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2015年10月20日 第2回水道事業基盤強化方策検討会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課

○日時

平成27年10月20日(火)13:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室(中央合同庁舎第5号館3階)


○出席者

構成員

浅見構成員 有田構成員 石井構成員 阪口構成員 佐藤構成員
滝沢座長 永井構成員 古川構成員 柳川構成員 湯谷構成員

都道府県

白井主幹兼副課長(福島県) 住野主幹(愛知県) 土屋課長補佐(大阪府) 山根主幹(広島県)

厚生労働省

福田部長 樽見審議官 赤澤課長 宮崎課長 高澤室長
久保補佐 安里補佐

○議題

(1)地方分権改革における水道事業等の認可権限移譲について(都道府県ヒアリング)
(2)その他

○議事

  久保補佐

 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第2回水道事業基盤強化方策検討会を開催したいと思います。

 皆様におかれましては、ご多用中にもかかわらずお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 会の前に、まずご連絡になります。本年の10月1日付で厚生労働省の組織再編が行われまして、水道課も健康局の水道課から、医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部の水道課という形で所属が変わりました。したがいまして新幹部をご紹介したいと思います。

 まず、医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長の福田でございます。

 

  福田部長

 福田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 それから、大臣官房審議官の樽見でございます。

 

  樽見審議官

 樽見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 生活衛生・食品安全部の企画情報課長の赤澤でございます。

 

  赤澤課長

 赤澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 それでは、開会に先立ちまして部長の福田より一言ご挨拶を申し上げます。

 

  福田部長

 皆様方におかれましては、大変ご多忙中のところ水道事業基盤強化方策検討会にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。この場をかりまして厚く御礼を申し上げたいと思います。先ほどご紹介いただきました生活衛生・食品安全部長の福田と申します。何とぞよろしくお願いいたします。

 先ほどお話がございましたように、今月1日に、厚生労働省の組織の見直しがございました。その結果、水道課が生活衛生・食品安全部の一員という形で移ってまいりました。この検討会につきましても、私どもの部でこれから担当させていただくことになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 水道は生命の維持に欠かせない水を供給するなど、国民が日々の生活を営んでいく上で欠かせないものでございます。供給が途絶えてはいけない非常に重要なライフラインであるということは、皆様共通の認識であろうかと思います。水道につきましては、水道施設の耐震化でございますとか管路の老朽化への対応が求められていることに加え、ご承知のように人口減少社会におきまして水道料金収入の減少が見込まれる中で、水道事業をどう維持していくのか、特に中小規模の事業体においては、職員数が少ない中で安全でかつ強靱な水道をいかに持続させていくかということが大きな課題となっております。これは大変大きく困難な課題ではございますけれども、困難さにひるむことなく、本日お集まりの有識者の皆様方、行政、水道事業体の皆様、また関係団体の皆様と知恵を絞って乗り越えていく必要があると考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、来年4月施行を予定しております、「手挙げ式の都道府県への認可権限等の移譲」ということにつきまして、その要件を定めるために、移譲を希望されております都道府県の皆様方から水道事業への取組などについてお話をお聞かせいただくこととしております。都道府県の方々がリーダーシップを発揮して広域化を進めていくことは、供給人口規模が小さく職員数も少ない中小水道の持続性を高める上でも大変重要な解決策の一つではないかと捉えております。4月からの新制度が有効に機能いたしますように、どのような要件設定がよいのか、都道府県の実情も踏まえながら、都道府県内の水道が安全で、強靱で、持続する形となるためには、指定の要件をどのようにすべきなのか、皆様方におかれましては闊達にご議論をいただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。

 本日は3時間と長時間でございますけれども、何とぞよろしくご審議のほどお願いしたいと思います。開会に当たりましてのご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 ありがとうございました。

 続きまして、本日の構成員の皆様の出欠状況をお知らせします。本日は浦上構成員、鍬田構成員、友岡構成員がご都合によりご欠席となっております。

 また、浅見構成員と湯谷構成員におかれましては、前回はご欠席でしたが、今回ご出席いただいておりますので、ご紹介したいと思います。

 まず国立保健医療科学院生活環境研究部の上席主任研究官、浅見様でございます。

 

  浅見構成員

 浅見でございます。よろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 それから、北海道総合政策部政策局研究法人室長の湯谷様でございます。

 

  湯谷構成員

 湯谷でございます。よろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 また、前回の会議のときに予告しておりましたとおり、今回は都道府県からのヒアリングを行うということで、福島県、愛知県、大阪府、広島県の方々にもご出席いただいております。皆様、遠方よりお越しいただきまして、まことにありがとうございます。順にご紹介させていただきます。

 まず、福島県の保健福祉部食品生活衛生課主幹兼副課長の白井様でございます。

 

  白井主幹兼副課長(福島県)

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 続きまして、愛知県健康福祉部保健医療局生活衛生課主幹の住野様でございます。

 

  住野主幹(愛知県)

 住野でございます。よろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 大阪府健康医療部環境衛生課水道・生活排水グループ課長補佐の土屋様でございます。

 

  土屋課長補佐(大阪府)

 よろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 最後になりますが、広島県健康福祉局食品生活衛生課主幹の山根様でございます。

 

  山根主幹(広島県)

 よろしくお願いいたします。

 

  久保補佐

 ここで傍聴の皆様にお願いでございますが、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 議事に入ります前に、本日の配付資料の確認を行いたいと思います。

 お手元にクリップ留めで資料の束があろうかと思いますが、クリップを外していただき、最初が議事次第でございます。その次が資料1、地方分権改革に基づく都道府県への認可権限移譲の要件について(事務局案)でございます。さらに横とじの資料が4種類、資料2-1から2-4まで、各都道府県の提出資料がございます。そして、参考資料が4種類ございます。参考資料1が検討会の開催要綱。参考資料2が第1回検討会の議事録。参考資料3として、平成26年の地方からの提案等に関する対応方針(水道法関連部分抜粋)という閣議決定の資料になります。最後に、参考資料4ということで、技術管理者関係法令の抜粋でございます。

 以上、過不足等がございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。

 それでは、ここからの議事進行は滝沢座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

  滝沢座長

 皆様、お忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。座長の滝沢でございます。よろしくお願いします。

 それでは、本日の議題は一つでございますが、地方分権改革における水道事業等の認可権限移譲について、都道府県からのヒアリングを行うことになっております。ヒアリングに先立ち、事務局から資料1について、前回のおさらいも兼ねてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

  安里補佐

 水道課で課長補佐をしております安里と申します。資料1の説明をさせていただきます。

 資料1でございますが、前回の検討会でお示ししました事務局案に、多少手を加えてまとめたものでございます。おさらいも兼ねて中身を確認させていただきます。

 1ページ目でございますが、本日議論いただきます大もとの閣議決定を掲げてございます。閣議決定で決まったことが枠囲みの中に書かれております。細かい事務・権限は後ろのページに載っておりますが、厚生労働省の所管する事務・権限について、要件を満たした都道府県に移譲するということが書かれております。

 閣議決定で決まっている要素は4点でございます。1点目、広域化等を促進する水道事業基盤強化計画を策定していること。2点目、業務の監視体制を十分に整えていること。3点目、事務・権限の移譲を希望するものに対して、4点目、都道府県内で水利調整が完結する水道事業等であること。そこからは都道府県が経営主体であるものは除かれております。また、なお書きがついておりまして、都道府県内で水利調整が完結しない水道用水供給事業から受水する水道事業については、当該水道用水供給事業との事業統合を行うことを計画に盛り込んだ場合には移譲対象とする、となっております。

 この枠組みが閣議決定で決まっておりますが、このうち二重傍線を引いている2点、広域化等を促進する水道事業基盤強化計画の記載事項などの詳細について、それから業務の監視体制を十分に整えるということは具体的にどういうことなのか、この2点については厚生労働省に委ねられておりますので、この検討会の場で皆様にご議論いただいて、内容を決定してまいりたいということでございます。

 その内容に関しての事務局の案ですが、2ページに基盤強化計画の中身としてどういうことを考えているかを記載してございます。

 まず記載事項、項目としては4点考えております。1点目が広域化等運営基盤の強化に向けた取組を書いていただきたい。2点目が施設の更新関係ですが、老朽化施設の計画的な更新や耐震化の促進に向けた取組を記載いただきたい。3点目に、水質管理の点についても書いていただきたい。4点目は、こうした取組の実効性を高めるための取組について書いていただきたい。この4要素を入れていただくことを事務局案として考えております。

 4要素の細かい内容を下に掲げてございますが、前回と変わっている点、より詳細に記載した点を中心に解説させていただきます。

 広域化等の取組についてですが、目標年度について、これまで「段階的な取組の目標年度を可能な限り示す」と書いておりましたが、なお書きとして、閣議決定のなお書き部分、水道用水供給事業との事業統合をするから権限を移譲したいとする場合には、統合の目標年度を示すことということを明記させていただいております。

 2点目、3点目、4点目は第1回の資料と大きく変わっておりませんので、割愛させていただきます。

 3)ですが、計画に記載した事項について、定期的に報告を求めたいという旨を第1回に事務局案として示しておりましたが、「定期的」の中身として、年に1回程度を基本としたいということを今回明記させていただいております。

 4)ですが、既に都道府県水道ビジョンを作成されていて、その内容が今回求める計画の内容と同一である場合には、水道ビジョンを引用するなどということで運用したいという点を書いてございます。前回より細かく、水道ビジョンにすべて書かれていなくても、一部を参照しますというような形も可能としたいと思っていますと、書かせていただきました。

 3ページ目に入りますが、業務の監視体制について。これは要素としては前回の事務局案と変わりませんが、専任職員が5名以上いること、それから水道技術管理者の資格を有する者を1名以上確保するということを挙げさせていただいております。参考部分も前回の資料と同じでございますが、全都道府県平均で専任職員の数は4名となっておりまして、水道事業の監督に関する基礎的な業務は5分野に分かれるという情報を記しております。

 資料1の説明は以上です。

 

  滝沢座長

 どうもありがとうございます。

 ただいま、事務局案についてご説明いただきました。これから、本日お越しの都道府県の方々のご説明をいただいて、最後にもう一度本案に戻りまして皆様のご意見を伺いたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、福島県、愛知県、大阪府、広島県の順番でご発表いただきたいと思います。各府県におかれましてはおよそ15分でご説明をいただきまして、その後、20分程度の質疑を行うという形で進めてまいりたいと思います。本日は3時間と長くなっておりますので、福島県、愛知県のご説明が終わった後に小休止をとりまして、引き続き大阪府、広島県の皆様にご説明をいただくというような進行にしたいと思います。

 それでは、初めに福島県からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

  白井主幹兼副課長(福島県)

 福島県です。権限移譲に係る要件の対応状況等についてご説明いたします。

 資料2-1の、2ページをごらんください。福島県は北海道、岩手県に次いで全国3番目の面積を有しております。南北に走る奥羽山脈と阿武隈高地によって全体が三つの地方に分けられております。真ん中の中通り、太平洋側の浜通り、それから新潟県側の会津という三つの地方に大別されます。河川でいいますと、阿武隈川が県の中央を流れておりますが、これは中通り地域を北上して宮城県へ、阿賀川及び只見川が会津地域を縦断して新潟県へ流れております。また、二級河川は浜通り地域に分布しております。

 水道事業数は、記載してありますように、上水道37事業、簡易水道140事業、用水供給3事業でございまして、小規模な簡易水道が中山間地に散在しているというところが特徴でございます。

 3ページをごらんください。当県が水道事業の認可等の権限移譲を提案させていただいた理由をご説明いたします。一つ目の矢羽根印でございますが、県内の水道事業は、人口減少、更新需要の増大、脆弱な技術基盤など多くの課題を抱えております。これら課題の解決を図るためには、近隣事業者との連携による運営基盤の強化が有効であると考えているところです。

 二つ目の矢羽根印でございますが、しかしながら、地域の中核的な存在となる事業体は大臣認可でございまして、広域的な連携の実現を目指して県が積極的な関与を図りやすくするためには、平素から認可や立入検査等の指導監督を通じた状況把握や、各事業者との連携の構築が必要であると考えております。

 三つ目の矢羽根印でございますが、厚生労働省が発表した「新水道ビジョン」におきましても、都道府県や中核となる事業者等には、地域全体の最適化の観点から、連携体制の積極的な関与が期待されているところです。

 下の表と地図をごらんいただきたいのですが、福島県の地図の青色の箇所が大臣認可の事業でございまして、水道事業が9事業、用水供給事業が2事業ございます。給水人口でみますと、全体の約72%を占めている状況でございます。

