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2012年8月1日 第4回 今後の化学物質管理政策に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成24年8月1日(水)14:30~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 低層棟2階 講堂


○出席者

出席委員

有田委員 安藤委員 石井委員
鬼武委員 織委員 亀屋委員 
城内委員(座長) 庄野委員 杉山委員 
鈴木委員 辰巳委員 田村委員
服部委員 林委員 原田委員
福島委員 三柴委員 宮川委員
安井委員(座長) 山本委員

出席関係省庁

半田厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長
増岡厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課中央産業安全専門官
長谷部厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室長
三木経済産業省製造産業局化学物質管理課長
上田環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課長
岩井消費者庁消費者安全課課長補佐

○議事

○厚生労働省労働基準局化学物質対策課専門官 定刻となりましたので、ただいまより第4回今後の化学物質管理政策に関する合同検討会を開催いたします。本日は、大変お忙しい中ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。出席委員につきましては、参考資料2に参集者名簿を配付しています。左から順に辰巳委員、田村委員、服部委員、林委員、原田委員、福島委員、三柴委員、宮川委員、山本委員、安井座長、城内座長、有田委員、安藤委員、石井委員、鬼武委員、織委員、亀屋委員、庄野委員、杉山委員、鈴木委員となっています。なお、広瀬委員におかれましては、本日欠席ということでご連絡いただいております。また、林委員におかれましては、本日遅れる旨連絡をいただいております。
 事務局側は、異動がございましたので、紹介いたします。経済産業省化学物質管理課河本課長に替わりまして三木課長です。環境省環境安全課早水課長に替わり上田課長ですが、上田課長は本日少し遅れて参るということで連絡をいただいております。また、消費者庁消費者安全課西森補佐に替わり岩井補佐です。その他、厚生労働省化学物質対策課半田課長、化学物質安全対策室長谷部室長、私は化学物質対策課の増岡です。よろしくお願いいたします。
 審議に先立ちまして、夏季の軽装のお願いについて申し上げます。地球温暖化防止、省エネルギーに資するため、政府全体として夏季の軽装に取り組んでいるところです。これを踏まえまして、事務局は軽装にて対応させていただいております。委員の方々におかれましても、ご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。また、カメラで撮影されているプレス関係の方等がおられましたら、カメラでの撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、安井委員および城内委員に座長をお願いし、以降の議事進行につきましては、座長からお願い申し上げます。
○安井座長 またいつものスタイルで私がその座の進行役で、最後に城内座長からまとめをいただくというスタイルでまいりたいと思います。本日、一応のまとめを行うということですが、それに先立ちまして資料の確認をお願いします。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 資料の確認をさせていただきます。表紙で議事次第が1枚ございます。そのあと、資料1として第3回合同検討会議事録、資料2として中間取りまとめ案、資料3として中間取りまとめ案のポイント、資料4として用語集、資料5として制度の在り方に関する意見。参考資料1として共同検討会の設置の趣旨、参考資料2として参集者名簿を添付しています。不足等はございませんか。よろしいでしょうか。
○安井座長 過不足がございましたら、事務局にお申し出いただきたいと思います。議事に入ります前に、前回の議事録案が相当長いものですが付いております。もしこのようなことをしゃべってないということでしたら、本日終了後、8月10日までに事務局までご連絡をいただきたいということですので、よろしくお願いしたいと思います。
 本日の議事は、今日のお手元の議事次第をご覧いただきますと、1.中間取りまとめ案について議論とございます。1つしか議題がないようですが、実を言うとその他の重い議題が残っており、後ほど説明しますが、ここもたぶん30分ぐらいかかるのではないかという感じがします。しかし、一応17時まで時間は取っていますが、早ければ早いほうがよろしいということであれば、早く終わりたいと思っておりますので、ひとつご協力をお願いしたいと思います。
 最初の議題ですが、中間取りまとめ案についての議論をしたいと思います。まず事務局からご説明いただき、割合と短い4,000字ぐらいの文章ですので、かなりしっかり読めると思いますので、そのあとご議論いただきたいと思います。では、ご説明をお願いします。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 中間取りまとめ案、資料2をご覧ください。大きく1.現状と課題、2.今後目指すべき目標としていまして、3.化学物質管理に関してかかわってくる主体ごとに期待される役割といったことについてまとめてございます。4.中長期的な検討課題として大きく2点まとめてございまして、そういったことを踏まえて5.中長期的な検討課題については検討するとして、それを踏まえて直ちに対応すべき事項についてまとめているという構成になっています。
 最初に戻っていただきまして、1.「現状と課題」です。現状については、ご案内のとおり特定の有害物質を含有する製品については、労働安全衛生法や化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法等により製造等の規制が行われています。また、一般の工業化学物質の製造・輸入については、安衛法・化審法に基づく規制が行われるとともに、法律ごとに別々に化学物質の届出審査が行われている状況です。
 こういう現状ですが、最近、労働者保護や一般消費者の身の回りの化学物質への不安及び環境保全といった観点からの多種多様な化学物質の危険、有害性やリスクに関する情報の体系的な情報の収集・評価、迅速な情報提供の充実ということが求められていると考えております。
 具体的に申し上げますと、例えば私どもの分野ですと、いま大阪の印刷工場で話題になっています胆管がんの問題もございますし、今年の初めごろだったでしょうか、顔料中のPCBの問題等もございました。そういった問題が絶えずぶつぶつとくすぶっている感じがしています。こういったものに体系的な取組が必要になっていくのだということです。さらに、それを各省庁の連携による具体的な対応が必要だということをいま考えているところです。
 こういった現状と課題という認識のもとに、2.「今後目指すべき目標」です。以下にまとめています。
 (1)「予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて、化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成することを目指す」というWSSDの目標があるわけです。
 一般消費者、事業者、民間団体、国、こういった各ステークホルダーがそれぞれの役割を自覚しながら連携、協力してこの目的の達成を目指す必要があると。適切な化学物質管理のもとに身の回りの化学物質の対応等に努め、安全・安心で活力のある持続可能な社会を実現する必要があるだろうということです。
 (2)このために、産官の役割を踏まえたリスク評価等の一層の推進、一般消費者を含むサプライチェーンにおいて危険有害性及びリスクに関する情報等が共有される仕組みの構築、サプライチェーンのグローバル化に対応した国際調和の推進等に取り組む必要があるだろうと。化学物質の廃棄段階での情報共有についても、検討を進めていく必要があるだろうと。サプライチェーンから少し外れますが、こういったことについても検討していく必要があるだろうということです。
 (3)こういったことのために、共通基盤となる危険有害性情報の収集の一層の効率化を進める必要があるということです。新規化学物質・既存化学物質にかかわらず化学物質の製造・輸入等の状況に応じて、労働者、一般消費者、環境への影響全体を踏まえたリスク評価を適切に進めていく必要があるであろうということです。
 次の頁にまいりまして(4)です。成形品を含むということですが、こうして得られた化学物質の危険有害性情報及びリスクに関する情報を、労働者保護、一般消費者保護、環境保全の観点を含めたGHSに準拠したシステムを活用し、事業者から使用者までサプライチェーンを通しての伝達・共有を一層進めることが必要であるということです。この点に関しては、第1回目でもご説明しましたように、いま安衛法や化管法でそれぞれにすべて危険有害性情報に関する情報・伝達のルールを作り、なおかつ、共通基盤としてのJISZ7253が出されているわけですが、こういった取組を一層強化する必要があるということです。
 以上のような大きな目標に対して、3.「主体ごとに期待される役割」。期待されると言いますか、こういった各主体が積極的に担うべき役割と言ってもよろしいかと思いますが、そういったことについて整理しています。
 (1)事業者です。ア、事業者は、事業活動を行うに当たっては、新規化学物質・既存化学物質にかかわらず、その取り扱う化学物質について、これは製造・輸入を含むということですが、労働者保護、一般消費者保護、環境保全の観点から、その適正な管理を行う責務を負っているのだと、こういうことをまず確認させていただきたいと思います。
 イです。その上で事業者は、必要な危険有害性情報の収集に努め、取扱い数量や用途、使用環境等に応じて、労働者・一般消費者・環境に関する適切なリスク評価を行うとともに、この評価に基づく適正な管理方策を明らかにして、その危険有害性情報及びリスクに関する情報をこのサプライチェーンに提供すると。そして、適切に社会に対しても情報を公表するように努める必要があるのではないかということです。
 (2)労働者は、化学物質管理では基本的には事業者の責任でやっていただくのですが、事業者の化学物質管理の下、危険有害性情報及びリスクを理解して、化学物質を適正に取り扱うことが期待されるということです。
 (3)一般消費者です。国民の皆さんですが、一般消費者は、生活の中での化学物質の使用の状況とその役割について関心を持って、化学物質が人の健康や環境に与えるリスクについて、的確な情報入手と正しい理解に努め、人の健康や環境に対するリスクの低い商品の選択、あるいは適正な使用と、そういった消費者としての適正な行動につなげていただくことが期待されるということです。
 (4)国の役割。アとして、国はサプライチェーンのグローバル化に対応したリスク低減のための国内制度の構築・運用、あるいはその国際的な制度との調和、こういったことを引き続き進めていく必要があります。イです。国は、国内外の危険有害性情報基盤の統合的整備、化学物質のリスク評価に関する専門家等の人材の育成、リスクコミュニケーションの推進、消費者への啓発活動等により、一般消費者や事業者による取組を積極的に支援する必要があるということです。ウです。国は、化学物質の製造・輸入等の状況や事業者による取組状況等を踏まえた優先順位を付け、それぞれの制度においてリスク評価を行っていくと。また、特定の分野でのリスクが懸念される化学物質が判明した場合には、各法令所管省庁において速やかに詳細なリスク評価の実施や規制措置等の対応を取ることが期待されます。
