の義務付けのイメージですが、これはまさに皆さんに議論いただいてから具体化をしていく話だと思っておりますが、ほかの公共事業、例えば下水道では、修繕の義務付けというのが明確に法律上盛り込まれて、修繕の基準が定められるという動きがございます。今回パワーポイントのほうで紹介しませんでしたが、最後に(参考)として下水道事業の取組というものを112ページ以降につけさせていただいております。

 今の水道法でも施設の基準がありまして、ぼろぼろなものをもっていていいとは読めない形になっておりますので、当然といえば当然なのですが、そこを明確に、例えば「更新しなければいけない」とか、そういう義務付けを法令上書くというのが一つの手法としてはあると思います。下水道については、我々も今教えていただきながら勉強していますが、こちらは修繕の維持の基準を設定するのが一つのミソになっておりますが、下水道では管路の状況を把握するような調査ができまして、水道管の場合は中に入って調査をしたりするのができないと思っておりますので、これと同じものを参照してしまえば済むという問題ではなかろうと思っておりますが、一つの法令義務付けのやり方の例としてお示しさせていただいております。

 

友岡構成員

 これは法改正を念頭に置いて議論が可能だという話ですね。既存の制度だとうまくいかなそうだという話ですね。

 

安里補佐

 はい。

 

友岡構成員

 わかりました。

 

滝沢座長

 柳川構成員、どうぞ。

 

柳川構成員

 極論で申しわけないのですが、迷惑かなとも思いながら、結論からいうと、国は用水と水道を一緒にするようにしたらという話ですが、うちは両方やっています。前にもいったと思いますが、用水はもうかる、水道はもうからない、あわせて大体生き延びている。ただし将来をみたら真っ黒。シナリオはそういう。

 一般論ですが、一般市民の目線でみたときに、何で水道の蛇口にいろいろ事業者がいるのだ、そう問われる時代が必ず来るだろうと私は思います。だから連携なのでしょうけれども、もう「しろ」といったらというのが趣旨です。そうなれば問題は簡単に解決するものが幾らもある。とまず思いましたというのが一つ。

 もう一つは、そうはいってもという現実の話ですが、先ほど次の議題といわれたあの話です。本日は総論と管路のところが主ですから、それだけをとってみても、書いてあるとおりです。そのとおりで、そうすればいい。今まで何でしなかったという話しか私はありませんけれども、すればいいけれども、されない事情がおのおのある。おのおののところのおのおのの事情というのは逃げ道になっている。地方では。その周辺、地域との関係、市民との関係ではそれが逃げ道になってその場を乗りきっている。それがずうっと、何十年もきて今がある。

 ただし、次の展望は見い出せないでいる。それは何でかというと、簡単。私は、そんなことを考えてもいなかったのかというのが5年前。考える必要はない、議論しましょうよ。要するに話をしましょうよ。ただし、国が示したような議論にはなかなかならない。難し過ぎて。そんな暇もないし人もいない。で、何から始めたかというと、このままいったら、うちの事業体は、あなたたち若い人の退職金はないかもわからんよ、ちょっと調べてみようから始めました。調べたら退職金どころでなくて、事業体そのものがないかもわからんというのがわかったわけです。で、どうしようの話をずっとしているだけです。

 そういう話をしないと、アセットのああだこうだもありますけれども、まずそれをすべきだと私は思う。結論は議論したらいい。議論させたらいい。議論するような仕組みをつくったらいい。そこの中に、できれば県が真ん中に座っていたほうが何かと都合がいい。ただそれだけです。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 本日は時間が限られていますが、できるだけたくさんご意見をいただくということで、順番にいきます。

 湯谷構成員。

 

湯谷構成員

 一つ最初に確認したいのですが、議論に水を差すような感じで申しわけないのですが、ここの会議のアウトプットというのは何なのでしょうか。単にここで意見を言い合って、それをアイデアとして厚生労働省で施策をつくっていくのか、どんな形で進められているのかというのが一つ。

 もう一つ、今の柳川構成員の話と関連するのですが、やはりある程度、強制的といったら語弊があるかもしれませんが、事業体の方に取り組んでもらうには法改正なり補助要件で縛るというようなことをやっていかないと、なかなかできないのではないか。具体的でないので申しわけないのですが、そういう感じはしております。