 4ページをごらんください。本年1月の閣議決定の内容を踏まえますと、権限移譲の対象となる水道事業は図のとおりになると考えているところでございます。太平洋側の浜通り地方でございますが、赤色が県内で水利調整が完結する事業で、3事業ございまして、浜通り地方に位置しております。黄色は用水供給事業と垂直統合を行った場合に対象となる事業で、水道事業が3事業、用水供給事業が1事業ございます。青色は県内で水利調整が完結していない事業でございまして、権限移譲の対象とはならないところでございます。

 5ページをごらんください。このたび厚生労働省から提案されました、二つの要件に関する取組状況と課題等についてご説明いたします。まず一つ目の要件であります水道事業基盤強化計画の策定につきましては、都道府県水道ビジョンにすべての内容を記載している場合は当該計画にかえることができるとされているところでございます。下の枠で囲ってある中にありますが、当県では平成18年に福島県水道ビジョンを策定いたしまして、平成26年には東日本大震災と原発事故の経験を踏まえて改定を行い、持続的に暮らしを支える水道の実現に向けて取り組んでいるところでございます。

 広域化につきましては、地域の水道がネットワークをつくり、日々の連携を深めることが有効と考え、保健所を中心とした研修会等を実施することによりネットワークの素地の形成を図ってきたところでございます。また、東日本大震災の経験を踏まえ、災害や事故に強い水道の構築につきましても、各水道事業者の取組を促進しているところでございます。しかしながら、本県の水道ビジョンは、水道事業基盤強化計画が要請している内容のすべてを記載しているとはいい切れない状況でございます。

 6ページをごらんください。水道事業基盤強化計画を新たに作成するに当たっては、さまざまな課題があると考えておりますが、代表的なものを例として掲げてございます。一つ目の四角のところですが、まず地域割りを行い、当該地域に即した広域化等の方針を定めるためには、水道事業体との調整や協議が不可欠であります。また、大臣認可事業体には、一方的に負担してもらうようなことではございませんが、主体的な役割を発揮してもらうことが期待されているところです。しかし、現在は大臣認可事業体に関する状況把握や連携構築等が不足しておりまして、調整や協議が行いにくい状況がありますことから、この課題を解決する手段の一つとして今回の権限移譲を求めたところでございますので、現在の仕組みにおいて広域化の方針を定めることは非常に難しいと考えているところでございます。

 二つ目の四角のところになりますが、老朽化施設の更新や耐震化の推進につきましては、当然取り組むべき課題ではありますが、特に小規模な事業体では現状把握もままならない状況がございまして、速やかに事業計画等を策定し、事業を実施していくことは負担が大きく、まだまだ時間がかかると考えているところでございます。

 三つ目の四角のところになりますが、県も含めた水質管理体制を確保することにつきましては、現在も水質汚濁防止法を所管する関係機関と緊急時を含めた情報連絡体制を確保し、水道事業体への情報連絡を行っているところでございますが、さらに上流から下流の排出・取水に関する体系的な情報連絡体制の整備を強化する必要があると考えております。

 7ページをごらんください。次に二つ目の要件でございます、業務の監視体制の整備についてであります。私どもが所属している本庁機関であります食品生活衛生課では、一つ目の緑色のところでございますが、課長、それから私、主幹ですが、こちらはほかの業務も兼務しております。専任職員としては主任主査以下5名の専任職員が配置されておりまして、認可関係事務、補助金・交付金関係事務、各種調査等の基礎的な業務の実施に当たっております。また、県内の6保健所でもこれら基礎的業務の管内分のとりまとめ等を行うほか、立入検査を実施しております。

 水道施設の立入検査実施状況につきましては、その次の表に記載してございます。なお、職員数を記載しておりますが、こちらは生活衛生営業等の監視指導を兼務していることをご承知おきいただきたいと思います。水道関係施設につきましては、保健所では重点監視対象施設として位置づけておりまして、原則として全事業を対象とした立入検査を行うこととしております。その実施率は毎年100%を超えている状況でございます。なお、計の上の相双地区、浜通り地区の北のほうになりますが、こちらについては実施率が100%を切っております。これは、原子力災害に伴う避難指示区域内の水道事業の立入検査ができなかったためでございます。

 次に立入検査の実施方法についてですが、厚生労働省の立入検査方法を見倣いまして、書類検査と現場検査に分けて実施しております。特に現場検査につきましては、山の中に位置するような水源等も対象としたきめ細かい検査を行っておりまして、衛生管理の把握と指導に努めているところでございます。立入検査の結果につきましては、システムでデータベースに蓄積し、全県的な状況の把握が可能となっております。また、保健所の担当職員を対象とした研修会を毎年実施し、業務課題等を共有しております。全事業を対象として、毎年度立入検査を実施することにより、各事業の状況把握ができることに加えて、市町村等の関係職員が抱える課題や苦労等も知ることができ、日々連携構築が図られるという効果もございます。

 なお、当県には県営の水道事業、用水供給事業はございませんので、現在、水道技術管理者の資格を有する職員はおりません。

 8ページをごらんください。厚生労働省から示された要件と、これまでご説明いたしました当県の状況について、県内の3地方別に整理したものでございます。会津地方につきましては、今回の権限移譲の対象とされる水道事業はございません。

 県の真ん中の中通り地方につきましては、いずれも県内で水利調整が完結しない水道事業であるため、一部の水道事業が権限移譲を受けるためには、用水供給事業との垂直統合が求められます。垂直統合に当たっては、知事認可の構成水道事業との統合も行う必要がありますが、各事業体との協議・調整には多くの労力と時間を必要とすると考えられます。

 太平洋側の浜通り地方につきましては、すべて東日本大震災の被災団体でございます。大臣認可の3事業体を含むすべての事業体は、東日本大震災や原子力災害に伴う多くの業務・課題を抱えております。現在の状況下では復旧・復興事業を最優先させる必要がありますため、地域全体の最適化について検討することは困難な状況であると考えられます。

 以上のことから、当県といたしましては、直ちに要件を満たして権限移譲を求めることは難しい状況にあると認識しているところでございます。今後、復旧・復興事業の進捗が図られたとき、また地域に即した広域的な取組の結果、事業統合等の調整が図られたときには、県として各水道事業を監視・指導していくために権限移譲が必要な状況が認められれば、要件をクリアして手挙げすることを検討してまいりたいと考えております。

 以上で福島県の説明を終わります。

 

○ 滝沢座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に関しまして、順不同でどの部分でも結構でございますので、ご質問あるいはご意見がございましたら各構成員からご発言いただきたいと思います。いかがでございましょうか。

 柳川さん、どうぞ。

 

  柳 川構成員

 佐賀東部水道事業団の柳川と申します。よろしくお願いします。

 2点質問したいのですが、まずは県の今のお話についてですが、県のやる気には、私は拍手です。

 そうはいっても、いろいろな理由があって、手を挙げるのはすぐには難しい。ああそうなんだ、と聞きましたけれども、その中で2点だけお尋ねしたいのは、大臣認可の事業体との協議も難しい、計画そのものの策定も難しい、結果的に時間がかかる、手を挙げるのは今ではなくて、もう少し時間が必要といった話でしたが、その中で県内の周辺の、できれば中小の事業体の状況を教えていただきたいのです。今に始まったことではなくて、水道をどうしようとか、危機だとかいう話は随分前からあったのですが、ずるずると今になったというのが、私のところの付近の実情です。それでも何とかしないといけないということで、この際、県がある程度主体的に、主導権を握って水道のことを考えようといわれていると思うのですが、それを受けた中小の事業体の方々は基本的に賛成なのかというのが1点目。

 もう一つ聞きたいと思ったのが、現在、復興で大変だろうと思います。復興イコール、水道に限っていえば管を更新するとか設備を新しくつくり直すということなのだろうと思います。私たちが地方で考えているのは、いろいろな難しい話があるのだけれども、一番大変なのは更新で、その費用がない。それで、どうしようこうしようというのが実態なのですが、復興という作業の中である程度の更新がなされるとすれば、その後に手挙げによる権限移譲で、広域化によってプラス効果をねらうというシナリオでしょうけれども、そういうプラス効果の部分というのは、そのほかに何を目指していらっしゃるのか聞きたい。以上の2点です。

 

  白井主幹兼副課長(福島県)

 まず、中小の事業体がどう考えているかということでございますが、今のところ、復旧復興が、実は浜通り地方だけではございませんで、県内のすべての事業体が放射性物質のモニタリング調査とかをプラスアルファで実施しているというところもございますので、なかなか進んでいかない。具体的にどのように考えているかまでは聞き取りしたことはないのですが、放射性物質の検査等については、プラスアルファでありますし、各市町村も少ない人数の中で対応しているという状況もありますので、なかなか新たなことに進んでいけないのかなと考えております。

 2点目でございますが、震災の後に災害復旧の更新事業で、あわせて老朽管等の更新というものも行っているところもございますし、浜通り地方につきましては、復旧復興を今まさにやっておりまして、これからも査定したところの保留解除等がふえて、大変な状況になってきます。比較的被害の少なかった会津地方や中通りにおきましては、既に復旧事業は終わっておりまして、これから耐震化に向けて老朽管の更新事業等を行うところですが、震災の復旧だけでは済まない部分が多くございます。これから耐震化に向けて、厚生労働省の補助事業、交付金事業等を有効に活用して進めていきたいのですが、金銭的な面で十分かといわれますと、なかなか難しいところもございます。各市町村とも、やりたいのだけれどもお金の面で不足するとか、人が少ない中で水道事業だけではなくて、ほかの事業も兼務してやっている職員が多くおりますので、なかなか進められないという状況でございます。

 

  滝沢座長

 よろしいですか。

 

  柳 川構成員

 そうか、というのが今聞いた感想です。いろいろ課題があるというのは聞いたのですが、例えば、こんなことができるかどうかわかりませんけれども、1項目の計画書の策定をそんなに詳しくせんでいいと決まったら随分早く手が挙がるものですか。

 

  白井主幹兼副課長(福島県)

 計画自体がかなりあらあらでも構わないという場合にどうなるかというご質問でございますが、今回手挙げ方式ということで、案が示されております。先ほど説明しましたように、本県で権限移譲の対象となるのは、浜通り地方の事業体でございますが、そちらの事業体は現在復旧復興で手いっぱいな状況でございます。仮に計画の基準が緩められた場合どうかということでございますが、浜通り地方の事業体とも協議しながら手を挙げていくということになろうかと思います。しかし、まだ浜通り地方につきましては、復旧復興で手いっぱいで、そういう段階まで進んでおりませんので、今のところ、どうかといわれましてもお答えしにくいところでございます。

 

  滝沢座長

 少し関係するのですが、ご説明を伺っていた中で、計画を立てるためには、大臣認可の事業体に対しても、ある種の主導力を発揮するために知事に認可権限を移譲してほしいという部分があるのですが、そうはいっても認可を移譲してもらうためには計画をつくらなければいけないとなると、鶏が先か卵が先かではないですが、どちらを先に回していったら進めるのかなというニュアンスにも聞けました。その辺については、やはり認可が移譲されないと計画を立案することが難しいのか、それとも難しくしているのはそういうこと以外、つまり、放射性物質の問題等も含めて、計画立案を困難にしている事情があって、なかなか権限移譲の条件を満たせないという状況なのでしょうか。

 

  白井主幹兼副課長(福島県)

 計画と権限移譲との関係でございますが、認可監督権限が移譲されなければ計画自体がつくれないのかというと、そうではないと思っております。ただ、移譲されれば広域化とか耐震化というものがスピードアップして取り組めるのではないかということで、権限移譲の要望を出したところでございます。もともと権限移譲されなくても、広域化等を進めるということは水道ビジョンに掲げておりますので、そこに権限移譲が加われば、それを契機として進めていけるのではないかと考えて要望したところでございますが、浜通り地方ということになりますとなかなか難しいところでございまして、ネットワーク形成の素地ということで説明いたしましたが、被災の少なかった地域で、地道に少しずつ進めていくしかないのかなというところでございます。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。もう少し時間がございます。

 

  湯谷構成員

 質問が2点ございます。県の職員は今、専任で5名ということで、現状でもいっぱいいっぱいではないかと思うのですが、権限移譲を受けて職員数を増やせるような余地があるのかどうか、当然増やしていかなければならないと思うのですが、都道府県レベルでも職員の削減というのがあって、そういう中での体制整備というのは難しいのではないかと思っております。その辺りについて、お聞きしたいと思います。

