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2015年6月5日  第16回社会福祉施設等調査、介護サービス施設・事業所調査及び就労条件総合調査の評価に関する検討会議事録

大臣官房統計情報部企画課統計企画調整室

○日時

平成27年6月5日(金)15:00~16:00


○場所

厚生労働省 専用第20会議室


○出席者

委員

今田幸子  西郷浩  篠原榮一  ◎廣松毅  (五十音順、敬称略、◎;座長)

事務局

姉崎統計情報部長         
衣笠社会統計室長              野地賃金福祉統計室長
中村統計企画調整室長          渡邊統計企画調整室長補佐
山田統計業務民間委託管理専門官  前原社会統計室長補佐
川津社会統計室長補佐          成井社会統計室社会福祉統計専門官   
岡安賃金福祉統計室長補佐       篠山賃金福祉統計室長補佐  
小平賃金福祉統計室賃金構造分析官

○議題

(1)  平成26年度 民間競争入札実施事業 社会福祉施設等調査、介護サービス施設・事業所調査及び就労条件総合調査の実施状況(案)について

(2)  その他

○議事

○中村統計企画調整室長 本日、事務局側で出席を予定しておりました企画課長の三富が急遽国会関係の業務で欠席させていただきますので、代わりを務めさせていただきます統計企画調整室長の中村でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、ただいまより第16回「社会福祉施設等調査、介護サービス施設・事業所調査及び就労条件総合調査の評価に関する検討会」を開催させていただきます。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の議事につきましては公開とし、議事録につきましても後日ホームページに掲載させていただきます。

 それでは、以後の進行につきましては、廣松座長にお願いいたします。

○廣松座長 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日の議題でございますが、お手元の議事次第にございますとおり「平成26年度 民間競争入札実施事業 社会福祉施設等調査、介護サービス施設・事業所調査及び就労条件総合調査の実施状況(案)について」でございます。

 審議に入ります前に、少し今回の取りまとめについて御説明をさせていただきます。

 今回御審議いただきますのは平成26年度の実施状況でございますが、2つの事業のうち、社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査においては、平成24年度から26年度の3カ年契約により実施しておりますので、今回はその3年目の事業についての報告となります。また、就労条件総合調査については、平成26年度から28年度の3カ年契約による事業の初年度となります。

 現在、両事業とも3カ年の複数年契約でございますが、3カ年契約の場合は3年度目に次期事業の実施要項案作成を行うため、2年度目が終了した事業について詳細な実施状況の報告を行うこととなります。それ以外の年度については、簡易な報告様式を用いたサービスの質とコストの実施状況案を作成し、内閣府に報告することとなっております。本年度は、2つの事業とも次期事業の実施要項案作成の年度ではないため簡易報告ということになります。

 それでは、まず、資料1に基づきまして「民間競争入札実施事業 社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の実施状況報告(案)(平成26年度分)」について説明をお願いいたします。

○衣笠社会統計室長 社会統計室長の衣笠と申します。

 資料1を用いまして、実施状況報告についての御説明をさせていただきます。

 社会福祉施設等調査、それから介護サービス施設・事業所調査でありますが、この調査事業につきましては、先ほど座長からも御説明がありましたとおり、3カ年を単位としまして、3カ年契約に基づきまして事業を実施しております。

 この社会福祉施設等調査、介護サービス施設・事業所調査につきましては、平成21年度から23年度まで、その次が平成24年度から26年度までの期間による民間委託での事業の実施となっておりまして、本日御報告いたしますのが平成24年度からの事業の3年目に当たります26年度分の事業ということになります。3年目ということになりますので、先ほど座長から御説明がありましたとおり、今回は簡易な報告にさせていただきたいと思います。

 資料1ですけれども、1番の「対象公共サービスの内容」に書いてございますとおり、委託している事業の内容につきましては、社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の業務一式ということで、記載のとおり、調査対象名簿の作成から調査関係用品の印刷、調査票等の送付、調査票の回収・受付、督促、照会対応、個票審査、データ入力でございます。