 4.「中長期的な検討課題」です。これまでご議論をいろいろいただきましたが、ご議論の柱は大きく2つあったということです。今後目指すべき目標を実現し、グローバル化に対応しながら安全で活力のある社会を実現するためには、以下のような課題があるとして2つ述べています。1つは、労働者保護、一般消費者保護、環境保全の観点からの体系的・一元的な危険有害性情報の収集です。
 (2)製品中の化学物質を含めたサプライチェーン全般にわたる化学物質の危険有害性情報等の伝達・提供。繰り返します。(1)では一元的な情報の収集、(2)は今度はその集められた情報の適切な伝達、こういったことです。情報は今回の鍵であろうということです。
 これは中長期的な検討課題ですので、これから少し時間をかけて検討をしていくわけですが、そうは言いながら早急に、直ちに対応すべきことがいくつかあるのではないだろうかということで、5.にまとめています。4.の検討課題については、今後検討を行うこととするが、現行制度のもとにおいても、制度上実施可能な以下のような取組については、直ちに検討に着手し、可能なものから順次対応すべきであるということです。
 (1)産官の役割を踏まえた既存化学物質対策の強化。この中身ですが、事業者はGHS分類情報など危険有害性情報の収集に努め、取扱い数量や用途に応じてリスクの優先性を考慮しつつ、労働者・一般消費者・環境に関する適切なリスク評価を行っていただくとともに、その評価に基づく適正な管理方策を明らかにしていただく。そして、危険有害性情報及びリスクに関する情報を、サプライチェーンで相互に提供・相互に共有すると。併せて、社会に対して情報を公表するように努めるということです。
 また、既存化学物質に関する国の対応として、環境保全の観点から化審法に基づく有害性情報の収集やスクリーニング評価、及びリスク評価をやっています。労働者保護に関しては安衛法に基づいてリスク評価を実施しておりますが、今後は関係省庁の連携を強化し、危険有害性情報等を効率的に収集する。そして、それぞれの制度においてリスク評価等を適切に推進する。その際に化審法等に基づき得られた情報等、すでに得られている情報を最大限活用することを考えていく必要があるだろうということです。
 さらに、具体的には以下のような手順が考えられます。アです。事業者が取り扱う化学物質について、適切な対応が実施されるように、事業者は国と連携しつつ、使用者、これは化学物質の使用者という意味ですが、及び環境に関するリスク評価等の標準となる具体的な手順等の検討を進めると。この一例としては、日本化学工業協会が行っておられるJIPSの更なる促進等も考えられるというものです。
 次の頁です。イです。化学物質の製造・輸入に関係する事業者は、当面、1社当たり製造・輸入量が一定量以上の化学物質又は発がん性、変異原性、生殖毒性等の懸念がある化学物質について、CMRと頭文字を取って略していますが、先ほども述べました標準となるような具体的手順等に基づいてリスク評価等を実施し、その結果をサプライチェーンに提供するとともに、社会にも情報を公表していくように努めることが必要であろうと考えられます。
 ウです。こういった事業者の取組に対して、国としては、危険有害性情報等の情報基盤整備、リスク評価人材の育成、取扱い状況に対応した多様なリスク評価支援ツールの提供等、こういったことから事業者の取組を支援していくことが必要だろうと考えます。
 エです。関係省庁は、連携してCMRの有害性がある化学物質について、製造・輸入状況、用途情報、モニタリング情報、PRTR情報、QSAR情報、事業者におけるリスク評価の状況、こういったもの等からリスク懸念の大小を勘案し、優先的にリスク評価を実施すべき化学物質をリストアップする。
 オです。必要に応じ事業者に対し保有する危険有害性情報やリスク評価の提出を要請し、国はその情報に基づいてリスク評価を実施するが、必要な場合には、事業者に対して更なる危険有害性情報の調査を指示し、より詳細なリスク評価を実施する。リスク評価に当たっては、化審法等に基づき収集される危険有害性情報等を最大限活用するということです。
 (2)新規化学物質に関してのお話です。現在、我が国においては、事業者に対して、安衛法の観点と化審法の観点から別々に届出を課しております。このため、安衛法の新規化学物質の届出情報と化審法の届出情報をできるだけ統一して管理できるよう、安全性データのデータベース等の一元化・共通化について検討するということを挙げています。
 (3)一般消費者向け情報提供のあり方の検討です。事業者から一般消費者への情報提供は、一般消費者が安全に製品を使用することが目的となります。この観点から、どのような情報を一般消費者までどのように提供していくべきかについて、GHSの導入の検討を中心に検討を行う必要がございます。
 具体的な対応としては、次のような方法、手順が考えられます。アです。事業者団体、消費者団体及び国が連携しつつ、消費者用製品を安全に取り扱う観点から、どのような情報が提供されることを消費者が望んでいるのかについて、実態を調査する。イです。一般消費者製品については、製品表示が主たる伝達媒体であることを考慮しつつ、GHS対応を中心に、一般消費者が製品を適切に取り扱うために実効性があるわかりやすい情報提供のあり方、及び情報の受け手の理解促進のための支援のあり方、こういったことについて検討する必要があります。ウです。さらに、上記の成果を踏まえて、GHS制度を統合した一般消費者向けの危険有害性情報の伝達・提供のあり方について、検討を行う。なお、一般消費者製品への表示に係る法規制との関係についても、整理を行う必要があると考えています。
 (4)です。事業者におけるリスク評価人材育成支援策の検討。事業者による危険有害性情報の収集やリスク評価等の実施、こういったことを支援するために、国は、危険有害性情報の伝達に関する法令、あるいはGHSに基づいた表示、SDSの普及啓発に努めるとともに、危険有害性評価及びリスク評価に当たる人材育成等の支援を積極的に行う。その上で、各大学、教育、研究機関とも連携して、その育成のあり方について検討していく必要があろうということです。以上が中間取りまとめ案です。
 これを少しポンチ絵風に示したものが、資料3です。ただいま申し上げましたことを項目ごとに大体整理しています。いちばん上の欄に「今後目指すべき目標」ということで4点掲げてあります。それで、ただいまの中間取りまとめ案の2.に書いていました「主体ごとに期待される役割」、「期待される役割」というよりは「担うべき役割」と言うべきかもしれませんが、事業場においてお願いすべきこと、一般消費者の皆さんにお願いすべきこと、国において成すべきこと。事業場の中には、事業者の立場と労働者の立場とそれぞれ2つに分けてまとめているところです。また、中長期的な検討課題、先ほど申し上げました2点です。危険有害性情報の一元・体系的な収集と情報のサプライチェーン全般にわたる伝達・提供。こういったことを踏まえて直ちに対応すべき事項として、ただいまご説明しました項目をここに整理して書いているところです。
 続けて資料4を簡単にご説明します。これについては、いまさらの部分はあるかとは思いますが、危険有害性、リスク、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーション、こういったことについてどういう意味合いで使っているかをここで整理しています。これは確認的にご覧いただければよろしいかと思います。以上、資料2、3、4について、簡単にご説明しました。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課専門官 議事の途中ですが、環境省環境安全課の上田課長がいらっしゃいました。
○環境省環境保健部環境安全課長 7月に前任の早水の後任として安全課長となりました上田です。今後ともよろしくお願いいたします。遅れて申し訳ございません。
○安井座長 資料2、3、4を説明していただきました。時間は十分ありますので、ご意見をいただきたいと思います。どのぐらいのご意見の意図があるか、札を立てていただけますか。全員立ちました。それでは、鈴木委員から順番にお願いします。
○鈴木委員 最初にあまり変なことを言うと目立ちそうですが。まず、資料2についてです。まとめていただいたものは、このように各種の行政が力を合わせてやること自体は非常に良い趣旨だと思います。ありがとうございます。それはいいのですが。
 まず、2頁の3.の(4)のウ、3頁の5.の(1)などに、「それぞれの制度においてリスク評価を推進する」と書いてあります。これは言いようによっては縦割り行政をやりたいのかという批判もできるかもしれない気もします。一方で、日本の行政というのは、それぞれの行政の法律所管が違う視点からリスク、ハザードを管理しているということだろうと私なりには理解していますので、むしろ、単に「それぞれの制度に応じて評価を推進する」というよりは、それぞれの制度の精神に応じたリスクを多角的に検討するというような趣旨をはっきり打ち出したほうが前向きではないかと思います。別な考えもありまして、リスクというのは本来多義的なものであるはずで、一人の人が考えるリスクとほかの人が考えるリスクが同じであることはむしろあり得ないことです。リスクという言葉は一枚ではない。それを、さまざまな省庁がさまざまな立場から判断するということをはっきり書かないと、逆に、これは縦割りの話かと言われかねないと同時に、日本の行政のある意味、芯になっている良いところも主張できないと思います。そこの書き方を工夫したほうがいいという気がしました。
 あともう1点です。これはたぶん異論を受けるかもしれません。CMRについてです。5.の(1)のイでは上のアを受けて、「CMRについて、上記標準となる具体的手順に基づくリスク評価を実施」と書いてありますが、これは一体どうやってやる気なのか私はよくわからないのです。エにあるように、「リスク懸念の大小を何とかして考えよう」という話はまあいいと思いますが、CMRについてリスク評価を実施というのは、あまりリアルな話とは私には正直言って思えません。このようなことは書かないほうがいいので、この一文は消したほうがいいのではないかというのが私の意見です。
○安井座長 これはどうしましょうか。問題点が十分にわかっていなければ事務局から説明していただいてもいいのですが。また最終案を作りまして、今度は会議ではなくメール等でご連絡するというスタンスで本日は終わりたいと思っています。ですから、対応できるかどうかだけ事務局から回答してください。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 まず、1点目のリスク評価についてです。ただいま鈴木委員からご指摘があったことは、過去3回でも鈴木委員あるいは亀屋委員からも同様の趣旨のご指摘をいただいていましたので、その辺は気をつけて書いたつもりですが、確かに明確には出てないかもしれません。もう一度申し上げますと、リスク評価を一元的にやるということが多々出てきていますのは、次のようなことからです。ある化学物質が、主として労働問題で問題になるような状況なのか、一般消費者に問題になるのか、あるいは環境保全の観点から問題になるのか、大きな仕分けをするような仕組みが必要なのではないだろうかと。もちろん、そのようなことをやった後に、それぞれの管理をしていく。あるいは場合によっては詳細なリスク評価も必要になりますが、そういったことは各行政、各法令に基づいてきちんとやっていけばよろしいと。