 

安里補佐

 ここのアウトプットが何かということですが、まず皆さんに基盤強化についてどういうことをやればいいというのをいただきたいと思っていますが、それを報告書なり何なりの形でまとめさせていただきますが、その中に法改正をしたほうがいいというご意見が含まれていましたならば、法改正に向けて我々も取り組んでいきたいと思っております。法改正に向けて動くに当たっては、当然水道部会とか審議会にお諮りして合意を形成していくという道のりがありますが、この場では、ともかく水道課としては、やったほうがいいといわれたことについて前向きに検討したいと真剣に思っておりますので、法改正が必要であれば、そういうことも踏まえて、「そこは無理」ではなくて、そこも視野に入れたご意見をいただきたいと思っております。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 では鍬田構成員。

 

鍬田構成員

 基本的に、交付金や補助金というのは自治体が申請して採択されたら交付されるわけですね。でもそれを申請するかどうかは、申請書を出す人的・時間的な体力が事業体にあるかという問題があって、体力がないところは申請しないわけです。

 現在の交付システムに関する意見です。これが公営企業に対して適当なのかわからないですけれども、例えば耐震性のある住宅を購入するときには税的な優遇措置があるわけですね。いいものをつくる、もしくはいいものを維持する、そういうことに関して設備投資をするときに、国がどこまでできるかわからないけれども、銀行等と一緒になって、いいものに対しては金利を下げるとか、申請しなくても、いいものさえつくってくれるのだったら自動的に優遇措置がきくようなシステムができれば、少しは前向きになるのではないか。そうでないと交付金が出せないところに対して、ずっと出せないまま、悪い方向に進んでしまうという感じがします。

 そのときに、耐震性がどうかという問題と合わせて、例えばアセット評価をした上で、その事業の一環として更新するものであれば、アセット適合証明みたいなものを行政が出すか国が出すかしたら事業体が借金をするときに減税されるとか、そういうふうに自動的にいいものをつくっていくとメリットがあるようなシステムをつくってしまえば、小さい事業体でも恩恵を受けられるのではないかな。

 もう一つは、また家の話ですが、今リフォームをするのに、6070歳の高齢者がリフォームするのではなくて、50歳ぐらいでリフォームしなさいという考え方があります。若いうちに、体力があって財力があるうちに20年先のことをやりなさいという形でリフォームを進めることもあります。

 それは水道でも同じで、体力もなくお金もないときにどうしようかというよりは、10年後に体力がなくなると予想されるときに、現段階でいい施設を導入しておく、もしくは省エネ施設といいますか、先に投資すればランニングコストが安くなるとかいうようなものを導入しておく必要があると思います。具体的にそれが何なのか、私はすぐに浮かばないですけれども、そうしたものを提案してあげて、早め早めにリノベーションをさせていく方向に誘導されるほうがいいのではないかな。

 今までどおり、書類が必要で、申請が必要で、検査が必要でというような作業より、自動的にそのルートに乗ってしまえば、優遇措置が受けられ、耐震性のあるものが国に残るのではないかなと考えます。意見です。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 ほかにご意見。

 では順番に、阪口さん、どうぞ。

 

阪口構成員

 表現のことですが、水道施設の文章の一番下に「少なくとも耐震性の低い管」と書いてありますね。耐震性の低いというよりも、今にもパンクしそうな古い管というのが先に来ると思うのです。耐震化というのはその後についてくるので、耐震性の低いといったら、今のダクタイルの耐震化率に対応しないものまできますから、それよりもっと昔の、材質の悪い、直ちに破損事故の起こるようなものは、すぐにやらなければいけないという表現のほうが合っていそうな気がします。

 それと、下水の関係がありますが、私も上下水道をやっていますが、下水はいろいろ、国からこうしなさいというぐらい補助金がついています。それがないと、それも維持管理の基準をつくらないと。例えば老朽管の更新でも、これは対象になる、やったら補助がつきますという裏があるからするのです。それがなくて口だけいっても、多分ついてきませんので、さっき湯谷さんがおっしゃったように、何らか、補助金つきとか、前に私もいいましたけど、補助金を出すなら、その事業体が料金改定します、値上げをします、しかし値上げ率が高過ぎるので何とかしてくださいとか、努力するところにつけるみたいな細工をしないことにはいかんのかなという感じをもっています。以上です。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 では浅見さん、どうぞ。