 2番の「確保すべき対象公共サービスの質の確保の状況」に書いてございますが、実施期間は今回御報告の分で平成26年6月1日から27年3月31日ということになります。

 委託する民間事業者は、株式会社インテージリサーチになっております。

 平成24年度から26年度までの実施要項におきまして、確保すべき対象公共サービスの質としまして、上回らなければならない回収率を目標として設定させていただいています。こちらにつきましては、その前の期の21年度と22年度の実績の回収率を基にいたしまして、実績のうち回収率の低いほうの22年度の数値を現実的な達成目標であろうということで採用しまして、資料1に記載しております「確保すべき対象公共サービスの質」の欄にあります数値にこれを目標として設定したということになっております。

 この目標に対しまして、26年度の実績は記載のとおりの数字になっており、目標を達成しております。

 続きまして、3番の「対象公共サービスの実施に要した経費」でありますが、事業の実施に要した経費につきましては、記載のとおりでありまして、26年度は1億9,440万円となってございます。3カ年で見ますと5億7,030万円でございます。

 以上で大変簡単ではありますが、今回の御報告とさせていただきます。

 また、この場をお借りして御報告させていただきたいと思いますが、更に次の期の平成27年度から29年度の分の事業の実施に係る要項です。こちらにつきましては、昨年1127日に開催しました本検討会で御審議をいただいたという経緯がございます。その後の状況についての御報告ですけれども、御議論いただいた結果も踏まえまして、実施要項を内閣府のほうに提出いたしました。

 その後、一部修正はありましたけれども、大きな変更はなく、基本的に本検討会で御審議いただいたとおりの実施要項で定めまして、これに基づいて入札を行いました。

 入札の結果でありますけれども、応札は2者ございまして、それぞれから企画書を提出いただいて、今年の3月26日に有識者を委員に含めました技術審査委員会を開催し、プレゼンテーションを業者から行ってもらった上で技術点の評価をしたということです。

 今年の4月3日に開札をしまして、その際に示された入札価格を基に、技術点と価格点の合計点で決します総合評価を行いました。その結果、これまで受託をしております株式会社インテージリサーチが、今年度から始まる事業につきましても落札者となりました。

 恐縮ではありますが、この場を借りて御報告させていただきました。

 説明は以上になります。

○廣松座長 ありがとうございました。

 ただいまの説明について、御質問、御意見等を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○篠原委員 何点か質問したいのですが、まず、支払額のことで委託業者から赤字だったかどうか話は聞かれましたか。

 2点目が、民間に委託して、最初は大変だと思いますが、始めてから5~6年経っているので、その辺りが定着したのか、やはり少し難しい面が残るのか、まだ工夫が要るかなど業者から何か疑問や提案があるのでしょうか。

 3点目が、資料1で回収率が80%台の調査票が2つあり、1つは居宅サービス事業所(福祉関係)票で、新しいために低いのか、比較的小規模だから低いのか、その辺りの感触はどのようなものですか。以上の3点を質問します。

○衣笠社会統計室長 費用につきましては、業者のほうで受託をしていただいて、契約をしておりますので、それに基づいて実施していただいているということです。実態面としてどこからやりくりをしているのかということはあるかもしれませんが、そこは業者側の責任において実施していただきたいと思っております。

 2点目の、事業を実施しているけれども難しい面はまだあるのかという話ですが、客体である事業所の数が大分増えてきているので、その増加に対応して回収率を一定保つということは大分苦労されております。特に有料老人ホームなどがかなり増加していることもあって、その対応に大変苦慮しているということで、26年度におきましても、特にそのような事業所に対して回収率を確保するために督促等で苦労いただいたということです。

 3点目ですけれども、こちらは80%台のところですね。有料老人ホームは社会福祉施設等調査の一番上の欄ですけれども、ここは目標を達成していて、全体としては90.8%でございます。これは有料老人ホームだけではなく、保護施設なども含めての調査票単位での回収率がこのようになっています。それ以外の、例えば障害福祉サービス等・障害児通所支援等事業所票や居宅サービス事業所(福祉関係)票の在宅系のところは確かに小規模な面も結構ありますので、そのような面も影響している可能性はあるのかなと御指摘のとおり考えているところです。