 もっと具体的に例えば私どもの例で申し上げますと、ある化学物質が、労働現場、製造取扱い現場において労働者には全然ばく露されない状況であれば、こういったものは労働現場では問題になりません。それが最終製品として破棄されて何か問題が起こるということであれば、環境上のリスクはあるかもしれません。そういった大きな交通整理をやっていただくことが最初に必要なのではないか。労働現場で申し上げれば、いまのようなことで労働現場では問題ないのであればもうそれで終わりですし、労働現場で取り扱う労働者のばく露が懸念されるということであれば、実際にどのような作業形態でどのようなばく露が起こっているのか、かなり詳細なばく露調査をやる必要がありまして、実際に私どもはそれをやっています。その上で安衛法に基づく管理をするわけです。ここで「リスク評価」と言っている大部分は、先ほど申し上げましたように、大きな分野での仕分けといいますか、そのようなリスク評価を言っています。例えば、5.の(1)辺りの「リスク評価」というのも大体そのような意味で使っていると考えています。そのようなことでいかがでしょうか。
○鈴木委員 まあ、私一人だけでやっても何ですけれども、とにかく、うまく反映していただきたいと思います。あえて申し上げれば、いまの話は、そもそもその物質が労働作業環境で使われているものと、環境で使われているものとの区別があるという例のように見受けられました。作業環境におけるハザードの見方と労働環境あるいは一般環境のハザードの見方はそもそも違うと思いますので、リスク評価自体が普通は同一ではない。その辺りは当然反映してくると思いますが、変に縦割りに見えないように、それぞれの行政がそれぞれの立場から見ているのだということ。それは最初に仕分けすることもあるかもしれませんし、やってみてからまた合わせてみることもあるかもしれないので、その連携の姿をもう少し前向きに書いてもらったほうがいいと思ったということです。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 すみません、CMRのリスク評価についてのご趣旨がよく取れませんでした。
○鈴木委員 CMRのリスク評価というもののやり方が私には思いつかないのです。CMRについて管理する必要があるという関心は極めてよく理解できますが、それを直ちにリスク評価すべきであると取れるような文章をこのような所に書き込まないほうがいいのではないかと私は思っているという意見です。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 わかりました。これもご参考までに申し上げます。私どもでは、例えば発がん性があるという物質でも、それを直ちに規制するというやり方ではなく、発がん性の程度と、先ほど申し上げましたように、そのような化学物質が労働現場でどのような使用、取扱いがされているかを確認します。実際には、いろいろな作業、梱包作業や注入作業、あるいは攪拌作業などもありますが、労働者の方がどのような作業環境でやっているかを個人個人にサンプラーを付けて測定して、その値で総合的に判断しています。そのようなことがCMR物質のリスク評価として行っている例です。趣旨は承りました。
○石井委員 中間取りまとめに対する意見としてメールでお出ししました。いくつか採用していただいたものと却下されたものがありましたが、1つ、取り入れていただけなかったもので、いまのお話とも関係しますが、資料の中の「初期的な評価」と「詳細な評価」が何かぽわんとしているのではないかと思います。事業者がやるのか、国というか政府がやるのかが、まだはっきりしてないのではないかと思います。特に、1頁の「今後目指すべき目標」の(3)には、「事業者による初期リスク評価」の文言を私としては入れたかったと感じていましたので、ご検討いただきたいと思います。
 全体として、総合管理と言いますか、一元管理について、それぞれの主体ごとに期待される役割という文言が入っていますが、それぞれ役割を担った上での総合管理が必要なのではないかと思います。制度ごとにそれぞれ評価するというお話がありましたが、実際に何万とある既存物質について本当にやっていけるのか。今後、7、8年でどのようにやっていくのかについて、いちばん効率的な方法を考えていく必要があるのではないかと思いました。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 最初のご指摘の、初期リスク、詳細リスク評価の違いが少しぼんやりしてきたという点に関してです。この点はいろいろな議論を呼びましたので、あえてそのような区別をなくしたほうがいいということでやったのですが、ご指摘もありましたので工夫したいと思います。同じく、そのリスク評価の主体が誰かについても、確かに大事な点なので、もう少し明確になるように書きたいと思います。
 最後の、総合管理についてです。この点は、4.の(1)の「中長期的な検討課題」にその辺りについては出しているつもりなのです。先ほどの鈴木委員のご指摘にも関わりますが、私どもは、総合的にやると言いましても、実際に総合的、一元的にやれる部分は情報の収集だろうと思うのです。実際のリスク管理は、各行政、各法令に基づいて責任を持ってやっていかねばならないと考えています。そういうことで、4.の(1)では、「危険有害性情報の収集を体系的・一元的に行うことを検討していく必要がある」として、検討課題としてここにまとめていて、そのようなお考えを踏まえたつもりです。
○福島委員 2、3あります。まず最初に、確認の意味で教えてください。2.の(1)の1行目で、「透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順」、この「WSSD」についてです。ご存じだったら教えてください。なぜ、リスク評価のほうには「透明性のある」という言葉がついているのか。リスク管理のほうには、「科学的根拠に基づく」だけで、ここはなぜこのようについたのですか。まずこれが質問です。
○安井座長 ほかの委員の方でご存じの方がいらっしゃれば。わかりませんか。では、後日の宿題ということにします。原文になぜこれがついたのか。
○福島委員 余分なことですが、読んでいて気になったものですから聞きました。
 それから、私がこれを読みまして気づいたことを申し上げます。まず1点です。この化学管理政策にあたって、私の頭の中にはどうしてもインターナショナルな面を意識してどうするのかということがあります。それに対してどのようにするのか、この中間取りまとめには読み取れません。また、この書かれたことを現在の体制で実施するということで、今回も3省合同で開かれていますが、その間の関連をどうするのかがどうもわかってこない。取りまとめ案が出ると、厚労は厚労で対応する、経産は経産で対応する、環境は環境で対応する。そうすると、いままでと同じような感じを受けるのです。その辺の取組、今後どうしようかということについて、先ほど中長期的なことはまずさて置きと言われましたので、直近はどのように考えているのかをお聞きしたいと思います。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 前段については少し考えさせていただきます。後段について申し上げます。3省4局が集まって議論していますのは、まさに、こういった問題のどれ1つを取りましても、旧労働省だけでできる問題などは、もちろんできる部分は一部ありますが、すべてを一人で担うことはできません。それは他省、他部局も同じ事情だと思います。そういうことなので、この課題について今後、議論していこうとしているのです。4.の(1)、(2)を検討課題として私どもは共有しています。これを今後どのようにやっていくかは、もちろん体制なども含めてですが、これから事務局で詰めて議論していこうということです。まず、この合同検討会で課題を整理していただきました。それを踏まえて、いまの体制でできることは、5.に整理してあります。3省4局が協力しながら、あるいは他省他部局のご協力をいただきながらやらなくてはいけないことがあれば、それは今後検討していくものとして整理していただいています。これで答えになっていますでしょうか。
○福島委員 はい、としか申し上げようがない。その辺りは、もう一度、検討していただきたいと思います。
 2点目です。今回読みまして、情報の伝達が非常に重要だということ。直近に起こった胆管がんの問題もそうですが、要するに、情報の伝達がいかに重要かを知らしめた事件だと思うのです。そのような目で見ますと、情報の伝達に対する取組について、「事業者から労働者、消費者」云々と書かれています。それはそれとして、それに対して今度は、情報の収集はどうするのか。これも、ところどころに書かれていますが、全体をぱっと読んだときに、情報の収集をどうするのか。例えば、「効率化を図る」云々と書いてありますが、何かもう1つ、1カラム作るなりして、情報の収集に対する取組も書いていただきたいと思います。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 申し訳ありません、書き方が悪いのか、説明が悪かったのか、情報の収集はまさに重要な観点だと思いますので、それは書いているつもりなのです。中長期的な検討課題としましては、4.の(1)のところです。「体系的・一元的」のほうが目につくかもしれませんが、体系的・一元的に危険有害性情報を収集していこうとして、言うまでもなくこれは大事な課題ですということを言っています。これを具体的にするためにはかなり詰めた議論が必要だと思うのです。現体制の中でもできることを考えていこうということがここに書いてありまして、それが(1)です。事業者においては、このような情報を集め、リスク評価を行って、適正管理方策も含めてサプライチェーンを通して流していただきたいと言っています。国については、特にエやオです。ここはどちらかというと労働行政の話ですが、危険有害性情報などをどのように集めるか。もう少し具体的に言いますと、オにあるように、既に化審法ではある程度、危険有害性情報が集まるような仕組みが作られていて、労働安全性を進めていくためにも似たような制度が必要だろうと思いますが、当面は化審法で集められている情報などを活用することを考えています。
○福島委員 「収集」という意味をどのように解釈するかです。いまあるデータを集めるという収集の意味なのか。集めるために、データをあえて発出するというか、作り出す、そのようなことも考えるべき。全体をトータルとして、もう少しわかりやすくならないかと考えています。
 もう1点です。川上から川下ということがいままで言われています。今回の胆管がんでも、やはり、川上から川下のところで起こっています。情報の伝達において、なぜ起きたのかという問題になる。一般の消費者。今回のことから私が学んだことは、これからは子どもをもう少し意識すべきだということです。実際の情報伝達については、物語ではありませんが、平易な表現をすることを最終的に心がけていただきたいと思います。少し突飛かもしれませんが、我々は何か起こるとすぐにぶれてしまう。それは、子どものときからの教育が影響しているのではないかと思うのです。突飛だと言った意味は、このような場所に文科省の人も出てきてもらって、しつけは家でやれと言いますが、子どもの教育は学校でどうするのか、化学物質についてどうするのかも勉強してもらう。そういうことを教えることも大事ではないかと思った次第です。そこで、先ほど言ったように、せっかく3省跨がったのですから、これからでもいいので文科省の人にも出てきていただいて化学物質の管理についての考え方を聞いてもらうと、将来的に役立つのではないかと思うのです。無理ですか。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 今回の私どものまとめ案の中では、化学物質情報の伝達について書いています。確かに、子どもということは明確に書いていませんが、一般消費者の皆さんにもわかるように、つまり、特定の人がわかるだけではなく、皆さんがわかりやすいルールに従って情報伝達をする必要があることは、当然、認識しています。それが、当面はGHSに則った情報伝達の普及ではないだろうかと考えています。それでは不十分で、子どもに対してなお配慮が必要であるということであれば、それはまたその議論をお願いしたいと思います。GHSに基づく情報伝達がそのような観点で入っています。
