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2012年6月12日 第5回新水道ビジョン策定検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成24年6月12日(火)13:00~15:30


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

出席構成員

滝沢座長 浅見構成員 岡崎構成員 岡部構成員 尾崎構成員
木暮構成員 佐藤構成員 長岡構成員 服部構成員 平田構成員
吉岡構成員

○議題

(1) 第4回検討会議事録(案)について
(2) 特定テーマ4-1(危機管理の徹底)について
(2)-1 事務局からの報告
(2)-2 ゲストスピーカーからの話題提供
(3) その他

○議事

○ 名倉課長補佐
では、定刻となりましたので、ただいまから第5回新水道ビジョン策定検討会を開催させていただきます。構成員の皆様にはご多忙にもかかわらず、ご参集いただきましてまことにありがとうございます。まず構成員の出席状況でございますけれども、本日11名すべての構成員にご出席いただいております。
また、事務局におきまして異動がございまして、4月の異動で小保内が着任しております。また、5月の異動で泉から小早川にかわっておりますので、ご紹介いたします。

○ 水野係長
それでは、議事に入ります前に事務局より配付資料の確認をさせていただきます。まず左上ホチキスどめのA4の2枚、議事次第がございます。裏面に検討会名簿、続きまして座席表、検討会の実施スケジュール(案)がついてございます。それから、資料—1がございます。第4回検討会議事録でございます。資料—2がございます。「危機管理の徹底(東日本大震災を踏まえて)」と上のほうに記載してございます。資料—3でございます。「民間企業から見た震災対策—東日本大震災から学ぶ—」という青い資料がございます。それから、構成員の皆さん方には、全水道さんから「東日本大震災における復興状況と課題」という冊子をお配りしてございますので、ご確認いただければと思います。
資料は以上でございます。もし足りないもの等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。よろしいでしょうか。

○ 滝沢座長
それでは、改めましてご多忙の中をお集まりいただきましてありがとうございます。議事に入ります前に、座長のほうから一言だけごあいさつをさせていただきたいと思います。
前回、この水道ビジョンの中で水質管理についてご議論いただいたところでございますが、その後、皆様ご存じのとおり、ホルムアルデヒドの問題が発生いたしまして、改めて水道の重要性を広く認識されたことだと思います。また、水道界におきましては、危機管理の重要性ということを改めて広く認識し、これに対して取り組んでいかなければいけないということだと思います。本日、東日本大震災について主に議論させていただきますけれども、これも1つの危機管理ということだろうと思います。危機管理の中で、短期的に起こるような震災、あるいは水質事故といった危機管理もございますし、また、長期的に水道を取り巻く経営環境が少しずつ変化していくという中で、経営環境の変化の中でいかに危機管理に取り組むかといったことが、我々のこれから重要な課題になっていくことだろうと考えております。こういった視点から、短期、あるいは長期的な取り組みはどういったことをしていくべきなのかといった点につきまして、本日、2題のご発表をいただきますが、その後、皆様の幅広いご意見をちょうだいしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
それでは、早速でございますが、議事を進行してまいりたいと思います。
1番目の議事でございますが、第4回の検討会の議事録(案)につきまして、これは既にごらんいただいているところだと思いますが、資料—1に添付してございます。特に今、お気づきの点があればご指摘いただきたいと思いますが、なければこれで「(案)」をとらせていただいてご了承いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ご了承いただいたということで「(案)」をとって議事録とさせていただきます。
続きまして、特定テーマ4—1でございますが、危機管理の徹底(東日本大震災を踏まえて)について、2件のご報告をいただいた後、まとめて討議をさせていただきたいと思います。まず1番目のご報告は、事務局から資料—2に沿ってお願いいたします。よろしくお願いします。

○ 日水コン(赤坂)
日水コンの赤坂と申します。資料—2「危機管理の徹底(東日本大震災を踏まえて)」ということでご説明させていただきます。
まず資料につきましては、目次の下に書いてありますように、一部資料につきましては現在継続調査中のものもございますので、出典の中に現在継続調査中ということで記載させていただいているものもありますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず東日本大震災の概要ということで、2ページから7ページに概要を示させていただいております。これは一般的なことですので、細かく説明せずに飛ばさせていただきます。
次に8ページ、国の動向ということで、今後想定される地震を中央防災会議で検討しておりまして、その地震について示しております。
9ページにつきましては、今回の東日本大震災と当初想定していた地震との比較ということで、当初は最大6弱を想定しておりまして、それに対して最大7ということで、想定外の地震であったということであります。
国としましては、次の10ページですが、今後、平成24年度の中ごろまでに実施すべき主要な取り組みという形で7項目を挙げております。そのうち5つが地震、災害に関連するものであるということでご報告させていただいております。
国の防災に関連する動向ということで、11ページに法律の体系ということと、12ページに防災計画の体系ということで、国からおりていって、各自治体に行って、地域防災計画をつくるという流れが示されております。
13ページにつきましては、今回の地震を受けて調査会報告を踏まえた今後の防災基本計画の見直しの項目ということで示しております。
続きまして、14ページ以降ですが、地震対策の体系と分類ということで、一般的に現在、指針のほうでうたわれております地震対策を示しております。まずハード対策としての施設自身の耐震化と、ソフト対策としての応急対策のあり方ということで、それぞれ2つに大別されます。ハード対策につきましては、基本的には被害発生の抑制と影響の最小化、ソフト対策といたしましては、ここでは情報収集とその広報のあり方と復旧の迅速化等について整理されております。
次の15ページですが、水道施設の耐震化のイメージ図ということで、各施設に対してそれぞれの幹線の耐震化や、病院等、重要な管以外でも耐震化が必要であるというようなところをイメージ図としてつけております。
16ページにつきましては、水道施設の備えるべき耐震性能ということで、厚労省令として出されているものとして、レベル1地震動に対して、重要な水道施設については、基本的にはそれぞれ原則として無被害であること、レベル2に対しては軽微な被害が生じても機能保持が可能であるということがうたわれておりまして、その下には設計上の保持すべき耐震性能を整理させていただいております。
続きまして、17ページ以降ですが、施設の耐震化の現状ということで、平成22年度で全国として耐震適合率としては31%程度ということで、徐々にふえてはいっていますが、余り進んでいない状況ということで、それを整理させていただいております。
19ページでは耐震化計画の策定状況ということで、これをみますと、事業規模が小さいほど耐震化計画の策定が進んでいない状況であるということがうかがえます。
20ページは重要な路線の耐震化ということで、重要な路線の定義としましては、重要度、緊急度の高い、災害時に重要な拠点となる病院等や地域防災計画等へ位置づけられている施設への配水をする管路ということで位置づけておりまして、この重要な管路自体を選定しているかどうかというところが右上の図になります。こちらも事業規模の小さいところにつきましては選定自体をしていないという状況が見受けられます。
次に下の図ですが、実際に重要な管路を選定している事業体につきましては、選定しているものに対して重要な路線の耐震化の完了年度というものを設定しております。それにつきましては、小規模な事業体でありましても、10年後には耐震を完了するということで設定している状況がうかがえる。ということは、小さい都市でも重要路線を設定しているような都市につきましては、耐震化を行おうという積極性がうかがえるような形かと思われます。
次のページとしまして21ページでは、平成19年3月に管路の耐震化に関する検討会報告ということで、その中で管種別の耐震性能ということで整理されているものを示させていただいております。今回の地震、東日本大震災の調査結果を踏まえて、今後いろいろ技術的な検証をし、評価していく必要があるのではないかということで整理しております。
22ページは水道の耐震化への支援策ということで、それぞれ厚労省がこれまでに検討会をつくられて、その中で整理しているものを整理させていただきました。
続きまして、東日本大震災による被害の状況ということで、23ページ以降に整理させていただいております。23ページの図は拠点施設と管路施設ということで、それぞれ地震動による被害、地盤変状による被害、津波による被害ということで整理させていただいております。大きなところでいいますと、地震動では5施設、地盤変状においても5施設が大きく影響を受けております。津波の被害としまして、塩水化の被害が大きく発生しておりまして、30ヵ所程度、特に浅井戸で発生しているという状況であります。
その次のページ、24ページ以降が、具体的に被害が起きた施設をそれぞれあらわしております。5強以上の発生でそれぞれ沈殿池のひび割れ等が発生している状況でありまして、施設的にはエキスパンションジョイントや連絡管等の接続部の耐震化が必要であるということがうかがえます。
25ページは地盤変状としまして、液状化と地盤の崩落等による被害ということで整理させていただいておりまして、上の3つが液状化による被害ということであります。こちらにつきましても地盤変状等に対する対策等が今後必要になってくるということがうかがえる事例であります。
次に26ページにつきましては、次に報告していただきます岡部構成員からも説明があると思いますので、そちらにお願いするとして割愛させていただきます。
次の27ページですが、管路施設の被害状況ということで、管路本体の管種別被害率を示した図であります。右に震度、縦軸で被害率を示しております。やはり震度が大きくなれば被害率がふえる傾向にある、これはもちろんそうですが、それとは別に石綿セメント管が震度5強から被害率が非常に高くなっている傾向がうかがえております。石綿セメント管の震度7における被害率が1キロ当たりに0.45件程度あったということであります。
28ページにつきましても、次の岡部構成員の報告で詳しく説明していただきますので、飛ばさせていただきます。
29ページにつきましては、液状化地域における管路施設の被害事例ということで、液状化が起きることで、ほかの事業体と比較しても被害率が大きくなっているということがうかがえる状況になっております。これについても先ほどの地盤変状というものと同様に、液状化対策というものが重要になってきていると考えられます。
次に津波への対応ということで、津波被害の状況を30ページ以降に示しております。実際に、河川よりも2キロを超える場所に遡上して津波の影響が起きているということです。あとは、陸前高田市では5~6キロにも達している状況であったということが報告されております。
次の31ページですが、こちらは水源と浄水施設、配水池についての報告です。先ほども少し述べましたが、塩水化対策の必要性ということで、多くの浅井戸が海水の侵入を受けやすい構造になっておりまして、取水停止を余儀なくされる事例が多かったということが報告されております。その意味で、今後、塩水対策の必要性等が考えられるということであります。
次の32ページにつきましては、水管橋や橋梁添架管の被害ということで、津波被害を受けた水管橋として少なくとも51事例報告されております。合計では229ヵ所で被害を受けておりますが、水管橋がそのうち51事例あったという状況であります。これはほとんどが津波によるものということです。
次にソフト対策といたしまして、応急対策の現状ということで、33ページにマニュアルを整理させていただいております。こちらでは現在、厚生労働省から出ているマニュアルを整理したものであります。
34ページにつきましては、実際にマニュアルの策定、あとは防災訓練等を実施しているかということで、それぞれの頻度、策定率等を整理させていただいております。これについては、地震対策マニュアルで約47%程度、地震訓練としましては38%と、かなり実施率と策定率も低くなっているという状況であります。
続きまして、35ページには各種計画、マニュアルの策定の水道の規模別のグラフをあらわしております。これをみていただきますと、給水規模が小さい事業体ほどマニュアル策定、防災訓練の実施が進んでいないということがわかります。
続きまして、災害対策における各種計画及び協定の締結状況ということで示させていただいております。これにつきましても、徐々に策定や締結状況が向上してはいますものの、半数程度がまだ未整備であるという状況がうかがえます。
次に37ページですが、こちらも各種計画と締結の状況を給水人口の規模別で整理させていただいておりまして、こちらにつきましても給水規模が小さい事業体ほど進んでいないという状況がうかがえます。
次に38ページ以降ですが、東日本大震災における状況ということで示させていただいております。38ページは初動体制及び応援体制ということで、水道事業体の職員だけでは対応できなかった状況が非常にうかがえるような状況になっております。また、それぞれの初動体制の業務別ですが、これについても人員が大きく不足しているというような状況がうかがえるものでありました。その意味で、人員確保、応援体制のあり方というものが重要であると考えられます。
次の39ページですが、こちらは情報連絡と情報管理等についてということで、防災行政無線と衛星電話が基本的には障害がなく常時使える状態であったという報告を受けておりますが、これ自体のもっている数は少なかったというところで、非常時の連絡手段の確保等が課題になるということであります。
次に40ページですが、給水車の応援状況ということで、災害時の活動台数としまして355台が報告されております。後ほど伝えますが、これとは別に自衛隊から170台程度の給水車が応援に来ていたという報告があります。
次の41ページで、応急給水及び復旧活動として、リソースの不足状況ということで、応援給水の計画策定人員など、あと給水作業員、車両が足りなかったというところがうかがえるかと思います。
次のページですが、自家発電設備及び燃料の状況ということで示させていただいております。こちらは小規模な事業体ほど自家発を有していないという傾向があります。それと、ほとんどの事業体が燃料につきましては1日程度の備蓄しかなかったという状況です。調達が困難だった事業体自体が半数以上あったということが報告されておりまして、一番右下の部分ですが、燃料不足により処理機能が停止したという事例もありますので、燃料の備蓄等の課題というものが挙げられることとなっております。
次のページで施設や物資の確保ということで、応援者の宿泊場所や応援車両の駐車場が不足していたということも報告されておりまして、また、ガソリンの供給につきましては、災害時の緊急車両への供給の必要性から、優先的に受けることができたという事例も報告されております。やはり復旧の迅速化等、課題が多いのですが、その中でも応援者への対応、燃料の確保等が挙げられているという状況にあります。
次に地震等の緊急時対応の流れということで、44ページでは日本水道協会から、一般的な応援のあり方、情報の連絡のあり方ということで整理しております。
これに対して次の45ページでは、実際に東日本大震災ではどうであったかということで、青い部分で示させていただいているところがあります。これは実際、応援要請のおくれや通信手段の不足、実際に宮城県の支部長都市が被災したというこれまでにない事例によって、一般的な応援要請の流れからは変わったような形になっております。実際は日本水道協会が中心になって行われたという形になっております。
事前に大規模な広域的な応援の事例がないかということで、46ページ以降に愛知県における水道震災広域応援体系図という事例がございましたので、載せさせていただいております。こちらは愛知県と日本水道協会中部支部が事前に連携することを想定した体系図であります。
次の47ページですが、こちらは日本水道協会中部支部の水道事業体への応援活動を行う場合の応援体制ということで、2通り想定しております。ここでは一般的な規模の水道事業体への応援体制と政令指定都市が被災した場合の事例ということで示させていただいております。
48ページには、応急対策、ソフト面での課題ということで、これまでいろいろ説明させていただきましたが、こちらに示します7つの項目を整理しております。情報連絡、応援要請、応援体制、応援のための施設・物資の確保、応急給水活動、応急復旧活動、断水期間ということで、このような問題、課題点が挙げられます。
これに対しまして、やはり事前に応急対策の計画をつくっておく必要があるということが考えられますので、49ページに事業継続計画というものについて説明を入れさせていただきました。こちらは、これまでの地震対策計画に、実際の人、物の調達という視点を考慮した危機管理計画ということであります。これまでなかなかそういう視点の計画が策定されていないという状況でありますので、これについて今後、進めていく必要があるのではないかということで、ここに載せさせていただいております。
50ページにつきましても、先ほど申しましたとおり、従来の地震対策のマニュアルとBCP(事業継続計画)との位置関係ということで示しております。
次のページ、51ページ以降ですが、こちらはBCPに関する取り組み事例ということで、下水道事業における取り組み事例を示させていただいております。これは国交省が推奨するマニュアルからの策定フローという形になります。
次の52ページにつきましては、名古屋市の上下水道局で実際につくられている事業継続計画の流れという形になっております。左の位置づけの絵をみていただくとおり、当初、上下水道の地震対策計画をつくっておりまして、それに対して後づけという形で、事業継続計画(BCP)をつくっているということになっております。
その中では、次の53ページですが、地震発生当初の動き方ということで、応急給水のあり方については、それぞれの避難所や拠点病院等への給水期間とか、それをあらかじめ設定しているという形になっております。
次の54ページにつきましては、下水処理場の事例ですが、実際に事業継続計画を策定していたことによって、初期対応着手時間が違うということの比較図であります。左のほうが、BCPを実際につくっているものにつきましてはかなり時間が短縮されているという状況がうかがえると思います。また、津波があるのとないのとで、かなり初動時間が短くなっているというのは、当初、津波自体を想定してはいないというところが1つ大きなポイントかなということであります。右のほうが、民間企業との支援調達を事前に行っていたかどうかというところで、これについても事前にBCPをつくって調達の連絡をとっていたことによって、初動時間が短くなっているという実際の事例であります。
最後のページに、東日本大震災における今後の課題・教訓ということで5つほど整理させていただいております。
説明は以上であります。