 以上です。

○篠原委員 ありがとうございました。

○廣松座長 他にいかがでしょうか。

 今、コメントがありましたが、特定の調査票以外に全体を通じて今回、平成26年度は上回らなければならない回収率を何とか上回っているということで、全体としては大変いい状況ではないかと思います。恐らく民間事業者の方はかなり督促等で苦労されているのだろうと推察いたします。

○篠原委員 様々な事業所に調査を実施している中で、統計調査の目的にもよると思うけれども、その時々によって問題のあるところを重点的にきちんと調べるなど、行っていいのかなと思っています。

 それと、やはり回答しないところに問題が多いような気がするので、その辺りは常に問題かなという気がするし、その辺りの状況を把握する努力というのが今後要るのかなという気もいたします。そうなると調査の目的以外になってしまうかなと思いながら質問しているのですけれども、その辺りの感触としてはどうなのでしょうか。

○衣笠社会統計室長 1つ目につきましては、工夫を何かしているのかという御質問でよろしいですか。

○篠原委員 というより、とても様々なタイプの施設や事業所を調査していますね。そうすると、状況によっては、このタイプは問題が多いとなったときに、この調査でもう少しきちんと調べるかなど、そういう考えが出てこないかなという気がするのです。

○衣笠社会統計室長 調査内容につきまして、関係部局と調整をしまして、そこの施策に生かすことのできるようなものを、当然、総務省と調整をした上で、調べるということになっています。関係部局は、実際にそういった施策ニーズの観点で、この調査の状況も踏まえながらどのように考えるかということではないかと考えております。関係部局のほうは、この調査結果を見ながら我々に対して、またこれも調べて欲しいということを言ってきますので、そういう意味での反映はしているかと思います。

 あとは、回答がないところについて、前回も御指摘がありましたけれども、回答がないところは問題が多いところではないかという話ですが、そのようなところに対してきちんと事業が実施されているかどうかについてこの調査結果を使うことになりますと、調査票情報の目的外の利用ということになりますので、そこは少し難しいと考えております。

 ただ、それぞれ関係部局のほうも、不正なところは適正化しなければいけないということで、施策の中で、都道府県等の協力を得ながらきちんと行っているとは思っております。

○篠原委員 ありがとうございます。

○廣松座長 最初の御質問に関しては、これだけ調査票というか対象の施設や事業所の種類が多いとなると、ある程度安定して、少し時間が経ってからかと思いますが、ローテーションを考えるというような方法もあり得ると思います。ただ、現在の社会的な関心事という意味からすると、おそらく一番大きな関心事でもありましょうから、これをローテーションにして何年かに1回ずつというのは、少し難しい現状かなという気がいたします。

 他にいかがでしょうか。

 先ほど参考情報としていただいた今年度からの3カ年契約では、同じ民間事業者が実施するということですが、3期連続して実施することによってそれなりにノウハウは蓄積されつつあるだろうと思いますので、ぜひ様々な形で、いわゆる民間の創意工夫をしていただくと同時に、それが広く伝わるような形になればいいと思うのです。

 ただ一方で、余り同じ業者がずっと継続して実施するというのも問題があり得るかもしれません。

○今田委員 その状況に関して、民間事業者にノウハウなどの知識が実施上どんどん蓄積されていって、調査の質が上がってというのはとてもいい面だと思うのですけれども、そのノウハウやスキルをもう少し共有するというか、1社で独占するのではなくて、上手に共有して情報やスキルが偏らないような工夫は必要なのかなと思います。

 要するに自由に競争して、結果、優秀な調査会社が選ばれる。その選考過程は何も問題ないのですけれども、一方では、開放性という最初にこの制度を導入した意図が少しないがしろにされているのではという批判は当然あって、他の業者が参入しにくいという面があります。ですので、やはりその蓄積されたノウハウをもう少し一般化して、業者間で情報を公開し共有しあえるような何か工夫ができないのでしょうか。

