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2011年12月6日 平成23年度第1回水道における微生物問題検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成23年12月6日(火)15:00~17:00


○場所

三番町共用会議所第3・4会議室


○出席者

出席委員

遠藤座長、泉山委員、片山和彦委員、勝山委員、国包委員、黒木委員、西村委員、福井委員、船坂委員

出席説明員

川口説明員、佐々木説明員、高藤説明員、水野説明員、渡邉説明員

○議題

(1)粉体ろ過法に関する課題等への対応について
(2)クリプトスポリジウム等の検出のための試験方法等の改正について
(3)水道におけるクリプトスポリジウム等対策の実施状況について
(4)その他

○議事

○橋口係長
 では、定刻となりましたので、ただいまより「平成23年度第1回水道における微生物問題検討会」を開催いたします。
 委員の皆様方には、御多忙の中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日の出席状況ですが、8名の委員の方に御出席いただいております。なお、片山和彦委員、西村委員、船坂委員は御欠席と御連絡をいただいております。
 ここで、本検討会開催に当たりまして、事務局を代表して尾川水道水質管理官よりごあいさつ申し上げます。

○尾川管理官
 初めましての方もいらっしゃいますけれども、本年7月に水道水質管理官を拝命いたしました尾川でございます。最初に一言ごあいさつを申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては、ふだんより水道行政の推進に御尽力いただきまして誠にありがとうございます。また、本日は、師走のお忙しい中をこの会議に御出席いただきましたこと、感謝申し上げる次第でございます。
 さて、クリプトスポリジウムなどの耐塩素性微生物に対する対策につきましては、平成18年度末、19年3月に現在の対策指針ができましてから4年半が経過しようとしているところでございます。この間、この検討会も開いていただきまして、指標菌の見直しなどもいたしましたけれども、大きな課題でございましたクリプトスポリジウムの試験方法、検査方法の見直しにつきまして、泉山先生を初め、皆様方の尽力によりまして、成案に近い形で御用意することができましたので、本日、審議をお願いしたいという次第でございます。
 さて、今日の議題でございますけれども、1番目に、技術的な宿題といたしまして残っておりました粉体ろ過法につきましてのお答えを御用意いただいておりますので、資料1でそれについて御説明をお願いしまして、御意見をいただき、固めたいと思います。
 それで、粉体ろ過法について御了承いただいたという前提でございますけれども、資料2のシリーズで、現在、通知で検査方法を定めてございますけれども、その改正案という形で、粉体ろ過法と遺伝子法でクリプトスポリジウムを濃縮・検出する方法につきまして、追加したいということで案をつくってございます。これについての御審議を2番目にお願いしたいと思います。
 最後、3番目でございますが、対策の実施状況につきまして事務局の方から御報告申し上げまして、これから先の課題について御意見を賜りたいということで進めさせていただきたいと思っております。
 本日は、お忙しい中ではございます、また時間も限られてございますが、本件につきまして忌憚のない御意見を賜りまして、よりよい方向に進んでいくようにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○橋口係長
 では、お手元の配付資料の確認をお願いしたいと思います。配付資料の一覧については、議事次第に付けてございます。資料を読み上げさせていただきます。
 資料1「粉体ろ過法に関する課題等への対応について」。
 資料2「クリプトスポリジウム等の検出のための試験方法等の改正について」。
 資料2-1「水道に関するクリプトスポリジウム等の検出のための試験方法案」。
 資料2-2「飲料水におけるクリプトスポリジウム等の検査結果のクロスチェック実施要領案」。
 資料2-3「船坂委員提出意見」。
 資料3「水道におけるクリプトスポリジウム等対策の実施状況について」。
 参考資料としまして、「運営要領」。これは、参考資料すべてを1つとじにしてございます。
 資料の不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
 それでは、マスコミの方におかれましては、恐縮ですが、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 続きまして、本検討会の座長でございますが、昨年度に引き続きまして遠藤先生にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
 それでは、御了解いただいたということで、これ以降の議事進行については、座長の遠藤先生にお願いしたいと思います。