 そういった人材の養成については、福島委員がおっしゃったのは、人材というよりは広く国民全員ということだろうと思いますので、そこまでは私どもも直ちに「はい、わかりました。こうします」とは明言しかねますが、GHS制度等についての教育、普及などについては取り組んでいく必要があるとして、そのようなことも国の支援策として書き込んでいます。
○安井座長 前回これの原案が出ていますので、新たなコンセプトはなるべくご発言いただかないほうがいいと思います。そうすると、また1から議論しなければいけないことになりますので。全く新たなご提案はできるだけ避けていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○原田委員 全体取りまとめをありがとうございます。中長期的なところで、まず、3頁に書かれている「情報の一元化」はベースになることなので、これを進めることには賛同します。それを踏まえて、細かいことを2、3点伺います。1点目です。骨子の2頁に、「主体ごとに期待される役割 (3)一般消費者」とあります。この中の下から2行目に、「人の健康や環境に対するリスクの低い商品の選択」という言葉があります。事業者の立場ではリスクの高いものは商品にできません。その上で私どもが事業者として皆様にお願いしたい、消費者の方にやっていただきたいことは、意図した使い方がパッケージで必ず書かれていますので、それを守っていただければ安全に使えるという事実をわかっていただきたいということです。「リスクの低い商品」というのは概念的にはわかりますが、実際にはこれはないだろうと思います。どのように選択するのかについても、心情は理解しますが、事業者としては、「みなリスクは低い。そうじゃないと出ません」という言い方しかできませんので、ここは削除していただくことが事業者のリスク管理の現状を踏まえた表現になると考えています。
 2つ目です。同じく消費者寄りのところで、4頁の「直ちに対応すべき事項」の(3)です。前回発言しましたように、まず消費者にとって何が必要かをメインに書いていますが、「GHSの導入を中心に」として、主体がGHSにシフトしています。前回の議論の中でもあったように、情報の受け手が行動できる情報がいちばん重要であろう、その中でGHSはその候補の1つとしてあると、私はそのように認識しました。この「GHSの導入を中心に」という表現ではなく、その下の、「具体的な対応としては以下のような手順」とあるアのところがいちばん重要だと思います。そこを読みますと、次のイにも「GHS対応を中心に」とありますので、こちらも再検討をお願いします。なぜこのようなことをもう1回言うのかというと、GHSが始まった2000年ぐらいに、これは産業界から出された意見でもありますが、やはり消費者という受け手を考えると、情報が多過ぎると消費者の注意が逸らされてしまったり、関連のない警告のために消費者が読んで行動するための警告力が弱まってしまうといった、ラベルに対しての検討がされています。もう1つ強調したいのは、化学物質のライフサイクルの各段階で示されるハザード情報は、ターゲットとする読者、オーディエンスによってまず理解されるべきということです。これは、消費者も含めたオーディエンスのニーズに関連したものがないことに立脚した表現が望ましいと思うからです。GHSについては以上です。
 あと、もう1点、別の項目について申し上げます。同じく4頁の(2)「新規化学物質に関する届出制度の合理化」についてです。新しい化学物質を生み出して豊かな生活を求めようという、事業者にとってはこの提案は非常にありがたいと思います。これは、届出とだけ書いてありますが、届出の前の試験のガイドラインについても化審法と安衛法は少しずつ違っているので、そういった点について統合を進める意味も含めていると理解したいと思っています。また、データを集めるということでは、グローバルで使われているようなOECDガイドラインなどを積極的に取り入れていただくことで、データもより集まりやすくなるということを申し上げたいと思います。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 最後のご質問からお答えします。5.の(2)は、届出制度の合理化については、テストガイドラインでの両方の擦り合わせは当然やっていると認識していますが、万が一、そのずれがあるようでしたら、それはきちんとします。ただ、試験対象の調査の範囲、例えば100キロ以上や1トン以上など、こういったことの統一までは期待されていなければよろしいのです。これはそれぞれの法目的がありますので、なかなか難しいと申し上げようと思っていたのですが、ご理解いただいているようですので結構です。
 5.の(3)の「一般消費者向け」云々のところでのGHS導入について、また、3.の(3)の「リスクの低い商品」の点もありました。これらは、まさに委員の先生方の議論に従いたいと思いますが、参考までに申し上げます。5.の(3)に関して私どもの認識は、GHSは基本的にすべての化学物質の伝達に関して共通ルールとして定められたものだと認識していました。一般消費者は別だということであればそれはもちろんそれでいいのですが、GHS、国連勧告の概念はそこまで含めたものではないかと理解していましたということを申し上げておきたいと思います。
○原田委員 ご説明ありがとうございました。GHSに関しては、確かにスコープに消費者も入っています。しかし、GHS制定について見てみますと、やはり中心は化学物質に対していちばん注意が必要な労働現場で、そこが法律の基になっていると私は認識しています。事実、消費者製品に関するパートは記載が非常に薄くて、世界的にも消費者に対してどのような情報を提供するのか、まだこれから議論してもいい案件ではないかと思いますので、そういう提案をしました。
○林委員 まず最初に、ここまでまとめていただいて、雲1つない晴天とまではまだいっていないと思いますが、だいぶ整理できたのではないかと思います。
 1点目は、いま原田委員が指摘した点で、2頁の3.「主体ごとに期待される役割」の(3)の、「一般消費者は」云々のところです。「人の健康や環境に対するリスクの低い商品の選択」という文言はやはり削ったほうがいいのではないかと思います。これは「リスク」と書いていますので、このものを一所懸命選択してそのばく露が増えれば、当然、リスクは上がる危険性もあるので、そのバランスを考えたとしても、やはりこの表現は少し矛盾があるのではないかと思います。ですから、先ほど原田委員もおっしゃったように、「適切な情報入手と正しい理解に努め、適正な使用につなげる」で切ってしまうのではいかがかと提案します。
 もう1点です。資料4でも用語集として、「リスク」「リスク評価」「リスク管理」「リスクコミュニケーション」という言葉がそれなりに定義されています。3頁の2行目で、「速やかに詳細なリスク評価の実施や規制措置等の対応をとる」という文章があります。せっかくここで「リスク管理」という言葉が定義されているので、詳細なリスク評価の実施、またそれに基づくリスク管理を行う、というような表現の統一を取っていただくと理解しやすいのではないかと思います。
 最後の点です。4.の「中長期的な検討課題」は非常に大切なところだと思います。最初の行に、「安全で活力のある社会を実現するためには」という目的が書かれていますが、(1)、(2)は、あくまでも危険有害性情報の収集と伝達・提供にとどまっています。ここで、大事なのは評価・解釈も含めた上でより安全な化学物質の使用の実現に向けて努力することだということを、もう一言欲しかったと感じました。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 まず、3.の(3)です。原田委員、林委員からのご指摘があり、委員の先生方がそれでよろしいということであれば。
(異議の声)
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 ご議論を踏まえて従います。
 次に、3の(4)です。規制措置等の対応のところは、リスク管理を行うといった表現にしたほうがよいということでしょうか。規制措置もリスク管理の1つですが、表現を工夫したいと思います。
 また、4.で、おっしゃるように、「安全で活力のある社会」とその次とで確かに論理的にギャップがあるのかもしれません。これまでのご議論で、情報の収集と伝達が柱だということだったのでこうしたのですが、論理が飛んでいるように見えるというご指摘だと思いますので、実現するためには化学物質の適正な管理を進める必要があり、そのためには、というようなニュアンスを入れればよいでしょうか。そのような表現を工夫したいと思います。
○安井座長 よろしいですか。
○服部委員 大体、原田委員と林委員がおっしゃったことに関連していて、もうほとんどありません。ただ1頁目の、「今後目指すべき目標」のところで多少文言を追加していただきたいと思います。(1)でWSSDの目標を掲げて、(2)で「このため」としていることから、(1)を達成するための具体的な施策が書いてあるのだと思います。気になるのは、「リスクに関する情報等が共有される仕組みの構築」という部分です。共有されただけで悪影響を最小化できるのかということが前から気になっていました。ここは、「共有され、かつ、化学物質によるリスクの適正管理につながるような仕組みの構築」という形でつなげたほうが、(1)の達成に向けて、(2)で具体的な施策になりますので、より適切な表現になるのではないかと思います。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 委員の先生方のご意見がそのほうが適正であるということであれば、そのように改めます。大きな問題はないと思いますが、いかがでしょうか。
○安井座長 もしご意見があれば、またいただきたいと思います。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 では、そのように修正します。
○服部委員 それから、先ほどの原田委員などから話があった、消費者のリスクの低い商品についてです。ここは結構、議論になると思うので情報提供したいと思います。7、8年前にヨーロッパのスーパーでストア・チェッキングのようなことをしました。ヨーロッパの場合、CLPが施行される前は「危険な調剤指令」ということで有害性の高い家庭品ではマークが付きます。ほとんどの消費者製品には有害性のマークは付いていないのですが、パイプクリーナーなどはアルカリ性が高く腐蝕性があるため、試験管からポタポタ垂れる腐蝕性のマークが付いています。ただ、実際の売上げやシェアを見ますと、こうした腐食性のマークが付いている商品のほうが遥かにシェアは高くて売れています。ということは、結局何を言いたいかと言いますと、リスクでも、マネジメントできるリスクか、あるいは、許容できるリスクかということです。例えば、手袋をしたりメガネを着けるなどしてリスクをマネジメントできるのであれば、消費者はむしろ商品の機能を選択するのではないかと思っています。我々も企業ですから、当然、リスクが少ない方向で商品化を検討するのですが、リスクが許容できるレベル、範囲においては、できるだけ機能、価値を付けて商品を開発し差別化しているのです。おそらく単純にリスクの少ない方向にいくと日本の競争力が失われる方向になってしまうのではないかと危惧しています。ここはむしろ、「リスクの低い」というよりも、もし削除しないのであれば、「リスクを考慮した」、などの形がいいのではないかと思います。