 ある意味、独占状態で、同じ業者がずっと受託し続けるということが、他の大きな調査や他の省庁の調査もそのような傾向になっているのかどうかを調べることが必要なのではないかと思うのですけれども、どうなのでしょうか。

○衣笠社会統計室長 ずっと同じ業者が実施していくことについてどうなのか、もしくは、そのノウハウを他に広げる、共有していくことはできないのかという話ですけれども、実施要項上、次の期に違う業者になった場合には事業について引継ぎをしっかりしてくださいという規定を盛り込んだところです。当然、所有権などのようなものも様々ありますので、そのままということもないと思いますが、ノウハウは一定の必要な部分につきましては引継ぎということで担保されるのかなと考えております。

 また、当然、次の入札のときには我々としても入札の段階で事業の実施状況についてきちんと情報公開することで入札しやすくします。これは今回も行ったわけですけれども、今後もそのような対応をきちんとしていくということかと思っております。

○篠原委員 他の独立行政法人や地方自治体の市などの業者選定であると、どうしても仕事を出す規模から限定されてしまいますが、意外と小規模な業者はやる気があります。小さい仕事にすれば小規模な業者でも受託できるという意味では、私は、官はそのような小規模な業者を育てる責任もあるのではないかと思います。大規模な業者だけをどんどん委託していると、先ほど言ったようにどうもやる気がないというか進歩がなくなってきてしまう。そういう視点で、私はある意味で、全国1つではなくて、九州や四国という単位で出すというのはとても事務処理能力が高くなるので、そのようなことも考えなくてはいけないのかなという気は何となくしていて、全国規模で出すというのは限界があるのかなという気はしているのです。これは今どうのこうのではなくて、将来のこととして考えていただいて、私は業者の選定を行っていて何となくそのような感じを受けるのです。

 これは参考程度で聞いていただければいいです。

○廣松座長 少し伺いたいのですけれども、今おっしゃった地方自治体というか、市レベルでのこのような事業に関して、地元の企業が受託する実績というのは多いのでしょうか。

○篠原委員 今の質問で、市が反発するのは、大手が外から入ってきてしまうことです。そうすると皆大手に委託して地元の業者がなかなか受託できないという不満があるようです。選定のときには、やはり東京にある大きく構えているところのほうが採点はどうしても高くなってしまうのです。だから委託しやすい。けれども、やはり地方の業者にも委託したい。逆に言えば、先ほど言ったように大きい仕事、小さい仕事を多く用意して、小さい仕事は地元に委託するなど、そういう工夫が要るかなと思います。ですので、省でもそういう部分の工夫が要るのかなと思うのです。

 私たちが悩んだのは、ある政令指定都市で、質の評価と金額でひっくり返ってしまったところがあるのです。質が高い業者ではなくて、質が悪い業者のほうに金額が低いために委託することになって、そのほうがいいのかというのが議会で問題になっていました。このようにどこでも問題が多いなという気はしているのです。

○廣松座長 今の議論は個別の調査の話ではなくて、民間競争入札実施事業そのものに関わることかもしれませんので、現在のような形で個別の事業を様々に実施していただいている各部局から内閣府のほうにそういう意見を上げていただくことも必要ではないかと思います。

 他にいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、とりあえず「民間競争入札実施事業 社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査の実施状況報告(案)(平成26年度分)」に関しましてはここまでにさせていただいて、もう1つ御報告がございますので、御報告を受けた上で改めて全体を通してもし何か御意見等がございますれば、いただきたいと思います。

 それでは、「民間競争入札実施事業 就労条件総合調査の実施状況報告(案)(平成26年度分)」に対して説明をお願いいたします。

○野地賃金福祉統計室長 それでは、私から説明させていただきます。

 私、この調査を担当しております賃金福祉統計室長の野地と申します。よろしくお願いします。

 早速、資料2に基づきまして、平成26年度分の就労条件総合調査の実施状況報告につきまして説明させていただきます。

 この契約は、平成26年度から28年度の3カ年の契約でございまして、先ほどのお話にもありましたが平成26年度が1年目で、今回は簡易な報告ということでこの1枚になります。