○ 滝沢座長
 ありがとうございます。
続きまして、岡部構成員から「民間企業から震災対策」ということでご発表いただきたいと思いますが、パワーポイントを利用してのご発表です。このご発表の後、全体の討議を進めてまいりたいと思いますが、震災に関しましては、被災された自治体、事業体、それから、支援に回ったさまざまな自治体、あるいは組織ということで、いろいろな経験をされていると思います。岡部さんのご発表の後に、できましたらそういったさまざまな事業体、組織を代表いたしまして一言ずつ追加のコメントをいただきたいと考えておりまして、矢巾町の吉岡さん、追加のコメントがございましたらお願いしたいと思います。それから、日水協の尾?専務も一言コメントがあればお願いしたいと思います。全水道を代表しまして岡?さんからも追加のコメントをいただきたいと思います。また、埼玉県の木暮さんからも自治体を代表しまして一言コメントをいただいた後に、全体の議論を進めてまいりたいと思いますので、ご発言をご用意いただければと思います。
それでは、準備ができたようでございますので、岡部さん、よろしくお願いいたします。

○ 岡部構成員
水団連の岡部です。きょうはこのような機会を与えてくださいまして、ありがとうございました。
(パワーポイント)
きょうは「民間企業から見た震災対策—東日本大震災から学ぶ—」ということでご説明させていただきます。
(パワーポイント)
きょうの内容は、復旧活動がうまくいったのか、大きな地震はまた来るのか、管路の被害はどんな感じだったか、どのような対策が必要か、最後に、これからどういったことを考えていかなければいけないかということについてお話ししたいと思います。
(パワーポイント)
 まず復旧支援活動といいましても、今回、割と管路についてのことに限定されますが、それはちょっとご了承ください。
(パワーポイント)
 まず広域災害では、企業の例えば工場、資材置き場、これは塩竈にあった資材置き場ですけれども、やはり津波でやられました。したがって、ここの資材置き場はしばらく全く機能しなかった。実際、資材等も大阪のほうの工場から運んだりとか、そんな状況が生じました。
(パワーポイント)
 復旧支援もすぐには動けなかったということで、現地に各資材メーカーの社員などもいるのですが、当然、被災者ということで、会社にも来られなかったり、よくある話ですけれども、携帯電話等も使えないために情報連絡等もできなかった。先ほどの資材置き場も被災して使用できない。あと、復旧資材の情報が事業体さんからとか、販売店さんからとか、いろいろ輻湊して入ってくるのですけれども、よく確認すると一緒のものだったり、その辺の情報も今回、かなり混乱しました。あと、こういうものが欲しいということで来るのですけれども、当然、高速道路が寸断されたり、車の例のガソリンがなくてなかなか運べない、行ったはいいけれども、帰ってこられないとか、そういった問題もありました。また、原発の影響でかなり迂回した経路をとらなくてはいけなかった。そのような問題がありました。
(パワーポイント)
 復旧の課題ということで、情報収集ルートの確保です。うちのほうも衛星電話などはあったのですけれども、これも各支社に1個とか、辛うじて連絡がとれる状態にあったのですが、数が足りなかった。
それから、やはり水道事業体で備蓄をされているところがあるのですけれども、そういったところは当面のすぐの復旧ができました。やはり備蓄というのは結構重要だなと。横浜市さんなどは、通常使う資材で使いながら、ぐるぐる回したりして備蓄をされているというのもあります。ああいうのはいい方法かなと思いました。
それから、資機材供給の窓口の一本化ですね。協会とか、同じものがいっぱい来ないような形というのが必要かなと。
あと、民間企業の人材活用ということで、私たちも復旧支援などで行ったのですけれども、水道事業体の方はもう立ちっ放しで電話して、話も聞けない状態なのですが、民間企業側は結構な人が送り込めるので、もっと民間企業の方、具体的にいうと設計とか施工管理とか、何か事前にちゃんと提携しておけば、もう少し活用できたのではないかなと思いました。
 あと、事業体さんから聞いたのですけれども、かなり地下水等が濁ったり、いろいろなことがあるみたいなのですが、あと今回、塩分の話もありました。飲用不可だが、水は送りたいけれども、どうなのかなとか、災害時の規制の緩和みたいな話も何かあったかと思います。
(パワーポイント)
 その次に、大きな地震はまた来るのかということです。
(パワーポイント)
 これは簡単ですけれども、例えば関東大震災とか東海大地震、そういったものが関東であれば約70年周期ぐらいとか、東海のほうですと100年、150年周期で大体来ている。そういうことからしても、ちょうど現在がそれに値するぐらいに来ているので、よく確率が高いといいますけれども、そういった過去の事例からも十分来る可能性がある。
(パワーポイント)
 これは世界の大きな地震の事例なのですけれども、今回、不幸にも約2万人の方々が亡くなりましたが、海外ですと、ここにありますみたいに中国で24万人とか、スマトラでも23万人、唐山地震で24万人、要するに20万人以上亡くなっているような大規模な地震が世界では結構ありました。
(パワーポイント)
 その次に、管路の被害はどうだったかということです。
(パワーポイント)
 先ほどありましたけれども、今回の地震は非常に広域で、震度も7、マグニチュードも9.0と非常に大きな地震ということなのですが、一番左側が今回の仙台市の事例です。0.07ということで、神戸とか、中越地震である長岡、能登である門前とか、中越沖の柏崎、そういった過去の地震と比べた場合に、管路の被害率というのがあるのですけれども、これは1キロ当たりに何件被害が起きたかというデータからみると、今回の地震は、なぜか被害率では小さかった。ただ、広域ですから被害件数ということならかなりの数ですね。集計は今、厚労省さんでやられているみたいですけれども、被害率という観点では小さかったというのが今回わかっております。
(パワーポイント)
 もう1つ、これは震度7が観測されたところなのですけれども、今回、地盤変状というのも意外と部分的に限られていた。私の感じとしても、仙台市もそうですけれども、市内を直後に歩いても、神戸のときみたいな本当の地盤、道路がガタガタになっているというのは余りありませんでした。ただし、沿岸部とか液状化が起こっているところではかなり変状しているところがありましたけれども、一般的には変状も少ないなというのが実感です。
(パワーポイント)
 具体的な管路の被害例ですけれども、津波でやられたものとか、古い石綿管とか、塩ビ管とか、その他、津波の被害がメインですが、管路がかなりずたずたにやられたのが今回の事例です。
(パワーポイント)
 これは液状化の例です。浄水場内の液状化で管路が抜けたりとか、右側の緊急時に使うはずの耐震貯水槽が液状化で浮上してしまって使えなかった。これは大きな反省なのですけれども、こういった事例もありました。
(パワーポイント)
 このグラフは、右に加速度、上に継続時間なのですけれども、今回は最大加速度2,000、3,000あったのですが、通常の1,000、もしくは500とか、小さな加速度でも液状化は十分起こる。継続時間がある程度以上、これをみますと50秒から100秒ぐらいあれば、そんなに大きな地震でなくても起こるということで、液状化については十分なケアが必要ということがわかりました。
(パワーポイント)
 もう1つ、先ほどもありましたけれども、構造物の取合部です。本来ですと可とう管などをよく設置してあるのですけれども、可とう管が設置していなくて壊れたところもありますし、可とう管がついていたにもかかわらず、その許容を超えて壊れたところがあります。ですから、この辺の取合部とか可とう管の見直し。右下は可とう管がちゃんとついていて、ちゃんと変形して、これは無事だった例なのですけれども、やはりちゃんとした処置が必要だということがわかりました。
(パワーポイント)
 もう1つは、河川近傍とか地盤が悪いところ、大体、軟弱地とか、後背湿地とか、自然堤防とか、そういったところが地盤変状も起こりますし、管路もやられているのがわかってきています。
(パワーポイント)
 もう1つは造成地ですね。よく地盤の悪いところで多くて、地盤のいいところで少ないと一般的にはいわれるのですけれども、地盤のいいところで結構やられている例がありますが、そのほとんどが造成地、いわゆる切盛土部、カット・アンド・バンクですね。特にバンクの部分だと思いますけれども、もしくは切盛土の境目が、どうしてもひずみの変形でそこに亀裂が入ったりとかして、そのあたりにある管路がやられているのがわかっています。このあたりも造成年代とか、私は余り詳しくないのですけれども、切盛土についても設計基準みたいなものがありまして、その年代によって、やはり古いものが悪い。新しいものは多少改良されて、新しくつくられた造成地は大丈夫というような話を仙台市さんから聞いたのですが、そういうことがあるみたいです。
(パワーポイント)
 もう1つは、これもある意味では切盛土と同じことかもしれませんけれども、路肩です。歩道部。道路をつくるとき、どうしても端のほうの路肩のところは盛土部が多くなるのか、道路の路肩がやられている。大体そういうところに管が入っているのです。それでやられたというのが今回も結構目立ちました。
(パワーポイント)
 もう1つは、先ほどの津波、あと河川ですね。河川に沿って津波が遡上して、横のところが全部洗われたり、沿岸部ですと地盤変状といいまして、水平移動するのです。1メーターも2メーターも海とか堤防側に地盤がせり出して、そこに入っている管がやられるというような事例がありました。
(パワーポイント)
 もう1つ、今回、結構多かったのが、老朽管とか修理箇所ですね。水道事業体の方に聞いたら、前にやられたところを修理したところがまたやられたとかですね。上の図は、ダクタイル鋳鉄の腐食したところから水が漏れているのですけれども、要するに老朽化して、結構ぎりぎりだったところに地震が来て、その地震の衝撃で漏水が起こった。老朽管も耐震性からみるとよくないというのがわかります。
(パワーポイント)
これは初期ダクタイル管といわれる1960年ぐらいから1975年ぐらいにかけて埋められた、まだポリスリーブもなく、継ぎ手も耐震管ではないパイプですけれども、そういったところも非常に問題がある。右下は無ライニングの錆こぶとありますけれども、無ライニングの管の場合、外からだけではなくて、内側からも錆でやられているので、見かけ以上に弱い場合があります。ですから、こういった管も耐震上は変えていく必要があるのかなと。
(パワーポイント)
 これは変わった事例ですけれども、沿岸部は火災が発生しました。石油タンクの破壊と油の流出と書いてありますけれども、そこにある人間の大きさと比べてみたらわかるのですが、これもたしか石巻だったと思いますけれども、大きなタンクが津波で転がったり、そこの中に入っている油が漏れたり、またそれに火がついて燃えたり、そういった油汚染もかなりありますので、水道については、浄水場とか井戸とか、そういうものに入ったりすることもありますので、これもケアが必要かなと。
(パワーポイント)
もう1つは、附属設備の被害が多く発生ということで、大きな幹線によく空気弁とか消火栓とかがついているのですけれども、特に今回、管路は大丈夫だったのですが、上の空気弁がやられたことによって漏水をしたり、幹線をとめざるを得なかったとか、そういったことが生じたので、この辺は改良が必要かなということがわかりました。
(パワーポイント)
あと、つけ足しですけれども、耐震管については、このように津波で洗われたり、結構障害物がぶつかったりしても、被害がほとんどありませんでした。
(パワーポイント)
 管路被害の教訓ということで、地震被害は今回、被害率は結構小さかった。水管橋は津波に弱かった。それから、火災・油の流出の話とか、液状化地盤、埋立地盤が問題だと。構造物の取合、護岸近傍付近、切盛土部、軟弱地盤とか、道路路肩部とか、あと傾斜地ですね。坂道もやはり地震でずれて、その上部、下部でやられていました。あと可とう管部と老朽管部。あと基幹管路がやられると非常に大きな影響があった。最後に附帯設備、空気弁なども問題があったというのが今回の特徴ですけれども、大きな傾向としては今までの地震と大体同様だと考えています。
(パワーポイント)
 それでは、管路ではどのような対策が必要かということです。
(パワーポイント)
 管路の弱い部分から改良ということで、左側が震度5以上の確率、真ん中が震度6弱以上、右端が震度6強以上で、地震対策というと、やはり震度6強とか7とか、大きな地震をもちろん想定するのですけれども、その確率というのはかなり違います。したがって、まず震度5強とか6弱でもやられる本当に弱いところ、それはかなりの確率で来ますので、そういったところからまずやっていって、最後に震度6強以上に耐えるようにつくっていったらどうかなというのがあります。
(パワーポイント)
 耐震化率を50%以上にと書いたのは、先ほども資料にありましたけれども、これは右軸が耐震化率です。縦軸に被害率ということで、当然、耐震化率が上がっていくと、被害率が下がっていくという実績のデータがあります。このデータをみていますと、耐震化率が50%ぐらいを超えてくると、被害率も0.1以下ぐらい。逆にいうと、耐震化率50%以上で被害率が0.1以上は、今のところデータとしてはない。これは過去のただのデータなので、大きな傾向でしかいえないのですけれども、そういうことがいえるのかなと思います。
(パワーポイント)
先ほどからいっている被害率のイメージ図を書いてみました。よく地震の場合、被害率0.1とか0.5という数字があるのですけれども、過去の地震の大きいもので被害率1というのがあります。1件/?というのはどういうことかといいますと、上の図でいいますと、管路が10?あったとしますと、そこに漏水が10個あったということです。今回、被害率が0.07とか0.08ですから、被害率は0.1件ぐらいです。ということは、今回の地震の被害というのは、10?の管路があったときに1ヵ所ぐらいの被害率ということで、決して多くはなかった。例えばパイプですと継ぎ手というのがあるのですけれども、小口径管は長さが4メーターぐらいなので、0.1件/?というのは、10?あると約2,500個の継ぎ手があるのです。2,500個の継ぎ手のうちの1個が被災したというのが、今回の地震の被害というように概略ではとらえることができます。
(パワーポイント)
 もう1つご紹介しますのが、被害率を0.1以下にとありますけれども、これは川上先生がつくられた過去のデータで、残念ながら今回の東日本のデータは載っていないのですが、被害率が大きくなると、当然、断水率も上がりますよねということで、被害率と断水率をプロットしたものです。ちょうど真ん中に0.1というのがあるのですけれども、被害率0.1よりも大きいと断水率も上がっていく。0.1よりも小さいと断水率が低く抑えられるというのが、これも過去のデータである程度わかっています。ということで、できるだけ0.1とか0.05ぐらいに抑えると、断水率という意味ではかなり減るのかなというのがこのデータで示されていると思います。
(パワーポイント)
 もう1つは、用水供給管路の被害とその影響ということで、これは宮城県の仙南・仙塩、宮城県企業局の管路ですけれども、みていただくように、樹枝状に配管されていて、一本の管路になっています。いわゆるループになっていないのです。ですから、1個断水すると全部断水するという状況です。右のほうが復旧のグラフなのですけれども、4月1日に広域水道復旧済みとか、4月16日広域水道余震後復旧済みとありますけれども、用水供給が復旧すると、一気に断水戸数が減るというのは、末端の被害ではなくて、用水供給がとまっていることによって断水している。用水供給がとまらなかったら、逆にいえば、こんな大きな断水が生じなかったということがいえると思います。したがって、用水供給イコール大きな事業体でいうと基幹管路ですから、やはり基幹管路を守ることが大きな断水を防ぐことになるのかなと。また、復旧期間についても同じことがいえると思います。