 もう一つは、技術管理者の資格を有する者がいないということですが、今の事務局案でいくと、今後どのような形で確保されていくのか、お聞きしたいところです。

 それで、座長のお話にあった鶏が先か卵が先かということで、北海道の例を申し上げさせてもらいますと、大きな事業体が大臣認可のときはほとんどつき合いもなくて、はっきりいって、道のほうをみておりませんでした。私どもは平成21年に権限移譲を受けて、すぐにビジョンをつくったのですが、やり方としては、権限がなければ大きな事業体を含めたビジョンはつくるのは難しいというのが実態かと思います。ただ、そのほかの都府県でもやられているので、絶対ではないかもしれませんが、それは一つのネックになるのではないかと思っております。

 

  滝沢座長

 ではご回答ください。

 

  白井主幹兼副課長(福島県)

 まず1点目でございますが、権限が移譲されれば職員数がこれだけでは不足するのではないかというお話でございます。確かに大規模な事業体の認可事業を受ける場合には、職員が必要になるのかなと考えておりますが、この辺は人事当局との組織関係の調整が必要になるかと思いますので、明確なお答えはこの場ではできない状況でございます。

 それから水道技術管理者の関係ですが、前回の会議録等をみせていただいたところですが、人事交流で県のほうに職員を派遣してもらってはどうかというお話かと思います。県には水道技術管理者はおりませんので、水道事業体との人事交流ということになるかと思います。これにつきましても、今すぐにどうということは申し上げられませんが、人事当局と組織や出向の調整、派遣していただけるような事業体の状況等、いろいろ検討した上でないとなかなか進めていけないのかなと考えている状況でございます。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。

 続きまして佐藤さん。

 

  佐藤構成員

 今話が出ました、業務の監視体制における水道技術管理者の不在の問題ですが、まず、要件として「水道技術管理者」というくくりで一定の水準を引くこと自体は容認いただけそうなのか、あるいは、水道技術管理者もしくはそれに準ずるようなレベルの職員の配置などという形で要求水準が変われば今後の対応が変わってくるのかどうか、水道技術管理者の資格の要件について見解、要望等があれば伺えればと思います。

 

  白井主幹兼副課長(福島県)

 水道技術管理者の要件についてですが、私どもの事業体は、本日お出でになられているほかの府県に比べて進んでいないという状況になろうかと思います。ただ、立入検査につきましては、重点監視対象施設ということで、県民の健康面で問題がないように強化しておりますので、100%を超える実施率を上げておりまして、特に問題となっている事例もないところでございます。水道技術管理者の資格をもった方が、実際におりませんので、どのぐらいの知識をもった方がどのような指導をされるのかということも詳しく把握していない状況にありますので、明確なお答えは控えさせていただきたいと思います。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。ほかにご質問ございますか。

 石井先生。

 

  石井構成員

 ご説明ありがとうございました。3点ほどお聞きします。これはほかの府県も同じだと思うのですが、現有スタッフでやっていくのはなかなか難しいと思います。ですから新水道ビジョンでも明記されていますように、外部の力を借りられるところは外部の力をお借りするのがよいと思います。

 基本的な認可権限は、もちろん県が手挙げ方式で要件を満たせばできます。その中で、本日冒頭、この委員会もそうですが、水道事業基盤強化検討会で、計画をつくります。その計画の中に、ここでも第1番に広域化等運営基盤の強化に向けた取組の中で協議会の設置などと書いてありますが、県がすべてをかぶらないで、協議会をつくって進めることも一案と思います。もちろん、県の中には現有スタッフの中で専門家がたくさんおられるし、民間もいますので、そういうところで幅広く考えていくのが私はいいのではないかと思っているのですが、福島県のお考えをお聞きしたいと思います。

 2点目ですが、現在、総務省から経営戦略策定の通知が皆様方にも行っていると思いますが、基盤強化計画というのはそれをブレークダウンして、個別の事業あるいは部分について細目をつくらなければなりません。きちっとした目標年次、個別計画をつくっていくということになります。ですから水道ビジョンがあって、ストラテジ(経営戦略)があって、基盤強化計画というのはタクティス(戦術)なのです。戦術をつくるというのは、当該大規模事業体と県が一緒になってつくるわけですね。そういう中でどういう形でつくっていくかというのは、県が主導ではなかなか難しいと思います。認可を受ける事業体でも難しい。これにはコラボが必要だということで、広域化のモデルケースになるようなことだと思います。

 3点目はどういうことかというと、例えば福島県の中で、町村レベル、小さいところも広域化で面倒をみてくださいというところがこれからどんどん出てくると思います。地方部では人口減少、限界集落が増えてきます。そこでも同じようにフォローアップできるような仕組みも、水道事業というところでは同じですから、水道事業の基盤を強化するためにどうやって県なり協議会で支えてあげられるのか。具体的なシステムをつくってあげられるのか、この3点が私は必要だと思うのですが、その辺は県としていかがでございましょうか。

 

  白井主幹兼副課長(福島県)

 1点目の協議会の設置でございますが、まだ本県では協議会というものは設置しておりません。震災以降、そういうことに取り組めていない状況ですが、協議会もすぐにつくりましたというわけにもいかないかと思いますので、協議会の設置に向けられるように、いろいろな市町村と連携をとって、基礎的に情報を共有して、認識を共有できるような形で、今のところ担当者会議というものは開いております。それをだんだん広めるような形で、協議会の設置に向けてもっていければとは考えております。

 それから、二点目でございますが、戦術については、まだそこまでの考えはございませんが、確かに県と大臣認可のような規模の大きな事業体が連携して進めていかなければいけないということになると思うのですが、本県の場合そこまで行っていない状況ですので、協議会の設置を目指して地道に連携していくことから始めなければいけないのかなと考えております。

 また、3点目の小さな町村をどういうふうにフォローしていくかというご質問でございますが、そちらにつきましても、先ほど若干申し上げましたが、担当者会議というものを各保健所でもやっておりますし、県でも年1回、担当者会議というものを開いておりますので、その中でそれぞれの町村が抱えている問題点等についても出してもらって、みんなで解決策を考えていくことができればいいなと考えているのですが、そういうことが協議できるような基礎的なところをまずは考えていきたいと考えております。

 

  滝沢座長

 よろしいでしょうか。

 そろそろ時間になりましたので、白井様、どうもありがとうございました。

 続きまして、愛知県の住野様から愛知県の取組についてご紹介いただきたいと思います。

 

  住野主幹(愛知県)

 愛知県健康福祉部保健医療局生活衛生課主幹の住野でございます。今回、第2回水道事業基盤強化方策検討会におきまして発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は、愛知県で取り組んでいる水道事業基盤の強化や業務の実施体制などにつきまして、説明をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 資料の2ページをみていただきたいと思います。こちらは本日お話しさせていただきます内容の目次になっております。初めに愛知県の水道の概要について、次いで愛知県の水道の将来目標やその取組状況について、3番目には私ども水道行政の業務の実施体制について、4番目に基盤強化に向けた取組の現状について、最後に基盤強化に向けた取組に係る今後について、順次お話しさせていただきたいと思います。

 資料の3ページをお願いいたします。こちらには、本県の水道の概要が示してあります。愛知県の人口ですが、約743万人。水道の普及率は99.8%。1日当たり最大で、275万立法メートルを給水しております。事業体の数ですが、全部で44事業体ございまして、うち大臣認可は33、知事認可は11でございます。今の数字は、簡易水道を除いております。

 本県の水道は大きく、ピンク色で示した部分、名古屋地域と、水色で示した部分、愛知地域に分かれておりまして、名古屋地域は名古屋市水道事業が水源から末端まで一貫して全域を給水しております。愛知地域のうち、点線で囲まれた部分の三河山間地域を除いた地域につきましては、用水供給事業の給水地域でありまして、供給面では一つの区域を形成しております。また、三河山間地域につきましては、地理的・地形的条件等から簡易水道事業により給水が行われています。

 愛知県では、これらの地域の社会的・経済的一体性を考慮して、県全域を愛知県水道広域圏に設定しておりまして、水道整備を進めることとしております。

 資料の4ページをお願いいたします。こちらには本県の水道の将来目標が示してあります。本県の水道の将来目標は、愛知県水道整備基本構想の中で定めております。基本構想の策定に当たりましては、学識経験者や水道事業者で構成された愛知県広域水道懇談会で、基本方針について議論が行われております。また、基本構想の内容につきましては県内水道事業者の意見を踏まえた上で定められています。

 この基本構想では、将来目標を、県民が等しく均衡のとれた負担で、同質のサービスが受けられることとしておりまして、それを達成するために、県全域を水源から末端まで一貫して給水する水道というものを目指しております。

 そのため、資料の右側にございますが、まずは新たな広域化など取り組みやすい方策を、また、山間部の簡易水道事業にありましては、市町村ごとの事業統合等を進めまして、将来的には県内を一つの水道事業とすることを目指しています。

 資料の5ページをお願いします。こちらには、愛知県水道整備基本構想の進捗状況が示してあります。基本構想では、平成32年を目標として水道整備を進めております。クリーム色で示したところが実施済み、紫っぽい色が取組中、水色が検討段階となっております。広域化やブロック単位の統合再編につきましては、平成25年度、新水道ビジョンが示されてからですが、県内水道事業者と年数回、積極的な意見交換を始めているところでございます。簡易水道につきましては、一部地域を除き、平成28年度末までに上水道への統合あるいは一つの簡易水道事業に統合する予定が今、計画どおり進んでおります。

 資料の6ページをお願いいたします。こちらには、本県の水道行政における業務の実施体制について示してあります。本県では、健康福祉部保健医療局生活衛生課水道計画・管理グループというグループがございまして、総勢9名の体制で水道行政を行っております。生活衛生課というのは食品衛生であったり動物愛護、環境衛生、水道に係る許認可等の事務や監視指導を所管する課でございますが、このグループの中で検査管理グループというのがございまして、こちらは保健所での試験検査や衛生研究所についても所管しておりまして、食品化学検査であったり微生物検査、水道水質検査等の精度管理事業の実施や内部監査等にも携わっております。

 水道を担当する職員につきましては、用水供給事業である愛知県企業庁と積極的に人事交流がなされておりまして、今いる職員9名のうち4名が、県企業庁で経験を積んだ職員であり、認可指導監督、さらには広域化の推進役を十分担っていけるものと考えています。また、資料の右下のほうですが、企業庁には水道関係職員が総勢286名おりまして、その平均経験年数は22年、うち154名が水道技術管理者の資格要件を満たしています。こうした企業庁と人事交流に努めている状況にあります。

 資料の7ページをごらんいただきたいと思います。こちらには、水道計画・管理グループの業務の実施体制が示してあります。班員は、先ほどもいいましたが9名で、企業庁出身の職員が主に認可関係を、薬剤師職種の職員が主に水質関係を担当しております。職員の経験年数でありますが、企業庁からの職員は用水供給事業の経験がそれぞれ14年、11年、7年、5年で、維持管理、施設の建設、認可変更業務など幅広い業務を経験しております。また、薬剤師についても保健所で立入検査等、水道関連業務を経験した職員が配属されていまして、水質に関する知識も十分にもっております。

 資料の8ページをお願いしたいと思います。こちらには、水道事業者に対する指導監督について示しております。指導監督は、本庁の生活衛生課と保健所がそれぞれ行っておりまして、私ども生活衛生課は、関係保健所の職員を同行して、5年間ですべての事業者を回ることとしております。指導監督に当たりましては、事前に事業体に対して立入検査事前報告書の提出を求めておりまして、その内容が適切かどうかを事前に職員で内部で検討して、その上で指導を進めております。特に運営基盤が脆弱で平野部に残っている簡易水道については、事業統合についての助言も行っておりまして、最近では平成25年度に1件、26年度に3件、市水道との事業統合が実現しております。

 また、資料の下になりますが、課内でのノウハウの共有につきましては、1年ごとに担当業務の入れかえを行い、身近にいる職員から過年度のやり方を直接聞くことができるような体制で、技術の継承に努めております。またマニュアル等も整備しまして、指導基準が明確になるように努めています。

 なお、保健所につきましては、四角の右側になりますが、毎年度、すべての知事認可事業体に対し、水質を重点に立入検査を実施しています。ここまでが業務の実施体制の説明であります。

 資料の9ページをお願いいたします。こちらには、基盤強化に向けた取組の現状が示してあります。本県では、広域的水道整備計画の中で名古屋地域を除く県全域につきまして、基盤強化に向けた基本方針を次のとおりとしております。主なものですが、災害時、4週間以内に平常給水が可能となるよう、基幹施設等の耐震化を図ること。2点目として、県営水道用水供給事業を広域的かつ効率的に拡充整備することで合理化を推進し、健全経営に努めること。3番目に、市町村水道事業の新たな広域化を推進すること。4番目に、三河山間地域の簡易水道事業の経営を市町村単位に一本化して、経営の安定化を図ることなどがございます。