 

浅見構成員

 ちょっとお話が戻るかもしれないのですが、総論のほうで水道事業の抱える課題と取組を今回挙げていただいたのですが、私としては最初は経営の問題が来るのではないかと思っております。老朽化とか料金収入の減少もそうなのですが、実際、経営自体がかなり難しいというところが多く、今までどちらかというとトップランナーとか大臣認可のところを主にいろいろな政策が進められてきたという印象があるのですが、残ってしまっているところは体力も違うし、人口密度も違うし、経営状態も違うし、健康状態が違うようなところで、今さら競争意識とかいわれても、置かれている状況が全然違うので、ちょっと違和感があるなというのが一つです。

 特進クラスをつくって、大臣認可のところを引き上げてきたような感じがあって、そこについてきてくださいと今までやってきたところがあると思うのですが、ついてこられなかったところとか、実際に人口密度が違って同じことができないというところをどうやってカバーしていくかというところに政策の重点が移っていくべきではないかと思っております。

 義務付けというのが出ていますが、法令上の義務付けで、先ほど出ていた計画等、何らかの目が行き届くようなことを県で行っていただくように義務付けるとか、経営状態を改善するように命令するとか、施設を改善するように命令するとか、ちょっと厳しいものもセットしないと、全然できないところが出てきてしまうし、破綻しているところをどうやって吸収していくかというのがスピードアップして進まないと、大変なところがどんどん出てくるのではないかというのが懸念事項になっております。そういうこととセットして、ほかの先生方から勧められているような、進んでやっていこうというところとセットして進めていかないといけないのではないかと思っております。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 古川さん、どうぞ。

 

古川構成員

 先ほどの、権限移譲で手を挙げる。そういう都道府県はいい。では手を挙げない県はどうするの。実は私どもの例をいうと、周りに小さい事業体がたくさんあって、職員も少ない。現状の仕事で目いっぱい。アセットマネジメントも自分たちではやっていないというのが約半数ございます。そういうのがあって、私ども八戸がいろいろ指導、教えながらも連携をしていこうということで、本来であれば県が主導権を握って指導をするというのがいい形なのでしょうけれども、それを待っていても進まないという現状があったので、こういうふうに広域連携で動きました。

 担当者だけだと話がわからないので、総論の中にもありますが、首長を集めて、将来の水道はこのように厳しくなるよという実例をお話ししました。すると、こういう考えで将来はなるのかと、おおむね理解をいただいた。

 やはり、手を挙げる都道府県はいいのですが、手を挙げないところを今後どうするか。水道の経営基盤が安定するためにはリーダーシップをとるところがないといけない。それは事業体がいいのかどうかわかりませんけれども、形とすれば県が権限をちゃんともって指導するという形にしないと、これからの水道は、特に小さいところは、うまくいかないのではないかということで、次の手を挙げない都道府県についての指導といいますか、そういう方策をどうすればいいかというところを具体的に詰めていくべきだと思います。以上です。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 まだ少しありますが、残り時間との関係で、先に行かせていただいてもよろしいでしょうか。

 水道料金関係で何かご意見ございますか。

 どうぞ。

 

佐藤構成員

 資料の2ページ、水道料金関係で、今回このように大きくフォーカスされたことは非常にいいことだと思っています。私は今回の問題提起にあります水道料金における資産維持費の算入、これを積極的に推進したいという意見をもっております。

 ただ、ここで今後確認をお願いしたいのは、まずもって「資産維持費」という概念が、今のところ日本水道協会の水道料金算定要領として法的拘束力のない形で発出されているにすぎない。参考的な資料にすぎない。ここを何らかの形で、法的拘束力をもった形で運用できないだろうかという意見をもっています。

