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2012年8月21日 第7回新水道ビジョン策定検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成24年8月21日(火)14:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席構成員

滝沢座長 浅見構成員 岡崎構成員 岡部構成員 尾崎構成員
木暮構成員 佐藤構成員 長岡構成員 服部構成員 平田構成員
吉岡構成員

○議題

(1) 第6回検討会議事録(案)について
(2) 特定テーマ6 水道サービスの持続性の確保について(水道の運営基盤の強化・その1)
(2)-1 事務局からの報告
(2)-2 ゲストスピーカーからの話題提供(1)
(2)-3 ゲストスピーカーからの話題提供(2)
(3) その他

○議事


○ 名倉課長補佐
では、ほぼ定刻となりましたので、ただいまから第7回新水道ビジョン策定検討会を開催させていただきます。構成員の皆様にはご多忙にもかかわらず、ご参集いただきましてまことにありがとうございます。まず構成員の出席状況でございますが、本日11名すべての構成員にご出席いただいております。

○ 水野係長
それでは、議事に入ります前に事務局より配付資料の確認をさせていただきます。まず議事次第がございます。添付—1、裏面が検討会名簿でございます。2枚目、添付—2が座席表、その裏が検討会のスケジュール(案)となっております。続きまして、資料—1でございまして、これが先回、第6回の議事録(案)でございます。続きまして、資料—2が「水道サービスの持続性の確保」ということで、事務局からの資料でございます。続きまして、資料—3が佐藤構成員からいただいております「新水道ビジョンにおける運営基盤の強化について」でございます。資料—4が木暮構成員からの資料でございます。「広域化の推進 埼玉県の事例」というものがついております。検討会の資料は以上でございます。
あすからの被災事業体の意見交換会に参加される方につきましては、A4が2枚で、集合場所の地図とスケジュールを配付させていただいております。
資料は以上です。もし足りないもの等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。よろしいでしょうか。

○ 滝沢座長
皆様、ご多忙の中、また暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日、第7回の検討会ということで、特定テーマ6—1、水道サービスの持続性の確保(水道の運営基盤の強化・その1)ということで進めてまいりたいと思います。
早速でございますが、第6回の検討会の議事録(案)が皆様のお手元に配付されていると思います。事前にメールで皆さんにごらんいただきまして、チェックを受けているものだと思いますが、何かお気づきの点ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、「(案)」をとりまして、議事録を承認いただいたということにさせていただきたいと思います。
続きまして、本日のテーマですが、特定テーマ6、水道サービスの持続性の確保でございますが、この特定テーマは、水道のヒト・モノ・カネに関するテーマでありまして、本水道ビジョンの核となるようなテーマでもございます。水道ビジョンにかかわるテーマにつきまして網羅的に審議をするために、今回は第7回ですが、同じテーマで次回の第8回、2回に分けて審議をさせていただきたいと思います。そうした中で、本日、3件のご報告をいただくことになっておりますが、3件続けてご報告をいただきまして、暫時休憩をいただいた後、皆さんのご意見をいただきたいという形で進めてまいりたいと思います。
それでは、早速でございますが、議事の(2)—1でございますが、事務局から水道サービスの持続性の確保について、資料—2に基づきましてご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○ 日水コン(福原)
日水コンです。資料—2の水道サービスの持続性の確保についてご説明させていただきます。事前に送付させていただいた資料から目次の構成を若干変更させていただいております。目次をみていただきますと、まず最初に将来の事業環境についてご説明させていただいた後に、ヒト・モノ・カネの観点からみた運営基盤の強化ということで、順番が少し違うのですが、ヒト・カネ・モノの順でご説明したいと思っております。その後、広い意味での運営基盤強化のための方策に係る課題と取り組みということで、複合的な内容のところについてご説明した上で、最後に取り組みの概念というところを、図を使ってご説明したいと思います。
それでは、順番に将来の事業環境、2ページからご説明いたします。

○ 日水コン(辻)
日水コンの辻と申します。まず事業環境の変化として、2ページの日本の将来推計人口なのですけれども、2010年をピークに100年後には4,286万人になるという見込みとなっております。
次に3ページに入りまして、上水道事業の将来の家庭用原単位というところですけれども、近年ももう減少傾向に入りまして、将来的には節水機器等の普及で今後も減少していくという見通しとなっております。
4ページが、これらを踏まえると、有収水量ベースですが、将来の需要水量は今後も経年的に減少いたしまして、100年後、2110年ですが、日量1,100万トンまで落ち込むという見込みになっております。
5ページですが、上水道事業の給水収益の動向の実績のグラフでございます。実質ベースが青いグラフなのですけれども、1996年をピークに減少傾向がみられます。
6ページが、第1回、第2回の検討会で関係団体のヒアリングを行いまして、その問題点を構造化したものでございます。人口減少を含む社会構造の変化から考えますと、今後、人の面でみますと、民間事業者のベテラン技術者の退職による技術者不足で、民間技術者の技術力が低下するのではないか。あと官のほうでも、ベテラン職員の退職による技術者不足と外部委託もございまして、職員自体の技術力の低下が懸念されております。あと、物の面については、施設稼働率の低下や施設の老朽化、あとは人の面の技術力の低下に伴うチェック機能の低下も相まって、水道施設の運営、管理水準も低下することが懸念されていますし、お金の面では、料金収入が減少するということと、あと人の面も波及いたしまして、経営力が低下することが懸念されております。料金収入が減少すれば、更新資金が不足いたしまして、結果的に水道施設の運営、管理水準の低下というところにつながるという形で、構造化いたしております。これらの問題に対応するためには、官民の技術力の確保や、あとは水道施設の再構築、チェック機能の確保が大きな課題ではないだろうかということでございます。
次に7ページに入りまして、これらを踏まえまして、運営基盤強化のために必要なことを整理いたしますと、官民の技術力の確保、水道施設の再構築、資金の確保、チェック機能の確保が必要ではないか。そのための方法としては、人材の確保と育成、官民連携、広域化の推進、アセットマネジメント、住民等との連携、水道事業の監査ということが考えられるのではないかということで整理しております。
次に8ページは、事業規模、地域性による事業環境の違いということで、市町村の人口規模別に人口指数と65歳以上の人口の割合を示したものなのですけれども、人口規模の小さい市町村ほど人口の減少率も大きいですし、高齢化も大きいという傾向がみられます。
9ページは同じく財政力指数をみたところを整理しておりまして、規模の小さいところほど財政力指数が小さい傾向が見受けられます。
10ページは水道事業の給水人口別にみた水源種別と浄水処理別の状況でございまして、小さいほど地下水が大きく、中規模になりますと受水が大きく、大きいところになりますと地表水のシェアが大きいという傾向。浄水処理では、大きいところほど急速ろ過のシェアが大きくなるという傾向が見受けられます。
11ページが給水人口別にみた配水管と水道メータ密度というところを整理しておりまして、規模が小さいほど密度が小さくなるという傾向が見受けられます。
12ページは、これらの結果を踏まえて、給水人口規模による事業環境の違いというものを再整理したものでございます。
13ページは給水人口別の認可権者ということでございまして、小さいところは都道府県認可がほとんどでございまして、今後、小規模事業の運営基盤強化に当たっては、都道府県の役割が大きいだろうということでグラフをつけております。
次に2—1)に入りまして、技術力の見通しの技術者の減少という観点から、経年的に職員数自体は減少しているということと、15ページに入りまして、職員以外の技術者数でみた点でも減少傾向。あと16ページに入りまして、水道技術管理者とか布設工事監督者の有資格者数をみましても、近年、減少傾向であるというところを示しております。
17ページは技術者の高齢化という視点でありまして、今後10年で50歳以上の職員が大量退職ということで、ベテラン職員の退職による技術の継承が大きな課題ということでございます。
18ページが1事業当たりの職員数というものを規模別に整理したものなのですけれども、規模別にみても1事業当たりの職員数は減少傾向。あと、1万人未満の小規模な水道事業体では3~4人の職員で事業を運営しているという実態が見受けられます。
19ページ以降は技術職員1人当たりの指標として、給水人口規模別の管路の新設更新延長、建設改良費ということなのですけれども、規模が小さいほど1人当たりの建設事業が大きい傾向である。
20ページは同じく給水人口、給水面積、21ページが管路延長、施設数、設備数を職員1人当たりの指標に換算したものなのですけれども、規模が小さいほど給水人口とか給水面積等が大きくなるという傾向が見受けられます。
22ページが技術力の確保に向けた課題ということで整理しておりまして、今後、水道事業として求められる人材の確保ということで、まず施設を管理運営できる人材を確保しなければならない。あと、事業の管理運営、つまり経営できる人材を確保しなければならない。そして、事業全体をマネジメントできる人材を確保しなければならない。あとは、住民に説明できる人材を確保しなければならない。こういった視点の人材の確保というのが課題になるのではないかということで整理しております。
23ページが事業規模と職員配置の事例ということで、給水人口規模別にみたときの平均的な給水人口、平均職員数のところの、事業体の職員の配置事例を規模別に整理したものでございます。組織の管理項目と照らし合わせますと、規模が大きい事業体ほど多くの人材を確保している状況が見受けられるのですけれども、小さいところでは、少ない人数で複数の管理すべき項目に対応しているという状況が見受けられます。
24ページなのですけれども、まず左のグラフですが、職員数別の度数分布を給水人口規模で色分けしたものでございます。23ページの組織が10あるといたしまして、技術の継承の観点から各組織に2人は必要であろうかという考えで、人材確保と育成の観点から、20人の職員数が必要であるかという目安を考えましたところ、最低約20人以上確保できる規模というものを、このグラフからみますと、給水人口規模の10~25万人ではないかということで、これぐらいが人材確保と育成の観点で、事業を最低限維持できる規模ではないかということで、目安としてこの図を作成しております。給水人口25~50万人になりますと、最低約100人以上確保できるということで、これぐらいあれば十分な組織体制を確立できる規模であろうかということが考えられます。
25ページが、小規模水道事業体の自立促進のポイントを課題として整理しています。まず考えられることとしては、民間委託、広域化等は手段であり、職員みずからが水道事業をプロデュースする必要がある。あとは、小規模水道事業の不利な条件、弱みを克服して、小規模水道事業がもつ強みを生かす工夫が必要である。あと、完璧な計画からスタートするのではなく、走りながら考え組み立てていくような柔軟な対応が必要であるという視点がポイントになるかなということで整理しております。ちなみに、これは全国過疎地域自立促進連盟のホームページのところを参考にして作成いたしました。
26ページですけれども、中小規模水道事業体の運営基盤の強化を考えた場合には、人材確保の視点からなのですが、大規模事業体や民間企業からの支援、周辺事業体との連携強化というのが今後必要になってくるというところで課題を整理しております。
この後には、実際の人材確保の育成の事例等を整理しておりまして、それが27ページからになります。まず人材確保の事例では、宮城県企業局を初めとした6事業の事例がございますが、経験豊富なOBを活用している事例が多く見受けられます。
28ページが、実際に人材育成方針等を作成している事例なのですけれども、中には京都市とか広島では経営感覚をもつ職員を育成することに言及しているという事例がございます。
29ページも同じく岡山市人材育成方針で、職員としてあるべき将来像を描いているところがあります。おもしろいところが、事務系・技術系の垣根を廃止した取り組みを行っているという事例がございます。
30ページが、研修施設を実際に整備して取り組んでいる事業体の事例を幾つか取り上げておりまして、八戸圏域水道企業団、東京都水道局等を整理しております。
31ページが横浜市水道局の取り組みでございまして、職員の配管技能・漏水処理技能を次世代に継承するということで、テクニカルエキスパートの制度というものをつくったり、あと専門技術者の育成・継承という観点から、マスターエンジニア制度といった取り組みが行われている事例。
次に32ページが広域連携による人材確保・育成ということで、大阪市水道局についてなのですけれども、ほかの水道事業体と人材育成、技術支援とか、災害相互応援というような観点で連携を行っている事例がございます。
33ページが横浜市水道局の取り組みなのですけれども、横浜ウォーター株式会社との連携、こういった連携のあり方。
同じような連携で、水道事業体出資による株式会社等の設立になるのですけれども、34ページでも八戸圏域水道企業団とか東京都水道局等で同じような設立をしてやっておられる事例がございます。
35ページが、第5回のゲストスピーカーでもございましたように、NPO法人水道千葉の取り組みをまとめたものです。
36ページが、会津若松市における事例なのですけれども、民との連携ということで、SPCによる一体管理、こういった視点で行っている事例もございます。
37ページが広島県企業局の公民共同企業体設立計画における事例ということでございまして、38ページが経営形態の検討における前提条件としては、水道広域化の各自治体の参画が容易な形態とか、経営の自由度が高い形態、サービス水準へのチェック機能が働く形態ということで、設立計画が立てられているということで事例を挙げてございます。
次に39ページが、水道事業者等と民間事業者とのマッチング促進を目的として、官民連携推進協議会というものが実際に行われている事例を掲載させていただいております。
ここまでが技術力の確保ということで、ご報告を終わります。