10ページをお願いしたいと思います。基盤強化のうち、整備計画に基づきました施設の更新・耐震化、水質管理の強化等の取組状況についてそれぞれ示してあります。

 施設更新につきましては、アセットマネジメントを通じた計画的な施設更新に努めるよう、事業者に指導しております。

 施設の耐震化につきましては、愛知県の行動計画である、第3次あいち地震対策アクションプランにおきまして、災害拠点病院に至る配水池、配水管の耐震化率100%を平成35年までに、また重要給水施設に至るそれぞれの耐震化率100%を平成42年までに達成することを目標に掲げまして、県が主催する会議などを通じて事業体の方々に促し、運営基盤の強化に努めております。

 水質管理につきましては、自ら検査を実施している事業体を対象に、外部精度管理事業を実施するとともに、水道水質管理計画を定めまして水道水源等の水質調査を実施して、事業者に情報提供をしております。

 資料の11ページをごらんいただきたいと思います。最後の資料になりますが、こちらには基盤強化に向けた取組に係る今後についてお示ししてあります。本県におきましても、新水道ビジョンにも示されていますように、今後、人口減少による収益の減少や更新事業の増大、ベテラン職員の不足など、単独の事業体では解決が難しい問題が山積している状況にあります。こうした状況を踏まえまして、平成25年度から県内水道事業者との意見交換を進め、事業継続のために広域化等による基盤強化が不可欠であるという共通認識が醸成されております。

 また、国において今年度新たに創設されました交付金制度の趣旨は、都道府県に予算配分の裁量を渡すことで、耐震化対策や市町をまたいだ広域化の推進を実現することがねらいであると考えております。それに加えまして県に水道事業の認可権限等が移譲されますと、地域の実情を踏まえたきめ細やかな指導・監督や、県が主導した水道事業の統合、広域化の検討をスムーズに進めることが可能になると考えています。

 最後に、お願いになってしまいますが、本県では既に基本構想の中で県内1水道を掲げておりまして、広域化に向けた研究も平成25年度から進めているところでございます。今後研究を進め広域化を実現するためには、県による関与をさらに強め、一層の指導力を発揮することが必要と思われますので、本県のように検討を進めている段階においても、手挙げが可能となるようにお願いしたいと考えております。

 愛知県からの説明は以上でございます。ありがとうございます。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。

 それではご質問、ご意見をお願いします。いかがでしょうか。

 古川さん、どうぞ。

 

  古川構成員

 青森県の八戸です。

 大変ありがとうございました。4ページにあります広域化の関係で、1点だけお伺いします。最後に平成25年度から広域化に向けた、という話をされたのですが、具体的に、名古屋以外の愛知地域、たくさん事業体があると思うのですが、その中で事業体同士が広域的に連携していこうとかいう動きが始まっているということでしょうか。そういう地区もあるということですか。

 

  住野主幹(愛知県)

 はっきりいいますと、水道事業者が主体的に進めるというのではなくて、話し合いをずっと進めているのですが、県にリードしてくださいという立場でございまして、会議を何度も開催していく中で、広域化の必要性というものを目にみえる形で、どれだけ経営上よくなるのかなど、そういうものを資料として示すようなものでないと首長にはわかってもらえないとか、そういう要望が出ている。広域化が必要であろうという意識は皆さんおもちです。ただ、自分が中心になってというところは今のところはなく、県がリードをとってくださいとか、県の用供も一緒になって議論してくださいという中で今3年目を迎えているところでございます。

 

  古川構成員

 ありがとうございました。具体的に、3年間の中で県が主体となって、将来こういう形でやっていこうといろいろなことをご提案されて進んでいると理解してよろしいでしょうか。

 

  住野主幹(愛知県)

 そうですね。全事業体にアセットを実践してもらいまして、自分のところが将来どうなるのかという問題点を認識してもらいました。

 県内44事業体ある中で温度差はあります。うちはまだ何年もつ。でも新たに創設されました交付金制度の時限をみていくと、のんびりはしていられないですよねという話も踏まえて、そういうことを活用して進めていくということも踏まえて話し合いの場で議論を進めてもらうようにしています。

 

  古川構成員

 ありがとうございました。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。ほかにご意見はございますか。

 どうぞ。

 

  柳 川構成員

 少なくとも県の立場としてはすばらしい、うらやましいぐらいすばらしいと私は思いました。

 それで、具体的にはということで、古川さんへお答えされていたようなことが現実なのでしょうけれども、その中でも2点伺います。少し立ち入っての話ですが、管の更新が、例えば県全体で何年ぐらいまでに終わるか、という話はお答えできますか。国が130年とか、うちは100年とか50年とか、おのおのいっていますね。愛知県はどうなのか知りたいと思いました。それが1点。

 2点目は、いろいろな事業体があるだろうとは思いますが、その中で、ここは経営が危なくて、足を引っ張ってお荷物だというようなところはないのですか。そういうところのお話はどうなのか聞かせてください。

 

  住野主幹(愛知県)

 ただいまのご質問、1点目ですが、管路の更新率は1.12%です。ですので、100年ぐらいです。

 2点目は、既に赤字になりつつある事業体も幾つかございます。温度差がありまして、すぐにでも進めてほしいという切実な考えをおもちのところはございます。

 

  滝沢座長

 ほかにいかがでしょうか。石井先生。

 

  石井構成員

 ご説明ありがとうございました。関連ですが、最初にご説明いただいたように、3ページの三河山間地域の簡水ですが、この辺は山間部で大変なところだと思います。先ほど柳川構成員からもありましたように、愛知県は非常に強力なリーダーシップをとって、企業庁も用供のみならず工水でも全国の会長を長年やっていただき、さまざまな貢献をしていただいております。先ほどもありましたように、温度差が非常にあると思うのです。名古屋市は全国で一番早く上水・下水の統合化を実施し、モデルケースにもなっております。そういう中で、知事部局である生活衛生課、用供をやっている企業庁、そして名古屋市を初め大規模な政令市のところと、三河山間地域の簡水を抱えている自治体では、非常に格差があります。

 ここでお聞きしたいのは、9ページ、10ページあたりに愛知地域広域的水道整備計画を策定されたということで、基本方針の中にも書いてありますが、例えば、大規模地震等による水道災害に4週間以内で平常給水が可能となるよう、基幹施設等の耐震化を図るというものです。先ほど耐震化率というお話がございましたが、2番目もそうですね。合理化を推進して健全経営を進めますということですが、いろいろなことをこれから愛知県は推進しなければいけないわけです。現に進行中のものもあるし、これからやらなければならないというところを今ご説明いただいて、なるほどと思った次第です。例えば建設・改良や投資判断、そういうデシジョンメーキング、これから大なり小なり意思決定をしなければならないところがたくさんあります。これは県として、生活衛生課、知事部局として、用供として事業体がやるものがたくさんあります。その際、だれがリーダーシップをとって、いつ、どこで、どういうふうに意思決定をするのか、難しいと思います。この辺りの決定については、内部で制度的にも決められているのかどうかお教えください。

 もちろん、計画ですから文言はいろいろ書いてあります。ですが具体的にこれを進めるためにはどのように推進するのか、今後どのような方向にもっていければよいのかをお聞きしたいです。愛知県の思いで結構ですので、だれが、いつ、どこで、どのような形でデシジョンメーキングを実行するのか、希望でも結構ですから、教えていただければありがたいと思います。

 

  住野主幹(愛知県)

 例えば権限移譲の話とか、交付金制度が新たに説明されたとか、そういう中で広域化を進めていきたいというものを、さらに上の部の長にも意見をいいますし、それには首長さんの理解を得なければいけないし、そういう理解を得られた中で県として判断するものだと思います。

 ただ、愛知県の今のやり方というのは、いずれビジョンをつくるのですが、今、広域化の議論を踏まえながら、最終的にはそれをビジョンに反映できるような形でということで進めているわけでございます。

 

  石井構成員

 その際心配なのは、例えば三河山間地域のところは、ものすごくお金がかかることが出てきます。要するに老朽化対策などの整備費などです。そういうところは県が持ち出すわけにはいかないですね。その辺の資金手当てとかいうのは、希望的にはどのようにして簡水を統合し、あるいは上水との統合などをお考えになっているのでしょうか。

 

  住野主幹(愛知県)

 簡水の部分は、今、用供が行っていない部分でございまして、今でも簡水の統合に向けて、施設の更新に向けて、国の補助だけでなく、県費で上乗せして補助をして進めているところですが、簡水を切り離すというわけではなくて、最終的には県内1本の水道ということですので、水道はつながらないけれども、一つの中で簡水も面倒をみていく。その中で、例えば水質検査の部分であったり、管理の部分であったり、そういう部分については協力していくというような体制が必要ではないかとは思います。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。

 ほかにご質問はございますか。どうぞ。

 

  湯谷構成員

 1点だけ確認させてください。耐震化率の数値目標がこの計画の中で立てられておりますが、これは個々の市町村の計画の積み上げなのか、あるいはトータルで、努力目標なのか、その辺をお聞かせください。

 

  住野主幹(愛知県)

 もともと愛知県は、今は南海トラフ巨大地震が話題になっていますが、それ以前から東海地震の絡みもありまして、耐震化対策というのはずっと進めてきています。例えば配水池では全国一位だと思うのですが、83%耐震化が進んでいます。各事業体にも努力していただいて、ある程度のものは進んできている状況の中で、耐震化率100%を目標に掲げて、それを含めたアセットを実施していただいており、また、実施していただくよう指導をしています。そのときに事業体にどの程度負担がかかってくるか。愛知県の場合、南海トラフなどが来ると水道の災害というものが相当あるだろうということで、事業体の中にも耐震化を進める必要があるという意識は当然ございますので、その中でアセットを実施して、より切実なる状況も加味した上で広域化の議論を進めている状況でございます。

 

  滝沢座長

 阪口さん、ご質問がありますか。よろしいですか。

 それでは、ほかにご質問がなければ、ここで一たん休憩に入りたいと思います。開始は30分からでよろしいですか。10分弱ですけれども、ここで休憩に入りたいと思います。

〔暫時休憩〕

 

  滝沢座長

 それでは再開したいと思います。

 続きまして、大阪府の土屋さんから大阪府の取組についてご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

  土屋課長補佐(大阪府)

 大阪府健康医療部環境衛生課の土屋と申します。よろしくお願いいたします。

 資料は2-3になります。大阪府における水道事業の基盤強化方策ということで、水道の現況等を含めましてご説明させていただきたいと思います。

 資料の2ページをごらんいただけますでしょうか。大阪府の水道の現況を示しております。人口は約8845,000人ということで、水道の普及率は既に99.98%。また、地図でみていただきますとおり、河川としては淀川という琵琶湖を発端に大阪府に至る河川がございます。こちらへの依存度が水道水源としては非常に高くなっておりまして、府域全体の水道水源の9割が、淀川からの取水ということになっております。

 事業体のほうをごらんいただきますと、水道用水供給事業が2事業となっております。一つが大阪広域水道企業団ということで、こちらは大阪市を除く府域全市町村に対して用水を給水しております。もう一つ、用水供給としては小型のものとして、泉北水道企業団という3市にのみ給水しているものがございますが、そちらの3市についても先ほどの広域水道企業団からの給水も受けております。

 また、地勢については大阪平野に人口が集積しており、市町村数は43でございます。面積は全国で2番目に小さいながらも、人口の集積率でいいますと東京都に次ぐ高集積地域となっております。ですから水道の概要としては、都市型の水道が集まっているところということになります。

 事業体のほうに戻りますが、上水道事業は、各市町村とも上水道事業をもっておりますので、43市町村43事業ございます。このうち、現状では国所管のものが34事業、府所管のものが9事業ということで、地図の中の赤いところが府の所管の事業体になっております。事業数でいえば20%が府の所管ということになるのですが、給水人口ベースで考えますと9事業体合計で14万人になりますので、給水人口全体からみれば大阪府の所管はわずか2%となっております。また、簡易水道事業については5事業ございますが、これは近い将来すべて上水道事業への統合が予定されておりますので、将来的にはなくなる予定になっております。

 3ページのほうを説明させていただきます。おおさか水道ビジョンということで、大阪府におきましては、大阪府域全域を一つの広域水道圏としてビジョンを策定しております。このビジョンは、平成22年に大阪府域水道将来構想検討委員会という、学識の方々や府内の水道事業者の方々を委員として委員会を設置しております。そちらでいただきました提言をもとに24年3月に策定しております。策定にあたりましては、市町村への説明会とか、文書での意見照会、意見交換等を行いつつ、パブリックコメント等、一般の方々のご意見もいただいて、関係者と意見調整をした上で策定しております。