 さらに、確認的な観点からですが、昭和3212月厚生省発出の水道法の施行についての通知によれば、実は資産維持費ではなくて、資本に対して一定率という概念をとっていたと思います。また、水道料金は地方公営企業法も重畳的に法律を適用されることになっておりますが、地方公営企業法においても、事業報酬あるいは資本報酬として、資本に対して一定率ということになっております。したがって、日本水道協会の算定要領というのは非常に重要な示唆がありますが、今の法律上の位置付けとやや不整合があるのではなかろうかと思っていますので、こうしたところを少し見直されてはいかがかという気がしております。

 それと、先ほど来、水道料金については会計問題が非常に大きく影響してくることから、昨年から本格適用されました新地方公営企業会計基準における考え方と、水道料金の適正な算定との整合性について精査が必要かと思います。本日、資料提供されております給水原価の算定につきましても、従来このとおりではありますが、今回の決算から、総務省の決算統計によれば算定方式が変わっているということもありまして、水道事業者におかれましては、従来の給水原価の算定方式と新公営企業会計基準における算定方式が混在しており、やや実務上の混乱が生じているという話も耳にしておりますので、こうした観点なども水道料金の観点から今回見直されてはいかがかということで、提案しておきます。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 ほかに、料金関係で何かご意見ございますか。

 湯谷さん。

 

湯谷構成員

 料金のことで、理論的にといいますか、そのとおりだと思うのですが、資料の32ページに料金が高い順ということで北海道の江差町が載っております。将来的には20トンで6,000円ということですが、ことしの6月に「住民が考える江差の未来」ということで、若者たちが江差の人口減少に歯どめをかけるためにどういうふうにしていくかという意見交換会を開いたとき、そこに出ていた方から、水道料金が高過ぎる、だから江差に住めないという意見がございました。実際、住民の方によると、そういう意識が高い。ですから、もちろん今後の経営のことで料金をどう適正に決めていくかというのはありますが、住民の意識、あるいはトップの首長ですね、そういう意識があるということも考えていく必要があるのではないかと思っております。以上です。

 

滝沢座長

 どうぞ。

 

有田構成員

 水道料金といえば、消費者側からすると安いに越したことはないけれども、老朽化したところをどのようにどこで賄うかということでいえば、負担はある程度仕方がないかなと思います。ただ、電気と違って水道は生きるための基本的なものとして、例えばシングルマザーや生活保護の方は無料、それは税金で賄っているからですが、そういう中で、例えば32ページ、青森では1万7,000円。これは、少子化で子供をつくりなさいといっている中で、若い親たちが何人も子供を育てるには非常に厳しい金額ですよね。それをどう考えるか税金でというのが一番簡単ですが、どういうふうに発言したらいいものか、悩みながら発言しています。単に水道料金を上げればあなたたちが今後も困らないのですよというだけではない。

 第1回目で、厚生労働省の予算組みの中でどんどん予算が減ってきている。今後予算要求もあると思うのですが、健全な使われ方といいますか、そういうことであれば、これは公共的なものなので何とか考えられないかなというところがあります。単純にばらまけばいいということではありません。とりあえず、このような金額では若い世代は子供をつくろうとはなかなか思わないかもしれませんということを意見として申し上げておきます。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 料金関係で何かほかにありますか。

 どうぞ。

 

永井構成員

 頭に「適切な水道料金とは」と書いていますが、それこそ日本におけるさまざまな事情の背景の中で料金格差は10倍になっているというデータもあるように聞いております。適切とはどのような水準なのかというのは、収入によっても違うでしょう、あるいは家族構成によっても、いろいろな意味で違うと思うのですが、ただ、水道法の1条に「低廉」と書いていますよね。あれが、多分それぞれの事業体で、自治体で、水道料金は安いものだと半世紀前ぐらいから認識されていると思うのです。ですから事業体としては、あの施策をやりたい、これをやりたいといいながら、一方では低廉だというところで板挟みになっているのではなかろうか。この辺を今後どうみていくのかということを検討していただければ。

 単純にいえば、水道法1条を変える、ましてや「豊富」というやつもありますから、これも変える。というのであればわかりやすいのですが、この辺をどうみるかということをお聞きしておきたいと思います。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 ほかに。

 どうぞ。

 