(パワーポイント)
基幹管路の強化が重要ということで、これは500?と100?のイメージなのですけれども、口径100?の管が右側、口径500?が左側ですが、断面でいうとこのぐらい違います。これが実際には流れる流量でいうと、面積ですから約25倍。実際に流速が違えばもっと違うということで、500?の管と100?の管では、同じ1本ですけれども、位置づけが違うということを認識していただきたい。
もう1つは、メーカーのほうからいいますと、中口径以上の大きいものは注文生産なのです。在庫が常時ありません。右側の小さな100?クラスになりますと、これは量産品といいまして、いつもつくっています。ですから、災害時にもすぐ供給することができます。そういった意味からも、基幹管路というのを常日ごろ耐震化したり、もしくは在庫を持っていただくとありがたいかなと思います。
(パワーポイント)
 また、今後、基幹管路の耐震化が急がれると書いたのですけれども、最近ですと、もしも基幹管路を改良されるのでしたら、小水力発電、いわゆる環境に優しいものとか、右にありますような、最近、シールド工法なども曲線対応とか、小断面とか、いいものも出てきていますので、そういったものも活用されて、経済的な基幹管路の整備をされたらどうかなと。
(パワーポイント)
 少しまとめになりますけれども、基幹管路・弱点の耐震化で断水人口・断水率を下げるということで、左側のグラフは進捗率、耐震化100%に向かっていくわけですが、やはり重要なところとか弱点を補強することによって、実際に起こる断水率とかそういうものを、同じ耐震化でも下げることができるだろう。効率的な耐震化を図るべきだというのをあらわしたくて書いた図であります。
(パワーポイント)
 これは厚労省さんの資料ですけれども、基幹管路の老朽化が進んでいるということで、現在、大口径ですと26%ぐらいみたいなのですが、それがほうっておくと65%。10年ぐらいしかたたないのですけれども、ちょうど今、40~50年たっていて、そのころに埋めた基幹管路が用水供給を含めてたくさんあります。したがって、同じ10年でも10%ふえるのではなしに、たくさんふえるのかなと私は読んでいるのですけれども、基幹管路が老朽化もしてきますということです。
(パワーポイント)
 これは先ほどからいっています1960年から1975年の初期ダクタイル管ということですけれども、今からちょうど50年前ぐらいから40年ぐらい前に埋められたパイプなのですが、これは出荷量のグラフでして、急激にふえているのがわかると思います。したがって、これから急激に50年以上たつ老朽管がふえてくる。今、ちょうど左端のところが50年なのですけれども、これから10年たつと、埋めたパイプが全部50年以上たってくるというのが、このグラフをみてわかると思います。
(パワーポイント)
 もう1つは、先ほど液状化は比較的小さな地震でも起こるということだったのですけれども、液状化マップというのができていまして、事前にある程度、対策を打つことができます。今回、浦安のものも、やはり埋立地とか、液状化が想定されるところとぴったり合っていまして、逆にいえば、地震が起きたら液状化が起こるのはかなりわかっていたのではないかなと。そういうことなので、液状化地区につきましては対策が必要かなと。
(パワーポイント)
 あともう1つは水管橋です。水管橋は通常、洪水に対応して下流側につけるというのがよく行われるのですけれども、今回、津波で下流側についていてもやられていたので、水管橋よりはむしろ伏せ越しにしたほうがいいのではないかなということです。
(パワーポイント)
 耐震管というのはどれだけ使われているかということなのですけれども、昨年度実績なのですが、一応80%ぐらい、出荷ベースで8割が今、耐震管になっています。したがいまして、更新して布設がえすると、ほとんど耐震管なのかなと。耐震管というのは1979年ぐらいに規格化されまして、特に新潟地震とか十勝沖地震を契機につくられました。そのときに古い鋳鉄管というのは管体が破損したのですけれども、ダクタイル管は管体破損はほとんどなかったということで、そのダクタイル管の継ぎ手に伸縮性と屈曲性、離脱阻止性をもたせれば、耐震管がいいだろうということで、今の耐震管がつくられました。最初、八戸市さんで採用されて、実際には埋設実験等、地震計測などもずっと継続して行っております。最近では、耐震管についてはアメリカとか東南アジアとか、そちらのほうでもご要望があってデモをしたりとか、試験的に埋めたりというのをやり始めています。
(パワーポイント)
 その次にご説明しますのが、そういった更新とか耐震化をできるだけ効率的にするとか、住民の方々にPRするにはどうしたらいいかということで、マッピングシステムというのはご存じだと思うのですけれども、今、日本の約1,500事業体のうち、既に1,000事業体がGISを持っています。ですから、大手の事業体はかなりの確率でもっていると考えていただいていいと思います。
(パワーポイント)
 そういったマッピングシステムのデータを使うと、例えば老朽度とか耐震性とか、そういうものがシミュレーションできます。マッピングデータを使って、管網評価支援システムというのがあるのですけれども、そういったもので評価すると、水理的な評価、圧力がどうなるかとか、残留塩素がどうなるかとか、老朽面、管路が現在どれだけ老朽化していて、20年後にどのぐらい老朽化するか。現在、地震が起きたらどのぐらいの被害が起きるか、それを例えば耐震化していったら、どのぐらい抑えることができるか。そういったシミュレーションもできるようになっています。また、それらのデータを使って、効率的な更新優先順位、そういったものもできるようになっています。
(パワーポイント)
 イメージですけれども、例えば老朽度マップということで、青が健全なのです。赤がよくないのですけれども、現在、こうですが、シミュレーションでやると20年後には赤がもっとふえてきて、緑色ももうちょっとふえてくる。これだけ老朽化しますよというようなことがシミュレーションで割と簡単にできますし、住民の方々にもこの老朽度の現状をハザードマップみたいにおみせすることもできます。
(パワーポイント)
 これは耐震化の例ですけれども、現状、地震が起きたらこれだけの被害が起きますと。例えば赤い路線を耐震化しましょうと。耐震化したら、一番右にありますみたいに、管路の被害率がこれぐらい低減しますよと。左下にありますけれども、現状だったら被害件数が330件あって、復旧が26日かかりますと。耐震化すると227件になって、復旧日数が17日ですね。もちろん想定条件が必要ですけれども、同じ条件下であれば、どれだけの効果があるというようなシミュレーションもできます。こういったことも市民の方々にわかりやすく説明することによって、耐震化を進めることができるのではないかと思います。
(パワーポイント)
 最後に、これから何をすべきかということで、耐震化に向けての戦略ということです。
(パワーポイント)
 まず目標設定が大切ですねと。最終目標はもちろん100%。ただし、実際に達成には時間とお金がかかります。ただし、地震はいつ来るかわからない。あす来るかもしれないということで、減災という考えも必要でしょう。ステップ・バイ・ステップでやるということで、段階的目標、仮にレベル1、2、3みたいな目標を設けてやっていったらどうでしょうか。それから、あと、耐震化率とかいう指標もあるのですけれども、市民が全然わかりませんので、市民がわかりやすい目標設定ということで、例えば断水日数とか、復旧日数とか、市民が少しでもわかるような目標設定、これが大切ではないかなと。
(パワーポイント)
 目標達成までのステップということで、先ほどありました耐震貯水槽などで、これがあったら安心ですよといいますけれども、実際には飲み水の量しか確保できていません。実際に今回の被害をみていますと、避難所に集まって、飲み水はあるのだけれども、ほかに洗濯したり、体を洗ったり、そのようなものがないということで、避難所への管路の耐震化も必要かなと。1週間たつと普通の生活用水が欲しくなりますから、そうしますと、限られた耐震管路でもいいですから供給して、緊急給水栓などを建てて一定量を確保してあげたらどうか。さらに、水までの距離の短縮ということで、時間がたつにつれて耐震管網が充実してくれば、給水栓までの距離が小さくなってくる。最後には自宅での水道水の確保ということで、これは全体の耐震化率をアップしていくしかないかなと。最終的には、100%になれば断水しない水道管路ということで目標達成というようなステップが必要かなと。
(パワーポイント)
 耐震貯水槽なのですけれども、これはたしか郡山かいわきだったと思うのですが、赤丸プロットが使われた耐震貯水槽です。埋設されているかなりの貯水槽が使われた。黄色の丸が使われていないのですけれども、聞いたらそのあたりは断水しなかったという話もあって、耐震貯水槽というのはやはり有効だったのかなと。ただ、日ごろから右の下にありますような防災訓練とか、そういったものをあわせてやる必要はあるかなと。
(パワーポイント)
 これは仙台、名取のほうにもあったのですけれども、新潟市さんが支援で送られたのですが、キャンバス水槽です。給水車が必ずしも台数が足りないとか、運ばれる量も決まっていますので、こういう拠点にキャンバス水槽などを置いて給水するというのはいい方法だなと思いました。
(パワーポイント)
 あと、先ほどもいいましたけれども、給水車にみんなすごく並ぶのです。ですから、やはり重要拠点までの耐震化をして、水道が出れば、給水車に長く並ぶこともないので、これも非常に重要なことだなと。
(パワーポイント)
 もう1つのポイントとしましては、日ごろから震災を意識した仕組みづくりということで、上水・下水というのは両輪で、今回、浦安も下水が使えなくて水道が使えなかったことがあったみたいなのですけれども、やはり上下水を一体で考える必要がある。
それから、例えば独立型の上下水道ユニットということなのですけれども、避難所とか、公園とか、キャンプ場とか、通常はある程度、ろ過式とかいうものを使っておいて、被災したときにはそれを運んだり、その場でそのまま使えるとか、そういった日ごろから震災対策を考えたやり方が重要なのかなと。
管路・施設のデータのバックアップということで、今回も津波とかも含めてデータがなくて困ったというのもありますので、遠方の姉妹都市などに保管してもらってやるというのもいい方法ではないかと思います。
次も姉妹都市の関係かもしれませんけれども、平常時の人材交流ということで、大都市の方が応援しに行っても、日ごろから事情がわかっていないと、どこに施設があって、どこに管路があって、どういう処理をしていてとか、日ごろから人材交流をすると、いざというときも非常に助けやすいということで、日ごろから震災を意識した仕組みが大切かなと思います。
(パワーポイント)
 あと、市民の視点での耐震化ということで、私たちは耐震化というと、耐震管を埋めるとか、浄水場を耐震化することで満足しているのですけれども、市民が震災時に本当に欲しいのは何なのか。ペットボトルは実は余っているとかね。一生懸命、飲み水がどうのこうのいってもちょっと違うのではないか。トイレとかお風呂の水が本当は欲しいのではないか。
 蛇口の向こう側の水の確保ということで、市民は被災して最初はペットボトルでもいいですし、必要なときに必要な量が欲しいと思うのです。だから、一体、市民がどういう段階でどれだけの水をどこでどのように欲しいかというところをやった上で、震災対策というのをすべきかなと。
 あと、いつ水が出るか、情報が知りたいということで、今回、給水車もたくさん出たのですけれども、広報を一生懸命やってはいるのですが、皆さん意外とわからないですね。○○小学校で何時から給水しますとか、一生懸命やっているのですけれども、必ずしも伝わっていない感じです。ただし、インターネットとかああいうものは、携帯も含めてそこそこで復旧したのです。だから、そういったものですぐ、どこで給水が何時からできるとか、そういったことも考える必要がある。
 それから、災害前に水の知識があったらということで、すぐ近くに給水所があったなんてとか、意外と近くに給水所があっても、日ごろ皆さん知らないから、最初に取りに行ったところに一生懸命行ったけれども、後で聞いたらすぐ裏のほうでもあったとか、そんな話もあったみたいです。
 あと、最初にいいました水を使いたいけど下水がということで、何で水道が出るのに使えないのと。これは上下水の一体の話で、これも市民の目線からみたらそうなのかなということです。
(パワーポイント)
 そのために市民とのリスクコミュニケーションということで、広報のステップということで、RowanのCAUSEモデルというのがありまして、信頼を築く、リスクに気づく、リスクの理解、解決策の理解、行動をするという順番があります。市民とのリスクコミュニケーションというのを、RowanのCAUSEモデルなどを使って、市民にこのリスクを受容してもらったり、リスクへの対処を考えてもらう。こういったリスクコミュニケーションというのはこれからすごく大切になるのかなと。
(パワーポイント)
 もう1つは、相手のレベルに合わせたPRということで、よくポジティブフレームとネガティブフレームというのがあるのですけれども、耐震化すると断水が低減しますよというのはいい話ですが、耐震化しないと3ヵ月水が来ないんですよと。それから、更新すると事故が低減しますよという話はいいのですけれども、更新しないと大事故になるとか、いい面だけではなくて、あえて悪い面ということはいいませんが、真実ですね。実際、市民に対して正しい理解をしてもらうための情報提供が必要になってくるかなと思います。
(パワーポイント)
 もう1つは、今、パイプを埋めると、50年から、長いものでは100年間ぐらいもつということで、長期的な視点で耐震化を図っていく必要があるなと思います。
 もう1つ、ダウンサイジングしていく必要もあるだろうということで、逆にいうと、ダウンサイジングするということは、そこで多少コストが浮いてくる。そういったコストをうまく活用しながら、長期的な視点での耐震化というのが必要になってくるのかなということです。
(パワーポイント)
 これからの耐震化に必要なことということで、耐震化の目標を持つこと、ステップ・バイ・ステップの耐震化をしていきましょう、日ごろから震災を意識した対策が必要です、市民の視点での耐震化も必要です、ダウンサイジングを利用したコスト縮減、ライフサイクルコストを抑えた施設更新、そういったことをすることによって、「命の水 未来につなごう市民の水道」ということで、市民とともに水道をつくっていくというか、耐震化を進めていけたらなと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○ 滝沢座長
どうもありがとうございました。ただいま「民間企業から見た震災対策」ということでご発表いただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、今回の東日本大震災におきましては、さまざまな立場でいろいろなご経験をされていることと思います。少し補足をお願いしたいと思いますが、まず矢巾町の吉岡さんから、被災地に近いというところで、ご経験、あるいは教訓、さまざまなことがございます。補足ということでご発言いただけますでしょうか。