○ 日水コン(福原)
続きまして、ヒト・モノ・カネの観点でカネの部分ということで、3)の水道事業の会計というところで、40ページからご説明いたします。
40ページから42ページにかけては、第2回の検討会でもご説明した資料なのですが、管路の老朽化が進んでいるということで、老朽化している管をそのままにしていますと、41ページのように事故率が上がっていく。42ページにありますように、更新をしなければ事故の回数ないし復旧費用が増加していくというものをお示ししたものでございます。
めくっていただきまして、43ページですが、こちらの図は管路の21年度時点での更新率、法定耐用年数で更新した場合がオレンジ色で、青色が法定耐用年数の1.5倍で更新した場合の更新率でございます。各事業体とも更新率は現況では低く、更新をペースアップする必要があるということをお示ししたものでございます。
44ページからは、これも第2回検討会の中で事業環境のご説明をしたときに使ったものと同じでございます。こちらでは、平成22年度に行いましたアセットマネジメント取り組み促進調査の中で出しました全国ベースでの更新需要の推計結果につきまして、49ページまでお示ししたものでございます。めくっていただきまして、47、48ページにありますように、法定耐用年数の1.25倍、1.5倍といったようなペースで更新するとした場合も、将来の更新需要は大きくなっていくといったところをお示ししております。
50ページをごらんいただきます。こちらは給水人口1人当たりに換算した場合の更新需要の見通しを示したものであります。人口減少と、将来、老朽化している資産の更新需要が増加することで、1人当たりの負担額は増加していくという傾向が見込まれております。
ページをめくっていただきまして、ここまでは第2回でご説明した内容ですが、事業規模別にどのような差があるかということで、52ページから54ページの分析を行ってございます。四国の上水道事業を対象に更新需要の推計を行ってございます。52ページの図は、四国地方全体としての将来の更新需要の概数を推測したものでございます。53ページは、社人研におけます人口推計結果の概要を取りまとめたもので、規模別で20万人以上、5~20万、3~5万、1~3万、1万人未満といった現況の人口の規模別に集計を行っておりまして、それぞれの人口の推移がどうなるかといったものを右下のグラフに示してございます。54ページは、そちらの規模別でみたときの将来の更新需要の見通しの結果を、左上に全体の更新需要、1人当たりの更新需要に換算したものを右下のグラフでお示ししております。小さい事業体ほど1人当たりの負担、更新需要が増加していくというところを確認していただけるかと思います。
続きまして55ページからは、会計制度見直しの対応ということで、地方公営企業法の会計制度の見直しについての説明をさせていただきます。55ページにありますように、大きく資本制度の見直しと会計基準の見直しといった内容でございます。
56ページ以降につきましては、個別の総務省、または日本水道協会の研修会資料を添付させていただいて、それぞれの制度の見直しの概要をつけさせていただきます。
55ページに戻っていただきますと、大きく資本制度の見直しとしましては、法定積立金の積立義務の廃止、利益及び資本剰余金を処分できるといったこと、資本金の減額が可能になったといった内容でございます。公営企業の会計基準の見直しとしましては、赤で書いていますような、借入資本金の取り扱い、みなし償却制度の廃止といったものが大きな内容でございます。
個別の内容につきましては説明を省かせていただきまして、ページをめくっていただきまして、61ページをごらんいただきたいと思います。会計制度の見直しについてまとめたものがこちらの図になります。この制度の見直しとしましては、義務づけ、枠づけの見直しと条例制定権の拡大によって、透明性のある経営ができるといったところと、自己責任の拡大といったところが1つの目的と理解しております。また、これらの制度を運用していく上では、首長ないし議長さんの理解が必要不可欠といったことで、こちらの図を整理してございます。
62ページは、この会計制度の見直しによって、水道事業の会計において具体的にどういう影響があるかということで、最も大きな影響が考えられるみなし償却制度の見直しについて整理したものでございます。みなし償却を現在行っている事業体については、収益、費用の双方が増加するために大きな影響はないのですが、みなし償却を行っていない場合の会計基準については収益のみが増加するということで、見た目より経営状況が良好であったかのような形になるということで、会計制度の中身について、水道管路の更新等が進んでいない実態から、減価償却費が抑制されていると考えるのであれば、この部分については表面上の経営改善とみえるといった内容でありますので、具体的な会計制度の見直しを理解した上で経営していく必要があるというように整理してございます。
続きまして、めくっていただきまして63ページ以降につきましては、水道事業の財務管理の内容についてご説明しております。63ページにつきましては、まず会計制度が行政部局と水道事業の公営企業会計で異なるといったことで、その1つの考えとして、減価償却費によって将来の更新のための費用として内部留保されていくという制度があるといったところで、64ページは内部資本の留保資金の流れについてご説明したものでございます。
65ページは簡単な模式図でかいたもので、自己資本で更新等の整備を行っていた場合が、起債等に依存するよりも財政的な負担が小さくなるといったところを説明した図でございます。
66ページは、実際の建設投資額に対する起債割合の推移を示したものであります。一番上が上水道の推移でありますが、昭和50年代につきましては60~70%と高い値でしたが、現況では30%程度ということで、起債割合が低下しているということを示してございます。
続きまして、67ページからが水道料金に係る内容でございます。67ページの図は、水道料金と電気、ガス料金等の比較を示した図で、水道料金は決して1世帯当たりの支出では高くないといったところを示してございます。
68ページは水道料金の改定動向ということで、改定率は経年的には減少傾向ということで、これは料金を上げている事業体と下げている事業体がありますので、平均としては改定率は下がっている傾向にあるといったところを示してございます。
69ページから71ページにつきましては、市民向けのアンケートで水道料金に対する需要者の意識を聞いた結果をつけてございます。
めくっていただきまして、72ページからが水道料金のあり方ということで、日本水道協会でつくられております水道料金算定要領の考え方について整理したものでございます。平成18年度に水道料金制度調査会がつくられまして、平成20年3月に水道料金算定要領が改訂されたわけですが、そこのポイントとなる点ということで、73ページの改訂事項ということでまとめさせていただいています。?として、更新・再構築費用の確保ということで、資産維持率3%といったような形の提起をされております。また、地下水利用専用水道の使用者に対する料金制度について、それから、逓増型料金体系、準備料金と水道料金の配分、総括原価配賦例の変更といったところを示しております。
続きまして、75ページからが給水区域内の地下水利用ということで、地下水利用専用水道の状況について示したものでございます。75ページの上側の緑色の部分が自己水と上水道等からの給水を受けている併用型の専用水道の数になります。こちらが増加しているということがみていただけるかと思います。
76ページの図は、日本水道協会の調査の中での転換件数と業種別の転換数の内訳を示したものでございます。このように病院等での転換が多いということがわかります。
77ページから81ページにつきましては、このような地下水利用専用水道の増加に伴います各事業体での対応例ということで、77ページに大口利用者の特割制度の導入例を示してございます。78ページにつきましては帯広市のバックアップ料金制度、79ページが神戸市の負担金制度、80ページに神奈川県営水道の減免制度についての記載をさせていただいています。81ページに熊本市の地下水保全条例の揚水規制といったものを載せてございます。
続きまして、82ページからヒト・カネ・モノのモノの部分ということで、4)の効率的な施設整備といった内容でございます。82ページ、83ページにつきましては、東京都水道局で出されております施設再構築基本構想の概要をお示ししております。
続きまして、84ページは京都市上下水道局の事例ということで、施設の余剰能力があるということで、施設規模の適正化、施設統廃合した例ということで、こちらを載せてございます。
続きまして、85ページからなのですが、こちらは経済産業省から水団連に委託がありまして実施しました首都圏における水道施設効率化の検討事例を示してございます。取水地点を下流側から上流側に変更するということで、輸送系のエネルギーと、水質が改善することで浄水処理系のエネルギーを削減するといった検討を行ったものにつきまして、85ページから87ページにお示ししております。
続きまして、88ページからが研究・技術開発に関する内容でございます。88ページは科研費の研究課題の推移を示したものでございます。
89ページ以降につきましては、東京都水道局、横浜市水道局、大阪市水道局の技術開発におけます研究内容ないしは官民共同研究の内容等について示したものでございます。
92ページにつきましては、今後の技術開発の方向性ということでとりまとめたものでありますが、大規模な事業体におきましては積極的に技術開発を実施している、また、民間企業との共同開発といったものにも取り組んでいるわけですが、中小規模の事業体だと、なかなかこういった取り組みは難しいということで、中小規模事業体の運営基盤を強化するための技術開発ということで、維持管理しやすい施設ですとか、施設面及び経営面での自己診断をするためのツール開発といったものが必要だろうということで整理をいたしました。

○ 日水コン(辻)
93ページが広域化の推進ということで整理しています。まず現況の課題ということで、広域化の推進を阻む要因としては、リーダーシップの欠如、事業体間に格差等があるということが挙げられまして、94ページが同市町村内の事業統合についてなのですけれども、市町村枠を超えた広域的な事業統合については、検討しているというのが10%と少ない状況でございます。
95ページが、水道事業の広域的な事業統合の予定とか検討の割合を都道府県別にマップで示したものと、都道府県で取り組まれている広域化といった事例等をあわせて図化したものでございます。この図からみますと、県が積極的に広域化に取り組んでいる都道府県については、事業統合とか予定及び検討の割合が多いという傾向が見受けられますので、今後、都道府県のリーダーシップが重要ではないかということで整理しております。
96ページからが都道府県の事例ということで、埼玉県の事例です。97ページが千葉県の広域化の事例、98ページが神奈川県内での事例ということで挙げております。
事業統合の事例ということで、宗像地区の事務組合、99、100ページです。
次の101ページなのですけれども、これは中核となる水道事業が事業統合をする事例ということで、会津若松市とか釧路市、茨城県南水道企業団の事例を整理いたしました。
次にアセットマネジメントということで、現在のアセットマネジメントの実施状況をみますと、約7割の事業体で実施していない。規模別でみますと、5万人以下の水道事業では9割が実施していないという状況でございます。
これを踏まえまして、103ページから106ページなのですけれども、昨年度、厚労省による調査を行いまして、中小規模の水道事業体におけるアセットマネジメント導入に係る課題ということを整理したものです。まず認識不足、人材不足、人員不足、技術不足、複雑な検討、財源不足といった課題が浮き彫りになりました。
104ページがその課題に対する対応策ということで、制度改革、意識改革、人材支援、技術支援、簡便なツールの提供、財政支援といったことが必要ではないかということで、105、106ページに具体的な対応策が取り上げられております。意識改革については、例えば厚労省や都道府県による指導強化、アセットマネジメントの導入効果の検討及び情報提供、人材育成としては、事業全体に精通した人材の確保、制度改革としては、実務との連動が必要ではないかということ、技術支援については、講習会や研修会の開催、相談窓口の開設、手引きの改訂及び検討事例の開示ということでございます。簡便なツールの提供としては、今年度、厚労省の事業として実施しようとしているところでございますが、検討支援ツールの簡便化、財政条件の自動設定、資産台帳のあり方の提示ということが挙げられます。財政支援としては、アセットマネジメントに係る財政的支援と既往の補助制度の適用範囲の拡大ということが挙げられるということでございます。
107ページが神奈川県内広域水道企業団の組織改革ということで、アセットマネジメントが可能となる組織改革が行われている事例を挙げております。
次にその他として、まずチェック機能の確保ということで、ベテラン職員の定年退職や外部委託の推進により職員の技術レベルが低下することが懸念されていることと、民間委託が進んでいる実態を踏まえると、水道事業の適切な事業経営が行われているかを判断するための業務監査が必要ではないかということでございます。
そのために、109ページ、110ページで、水道技術研究センターや日水協で監査の視点での取り組みが行われているということでございます。
次に111ページが、PFI事業の実施状況と問題点ということで、第三者委託の届け出件数は近年、大きくふえておりまして、PFIの導入件数も若干では増加傾向である。
112ページが追加調査報告のものを整理しておりまして、PFI事業におけるVFM率も一定の効果がみられますし、導入の効果としても、財政資金の効率的利用とか住民に対する安価で質の高いサービスの提供といったところで高い評価がみられます。
113ページのオレンジ色の帯なのですけれども、これは訂正でございまして、PFIを実施していない事業体、68事業についてのアンケート結果でございます。実施していないところについては、理由としては将来の方向性が決まっていないとか、PFIに当てはまる具体的な事業がないため特に検討していないという状況でございまして、今後、PFI事業の事例紹介とか、各事業体の地域水道ビジョンの作成が必要になってくるということでございます。
あと、PFIの問題点として、実施事業と未実施事業でみますと、準備に係る事務量が多いとか、未実施でも民間の破綻リスクが心配といったところの回答が多いことから、今後、PFI事業の効率化のPRとか事務手続の簡素化が必要ではないかということでございます。
最後に運営基盤強化のための取り組みの概念図ということでご提示しております。まず技術力の確保ということで、人材確保と育成のための連携ということで、大規模事業体、自立可能な事業体においては、お互い連携、広域化しながら、民間企業といったものもつくりながら支援したり、お互い活用した取り組みが実際に今行われているので、そういった関係があるのではなかろうか。あと小さいところについては、お互い小さいながらも連携、広域化、あとは大きいところとも連携、広域化を図りながら、大規模事業体の力をかりて活用する。あと、民間企業とかNPO法人、そういったところも支援していただいたり、活用した取り組みが必要ではなかろうかということで、こういった概念図をかいております。
次に116ページが、広域化の推進という観点からでは、都道府県については県内の水道事業のあるべき姿の推進、つまり都道府県版の地域水道ビジョンにつながっているのですが、そういった観点からリーダーシップを図っていく。また、国も国で推進のための支援を図る。水道事業体としては、広域化という方向性はあるのですけれども、お互い広域連携による標準化、そういった取り組みがまず最初に必要ではないかなということで、そういったところを図りながら広域化に近づいていく。そういった取り組みが必要ではなかろうかということで、概念図を作成させていただいております。
最後にアセットマネジメントなのですけれども、施設と人と金を結びつけた管理ではあるのですが、やはりそれを判断したりマネジメントするのは人であるということで、アセットマネジメント可能な組織としての内部プロセスの見直しが必要ということで、そういった面でも今後、人材確保が必要不可欠。そういった意味では、広域化の推進にもまたつながっていくのではないかということで、概念図を整理させていただいております。
以上でご報告を終わらせていただきます。

○ 滝沢座長
どうもありがとうございました。
ただいまご説明いただきました事務局からの資料のほかに、本日、2件のご発表を予定しております。まず初めに、浜銀総合研究所の佐藤さんからご説明をいただきたいと思います。資料—3でございます。よろしくお願いします。