○安井座長 このご意見はまた後で皆さんからたぶん出されると思いますので、そのときにまた議論させていただきたいと思います。
○田村委員 何点かお願いしたいと思います。まず、1頁の「現状と課題」の最後の行で、「各省庁の連携による具体的な対応」というのは、まさにこれまで何人かの方がおっしゃいましたが、一元的・体系的に進めていただく必要があると思います。「具体的」な対応だけでは足りないという気がします。
 さらに関連して、3頁の4.の書き出しのところです。「安全で活力ある社会を実現するためには」とありますが、リスク管理の問題ですから、「活力のある社会」を書くのは非常に難しいのではないかと思います。このような一元的な管理がスピーディに行われれば経済活動にたぶん良い影響を及ぼすだろうと思うので、もしできれば、この前書きにそのような視点も書き入れていただきたいと思います。
 2.の(1)の5行目、WSSDの下に、「一般消費者、事業者、民間団体、国等が自らの役割を自覚し」とあります。「一般消費者の自らの役割」というのは、よくわかりません。一般消費者は抜いていただいて、(1)の最後に、そのようなものを理解した上で、一般利用者の製品の利用が大事なのだという視点がよいのではないか。目標のところで、一般消費者が役割を自覚するというのは非常に難しいのではないかと思います。
 (3)の1行目です。「危険有害性情報の収集の一層の効率化」だけではなく、私どもが求めているのは、集中化と効率化です。いわゆる縦割り行政の良さと縦割り行政の悪さの両方があるのですから、やはり、集中化と効率化という視点が要るのではないかと思います。
 2頁の3.の表題については、先ほどおっしゃったように、主体ごとに担うべき役割という趣旨ではないのかと思います。「期待される役割」では弱いという気がします。担うべき役割という表題のほうが適当ではないかと思います。
 (1)「事業者」のアの3行目の後半で、「適正な管理を行う責務を負っている」ということですが、先ほどの胆管がんの問題を含めて、情報としてはいっているはずですが現場が事実上、動いていないことがあります。ここでは労働者への教育という視点も書き入れていただきたい。適正な管理とともに事業者は労働者に対する教育という責務を負っているのだということが必要なのではないかと思います。
 (2)「労働者」の関係では、いま言った、担うべき役割ということになれば、「期待される」という言葉ではなく、「取り扱うこと」で切っていただいてよいのではないかと思います。
 (3)「一般消費者」は、リスクの低い商品については同じ考えです。1行目で「生活の中での化学物質の使用の状況とその役割について」ということが一般消費者にかかっていますが、これは非常に理解しづらい。あっさりと、「生活の場での化学物質についての関心を持ち」でいいのではないか。使用の状況や役割について一般の消費者が知る必要があるのかどうかは疑問だと思います。
 3頁の5.の書き出しから3行目、「直ちに検討に着手し、可能なものから順次対応すべきである」とあります。何となく後ろ向きな感じがします。ここは、重複してはいないので、可能なものからではなく、着手して順次対応するとしてよいのではないかと思います。
 (1)の2段落目の4行目で、「今後は関係省庁の連携を強化し」とあるのは、やはり、連携だけでなく、一元的な、集中的な管理、システム的な管理という表記が必要ではないかと思います。
 最後に、5.のオで、これも言葉の問題です。「必要に応じ事業者に対して保有する」とありますが、誰が必要とするのかよくわかりません。これは、事業主に対して、保有する危険有害性情報は常に求めていいのではないか。その上で、さらに必要なものは求めるとして、2行目の「必要な場合」というのはわかりますが、書き出し部分の「必要に応じ」は不必要な表現だと思います。
○安井座長 全部フォローできていますか。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 できるところからお答えします。まず、1.「現状と課題」の「具体的な対応」の前に、一元的・体系的なということを明言すべきであるという点は事務局で検討します。問題はないと思いますが、念のため確認します。
 2番目の(1)、「一般消費者、事業者、民間団体、国」と並べて、「自らの役割」と書いたことに違和感があるというご指摘でしたが、できればここは承認いただきたいと思います。というのは、一般消費者だけを別の書き方をするとなると、この文章は非常に難しくなります。おっしゃるように、一般消費者にどこまで期待するかということはあるにしても、例えば、最低限、適正な使用の行動につなげることだけであっても、あるいは化学物質に関心を持つことだけであったとしても、それも1つの消費者の役割と認識できると思います。ここの表現はできればこの並びの中に入れて、元の案で認めていただきたいと思います。
 (3)の「集中と効率化」の点については問題ないと思いますが、検討します。
 3.の表題は、担うべき役割としたほうがいいのではないかというご指摘なので、委員の先生方から特段ご異論がなければそのように改めます。
 (1)「事業者」のところに労働者教育のようなニュアンスを入れるべきではないかという点についても工夫したいと思います。
 (3)「一般消費者」については、委員の先生方にいろいろご意見があるようですので、後ほど併せてご議論いただきたいと思います。
 5.の柱書きについて、「可能なものから」というのがどうかということでした。全体を吟味しながらご指摘を踏まえて書けるものは書き直したいと思います。
 5.(1)のオについては、私どもの所掌を書いたつもりです。事業者が保有する危険有害性情報やリスク評価の提出を要請するような仕組みは、もちろんいくつかは限定的にできるのですが、少なくとも労働安全衛生法の中では広く一般的にやるような仕組みになっていません。この部分は、これから私どもの行政の中で責任を持ってこのような仕組みを作っていこうと考えています。その際に、当然ですが、すべてやってくださいということはできません。法令上に書くにしましても、必要性、緊急性などを勘案してお願いすべきことになります。そのようなことを、役人的な言葉ですが、まとめて書くと「必要に応じ」という表現になろうかと思います。これはそのようにご理解いただきたいと思います。
○田村委員 あと2点申し上げました。「安全で活力ある」というのは、これは規制ですからどうしてもブレーキが掛かるような感じに思うのですが、これをすることがすべてブレーキとはならないというようなことも視点としては要るのではないかということを申し上げました。
 もう1つは、次の頁の5.のオで、「必要に応じ」と出てくるのですが、前の「必要」はどうも逃げの言葉のように見えるのが嫌だということです。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 最後の「活力」云々のほうは承知しましたが、「必要に応じ」とおっしゃったのは5.(1)のオですね。それはただいま説明したつもりですが、「必要に応じ」でないと、私どもはこのように何かをお願いするときに無制限に義務化などはできませんので、そのようなところは私どもの基準で判断させていただきたいという思いで、「必要に応じ」と書いてあるのです。ご納得いただけないようであれば表現は工夫してみます。
○安井座長 いかがでしょうか。異義が入っているような感じに見えます。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 そうですか。わかりました。
○安井座長 それほど国に権限がないという話なのですけれども。それでは、辰巳委員、お願いします。
○辰巳委員 2頁の、先ほどから何度も話題になっている(3)の一般消費者のところですが、ここをサッと読んだときに、消費者は大変だなと、こんな難しいことができるのかなと思ったのです。おそらくできないだろうから、ではどうすればいいのかと思ったのですが、何度もいままでの中で出てきている教育というものがないといけないと。消費者は、たとえ商品に非常にわかりやすい説明が付いていても、見ない人もたくさんいるので、それを見ましょうということをどこかで教えなければいけない。あるいは、もっと自分で積極的に見ていきましょうということを教えていかなければいけない。前回、アメリカの制度の中で、学校で取り扱うという話もあって、私は非常にすばらしいと思って意見を申し上げて、日本も是非そうなるべきだと言ったつもりだったのですが、「学校教育」とかそういう単語をキーワードとしてどこかに加えていただきたいと思います。
 そうは言っても、4頁の情報提供のあり方の検討の中で具体的に今後やっていくというお話で、調査の話なども入っております。それはどの範囲なのかよくわからないのですが、それをした上で情報提供していきましょうということならいいのですが。先ほどから話題になっているリスクの低い商品、そんなものはメーカーは売っていないとおっしゃるのですが、いまここにおいでになっている立派なメーカーはたぶん作っていないと思います。自分たちでちゃんと評価もなさっているのでしょうから。しかし、世の中には本当にあらゆるものがあって、いままでもいろいろな事故が重ねて起こっておりますし、アレルギー性の物質の話などもありますし、そういう意味でこれは是非残していただきたいと思います。
 かつ、適正な使用方法、「マネジメント」という言葉がありましたが、それはもちろん重要なことなのですが、それは結局教育につながるのかもしれませんが、何ゆえに適正に使わなければいけないのかというところが抜けてしまうのです。だから、例えば殺虫剤でシューッと吹きなさいと言っても、虫が死ななければシューッと吹いてしまうと。シューッと吹いたら非常にリスクが高くなるということがわからなくて、先ほどもそういう話がありましたが、適切に使うことはわかってはいるのだけれども、何で適切に使わないと危ないのかということが非常に問題で、そこがちゃんと伝わるような情報提供が重要だと常々思っております。言いたかったのはそれだけです。重なっていますが、少し違う視点というか、消費者の目線からはそうではないということを言いたかったのです。よろしくお願いします。
○環境省環境保健部環境安全課長 化学物質のほうは異動したばかりで、特段コメントというものではないのですが、いま話題になっている一般消費者のリスクの書きぶりの話です。環境保全の視点から考えれば、前職はCO2の削減を担当して、その前はリサイクルの担当をした立場からすると、少しでも環境へのリスクが少ないものを消費者が選択していくのはしごく当然な話で、書いて何がおかしいのだろうかということが、環境側の視点からするとあります。健康被害が明らかに出るから、それを超えるものを作っていくというのは当然の話で、そういうことではなくて、少しでもリスクが少ないものが選ばれるほうがいいではないかと。
 ただ、それだけではなくて、もちろん商品の性能や価格等さまざまな要素もありますが、その中で、リスクについて環境への負荷も考えて、そういった他の条件が同じであれば環境への負荷が少ないほうを選んでいただこうということで、なるべくリサイクル商品を買いましょうとか、グリーン購入法とか、そういった制度を推進してきた立場からすると、削除することについては違和感があります。書きぶりの工夫とか誤解がないようにということはあるのかもしれませんが、環境の立場からすると、ここの記述については、これをベースにして何か工夫をすればいいのかなと考えたのでコメントさせていただきました。