○ 吉岡構成員
ご指名いただきましたので、今、3・11を振り返ってみると、3つぐらいのことがいえるのかなと思っています。まず1つがサプライチェーンの問題です。たまたま矢巾町では、震災前にBCPのことについて話し合うす機会があって、有事の際、組織でどのように対応したらよいのか少しですが話し合ったことがありました。そのときに、燃料の調達をどうしたらいいのだろうか、薬品をどうしたらいいのだろうかと議論していたので揺れがおさまり、施設点検をし、特に異常がないことを確認した後は、物資の調達について情報収集を行いました。
情報を集めてみると、やはり交通はとまっているし、薬品関係も被害の大きな地域から輸送されていることが分かりました。でも、分かっても、どうしようもなくて、たまたまうちの職員が科学院の水道工学研修に出ていて、大規模事業体の方に連絡をしたら、大規模事業体はそういうものをすべて把握していて、そこからどんなルートだったら調達できるかを教えていただいて、震災直後に2ヵ月分ぐらいの薬品を調達していました。
また、燃料については、指定工事店でガソリンスタンドを経営しているところが2社あって、そこが優先的に給油をしてくれましたし、事前の協定が非常に役に立ったなということがありました。ただ、公共事業が減っていて、軽油を現場で重機に給油するというシチュエーションが少なくなっているために、軽油を運ぶローリー自体が少なくなっていて、何処も困ってくると、ローリーの取り合いになって、長期化してきたときに、なかなか水道に回ってこないというような事態が起きてきました。なので、単に協定を結ぶだけではなくて、最終的に備蓄しているところから停電でもポンプで上げることができて、それを配ることが本当にできるのかというところまで、実効的なものにしないと、本当に困ったときには机上で考えた計画になってしまうということがあるので、それはもっとこれから突っ込んでいきたいと思っています。
あとは、3・11を経験して、電気に依存した水道というのがすごく脆弱だなと感じたことがありました。寒冷地では冬期間の凍結防止策として、給湯設備などでは凍結防止ヒーターを巻いて電気で保温して凍結を防止しているのですが、停電で電気が失われたことによって、凍結破損が多発したということがあります。そういう部分について、なかなか役所的に対応が難しかったというのがあります。
あと、交通障害ということで、信号がとまってしまったので、基幹道路を横切って、給水車がなかなか通れないという事態が発生しました。通常、人工透析を行っている病院には5分くらいで行ける距離にあるのですけれども、そこの病院に行くのに40分ぐらい時間がかかってしまったということがありました。震災以降、矢巾町では給水車を緊急車両に登録しました。東日本地域では例が少ないようですが、給水車に赤色灯をつけて、サイレンを鳴らしてポイントに行けるという体制をとりました。なかなか公安委員会の理解を得ることが難しくて、3ヵ月以上、いろいろ協議をして、やっと緊急車両の登録ができたことがあげられます。
なので、サプライチェーンの問題と電気に対する脆弱性、そして、交通障害に実際にどのように対応していくのかなというのが、今、振り返ってみると課題かなと思っています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。3点、課題をご指摘いただきました。水道の中だけでは解決しない問題もあるというご指摘だと思います。
続きまして、日本水道協会の尾?構成員からご発言いただきたいと思います。日本水道協会として、あるいは、震災発生時には東京都水道局の局長として支援に回る立場だったと思います。何かお気づきの点がございましたら、ご発言いただければと思います。

○ 尾?構成員
それでは、私から2点、日本水道協会の立場としてお話ししたいと思います。日本水道協会では、先ほど事務局からも説明がありましたが、地震等緊急時対応の手引きというのを作成しています。この手引きは、阪神・淡路大震災、あるいはその後の新潟県の中越地震、中越沖地震などの教訓を得てつくられたものです。この手引きがありましたので、今回の3・11の東日本大震災にはかなり円滑に、水道の応急給水、応急復旧の応援ができました。当初、少しトラブルはあったのですが、ライフラインの中では円滑にいったということで、お褒めの言葉をもらったぐらい、手引きの効果は高かったと思っています。
しかしその中でも、先ほど事務局からも説明がありましたが、本来、応急給水等においては地方支部長都市、あるいは県支部長都市が中心となるのですが、そこが被災したというのは、…なかなかそこまでを考えてつくられたものではなかったので、そのために情報が少し混乱したという実態もあります。また、先ほども岡部さんからプレゼンテーションがありましたけれども、燃料がなくなったり、あるいは九州から応援に駆けつけるといったことで、中継地点の問題とか、いろいろな問題が顕在化しました。今後は、そうしたことを踏まえた手引きにする必要があるだろうということから、現在、その手引きの見直しにかかっています。それが1点です。
もう1点は、東日本大震災で被災した東北地方の中には、過去の地震による被害を踏まえて、それに対する地震対応がかなりよくできている都市、すなわち、耐震化率も高く、あるいは、ソフトの対応もかなりよくできている、都市があります。そこは自分の都市が被害を受けた状況の中にあっても、すぐに応急給水なり応急復旧の応援を出しています。震災時に被災地の近くにそうしたしっかりした都市があると、いろいろな面で、効果的な応急復旧なり応急給水ができると考えます。地震対応をしっかりやるということがすばらしいことだということを、どんどんPRしていかなければと思っています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
続きまして、全水道からさまざまな支援をされたと思います。岡?さんからご発言をお願いします。