○ 佐藤構成員
では、私から運営基盤の強化について報告をさせていただきたいと思います。
(パワーポイント)
 これから私が説明したいのは、今後の水道事業の運営基盤を考える上での基本的な視点をどこに置くかということで、今回、私は新水道ビジョンの中では、経営という観点に少し軸足を置きたいという思いをもっております。そうした観点から、これから私の報告は、特にいわゆる経営の3要素といわれるヒト・モノ・カネ、この3つの観点からお話をしていくとともに、特にモノについてはこれまで既に老朽化の更新、あるいは耐震化の推進など、お金の問題については更新財源の確保という問題からいろいろと検討が進んでいる中で、最終的には実はこれらをとりまとめるのはヒトの問題であって、ヒトの問題から水道を今後見直す必要があるのではなかろうかと思っております。
(パワーポイント)
 具体的には、既にモノの問題はアセットマネジメント、カネの問題は財政計画、そして適正な水道料金の設定という観点から実際に水道が営まれているということを考えると、やはり今回はヒトの問題ということを、特に今後の水道の経営の観点から主張してみたいと思います。
(パワーポイント)
 これまでの人材に関する議論、あるいは事務局からの報告でも、もう既にヒトの問題は何度も出ておりますが、あえてここで私がいってみたいのは、これまで歴史的な水道のヒトの問題というのは技術の問題としてとらえられていて、例えば技術継承の観点からの広域化、あるいは技術力の維持の観点からの民間委託というところに重きが置かれていたようにも思われます。とはいえ、結局のところ、この人材の問題というのは、技術のみならず経営の問題そのものであって、先ほど事務局から報告がございましたとおり、公営企業会計の問題であったり、適正料金の問題であったりということは、いずれも経営管理の観点からは非常に重要であって、こうした観点から、さらに今後の経営問題、人材問題を考えていくことが重要だということをここで指摘しておきたいと思います。
(パワーポイント)
 こうした観点で、さらにヒトの問題については、人材の確保の問題と育成の問題とがあろうかと思います。そうした中で1つは、数字は事務局から示されているので、確保が十分でない点は理解されているかと思います。
 もう一方、ここでお話ししたいのは、そもそも市町村単位の水道事業という行政区域と、水道事業の経営という経営区域は、必ずしも合致しない可能性があると思っております。したがって、この観点からは、実は行政組織と経営組織は、一方で同一方向を向いておきながらも、他方、経営面の軸足からは、これが今後将来の市町村単位の水道でいいのかどうかという点で再考の余地があろうと考えております。
 そのほか、人材の点につきましては、ここでは質の問題と書いておりますが、これは質の問題というよりは、職員の方が置かれた環境の問題というように置きかえてみたいと思います。そうした場合には、自治体特有の定期的な人事異動や、知識・能力を備えた人材が育たないというような現状があって、こうしたところは既に職員数の減少傾向からも明らかかと思います。
(パワーポイント)
 ただ、職員数の減少傾向の中でお話をしておきたいのは、今後の人口減少下における水道事業の中においてスリム化がなされているという見方が今の時点ではいえるかもしれませんけれども、この図では平成2年から時系列に比較をしておりますが、実は人口減少という問題が意識される前から、行政のスリム化という問題に相まって、水道の経営組織のスリム化も進んでいたということもここで見直さなければいけないと思います。こうしたことは、実は経営組織として、本来、水道は一定の距離を置いて経営を営む事業でありながらも、市町村単位の行政組織という点に多分に引きずられて今日に至っているということも、この図から読み取れようかと思います。
(パワーポイント)
 このような問題を克服するために、さらに考えていきたいのが、今後の水道事業の経営管理という観点です。水道事業は公営として営まれているということもあって、必ずしも民間企業と同じ経営スタイルをとっているわけではありません。ここで行われているのは、1つには事業計画の策定があり、予算があり、予算の編成後に事業執行、決算、そして最終的には料金という形で、すべてが一連のサイクルの中で営まれています。こうしたことを考えると、このようなサイクル全体を見通して経営管理ができるような人材の育成、もしくはそのような組織が今、必要ではなかろうかと思っております。
 ここで1つ、運営基盤を実際に弱体化させてしまったような事例についてご紹介して、今、水道界が置かれているものについて簡単にご紹介をしてまいりたいと思います。
(パワーポイント)
 8ページになります。政策的料金値下げによる経営悪化といたしまして、実際に私自身が法定の監査に携わった経験でございます。この経験は、まずある団体でございますが、もともと平成2年度に2.3億円の当年度純利益を計上していた団体でありました。利益を計上しているという点では、比較的健全な部類ではなかったかと思われます。ところが、この団体が、水道事業が2億3,000万円も儲けているというような批判を受けて、最終的には議会の議決を経て料金値下げが行われました。その目的、意図は、1つには地域観光産業への配慮、あるいは料金値下げによって市民への配慮という形で行われたものです。この結果、平成4年度から平成17年度まで、累計をすると総額で15億3,300万円ほどが減収となってしまった。これは料金値下げをしなければ、本来、入ってきたという状況です。値下げによって結果として資金不足に陥ったために、市中銀行からの一時借入金10億円という形で調達せざるを得なくなって、結論として、この団体は財政健全化法による資金不足比率20%という、法定基準を超える団体として経営健全化に着手した団体になっております。
 この事例でお話をしておきたいのは、本来、値下げをする余地がなかったにもかかわらず、政治的な関係から値下げに至ってしまった。この後の経営健全化の際に行われた審議会の席上では、住民代表の女性の主婦の方が、こんなに私が住んでいる地域の水道が悪くなるのだったら、料金を下げてほしくなかったということを発言しておりました。ここで注意しておきたいのは、どうやら一般市民の皆さんであっても、料金が安いことは期待はしている、しかしながら、経営が損なわれるようなことを期待しているわけではないということも、今、私どもはしっかりと踏まえなければいけないと思います。
 既にこの団体は経営改善が進みまして、今、健全な状況にあります。また、このような団体というのは、既に財政健全化法も本格施行されており、健全な状況にはなっておりますので、余り見当たらない事例になろうかとは思います。一方で、先ほどの事務局説明からあったとおり、料金改定をした団体のうちの4割が値下げであった。こうしたことを考えると、値下げということに対して一定の配慮が重要ではないかということを、この教訓として学んでいきたいと思っております。
(パワーポイント)
 ここまで少し事例をご紹介してきましたけれども、こうした観点から、さらに今後の水道事業の経営を考える場合に、どのようなところに目配りをしなければいけないのかということで、公営企業会計制度の見直しのインパクトについて簡単にお話をしてみたいと思います。今回、公営企業会計制度は平成26年度から本格適用ということになって、新しい水道事業会計が予算、決算として適用されることになります。こうした場合に、果たして自分のところの経営基盤が安定しているのか否か、あるいは議会や住民の皆さんに対してしっかりと説明責任が果たせるのかどうかというところは、今後の運用そのものにかかわってこようと思います。この運用は、まさしく経営にかかわるような職員の皆さんの実際の今後の貢献次第ということになろうかと思います。そうした中でも、今後将来、民間企業と公営企業会計が違っていくところは、予算と決算と料金というのは、すべてが連関していく中での問題であるということをまずしっかりと踏まえておく必要があろうと思います。
(パワーポイント)
 公営企業会計制度の見直しのインパクトにつきましては、先ほど事務局から説明がございましたので、これは先に進みます。
(パワーポイント)
 今回の公営企業会計とアセットマネジメント、あるいは適正料金の実現の関係を少し整理してみました。まず公営企業会計は民間企業と異なって、民間の企業会計原則を参考としながらも、公営企業関係法令で会計が制度化されております。このうち今回変わったのは法令から下であって、会計規程以下、現場の実務はすべて、各団体の今後の作業によっているということです。したがって、実は各団体の会計処理がしっかりできないと、最終的には適正な水道料金の実現であるとか、経営の意思決定やアセットマネジメント、これが十分機能しない可能性があって、やはり経営について非常に注意しなければいけない事象であろうと認識しております。特にアセットマネジメントについては、施設の更新等という形で実務上は運用されておりますけれども、非常に狭い意味では、貸借対照表における資産ということがもともとのアセットマネジメントの原義でもありますので、今回の会計制度への対応ということが非常に重要ではないのかと思われます。
(パワーポイント)
 こうした中で、経営管理の今の実態がどうなっているかという問題ですけれども、1つには、まだまだ水道事業は経営部門であるとはいえ、行政と一体的な組織として営まれていることもあって、果たしてどこまで合理的な経営ができるのかどうかというようなところが今回の見直しの背景であって、ひょっとすると市町村という枠組みを超えた新しい経営形態への移行が必要かもしれないと私は考えております。
(パワーポイント)
 例えば管理者についても、組織の代表権と業務執行権を有するような配置状況についても、規模の小さいところについてはほとんど運用されていない。こうしたことを経営組織の面から考えると、まだまだ組織体制が不十分ではないのかというようなことが私は指摘できると思います。
(パワーポイント)
 こうした観点からは、本来、合理的な経営を行うための組織運営基盤はいかにあるべきか、これを今回の新ビジョンの経営面での着眼点とすべきではなかろうかと思います。
(パワーポイント)
 この後、私は少し提案をしてみたいと思います。時間も限られておりますので、3つの解決の方法として、大きく広域化と公民連携と監査的機能の強化という観点から論じてみたいと思います。
(パワーポイント)
 まず水道広域化については、職員数の状況等もみた限り、もはや余力がないというような状況にあろうかと思います。こうした点から、一定の経営力をもつためには、組織の充実という観点は避けて通れないと思います。そうした観点から、ここでは例えば政策的に給水人口5万人未満の水道事業の再編成、広域化を、一定の裏づけをもった形で推進するということが重要ではないのか、あるいは、そういう方策がとれないのかということを1つ提案してみたいと思います。その場合に、問題としてはここで1つ、5万人でいいのかどうかという問題がまだ残されるとは思いますけれども、新しい枠組みとして提案してみたいと思います。というのは、私自身はこれまで、例えば岩手中部地域の水道広域化などに、現場の職員の皆さんとともにボトムアップとして、下からの広域化の活動に携わってまいりました。この活動については一定の成果をみたところではありますけれども、実際には政治調整の時間等がかかるということで、広く日本全体に普及するにはまだまだ障害がある。こうしたことを考えると、何らかの裏づけをもった形で広域化を促進するということも、今、考えるべきではなかろうかと思います。
(パワーポイント)
 それから、6—5、解決提案の?に少し飛びます。公民連携についても、私は少し疑念をもっております。現在いわれている公民連携は、公か民かというような二元論的な発想に立っていて、なおかつ民は公の補完であるというようにも現場レベルでは理解されている向きがあると思います。あるいは、民間的経営手法というのはコスト削減手法であって、民間に委託すれば安くできるんだという風潮があるように思われます。ところが、今後将来の水道の再編成を考えてみた場合には、こうした民間企業、あるいはNPO法人というのは、水道事業の受け皿として機能してもらう可能性が高い。そうしたところが今のまま放置されるのならば、疲弊していって、場合によっては今後将来の水道を支える意欲とか能力を失ってしまう可能性があるだろう。今のところ、民間企業で水道事業に参画したいと思っている企業はあります。こうしたところが今後、水道事業が魅力がないというような意思決定をされるならば、そのときには本当に水道を支える人は一体だれなのかという問題に直面するかもしれない。そうしたことを考えた場合には、公か民かではなくて、だれが支えるのがいいのか。そこでは意欲と能力をもった人たちが水道にかかわるべきであって、新しい水道の経営形態ということも考える時期ではなかろうかと思います。
(パワーポイント)
 ここで1つ新しい事例をご紹介してまいりたいと思います。資料6—6で、広島県の公民共同企業体の事業スキームをご紹介いたします。これは来年4月1日を予定して、広島県で新会社を設立するとともに、新会社が指定管理者として水道業務にかかわっていこうという構想です。新会社は資本金6,000万円で、県が35%で、民が65%、表面的には民間資本過半数を所有しているという点で、民間指導の第三セクター形式ではありますけれども、ここでは公の関与が必要だということもあって、株式譲渡制限をつけております。したがって、この新会社は一定の公的関与のもとで営まれる。この組織は、社長が民間から、そして社員は県派遣出向、あるいは民間からというような構成で営まれる予定で、この業務エリアは広島県内の広域化の受け皿ということを予定しております。
この会社をまず予定したのは、実は平成13年、改正水道法が始まってから、平成14年、15年の2ヵ年をかけて私どもで研究会を行った結果です。そのときの結論としては、だれかが水道事業の受け皿にならなければいけない。そうした場合には、用水供給、あるいは末端給水という分断された形では、最終的な水道事業の安定給水が難しいということ。そうしたことから、新しい組織が必要であろうということから考え出された方式です。さらに、経営の自由度を高めるという観点からは、やはり新しい組織体として経営形態が必要であろうということが予定されて、今日に至っているわけです。これが、できれば広く広島県内の水道の受け皿となって、その受け皿を中心とした広域化を進めていこうということです。さらに、水道にかかわっている職員の皆さんも、新しい器の中で今まで以上に活躍のフィールドを得て、貢献していただくということを想定しております。
(パワーポイント)
 このような水道事業の経営形態について、少し私なりの意見をまとめてみますと、1つには、サービス供給手法として、業務委託、リース、コンセッションなどの方式、そして、今、比較的民間参入という形で委託の方式が採用されてはおりますけれども、これとともに見直しとしては、例えば広島県のような民間主導の第三セクターのみならず、株式会社形態の公営企業や、公営企業に準ずる第三セクターなど、広く経営形態はあると思います。こうしたことを最終的には選択肢の複合化として、それぞれの地域に合致した組織、受け皿を用意することによって、あるいはそれぞれの手法を選択適用することによって、今後将来の水道事業を支えていくことを考えるべき時期ではなかろうかと私は思っております。
 なお、ここで完全民営化だけ三角形に切り離しております。これは公の関与がなくなるという点で、ほかの経営改革手法とはちょっと異なると思っておりますので、あえてここでは別次元という形で切り出しております。
 以上、経営形態の面からも少し見直しが必要なのではなかろうかということを提案いたしました。
(パワーポイント)
 最後の提案としまして、監査的機能(チェック機能)の強化ということを私なりに報告してみたいと思います。先ほど既に料金値下げによって経営が悪化した実例をご紹介させていただきました。こうしたことは、今後将来とも場合によっては起こるかもしれない。地方議会の議決を経れば料金値下げ等も当然できるわけではありますけれども、料金値下げの場合などにおいては、例えば外部の第三者がそこに内在しているリスクを明らかにする仕組み、警鐘を鳴らす仕組みなどということも、ここで考えてはどうかということを提言してみたいと思います。
 現行の法制度では既に、いわゆる監査員監査のほか外部監査など、制度化はなされてはおりますけれども、その実態としては、一定規模以上の事業体であって、なおかつ水道を専門に監査できる人材がまだまだ不足しております。したがって、こうしたところについて、第三者が、あるいは国や都道府県による適正な関与という形で、私は特に経営面からも警鐘を鳴らすような公的関与の必要性も主張してみたいと思います。先ほどは、一方で民間関与の観点からお話もしました。しかしながら、水道事業は民間であろうと公営であろうと、いわゆる公的な関与を規制として、料金規制や参入・退出規制は相変わらず残っていく。こうした機能は、だれかがしっかりと公的関与という形でチェックをしていく必要があろうと思っております。
(パワーポイント)
 そのチェックの中身、例えば料金決定については、諸外国であれば公益事業委員会という独立の組織によって料金の適正化が吟味されている。これに対して日本の場合には、地方議会の議決にすべてがゆだねられているということであって、一方で民主的統制の観点からは非常に有効な仕組みであるとともに、他方ではその時々の政策によってゆがめられてしまうおそれがある。こうした観点からは、例えば経営の問題、料金問題、審査、評価する枠組みをさらに充実させるということが今、求められているものと私は主張したいと思います。
 ここで1つ書いていますけれども、地下水利用専用水道の登場には、例えば料金体系の不合理な点があると指摘しておりますが、ここについても、そもそも確かに地下水利用専用水道は今後何らかの対策が必要だという認識を私はもっております。しかしながら、あのような事業が登場したというのは、日本の水道料金が必ずしも合理的でないという面があって、この点については今後将来の日本の水道界としてもしっかりとした適正化の方向性を見出す必要があろうと思います。
(パワーポイント)
 最後に私の提案ですけれども、今後の水道事業を営むためには、ヒトの問題が重要であって、そこでは例えば「のめり込む好奇心と、横を向く余裕」、これは職員に求められた環境の問題です。そして、これを支えるフィールドとしては、一定の経営組織が必要であって、経営問題からも水道広域化を初めとした再編成ということを提案して、私からの報告を終わります(拍手)。