 目標年次は、当時の20年後ということで、平成42年度となっております。内容としては、五つの政策目標であります安定・安心・持続・環境・国際という水道の目指すべき将来の姿を実現するために、水道の将来像と水道整備の方向性について示しております。その中で、府域一水道に向けたさらなる広域化の推進とございますが、運営基盤の強化策として、個別の経営努力に加えて広域化により効率化や最適化を図ることが有効であるということで、府域一水道を掲げております。また、大阪府の府域一水道と申しますのは、大阪広域水道企業団が大阪市を除く全域に用水を供給しているという、いわば広域的な水道システムが一定でき上がっておりますので、企業団を核とした、垂直統合を中心とした府域一水道を将来像としております。

 今回、権限移譲におきましては、水道事業基盤強化計画の策定が求められておりますが、大阪水道ビジョンのほうで既に一定の記載がございますので、ビジョンを中心に説明させていただきたいと思います。資料の4ページになります。こちらでは運営基盤の強化方策として、先ほどビジョンを説明させていただきましたとおり、大阪の水道の将来の方向としては、府域一水道という一つの将来像を掲げております。

 また、今回、広域的水道整備計画の改定を予定しておりまして、この中においてもビジョンの具現化を図るため、今後10年間に統合を検討されるところにつきまして広域化の動きとして計画の中に位置づける予定としております。実際の府内の状況でいいますと、1市1町1村、ここに赤字で書いております四條畷市、太子町、千早赤阪村が、平成29年度から大阪広域水道企業団の水道事業として新たな事業開始に向け、統合検討が具体的に進められております。整備計画ではこの3市町村にとどまらず、それに続く市町村についても一定の位置づけを予定しております。

 また、今後、広域化の効果について明確にすることにより、各市町村における議論を深めるため、府では厚生労働省のアセットマネジメントの簡易支援ツール等を活用して、3地区でモデルを設定し、粗々ではございますが、広域化の効果をこの中で示しています。各市町村での検討材料としていただき、議論の具体化に向けて役立てるようにと実施しております。

 下の囲みで書いておりますとおり、運営基盤の強化方策としては、条件の整った市町村から大阪の特徴であります企業団を核とした広域化を進めるというのが大きな方向性になっております。

 次に5ページになります。こちらは老朽化施設の計画的な更新及び耐震化の推進ということで、大阪府の現状をいいますと、耐震化の状況は非常に低くなっております。基幹管路でも33.4%ということで、これは全国的にも非常に低い状況になっております。ちなみに、更新率でいいますと年間で1.31.4%になりますから、単純に計算しますと80年程度かかってしまうことになります。このような府内の状況がございます。

 ただ、単独で各市町村が更新・耐震化を進めるというのは非常に困難な状況がございます。財政的にも技術的にも難しい部分がありますので、おおさか水道ビジョンでも、基本的にはアセットマネジメントを踏まえ、事業投資の選択と集中により必要なところに対して積極的に更新を行う、また配置能力についてもダウンサイジング等適正化を図っていくべきということで、一つ目に戻ってしまいますが、府域水道施設の耐震化や老朽化対策を積極的に推進というのは、もちろん大きく掲げさせていただいているところでございます。

 具体的には、アセットマネジメントの活用が必須と考えておりますので、これまでも府内の各市町村を対象に、担当者の入力支援のための講習会はもちろんのこと、管理職員の方々へ実際の活用を含めた説明会も実施しております。また、危機管理関係の大きな防災プランになりますが、大阪府地震防災アクションプランのほうでも、重要給水施設への給水活動、耐震化等については重点アクションとして位置づけをして、積極的な推進を図っているところでございます。

 また、水道事業者における中長期的視点に立った事業計画の策定ということで、こちらもアセットマネジメントを活用した計画ということで、現在アセットの実施率、府内では国所管水道で97%、府の所管水道で89%となっており、これらの実施率を高めるとともに、その内容のレベルアップ、精度を高めることによって、活用できるものとして、計画に反映できるものとして検討していただくように進めております。

 次に資料の6ページになります。こちらは水質管理関係になります。広域的な水質管理につきましては、ビジョンでも水質検査の共同化とか水運用管理の共同化による水質の安定化、水安全計画の充実により水源から給水栓に至る各段階における衛生管理の徹底を図るというようなことを既に記載しているところでございます。

 具体的には、各市町村の水質検査計画の内容の確認とか指導はもちろんのこと、連絡体制、連携体制についても、既に各事業者間において一定程度つくられております。また、本年度改定を予定している、大阪府の水道水質管理計画において河川ごとの水源監視、府としての水質検査外部精度管理、また未規制物質の調査等も位置づけ、水質管理の強化を図っているところでございます。

 また、水質検査体制と流域での連絡体制の整備ということで、今申し上げたように管理計画の改定をして、より位置づけの明確化を図るとともに、現在、企業団で市町村水道の水質共同検査ということで、主に農薬等高度な検査手法が必要とされるものを中心に共同検査体制を実施しておりますし、一部地域におきましては、地域における水質管理ステーションということで、水質検査のみならず、水質の管理等を含め共同化を今後図っていくように、体制が動いております。水安全計画の策定率につきましては、現在、国所管で約半分、府所管では残念ながらどちらも策定されておりません。こちらの策定を進めることによって、水質管理の強化等、特に中小規模の事業体での危機管理対応を充実させていきたいと考えているところでございます。

 次のページに移らせていただきます。施策の実効性については、ビジョンに各関係者の役割が明確化されておりますが、具体的な今後の方向として、新たに担当者会議等の開催を予定しておりますが、広域化というのは非常に大きな議論でございますので、担当者レベルでその必要性の説明なり協議をしても、なかなか前に進みにくいところもございますし、大きな方向性を考えていただくということで、さらに水道の主担者レベルの方々との意見交換の場を定期的に設けていきたいと考えております。この中で事業の将来の方向性等について、意見交換しながら積極的に検討を進めていくものになります。

 一方では担当者レベルのものとして、情報提供とか意見交換、事業全般なり技術的なことも含めて研修会等は設置させていただきたいと思っております。また、大阪広域水道企業団でさまざまな会議が既に設置されております。この中には、受水の水道事業者はもちろん、環境衛生課も参画しながら、広域化の推進や、水質検査の共同化も含め、多岐にわたり既に体制が整備されておりますので、そちらも並行して活用させていただきたいと思っております。

 また、指導・監督ということで、立入検査等につきましては現在大阪府では年1回以上、全施設に対して立入検査を実施しております。また、後ほどお話しさせていただきますが、国所管のところにつきましても、大阪府では従前より、法に基づく立入検査ではなく、情報収集のための立入調査を年1回、既に実施しております。このような形を強化しながら、またヒアリングということで、事業計画等の聞き取りも進めていきたいと思っております。

 次のページになります。こちらは体制になります。現在の大阪府の業務体制ですが、水道関係の業務に携わっておりますのが私ども環境衛生課になりまして、こちらは生活衛生関連の業務全般を実施している課になります。その中で水道の部門につきましては水道・生活排水グループというのが10名おります。そのうち水道専任の者が6名になります。この6名の内訳としては、薬学職が3名、土木職、設備職がそれぞれ1名、行政の事務職も1名おります。土木職、設備職につきましては大阪広域水道企業団からの出向者になりますので、経験年数も豊富であり、水道技術管理者の有資格者となっております。また、薬学職3名のうち2名につきましては、国立保健医療科学院における水道工学研修にも参加させていただいており、水道には長けた者となっております。

 本庁に対しまして、広域保健所では、環境衛生担当者ということで、こちらは専任ではなく、他の環境衛生業務の立入検査等を兼務しておりますが、薬学職が21名おります。現場への立入検査を行っております。加えて公衆衛生研究所ということで、こちらは衛生研究所になりますので、水質検査の技術的なフォローをしていただいております。外部精度管理の実施や未規制物質の調査、また水質検査担当者への技術研修等も非常に手厚く実施しております。

 次のページに移らせていただきます。指導監督体制ですが、先ほど来申し上げていますとおり、大阪府では環境衛生課と保健所が連携しながら、水道事業計画ヒアリングと、水道一斉検査・調査を実施しており、都道府県所管の水道事業のみならず、国所管のところに対しても、調査ということで、年1回以上聞き取りを行っているものがございます。事業計画ヒアリングは、府域全域の事業者に対して事業全般について網羅的に聞き取りを行っているものになります。また、立入検査においては、一部水質検査等も実施しながら、水質確認も行っております。下段にはその内容について書かせていただいております。

 最後になりますが、大阪府では従前より、国所管のところに対する立入等も協力のもとに行って、連携を深めているということがございますが、認可権限等を移譲いただくことにより、より綿密に基盤強化に向けた指導等もできるのではないかと考えております。

 また、大きくは府域一水道に向けた広域化の推進というのを、ビジョンで掲げさせていただいております。このビジョン、目標の年次は42年度になっておりますが、広域化というのは非常に長いスパンでの話でもございますし、その決定に当たっては各市町村の首長のご判断になってまいりますので、今回の基盤強化計画の条件でも広域化の年次も明確にというご説明を当初いただいており、ビジョンのほうでは明確化は当然させていただいておりますが、そこを余り厳しく、何年にできないと計画としては認められないという話になってしまいますと、これから広域化を進めるところに対しての、促進という意味での権限移譲としては、少し難しくなってしまうのではないかと考えておりますので、基盤強化計画につきましては地域の実情なり、既存のビジョン等を活用させていただければと考えているところでございます。

 大阪府からは以上になります。

 

  滝沢座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明にご質問、ご意見をどうぞ。

 

  阪口構成員

 私のところは大阪府内の豊中市ですので、大阪府の事情はよくわかっているのですが、私も大阪の支部長都市で府内の市町村の方とよく話すのですけれど、さきほど府がおっしゃったように、企業団と統合したいなという思いの方はたくさんおられます。今3市町村の統合をやっていますので、その状況をみて、うまくいけばうちもやりたいなという方は多いのです。ただ、権限移譲の条件に統合の目標年度を示せとくると、これはつらい。というのは、市町村は首長、議会がありますので、企業団と今後統合していきたいというならば通る、いつまでにしますとはいえないのです。ですから、企業団との統合に向けて検討を進めたいぐらいのレベルで権限移譲してあげないことには、府もかかわりようがないです。

 いつまでに統合しますというのは決まった話ですから、あとは企業団が受けるのをどうしようかというだけの話で、環境衛生課としてはかみようがないですね。環境衛生課としては、広域化を進めたいというなら、検討するようにもっていかせるというのが大事な働きになってくるので、目標年度を決めていないと権限移譲しませんというのは、少し話がずれるような気がする。広域化を進めさせるなら、前向きに取り組むところは権限移譲して、府にかんでもらうというようにしてほしいなと思います。

 

  滝沢座長

 コメントがございますか。

 

  土屋課長補佐(大阪府)

 ありがとうございます。統合について年次を決めてこうだという計画が府でできるかといいますと、今のビジョン以上のものは現状では困難ではないかと思っております。ただ、先ほども申しましたとおり、整備計画等でもより具体的なところを一部示していくこともございますし、このあたりを総合的にご勘案していただければと考えております。

 まだ方向ははっきり決まっていないけれども、腰を上げようとした、統合に向けて動こうとしているところについて、府が積極的に後押しするというのが今回の権限移譲の大きな効果であるのではないかと本府では考えておりますので、ぜひそのあたりをご勘案いただければと思っております。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。

 柳川さん、どうぞ。

 

  柳 川構成員

 立派な計画だと思いますし、聞けば聞くほど、これがモデルになれば後に続く県は大きなハードルだろうなと思ったくらいです。頑張ってほしいのですが、計画を立てられて、いろいろな動きがあって実施されるのでしょうけれども、計画どおり実現しなかったらどういう対処の仕方を考えていらっしゃいますか。

 

  土屋課長補佐(大阪府)

 実施体制につきましては、各主担者の方々と意見交換の場を設ける等も考えておりますので、できなかったらということではなく、積極的に推進させていただきたいということをお答えしたいと思います。

 いろいろな課題に対して、最終的には各事業者のご判断であり、本府が方向を決定するものではございませんので、そこは広域化の効果なり、事業者の方々のみならず住民の方々等も含めて、広域化のメリットなり、将来の水道についてきちんと考えていただいた上でご判断をいただけるような形ができないかなと思っております。

 

  滝沢座長

 よろしいですか。

 細かく考えると、方向性という話と目標年次ということがあると思うのですが、方向性についてはしっかりと議論していただいて、皆さんに合意していただくことが非常に重要かもしれません。ただ、具体的にとなるといろいろ障害を乗り越えることがあって、目標年次といわれても必ずしも実現できない、柳川さんのご質問ではないですが、そういうことがあるかもしれないですね。

 ご質問をどうぞ。

 