○遠藤座長
 遠藤です。今日、5時ぐらいまでよろしくお願いいたします。
 特にごあいさつを申し上げることもないと思いますので、早速入りたいと思いますが、議題に入る前に、検討会運営要領4.その他で、「検討会の公開の取扱いについては、検討会において決定する」という1項がございます。それで、確認させていただきますが、厚生労働省の水道課に設置する各種委員会・検討会は、すべて基本的には個人情報の保護等の特別な理由がない限りは公開としております。従いまして、当該検討会も開催予定、委員の氏名・職業、会議資料及び議事録も同様に原則公開といたしますので、御了解をいただきたいと思います。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず初めに、「粉体ろ過法に関する課題等への対応について」、資料1、別添も含めまして、泉山委員から御説明をお願いしたいと思います。

○泉山委員
 泉山です。よろしくお願いします。資料1を使って説明申し上げます。「粉体ろ過法に関する課題等への対応」ということになります。
 この資料を見ていただきますと、1.経緯ということで、平成23年2月17日に開催された本検討会において、粉体ろ過法の検証結果に関する審議において以下の課題等が出されました。
 まず1番目に、回収率低下の原因となる支持フィルターの浮き上がりについては、解消が必要であること。
 2番目、粉体ろ過法の試験操作の詳細を理解する上で、参考となる資料が整理されているとよいということ。
 3番目に、回収率や操作性に関して、粉体ろ過法と従来の濃縮試験方法と比較表が整理されているとよいということ。
 4番目、粉体ろ過法の回収率の考え方について整理しておくということです。
 粉体ろ過法は、私の方から提案させていただいておりますクリプトスポリジウム等の濃縮方法ということで、実際に昨年度の平成23年2月17日の検討会において検証結果をお出しして、その結果としてこれだけの課題をいただいた次第です。その課題を解決するために、検証機関の皆様の協力をいただきながら、支持フィルターの浮き上がりについて改善を検討し、試験方法の詳細や濃縮試験方法の整理及び回収率の考え方について整理を行いました。
 2番を見ていただきますと、課題等への対応についてとなります。
 2.1支持フィルターの浮き上がりについて。これはどういうことが起きていたかといいますと、粉体ろ過法に浄水用の使い捨てフィルターがあります。その使い捨てフィルターの中に、粉体を支持するための支持フィルターが入っています。これが使用中に浮き上がってしまって、粉体のろ過がきれいにできなくなるという問題が検証機関から指摘されました。
 製造元との共同研究においてその解消に努めた結果、支持フィルターの変更を行い、それからプラスチックによるフィルター締め付けの圧力が不足していた問題の解消を行いました。その後に、問題を指摘してくださった神奈川県企業庁の検証で、支持フィルターの浮き上がりが解消されていること、それとともに捕捉性能の向上が確認されました。この浮き上がりが解消されていることは、浜松市上下水道部でも確認していただいております。
 詳細について、別添1「粉体ろ過濃縮法検証作業 結果整理表」を使って御説明します。1枚めくっていただきますと、右上に別添1と書かれている資料がございまして、これが神奈川県企業庁で検討してくださった検証結果になります。
 2番の検証結果概要の部分を御紹介します。
 まず、項目としましては原水ですけれども、これは相模川の表流水を使って検討されて、ろ過水量は2から24L程度を1時間の間にろ過することができた結果になっています。
 それから、浄水ですが、凝集沈殿ろ過をして塩素消毒して濁度は0.1未満、この浄水を使ってろ過水量の評価を行い、220Lから340Lが24時間でろ過できたという結果になっています。