○ 滝沢座長
どうもありがとうございました。
続きまして、埼玉県生活衛生課の木暮構成員からご発表いただきたいと思います。

○ 木暮構成員
埼玉県生活衛生課の木暮と申します。貴重な時間でございますけれども、「広域化の推進 埼玉県の事例」ということでご紹介させていただきたいと思います。
きょう、「広域化の推進 埼玉県の事例」ということで、幾つか今までの広域化の実態、今の事業形態、あるいは、都道府県の水道ビジョンをつくりまして、水道広域化計画をつくりましたので、それに基づいて、今進めている施策の話をさせていただきまして、最後に広域化を進めるに当たって市町村から意見をいただいていますので、そういったものを紹介しながら、都道府県、我々県に求められているものを整理させていただきたいと思います。
(パワーポイント)
 埼玉県の地勢をちょっと紹介させていただきますと、皆さんご存じだと思うのですけれども、西の秩父から東の三郷、八潮までありまして、西が山になっていまして、荒川の源流となっておりまして、水源地域ですね。埼玉県並びに東京都の水源となっております。基本的には西のほうは山沿いで人口も少なく、南のほうは東京に寄っていますので、人口が集中しているような地勢でございます。
(パワーポイント)
 水道の実態としましては、今、市町村の数が、市町村合併も含めまして、後でご紹介しますが、今は92ぐらいあったのですが、今は63の市と町と村があります。1つだけ村がありまして、東秩父村があります。これが唯一の村でございます。水道の数といたしましては、用水供給事業が1つと、上水道が62、あと簡易水道が、公営が20で、民間簡易水道が4つございます。
(パワーポイント)
 水の供給の形態としましては、平野部においては水源の確保といった目的でございまして、用水供給事業が整備されております。埼玉県の給水量の約75%が県営の用水供給事業で、西の秩父の山の中は水源の水から確保しております。全体の水源の割合としましては、80%弱が表流水で、一部、入間川がありますけれども、荒川と利根川がほとんどでございます。残りは地下水といった形で、県全体では約238万トンの日平均給水量となっております。
(パワーポイント)
 人口の形態ですが、資料—2で事務局の方からも説明がありましたが、当然、埼玉県としましては、現状では全国平均よりは人口の減少率はまだいいのですけれども、微増とはなっているのですが、この間、埼玉県の統計で調べたところ、生まれた子供と亡くなった方の比較ですと、ことし初めて亡くなった方が多くなってきた。子供が少なくなってきたということですね。ただ、県外からの社会的増員の流入人口がありますので、現状では微増となっております。ただ、給水収益的には減少になっておりまして、事業形態としてはきついものが今後予想されます。
 ここでちょっと紹介したのは、予測ですけれども、2035年の時点で一番ふえるところと減るところで、秋田と沖縄ということになっております。ただ、これが東日本大震災の前のデータでございますので、ことし、総務省で調べたあれですと、東日本大震災の影響で福島とか岩手でかなり人口が減少しているような実態となっております。
 なお、このグラフですけれども、けさ、みていておかしいなと思いまして、プロットが5年間の推移のパーセンテージをとっていますので、毎年2%ふえるということではございませんで、2015年の時点で、5年間で2%ということで、グラフのつくり方に問題がありますので、後で公表のほうは修正させていただきたいと思います。
(パワーポイント)
 これは皆様のお手元には用意していなかったのですけれども、昼間と夜の人口比率ということで、埼玉県が一番少ないのです。昼間、人口が減る。埼玉、千葉、神奈川あたり。関西ですと、当然、奈良ですとか、その辺が減るわけですけれども、こういったものも水道に何か影響があるのかなと思って、負荷率等に何かあるかなと思ったのですが、特にこういった夜間昼間の人口については余りないのかなというところだと思います。当然、水の使用実態とすれば、暮らしの中、家で使う水はおふろですとか洗濯がほとんどですので、そういった意味ではこの辺は余り影響はないのかなと思います。
(パワーポイント)
 これから埼玉県の水道事業の今までの統合、あるいはこれからの広域化の話をさせていただきます。
(パワーポイント)
簡易水道なのですけれども、先ほどもご説明しましたように、山間部に主に簡易水道が存在しております。この簡易水道については、平成19年に厚生労働省から補助金の関係で仕組みが変わりまして通知が出ております。要は統合しなさいというところで、同一行政区域内に既存の水道事業が存在する場合については補助対象外にするよということですね。簡易水道の補助もいろいろあるのですけれども、すべてが補助対象外ということではないのですが、大ざっぱにいいますと、再編の事業ですとか、生活基盤の管路の更新ですとか、そういったものは補助対象外にしますよということで、ただし、21年度、22年3月までに統合計画書を提出すれば、平成28年度までは補助対象とするということになっております。そんなところで、埼玉県でも簡易水道については統合計画書を出していただきまして、今、統合を進めているところでございます。
(パワーポイント)
 整理しますと、これが現状の簡易水道の数です。秩父市が、市町村の合併もありまして、今、12の簡易水道がありますけれども、こちらについても統合の準備を秩父市のほうでしているような状況でございます。ほかの飯能市ですとか、神川、寄居、行田についても、同一行政区域内の上水道のほうに統合する計画でございます。唯一、オレンジ色の東秩父村だけについては、村ということで人口が今、3,500人ぐらいですか、そういったところで、過去においては行政区域内で3つ、4つの簡易水道があったのですが、今は1つの簡易水道に統合しているような状況でございます。
(パワーポイント)
 平成11年のときには、このような形で埼玉県にも簡易水道が40以上あったような状況でございます。
(パワーポイント)
 これから県で定めたビジョンの内容と広域化の推進、その1つの区域である秩父圏域の広域化について、少し細かく説明させていただきます。その後、広域化の阻害要因と我々県、行政、あるいは用水供給事業の企業局も含めてですけれども、県に期待されていることをご紹介させていただきたいと思います。
(パワーポイント)
 ご存じのように、都道府県においては水道整備基本構想というものを大方の県で策定しているのかと思います。埼玉県においても、過去に、昭和60年代につくったものを改定しながら、今回、平成23年3月に改定したのですが、これを都道府県の水道ビジョンという位置づけにしてございます。水道整備基本構想を策定していない都道府県は3つぐらいだったと思いますけれども、基本的にはこれを現状の環境に合わせた形で見直して、都道府県版の水道ビジョンという形にすればというようには思っております。埼玉県においても、過去の水道整備基本構想を見直して、広域化というものを主要施策におきまして、この計画は20年間なのですけれども、将来的には県内水道一本化を見据えながら、段階的に広域化に取り組むように施策を展開するようにしております。一本化の受け皿は、事務組合にするのか、県直轄にするのか、あるいは会社をつくるとか、そういった形での受け皿の用意といいますか、そこまでは記載しておりませんけれども、将来的には、50年ぐらい先には県内水道一本化を見据えながら、段階的に広域化を取り組んで行きたいと思います。その中で、段階的にということで、20年間の中では、県内12のブロックの中で広域化を目指したいというようにしております。
(パワーポイント)
 これがその12ブロックなのですが、秩父については人口が少なくて10万人ぐらいなのですが、ほかについては50万人ぐらいのブロックで、この中には、例えば熊谷であり、東松山、川越、所沢、狭山ですとか、中核となる市をベースとしまして、各ブロックに分けてございます。ブロックの20年後の形態につきましては、水平統合、これは各水道事業者同士の統合です。垂直統合といっているのは、用水供給事業と統合するというところでございます。2、6、10とほかのところでなぜ分けたのかといいますと、各ブロックの希望もありましたし、例えば10ブロックであれば行田浄水場、6ブロックであれば吉見浄水場であり、2ブロックであれば新三郷浄水場ということで、核となる県営の浄水場の配管網の構築もありまして、当面、先に垂直統合というところで、20年後にはそういったところを目指すような形で計画を策定しました。
(パワーポイント)
 大ざっぱにいいますと、20年後が長期のところですけれども、今は計画策定の段階です。5年ぐらいのスパンを考えておりまして、策定が23年度ですから、27~28年ごろまでにソフト統合、これはいわゆる業務の一体化です。営業業務、浄水場維持管理、あるいは資機材の共同化、災害応急給水拠点の強化、このようなものを先行して、現行の国のビジョンでも新たな広域化といっておりますけれども、業務の一体化をしていきながら、水平統合、あるいは2、6、10ブロックについては垂直統合というところで、最終的には現行のビジョンの外にあるところですが、将来的には県水と直結していく。そういったところで考えております。
(パワーポイント)
 これが各ブロックの大ざっぱな計画でございます。平成27年ごろまでに具体的な業務の一体化であり、営業業務の一体化、そういったところの具体的な計画をつくって、先行してソフト統合して運用。そういったところで、20年後には水平統合のグループについては水平統合していく、垂直統合については県営水道と20年後に垂直統合していく。12ブロックは秩父なのですけれども、秩父については後で詳細のところを述べますが、施設整備を含めた形で、先行して具体的な計画をつくっております。8ブロックはさいたま市なのですけれども、さいたま市について、今、給水人口が既に100万人を超えていまして、日配水量も40万トンぐらいでしょうか、かなり大きな事業体となっておりますので、当面はほかの水道事業体の支援ですとか、そういったところで協力をいただきたいと考えております。企業局においては、今のところでは末端事業のノウハウの蓄積をしたりですとか、共同管理施設、これは水質管理センターであり、あるいは水運用センターみたいなところでございますけれども、そういったところを将来に向かって構築していこうというところを考えております。
(パワーポイント)
 これはビジョンをつくるときに市町村と一緒に協力して、広域化によってどんなことを考えるかということを整理した表でございます。管理の一体化というところで、この辺は営業業務ですとか、浄水場の維持管理の一体化、こういったところでかなりコストが削減できますよと。また、給水拠点の強化、あるいは共同浄水場の建設、これは秩父の地域になるのですけれども、既存の施設の更新費用に比べれば、71億円の削減ができると試算をしております。トータルからみれば、20年後の給水原価を平均すると、約4~10円削減できますので、現状のままいけば、当然、料金値上げはしていかなければいけない部分でありますけれども、その料金値上げの幅が抑えられますよというところで、市町村と一緒にこのシミュレーションをしました。
(パワーポイント)
 どんな形で各ブロックで検討を進めているかといいますと、各ブロックにおいてこういう検討部会というものを去年までに立ち上げました。その中で専門部会というのは、業務の内容によりまして、例えばここでいえば、1つは営業業務の部会ですとか、浄水場の維持管理についてとか、施設の再構築について、そういう部会を各ブロックの環境に応じましてつくるようなことを今年度にしております。その中では当然、民間事業者のサポートですとか、そういったものもしていきながら、計画をつくっていきたいと思っております。
(パワーポイント)
 この中の1つのブロックの秩父広域水道圏について少し細かくご紹介をさせていただきたいと思います。表の1から12というのは各ブロックです。給水人口をおおむね50万人程度、8ブロックについてはさいたま市だけで122万ぐらいの給水人口がありまして、秩父が10万人ぐらいです。あとは大体50万人クラスで各ブロックを分けました。県のほかの広域化事業がありまして、例えば消防であるとか、医療であるとか、そういったものも考えながら、各市町村と相談しながら決めたものでございます。
 左の下にあります表が秩父水道圏です。12ブロックですけれども、構想の中では、圏域を埼央広域水道圏と秩父広域水道圏に分けておりまして、実際は秩父が用水供給事業が行っていないところです。東秩父村は行っていないのですけれども、こちらは生活権の関係から埼央広域水道圏のほうに整理してあります。基本的には水源を全部自分で確保しているということです。その内容でいいますと、今、秩父市、小鹿野町、横瀬町、皆野長瀞上下水道組合ということで、ここは事務組合をつくっているのですけれども、こういった形で、料金は一番安いところが小鹿野町で1,000円弱、一番高いのが皆野長瀞で1,500円ぐらいということで、1.5倍ぐらいの料金の格差がございます。
 そんな中で、将来の県内水道一本化に向けて、地域で広域化するということで、とりあえず各ブロック、秩父については12ブロックについて広域化する。段階的に業務を一体化するとともに、更新時期に合わせた施設の集約化、秩父については共同浄水場の整備計画というものをつくりまして、新たに秩父圏域の中で広域的水道整備計画をおととし、都道府県のビジョンと一緒に策定してございます。
(パワーポイント)
 これが秩父の広域化スケジュールと実施体制というところで、今、平成24年のところにあるわけですが、一部、料金徴収ですとか、その辺について今年度、具体的に来年からどういった形でやるかというところで協議している最中でございます。最終的には27年度ぐらいから共同浄水場の立案をしていかなければいけないのですけれども、今はいろいろ秩父のほうと協議しておりますが、核となるのが秩父市なのですが、秩父市のパワーだけではなかなかこの立案が難しいということで、県のほう、あるいは企業局も含めてですけれども、支援といいますか、お手伝いをお願いされているところで、どういった形でするかは具体的にはまだ決まっておりませんが、少し入っていってやっております。最終的には事務組合みたいなものをつくって、4事業、4会計というところで当面やって、最終的には1事業というところで20年後、計画をしております。事務組合をつくるのか、あるいは秩父市がすべて秩父の水道事業ということで吸収してしまうのか、その辺についてはまだこれから協議をするところでございます。
具体的に秩父の地域で先行してこういったことが始まったのも、総務省のほうで定住自立圏構想というのがありまして、秩父地域で水道以外にも観光であり、医療であり、環境衛生であり、広域的なものを定住自立圏構想で考えていこうというところで、水道もその中の1つのワーキングとして考えていくというところで、先行して各首長並びに議会の説明も一緒にできたというところで、スムーズに立ち上がったところではございます。
(パワーポイント)
 これが秩父圏域の財政シミュレーションですけれども、共同浄水場をつくる関係で、内部留保ですとか、企業債とか、その辺では変わってくるのですが、相対的にみれば給水原価は下がってくるというところで、秩父地域の広域水道整備計画をつくった関係で、秩父の議会ですとか、首長さんとかに県のほうで説明して同意を得たところでございます。広域化を進めることによって、将来的には水道も財政基盤が安定化して、料金値上げの幅も抑えられるのですよと説明したところでございます。
(パワーポイント)
 これが現況の秩父地域の水道施設の配置図です。ちょっとみにくいのですが、緑色のところが簡易水道の区域です。水色のところが上水道の区域でございます。こういったところで、簡易水道については水源が点在しておりまして、山合いに存在していますので、なかなか施設の統合はできません。よって、上水道の区域だけでとりあえず1つの再構築をしていこうというところで、共同浄水場を計画いたしました。
(パワーポイント)
 これが最終的な構想ですけれども、簡易水道も上水道に統合しますので、1つの事業として簡易水道の区域がありますが、水源、あるいは施設については分散してそのままとなっております。上水道の区域につきましては、今、秩父市の上水道がある近くに共同浄水場を設置しまして、そこから各地域に水を配るといった形で、各施設の更新のかわりに共同浄水場をつくっていこうというところで計画している次第でございます。
(パワーポイント)
 次に、ことし、こういった広域化を進めるに当たって市町村と協議会といいますか、意見交換をしまして、各水道事業者から意見を聞いたところの話をご紹介させていただきます。広域化を進めるに当たって、何のハードルがあるのかといったところで聞きますと、各自治体での方針ですとか、経営状況、料金も含まれますけれども、あと施設の整備状況、老朽管のぐあいですとか、埼玉の場合には石綿セメント管が若干残っている部分がありまして、そういった部分に格差がある。ただ、実際には格差を埋めるために広域化をするというのが本来の目的でございますので、その辺につきましては、最終的には財政調整なり何なりで解決できる問題なのかなと我々のほうでは考えているところでございます。
 あと、具体的な方策が不明ということなのですけれども、これはことし、意見調整したもので、これについて分析等はまだしていませんが、基本的に市町村も人が2年、3年で入れかわるというところで、具体的な方策については当然、水道ビジョンをつくるときに示しているところで、その辺が市町村のほうにまだ十分に理解されていない、あるいは、ことし来た人がその辺をまだ認知していないというところで、こういった意見が出ているのかなと考えております。
 あと、首長等に広域化の意思決定がされていないということで、水道事業体のほうで首長等に広域化の説明をしているところとしていないところがありまして、この辺、県のほうで説明してくれなどというところもありますけれども、その辺については県のほうでは水道事業体の責務であるから、あなたのところがちゃんとやらなければだめですよという話をしているところでございますが、首長さんが水道の広域化についてやるんだよという強い意思がないというところで、水道事業体のほうは動きづらいという意見なのかなと思っています。
 あと、補助金の助成が少ないとありますけれども、補助金については、3~4年ぐらい前に水道広域化促進事業費ということで、厚生労働省に新たな補助金を設けていただきまして、事業が統合するときに補助をするというところで、新たな補助金がありますので、そういったところを理解していてこういう意見が出ているのかどうか、詳細は調査しておりませんけれども、私としては、当然、そういう促進化事業費があるから、広域化の後押しになるのではないかなと考えているところでございます。
 あと、大規模な更新工事を既に実施してしまったよというところもあります。この後、紹介しますけれども、特に大きな更新工事をしてしまうと、なかなか広域化のメリットが出てきませんので、そういったところでは広域化の阻害要因、あるいは、なかなか事業の広域化にならないのかなと思っております。
(パワーポイント)
 これは県に期待するというところで、水道事業者から述べられた意見です。リーダーシップ、生活衛生課、あるいは企業局に率先して引っ張っていってもらいたいということです。あと、先進事例、埼玉県以外の情報提供、地方でこういう広域化をやっているというところを示していただきたい。また、各ブロックの状況を踏まえた支援、当然、各ブロックにおいて環境が全然違いますので、そういったものを踏まえてきめ細やかに支援していただきたいというところだと思います。あと、デメリット、メリットについては今までも十分説明してきたつもりでありますけれども、その辺がまだ市町村の水道事業体に行き渡っていないといっては変ですが、理解されていないというところで、こういう意見が寄せられるのかなと思っております。首長等への説明ということですけれども、これについては、水道事業体はそのようにいっておりますが、基本的には我々のほうから首長に説明するというのはおかしな話だと私は思っていますので、水道事業体が責任をもって説明してくださいねと。当然、広域的水道整備計画ですとか、そういった部分につきましては説明した部分もありますけれども、基本的には首長と事業者については水道事業体の職員が説明するのが責務だと思っておりますので、これについてはお願いしているところでございます。
(パワーポイント)
 次に、資料には用意しなかったのですけれども、群馬県の広域化の事例というところで、ここ何年か、ずっと意見交換をしていますので、紹介させていただきたいと思います。先だって両毛地区といいまして、プレスとかでも発表されていますので、ご存じかと思いますけれども、黄色い地区、平成28年度に事務組合を立ち上げて広域化するというところで、首長も含めた形で意思決定がされたところでございます。核となっているのが太田市です。人口が20万ぐらいだと思いますけれども、太田市が核となって広域化を進めている。太田市におかれましても、第三者委託も含めまして先進事例といいますか、積極的にそういう施策に取り組んでいるというところで、こういったところになったのかなと思っていますし、これも太田市の担当者の熱意がありまして、こういったところが進んできたのかなと思います。
一部、県境がわかりづらいのですけれども、群馬県の桐生市というのがあるのです。ここも10万人ぐらいの大きな市なのですけれども、こちらについては先ほど広域化の阻害要因でご紹介させていただきましたが、既に大きな浄水場の更新計画がスタートしてしまったので、当面、メリットを感じないというところで、今回の広域化の枠には入らなかった。細くなっていびつな形になっていますけれども、こんな形になっております。当初、佐野市ですとか、足利市も含めた中で、広域化の検討は過去においてはしてきたらしいのですけれども、県境を飛び越えたというところで、将来的な含みはあるようですが、当面、黄色いところで事業を統合するということのようです。両毛東地区といっているようですけれども、従前から我々も調査をしに行ったりですとか、今回、このような形で決定されたというところで、うちの担当者がこの間、お話を聞きに行ったような次第でございますが、こういった事例もありますので、今後、埼玉県もお互いに情報交換をしながら広域化を進めていきたいなと考えております。
(パワーポイント)
 最終的には、資料—2にもありましたような形の模式図ですけれども、企業局並びに水道事業者の中で、当面、新たな広域化、これは今の水道ビジョンの中でも述べられているような業務の一体化を含めた中で、連携をしていきたいなと考えておりまして、その中では行政、あるいは民間企業、ユーザーと対話をしながら、持続的に顧客満足度の高い水道を構築していければいいなと考えております。
(パワーポイント)
 最後に、これは浄水発生土の今の管理状況を、この間、写真に撮ってきて、ホームページにも載っているのですけれども、埼玉県の場合については、浄水発生土につきましては今、8,000ベクレルは超えていないのですが、協議しても埋め立てるところがなかなかみつからないという状況で、このような形でブルーシートをかぶせて保管しているような状況でございます。
 以上で私からの話は終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました(拍手)。