○ 岡?構成員
先ほどのレポートの岡部さん、それから発言されたお二方それぞれに敬意を表したいと思います。地震と津波にかかわる危機管理ということで、皆さんそれぞれ報告がありましたので、私は少し刺激的でありますけれども、原発事故に絡む水事業の関係で特徴的な報告をさせてもらいたいと思います。
自治体名はあえて申し上げませんが、福島原発事故を起こした地点から40~50キロの事業体で、まず事故発生に伴って、3月12日、13日、このあたりをピークに、実はきれいごとではありません。現地の行政組織の指揮系統は一切壊れました。つぶれました。機能しませんでした。某自治体としかいいませんが、そうした事態でこそ、身をもって先頭で指揮をとるべき首長さん、市長さんが数日間、行方不明という事態も含めてありまして、その事業体に関しては、事業管理者、それから職員を代表する労働組合の年寄り委員長、この2人が事実上、指揮系統がない、情報が入らないという中で、初めての経験ですから、暗中模索の中で、通常の危機管理マニュアル、あるいは対策をもとにどうすべきかというところで動いたということが特徴です。
実は後でわかったのですが、行政組織がそういう状態というのは、何も水道分野だけではなくて、その自治体の行政組織の指揮系統が寸断されるという構造ですから、およそ市民生活にかかわるさまざまな領域分野で混乱が生じたのだろうということだったと思います。水道に関しては、しかし逃げるわけにはいきませんから、とにかく情報をとりながら、しかも情報をとるといったって、携帯から何からつぶれていますから、可能な限りの手段を使って連絡をとるということだったと思います。その自治体のマスコミの支局の皆さんは、いち早く福島や郡山方面へ撤退をされていたということも、結局、後でわかってくるのです。
要は、そうした事態ですから、現地、現場で奮闘されているのは、自衛隊、警察、消防、辛うじて当該自治体の指揮系統がある分野、そこが連携をとりながら対応するということでしたから、水道に関しては、とにかく現場の自衛隊、警察、消防の現場指揮官と連携をとって正確な情報をつかめと。とにかく風向きを含めて、濃度について的確に押さえて、場合によっては応援をしていただけている地元の民間水道事業の皆さんを含めて、やはり水道事業管理者の資格、責任において現地に踏みとどまるのか、それとも撤退させるべきなのか、撤退するときには地域住民の皆さんに警鐘を発しながら若い順に逃がすということも含めて、現場で相談をして、直接対応せざるを得なかったという事態があります。
もう1つは、ヨウ素剤の取得それ自身もなかなか難しくて、ただ、それはさすがに事業管理者が奮闘されて、ヨウ素剤はどこかからかっぱらってきたという話だったらしいのですが、結局、小さな自治体でありますけれども、先ほどもいいましたように、自主的に応援をしていただいている水道事業、民間各分野の皆さんを含めて、その時点ではあの1週間、直接の指揮系統、あるいは情報、応援がない中で、その自治体、事業者たちは、そういう工夫を凝らしながら、撤退せず、逃げもせず、踏ん張ったという事実があるということについては、ぜひとも知っておいていただきたいなと。
そうした経験からいうと、後ほどまた触れられるでしょうけれども、危機管理の事務局提案がありました対策マニュアル等々についても、これだけの未曾有の被害を出した事実から目をそらすことはできないのではないか。最近、どうも各方面がシカトされて、この深刻な話題に触れないように、迂回されているような嫌いもなきにしもあらずだと受けとめていますけれども、現場で逃げもしないで踏ん張る皆さんは、何も水道領域だけではなくて、危機管理の中で奮闘される方が多数いらっしゃったということは、しっかりもう一度押さえて、私たちはどういう教訓と課題整理をするべきかということに真正面で向かい合うべきなのではないかと思っております。
あと具体論は、事務局提案のレジュメに沿ってまた後ほど展開したいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
続きまして、埼玉県の木暮さんから経験も踏まえましてご発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○ 木暮構成員
3・11の地震を踏まえてということですと、埼玉県内での断水被害ということでは、一部の地域で液状化により配管が破損したというところがありました。また、東日本ではどこの事業体でも同じでしたが、電力の調達といったところで、想定外といっては変ですけれども、大変な苦労をしたところでございます。計画停電によって、給水に支障をきたしました。自家発電設備も非常用ですので、燃料のタンク容量も数時間分しかないというところで、頻繁な給油が必要であったわけですが、当時の状況からすれば、燃料の調達にも苦労したというところでありました。
そんな中で、これも1つ、全然想定はしていなかったのですけれど、消毒剤の塩素が、電気分解で塩素をつくるものですから、電力の供給不足で製造できず品不足となり調達が難しくなりました。そんな中で、幾つかの事業体から助けを求められました。塩素の備蓄がなくなってしまって調達もできないというところで、県としましても、各事業体の備蓄状況を調査しました。今日の状況では、次亜塩素もなるべく在庫を少なくして管理するようにしていますので、備蓄は事業体では余りしていないという状況で、そんな中でも幾つか余っているといっては変ですけれども、何とか余裕があるところを探し出して、県内で調達といいますか、譲り合ったというような状況です。そんな中で、日水協さんを含め厚労省さんなどに情報提供をしていただきまして、西日本のほうからも次亜塩素酸が納入できるようになりまして、何とか消毒剤の不足による断水というような最悪の事態だけは免れたような状況でございます。
もう1点ですけれども、震災地域に対して人の支援等の要請もありまして数少ないながらも支援をしたところでございます。これは水道だけではないのですけれども、ほかのセクションも含めましてやりました。ただ、自分のところの事業の継続とそのバランスを見ながら、なかなか自分の事業を継続すると、少ない3~4人の部隊からは出せない。そういった中で、ほかの部局から応援を仰いだりして、人を出して給水支援ですとか、災害復旧の事務支援ですとか、なんとか頑張ったところでございます。うまく支援業務として協力できたのかなというところはあります。こういう広範囲での大震災といったところで、今、厚労省さんのほうでも被害調査をまとめていただいているようなところだと思いますが、これも後でまとまり次第、このビジョン、あるいは各事業者に広報、あるいは説明をしていただいて、何がこの震災の中からあぶり出されて、各事業体が何を取り組まなければいけないかといったところを、明らかにしていただきたいなというところは、国のほうにお願いしたいところでございます。
あともう1点ですけれども、先ほど岡部構成員の説明にもありましたが、震災以降、水をどうやって確保するか。これは飲み水、生活用水、いろいろあるかと思います。一方、私が所属している生活衛生課は、保健医療部というところに属していまして、病院の水をいかに確保するかというところを、最近検討しているところでございます。というのも、一般的な病院はいいのですけれども、透析などをする病院が県内でも10位ありまして、私も全然知らなかったのですが、1人の透析をするのに水が100リットルから200リットルぐらい必要らしいのです。いろいろ話を聞くと、例えば事業体の給水車が1台来ても、これはほとんど役に立たない。そういったところも聞いております。そんな中で、各水道事業体に、重要拠点施設への給水管の耐震化を何とか急いで、されていないところについては、補助金の仕組みの中にもありますので、お願いをしているところでございます。
また気がついたら発言させていただきたいと思いますけれども、この場では以上とさせていただきたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
それでは、全体で質疑、討議をしてまいりたいと思いますが、特に岡部構成員のご発表の中で、スライドの45番目から、これから何をすべきかということで幾つかのポイントについてご発表がございました。事実を確認するという意味で何があったかということは非常に大事なのですけれども、それを踏まえて、これからそれぞれの立場で、あるいは水道界全体として何をするべきなのかといったことが、ビジョンをこれから構成していく上で大事だろうと思います。この点につきましてもご意見がございましたら、積極的にご発言をいただきたいと思います。もちろん発表内容に対する質疑も受け付けておりますので、そういった質疑でも結構でございます。服部さん、どうぞ。

○ 服部構成員
それでは、ちょっと発言させていただきたいのですけれども、我々のいろいろな危機マニュアル、それから、こういった危機を何とかするために動員力がまず1つ、非常に大事だろうなと思っています。動員力というのは、事業体と事業体、いわゆる官官の関係と、あと官と民間の関係、それから民間の企業同士の関係というような3つぐらいの関係になろうかなと思っています。この整備を急ぐべきだろうなと思っています。何しろ、何かあったときに、この間もホルムアルデヒドもそうなのですけれども、人をどれだけ動員できるのか、あるいは資材をどれだけ動員できるのかというのは、いろいろな側面の中からそろえておく必要があるだろうということで、官官、官民、民民といったところを、危機対応マニュアルに即して整備していく必要があるだろうと思っています。
具体例を申し上げると、我々の業界の中で、施設協が茨城県と災害の際の上下水道施設の補修の協定をしたとか、そんな話も実際ありますし、我々の協会の中で民間の企業同士で動員力について、いざというときに人を動員するというようなことを求めているような協定もございまして、そういった整備が動員力という意味では非常に必要なのだろうと思っています。
それと、せっかくのマニュアル整備ということで、33ページにマニュアルの整備もございますけれども、これも地方自治体の力というか、ふだんの業務によってルーチンのマニュアルも、人がかわる、世代交代が起こるということで、マニュアル整備があってもアップデートができていないとか、そういったことがございまして、BCPのマニュアルを機会に、ふだんのマニュアルも整備しておく必要があるのだろうと思います。これは先ほど岡部さんの発表にもあったように、マッピングをしっかりするとか、そういったことにもつながっていくのだろうなと思っています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにお気づきの点、ご質問ございますでしょうか。どうぞ。

○ 木暮構成員
今、マニュアルの話が出たので、追加で意見といいますか、述べさせていただきたいと思います。34ページにマニュアルの策定状況、あるいは防災訓練の実施状況がありますけれども、出典が水道統計といったところで、各事業体でのといったところだと理解しますが、これをみても、マニュアルを策定しているのが6割ぐらい、それに基づいて訓練をしているのが半分ぐらいといったところです。ただ、災害とか事故というのは、広域的に起こるものでございまして、先日の利根川水系での水質事故の場合では、事業体が集まった中での広域的な協議会、あるいは何らかの集まりの中で、実際にどうやって情報伝達をして連絡をとり合うのかが課題となりました。一応、形どおりの連絡体制とか、そういったものはあるのですが、反省をしますと、なかなかうまく連絡が届かなかったりとか、ファクスは行っているのだけれども、情報が人には伝わっていなかったりとか、そんなところがあったと思います。そういったところのマニュアルの検証、あるいは、恐らくそういう連絡体制の訓練なども、協議会ですとか、広域的な中では今までしていなかったのかなというところが、私も含めて反省としてはあります。こういったところで、連絡体制についても情報伝達の訓練というものも必要なのかなと。そんなことを感じた次第でございます。

○ 滝沢座長
重要なのはマニュアルプラス訓練だということでしょうか。ありがとうございます。
ほかに何かございますか。吉岡さん、どうぞ。

○ 吉岡構成員
長期間にわたっての応援給水が続いていくと、どこもだんだん疲れてくるものです。そうなると、地元でいかに支援できるかというところが、時間軸の中で重要になってくると思うのです。今回は内陸部の矢巾町と滝沢村は大きな被害がなかったので、早い段階で応援給水の体制を整えることができました。矢巾と滝沢は、給水車を購入するときに共通の仕様で購入していたために、応援体制をとるうえでとてもやり易かったことがあります。今回は4月7日に震度6弱の最大余震が発生し、大きな脅威となりました。このような中で、小さい町でが一定期間応援しに行くと、自分たちのところに何かあったらどうするのかという話になります。今回は矢巾町と滝沢村は同じ被災地に交代で協力しながら応援給水に行きましたが、残った方がどちらの面倒を見るという体制をとったのですが、その際、共通の機材を使っているというのはとても安心感がありました。継続する脅威に対応するためには、広域での共通仕様の機材を整備していれば柔軟に対応できることもあります。
あと、矢巾町では通信の手段として、各携帯電話キャリア、3つすべて、災害時優先電話にしています。災害が起きたときはなかなか携帯電話がつながりませんが、比較的、そういう回線をもっていると連絡がとりやすかったということがあります。これから、災害時の通信体制を考えるときには、そういう事も念頭に整備する必要があると思われます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。先ほど木暮構成員から広域的な対応が必要だというご発言もございました。それに加えて、今、吉岡さんから近隣の支援も重要だと。長期の支援に疲れが出ないように近隣が助け合う。同じようなご発言は、先ほど尾?構成員からもいただいたのではないかと思います。近隣で被災の度合いが比較的少なかった自治体が核になってお互い助け合うというような仕組みが大事だというようなご説明があったように思います。ありがとうございました。
ほかに。どうぞ、岡?さん。