 それから、問題は捕捉性能。(問題が生じて)捕捉性能が落ちていたのが、今回その問題箇所が解消されたことによって、浄水において蛍光ビーズを使って評価して、ほぼ100%の捕捉が確認できた結果です。同様に、固定のクリプトスポリジウムを使った場合でも、97%の捕捉が確認できた。この間にろ過のユニットに一切のトラブルがなかったという結果です。それから、同様に原水を使った場合の評価でも、蛍光ビーズは95%が捕捉されたという結果になっています。
 クリプト検査は回収率が問題ですが、原水から精製操作、この場合は免疫磁気ビーズ法、この操作を含むクリプトスポリジウムの回収操作を行い、回収率66%でした。
繰り返しになりますが、浄水用のろ過ユニットに問題が生じていた、支持フィルターが浮き上がってしまうという致命的な部分があったわけですけれども、このように改善がなされたという結果になっています。
 次に、資料1に、1ページ戻っていただきまして、2.2の粉体ろ過法の詳細説明について御紹介します。
 粉体ろ過法とここで呼ばせていただいているのですけれども、それだけでは一体何をしているか、わかりにくいという御指摘をいただきました。具体的な濃縮の操作、濃縮後の粉体の溶解あるいは蛍光抗体染色による顕微鏡観察、それから高濁度原水におけるろ過水量等、粉体ろ過法の実際を把握する上で参考となる資料を整理しております。
 別添2から別添5までが用意してあるのですが、順番を変えまして、別添3からまず御紹介させていただきたいと思います。右肩に別添3と書いてある資料を見ていただきますと、「粉体ろ過法の詳細(写真及び模式図)」と、写真付の資料が用意してあります。写真を見ていただいた方がイメージがわきやすいと思いまして、先にこちらの紹介をします。
 粉体ろ過を行うに当たって、ろ過を補助してくれる装置がありまして、こちらにはろ過補助装置の写真が載っています。左側に上水用の装置、右側に上水と原水用の両方に使える装置です。
 圧力制御弁を入れることによって安全性の向上ということを行っており、それが右側のろ過補助装置となります。右側を主に使用しております。写真のろ過補助装置の中央部分に金属製の直径90mmの原水用金属ホルダーがセットされているのですが、その部分がろ過の心臓部、ろ過をしている面になります。そこに原水用のホルダーをセットするか、あるいは浄水用のろ過ユニットをセットするか、の使い分けを行います。
 このろ過補助装置には粉体の混合槽とスターラー、圧力計と圧力制御弁、ろ過ユニット、流量計等があり、粉体ろ過法の実施が簡易になるように補助する機能があります。この装置を使うことによって、給水圧あるいはポンプで加圧ろ過を簡便に行うことができるようになっています。
 2.使用の様子に移りますと、実際には左下の写真にあるとおりですけれども、例えば検水台に装置を持っていきまして、連続的にここでは上水あるいは原水が流れているわけですが、その水をビーカーに受け、ビーカーからチューブをもって試料水を採水します。ポンプで送液しています。ろ過排水は検水台に排水しています。
 添加回収実験では、そのビーカーの中に界面活性剤と、クリプトスポリジウムオーシストあるいは蛍光ビーズを添加して、装置に繰り返し流し込む操作を行い、回収率を求めています。
 1枚めくっていただいて裏側を見ていただきますと、実際に心臓部となるろ過ユニットの写真が載っています。3.上水及び原水の濃縮物典型例となっています。
 左側が上水、右側が原水です。左側の上水は、A)37mmの浄水用使い捨てユニットを写真に撮ったところです。上側から水が入って、下側に水が抜ける流れの方向になり、下側に粉体ろ過を使ったケーキのろ過層ができています。中からケーキろ過層を取り出して回収します。
 B)を見ていただきますと、取り出したろ過層の写真になっていまして、端を一部分カットしてあり、このように厚さが1mmないし2mm程度のろ過層になっています。
 その部分を拡大しますと、C)になりまして、ケーキろ過層の断面が見えていて、上から下に水が抜けます。そして、これが平面ではなくて、粉体の積層した立体的なフィルターにろ過物が詰まっていく構造になっています。