  古川構成員

 1点だけ教えていただきたいのですが、さきほど四條畷以下1市1町1村、29年度事業開始に向けて検討が進められている。こういう形はモデルケースになると思います。大分話が煮詰まっていると思うのですが、ご存じの範囲で構いませんので、問題点とか、いろいろな協議があってこういうことが大変だったというようなことをご存じでしたら教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

 

  土屋課長補佐(大阪府)

 今回の3市町村の統合と申しますのは、地図では示しておりませんが、連担しているものではございません。3市町村がそれぞれ別々の地域に存在しております。統合の母体となります企業団というのは、これまで用水供給事業しか実施しておりませんので、今回新たに水道事業を創設することになります。ですから、水道事業を新たにする、市町村の方々の不安とか、また3市町村が連担していないことによって地域的な状況も異なっておりますので、それをどう整合を図っていくかという部分については、議論なり、今後も引き続き調整が必要なところではないかと思っております。

 

  滝沢座長

 よろしいですか。ほかにご質問ございますか。

 どうぞ。

 

  阪口構成員

 今環境衛生課が市町村の説明をされましたが、多分私のほうがよく知っています。私は、これは幹事で入っていますから。

 通常の統合と少しもっていきかたが違うのです。今いいましたように、企業団が用水供給をされて、3者ばらばらにいっているのです。こんな散らばったところが一緒になってどうするのかと、私は初めにいったのです。こんなものは統合メリットが出ようがない。ところが3市町村とも職員数も少ないし、技術力もないので、企業団の技術力と組織力を活用したいというのが1点。もう1点は、今回の国の交付金制度。統合すると交付金が出ます。それを活用すると今後のアセットに基づく事業費が軽減されて、値上げが先送りできますよというメリットをみつけにいった。ですから今回成立したのです。プラスは交付金と技術力だけです。

 通常は、施設を共有して統合メリットを出すとか、隣同士でしたらそんなことがありませんか。それが今回の場合はほとんどないです。国の交付金制度がない限り、広域化が進まないのは実感しています。

 あと1点は、府がおっしゃったように、企業団は用水供給だけやっていますので、末端給水を知りません。水道料金の徴収の仕方とか、市民からの苦情にどう対応するかというのは、今やっていますけれど、当面はそれぞれの水道事業の方にそのままいてもらって、事業をやりましょうか。

 もう一つ話がまとまりやすかった理由は、水道事業をそれぞれ、そのまま置いておくことにしたためです。水道料金も合わせません。経営の統合という話で、事業統合ではないです。これが3市町村統合して、料金を合わせようという話だったら、多分飛んでしまいます。それぞればらばらですので、料金は据え置くということで進めたからです。多分、小さくて経営が厳しいところを、大きなところがカバーしてあげるには、経営統合するしか今のところないのかなと思っています。

 あとは職員の身分移管の問題をどうするかとか、大阪府と一緒になったら、もともと企業団は大阪府の水道でしたから、地域手当が片方は11%で、小さいところは3%なので、かなり給料が上がるといった話は今しておりますが、それはそんなに大きな話ではないので、あとはスムーズにいくのかなと思います。議会にも認めてもらったということです。そんな状況です。

 

  滝沢座長

 ご説明ありがとうございます。ほかにご質問ありますか。

 では順番にお願いします。

 

  有田構成員

 この資料でいくと5ページですが、今の質問の中で事業統合ではなく経営統合ということに関して、おおさか水道ビジョンの中のアセットマネジメントを踏まえた事業投資の選択と集中の説明をされたときに、老朽化施設の更新や配置の必要なところから判断していくと説明されたと思います。今の質問と絡めて、それぞれ事情が違う中で、その判断をした後に、それぞれの事業の理解を進めるために何を行うか、どのように進めていこうと考えていらっしゃるのかを伺いたいです。

 

  土屋課長補佐(大阪府)

 3市町村、今お話がありましたとおり、地域的にも、規模的にも、市、町、村ということで異なっております。それぞれの状況がございますので、そこは各市町村と母体となる企業団の間で、必要な経費をどこへ投入していくべきか、その財源はどうすべきかというのは、それぞれの単位の中で検討は進められていくことになります。その上で全体を企業団の技術力なりがカバーしていくというのが、今の進め方の形ということになっております。

 

  滝沢座長

 よろしいですか。

 石井先生、どうぞ。

 

  石井構成員

 今の関連ですが、経営統合と事業統合との概念を分けてもらうと非常にわかりやすかったと思います。例えば、経営のほうで効率化とか、増収策も含めて、収入と支出とあります。目標は持続可能な経営ということがうたわれていますので、そうすると経営統合の中で何ができるかというと、コスト削減というのが一番いいですね。去年、総務省の報告書でシェアードサービスというのが出ました。幾つかの事業体がある事業に対して、共同購入とか、共同発注とか、共同してやることによって規模の経済性が発揮できるので単価を下げることができる、これをシェアードサービスというのです。みんなでシェアしていくというのは、これからの経営のシステムとしてはふさわしい方向ではないかと思います。

 ですから、本日事務局でたたき台を出していただきましたが、広域化等の運営基盤の強化に向けた取組の中で、広域化、官民連携、シェアードサービス、ダウンサイジング、アセットも進めるに当たっても、本日事例を出していただいた三つの市町村と、用供をやっている企業団も含めた中での全体的な経営システムにおいて、シェアードサービスを用いれば、これだけでコストを下げることができるわけです。

 もちろん、コストだけではなく、増収策というところもさまざまなアイデアを出して、先ほど阪口構成員からもお話がありましたが、今のところは事業統合ではないので、例えば料金もそれぞればらばらでいいと思います。しかし、その中で共通項があるのです。例えば、工事負担金の問題や、サブ料金制という新たな、見守りサービスとか老朽化のコンサルのためのコスト上乗せ、つまりサブ料金でもらっていくような付加価値サービスですね。そういったことなど、いろいろなことが、規模が大きくなるとできるのです。そういうアイデアを、今お話を聞いていて、とりあえずは経営統合もいいなと思いました。ですから、どちらにしてもぜひ進めていただきたい。これが1点目です。

 もう1点、国のほうも認可を手挙げ方式で権限移譲するということは、何らかの形の年限が必要ですよね。目標というのはあくまでもゴールなのです。ゴールというのは達成しなくてもしょうがないです。あくまでも目標ですから。ですから、そこは何とか、大ざっぱといったら怒られてしまいますが、何か書いていただいて、国のほうも余り厳しく、これをクリアしないとだめだということではなくて、まさにゴールを決めていただくという中でお認めいただければ大変ありがたいなと思います。以上です。

 

  滝沢座長

 コメントということで、特に回答はなくてもよろしいですね。

 湯谷さん、どうぞ。

 

  湯谷構成員

 質問です。資料の8ページの業務実施体制のところで、水道技術管理者の有資格者が企業団からの出向者ということですが、これについては継続的に有資格者に出向していただいているのか、もう一つは、どのような業務につかれているか、その2点を教えてください。

 

  土屋課長補佐(大阪府)

 まず、企業団からの出向者2名につきましては、継続的に、おおむね3年交代で来ていただいております。職種についても土木の方、電気等の設備職の方ということで、継続ということになります。

 担当している業務ですが、本年度につきましては、整備計画の改定等もございますので、市町村との協議等を主体に、広域化の推進としての役割を1名がしております。もう1名については、交付金等の技術面の、例えば工事の積算の確認でありますとか、事業の交付金なり認可等の技術面での業務に携わっております。

 

  滝沢座長

 よろしいでしょうか。

 それでは、ほぼ時間がまいりましたので、どうもありがとうございました。

 最後に広島県の山根さんから、広島県の取組についてご説明いただきたいと思います。

 

  山根主幹(広島県)

 広島県の食品生活衛生課の山根といいます。よろしくお願いいたします。

 それでは、お手元に配付させていただいております資料2-4で説明をさせていただきます。

 まず1ページをごらんください。広島県の概況を掲載しております。県内の代表的な大きな河川としては、西部に太田川、東部に芦田川、北部に江の川があります。

 県の人口は286万人おりまして、水道事業の国所管は7市、下に表がございますが、人口の88%ぐらいを国所管が占めておりまして、沿岸部の広島市や、呉市、福山市など、大きいところが国所管に現在なっております。県所管の水道事業者については14市町、どちらかといいますと中山間地域、県の北部のほうになっておりまして、人口の11%ぐらいが県所管になっております。水道普及率ですが、全国平均よりやや少ない94.2%となっておりまして、いわゆる中山間地域が若干多いというところがあろうかと考えております。

 次の2ページをごらんください。広島県の水道施策といいますものは、広島県水道整備基本構想、広島県水道ビジョンと私どもは申しておりますが、このビジョンに基づいて推進しているところでございます。基本構想は、平成14年3月に、平成13年度からの20年間を計画期間としてつくりまして、中間年であります平成22年度に改定して、今のビジョンという形で位置づけをしております。

 策定のときの社会環境についてですが、当時、本県は86あった市町村が23市町に広域合併して枠組みが変化しておりました。それから、人口の減少、あるいは水需要の変化による料金収入の減少がありました。また、水道担当職員の減少とか、団塊の世代の大量退職、あるいは平成18年の8月に呉市、江田島市で大規模な県企業局の送水トンネル崩落事故がございまして、何日にもわたって水道が断水するというような事案も起きております。それから、いわゆる高度成長期に建設された水道施設の更新といった事業費の増大、全国的に発生した地震被害、それから厚生労働省のアセットマネジメントの奨励という施策、そういうものを受けまして、矢印の下にございますように、安全・安心な水の安定した供給を持続することを基本に、県民から信頼される効率的な水道行政の推進に努めていこうという基本理念を定めまして、その下にあります三つの目標を定めたところです。一つ目が安全・安心な水の供給、二つ目が安定した水の供給、三つ目が持続可能な水道事業経営ということで、その目標に向かって施策を推進しているという状況です。

 基盤強化計画に関係したところを主に説明させていただくと、次の3ページをみていただければと思いますが、最初に、安全・安心な水の供給のところで取り組んでおりますのは、(1)の河川管理者等の関係機関と連携した公共用流域の水質保全対策事業の実施、あるいは(2)にありますクリプト対策とか、(3)にあります水質検査計画の策定、公表並びに計画に基づく検査の着実な実施、それから水安全計画の導入による水質管理体制の強化というようなものを打ち出しております。

 二つ目に、安定した水の供給の欄ですが、これはアセットマネジメントの実施により維持計画・更新計画の策定、需要量に応じた計画的な施設の更新を進めていくということをうたっております。あと、耐震化計画の策定を推進していくということをうたっております。また、先ほど水道の崩落事故があったとご説明しましたが、そういうものを受けて危機管理マニュアル等の整備を推進していく、あるいは日本水道協会の県支部と連携して、応援体制等の充実を図っていく。それから、配水ブロック化や管路のループ化、隣接市町間の連絡管の整備等による施設面での災害に強い水道の構築を進めていくという目標を立てております。

 3番目の持続可能な水道事業経営についてですが、これは維持・管理計画や施設整備計画の実行、適正な水道料金の設定による経営基盤の強化、あるいは各水道事業者でビジョンをつくっていただく、あるいは研修の実施による職員の技術力の向上、退職した職員による現役職員への技術継承・再任用、それから、他の水道事業者等や民間企業への第三者委託及び水道事業者等による施設の共同管理等の広域化の検討を進めていきますということで、取組の目標を定めております。

 右側の上のほうに、一部目標年度を設定した項目がありまして、主なものを載せていますが、アセットマネジメントについて着手しているのが全事業者の88%。未着手の3市町は1市2町、小規模な事業者がまだできていないという状況にあります。それから、平成27年度目標ということで定めておりますのが、施設管路の耐震化計画を策定してもらうということですが、策定率は41%と低い状況になっておりまして、13市町というのは6市7町になるのですが、どちらかというと事業規模の小さいところがまだできていない。こちらも策定に向けた助言・指導はしているのですが、できていない状況にあります。それから、全水道事業者が水道ビジョンを策定してくださいということで、73%が策定できていて、未策定は6市町で、事業規模が小さいところはできてい状況です。

 それから、各水道事業者や、市町あるいは県の役割ですが、1の水道事業者については、先ほどの各実現方策の実施主体として取組をしていただくことになっています。県は実施主体に対する総合的な調整を行ったり、需要者における水質確保のうち貯水槽水道等の利用者に対する啓発、指導について、実施主体になっておりますので、取組を進めていきます。3番目の市町は、専用水道に対する指導権限を有している市町に関しては専用水道等に対する指導・助言等をやっていただくことになっております。