○ 岡?構成員
座長がおっしゃる近隣、広域、大事だと思います。ただ、もう1つ、その前段に現地、実際の被害をこうむる事業体、その体制がどういう状態だったのか。したがって、現地と近隣と広域、この体系を危機管理としてはマニュアル対策を含めて組み立てるべきなのではないかと思います。
そこで、地元、現地、被災地の話になりますと、事務局提示の資料でいいますと14ページ、地震対策の分類・体系、きれいにコンパクトにわかりやすくまとめてくれていると思います。要は、施設耐震化対策、応急対策、ハードとソフト、このように羅列していくと、確かにこれが分類であり、これが課題だなというようになるのですが、よくよく咀嚼しますと、ハードの耐震化についても、対策、対応についても、それを理解し、習熟し、運用し切れる能力、現場力、技術力というものがないと、絵にかいたもちになってしまうのです。これほど技術的に進歩している時代ですから、先ほどの岡部さんの報告にもありましたように、水事業に絡む大変な技術開発、材質開発というものはされていっていると思っているのです。ただ、この間のこの会議でも課題になっていますように、中小事業体、危うい運用事業体がそのことを敢然として運用し切れているかどうか。そこのところをどうしても素通りすることはできないのではないかと思います。したがって、施設耐震化対策の現実的な技術革新・改革を含めて、運用習熟できている技術力、現場力、人間力といったものがどこでどのように保証されるのかということをやはり指摘せざるを得ないと思います。
先ほど報告をしましたが、某自治体で指揮系統が一瞬にして崩れると、何だかんだいおうと、現場で生き字引のようにさまざまな領域分野でやり切れる人たちの力というのが勝負になってくるのです。それがいわゆる現地、現場、被災地の力量。どういう被害状態になっていようと、そこの人たちの知識と力量をまず根拠にして、そこを拠点にして応援団も点から線、線から面へと広げていくというのが筋でしょうから、そこのところをあえていっておきたいと思います。
要は、中小事業体の危うい実態並びに当該事業体のみの責任でやり切れるのかどうかというところがこのビジョンでも課題ですから、このことはすぐれて各自治体の首長ないしは当局、それから議会を含めて、ハード面の計画立案、財政力というのは、簡単にいってしまうと水道事業体だけにゆだねていたってだめな話ですから、そういうところの責任を含めてちゃんと指摘をするべきなのではないかと思います。
それから、運用面、ソフト面でいいますと、36ページ、近隣、全国の応援の体系というものに関連すると思うのですが、要は、先ほど某自治体の原発事態の報告をしましたのは、何をいいたかったかといいますと、ああいうかつて経験したことのない事態は、それが原発だろうと何であろうと世の中にあり得るわけで、現場の人間は官民問わず、それを想定できたかできなかったかというまくら言葉で済ますわけにはいかんですから、その経験を踏まえて、あの1週間の渦中でも水道課の皆さんにご苦労いただいて、いまだかつてない統一テーブルなるものを設定していただいたというのは、あの事態の中でこそ苦肉の策で、現地の悲鳴を含めて出てきたと思っています。したがって、県をまたがったり、自治体を越えて、東北地震のように広域の事態のときには、被災地近隣のみならず、全国的な広域的な応援体制をとることのためには、情報と優先度合いを含めて、どこにどのようにどういう部隊を入れるのかというようなことを含めての統一指令部というものが大事になるだろう。その際に、従来、組み込んでいる日水協の皆さんを軸にした縦の全国の線と、各自治体の協定から協約を含めて、自主的な協力関係をやろうという横の線、その縦と横の線を有効的に活用しながら、なおかつ中央なり、全国の統一指令部というものをちゃんとつくって、的確な情報を流す。その中で各人が優先度合いを決定していくというようにしていく体制を体系立ててつくらなければいけないのではないかと思います。苦肉の策で、昨年、3・11のあの渦中では、水道課の皆さんが踏ん張ってくれたから、急遽、何とか統一テーブルができて、情報交換できましたけれども、これはあのときだけの話というのではなくて、しっかり教訓化して将来に生かしていくべきなのではないかと思います。そのことが、被災地現地の初動捜索から何からに対しても有効につながっていくのだろう。
端的にいいますけれども、水は、勝負は最初の3日間です。飲み水を含めてね。地域住民の皆さんからすれば、その3日を超えて水が手に入るか入らないかというのは、決定的に不安を増幅させますから、確実に3日間のうちにしかるべくバルーンでも何でも駆使しながら、拠点水域をつくって、水に手が届く状態を確保するということと、それから、一定期間の目安をもって何とかなりますよ、復旧になりますよ、水に手が届きますよというところを情宣していくこと、的確にお知らせしていくというのも、地元住民の皆さんにとっては一番の力になっていくのではないかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。2点ご指摘いただきましたが、まず第1点は、近隣あるいは広域の協力が必要だけれども、まずは被災した事業体、自治体がいかに自助するか。特に初動体制の中でしっかりとした取り組み、方針を確立し、対応するかということがまず優先、重要であるというご指摘をいただきました。もう1つのご指摘として、非常に広域な被災の場合には、やはり中央で采配を振るう、指揮をする、それから、統一的な指揮を振るうような仕組みが必要ではないか、この2点のご指摘をいただきました。対応としては、マニュアル等にも整備されているというようなこともございますし、1つはハードの対策といいますか、長期的に備えるという対策があるかと思います。もう1点は、実際に被災したときにどのように対応するのか。ソフトといいますか、ここはハードよりもむしろ人的な要素が多いというようなことをご指摘されたのではないかと思います。この両方をきちんとしていかないといけないというご指摘だったろうと思います。特に人的な部分というのは、事業体による状況の違いとかがございますので、統一してこのようなあり方というのがなかなか出しにくい部分ではございますけれども、そうはいっても、先ほど服部構成員から、官官、官民の協力体制、あるいは動員力みたいなものをしっかりと整備していく必要があるというご指摘もいただきましたし、関連したさまざまなご指摘をいただいたのではないかと思います。こういったご発言を少し整理いたしまして、具体的にどういう対策が必要なのかといったことを考えてまいりたいと思います。
まだほかにご発言があるのではないかと思いますが、佐藤さん、どうぞ。

○ 佐藤構成員
ここまでの議論の中でのキーワードとして、近隣とか広域というようなキーワードが少し含まれていたのではなかろうかと思います。一方で、資料—2の49ページ以降に、事業継続計画として、いわゆるBCP等の実際の緊急時における計画等をしっかりと策定しようというような方向が出ていて、ここも積極的に取り上げていくべきだと思います。そうすると、ここの業務継続計画には、水道事業体単体としていかにして対応するかというのと、もう1つ、ひょっとすると広域的な視点を含めた形の業務継続計画というのもあるのではなかろうかというような気がしましたので、それを1つは提案をしておきたいと思います。
それと、私自身は宮城県の出身ということもありまして、仙台市の下水道の南蒲生浄化センターの復旧の検討委員会の委員を務めました。あの際にわかったのは、やはり事業継続計画(BCP)は一定程度の効果があるということでした。ただ、さらに興味深かったのは、アセットマネジメントが実は機能したということです。具体的にはアセットの台帳そのもの、あるいは施設の状況の確認と報告ルート、こうしたことは、いわゆるアセットマネジメントはどちらかというと平常時の話ではありましたけれども、ここにリスク管理の観点を含めて、広い概念でアセットマネジメントのことを考えていくと、どうやら危機管理にも少し通用するような整理ができそうだということです。ここで私の意見、提案としては、危機管理の観点からは、アセットマネジメントとリスクマネジメントの融合を図っていこうというような考え方も、着眼点としてはあってもいいのではなかろうかなということを提案しておきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。アセットは、アセットそのもので非常に重要な課題でございますけれども、危機管理という面からみても、長期的な備えをするという中でアセットの重要性が指摘されたということだと思います。また、短期的な対応としては、BCPを整備していくといった重要性をご指摘いただきました。それに加えて、本当に起こったときにだれが対応するのかということをしっかりと職場の中で認識しておくことも大事なのかなと思います。
ほかにご指摘ございますでしょうか。長岡構成員、どうぞ。

○ 長岡構成員
岡部さんの資料は非常によくできていて、私も感心したのですけれども、最後のほうに住民にわかりやすいPR方法ということが掲げられていると思います。今回の震災で、仙台で0.07という被害率ということで、今までの耐震化の方向が正しかったということが証明されたのかなと思うのですけれども、これから耐震化を進めるに当たって、場合によっては料金値上げも含む住民の理解が欠かせないと考えています。
岡部さんの資料の中で私が非常に重要だなと思うのが、43ページとか44ページです。耐震化の見える化ということ、それから、22ページ、無ライニング管の錆こぶ、こういう現状なのですが、この辺をどうやって生の姿を住民に示して、理解を示すかというのは非常に難しい問題でもあるし、大切な問題、重要だと思います。下手にやると、水道の信頼が失われかねないこともありますし、かといって、現状を隠したままで住民の理解はなかなか得られないと思います。ですので、この辺の現状、本当の実際の姿をどうやって示して、理解を示すか、その辺の戦術が問われているのかなと思います。
それから、岡部さんのレジュメでも、上下水道は両輪ということで、まさにそれはそのとおりだと思っています。水を使いたいけれども、下水が整備されていないので使えないという事態があったので、上下水道の一体化という必要性が示されたと思います。特に事業継続計画などで、少なくとも水量に関しては上下水道が整合してこの計画が立てられなければいけないと思いますし、今回はそういうことは余りなかったかもしれませんが、例えば上流の下水処理場が被災して、それが下流に影響を及ぼすということもありますので、ぜひこの辺の上下水道の一体化しての対応、戦略というものがまさに問われていると思います。この辺は具体的な施策を進めるべきかなと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。上下水一体というのはなかなか難しい点があろうかと思います。下水のほうがまだ復旧していないから水道を使うのを待ってという話になりますと、せっかく皆さん努力して水道を復旧しても、まだ使えないという状況になってしまうということだろうと思います。いい解決策があるといいと思いますけれども、下水ともBCP等の中で話し合いをしていく必要があるのだろうと思います。
初めにご指摘いただきました市民に対する広報というような点がございました。錆こぶがついた無ライニング管のもの、これをお出しして、違う意味での誤解があるのではないかという懸念ではないかと思います。平田さん、ここら辺の耐震のいろいろな被害の状況、ご説明をお聞きになって、あるいは岡部さんから、市民目線でわかりやすいような情報の提供が必要ではないかというようなご発言をいただきました。現状での広報のあり方とか、こういった被害の状況をごらんになって、どのような感想をおもちでしょうか。

○ 平田構成員
ありがとうございます。岡部さんの資料の52ページですべて、市民の視点で書いていただいて、私は何もいうことがないのですけれども、情報の入手手段というのが大きな問題だなというのは今回の震災で痛感したところです。
あと私からは、先ほど生活用水について確保するという部分で提案なのですけれども、今後は日常的に各家庭で生活用水を確保していくような習慣づけが必要なのではないかなと考えています。ドイツの例を挙げると、ドイツは雨水利用の先進国といわれているようで、日常的に雨水をトイレや洗濯に使用できる仕組みができているということです。日本にも戸建て用の雨水タンクなど、雨どいに直接接続してためる商品などがあると聞いているのですけれども、水をためるということは、現実的に水質の問題ですとか、課題はかなり多いとは思うのですが、戸建てにこういったものを設置する助成金を出したりですとか、アパート、マンションなども大家さんや管理会社に助成金を出したりして、家庭で生活用水の確保をする仕組みも考えていかなくてはいけないのではないかなと感じました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。このビジョンの中で、危機管理のみならず、水を供給する水道事業、水を使う市民、それぞれの役割がどういうところにあるのか。みんなが協力しながら対応していかなければいけないということだと思いますので、その中で市民の視点から、市民としてできることをやるということも大事ではないかというご提案だったと思います。
ほかにご発言いかがでしょうか。浅見さん。