 右側の原水の説明もほぼ同様で、A)は90 mmの原水ホルダーを使っていますが、原水ではろ過水量の確保に、面積を増やしています。
 B)はケーキろ過層を取り出したところで、このように90mmのろ過層ができている。
 C)はケーキろ過層を一部断面を拡大したもので、浄水に比べますと汚れがよく見える結果になっています。
 資料を2枚ほど戻っていただきますと、右肩に別添2と書かれていまして、これが「粉体ろ過法 操作方法の詳細」とあります。
 1.検証項目。原水・浄水のろ過水量、まず、どれだけろ過できるかということを評価します。
 次に、蛍光ビーズあるいは固定クリプトスポリジウムを使って、捕捉性能を評価します。
 3番目、固定クリプトを使って免疫磁気ビーズ法等の精製操作を含む回収率を評価しました。
 評価の結果、成績については既に御紹介したとおりで、ここでは実際にどのような操作が行われているかについて御紹介します。
 2.試験法の流れを見ていただきますと、37mmの先ほど写真でごらんいただいたプラスチック容器、あるいは、直径90 mmの金属製の容器があり、この中に支持体を置き、その上にケーキろ過層を形成しています。
 次に、ろ過をします。ろ過層の形成とろ過操作は、中断することなく続けて実施する必要があります。ろ過層が維持されていなければ性能が発揮できないので、圧力変動を避けて間断なくろ過します。
 次に、ろ過を終了しましたら、ろ過水量等を記録します。
 最後に、濃縮物を密栓して冷蔵保存し、必要により検査を行います。
 途中飛ばしまして、下に3.粉体の溶解方法があります。粉体に捕捉された濃縮物をどのようにして取り出しているかを御紹介します。
 粉体を必要により分割して、1.5gまでの粉体を50mlの遠心管に移します。界面活性剤の水溶液を使用して、支持体のメンブレンフィルターから粉体を洗い流して、支持体のメンブレンフィルターを除いて、目的の粉体だけをチューブに移します。
 次に粉体1.5g当たり1Mの塩酸を25ml加えて粉体を完全に溶解します。必要により、完全溶解するまで塩酸を若干追加します。この後は、必要に応じて遠心洗浄を行ったり、あるいは直接の観察用のフィルターにろ過をして観察に移ります。
 ページをめくっていただきまして、4.粉体分割方法がありますので、簡単に御紹介します。
 下に写真が1、2、3、4とあり、粉体はろ過が終わりましたら、余分な水分を除いて、それから取り出しています。取り出した粉体は、1.5gまで50mlの遠心管で処理できるのですが、それを超えると処理がしづらいです。あるいはたくさん濃縮したときには一部分だけを処理すれば、それで試験に足りるので、粉体を分けて、一部だけを使う操作を紹介している写真になります。写真1は余分な水分を除いたところで、写真2は半分に切ったところ、写真3は4分割したところです。このように分割して、その一部を使うことにしています。
 次に、右のページを見ていただきますと、5.磁気ビーズ法精製のための前処理ということで、酸とカルシウムの除去があります。塩酸を使って粉体を溶解した後に、塩酸を除く前処理が必要になります。資料にあるとおりの細かい操作になりますが、遠心洗浄とキレート剤を使って、酸とカルシウムを除去します。
 3枚めくっていただいて、右肩に別添4と書いてある資料を見ていただきますと、「粉体ろ過法により回収したクリプトスポリジウム及びジアルジア(写真)」があります。これは、粉体ろ過を実施して回収したクリプトスポリジウムとジアルジアを観察した写真です。回収したクリプトスポリジウムは、1Mの塩酸を用いた強い処理がかかっていますが、それでも抗原性、具体的には蛍光抗体によって染色できるということ。それから、形態、微分干渉顕微鏡によって内部構造の観察ができていること。特に影響はなかったという結果を例としてお示ししました。