○有田委員 関係のあることで、リスクの低い商品の選択のところですが、例えばライオン、花王などの事業者がそれぞれイメージするところは理解できます。が、例えば私たちはリスクの低い商品を選択すると言ったときに、メーカー名もわからない所がすべて危ない製品とは思っていませんが、有名でないメーカーを選択することで危ないものが入っているかもしれないと思います。実際、パーソナルケア用品を調査研究した時に問題のある製品があったわけです。消費者が賢くなるためにも、この文章のリスクの低い商品の選択ということは重要だと思っています。いままで化学工業会との対話の中でも、ゼロリスクはないと、すべてにリスクはあるのだけれども、賢い消費者になるためにどういう選択をするか。それを化学工業会も言ってきたと思います。ですから、これを外すのは非常に違和感があります。これは残してほしいと思います。教育というずっと先の問題はまた別の所で、子どもの教育も含めて議論すればいいと思うのです。リスクの低い商品の選択を外すと言われ、そして逆にリスクが低いものを出しているし、大丈夫なものしか出していないのに、書かれると困ると言われると、その後ろにあるものは何なのだろうとメーカーを疑ってしまいます。それほど問題がない文章ではないかと私は思います。だから、残してほしいと思います。
 少し付け加えると、例えばドイツがEUで1人勝ちをしている中で、幼稚園からリスクが低い物、安全な商品を買うという教育を行っているということなのです。幼児教育の専門家や、保育し、幼稚園などにインタビューしましたが、そんなことは全く教育されていなくて、幼児教育玩具の冊子があって、選んでいるということでした。当然、有名なメーカーが出しているから安全だと思って選ぶということです。リスクが低いというのはどうやって比較するのかという難しさはわかるのですが、これは残していただきたいと思います。
○安井座長 いまパッと見回すと、新規に7本ぐらい立っているのですが、これに関連の方はお手を挙げていただけますか。
 それでは、この話題に限ってお願いします。
○山本委員 事前の事務局へのメールでも私も意見を述べましたが、「リスク」という言葉は、5.「直ちに対応すべき事項」以降でも7回出ているのです。いまのリスクの少ない商品ということもわかるのですが、わからない面もある。非常に多義的に解釈できてしまうのです。タバコで言うとニコチンやタールのより少ないものを選ぶとか、アルコールで言うと度数の低いものを選ぶとリスクが少ないとか、そういう問題です。また、先ほど環境省の方が言われたCO2関連で、排出量が少ないものもリスクかもわからない。わかっているようでわからないので、これはいろいろな解釈がこの文言から出てくるだろうということで、一義的ではないという感じがしました。
 7回「リスク」という言葉が出てきたということは、このリスクという概念を吟味なり再整理したほうがいいと思います。
 また、最後のほうに「リスク評価人材育成支援策の検討」とあるのですが、これもこの文章で見ると非常に川上に寄っている感じがするのです。リスクはいろいろなところで起きてくるので、もう少し人材評価についてはいろいろなところでリスク評価しなければいけないと。街頭でもリスクは出てくるだろうし、研究機関でも出てくる。家庭でも出てくる。いろいろなところで出てくるので、そういうリスク評価を、人材面でいく場合、我々はどうしても毒性とか安全性とか、そういう試験研究機関を中心に見てしまうのですが、日常の中でのリスク評価も工場やオフィス、教室等いろいろな所で必要になってきます。そういう多面的なリスク評価人材、リスク適応人材ということまで入れていただければありがたいと思います。基本的にこの全体の骨組みに関しては、私は支持します。
○安井座長 少し検討しますが、「リスク」に代わる言葉はなかなかないのです。
○亀屋委員 私も、この表現は誤解を生む可能性があると思っております。要は、すべてのあらゆる場面でリスクのないような製品はないのかなと。取扱いの仕方によってはリスクが出るかもしれないし、きちんと使えばリスクを管理しながら使うこともできるのかなと。リスクのもともとの語源もそうです。リスクをうまく操作しながら、便益に向かってきちんと行動していくということだと思います。
 この検討会はGHSから話が来ているので、区分1とか区分2とか、ハザードのできるだけ低いものという発想になると思うのですが、これとは全く別にラベリング制度があるわけです。ラベリング制度でより環境に配慮した製品を使うのは誰でも当然だという発想で、その裏返しがこの表現になっているのだと思うのです。ただ、先ほど言ったような形でリスクの低い商品と言うと、果たしてそれは何のことを言っているのかというところで誤解があるので、何か別の代わる言葉がないのかということからすると、ありきたりですが、「より安全性が高い」とか「安全・安心な」とか、そのような言葉でラベリング制度がイメージされるような表現であれば、問題も少なくなるのではないかと思います。
○織委員 私も違和感があったのです。人の健康と環境リスクが同列に論じられているので、そこでゴチャゴチャとしているのではないかと思うのです。人の健康に関しては、消費者が選択して機能性を重視して自分でこういう管理をするからいいのだということで、使い方等の情報を出すことによってリスクの低い商品を自分で選択できるのですが、環境リスクに関してはなかなか自分の行動がそれにつながらない、あるいは製品の機能とのバーターが働かないところがあるので、ここについては書きぶりを気をつけていただければいいのではないかと思いました。 ○有田委員 織委員と亀屋委員に質問ですが、リスクの低い商品の選択というところを全く消してしまったほうがいいということですか。
○亀屋委員 私は、リスクのところを「安全性の高い」とか「安全・安心」といった言葉で置き換えることができるのではないかと申し上げました。
○織委員 私自身は、「リスク」はそのまま使ってもかまわないのですが、例えば消費者の選択できる情報を提供しながら、環境リスクのところはそのまま残してもかまわないような気がしたのです。
○有田委員 安全・安心はもちろん大事なことだと思います。しかし、ここに関して安全・安心を直接付けることには違和感があります。
○林委員 「リスク」という言葉の定義が資料4には書いてあるのですが、「化学物質に固有の有害性の程度と人や生物へのばく露のレベルを考慮した」と書いてあります。だから、これはこれでもいいと思うのですが、危険有害性(ハザード)ということと「リスク」という言葉が、まだ我々の頭の中でこんがらがっているのだろうと思えてなりません。リスクというのは、ハザードとどれだけばく露しているかの、単純に言えば掛け算で表わされるようなものなので、先ほども言ったように「リスクの低い商品」という言葉自身がおかしくて、もしそういうものがあったとしても、それをどんどん取ればexposureのレベルが上がってしまうので、リスクレベルは当然変わってくるのです。だから、ここの表現方法は少なくとも変えたほうがいいと思います。
○原田委員 私もいろいろな方の意見を聞いて、おっしゃることは非常によくわかります。いちばん近い意見としては、山本委員がおっしゃったように、ラベリングや消費者の選択に資するような情報も一緒に付けるということと、辰巳委員がおっしゃったように、何気なく使うのではなくて、よくわかって使うといったところもうまく盛り込んだ表現をすることがいちばん重要なのかなと思います。その中でリスクの低い商品の採用というところが浮かび上がってくるような表現が、いちばん集約できるような表現かなと思っています。
 また、上田課長がおっしゃった環境面に関しては、PECやPNECのような環境に漏出したときの、化学物質のリスクですから、そちらに注目している委員会ではないかと思うのです。そうすると、CO2排出やリサイクル問題は非常に重要なのですが、それはほかのラベリングシステムなどにもありますので、そこと切り分けるのか、入れるのであれば、環境への影響のところは少し広いといったことを前置きで置くという工夫もしたほうがいいと思います。
○安井座長 環境というか、例えば生態系に直す。
○原田委員 生態系全体と考えると、指標としては化学物質の直接のハザードだけではなくて、CO2の話、また廃棄物問題などもすべて入ってくるので、いまの表現だけだとしにくいかなという感想があります。
○城内座長 一般消費者のところについては、前回もこの文章はおかしいから直したほうがいいという発言をして、コメントとしても出したのですが、生来無視される性格なので、何度も無視されています。ここはおかしいと言ったのは、消費者がリスクを考えること自体が難しいからです。どうすればいいかというと、化学物質が人の健康や環境に与える危険有害性情報をまず消費者に提供すべきだと書いて、消費者がその情報を基にどうやってリスクを少なく使うかとか、自分に対してリスクが少なくなるように行動するかと書くべきだと言いました。たぶん、いま皆さんがおっしゃったようなことをまとめるとそういうことになると思っています。
 もともとに帰れば、林委員もおっしゃったように、ハザードコミュニケーションとリスクコミュニケーションが日本ではごちゃ混ぜになっていて、それをきちんとここで整理すべきと思います。資料4にも、危険有害性(ハザード)とは書いていますが、ハザードコミュニケーションは意味が書いていないのです。しかし、何回も言っていますが、米国ではすでにHazard Communication Standardがあって、その先にリスクコミュニケーションがあるので、まずそこを明確にすれば、リスクの使い方がおかしいこの全体の文章も少し明確になってくると思います。まず、いちばん重要な言葉の使い方、例えば一般消費者のところで、いま言ったように消費者、労働者に対しては危険有害性情報をちゃんと伝える。その情報が活きるように、つまりリスクが少なく行動できるように教育をするとか、そういう結びつきでいけば、かなりの部分は解決するのではないかと思っています。
 3の必要性については、すでに辰巳委員、有田委員からもお話があったので、私もこれは残すべきだと思っています。
 あと1点、前回も言いましたが、外国から入ってくるものに対しても網をかける必要があるという意味では、どうしてもこれは必要だと思っています。国内の製造メーカーがそんなに危険なものは作っていないと言っても、いまは外国から何でも入ってきます。日本ではラベルに必要な情報は書かなくても輸出できるという状況はなくしたほうがいいと思っています。
○安井座長 かなり日本語能力が必要な宿題ができてしまった気がしますが、ほかにご発言はありますか。
○宮川委員 いまのところについてですが、私は当初こういう役所で作る文書で、一般消費者にああしろこうしろと言うのは不適切ではないかと思っていて、ないほうがいいと思っていたのですが、本日の議論を聞いていると、危険有害性そのものとリスクとをきちんと分けて理解していただくように教育等をしていただき。その上で適切な行動をしていただくことが重要だという意味で、文言を変えて残していただくのがよろしいかと思います。
 もう1つ、全体として「リスク」に随分重点を置いて記載をされていたと思いますが、前のときの議論と比べると、危険有害性すなわちハザードと、リスクが、パラレルに並んで方々に出てきているような気がします。今日の議論で、リスクについて議論がありましたが、いま城内座長がおっしゃったようにハザードコミュニケーションが非常に重要なので、基本的には、そこはGHSを中心にするというところは是非堅持していただきたいと思います。