 就労条件総合調査は、有給休暇の消化率などで政府の目標になっているぐらいとても注目されている調査の1つです。全体といたしましては賃金制度、労働時間制度、あるいは労働費用、福利施設制度、退職金の制度、定年制等について調査をしております。

 実際にこの調査の中で委託した業務は、資料2に記載されておりますように、先ほど御紹介があった調査とほぼ同じ範囲です。調査関係の用品の印刷・配付、調査票の回収・受付、督促、照会対応、個票審査、データ入力と調査対象企業名簿修正といった業務でございます。

 2番の「確保すべき対象公共サービスの質の確保の状況」についてでございますが、委託した業者が実際に業務を行うのは毎年度の9月下旬から翌年の3月末ぐらいになっておりまして、言い換えますと、調査が1月に実施されますので、それを挟んだ前後3カ月ぐらいということになっています。

 実施している民間事業者名は株式会社日経リサーチで、先ほども申し上げましたが、今回が第1回です。ただし、この業者は御案内のように調査の専門業者でございますので、とても慣れています。

 次に、目標であります全体及び企業規模別の有効回答率でございますが、上回ることとする水準の数値としてここに挙げてありますのは、厚生労働省が最後に実施いたしました平成19年度の有効回答率でございます。それに対する実績ですが、業務期間終了時点であります27年3月31日現在のものと、それからその少し後、最終的なものとして4月17日の時点ということで記載しております。

 今回の調査におきましては業務期間終了時点での有効回答率が御覧のとおり、全ての規模で目標値を上回っております。例えば全体では68.2%が目標であるところが70.2%ということで2ポイントほど上回っていますし、以下、全ての規模で上回っています。実はここ2年ほど大きい規模で苦戦しておりましたが、この日経リサーチは、その辺りを工夫して頑張って、最初から達成したということでございます。

 今回の調査において目標値を達成することができた要因は、注意事項の2ポツ目に挙げさせていただいております。初期の督促において、毎回1,000人以上や5,000人以上で苦労しているのですが、このようなところを優先して電話をかけて督促しています。それ以外にも、調査票を実際に企業に送る前に挨拶状というものを送るのですが、更にその挨拶状を送る前にそのようなところに電話をかけて担当者を確認するなど、それも今回の業者は1つの工夫として実施したとのことです。大規模な事業所だと担当者を確認するのが非常に難しかったりするので、早い段階からつかんでいくことも、1つの成功した要因ではないかと思っております。

 もう1つの要因といたしましては、オンライン調査をこの調査では初めて実施いたしました。回収した中の18.7%がオンラインでございまして、調査対象の全体で見ると13.1%なのですが、調査の回収方法の選択肢が広がったことで御協力いただける可能性が上がったということもあると思います。

 例えば、督促等でも調査票をなくした企業があるわけなのですが、そのようなところにもう1回我々のほうから調査票を送ると時間もかかってしまったりして、回収がまた難しくなってしまうこともあるのですが、その場でオンライン上のここにありますというお話をして答えていただくということも実際にあったと聞いております。

 最後に、一番下の欄にあります「対象公共サービスの実施に要した経費」でございますが、これは実際に支払った金額で、3カ年契約でございますので、3年分を合わせて5,7033,720円と、そのうち26年度分はちょうど3分の1の1,9011,240円ということでございます。なお、前回の契約、23年度から25年度の3カ年は6,0179,700円でございましたので、3年分で見ると300万円ほど節約になったということでございます。

 それから、先ほど、業者間の引継ぎというようなお話がありました。私どもの調査につきましても、今回、入札を行ったわけなのですが、その入札の資料の中でも、前の業者がどのようなことを行っていたかというようなことを大分入れました。我々も様々なやりとりをする中で前の業者から御報告を受けているので、そのようなことを我々から新しい業者に様々お伝えしたりして、回収率がそれなりに1年目から出てきたということもあると考えております。

 説明は以上でございます。

○廣松座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に対しまして、御質問、御意見等がございましたら伺いたいと思います。よろしくお願いします。