 それから、その下に県の地図が載っています。これは、広域的な水道整備計画をつくることになっているかと思いますが、その考え方に基づいて県内を三つの区域に分けております。先ほど紹介した河川の大きな流域と符合するところがあるのですが、広島圏域、備後圏域、備北圏域ということで3地域を定めております。これに基づいて施策を推進していくことにしておりまして、一番下の欄にございますように、広島県水道事業推進会議というものを、すべての事業者、県も入って設置し、その場を使って意見交換あるいは県水道ビジョン推進のための取組をやっていこうとしております。

 次の4ページをごらんください。広域化の推進について、広島県の現状をご説明いたしますと、先ほどいいましたように、平成22年度に県の水道ビジョンができました。平成23年度に推進会議を設置いたしまして、その下に幹事会、推進会議というのは各事業者等の局長級でつくっているのですが、幹事会というのは課長クラスでつくっている会になります。そういうものを設置いたしまして、平成24年度に先進事例研究、平成25年度には広域連携について検討しようということで実務担当者会議を設置して、平成26年度は3回にわたって広域連携について検討を進めてまいりました。平成26年度末に幹事会を再度開きまして、広域連携ワーキンググループ設置の是非について検討していこうということが決まっております。

 最後の欄をみていただければと思いますが、今後予定している取組というのは、広域連携を組織的に検討開始するため、例えば広域検討ワーキンググループの設置することの是非について、幹事会で事前協議することとしています。この10月から約1年間かけて検討する予定にしております。

 5ページをごらんください。更新・耐震化の推進の現状ということで書いておりまして、県の現状ですが、全管路、青く塗っているところをみていただければと思いますが、老朽管の割合は、平成21年度は6.1%程度だったのですが、平成25年度は約倍の12.1%ぐらいまで増えております。それから管路の更新については、更新率1%だったのが、5年後には0.6%ぐらいということで、若干落ちてきております。

 耐震化の状況につきましては、耐震化率は、全国平均と比べますと、配水池は上回っているのですが、それ以外の基幹管路や浄水施設については低い状況にあります。3番のアセットマネジメント着手のところについては、先ほど説明しましたように1市2町、小規模なところができていないという状況ですが、進捗率は88%となっています。耐震化計画の策定については策定率41%、6市7町が未策定の状況です。

 今後予定している取組についてですが、毎年度、講習会あるいは担当者会議等を実施しておりまして、その場でアセットマネジメントの実施、施設・管路の耐震化計画策定を指導しているところですが、引き続き強力に指導していきたいと考えております。それから、老朽管路の更新、耐震化を進めるために、事業者に対して国庫補助事業の活用を助言してまいりたいと考えております。

 6ページですが、水質管理の現状になります。平成6年あるいは平成16年に広島県の水道水質管理計画を策定及び改定しております。その後、平成16年の省令改正等により、各事業者のほうで水質検査計画の策定が求められ、これを毎年度策定するように県では指導しているところです。それから、水安全計画の策定に関しては、その下にありますように策定率31.6%、これは大規模な事業者が占めているのですが、全国平均よりも少し上回った状況になっています。

 今後予定している取組としては、水道事業者に対して立入調査等を実施しておりますので、そういう場等を通じて水質検査計画の策定指導を行っていくこと、それから、水安全計画が未策定の13事業者に対しては、担当者会議を毎年やっておりますので、そういう場を使って策定をお願いしていきたいと考えております。

 7ページですが、事業基盤に関する施策を着実に推進するための体制の構築についてということで、本県では、そちらにありますように、毎年度、市町、あるいは実際に立入等をやっているのは保健所になるのですが、そこを集めまして担当者会議を開いています。半日ぐらいかけて説明させていただいています。あと、講習会を毎年度1回開催しておりまして、水道に関する知識、技術の向上に努めております。もう一つは先ほどの水道事業推進会議を開いています。一番下の水道危機管理担当者会議というのは、大きな水道の崩落事故があったとご説明しましたが、それを受けて年度に1回、年度初めに課長さん方に集まっていただき、体制の確立といったことをお願いしているところです。これらの会議等によって、本県の推進体制を構築しているという状況であります。

 8ページをごらんいただければと思います。現在の実施体制について組織表を載せておりまして、専任職員は、本庁のほうで水道グループというのがあり、そこで4.7名の職員が危機管理や認可、補助等の事務を担当しております。立入調査や、認可の進達業務、危機管理の現場的な業務は、県内に4か所保健所があるのですが、併任している職員が1人おりまして、そこで対応しているという状況になっております。水道技術管理者の資格を有する者は、今はいないという状況になっております。

 9ページです。立入調査、水道事業等の指導監督の現在体制ですが、表にございますように、保健所が原則年度1回立入をするようにしておりまして、上水道事業については7、8割程度実施しております。簡易水道事業については施設数が少し多くなっておりますので、実施率が若干少ない状況になっております。

 それから、次の10ページをみていただいて、新水道ビジョンに示すような取組の推進体制をどうするかということですが、これは先ほどもいいました広島県水道事業推進会議、あるいは先ほどから説明しております各種の会議等を通じて、水道事業者に取組を指導・助言していくことを考えています。

 課内におけるノウハウの共有についてですが、立入検査を各保健所で行っていますが、立入検査用のシートを私ども本庁でつくっておりまして、各保健所との共有や、年度に1回の現場の研修、さらに、「水道行政事務便覧」という300ページぐらいある本を毎年度県のほうでつくっています。あとは研修等に行った後に、回覧等の復命をするとか、伝達講習をやる。それからOJTに取り組んでいるところです。

11ページ、権限移譲後の取組についてということで、先ほどの県水道事業推進会議、あるいは担当者会議の場を活用して、各水道事業者に取組を促すという形になろうかと思います。取組内容を1、2、3と挙げてありますが、広域化等の協議を進めていく、あるいはアセットマネジメントをすべての事業者にやってもらう、施設・管路の耐震計画の策定もすべての事業者にやってもらうように引き継いで、国のほうでいろいろな手引的なものをつくっていただいておりますので、そういうものも活用しながら、水道事業者等の相談に乗り策定をお願いしていきたいと考えております。それから3番目の、全ての事業者による水安全計画の策定については、今年度初めに国で水安全計画作成支援ツール簡易版をつくっていただいておりますので、そういうものを活用していきたいと考えています。

 最後に12ページになります。厚生労働省案についての意見についてです。本日、厚生労働省案の一部修正について説明があったのですが、前回、第1回の水道事業基盤強化方策検討会で示された案に関してつくってきておりますので、それを前提でみていただきたいと思います。前回の厚生労働省案の説明では、基盤強化計画の策定にかえて、基盤強化計画に記載すべきすべての事項を記載した都道府県ビジョンがあればその提出でもいいというお話がありました。今、説明させていただいた広島県水道ビジョンには、広域化や、耐震化など、取組事項を書いておりますので、それで認めてもらえないだろうかというのが、私どもの意見ということになります。

 表にあります県の水道ビジョンに記載がない事項ということで、例えば県内の地域割りについては書いていないのですが、先ほど説明しました圏域の設定や、圏域別の将来年次計画の記載はございます。また、広域化等の運営基盤強化方針というのはないのですが、広域化等を検討する旨を、先ほどもお示ししたように記載しております。また三つ目ですが、基幹管路等の経年化や耐震性に関する情報の整理は、アセットマネジメントをやるために必要ということで、県でやってくださいと書いてあると思うのですが、アセットマネジメント自体はやってくださいと県水道ビジョンには書いておりますので、耐震化計画の策定との記載で足りる扱いをしていただければというところです。それから四つ目として、取組状況の国への報告については、県水道ビジョンには書いていませんが、国へ報告させてもらおうと考えております。

 最後に、先ほどもいいましたように、地域割りとか広域化については平成24年度以降、県水道事業推進会議で検討を行ってきて、今年度以降、来年度上半期に向けて広域連携の協議等を行っていく取組もやっておりますので、ご配慮いただければと思っております。

 説明は以上です。

 

  滝沢座長

 それでは質疑等をお願いいたします。いかがでしょうか。

 どうぞ。

 

  浅見構成員

 ありがとうございます。4府県とも、それぞれの状況が非常に進んできているところがよくわかって、ありがたく思います。

 今の広島県ですが、私の理解が間違っていたら申しわけないのですが、広島県におかれましては民間企業とも先進的に協力をしていらっしゃって、水みらい広島の取組というのも、全国的にも非常に元気の出る取組かなと思っているのですが、そういう民間との協力をされた場合の今回の計画等との整合性や、立入検査のときの客観性の担保など、そういったところでうまくいきそうかどうか教えていただければというのが一つです。

 もう一つが、水安全計画が何回か出てきているのですが、広域的な水質管理と水安全計画というのが、相性がいいのかどうか、若干不安になってきているところがあります。といいますのも、水安全計画というのは水源の危険を察知するというのもあるのですが、ここで使われていらっしゃるのは、ひょっとすると透明性の確保とか、後からさかのぼって水質がちゃんとしていたか、記録をちゃんと保存しているか、そういったことのほうがなじむのかなという感じもいたしまして、今後要件を検討するときに、水安全計画のどういう部分を必須とするのか、もしくは省令で定めて記録保存とか、例えば何月何日にどういう凝集剤を幾ら入れたかとかいうのは、今は記録保存の義務がないと思います。私の理解が間違っているかもしれませんが、後からさかのぼって客観性がどういうふうに担保されるのかという点や、そういう保存のほうを確保することを考えたほうがいいのかもしれないなと思ったのですが、その辺、感想でも結構ですが、感覚を教えていただければと思います。

 

  山根主幹(広島県)

 一つ目の水みらい広島の関係のお問い合わせについてですが、県の水道ビジョンは、先ほどご説明させていただきましたように、水道用水供給事業者も含めて事業の効率化を図るために、民間企業への第三者委託等を検討するよう求めております。県の企業局のほうでやられております、民間委託への推進というのは、そういう観点からやっておられると考えております。今後、水道事業者も含め、進捗状況も踏まえながら、県全体の水道事業の運営基盤の強化というものを考えていきたいと考えております。

 それから、もう一つの水安全計画で記録保存的なものはどうでしょうかというところですが、さきほどの水質検査計画で、水質検査結果をホームページにアップするなどといった形はありますが、水安全計画では特に記録に関しては、今のところ公表の取組はないという状況です。

 

  滝沢座長

 いいですか。ほかにご質問ございますか。

 どうぞ、永井さん。

 

  永井構成員

 これは広島県内に限ったことではないと思うのですが、2ページ目から3ページ目にかけて、ビジョンの推進に当たっての施策の実現方策だとか、それぞれの団体において目標年度を設定して策定することがいわれております。その中で、例えば幾つかの市町村が、それも説明がありましたように比較的小さい規模の市町村で作成されていないということですが、実は策定されていない中身が、例えばほかの業務をもって職員として策定する時間がないのか、それとも、そのような能力をもった人材がいないのか、そもそもその気がないのか、いえる範囲でいいのですが、どのような分析をされているのか。

 最後にもありましたように、いろいろな意味で研修をしていますということですから、促していることはわかるのですが、この辺はどのようにみているか、お伺いしておきたいと思います。

 

  山根主幹(広島県)

 今年度、県独自で、県内のすべての水道事業者等に対して、施設・管路の耐震化計画の策定状況について、アンケート調査を実施しました。どういう理由で策定されていないのか聞いたのですが、一番多い回答は、人材がいない、あるいはそれをやるための予算がない、特に耐震化の場合は耐震診断が必要になってくるところがありますので、どうしても経費がかかる、あるいは策定自体に、委託とか出すということであれば、作成費用がかかってくる、という意見が多かったです。

 

○ 滝沢座長

 よろしいですか。ほかにご質問ございますか。

 どうぞ。

 

  柳 川構成員

 多分、今いわれたところと共通することでしょうけれども、広島がいろいろなことをされていることは知っております。県が新たにそういう計画を立ててかかわっていくというのはうらやましい限りで、今までと全くそこは同じなのですが、県が計画を立てて、協議会をされて、いろいろな進捗状況にあるということはわかっております。そのとき、余り実力のない事業体の反発はなかったのですか。いい話なのか、そうではないのかをまず聞きたいというのが一つ。

 いま一つは、どちらにしろ首長がどこかで出てこないと、こういう話はなかなか進まないだろうという現実があります。それはもうされたのか、どの時点でされようとしているのかを二つ目に。

 それと、最初の話に戻るのですが、言い方は悪いですけれども、財政状況が悪くてお荷物みたいな事業体が仮にあったとしたら、それは事前に経営努力を求められるのですか、そのまま受け入れるシナリオでしょうか。その三つを聞かせてください。

 

  山根主幹(広島県)