○ 滝沢座長
どうもありがとうございました。
それでは、ここで議論に入る前に、5分ほど休憩をとりたいと思います。あちらの時計で45分から議論再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

     (暫時休憩)

○ 滝沢座長
それでは、予定時間まで1時間15分ほどございますが、この残りの時間を使って皆様のご意見をお聞きしたいと思います。
3件の資料がございますが、これについてのご質問を受けた後、全体についてフリーディスカッションというような形で進めてまいりたいと思います。最初に資料—2、事務局からご説明いただきましたが、分厚い資料でございますが、こちらにつきまして何かお気づきの点、ご質問、ご意見ございますでしょうか。いかがでしょうか。どうぞ。

○ 服部構成員
6ページ目をごらんいただきたいのですけれども、民間からの弁解を述べさせていただきたいのですが、左側に民間のベテラン技術者の退職による技術者不足、民間業者の技術力の低下、委託業務の質の低下云々と書かれてあるのです。結果としてこういう部分が出ているというのは確かなことなのですけれども、この背景といいますか、そういうことを弁解させていただきますと、少なくとも技術に関する限り、水道技術の活性化といいますか、マーケットとしての魅力といいますか、民間というのは先ほどの佐藤さんのご説明であったのですが、経営という視点から考えると、どうしても限られた人数を魅力のあるマーケットに投入していくというのは、会社としては当然の経営のやり方になろうかと思います。そういった中で、マーケットとして活性化していないというようなことがあって、例えば111ページに、水道改正法から10年かかって上水の第三者委託が40件ぐらいしかないというような話もありまして、マーケットの活性化という意味でなかなかうまくいかなかったという背景があろうかと思います。したがいまして、広域化を含めたマーケットの活性化を行えば、民間としてはいかようにでも技術者の投入、あるいは技術者の教育といったものをやっていけるのではないかというのが1点であります。これは例の出雲大社だとか伊勢神宮ですか、20年ごとに補修をやっていて、宮大工の技術を継承させているみたいな、そういった仕組みもあっていいのではないのかなとも思います。
それと、誤解を解きたいなと思っているのですけれども、PFIの話がありまして、114ページに、民間の破綻リスクが心配というのが結構大きなパーセンテージを占めておられるのです。実施事業、未実施事業という形で分けておられて、実施されたほうは多少少なくなっているのですけれども、未実施事業については民間の破綻リスクが心配というようなことが書かれております。これまで行ってきた上水、下水を含めたPFIは、ほとんど我々の会員がかかわっているわけですけれども、企業の破綻リスクという意味では、ファイナンスをつけている限りは銀行の審査を通っています。それが1つある。だから、銀行の審査を信用していないのかなというのが1つあります。
もう1つは、少なくとも先ほどの佐藤さんのお話にもあったように、民間企業はこの10年、20年で、特に上場企業は極めて細かな会計基準に基づいて、四半期ごとに企業会計というものの開示を行っています。そういった意味で、ほとんどのPFIの仕組みがジョイントベンチャー、もしくはSPCという形で、1社であれば変な経営者が出てきて会社が破綻するなどということもあり得るかと思いますけれども、2社、3社、4社という形でジョイントベンチャー、SPCをつくった場合には、連帯責任を負っているわけですから、それらが全部破綻するというリスクは限りなく低いのだろうと我々は思っていまして、ここのところで我々サイドからの説明も足りていないのかなと思った次第です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。スライド6枚目の資料ですが、チャートが書いてありますけれども、これは確定しているということではなくて、このようなこともあるでしょうかということでございますので、これはおかしいというご意見があれば、大いにおっしゃっていただきたいと思います。
 ほかにお気づきの点ございますでしょうか。どうぞ。