友岡構成員

 根本的な質問で恐縮ですが、電気とかガスと比較をする際には、通常は民間企業も主体となってガス事業でやっていますね。公営企業もやっていますね。一応料金は認可制をとっていますね。そうすると客観的な基準で例えば適正な原価かどうかというふうな基準が出てくるわけですね。その際に、ある程度法的拘束力をもって第三者が審査できる。行政機関ということになりますね。水道は違いますね。そういう意味で料金の適正性を担保する手法というのが現状で果たしていいのかどうか、これは検討会の前から議論の延長として私は発言したような気がするのだけど、規制の構造ということも含め、検討材料にしていただけるといいかな。既存のものでいいかどうかという視点ですね。合理的かどうか。それだけです。

 

滝沢座長

 それでは、残り幾つかありますが、(3)の事業基盤強化と、(4)の施設規模の最適化関係、二つまとめてご意見をいただきたいと思いますが、事業基盤の強化のところ、中身をみますと官民連携、官官連携など、現状では連携のことが比較的書かれているような形になっています。

 どうぞ。

 

浦上構成員

 事業基盤強化の一つの方法として広域化というものがずっと検討されているわけですが、先ほどの総論のところにもありましたが、いろいろな情報を発信して危機感をあおるとか、ヤードスティックという言葉も出ましたが、何か一つの基準をもって比較するとかいうことは、私は事業者数が多過ぎて不可能ではないかと思います。ある程度事業者数を少なくして、そのために広域化というのがあるかと思うのですが、ある程度事業者数を整理していかないと、本当に有効な政策にはならない。

 ヨーロッパをみても、規模を大きくして初めてサンシャイン規制とか、そういったインセンティブ規制というようなものが効果を発揮する形になってきていますので、事業者数で1,400を超えていますが、事業管理者の数でいうと1,300、多分水道事業者もどこと自分を比較していいのかすら、わからない状況の中でデータを出されて比較しても、意図するようなことには到底及ばない。ある程度広域化、規模を大きくして、事業者数をできるだけ少なくしていくという方向は当然考えるべき。

 ただしそのときに、基盤強化ですから、経営がきちっと成り立たないといけない。そういう形にもっていく必要があるので、そういう意味ではマネジメント能力のある方をリーダーとして育成するとか、ほかの分野から来ていただくか、こちらにもすごいリーダーがいらっしゃいますが、そういう優秀な方がちゃんとマネジメントしていただける仕組みにもっていくような議論をしていくべきではないか。すぐにそうなるかというと、なかなか難しい問題があるかと思いますので、将来的にはそっちを目指すような道筋をつけていかないといけないのかなと思います。

 最適な規模とか、最適な施設規模とかいわれますが、計算上出てきますが、コストを削減するというのが目標ではなくて、いかに将来ふえるであろうコストを抑えられるかという視点で、これから広域化を進める際には目標はコスト削減ではなくて、いかに将来の危機的な状況を回避できるような仕組みをつくっていくかというところに視点をもっていくべきではないかと思います。コメントです。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 柳川さん、どうぞ。

 

柳川構成員

 座長からの話で、ちょっと違うかなとも思いますが、さっきの料金のこととあわせていつも思っているのが、水道の枕言葉で、日本国中津々浦々大丈夫です、97.7%やりました、大丈夫ですといって、実は課題がという話で、みんな大丈夫と思っているのです。水道を知らない人は。知らない人が大体お金をもっている。だから難しくなる。もういわないでくださいと私はお願いしたいのがその1点。

 もう一つ、今のテーマのところでは、簡単に私はここでは発言しているけれども、たくさんの悩みを実は抱えております。毎日悩みの連続です。その中で最大の悩みは、人口が減少するといっている。多分するだろう。そのとおりの数字になるかもわからん。そうなったときにどうすると考えたときに、大変だ大変だばかりいわないで、よく考えたらもとに戻るだけ。どっちにしろ伸びてきた分が減るだけ。伸びた時代に私のところの事業所ができたのです。用水事業を始めたのです。水道事業もついでみたいにして始めた。だったら、もとに戻すだけでいいじゃない。そう考えたら、そんなに深く悩む必要はなさそうだなと考えております。