 今、本県の広域化につきましては、4ページのところで説明させていただいたかと思いますが、県の水道事業推進会議の幹事会で、昨年度、広域連携を検討するワーキンググループを設置することの是非についての事前協議をしていいかということに関して各水道事業者等の皆さんの同意を取りつけた段階にとどまっておりまして、今月から幹事会が始まる予定ですが、いつまでにどういうふうにしていくといった点は、それぞれ思いがばらばらだと思いますので、これから各水道事業者等の皆さんの意向等を踏まえながら決めていくという段階です。

 このため、二つ目の質問ですが、首長とか、まだ、そういうレベルではないのではないかと考えています。まずみんなでテーブルに着いてという段階です。以上です。

 

  滝沢座長

 ほかにご質問ございますでしょうか。

 では順番にお願いします。石井先生。

 

  石井構成員

 細かいところですが、6ページの、平成6年の水質基準、26から4616年は46から50。現在は51ですね。放射性物質の話もありますので、それは福島原発から離れているので必要ないということですか。つまらないことですが。

 

  浅見構成員

 一つだけ補足で、51番目は放射性物質ではございません。放射性物質は管理目標といいますか、必要なときに検査することになっています。51番目は亜硝酸ですが、多分、ここはそんなに大きな変更ではなかったので、記載されていないということかと思います。

 

  山根主幹(広島県)

51項目になったのは最近の話なので、ここには出てきていないということです。

 

  滝沢座長

 よろしいですか。

 佐藤さん、どうぞ。

 

  佐藤構成員

 資料の8ページに、現在の業務実施体制について記載があるわけですが、人員数4.7、もしくは水道技術管理者の資格は現時点では有する者がいない。現時点との関係で少し伺いたいのですが、専任職員5名、もしくは水道技術管理者の資格という要件が付されることに対して意見・要望とか、広島県として意見があれば伺えればと思います。

 

  山根主幹(広島県)

 水道技術管理者に関しては、現在有資格者は職場にはいないのですが、本県の場合、企業局がございまして、水道用水供給事業を実施しておりますので、そちらには有資格者がおりますので、そういった部局とも連携して今後検討していきたいということでございます。

 

  佐藤構成員

 ありがとうございました。そうすると、水道技術管理者の設置の要件というのは、特段高い要求がされているわけではないという理解でよろしいですね。

 

  山根主幹(広島県)

 そうです。

 

  滝沢座長

 ほかにご質問ございますか。よろしいですか。

 それでは、山根さん、どうもありがとうございました。

 これにて4府県のご説明並びに質疑を終了したいと思います。

 最後に、冒頭ご説明いただきました資料1をもう一度ごらんください。事務局案でございますが、幾つかのポイントがございまして、1枚めくっていただきました広域化計画(仮称)について、特にアンダーラインが書かれているところ、先ほども少し議論になりましたが、統合の目標年度を示すというところ、それからアセットマネジメントのところ、水質監視体制、それから、3)のほうで国に定期的な報告ということで、年に1回報告するということ、それから、4)のところで上記が網羅されている場合には既存のビジョンを使ってもいいということ、3ページ目に移りますと、専任の職員が5名以上、その中で水道技術管理者を1名以上確保することというような要件が事務局案として出ております。残りの時間でこれについて皆様のご意見を改めて、ご説明、質疑の中でいただいたご意見もございますが、それ以外であればお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

 柳川さん、どうぞ。

 

  柳 川構成員

 四つの説明で私は一貫して聞いたつもりですが、やはりハードルを上げではいけないと思います。できるだけハードルは低く、私はそうしたほうが後々よさそうだなと思います。

 いま一つは、そうはいっても、今提案されているいろいろな項目は、ある程度しっかりしていないと国も安心して任せられないというのもあるでしょうから、最低限でいい。例えば計画は、個人的な感覚ですが、県がこうしたいという計画でいい。県内の各事業所などの数値を今から調査して、拾って、それを修正してという時間は、多分ないのではないかと思います。それは、私が私の出身の佐賀県で、県と話をすれば実態としてはそんなもので、全部するということは大変で、10年、20年計画であるといった答えが返ってくる現状もある。今の四つのところの計画は、立派過ぎるぐらいの印象をもちました。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。ほかにご意見ございますでしょうか。

 どうぞ。

 

  湯谷構成員

 1回目を欠席したものですから、1回目の分も含めてということで、何点か意見等をお話しさせていただきたいと思います。

 最初に、都道府県でのビジョンは、移譲がない中ではつくれないようなコメントを私はしたのですが、権限移譲という大きな方向性の中で水道の抱えている課題を共有すれば、まずは協議会をつくって、そこでみんなで打ち合わせてビジョンをつくることは可能だと思います。

 それと、強化計画の関係でいけば、先ほど来のコメントの中で、目標年度を決めて、そこをぴったりやるのは難しいのではないか、方向性として打ち出したほうがいいのではないかという意見がありました。事務局案は可能な限り示すということですから、今の段階では絶対条件ではないのかもしれませんが、少なくとも計画を立てる場合は、目標年度は要るのかなと思っています。

 それよりも丸数字2の目標の設定が、なかなか難しいのではないか。都道府県にとっては、例えば施設整備の財源もない中で、実効性のある目標を立てられるのかどうか、むしろここは努力目標でもいいのではないかと考えております。

 それと、体制のほうでは、まず人数ですが、ある程度の頭数は必要だと思います。一般的なレベルも示すことは可能かもしれませんが、例えば都道府県によって事業体数が異なり、事務量も違っているということも考える必要があるかと思います。もう一つは、先ほどのご紹介でも出てきましたが、専任職以外に、北海道もそうですが、保健所に環境衛生職員がいて、これが結構貴重な戦力になっていますから、全体の体制というのをみながら、ある程度のレベルを決めたほうがいいのではないかというのがあります。

 それと、技術管理者の関係では、まず都道府県での行政経験は、水道法にいう実務経験に当たらないと私は認識しております。そういう意味では技術管理者の確保というのはなかなか難しいのですが、例えば県営水道をもっているところは人事交流の中で実務経験ができます。ただ、県営水道も全国で22ぐらいしかもっているところがございませんから、そうなると事業体から資格者を派遣してもらうか、逆に都道府県から事業体に出て実務経験を積むかということになりますが、第1回の検討会でもお話が出てきましたが、事業体からの派遣でよしとするのは形式的な部分だけで終わってしまうのではないか。都道府県の都合で、いい人が来てくれるという担保もございませんし、継続的に派遣していただけるというのもない。そういう意味では、技術管理者というのは技術的な部分ですので、権限移譲を含めた都道府県の事務を考えると、私は都道府県における行政経験でいいのではないかと思います。

 ましてや、今は水道法の政令が改正されて、そこの基準は参酌するということになっておりまして、絶対的な要件ではないという状況だと思いますので、技術管理者は必ずしも現場での実務にとらわれる必要はないのではないかと思います。

 最後に、厚生労働省にお聞きしたいのですが、今回の権限移譲に伴いまして財源措置というのが出てくるかと思います。手を挙げられている都道府県にどういう説明をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。以上です。

 

  滝沢座長

 最後の点だけご説明いただけますか。

 

  安里補佐

 今回、権限の移譲に当たってどのような財源措置がなされるかですが、まだ関係省庁と調整中でして、しっかりしたことはお伝えできていない状況です。当然、事務作業が発生しますので、何らかの財源委譲は必要になるのではないかと思うのですが、我々国でやっています事務量が、47都道府県ごとにみますと大した量にはならないので、大きな財源が移譲されることは恐らくないと思います。されるとしても、わずかなものかと思います。

 関係省庁との調整もありますので、はっきりしたことはいえないのですが、大きな財源移譲がされることは恐らくないと、担当としては感じております。

 

  滝沢座長

 よろしいですか。

 

  湯谷構成員

 1点だけ。厚生労働省に要望的なことですが、基盤強化計画の3)の報告ということで、これはこれでよろしいのですが、ぜひ権限移譲の都道府県と厚生労働省水道課の連絡会議的なものをつくって情報交換をしていただければよろしいかなと思います。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。

 どうぞ。

 

  阪口構成員

 さきほどの統合の目標年度の話ですが、この文面からいくと、私のイメージとしては、ビジョンに、何々市は何年までに統合しますというのを書かなければいけない。大阪府のビジョンの中に、何々市、何々市と個別に市が挙がって、いつまでに統合しますといったことを書き込むのだと思っているのです。それはちょっとつらいのではないかという話をしているのです。議会の根回しも全然できていないのに、掲げられてしまったら困るだろう。ですから、今後検討を進める市町村がこれぐらいありますというような、ぼやっとした書き方にならないでしょうか。大阪府としても、20年後ぐらいには府域一水道を目指すと上げております。豊中市は、本当に20年後に統合するかといわれても返事はできません。そういうレベルでいいなら書けますが、A市、B市、C市はいつまでというのを書くとなったら、各市に聞かなければいけないですね。聞いて、各市町村、いつまでに統合しますと返事ができないでしょうから、少し難しいのではないですかという意見ですので、よろしくお願いします。

 

  滝沢座長

 どうぞ。

 

  安里補佐

 目標年度のところをどこまで書かなければいけないか、我々も非常に頭を悩ましているところですが、1点確認といいますか、共通認識をもっていただきたいのは、目標年度を書く細かさは2種類に分けられると思っていまして、閣議決定のなお書きを利用される場合、事業統合するのでこの水道事業もくださいという場合には、書いていただくとしても、あくまで目標だというところは変わらないのですが、いつまでに統合することを目標に頑張っていますというのは、なお書きの対象になる場合は、自治体名を挙げてしっかり書いていただくということが一つの目安にはなるのではないかと思っています。

 大阪府でいえば、今動き始めていますというところは、条件に合致するのではないかと思うのですが、それ以外の水利調整が県内で完結しますというところについては、今水道ビジョンに掲げていますような目標でも、細かくどの市町村がいつではなくてもいけるかなとは思っているのですが、これも政令等に書き込むことになりますので、関係省庁といいますか、我々も審査を受けて決めていく話になりますので、極力実態と離れないようにしたいなと思っていまして、今回いただいたご意見はしっかり踏まえさせていただきたいと思っております。

 

  滝沢座長

 ありがとうございます。

 時間が限られていますが、できるだけご意見をいただきまして、本日いただいたご意見をもとに事務局でもう一度議論していただいて、次回、最終になりますか、原案を出していただくという日程になりますので、ご意見がございましたらぜひともお伺いしたいと思います。どうぞ。

 

  浅見構成員

 広域の基盤強化計画については、私もハードルをなるべく下げて、とにかく策定していただきたいし、いろいろな県で検討していただきたいと思うので、表現をうまく工夫していただきたいと申し上げたいのですが、水利権で完結しない県で、かつ移譲も今のところ推進することが難しい県に関して、逆に広域計画をやらなくていいと読めないように工夫していただきたいと思います。先進的なところは頑張って、いけそうかなと思うのですが、移譲される気がないのでとりあえずいいとなってしまうと、そういうところのほうが難しい状況が残ってしまう気がするので、そこを工夫していただけるといいなと思います。

 特に、県内で有力な事業体が真ん中にあって、本日もそういうところがおありですが、そこが水利権の関係上読めないということになりますと、残ってしまうのかなと。それは非常に残念ですので、ぜひ広域化自体は進めていただけるようにお願いしたいと思います。

 

  滝沢座長

 ほかにご意見ございますか。柳川さん、どうぞ。

 

  柳 川構成員

 県については、今までいったとおりです。少しは大阪や広島などを見習ってほしい、勉強してほしい、というのが正直な気持ちです。ただし、私のところは、周辺で連携協議が始まっています。お隣の別の企業団でも垂直統合の話が、10年かかったけれども、今度はできそうというところまで来ている。そういう状況の中で、県がテーブルをつくってくれれば、県の名前を使って、連携、連合、言葉はどうなるかわかりませんが、できたといったらいいと私たちがいっている。そのためにはテーブルぐらいは最低つくっておかないといけないだろうという実情もお知りおきいただきたい。

 

  滝沢座長

 完全に権限移譲まで行かないような事例について、少しお考えいただければと思います。

 本日については大体ご意見が出そろったということでよろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。それでは本日の議事はこれにて終了したいと思います。進行を事務局にお返しいたします。

 

  久保補佐

 本日は活発なご議論をありがとうございました。本日いただいたご意見を踏まえまして、次回までに最終的な制度の形を検討したいと思います。

 次回の検討会につきましては、あらかじめご案内しているかと思いますが、1110日の午後を予定しております。次回は地方分権改革のお話に加えまして、いわば本題である水道事業の基盤強化方策のほうも議論を始めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 事務連絡になりますが、本日の議事録につきましては、前回と同様、私どものほうで案をつくった後、出席者の皆様にご確認いただき、ホームページで公開という運びにしたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。

 それでは、第2回水道事業基盤強化方策検討会はこれで閉会としたいと思います。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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