○ 長岡構成員
今のに関連するのですが、佐藤さんから公民連携のあり方ということで、民間の技術者が減っているというようなこともあると思うのです。特に最近、水処理プラント関係、浄水関係の技術者さんが減っていると非常に感じております。例えば全国水道研究発表会でも、特に膜などはそうなのですけれども、浄水関係の発表が非常に減っているということを危惧しておりますし、各プラントメーカーも水道に対しては余り人を振り分けていないと感じています。ですので、例えば17ページみたいな図はよく出てくると思うのです。職員の年齢構成というのがあるのですが、こういうところで同時に民間企業での水道の専門家、コンサルタントもありますし、プラントの技術者もありますし、パイプもあると思うのですけれども、そういう人がどういう実態にあるかということも含めて、そういうものをみながら議論していくことが私は重要だと思っております。

○ 滝沢座長
なかなか民間の人材の数を調べるというのが難しいかもしれませんね。ありがとうございます。
ほかに何かお気づきの点ございますか。どうぞ。

○ 岡部構成員
18ページのですけれども、給水人口別の1事業体当たりの職員数ですが、検討会のということで、最初のほうに少しお願いしたものだと思いますがからか、出していただいているのですが、これを見みますと、5,000人やとか1万人、特に2~3万人までだと技術者は本当に数人クラスということです。、今回の東北の災害でも比較的大手の事業体の方が応援に行っても、小さな事業体だとありとあらゆることをやらなければいけないので対応が難しかったとも聞いています。変な話ですけれども、大手の優秀な技術屋の方でもなかなかカバーし切れない内容があったそうですかった。本当に小さな事業体で、1人、2人の技術屋がすべてカバーしてできるかというようなことをもう一度、再認識する必要があるのではないかと思います。先ほどから広域化の話も出ていますけれども、このあたり、最適というか、技術力を担保するための最低限の規模、水道を運営するための事務職の最低人数とか、そういったものを議論していくべきではないかと思います。
あとは、43ページに管路の更新が問題だという形で書かれているのですけれども、このあたりをみても、法定耐用年数の1.5倍で更新しても老朽化に追いついていないということから、これも大きな1つの経営の問題になってくると思います。先ほどからほかにもいろいろ規模別とか職員1人当たりとか、経営上の問題点が指摘されていますけれども、水道料金を含めて将来、水道がこのまま持続可能かどうかみたいなところをもう少し詰めて、持続可能にするためには何が問題かというようなところを整理しなければいけないと感じました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにお気づきの点ございますか。どうぞ、吉岡さん。

○ 吉岡構成員
資料の見方を教えていただきたいのですけれども、9ページ、市町村人口規模別の財政力指数ですが、そもそも財政力指数は、ここで書いているように、基準財政収入額を基準財政需要額で除した額ですよね。それと水道事業がどう関係があるのか。これをどう読み取ればいいのかなというところがよくわかりませんでした。

○ 滝沢座長
ご回答いただけますか。

○ 日水コン(辻)
水道事業と市町村の行政が一致しているとは限らないのですけれども、参考として提示してみた程度でございます。

○ 吉岡構成員
私も必ずしも一致しているものではないと思います。この資料の中で財政力指数がもつ意味がすこし違和感がありましたので工夫をお願いできればと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。資料は最終的には公表されるものですかね。こういうご意見がありましたので、公表時に少しご検討いただければと思います。

○ 日水コン(辻)
わかりました。

○ 滝沢座長
ほかにご意見ございますか。どうぞ。

○ 木暮構成員
意見というあれではないのですけれども、資料—2の63ページにもありますように、水道事業においては、上水道については当然、公営企業会計というものをとらざるを得ないというところで、地方公営企業法にあるのですけれども、簡易水道の場合については、特に企業会計をとらずとも、地方自治体の技術的な判断で法非適用事業になっている部分があると思います。今後、この辺については、簡易水道においても公営企業会計をとっていくというような方向性があるのかどうなのか、総務省の方にコメントをいただければと思います。

○ 宮澤室長
総務省でございます。今、ご指摘の点につきましては検討中というような状況でございます。

○ 木暮構成員
検討中ということは、もしかすると簡易水道においてもすべて法適用事業になる可能性があるという……。

○ 宮澤室長
その辺も含めて、今、検討しているところでございます。

○ 木暮構成員
わかりました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにお気づきの点ございますか。資料—2です。どうぞ。

○ 岡部構成員
技術の伝承という話の中で、技術者が少なくなって、一般的には水道経験年数が減ってきているというような話を聞くのですけれども、水道の勤続年数ですか、市役所とローテーションなどが多くなり頻繁に変わるとか、そういった勤続年数に関するデータとかはあるのでしょうか。見たところ、ないようですけれども、もしあればお示し願いたい。

○ 滝沢座長
水道の職員の水道事業における経験年数が減ってきている、それを示すようなデータがあるかどうかというご質問ですか。

○ 岡部構成員
はい。

○ 滝沢座長
いかがでしょうか。

○ 岡部構成員
なければ結構ですけれども。

○ 名倉課長補佐
水道統計の中にそれに類するものがあったかなというところもありますので、ちょっと確認して、あればご提示させていただきたいと思います。

○ 岡部構成員
お願いします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにお気づきの点ございますか。資料—2です。どうぞ。

○ 平田構成員
質問なのですけれども、資料の将来の事業環境、10ページの下のほうのグラフで、給水人口が少ない事業体は消毒のみの割合が高くなっているという表なのですが、これはもともとの原水がきれいなので消毒のみで提供できているのか、それとも、浄水施設が小さくてとか、使えなくて、人手が足りないとか、いろいろな事情があると思うのですが、そのために消毒だけになっているのか、もう一度、説明していただきたいのですが。

○ 滝沢座長
よろしくお願いします。

○ 日水コン(辻)
小さいところというのは、割と山間部とか、そういったところに水道事業というのがありまして、そういったところは水源が地下水とか湧水とか、そういったものが多く、比較的消毒のみで対応できるということで、事業環境が違うということで、そういった傾向がみられます。

○ 平田構成員
そうすると、消毒のみでも問題なく、よい水質の提供ができているということですよね。

○ 日水コン(辻)
はい、そうです。

○ 平田構成員
わかりました。ありがとうございます。

○ 滝沢座長
ちょっと今の件……。

○ 尾川管理官
管理官でございます。1つは、大きなところについては表流水だとかでなければ必要な量が確保できないので、小さい規模の水道だったら、地下水だとか湧水だとかについて、水源をもつことができるということだと思います。ただ、問題がないかと構成員に問われると、前の回ですか、ご紹介もしたと思いますが、クリプトスポリジウムとか、実際にリスクレベルがあるけれども、まだ必要なろ過施設が整備できていないというところも中小の水道に多いことは事実でございますので、ここでなぜこうなっているかというのは、単に量の観点で、本来、どういう水道事業でも簡易な処理で済ませたい。もし東京でもそれだけの量があれば、消毒だけでもやりたいのですけれども、それができないので、遠いところ、あるいは、もとが汚くても処理をして供給しているということで、衛生上問題があるかないかという話とはちょっと切り離して考えていただきたいと思います。

○ 平田構成員
ありがとうございました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
資料—2、ご質問いかがでしょうか。どうぞ。

○ 長岡構成員
またPFIなのですけれども、112ページ、PFI導入の効果という表があって、これは前もみたかもしれないのですが、これは事業体のほうにアンケートをとった結果ですよね。

○ 日水コン(辻)
そうです。

○ 長岡構成員
民間のほうはどう評価しているのかというのを知りたいのです。といいますのは、?民間の新たな事業機会の創出というのは余り評価が高くないのですが、民間のほうがどう思っているか知りたいと思うのですが、その辺、調査していないのでしょうか。あるいは、民間のほうも変なことやっちゃったな、手を出しちゃったなと思っているのか、こういうことをもっとやってほしいと思っているのか、その辺、民間の目からどうかというのも知りたいと思います。今なければいいです。

○ 滝沢座長
現段階での調査結果はないみたいですが、服部さん、ご意見いかがでしょう。

○ 服部構成員
今、長岡先生からの点について、私から一部お答えさせていただきますと、マクロ的には、成功するかしないかというのは、結果が出るのに時間がかかると思います。というのは、PFIというのは例えば建設期間3年、4年で、運転期間は16年。我々民間企業では、とりたいやつがそのときにとって、それを後任に渡して、何であのときとったんだみたいな話が起こるわけですけれども、長い時間をかけないといえないということと、もう1つは、発注者が我々を鍛えるという部分があって、PFIのアンケートの中にもありますが、事業計画を非常に密にしていただいた事業体の発注したものについては、契約のメカニカルとして現状うまくいっているというところがあろうかと思います。そこのところをふわっとさせてしまった自治体もやはりありまして、結果がいつ出るかというのはあるのですけれども、受けた以上は参ったと我々もいえませんので、そこのところは少し時間をかけて、もう少し長い目でみないと成否がつかないということだろうと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
それでは、岡?さん、お願いします。

○ 岡?構成員
結論からいうと要望になると思うのですが、資料6、将来の事業環境、先ほどこれに関連して幾つかご指摘がありましたけれども、要は、図にするとポイントはこのようになると思うのです。これに関連しますと、例えば22の求められる人材の確保、これも図にするとこうなのだろうと思います。もう1つ、115、運営基盤強化の概念図にしても、整理をしていくとこういうことになるのだろうと思います。ただ、問題は、この3つを取り上げましたけれども、この3つの中で、例えばこの間、この会議でも対象化してきました中小規模事業体の悩み、苦しみというところは、この概念図を含めて、さて、具体的にどこへ手をつけるのかというところに入っていかないと、解決、糸口につながらないのではないかと思います。
例えば22の図からいうと、求められる人材の確保、管理運営事項、住民への説明責任、事業そのもののマネジメントの能力、こういうことが問われるのだということは、戦後六十数年、日本の事業体、大中小規模にかかわらず、みんな問われているのです。とりわけ中小の規模は少ない人数、先ほど説明のあった例えば20人の基準を置いてやるとすると、少なくとも最低のノウハウをもった人材、人間力、いわば現場力をもった人が必要だとすれば、それぞれの事業体の技術屋、事務屋、現場の人たちは、この3つの要素、要因は全部問われて既に頑張っているのです。
例えば私は、わかりやすくいいますけれども、四国の高知、田舎出身ですけれども、データの中に四国の将来予想図などが出ていましたが、なるほどなと思ってみていたのです。四国4県というのは、県と4市、高松、徳島、高知、松山、こういうところは一定規模があって、歴史性があって、人材も財政力も一定確保されているから、それはそれとして自立自答?できているのです。ところが、ものの5キロ、10キロもたたないで周辺部へ行くと、中小規模事業体の実態に当てはまる構造になるわけです。4市以外の5万とか10万以内の規模の都市が四国は多いですから、そういうところの事業体の人々の苦しみ、悩み、思いというのは、まさにこういうところをどう克服するかに問題、視点はある。同時に、それは何も事業体の職員のみならず、関連して一緒に頑張って仕事をしてくれている簡易水道の皆さんだとか、いろいろな人たちも結局そこで悩んでいるのです。この3つの要素、要因を事業体の人事政策として、5年、10年、20年かけて育成していって、対応してきているという努力はありつつも、それでもまだ限界だというところが問題になっているのではないかというところをもっと浮き彫りにしなければいけないのではないかというのが、繰り返し私がこの間いってきている問題意識なのです。
そこで、115ページに戻りますけれども、概念図としてはこうなるのだけれども、要は支援が必要な事業体、中小規模事業体の、ここのところの人たちに対する、民間の皆さん、NPOの皆さん、地域住民や、首長や、議会や、都道府県、あと事業体関係同士も含めて、どう具体的に手だてをしていくのか。ここのところは、強化のための支援の4点、ポイント的に書かれていますけれども、この4点なら4点をポイントにして、もっと掘り下げなければいけないのではないかというのが要望です。ですから、概念図と説明図ということでわかりやすいのですが、せっかくここまで来たら、ぜひとももう1つ努力をして、踏み込んで、中小事業体の克服すべき方策、道筋というところについて、もう少し踏み込みたいなというのが思いです。
もう1ついいますと、前回も危機管理の関係で申し上げましたが、中小事業体の側の悩み、思いというのは、人事政策、財政力、ここにポイントとしては尽きていくのです。先ほど質問があって、答えにくかったでしょうけれども、人事政策が何年ごとに動いているのかなどというデータはどこにもないですよ。それははっきりしておいたほうがいいですよ。それに類するものはあってもね。総務省のほうにだって、きっとないと思うのです。それは自治体責任だからですよ。自治体なり首長なり、自治体の人事政策、それらに関するデータなどというのは余り表に出ないでしょうから。とりわけ水事業にかかわる人事政策のデータなどというのは出てこないのが結果的に我々の悩みにつながっているわけで、やはり首長さんや自治体当局、いわゆる自治体全般、議会筋、都道府県、それぞれのポイントゲッターたる人たちの中小事業体に対する克服の道筋、そこのところをこの検討会とはまた別に、場合によってはそういう人格が集まって論議をされ合うという場を水道課が組織されたっておかしくはないと思いますから、そこのところはむしろ手をつけられるのがツボなのではないかと思います。あえて要望と指摘をさせてもらいました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
それでは、資料—2、特に今はご意見ございませんようでしたら、資料—3に移りたいと思います。もし後でお気づきの点があれば戻ってまいりたいと思いますが、佐藤さんからご説明いただきました「新水道ビジョンにおける運営基盤の強化について」、何かご質問、あるいはご意見ございますでしょうか。いかがでしょうか。どうぞ。