 ただ、原田委員がご指摘の5.(3)のイの部分についてのみですが、確かにGHSの中でも一般消費者に対しては、ハザードそのものの表示の場合には混乱が起こる可能性があるため、CMR等についてはリスク評価をして、そのようなリスクがない場合にはハザードがあっても表示から落としてもいいという特別の規定がありますので、その辺りを補う意味で、一般消費者向けについては多少表示に工夫が必要です。そこを検討する意味があると言っているセクションとして、(3)のイについてはGHS対応中心にというのは取ってもいいかと思いますが、他の部分ではGHSを横軸にと、しばらく前の会議で城内委員がおっしゃったところは非常に重要ですので、全体としてはGHSを横軸としたハザードコミュニケーションの上に全体を構築するという構想は変えないでいただきたいと思います。その意味では、全体としては非常によくできているように思います。
○三柴委員 いまのお話にも多少かかわるかもしれませんが、新しい制度運用や制度を中長期的に作るとした場合、そういったものの社会的な普及のために、あえて化学物質専門でない視点で意見とお尋ねをします。その際に、国際動向を自ら把握して業界団体をリードするような大企業の視点ではなくて、十分な対策ができていない中小の視点も持ってお話させて頂きたいと思います。
 第1に現状の確認ですが、例えば中小の事業者や担当者が事業所で使用する化学物質についてインターネット等で調べたときに、信頼性の高い情報を一元的に、専門知識が不十分でもすぐに調べられる条件にあるかということを確認したいと思います。例えば、我々の分野で元請と下請関係とか、そういう法的な責任関係は非常に複雑で、規制もいろいろあるわけですが、そういう問題について研究会のオーソライズされた文書が出ていて、表もあって、調べやすくなったりしています。それと同様なものが化学物質管理の領域で提供されているか、逆にこの情報はこの省庁のページみたいな複雑な状況になっていないか、ここを先ず確認させて頂きたいと思います。
 2番目に、取りまとめ案を拝見して、事業者による届け出と情報提供のモチベーションの重要性に注目したため、その点について申し述べたいと思います。この点は、新しい枠組みや運用を考える上で焦点の1つになると考えられるためです。案の中にも、すでに情報収集の「合理化」とか「効率化」という言葉が出てきておりますし、化審法でも第55条関係などで法令上趣旨を共有するところについてはデータの共有や共用がされるという前提がありますが、仮に法的な最終責任が事業者であっても、その実施のための支援介入者は必要なのではないかと思うのです。
 私は、弁護士時代に労働側で取り扱った事件で、大手メーカーから中小メーカーに転職した技術者がいたのですが、中小に移ったら、生産工程のありようにおいて非常に独自性が強く、マニュアルなどもメモ書きで、その職場に精通している人でないと読めないような格好になっていて、まるで馴染めなかったということが一員となり、最終的に解雇されたという例を扱ったことがあります。要するに、ハザードコミュニケーションにしろ、リスクコミュニケーションにしろ、実現をさせるためには、そのためのコミュニケーターが要るのではないかと思うのです。綿密な個別対応は、特にいろいろな意味で力の弱いところに必要だと思いますので、組織の内部か外部かはどちらでもいいと思いますが、いずれにしてもその収集方法におけるPDCAサイクルの構築が必要なのではないか。つまり、申請届出主義を打破して、公的にオーソライズされた人員が積極的に収集に回る、あるいは申出や届出を促す中で、障壁があればそれを破っていくような枠組みが必要なのではないかと考えました。既に案に示された要員の育成や関係者の理解の促進という記載につながってくる話かと思いますが、その他、例えば、川上の事業者と川下の事業者の関係で情報提供にかかわるモデル契約書を公表して、それを採用すると何かメリットがあるような仕組みをつくるようなことも考えられるのではないかと思いました。
 最後に、取りまとめ案の3.の(4)のウですが、2頁の最後の行で「リスク評価を推進する」ということが、国の役割として書かれています。この「推進」の意味が何か、担当ないし自ら実施することが含まれるのかを確認させて頂きたいと思います。化学物質管理について、半田課長のご説明では、現状、情報の収集までを視野に入れて新しい制度運用なり制度形成を考えるというお話でした。医療にたとえると総合診療科のような役割かと思いますが、その際の国の役割のありようを考える上で、この表現は1つ鍵になるような気がしたので、お尋ねとして申し上げました。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 まず、情報提供をどのようにやっているかというお話があったかと思いますが、これは私どもは私どもで職場の安全サイトで掲示しておりましたし、経産省はNITEの掲示板に出すという仕組みだったのですが、いま改めようとしているところです。例えば、化学物質情報は基本的にNITEで一元的に見ていただけるようにしようということで、先般、私どもの持っている6万物質のデータをNITEにご提供する手続きを取りました。ただ、まだ一元的な1つの掲示板ができているわけではなくて、それをどうやって掲示するかはこれから議論していきますが、そういう取組は進めているということをご報告します。
 途中いろいろとご指摘を承って、最後の3.(4)のウの「リスク評価を推進する」については、危険有害性情報を一元的に収集したあと、それを踏まえて環境問題や労働問題や消費者問題である程度ふるい分けをするにしても、いずれにしてもそこから先のリスク評価、あるいはリスク管理は、各行政が各法令に基づき責任を持って進めるべきことだと考えており、そういう趣旨のことを書いたつもりです。
○織委員 今回の報告の取りまとめは、全体的な方向としては私も皆さんと同じように賛成なのですが、少し強調していただきたいと思うところがあります。
 私どもは長いこと時間をかけて化審法改正の議論を行ってきて、化審法改正においてリスク評価は基本的に行政をやりながら、そこと事業者と連携していくという大きな枠組みを作ってきました。その化審法改正の枠組みがうまく機能していくことをこれから考えていかなければいけないというのも、非常に重要な視点だと思うのです。その上で、化審法の改正がうまく機能した上でもまだ足りない一元化というものを、特に情報に焦点を当ててここで考えていくのだというところを、もう少し強調して書いていただきたいと思います。
 さらに、これは書くか書かないかはともかくとして、情報の一元化を進めていくときに、いまの化審法改正の枠組みで行政がリスク評価を行っていく中で、どこまでコストをかけて、どこまで細かく見ていくのかという視点も必要になってくるのではないかと思っております。期限がある中で相当数の化学物質のリスク評価を行っていくと、いま私たちの社会は非常に細かく見ていくのですが、そこまでやるというより、むしろそこから先、先ほどから何度も話が出てきている賢い消費者がきちんとした使い方や選択ができるような情報をどうやって出していくのかが、そことリンクして非常に重要になってくるということです。要は化学物質の有害性×ばく露量の話なので、使い方や、あるいは有害性の高いものを購入しないような、消費者が選択できる情報をどのように出していくのかということと絡んでくるという辺りで、コメントなりが1行でも入るといいと思います。
 もう1つは、一元化という重要な、この報告書のメインの部分になると、行政間の隙間が出てきたところの、3頁の特定分野のリスクが懸念されるというところで少し出てきているのですが、特定分野でのリスクが懸念されるときに迅速に対応するというのもそうですが、特定分野でのリスクで隙間の問題が出てきたときに、一元的なバックアップがあればどのようになっていくのかという問題についても、もう少し強調するなりコメントをしていただければというのが要望です。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 化審法は私の所管ではないのですが、事務局とご相談して工夫したいと思います。
○厚生労働省医薬食品局化学物質安全対策室長 化審法については、委員のご指摘のとおり、最近制度を改正してリスク評価を進めているところです。そちらの内容等、今後の役割も重要になってくると思いますので、その表現を加える方向で検討したいと思います。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 2番目のご指摘は、平たく言えば、こういう取組をやっていくのはいいのだけれど、国がどこまでやるのか、事業所がどこまでやるのか、その辺りをもう少し考えてやったほうがいいのではないかというご指摘と理解しましたが、よろしいでしょうか。
○織委員 というか、行政コストをどこまでかけてやっていくのか、今回はかけないとは思いますが、現実にこれから議論していくときに、どこまで細かくリスク評価をNITEなりに要求してやっていくことになるのか。そこは消費者とのリスクコミュニケーションとの兼合いによってかかわってくるということで、そういうバランス感覚が必要になってくるのではないかということです。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 私の言葉で言うとそういったことになりましたが、例えば国が何でも責任を持って集めることになって、かつどこまで国が評価していくかとなると、どこまでも国が責任を持ってやっていくわけですが、国が無限に責任を負えるかというと、そういう問題もあります。責任が負える範囲でないということと、又はできることといったことも考えなければいけないと思うのですが、そこを報告書にある程度書こうとすると極めて難しくなりそうなので、そういったご指摘は、今日はもう1つ議題があって、「その他」で今後の検討をするためにこういう視点で考えてはどうかということをいただいているので、できればその中でいただけるとありがたいと思います。秋以降、こういった議論をするときに参考とさせていただければと思います。
 同じく、一元化はいいのだけれど、特定分野のリスク、隙間の問題ということもありましたが、そこもこの中で書こうとすると難しいと思いますので、そちらでご指摘をいただければと思います。
○鬼武委員 中間報告の取りまとめ案については、事務局の方にいろいろ書いていただいて、私もおおむね中身については賛同しますし、事務局の方のご苦労に感謝申し上げます。
 事前にメールで送って、採用されていないところも随分ありますが、採用されているところもありますので、ほぼ内容についてはいいのですが、1点だけ申し上げます。これは普通の方も読まれるし、なるべく平易な表現がいいと思います。この中で3カ所ぐらい「グローバル化」という言葉が出てくるのですが、もう少しわかりやすく書いたほうがいいと思っています。例えば「化学物質の規制管理と危害・有害性情報提供の制度の国際的な調和に基づく」とか、グローバル化が何を意味しているのかが非常にわかりにくかったので、そのように書くか、もしくは注を付けていただくといいかと思います。その1点だけ要望です。
○鈴木委員 あえて申し上げるまでもないことですが、先ほど織さんが少し言われたので、一元化という考え方は、できるところを一元化して効率化するというのは全く賛成ですが、化学物質を初めとするリスクあるいは有害の問題は、基本的にはよくわからないことが起きたときが大変で、その制度の外側にあるものが発生したときに専門家も技術的行政官も真価が問われるものと思っております。そこを忘れずに、できるところはやる、しかし、できないところの外があることを忘れずにやっていただきたいと思います。
○福島委員 細かいことですが、最後に整理していただきたいのは、「○○等」という言葉がよく出てくるのです。私自身も、いま見ていてわからないところがあるのですが、ここを整理していただけるとありがたいと思います。