○篠原委員 オンライン調査に関してお伺いしたい。

 オンライン調査を実施することによって労力は減ったのでしょうか、増えたのでしょうか。

 それから、今年だったと思うけれども、あるシンポジウムで、実は日本のコンピューターの活用は先進国では低く、労働生産性でも低い。今回の入札でも我々がとても気にしているのはコンピューターの活用というのは、やはり徐々に実施していかなくてはいけない。ただ、政府もコンピューター化にとても力を入れているけれども、今後もっと具体的にどの程度実施していくのでしょうか。

 私はこの統計調査はそこそこ実施しているなという気はしているけれども、まだまだこの辺りは進められるところがあるのではないのという感覚はあるのです。準備や能力の関係でそこまでは進んでいないけれども、まだまだこの辺りはICT化というのですか、そういう検討をされていますか。

○野地賃金福祉統計室長 まず、この調査について私の考えを述べさせていただきますと、日経リサーチという会社はリサーチ会社なので、それなりにノウハウも持っていて、オンラインの調査は相当実施されているところです。本当の意味で省力化できたかどうかよく分からないですが、この調査は対象が全体で6,000でございまして、回収が4,000と少しで、その中の2割弱なので800ぐらいしかオンラインを使っていません。オンライン調査のためにオンラインの調査を準備する手間を考えると、トータルで見ると少し手間がかかっているかなという気はします。

 ただ、その分回収率がよくなっているというメリットも考えると、トータルでは、我々にとっては当然よくなったとは思っております。ICT技術はどんどん発展してきていますので、是非活用しなくてはいけないと思っておりますが、一方でコスト面であったり、あるいはセキュリティも今、問題になっておりまして、セキュリティをきちんとしようとすればするほどお金も手間もかかってくるといったこともあります。この程度の規模の調査ですと、我々が直接しようとするとシステムの関係の費用だけで何百万円掛かってしまうということもあるので、大きい規模の事業者でないとセキュリティも併せて行っていくのは難しいのかなと思っております。

○廣松座長 簡単な質問ですけれども、今回は政府統計共同利用システムは使わなかったのですか。

○野地賃金福祉統計室長 使うことも可能であるという入札の要綱には入っていたのですが、ただ、その場合でも調整が必要なので、1年目は難しいということは入札説明会で説明させていただきました。

○廣松座長 そうですか。

 他にいかがでしょうか。

○篠原委員 こういう統計調査も攻撃の対象になるかどうかなという気がしているのですが、我々、監査でもコンピューターを調査したいというと、20年ぐらい前は、あなたたちは素人だろう、こちらは専門家が多いのだから、調べたって何もないよと言われました。コンピューターの専門家でなければないほど基本的なことを調べるので、ここがおかしいねというのが意外とあるのです。ですから、恐らくこのようなところのセキュリティも、常に素人考えで行うべきではないのかなと思います。そういう意味で、素人が言うというのはとても大事かなと私は思っていて、その辺りでひるまず専門家に対してここはどうなっているかと尋ねることが必要な気はしています。

 余分なことかもしれませんが当然のことを言っておくというのも少し大変なのかなと思います。

○廣松座長 大変貴重な御意見だと思います。

 統計調査におけるオンラインの導入に伴うリスク、ウイルス侵入などの問題も含めてですが、この10月に全国一斉に行われる国勢調査はスマートフォンでも使えるようにすると言っていますから、それは一つ大変貴重な体験であり、そこから得られる教訓は大変重要ではないかと思います。国勢調査は総務省が行うことですので、是非その辺りの情報は共有していただければと思います。

 他にいかがですか。

 私が先ほど説明を伺っていて、この民間の事業者は、はがきを出す前に事前に接触をして担当者というか責任者を特定するということを実施したのは大変重要な点ではないかと思います。他の調査等で聞いた話では、例えば5,000人以上規模の事業所になると、紙の調査票を書くために、調査票を様々な部署などに回していると、どこかで調査票が行方不明になってしまうようなこともあったり、またどこかで止まると後が全然動けなくなるということを聞いたことがあります。その意味で、この調査に関しては誰が責任を持つということを明確に把握すると同時に、調査対象者もそのようなことを確認する意味で大変重要ないい試みだったのではないかという気がいたします。