○ 浅見構成員
ありがとうございます。今のにもちょっと関連するのですけれども、地元の小学校で避難所の運営のお手伝いをしておりまして、そこでの問題といいますと、周りに集合住宅がたくさんあって、いざとなると1,000人近い方々が逃げてくるかもしれないという状況の中で、給水地点というのが東京都で設置されているのですが、そこまで2キロぐらいありまして、東京都の計画では十分な頻度だということではあるのですけれども、実際起こったときに、給水地点のそばにもたくさん団地があったりする中で、何千人も並んでしまったりとか、そこを当てにして本当に水が得られるのかなというのを、避難所のほうでも非常に問題に思っております。
学校ですので、直結給水が進められているのは1つあるのですけれども、もう1つ、トイレ用とかに受水槽はまず設置されておりまして、その受水槽の中の水がある程度きれいにずっと保たれているものですので、そこに蛇口をつけて、いざとなったらそこの水を何日かは使えるとか、給水車が来たらそこにポンプアップして入れていただければ供給できるということがあれば非常に安心できるのだけれども、そういう蛇口がついている受水槽というのがまだ数が少なくて、今、予算化を考えているというようなお話もいただいております。やはり実際起こったとなると、手に届くところでの貯水槽の数とか、そこから実際に水がとれるかどうかというところもきいてくるかなと思いますので、そういうことも進めていければなと思います。
あと、高層住宅で水がとまってしまいますと、トイレも大変ですし、水をくんで上がるというのも大変ですし、今回のところはすごく高層のマンションが多い地域ではなかったですけれども、実際、そういうところで起こった場合には非常に大変なことになるのではないかなというのを1つ危惧しています。
もう1つは、事業体側のほうなのですけれども、管路の備蓄ですとか、薬品の備蓄というのは、特に薬品に関しては塩素酸の基準になってから余り備蓄期間を長く置かないようにというのをかえって進めてしまった結果、今回、非常に苦労することになってしまったなという実感がございまして、いざというときに融通ができるようにというのを何らか考えていくようにしたほうがいいかなと思います。
あと管路については、サイズが同じものであれば、使える場合には、日本国内に既にあるものであれば融通ができるのではないかということで、たしか前の震災のときに、国でも備蓄を進められないかというような検討をされたかと思いますけれども、その辺の進行状況ですとか、それを教えていただければありがたいなと思います。
もう1つが、情報収集というのが一番重要というのは皆さんご指摘のとおりだなと思うのですけれども、実際、水道課で地震のときも、日水協さんもそうだと思うのですが、現地と電話が通じないことにはなかなか情報収集が非常に難しいということがありまして、テレビをみながら、ここはどうなのかなというのをみんなみているというような状況もまだ残ってしまっているかなと思うのです。今後、どのようにしたら情報収集がよりスムーズにいくというのが、現時点の技術とか体制で考えられるのか、教えていただければと思います。

○ 滝沢座長
ご質問ございましたので、可能な範囲でお答えいただきたいと思いますが、最後の2点ですね。薬品等の備蓄について、国でも備蓄を促すような動きがあったけれども、その後、どうなっているかという点と、情報収集について、何か改善されたような方法があるかという2つのご質問だと思います。よろしくお願いします。

○ 名倉課長補佐
まず備蓄についてですけれども、国のほうで備蓄するということについては承知しておりませんで、ただ、例えば事業体の中で備蓄の情報を共有するとかということは、日水協さんを中心にやられているという話は承知しております。
あと、連絡手段についても、今、どこまでの手段がとれるかということはあるのですけれども、例えば防災行政無線とかは、災害対応の部局とかには入っておりますので、そういうものを使ってやっていくことになるかなと。今回はインターネットが相当使えたので、それほど情報については苦労はせずに済んだというようなことになります。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。先ほどの吉岡さんのご発言から、薬品の確保について、たまたま首都圏に職員が出ていたので、大規模事業体から情報を提供していただいて確保できたというようなお話がありますけれども、やはり情報についても、大規模なところと地域の小さなところでは、それなりの格差といいますか、情報力、情報量の違いがあるということでしょうか。

○ 吉岡構成員
小さなところだと、どこから購入しているぐらいしか把握していないのですけれども、大きなところですと、これはどのルートを通ってきているというところまできちんと把握していらっしゃったので、そこの点は、科学院の研修に参加してネットワークができていたので、そのネットワークをフル活用して、情報を得ることができました。非常に助かった訳ですが、逆にいうと、そういう管理をすれば、小さなところでもどこから流れてきているものなのかということを把握できるということですので、矢巾町はそれを経験して、これはどういうルートで入ってきているのかなというものまで気をつけて確認するようにしています。

○ 滝沢座長
災害が起こってからではなくて、ふだんから情報を管理することが大事だということですね。ありがとうございます。
ほかに。どうぞ。

○ 熊谷室長
資材関係では、今やっています被害調査の延長線上でいろいろなものを調べてきてわかったこと、まさに今、吉岡さんがいわれた内容だったのですけれども、特に薬剤関係は、製造者メインではなくて、流通業者メインで動いているということが、多分、ふだん水道事業者がなかなか関心をもちにくい背景にあるような気がします。幾つか私がお聞かせいただいたところで、まさにいわれたように、大規模事業者ですと、直接購入している契約の業者と、その契約業者の後ろ側の製造メーカーを両方チェックしてもっていらっしゃる。そこまでの情報をもっているところと、直接契約をしている購入先、それがいわゆるメーカー系の流通であれば一体なのですけれども、製造とはかかわらない流通関係、一般の薬品流通業者とか、そういうところから調達しているところだと、通常の業務の中ですと、入ってきているという事実関係以上のところになかなか関心をもちにくいという状況がわかってきました。物にはっきり製造メーカーが入っているものは、どこから調達していても、わざわざ調べなくてもわかるのですけれども、それ以外のものですと、ふだんの契約関係と、先ほどいわれたようなサプライチェーンをきちんと把握するというのを別段階でやらないと、なかなか実態をつかみ切れないですし、そういう危機管理対応の能力をもちにくいということも、今回でわかったことの1つではないかと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。危機管理の中で、先ほど岡部さんのご発表の中で、一部資機材については事業体のほうで確保していただくことも検討いただきたいというご発言もありましたし、今の薬品のように、例えば日本全国では十分あるのだけれども、情報が伝わらないために、本当に必要なところに資機材が回らないといったようなことも考え得るのだろうと思います。そういう中で、いかにして本当に必要としているような自治体、事業体に必要な資材を適切に確保していただくかといったことが、特に被災後、情報が十分伝わっていないような状況、混乱している中で、そういったことをいかにきちんと進めていくかといったことが情報管理という意味でも課題なのだろうと思います。
どうぞ。

○ 尾?構成員
今の座長の認識とちょっと違うのは、資機材にしても資材にしても、日本全体ではあるというのは、実際はそうではないのではないか。ある会社がストップすれば、もうそれでガタガタになってしまう。つまり、ゆとりというか、在庫とかそういうものをもたない、そういうシステムが多分、今の日本のシステムだと思う。どこかの次亜塩素酸の工場が止まってしまえば、その分だけなくなるということで、パニックになりかねない。まさに余裕があれば、つまり石油の備蓄何日分とか、そういうものがあるなら別だけれども、今の段階ではそのようになっていないので、1つの会社が止まるだけでかなり厳しい影響が出てくる可能性がある、というのが実態なのではないかなと。
先ほど熊谷さんがいうように、大きな事業体は当然、工場はどこでどのようにつくっているのかということも把握しています。その工場の電気をとめないでくれという要請も当然していますし、それは厚生省からもお願いして頂いている。そういう中で対応してきました。今回、新ビジョンで、流通がうまくいくための整理の中で、どこまで備蓄材をもつかということについて、1つの考え方を示すことも大事かなと思います。次亜だけでなく活性炭も同じです。放射能で活性炭が必要であるという状態になったら、見事になくなります。つまり、皆さん在庫を抱えてもっているわけではない。回しているだけだから、全体として余分はなく、いつもより多く使ったらすぐになくなる、というのが実態かなと思います。

○ 滝沢座長
服部さん、いかがですか。

○ 服部構成員
全く尾?専務のおっしゃるとおりで、次亜塩にしても、今回はコスモ石油のコンビナートがおかしくなりました。隣に旭硝子が苛性ソーダの工場をもっていまして、コンビナートからエネルギーをもらって次亜塩を生産しているというところがありまして、それが例の火災でできなくなってしまった。そんなにもうかる商売ではないものですから、余裕をもってつくっていないというところがありまして、実際つくっているのは数社なので、1社でも生産設備がとまってしまいますと、本当になくなってしまう。今、尾?専務から紹介があった活性炭に関しても、例の放射能騒ぎがあったときに、ふだんの10倍の活性炭の量が必要になったということで、ふだん、そんなに活性炭も在庫をもっていませんから、急にそれだけの量が必要になったということで、不調に終わった自治体が相当出たというようなことが起こったということでございます。

○ 滝沢座長
大変難しい点だと思います。日常時の効率性といいますか、合理性を追求する中で、過剰な在庫をもたないという方向にだんだんいっているということですけれども、そういう中で合理化してしまうと、一方、余裕がなくなってしまって、非常時の対応余力が小さくなっていく、あるいはなくなってしまうということなのだろうと思います。この2つ、どうやってバランスをとることができるのか、どうしたらいいのかというのは、水道界全体で、製造業者さんも含めて大きな課題になってきているのだろうと思います。
岡部さん、こういう点について何かご意見ございますか。

○ 岡部構成員
私も今回の地震で思ったのは、広域の災害のときには、多分、薬剤もそうですし、資材もそうですし、人もそうですし、重機もそうですし、すべてが回らないのです。私もちょっといっておいたほうがいいかなと思うのは、よく自助、共助、公助という言い方をしますけれども、今回の中でも、大きな事業体でも自分のところで手いっぱいだったし、小さな事業体は皆さん割と自分たちで一生懸命やっていました。だから、こういう災害時に備えた人材育成みたいなものもなかなかできないとか、物もないということで、何となく協力体制とかマニュアルをつくってというサポートシステムはいろいろ議論されるのですけれども、事業体そのものがみずから備えていく。多分、自治体も今、住民の方々にも全部助けてあげますよという言い方ではないのですよね。まず自分で身を守ってくださいと。自分で水を確保して、食料も確保してください。ただし、事業体としてもここまでのことはやりますよという感じなので、水道も本当にこれからのビジョンを考えるときに、各事業体が何か広域の災害があったときにどうにか助けてもらえるだろうとか、それだけではだめなのだろうなと思います。先ほど岡?さんからもありましたが、みずから実際に直したり、調達したりするようなことをちゃんと考えられるような、考えるためにはどうしたらいいかというような形のこともビジョンで示していく必要があるのかなと思います。

○ 滝沢座長
岡?さん、どうぞ。

○ 岡?構成員
それに関連していいますと、水道は水道領域での全国的な対策、対応マニュアルをつくっていくという作業は当然なのですが、今、だんだん話が進んできているのは、むしろ国家的な防災対策、戦略にもかかわってくることの範疇があるのではないかと思うのです。水道の全国的な戦略性からする必要な物資、情報、体制、マニュアル等々の立て方はどうあるべきかというのは、水道の具体的専門性を含めた細かさは我々が責任をもつとしても、基本戦略のところの国家の防災戦略対策会議がそこら辺は、社会インフラ、戦略物資、大事な分野についての基本線を打ち立てるべきだと思います。それとのキャッチボールがなければ、水道屋さんというのは皆さん各領域分野、官民問わず良識的、人のいい人たちが多いですから、それぞれ自力自動で穴掘りワンワンで頑張りはしますけれども、おのずと限界というのはあるわけで、国家規模、全国規模、戦略規模と専門分野規模の戦略性、戦術性というところの組み立て、体系整理が必要なのだろうと思います。
そこで1つ、この際ですから、あいまいにせずお聞きしたいのですが、要は中央防災会議も含めて、例えば事務局作成の資料でいうと、33の災害対策にかかわるマニュアル関係なのですが、見事に原発事故対策マニュアル策定というのはないのです。それから、もっといえば、23ページの被害分類の中でも、地震による被害、液状化による被害、津波による被害は記載されていますが、今回、特徴的なのはいかにも原発事故による被害というのがあったはずですから、なぜこういうところが抜かるのか、これは意識的なのか、意識的でないのか、そこのところは水道課はちゃんと答えておいてください。
それから、このマニュアルについて今後どうされようとしているのか。このビジョンにはせっかく総務省からも同席されていますから、この際、水道課だけではなくて、総務省の見解もお聞きしておきたいと思います。お願いします。