 現実の話としてはそれがなかなか難しいのは承知。難しい。ただし、基本的にはそう考えるべきだ。大変だ大変だばかりいわないでください。そして、ちゃんと計算すればそんなに難しく考える必要はない。その中で国に、今欲しいのは、例えば人口が減ると決まっているならば、そのときにあわせてうちは更新しているし、やろうとしている。だったら、そのときの基準はこうしてもいいよみたいな話がないと、現行は腹いっぱいの原単位で、余裕率ああだこうだの話はあるでしょうけれども、腹いっぱい。もう必要ないのです。今でも余っているから、それだけ減れば絶対必要ないとわかっている。ただし、あしたの工事には変えられない。これを何とかしないと間に合わないだろうという話と、それはそれとして、30年後、50年後の話もやっていますので、そのときにはこんな指標で大丈夫ではないですかというのを、ここなのかどうか、専門家集団で早く議論をして指標を出してほしい。これが一番。

 もったいないことを日本国中でやっているではないかと思っております。先進地ほど。本当はみんな待っているのではない。どこかで更新しなければと、みんなわかっているのです。お金がないとか、いろいろな理由はあるけれども、未来永劫水道管がもつとはだれも思っていない。ただし、この過大な設備はと思うではないですか。会計報告をみただけで、設備投資額が水道は半分ですよ。電気などは電柱を立てるだけですよね。それだけ過大な設備をもつ宿命をもった水道だからこそ、もう少しいろいろな話を考えて聞かせてほしいなと、私は切に思います。

 

滝沢座長

 時間が限られておりますので、最後の(5)と(6)、過疎地域関係、その他も含めて全体的に何かコメントがございましたら、どこでも結構ですので、残りの時間でご発言ください。

 佐藤さん、どうぞ。

 

佐藤構成員

 まず過疎地域問題に関連して施設規模最適化問題がありますが、これは単体ではなかなか解決困難な状況だと思います。そうした点で、今回都道府県の役割を強化すべきではないかという着眼点から資料をいただいておりますが、ここは県の役割を後押しするように、制度設計をもう一度見直してはいかがかと思っています。

 例えば広域的水道整備計画5条の2については、地方公共団体の要請に応じてという条文になっているので、都道府県としては要請がありませんというような逃げ道が残されている。あるいは水道法6条にしても、市町村公営という原則が書かれている。あれはあくまで原則であって、広域的な水道ができるようにはなっておりますが、新水道ビジョン策定検討会のときに私自身が独自の調査資料として提示した資料の中で、水道法もしくは広域的水道整備計画も市町村を前提に条文を書いているから、都道府県がやらなくてよいというところが5割で、残りは市町村というように書かれているから都道府県が関与したくても関与しづらい、というアンケート結果を紹介しました。

 実は市町村を単位としたこれまでの公営水道は普及率向上に有効な制度設計であったと思いますが、法律の条文にそのように書かれているので、市町村単位という点を積極的に解釈するところと消極的に解釈するところに2極化している。したがってこうしたところは、もう少し都道府県が関与できるような観点から条文の見直しを検討されてはいかがかと思って、提案しておきます。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 重要なご指摘をいただいておりますが、次回以降も引き続き議論はできますけれども、最後にご発言いただければ。いかがでしょうか。

 よろしいですか。

 どうもありがとうございました。それでは、予定の時刻となりました。議事につきましては一通り終了したと思います。その他、特にないですね。

 では、最後、事務局にお返ししたいと思います。

 

久保補佐

 本日も長時間にわたりましてご議論、ありがとうございました。特に議事の2につきましてさまざまなご意見をいただいたところですが、私どもとしてもかみ砕いて、次回、現時点でどんな資料になるというイメージが固まり切っておりませんが、さらに議論が深まるような資料をつくって続きの議論をお願いしたいと思います。

 次回の検討会ですが、2週間後、1124日の午後を予定しております。引き続きよろしくお願いいたします。

 それから、本日の議事録につきましては、前回までと同様ですが、こちらで案を作成した後、出席者の皆様にご確認いただいて公開という形で進めたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

 それでは、本日、第3回の基盤強化方策検討会をこれで閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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