○ 浅見構成員
大変興味深く拝聴させていただきました。2つあるのですけれども、1つは、23ページの諸外国の水道料金決定方式の中で、公益事業委員会による審査というものがあるということを教えていただきました。これはどのような組織で、日本で該当するようなものがないということかと思うのですけれども、何か類するものができる可能性があるのかとか、必要性があるのかというところも含めて教えていただければと思います。
もう1つは、20ページからご紹介いただきました広島県の事業スキームの件で、まだ動いていらっしゃるところかなと思いますけれども、県と市ですとか、県内の全体をカバーするような形になりそうなのかどうかとか、具体的にどのくらいのエリアがカバーできそうかというところを教えていただければと思います。

○ 佐藤構成員
まず最初の23ページ、諸外国の公益事業委員会による審査ということですけれども、海外ですと、いわゆる公共料金として、公益事業料金として水道事業もしかるべき組織機関の料金規制を受けているということになっております。これは公営であろうと民営であろうと、いずれにしても経営形態を問わず、料金規制は水道料金には今後将来とも残るということの典型例だと思います。そして、これを日本でもし実現しようとすれば、実は私の案では多分、国家組織法が関係してきて、大きな話にならないと難しいかもしれない。
したがって、今後将来、当面、日本として実務上できるという私なりの提案としては、日本水道協会で水道料金算定要領として1つのモデルがあります。とはいえ、今のところ、あれは法的拘束力がないとか、実務としては、特に中小事業体についてはしっかりと運用に生かされているかというと、そういう実態でもない。これは指摘せざるを得ないと思います。したがって、一定の水道料金算定要領の拘束性というか、あれに従うというような裏づけがあってもいいかもしれません。
あるいは、さらに自治体がつくった財政計画をもとに、第三者のだれかがしかるべきチェック、わかる人が財政面からのチェックをするということも必要ではないかと思います。今のところ、料金規制は届け出ということにはなっておりますけれども、実際に届けの時点での詳細なチェック、あるいはその後の経緯についても今のところフォローされているように思えません。そうしたことを考えると、料金規制の観点からは、もう少し見直しということが必要であろうかと思います。特に、先ほど私、監査機能との関係で提案しましたけれども、料金値下げなどについては、当面は住民の皆さんにいいかもしれませんけれども、そこに内在する問題というのがあって、多分、それはだれかが指摘しないと、問題が表面化したときに初めて直面するようではいけないのではないかという気がしております。以上、私なりの料金に関する提言です。
もう1点は広島県の形態、まずこれについて、歴史的に説明させていただきたいと思うのですが、実は広島県のプランをまとめたのは平成14年度、15年度、今から10年前です。そのときに予定していたのは、今後将来の人口減少、あるいは市町村合併、そうした中で、用水供給事業、末端給水事業、いずれも厳しい局面に直面していくという共通の問題意識が生まれました。その問題を克服するために、だれかが担わなければいけないということで、その中で広島県として考えたのは、みずからが今後将来、水道にかかわる公的関与をもった形の受け皿の必要性ということで、今回の公民共同企業体の必要性ということになったということです。これをまとめたのが10年前ということで、その後、現在の状況は、受水団体たる幾つかの団体は既に新会社にお願いをして、水道を担ってほしいという要望があります。これを段階的に、当面は広島県内の受け皿として機能するとともに、広島県内にも非常に大きな水道事業体もございます。そうしたところと最終的にどのように連携するかどうかという問題は残りますけれども、その後、広く広島県外からの受け皿となって収益を上げられれば、新しい組織体の成長が見込まれる。そのようなところの受け皿をあえてみずからつくろうということがこの趣旨でした。今後の展開は以上です。
あと、あえていえば、もう1つは、この新会社は当時、報告書を平成15年にまとめたときは、水道事業者の皆様、あるいは職員の皆様からも相当批判をいただきました。水道事業者の皆様からは、水道事業を民営にするのかという批判、あるいは職員の皆さんからは、これまでの職場をスリム化するのではないかという批判、そして、実は民間事業者からも批判をいただきました。それは、せっかく改正水道法ができて、民間の参入の余地ができたのに、なぜ自分たちがわざわざそのような仕組みをつくるのか。当時は、いずれの方々からもどちらかというと批判をされましたけれども、現在の状況をみる限り、みずからが何らかの公的関与をもった形で受け皿として用意するということが、少なくとも広島県内の関係者には理解されてきたのではないかと思います。そこまで10年かかったということもご紹介をさせていただこうと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに何か。どうぞ。

○ 熊谷室長
料金の決定方式のところで、諸外国というまとめ方もかなり苦しいというか、申しわけないのですけれども、具体の例で少しお話をしたほうがいいかなと思います。私が知っている範囲は、イギリスとフランスとドイツの3つの例ですけれども、基本的に議会関与がないというのはおっしゃるとおりだと思います。公益の事業委員会なるものをかけている形式というのは、フランスなどでもみられましたし、ドイツでもある。ただ、それが本当の法律的な義務なのか、そこについては私は知識の外ですけれども、最終的な意思決定の責任を首長がとるという形式でやっているというのが、フランス、ドイツの例で、日本と違って議会関与がないということは、佐藤さんがおっしゃっている内容かと思います。
イギリスに関しては、いわゆるイングランドに関して完全民営化ですので、もう既に公営水道がないという状況ですので、これは民間企業の料金規制の一般化ということですので、日本でいうと、ガスや電気のような、料金認可制の形でおりるというのがイギリスの形式。イギリスは、イングランド以外の地域は実は公営の水道がたくさんありますけれども、ここも基本的には組織体のトップでやるような、国営のものもありますし、公社形式のものもあって、公社形式に関しては民間の料金制度設定をそのまま準用するというようなことをやっているというのが現地に行ったときの話でした。
特に大きいのは、公営と民営を分ける発想が非常に多いのと、フランスのようにそもそも公営に対する事業認可法がないような体系の国がありますので、ここのところをどのように読み取るかというのは、そもそも事業の成り立ち、位置づけから大きく国ごとに違いますので、料金のところだけで単純に議論するのはかなり難しい情報かなという印象で聞かせていただきました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに何かご質問ございますか。スライド23番のところで、料金体系が不合理な点があるというご指摘なのですけれども、少し具体的にご意見をお聞きしますと、例えばどういうところが不合理であるとお考えでしょうか。

○ 佐藤構成員
例えば歴史的には、日本の水道は公衆衛生目的というところから始まっている成り立ちもあって、現在は、多くは基本水量つきの区画式逓増料金という形になっている。そのうち、基本料金の部分は本来的にはやはり固定的原価をカバーできるような料金設定が望ましいということはいえると思います。ただ、日本の歴史として、それが政策的に難しかったから今日の料金体系があるという話ではあります。しかしながら、長い歴史の中で、実はそういった不合理の問題に抜本的なメスが入ることなく今日まで至っているというところは、今回、見直すべきだと思います。今回の事務局の資料でも、電気料金やガス料金に比べて水道料金は安いというグラフが確かにありましたけれども、電気、ガスは総括原価としてこれまで本来あるべき料金を追求してきた。その点、水道については、政治的な関与などさまざまな要因があって、なかなか合理的なところに行き着かなかった。こうしたところは今回見直すべきだろうということをここで指摘した次第です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに何かお気づきの点ございますか。どうぞ。

○ 吉岡構成員
資料23に関係してくるところなのですけれども、水道料金の値下げというところに視点が置かれていますが、例えば料金算定期間の平均などをみても、むしろ下げているところよりは、何もしていないところが大多数であって、本来上げるべきところが上げていない。それはまさしく思考停止状態のところにあると思うのですけれども、何でそういうことになっているのか、一例をあげると、私どもでやっている勉強会は、すべての市町村で70名ほど在籍しているのですが、平均の在籍年数が3年です。3年程度で例えば水道料金の値上げができるかというと、初めて水道に赴任してきて仕事を覚えるのがやっと、何となく仕事になれて、その次、何かやろうかなと思ったときには異動というような人事サイクルが現状で、料金を下げるということは政治的な部分も多いのかもしれませんけれども、実際は何もしない、思考停止状態にあるということが一番の問題なのではないかなと思いました。そういった背景の中では、最終的に人の部分に帰結するというところは私も全くそう思うのですけれども、その部分をどうにかしなければ、根本的に何も変わらないのではないかと思います。

○ 滝沢座長
それは佐藤さんがおっしゃった人事の問題とか人の問題ともかかわっているということですかね。

○ 吉岡構成員
自治体の中で、一般部局がどれだけ認識しているかという問題にもかかわってくると思いますが、適切な人事管理について積極的に発信していかなければいけないし、一方でそういうところがなされていないことが問題であって、自治体に改善の余地がなければ、地方分権の時代ではありますが、国が地方自治法の関与規定に基づいてきちんと助言なり是正を求めるという方法もとる必要があると思います。そういった関与のあり方も徹底していけば、少しは変わるのではないかなという気はします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
 ほかにお気づきの点ございますか。どうぞ。

○ 岡?構成員
広島のケース、興味深く聞かせてもらいましたけれども、例えば料金の扱いをめぐる、それ1つとってみても、関係する議会筋の論議成熟度合いというのはどのように受けとめておられるのですか。例えば、民主主義というのはなかなかしち面倒くさく、回りくどく、そうそうきれいに思い描くようには進まないものであって、成熟それ自身には、熟成の時間もかかるだろうし、したがって10年かかったのでしょう。議会も自治体当局も限界不十分はあっても、しかし一方で、しかるべき見識をもって物事を立てようとする人たちももちろんいるわけで、僕はあながち関係当局も議会筋もそうそう軽いものではないのではないかと思うのです。よくも悪くも。特に広島のケースで、議会方面の皆さんの動きというか、見識、成熟度合いというのはいかがだったのかというのを、押さえておられる範囲でいいですから。

○ 佐藤構成員
私が耳にしている限りでは、平成15年発表以降は、しばらくは新会社による受け皿方式というのは厳しい評価がありました。ただ、時間の経過とともに、用水供給事業たる広島県にしてもスリム化が進み、あるいはコスト削減が進んだ中で、受水団体も市町村合併が進み、統合が進み、さらにそうした中で職員は減っていって、少ない職員の中で今まで以上頑張れという環境に、この10年置かれてきた。そうした中で、長い時間の経過とともに、実は一定の組織をもって新しい器のほうが、今後、発展性があるというところに徐々に理解をしていただいた。現在の状況では、いわゆる水ビジネスといわれている話題性とともに、これが国内の改革方式における水ビジネスになるのではなかろうかと。そのような観点から意見、質問を出されるような議員の先生も出ております。こんなところをご紹介しておきたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
それでは、続きまして資料—4、埼玉県の木暮さんからご説明いただいた資料ですけれども、これにつきまして何かお気づきの点、ご意見ございますでしょうか。どうぞ。

○ 長岡構成員
例えば14ページ、広域化方策というので、私も若干かかわったので非常に関心があるのです。このように決まったのはよろしいと思うのですが、ご説明にあったかもしれませんが、現状の状況と見通し、その辺についてもしコメントがあればいただきたいと思います。このとおりにいきそうなのか、あるいは厳しいのかとか、わかったら教えてください。

○ 木暮構成員
現状の見通しとすれば、ピンクの計画策定というところにあるのですけれども、現状では12ページの絵にありますように、各12ブロック、これはさいたま市以外なのですが、さいたま市以外の11のブロックについては、16ページのような、組織としては部会を立ち上げています。検討を進めて、一応目標とすると、秩父はある程度、先に進んでいるというか、順調にやっているのですけれども、ほかの10のブロックについては、今のところはまだ検討して、今年度、例えば浄水場の維持管理を来年度一緒にやることに対して、どういったことが必要なのかとか、そういったところを各ブロックの中で話し合っているところです。そこにはいろいろ議論があったのですけれども、各ブロックの組織の中に、生活衛生課はすべて入っているのですが、企業局もある意味強引に、企業局の中でいろいろ意見もあったのですけれども、全部、組織的には入れて、将来的には企業局が、組織的にも大きいですから、その中で引っ張っていってもらいたいというところで進んでおります。当然、14ページのスキームのとおりにいくかどうかといえば、各ブロックの中ででこぼこはあると思いますので、当然、ブロックの構成についても今後いろいろ議論は出てくる可能性はあるので、ある程度、見直しとかそういうものは必要かなと考えております。

○ 滝沢座長
よろしいですか。
ほかに何か。岡部構成員。

○ 岡部構成員
質問ですけれども、12個に分けて広域化ということなのですが、これは例えば行政的なつながりというようなところから来ているのか、浄水場とか配水区域などハード面の合理性から来ているのか。あともう1つ、変な話ですけれども、徐々に段階的にというのはわかるのですが、例えば全部1つにするというような議論がなかったのか。そのあたりのところをわかる範囲でお願いいたします。

○ 木暮構成員
ブロック分けについては、基本的には各水道事業者単独に今まで施設整備をしていますので、管路を含んだ中で、ハード的な連携といった中で構成したのではなくて、いわゆる生活圏ですとか、行政的なつながりの中でブロックというものを構成しました。
2つ目、いきなり1つにするという議論はなかったのかということですが、当然、そういう議論もありました。昔はよく比較されたのですが、大阪府などは埼玉県と同じように用水供給事業と末端ということでやっていますけれども、大阪府に関してはある程度トップダウン的にそのような形で一本化というところに向かって、今やっていると思います。埼玉の場合については、当然、トップダウン的なところではなくて、ボトムアップ的なので、いきなり一本化というところではなかなか難しいだろうというところで、企業局も末端は何もやっていない中で一本化というのはなかなか難しいよねと。かといって、すべての事業体を1個ずつ拾っていくのはなかなか難しいなというところで、ある程度大きなところでくくっておいて、最終的には一本化に向けて統合していこうというところで、このような形でスキームをつくったというところです。