○ 滝沢座長
水道課のほうからご発言いただけますか。

○ 名倉課長補佐
まず原子力関係の対応については、災害対策基本法に基づいて計画が定められておりまして、その中では原子力関係の災害が起こったときにどう対応するかというようなことは書かれているということになりますので、基本的にはそれにのっとって動くことになります。また、33ページのところに載っていないというのは、ここに載せているのが水道関係で既に指針を示しているもので、既にお示ししているマニュアル策定指針の現状ということになりますので、これまでの段階ではこういう事態は想定していなかったということで、これまでは個別にはなかったということになります。今後、こういう事態に備えてどう対応していくかというのは、災害対策基本法に基づくものをみながら、水道としても個別のマニュアルをつくる必要があるのか、例えば地震対策等の一部分として扱えるようになるのかということは、これから考えていくことになるだろうと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
続きまして、総務省からご発言いただけますか。

○ 笠井室長
今、岡?構成員からお話があったのですが、総務省としてこの場にオブザーバーとして同席させていただいていますが、私たちは地方公営企業とファイナンスというようなかかわりで、今後、水道の運営基盤の強化とか、そのようなことではいろいろなかかわりが出てくるわけでございますが、危機管理対応と原発被害、このようなことについては、まさに知見を持ち合わせていないというか、全くの担当外と承知しておりますので、ここでいろいろなことをお答えする立場にないということをご理解いただければと思います。

○ 滝沢座長
よろしいですか。

○ 岡?構成員
それぞれのお立場はおありでしょうから、これ以上はいいませんが、いかにものんきですよね。この場は総務省の皆さんはオブザーバーですから、あえてそれ以上いいませんが、水道課に関して、名倉さん、あなたは一生懸命頑張っておられる人だということを承知の上であえて申し上げますが、今のような姿勢だと、実際、あの1年前には現場対応指揮はとれなかったし、これから万々が一、どこかで同様のこと、あるいはそれに近いことがあった場合には、水道課は赤っ恥をかきますよ。そんな悠長なことでは済まない事態が現実に発生したのだから、これは理論でも空論でもあれこれでもないのですから、現実に現場にたたき込まれた人がいっぱいいるわけですから、そのことを引き寄せて、たぐり寄せて、どのようにするのかということは、水道領域分野から、水道課の見識、見解を含めて、中央防災対策会議に殴り込みをかけるくらいのことをやってもらわなければ、全国の現場の水道を日々維持してくれている官であろうと、民であろうと、そういう人たちの姿勢にはこたえられないですよ。ここは検討委員会の場ですから、いかようにも意見をいえといわれれば意見をいうし、あれこれ整理をすることも協力はするけれども、このビジョンの検討論議以前の今の話は、厚労省の資格、責任においてやるべきことでしょうから、そういうことはちゃんと言い切らなければ……。以上。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。どうぞ。

○ 石飛課長
岡?構成員、ご意見ありがとうございます。今回の特定テーマということで、東日本大震災の、非常に幅広い議論ではあるのですけれども、その中で主として地震と津波ということに限ったということで、岡?構成員からのご指摘がまずあったものであろうと思います。もう1つは、国レベルでこれをどう反映させていくかということも大事だということでありました。この水道ビジョンは別に法律に基づいて、危機管理は地震と津波しか扱わないということでは全くございませんので、当然、先ほどからいろいろご指摘もありましたし、原子力災害に伴ってさまざまな危機管理ということを我々はもうちょっと高めていかなければいけないというのは重要な視点だと思っておりますので、それは新水道ビジョンの中でもきちんと位置づけをするようにしていきたいと思います。それが1点です。
それから、国レベルで先ほどの資機材、薬品、さらに燃料、こういった面をみても、水道だけでは何ともしがたいものがあるということは、今回も再認識させられました。そういうことも含めて、国レベルでどういう備えをしていくかということは、当然、これからの国レベルでの危機管理の対策の強化の中で議論されるべきことだろうと思います。私たちはこの新水道ビジョンの議論の中で出てきたものは、当然、政府の中央レベルにも上げていって、そういうものを反映すべきところでは反映してもらいたいということは、しっかりとこちらからも情報発信、意見をいっていきたいと思っております。ご指摘ありがとうございました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
少し時間が押してまいりましたけれども、震災の関連でさまざまなご意見をいただいたところでございます。意見が多岐にわたっておりますので、きょう、この段階ですべての意見を集約して、この方針だという形にまとめるのは難しいと思います。きょうの段階では、できるだけたくさんの意見をちょうだいして、また次回以降、その意見をいかに集約していくか、まとめていくかといったことをまた別の機会に議論してまいりたいと思います。そういう意味で、追加の意見がございましたら、時間の許す限り拝聴したいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○ 尾?構成員
事務局でのいろいろな資料づくり、大変ご苦労さまでした。新水道ビジョンでこういう視点も必要かなというのを少し思いましたので、事務局で考えてみてほしいと思います。今から20年後、30年後に、もし東日本大震災のような地震が来たら、施設の被害はどうなっているのか。施設整備を進めた場合と進めない場合と、いろいろあると思うのですが、そのときにどうなるのか。また、人口減少時代に入ってくる、あるいは水道技術者が減ってきているという中で、応急給水なり応急復旧が、今回どおりにできるのかどうか。いろいろな大きな課題、将来にわたってという、そういう視点での課題発掘が必要だろうと思います。その視点で見てくれば、ビジョンにどのようなことを盛り込んだら良いのか、ということが見えてくるのかなと思いますので、ぜひとも、そうした視点で検討していただけたら、プレゼンテーションされた岡部さんのご努力も、実るのではないかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。20年後、30年後の姿を具体的に示すことで、将来ある姿、あるいは今やるべきことがより具体的にわかってくるのではないかというご提案でございます。事務局を含めて検討させていただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。ご発言ございますか。どうぞ。

○ 吉岡構成員
私のほうから、先ほどなぜ矢巾町が最初にサプライチェーンのことに気づいて、早目に薬剤を確保できたかというと、日ごろから考えていたからなのです。ただ、周りを見回してみると、いつかどこかに助けてもらえるだろうとか、そんなことばかり考えている所が結構あります。確かに困っている小規模水道事業は結構多いのですが、小さいにしてもふだんから自分事として考えているところは、それなりの対応ができていたと思うのです。小規模に限ったことではなく、中規模ぐらいになっても、いつか民間が助けてくれる、いつか広域で助けてくれる、国が助けてくれるといった、いわゆる持続可能性の手段ばかりに気を取られているところは、非常に対応がまずかったと私は思っています。
ですから、国でしっかり対応をとるというのも必要なことなのですが、我々事業者自体がもっと当事者意識をもって、自分たちのところをどうするのかという、まさしくビジョンですよね。国のビジョンがあって、地域水道ビジョンにつながるというところを意識しながら、ふだんから考えていくというところもビジョンの中にうたっていけたらいいのではないかなと。まさしく考えないところは、これからどんどんだめになっていくのだと思います。わが国の水道事業の特性は多様性、規模にばらつきです。とても多くの事業があるので、すべてに対応した解決策を見出すのは難しいのが現実です。その中でどう対応していくのかというのは、やはり考える力、当事者意識をもっともたないといけないのではないかなと考えます。震災を経験して思ったのですが、やはり自分のところでちゃんとやらなければいけないということです。多分、多くの被災した自治体は身をもって思ったと思うのです。そういった流れを風化しないうちに、大切につなげていけたらいいのではないかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。大変重要なご指摘だと思いますけれども、ふだんから考えるというのは重要でもなかなかできないところも多いと思いますが、何がかぎになるか、矢巾町の経験も含めて、あるいは今回、被災した自治体の方々は、被災を経験して、そこら辺、考え方に変化というのはみられているのでしょうか。

○ 吉岡構成員
まず被災した自治体がどんな意識になっているかということなのですが、今年度、私どもの周辺でやっている岩手紫波地区水道事業協議会の研究会のほとんどが、リスクに関係してくるテーマになっています。来るであろう危機にどう対応していったらいいのだろうかというところが意識されていると思います。日本全国の問題としては、東日本地域で大きな地震が起きると、統計的に今度は南海トラフのほうで連動して巨大地震が起きているという過去のデータがあります。また、単発で局地的にやはり大きな地震が起きているので、その地震にどう対応していったらいいのだろうかという意識はかなり高くなっていると思います。ですから、耐震化について意識が高くなって、この間、GX管の勉強をみんなで集まってしましたが県外からの参加者も多くあり、かなり意識が変わってきているのだろうと思います。ただ、住民の意識というのは、大切だ、大切だといっている割には、料金の値上げには反対という意識が一番根強いので、そこら辺をどうしていくのかなというところが、もとに戻ってしまうような感じなのですけれども、とても重要なのかなと思っています。
あと、どうしてふだんから考えられるかというと、常に批判的にみているから、多分考えることができるのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
どうぞ。

○ 浅見構成員
今、尾?様とか吉岡様のご意見、非常に重要だなと思っております。実は原子力に関しては、もともと原子力総合防災訓練というのがありまして、もとから政府全体で毎年訓練をしていたわけですが、それが非常にシナリオに沿って行われていたということもあって、今回、シナリオどおりにもいかなかったし、予想外のことがいろいろ起こったのもあって、そのとおりには全くいかなかったけれども、やっていなかったよりは、ある程度、みんな知識も少しはもっていたのではないかなと思います。
あと、何かきっかけがないとなかなか考えられないというのと、そのきっかけというのは、何度も何度も繰り返しきっかけをもたないと、なかなか人は動けないものだなというのもありますので、例えば年に1回、断水の日というのを設けて、実際に断水するというのはなかなか難しいと思うのですけれども、もしきょう、前と同じようなことですとか、もっと大きな何かが起こったときに、どれだけ対応できるのかというのを、何か考えるきっかけにするとか、マニュアルが実際に整備されているかとか、それが機能しそうかどうかというのをチェックするですとか、職場にちゃんと食品が残っていて、事業体の方もちゃんと職場に泊まれるのかとか、そういうことを見直すようなきっかけを何らかの形で設けて、繰り返しリマインドするというようなことも重要なのではないかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。記憶はすぐに失せてしまいますから、いろいろなことを常に記憶に呼び覚ますような努力が必要だということだと思います。
ほかに何かお気づきの点。どうぞ。

○ 佐藤構成員
今回、危機管理、震災、あるいは津波対策ということですけれども、これをもう1つ考えなければいけないのは、事前対策として耐震化を進める、あるいは事後にしても、結局のところ、実はお金の問題が絡んでくるということをどうしても指摘しなければいけないと思います。そうした場合に、結局のところ、料金まで反映させる——させるかどうかは別として、この問題を広く水道利用者の皆さんにわかってもらうようなことを、危機管理との関係からも少し明らかになるような打ち出しが必要ではなかろうかと思います。特に水道事業者におかれましても、料金が高くなるから耐震化を先送りするような傾向がある。あるいは、住民のほうにしても、高くなるよりは、目先は困っていないので、安い料金で何とかという意識はありますけれども、結局のところ、事前対策なのか、事後にお金が絡むという話は、お金を確保するという観点から、その確保自体が実は震災対策だということも、経営関係から指摘しておきたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。長期の対策と短期の対策があると思いますけれども、長期的にしっかりとした施設をつくるためには、今、ご指摘にあったようなお金の問題も重要だというご指摘でございます。
ほかに何かお気づきの点ございますか。どうぞ。

○ 岡部構成員
これは国の水道ビジョンなのですけれども、耐震化が進まないとかいわれて久しいですし、皆さんからいろいろな意見が出るのですが、実際の事業体さんがなかなかできないのが現実でして、何でできないのかとか、そのあたりももうちょっと掘り下げる必要があるのではないかと思うのと、実際の事業体さんが具体的に何をしたらいいのかというようなところをもう少し親切にというか、サポートする必要があるかなと。ビジョンの中にそういったことを盛り込んでほしいなと思います。

○ 滝沢座長
ほかに何かご意見いただけますでしょうか。いいですか。
それでは、本日、多くの意見をちょうだいいたしました。先ほど申し上げましたように、この意見を一つ一つ、事務局も含めて、いかにこれからビジョンの中に反映させていくかといったことを少し考えさせていただいて、また、次回以降の機会に皆様と一緒に議論を進めてまいりたいと思います。
本日の議題、以上ですべて終了いたしました。事務局から今後のことについてご連絡いただけますでしょうか。

○ 名倉課長補佐
本日の議事録につきましては、皆様にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
また、今後の検討会の開催日時ですけれども、第6回を7月23日月曜日、14時から17時に予定しております。なお、場所につきましては決まりましたら改めてご案内いたします。

○ 滝沢座長
それでは、以上で本日の検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局水道課

(代 表) 03(5253)1111 内線4028
(直 通) 03(3595)2368

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