 それから、TMS、統計調査マネージメントシステムとありますが、これは具体的にどのようなものなのか、もし情報がありましたら教えていただきたいと思います。

○野地賃金福祉統計室長 調査対象事業所との接触の記録など、そういったものが一覧で見られるシステムです。全部記録しておくので、いつごろ企業が調査票を返してくれるというようなお話を電話で話したときは、その日付近くになると自動的にシステムが、この会社がそろそろ返してくれるというようなメッセージを出すという機能があるようでございます。

○廣松座長 それは恐らくこの民間事業者が独自に開発をしたものなのでしょうね。

 他にいかがでしょうか。

○篠原委員  今、様々な仕事を市レベルで行っていて、国の直営というのはあるのかなという心配をしています。実際に自分たちがしないと分からない点があるので、その部分を意識して、採算が合わなくても私はある意味では国が事業を行う必要があるのではないかという気もしています。そういう意味で、日本は民営化の理論づけがされていなかったのではないかと思っています。官と民間の情報共有が全然ないと思うのですが、実際に、民間事業者との情報共有ができているのかという質問です。

○野地賃金福祉統計室長 今回、日経リサーチという会社とやりとりをしています。やりとりがあるところだと多少はお話しする機会はありますけれども、他の業者さんとお話しして様々な動きなどを、お互いに情報交換しているかというと、なかなか機会もないので、やはりそのような意味で言うと少し弱いのかなという気はします。

○篠原委員 私が驚いたのは、私は医療関係の政策評価を担当していて、委員の方と話した際に、日本は官営の病院を民営化することを強く言っているが、ヨーロッパでは7~8割は官が行っている。だから、病院に対する様々な政策がしやすい。その方に聞いたら、ヨーロッパの場合は官の中に民の病院がある。そのような方法もあるのかなと、考える部分が多くあります。だから、先ほどの官が直接実施する部分も要るじゃないという気がしているのです。何となく10年、20年、様々な形で民営化してきて、反省点として今よく見ると、やはり民も官も両方要るという立場から検討する必要があるのではないかという気がしているのです。

○廣松座長 ありがとうございました。

 他に御意見等はございませんでしょうか。

○西郷委員 入札に関係ないことで、調査そのものに関する質問なのですけれども、社会福祉施設等調査の対象に保育所がありますね。この間、産業分類が改正されて幼保連携型というものが新しく含まれるようになったのですけれども、その幼保連携型の保育所は、こちらの調査対象の中に入れるのか、入れないのか。児童福祉法に定められているものの中から施策に必要だということでこちらに入っているので、児童福祉法が変わらない限りは入れないのかもしれないのですけれども、その辺りは何か議論がなされているのかどうかということを、入札と関係ないのですけれども、伺えればと思います。

○衣笠社会統計室長 従来の認定こども園ですと、児童福祉法の認可を得た保育所部分というものがあって、保育所という位置づけで調査をしていたわけですけれども、おっしゃるとおり、今年の4月から子ども・子育て支援新制度が施行され、新しく制度体系が変わりまして、幼保連携型認定こども園につきましては、児童福祉法の認可ではなくて内閣府側の子ども・子育て支援新制度のほうの認可を受けた施設として新しく仕切り直しがされたということになっています。それに伴いまして、今年度からの事業におきまして、幼保連携型認定こども園調査票というものを別に作ることにしております。

○西郷委員 では、調査対象にするという整理ですね。

○衣笠社会統計室長 そのとおりです。

○西郷委員 わかりました。ありがとうございます。

○廣松座長 よろしいでしょうか。

 ただいま、資料1及び資料2に基づいて2つの実施状況案に関する御報告をいただきました。今回は両方とも簡易な報告様式ということであり、サービスの質とコストの実施状況を御報告いただいたわけですが、特にサービスの質というか回収率という意味では、この2つとも上回るべき水準を上回っているという意味で、大変よかったと思います。このうちどちらか、あるいはどこかで下回っているところがあると恐らく議論はそこに集中したのではないかと思うのですけれども、今回は幸いなことに2つの民間事業者の方にも御尽力いただいて、上回ることができたという報告をすることができるのは大変良かったと思います。