○ 岡部構成員
ありがとうございました。

○ 滝沢座長
ほかに何かご質問ございますか。よろしいですか。どうぞ。

○ 佐藤構成員
質問です。埼玉県の広域化の推進、興味深く伺ったわけですが、これを今後、広く日本全国の広域化に当てはめる場合に、このモデルが一般化できそうかどうか。それと、もし一般化できそうな場合に、まずだれがどのような動き方をすれば進められそうかどうか、経験値から少しコメント、アドバイスをいただければと思います。

○ 木暮構成員
一般化できるかどうかというところですけれども、基本的に、最初にちょっとお話ししたように、埼玉県の場合、秩父を除くとほとんど企業局、県営水道の水が約75%というところで、そこが占める部分が大きいと思いますので、そういった意味では、都道府県が用水供給事業をしているというところで、そもそもの発端として議論が出てきていますので、これが各都道府県で一般化できるかというと、各地域で事情は異なると思いますので、同じスキームになるかというと、そのように感じることはないと感じております。ただ、これが都道府県レベルでいくのか、あるいは都道府県の一部の広域的な地域でいくのかというところであれば、ある程度、話が進んでいけば、全国的な中では、うまくいけばですけれども、モデル的なところもみえてくるのかなと思っています。
あと、最初のきっかけとしましては、幾つかの水道事業体のほうから、変な話、購入割合が80~90%だから、すべて県でやってくれよと。そういったところが議会などでも話が出てきまして、そこから始めた話ですので、そういった中で県が水量的にも主導権をもっていたというところから、こんな計画がスタートしたというところではございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。スライドの22と23をみますと、22のほうは阻害要因で、首長等に広域化の意思決定がなされていないというのがあって、23のほうでは首長等への説明を県に期待するというのがありますけれども、ここら辺はどのようにお感じになりますか。やはり首長が意思決定をするということが、当然のことですけれども、最終的には非常に重要で、なかなかそこまで説得できないというのか、意思決定できるような材料がうまく提供できないというのか、その部分を逆に県に期待したいと考えているのか、どんな感じなのでしょうか。

○ 木暮構成員
いろいろありまして、基本的に水道事業体というか、市町村の水道事業の職員がうまく首長に説明ができないというところがまず第一にあると思います。変な話、説明するための資料ですとか、材料を我々のほうで提供するケースもありますし、そういったところで、県のほうで各事業者、首長へ説明というところで、期待するところで出てきているのかなと感じます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
何かほかにお気づきの点。どうぞ。

○ 佐藤構成員
今、木暮さんがコメントされた中で、私も岩手中部の広域化にかかわった中で、現実問題として進めていく中では、組織の中でボトムアップで市長、町長さんを説得するというのは現実的には相当大変で、時間もかかります。そういった観点からは、先ほど県内という、別組織の人からの話を聞くというのは、実は動かすためには重要かもしれないということを、加えて私からも意見として伝えておきたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに何かお気づきの点ございますか。いかがでしょうか。どうぞ。

○ 浅見構成員
ちょっと技術的な点なのですけれども、21ページで秩父の今後の共同浄水場等の配置というのがありまして、秩父はかなり山間部で、浄水場も点在をしていて、今後、全国的にも簡易水道が多い地域のかなりモデル的なケースになるのではないかなと思っているのですけれども、共同浄水場を配置した場合には、下流に共同浄水場が位置するような形にみえるのですが、これは上のほうの浄水場に一度戻してから配水するような形でお考えなのか、どのように将来的には給水されるというプランになりそうなのか、わかるところで教えていただければと思うのですけれども。

○ 木暮構成員
共同浄水場については、この前のページの絵をみてもらったほうが理解しやすいのかもしれませんけれども、前のページが現状なのですが、上水道の水色の供給区域のみに配水するように計画しております。最終的には、共同浄水場からの管路については、共同浄水場はかなり上流に位置するというところで、既存の浄水場まで送って、そこから自然流下なりで配水のみをするという形になります。基本的に山合いの簡易水道については、水源の統合ですとか、施設の共同化は難しいので、現状のままというところで、経営のみ上水道のほうに組み入れるというところで、共同浄水場については、基本的には水源を集約して、ある程度上流に位置するというところであります。

○ 浅見構成員
そうしますと、浄水場の数としてはそんなに大きく変わるというよりは、一本化できるところは一本化して、それ以外のところはそのまま残るところも多いということでよろしいでしょうか。

○ 木暮構成員
浄水場といいますか、今、水処理をしている、たしか10の浄水場を1つの共同浄水場にして、今、水処理している10の浄水場は配水のみという形で、何となく用水供給事業みたいな形で今の浄水場に水道水を供給して、そこから配水のみという形でやっていこうと計画しております。

○ 滝沢座長
よろしいでしょうか。
ご質問ございますか。どうぞ。

○ 長岡構成員
今のところで、私もこの図、気になったのですが、ちょっと視点がずれるかもしれないのですが、集中してポンプアップするような形になると、電力消費量がふえるのではないかなと、そんな気がするのです。さっきの垂直統合の話でも、県のほう、垂直統合すれば、配水が非常に効率がよくなって、電力消費量が減るとか、そういうことがあれば、ある種、インセンティブとして働くと思うのですが、その辺、どうなのでしょうか。

○ 木暮構成員
電力消費については、共同浄水場については既存の、小さく別所浄水センターというのがあるのですが、位置的に高いので、取水の電力費自体は上がると思うのですけれども、そこからの配水についてはほとんど自然流下ですから、それほど使用電力的に上がるというところはないと思います。ただ、今、地元から危惧されているのが、一番上の小鹿野に行くところに、山を越えていくところがあるので、そこの管路をどうやって構築していくのか。山を抜くのか、あるいは1回増圧するとか、その辺についてはいろいろ細かいところがあります。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
どうぞ。

○ 尾?構成員
非常に興味深くみさせていただきました。具体的なシミュレーション、こうやって広域化したことによって、ヒト・モノ・カネがどう動いて、どういう課題がどう解決できて、解決できない課題はどこに残るのかというのがもう少しみえるような資料というのは、いつごろできるのか。今あるのならばみせてほしいのだけれども、それができないなら、いつごろできるのか。できたらぜひともみせてほしいなと思うのですが。

○ 木暮構成員
具体的なモノ・ヒト・カネがどう動くかというところですけれども、基本的にヒトとモノについては、現状ではまだ細かいところはやっておりません。最初につくったときに、どのくらいのコストがかかるとか、どんな効果があるというところで、いわゆるシミュレーションはしていますけれども、現状である程度、業務の一体化といいますか、共同化をしていく中で、具体的にどのくらいヒトとカネが動くかというところは、各ブロックによって少し変わってくると思いますので、これについては一応、現状の目安とすればあと2年程度で何らかの形で効果がみえる資料といいますか、何か出てくるのかなと思っています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
そうしましたら、この資料3つ、ご質問いただきましたけれども、全体的にどの資料でも結構ですし、これ全体を通してということでも結構でございますが、本日議論いたしました持続性の確保という点について、何かお気づきの点があれば、あるいはもとの資料の戻ってということでも結構ですが、コメントをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○ 吉岡構成員
持続可能性の確保ということで、今回のビジョンの大きな柱になるところだと思います。小規模事業体の職員である私がここにいる意味も含めて、やはりいろいろ考えさせられることが多い資料を提供していただいたなと思います。その中で、資料—2の18ページと2ページ、この資料を2つみながら思っていたのですけれども、出生率をみると、日本の人口はどうやら本当に急激に減っていくだろう、よほど大きな転換がない限り減っていくだろうということが予想されます。そうした中で、運営基盤の強化というのは非常に重要なことだとは思いますが、だからといって資料18であるように、3人か4人で事業をしているところを、強化するために10人にできるかといったら、そもそもの自治体が小さいので、なかなか難しいだろう、はっきり言って無理だと思います。だから広域化が必要になると思いますが、一方で平成の大合併をみたときに、それが果たしてうまくいったのか、現状どうなっているのかというところを振り返って整理する必要があると思います。合併から一定年たっても同じ状況だとか、前より厳しいといった声をよく耳にしますが、そうした現実からは、ただ大きくなっても恐らくだめだろうという感じが非常にします。だとするならば、人口が急激に減る前の、小康期にある今、その当座の運営で何をするべきなのか。そして、50年後は68%、100年後は33%の人口まで減るということになれば、そのときに水道を維持できる体制はどのようなものかという2つを考えていく必要がるし、そのことを、ビジョンの中で考えていかなければならないと思いました。
その上で、25ページのスライドですが、小規模水道事業体の自立促進のポイントとあります。職員みずからが自分の水道事業をプロデュースする必要があるというところはまさしくそのとおりだと思います。外部から広域化しろであるとか、経営基盤を強化しろというのは、否定するつもりは全くありませんが、まず自分たちの町がどうなるのかというところをきちんと見据えた上で、しなやかにその状況に対応していくようなものをつくらなければいけないのではないかと思います。人口の減少と運営基盤の強化を時間軸をもって考えてみるとそれが持続にどのようにつながっていくのかというところがすごく考えさせられました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。コメントとしてお受けしたいと思います。
ほかに何かお気づきの点ございますか。いかがでしょうか。岡部さん、どうぞ。

○ 岡部構成員
先ほどの佐藤構成員のご説明でいろいろ考えさせられたのですけれども、先ほどの話から、特に中小を含めて経営基盤をしっかりしなければいけない。その中で1つの方策として、広域化とか官民連携という話が出てくるのですけれども、実際、海外とかを含めて、官民連携とか完全民営化するとか、料金の規制のシステム、佐藤構成員も最終的にはこういったシステムの決定とか、そういうものをちゃんとやっていかなければいけないといわれているのですが、そういったもので世界的にみても必ずしもうまくいっている例が余りないのかなと。現状がだめだから広域化、現状の市町村経営だけではなくて官民連携というのも必要だと思うのですけれども、そのあたり、ちょっと質問になるのですが、もしも佐藤構成員がご存じでしたら、今回のご提案という形にはなっているのですけれども、最終的な落としどころというか、料金の規制の仕方とか、官民連携の構成とか、この中で議論していけばいいのかもしれませんが、日本に向いていると考えられる将来的な展望みたいなものが少しわかれば、ご説明いただければなと思います。

○ 滝沢座長
お願いします。

○ 佐藤構成員
非常に答えるのになかなか勇気の要るようなご質問ですね。ありがとうございます。私なりの意見を、本当に個人的な意見として述べさせてもらえれば、先ほど岡部構成員から質問として出されたとおり、世界的にみると、そうはいってもはっきりと唯一絶対のモデルはないのではないですかと、そのようにも聞こえたと思います。そういう観点からお話ししますと、私の理解では、1つは大まかにはイギリス型の民営化モデル、あるいはPFIモデル、あるいはフランス型の民間長期委託モデル。そして、日本、もしくはドイツもそうかもしれませんけれども、それぞれのモデルがあっていいのではないかと思います。まずイギリスモデルについては、依然として今、この段階においても、民営化自体は偉大な社会的実験というような表現の論文もまだある。あるいはPFIにしても、イギリスでは必ずしも成功したとはいえなかった。ただし、日本などへの英語に次ぐ輸出商品として成功したというような、非常に皮肉の入った論文なども出されてはいる。ここでいいたいことは、結局のところ、いろいろなところが試行錯誤しながらということかと思います。一方で、フランスの民間委託モデルは、民間にお願いしながら水道を始めなければいけなかったという歴史的な事情があるので、そういう意味では、フランスモデルも直ちに日本に入ってこられるかというと、ちょっと違うかもしれない。
そういう意味で、私の意見としては、今回の資料ですと21ページのスライドになるのですが、このマトリックスです。ここでいわんとしていることは、公営企業として現行の枠組みの中で、1つは広域化がありますよねと。あるいは、サービス供給手法としてフランス型の委託モデル、あるいはPFIなど指定管理者なども新サービス供給方式に入ってくるかもしれません。他方で、法人形態としての見直しなどもあって、こうしたところで、意欲と能力のある、そして水道を支えられる人たちが、できる人がやればいいだろう。そうでないところは、できる人にお願いすることによって、水道界を再編成していけばいいのではないかというようなことを、私なりの整理としての日本モデルとして提案してみたいと思っております。そこの中では、ただしすべてが完全に自由化ではなくて、三角形を切り離しているのは、実は議会説明のためにつくった資料なのですが、最後の最後は、やはり水道はどんなに民間的な経営手法を導入したとしても、公の関与は残るでしょう。そこだけがしっかりと担保できるような枠組みであれば、多様な方式があってもいいのではないでしょうかということを、この場で私なりの意見として述べておきます。

○ 滝沢座長
予定の終了時間まであとわずかでございますけれども、本日のこのテーマ、次回もう一度同じ議論をさせていただきたいと思います。本日お配りした資料もそうですし、さらに本日議論が尽くせなかった点については、もう一回議論する時間はございますが、本日残りの時間でもしご指摘になられる点があれば、最後にお受けしたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいですか。
それでは、次回引き続き議論をするということで、最後に事務局から今後の日程も含めてアナウンスをお願いしたいと思います。

○ 名倉課長補佐
本日の議事録につきましては、皆様にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
また、今後の検討会の開催予定ですが、次回、第8回を9月4日火曜日の14時から17時に予定しております。なお、場所につきましては決まりましたら改めてご案内をいたします。
また、あしたから2日間、被災事業体との意見交換会を実施させていただくことになっております。出席していただく構成員の皆様にはご協力をよろしくお願いいたします。少し時間をいただきまして、事務的なご説明をさせていただけますでしょうか。

     (事務連絡)

○ 滝沢座長
それでは、この後、被災事業体との意見交換に移動される方もいらっしゃると思います。きょうも含めまして、あした、あさって、3日間連続になりますけれども、よろしくご協力いただきたいと思います。
本日はどうもご苦労さまでした。ありがとうございます。


(了)
<照会先>

健康局水道課

(代 表) 03(5253)1111 内線4028
(直 通) 03(3595)2368

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