○安井座長 なかなか難しいかもしれないですね。
○杉山委員 内容については、全く異議はありませんが、全体的な書き方で、もし工夫ができるのであればということで1点意見を申し上げます。特に今回の報告書の中で中心になるのは、私自身は4.「中長期的な検討課題」をどう早急に実現していくのか、ここが今回の肝ではないかと思っています。これが1頁の「現状と課題」で書かれているとおり、各省庁の連携による一元的・体系的などういう体制を作っていくのか、それが求められています。5.「直ちに対応すべき事項」として、これは現行の体制の中でも検討できるものを羅列していて、中には踏み込んだものもありますが、そこはとてもよくわかります。
 ただ、本当にやらなければいけないのは、4.をどう実現するかという視点で見たときに、書き方として以下のような課題があるという書き方だけだと、少し弱いのではないかというのが率直に感じるところです。それぞれ各省庁間の連携が試される第一歩になるかもしれませんが、今後積極的に取り組む必要があるとか、willが出せるような書き方をしたほうが相応しいのではないかと。それがあってこそ、直ちに対応すべき事項が活きてくるのではないかと考えていますので、文章を変えろとまでは言いませんが、議事録にそのような発言があったことを記載しておいていただいて、次の検討で是非意識していただければと思います。
○安井座長 ありがとうございました。それでは、最後に城内委員からお願いします。
○城内座長 まとめではないのですが、直ちに対応すべき事項で、是非行政として直ちに対応すべき事項として考えていただきたいことが1点あります。
 GHSが安衛法で最初に入りました。ラベルについては、例えば絵表示を付けなければいけないものが104物質に限られましたが、3月、4月の規則改正、化管法の関連の改正もあって、実際にはすべての危険有害物質についてGHSで言う絵表示等が付けられるような状況になったわけです。ところが、そういう状況で、日本であまり普及していない危険有害性情報や絵表示を誰が教えるかということは言われていないわけです。それは行政がやらなくて誰がやるのかと私は思っているのですが、事業者の支援ではなく、行政が規則としてやりなさい、法としてやりなさいと言っているわけですから、是非早急にスタートしてほしいと思っています。それは明確に「直ちに対応すべき事項」として取り上げていただきたいというのが1点です。
 これはどちらかというと情報提供なのですが、(4)の「事業者におけるリスク評価人材育成支援策の検討」はよく言われていることですが、日本の化学物質管理等にかかわる資格は、法で規定しないと普及しないというか、勉強しないという事実がありました。GHSに関しては、米国でAIHA等が資格制度を作って、そういう人たちが作ったMSDSやラベルはいいことにしようという制度がもうすぐ走ります。そういうことも参考にして、日本では人材育成をどうするかということも考えていただければと思っております。
○安井座長 ありがとうございました。それでは、想定より十分に時間がかかったので、このぐらいにしたいと思います。
 以上いただいたことを十分表現できるかどうか、日本語力の問題もあってなかなか難しいかもしれませんが、できたものを皆様に送らせていただき、またご意見をいただきたいと思います。もう少しわかりやすく、行数当たりに番号を付けて、頁数を付けて、見え消しバージョンで対応したいと思いますので、事務局にはよろしくお願いします。
○辰巳委員 いまごろ申し訳ありません。ずっと気になっていたので一言だけ、「一般消費者」という言葉が使われていて、私は非常に聞き心地が悪いのです。
○安井座長 特定消費者がいるみたいですからね。
○辰巳委員 でも、お役所の文書はこういうものなのかと思ってずっと我慢していて、次の参考資料の1を読んだら、ここには「消費者」としか書いていないのです。だから、お役所の言葉が「消費者」という単語でもよいのであれば、「一般消費者」というのは何なのかと思ったのです。ここでたくさん使われているので、一括で変えませんか。
○安井座長 わかりました。それでは、次の議題に移ります。いろいろご意見いただいたことをこういった形で残すと、事務局が変えられないので、我々の意見という格好で「その他」の議題でご紹介します。ご説明をお願いします。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 資料5について簡単にご説明します。これは、秋以降ご議論いただく際に留意すべき事項等についてご意見をいただいたものと理解しております。先ほど織委員のご指摘もありましたが、そういったものもこの中に入れていただければと思います。事前に先生方からいただいていたご意見を資料5にまとめておりますのでご紹介します。
 最初のポツです。簡単に言うと、情報伝達などについては「努力義務」となっているわけですが、海外企業のことも念頭に置くと、義務ということもきちんと考えていくべきではないかと。義務と努力義務の区分を実効性の観点から検討すべきではないかというのが安井先生のご指摘です。
 2番目は、同じく安井先生からのご指摘ですが、輸入される一般消費者製品に含有する化学物質に対する輸入規制やラベルといったことで、隙間のない化学物質管理体制のあり方について検討していくべきではないかというご指摘です。
 3番目も安井先生からのご指摘ですが、一般消費者製品に含有する化学物質のリスク評価について、欧州のREACH、米国のTSCA、カナダのCEPAなどで実施されているけれども、我が国ではまだ網羅的に実施されていない状況にあるということで、評価に必要のない情報が川上から川下だけではなく、川下から川上へ、双方向の情報提供のあり方についても検討すべきであると。その際に、CBI、企業秘密の保護といったことについても配慮しつつ検討すべきではないかというご指摘です。
 城内先生からですが、危険有害性情報の伝達は、情報の収集、リスク評価といったものから独立して、先ほどもおっしゃったことですが、情報伝達のルールをまずきちんと1本立てるべきではないかというご指摘です。
 同じく城内先生から、すべての危険有害性情報についての情報をラベルに記載することを規定する法律を策定すべきではないかということです。ご案内のように、これは安全衛生法、化学物質管理法でそれぞれ告示でやっている、あるいは共通JISを作っておりますが、それをきちんとした法律で義務づけるべきではないかというご指摘かと理解しております。
 福島先生からのご指摘です。危険有害性情報の収集は、アメリカでは医薬品、食品等の許可化学物質はFDAであるが、その他はEPA(環境保護庁)が一括して行っている。日本でも同様な体制が作れないかというご指摘でした。
 石井先生からのご指摘です。危険有害性情報を一元的・効率的に収集していくために、事業者が主体であることを明確にすべきであるということです。また、リスク評価の実施を含む総合管理といった概念をきちんと打ち立てるべきではないかというご指摘かと理解します。
 最後に原田先生、服部先生からのご指摘です。危険有害性情報の収集だけではなく、リスク評価についても一元的・効率的に実施するための体制や制度のあり方について検討していくべきであろう。その際には、リスク評価を進めるために、ばく露情報の収集の現状と課題についても検討を行うべきであるということで、この点は安井先生の3番目のご指摘、必要な情報の双方向の流通ということにも関連するかと考えております。こういうご指摘を事前にいただいております。以上です。
○安井座長 この部分に関しては名前付きで、しかし、本文とは別に、この形で付録として付けるという形を取らせていただこうと思っております。したがって、本文にどうしても入りにくいようなことは、まだ間に合いますので、こういう形で是非ご意見をいただきたいと思います。そういったものをまとめて、表現ぶりは事務局に若干いじってもらって統一を取りたいと思いますが、ご了承いただいた形で残したいということです。先ほどの織先生のお話などは、こういうところに入れるのがいちばんいいのかなという気がしますので、是非よろしくお願いします。締切りは、そんなに急いでいるわけではないですね。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 できればこの取りまとめ報告をプレスに出したいと思っておりますので、8月7日はいかがでしょうか。あるいはもう少し先にして、リリースを延ばすという手もありますが、先生方の感触で1週間では不十分であるかどうか。
○安井座長 普通の1週間と8月の1週間が同じでない可能性があるので、いかがでしょうか。
○庄野委員 この文書の取扱いについて少し聞き取れなかった部分があるのですが、書いてある内容は中間取りまとめには記載せず、これは制度に関するものであって、本旨を別途取りまとめたと書いてありますね。これはプレスリリースは関係ないのですね。どういう取扱いになるのですか。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 私どもは、これは記録を残しておくもので、プレスリリースに載せるつもりではありません。
○厚生労働省医薬食品局化学物質安全対策室長 ご提案が急だったので、中でどのように扱えるかについては検討させていただければと思います。本文と別なものとしても、取扱いとしてどのようにするのが適当かということもありますので。先ほどもプレスリリースするかどうかということもありましたし、特にオーソライズしていないものなので、添付するとしても正式なものとして扱えるかどうかということもあります。その辺はこの場ではすぐ結論は出ないと思いますので、それは事務局間等で検討させていただければと思います。
○庄野委員 それは是非よろしくお願いします。中身的に若干気になるところもありますので。オーソライズされていないものがこのままの形で文書というのは困りますので、よろしくお願いします。
○厚生労働省医薬食品局化学物質安全対策室長 原則報告書ではありませんが、位置づけとして一緒に出してしまうとそういう誤解を受けますので、取扱いは慎重にすべきかと思います。
○安井座長 私としては、1つの記録として残しておきたいと思います。しかも、これをこのままこの形で決めるというわけでもありませんから、次の宿題を残しておきたいということです。
 締切日はよろしいですか。お忙しいでしょうけれども、7日でお願いします。奮ってお書きいただけるとありがたいと思います。さまざまな意見があってかまわないということです。城内委員、何かありますか。
○城内座長 ありません。
○安井座長 それでは、特に何もなければ閉会してよろしいでしょうか。
○厚生労働省労働基準局化学物質対策課長 今日は熱心なご議論をありがとうございました。中間取りまとめについては、ただいまいただいたご意見を基に事務局で作業をいたします。その上でメールで各先生方にお送りしますので、またご意見を頂戴して、調整をしていきたいと思っております。
 なお、今後のことですが、この中間取りまとめを基にして、私どももどういう体制でどのように検討していくかを事務局で詰めますので、それを踏まえて改めて先生方にご審議、ご議論をお願いしたいと思います。引き続きよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
○安井座長 どうもありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。


(了)
<厚生労働省>

労働基準局安全衛生部 化学物質対策課 増岡

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