 この2つの報告に関しまして、今後の方向あるいは民間競争入札事業そのものに関する御意見もいただきましたが、各事項に関して特段に修正を要するという御意見はなかったように思いますので、全体について、資料1、資料2の実施状況報告案を原案として承認するということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○廣松座長 ありがとうございました。

 それでは、この検討会として2つの実施状況案を承認したということにさせていただいて、内閣府への御報告等に関しては、事務局によろしくお願いをしたいと思います。

 本日予定をしておりました主な議題は以上でございますが、委員の方からそれ以外に何か、この際、発言をしておきたいというものがございますれば、いただきたいと思います。

○篠原委員 統計調査というのは意外と重要で、厚生労働省の中では地味な仕事だと思うのですが、そういう地味な仕事をきちんと行っていかないといけないと思うのです。

 部長が一番つらいのは、モチベーションをきちんと保って、行っていくことかなという気がしないでもないのだけれども、最近の世の中の動きを見ていると、こういう地味なところをきちんと行うことが大事なのかなと思います。当然行っていると思っていて、手を抜いているとは思っていないのですけれども、あえて言わせていただきました。

○廣松座長 ありがとうございました。

 部長、何かご発言はございますか。

○姉崎統計情報部長 貴重な御意見をいただいて、大変にありがとうございます。

 大変地味な仕事をきちんと着実に行っていくということが一番大事だと思っておりますので、うちの職員の皆さん、しっかり行っていただいておりますけれども、統計も地味な仕事というか、あるのが当たり前みたいな感じになっていて、様々な問題が起こったり政策上の課題があったりすると、これを何とかしなくてはいけないと考えます。そうすると、そこに様々な制度を作って予算を投入するということで、予算もなかなかこちらには回らない。また定員削減もあり、予算も人も増えないという大変な状況の中、職員の皆さん、頑張っております。

 状況は厳しいのですけれども、様々な政策を適切に実施してくためには、きちんと統計で実情がどうなっているかということを把握して初めて政策というのは成り立つと思っておりますし、うちの職員もそのように思っておりますので、与えられた仕事をしっかり頑張っていくということで、みんな頑張っているかと思います。

 応援をしていただいて、大変うれしく思います。

○廣松座長 どうもありがとうございました。

 本日、議事次第にございますとおり、もう1つ、議事の2として「その他」というのがございますが、何かその他の事項はございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議事は以上で終了いたしましたので、事務局のほうにお戻ししたいと思います。

○中村統計企画調整室長 それでは、本日配付しております資料の中に資料3というものがございまして、今後のスケジュールになっております。

 本日御議論いただきました2事業3調査の、平成26年度事業の実施状況につきましては、先ほど座長からも言われましたとおり、今後、内閣府に提出するとともに、厚生労働省のホームページに公表いたしたいと思います。

 この事業につきまして、社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査につきましては、今回3年度目で実施要項の策定から様々な御意見を賜ってきたところでございますけれども、本日で事業を無事終えることができたということで、委員の皆様方には厚く御礼申し上げます。

 次期社会福祉施設等調査及び介護サービス施設・事業所調査や現在行っております就労条件総合調査につきましても、引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。

 また、参考になりますけれども、次年度のスケジュールも参考に書かせていただいております。次年度につきましては、28年3月末以降に事務局で実施状況につきまして取りまとめを開始します。例年どおり、5月か6月ごろに御審議いただく予定にしております。

 次回につきましては、就労条件総合調査につきまして、詳細な実施状況を御審議いただくことになろうかと思っております。改めて日程調整させていただきますので、各委員におかれましては引き続き御協力をお願いいたします。

 それでは、本日の検討会はこれで終了とさせていただきます。

 本日はお忙しい中、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省 大臣官房統計情報部 企画課 統計企画調整室

電話: 03-5253-1111(内線7437)

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