 1枚めくっていただきまして、別添5は「粉体ろ過法における濁度とろ過水量の関係」という資料です。
 粉体ろ過法の実用性の一つとして、原水のろ過濃縮をするに際して、ろ過可能な水量が問題となります。こちらのグラフのとおり、横軸は濁度、縦軸はろ過水量で、ろ過できた水量をプロットしてあります。対数グラフになっています。濁度10度のところでろ過水量10Lを超えることができるというおよその関係が見えます。
 資料1、一番最初に戻っていただきまして、1枚めくって2ページ目を見ていただきまして、2.3粉体ろ過法と従来の濃縮試験方法との比較表について御紹介します。
 平成22年度の第1回検討会で提示しましたろ過濃縮法、比較表があったのですが、今回の一連の検証で明らかとなった、ろ過に要する時間や回収率の項目を追加して、詳細に示しました。そのほか、同じ試料水で他のろ過法の結果と比較するという意味で、検証機関が実施している他の濃縮方法によるクリプトスポリジウムの回収率を別途整理して、資料にしております。
 それから、平成22年度の第2回検討会で、粉体ろ過法の回収率という言葉に関する記述が明確ではないという御指摘をいただき、以下のとおりに見直しました。
 まず、粉体ろ過法単独の性能を、これを見直し前は単純捕捉回収率と呼んでいたのですが、これではわかりにくいということで、見直し後は捕捉性能にしました。
 次に、濃縮・精製・検鏡操作のすべての操作を含む回収率。これは、見直し前は総合回収率と言っていたのですけれども、見直しの後は回収率にしました。本日配布の一連の資料は、このように統一してあって、意味を取り違えることのないように配慮してある次第です。
 では、ページをずっとめくっていただいて、右肩に別添6と書いてある資料がございます。内容は、「ろ過濃縮法の比較表」になっています。
 横方向にアセトン溶解法、PTFE法、カートリッジフィルター法、中空糸フィルター法、粉体ろ過法と、複数のろ過方法が列挙してあります。縦方向に比較する項目、ろ過水量の目安、ろ過に要する時間等が並べてあります。
 ろ過水量の目安では、粉体ろ過法はこれらのろ過法の中では比較的多い方だろうと思います。
 次に、ろ過に要する時間では、粉体ろ過法の場合は原水が30分ないし1時間程度。浄水の場合は24時間連続で濃縮できます。ただし、濁度によって変動する可能性があり、特に、原水は濁度が高くなってきますと、先ほどの資料の通り10度を超えてまいりますと、ろ過の操作を2回以上の複数回行わないと10Lの試験ができない結果です。
 詳細については途中飛ばしまして、左下、回収率を見ていただきますと、大体8割程度ということで、どのろ過法を使ってもそういう回収率が得られていることがわかっています。今回、免疫磁気ビーズ法を使って複数の検証機関の方に結果を出していただいて、粉体ろ過法でもそのように回収できました。
 1枚めくっていただきますと、別添7「粉体ろ過法以外のろ過濃縮法におけるクリプトスポリジウム等の回収率」ということで、これは検証機関の方々が実際にほかの濃縮法で日常の業務として行われている回収率を、資料として寄せていただいたものを列挙したものです。
 生の数値になっていまして、PTFEフィルターのろ過の場合、1行目に58%のクリプト、ジアルジア18%という数字があって、下の行ですと、77%に62%となっています。
 左下はアセトン溶解法の場合で、右上は中空糸フィルターの場合で、右下はカートリッジフィルター法の場合と、どのろ過法を使った場合でもおおむね5割から8割程度の回収率が得られているのではないかと思います。
 では、先頭の資料1に戻っていただきまして、1枚めくって2ページ目の2.4粉体ろ過法の回収率の考え方についてになります。
 粉体ろ過法の妥当性ですけれども、既に位置付けられている他の試験方法の回収率と同等の結果が得られることが基準と考えております。この基準に従えば、検討会で示している一連の検証結果のとおり、粉体ろ過法は他の試験方法の回収率と同等以上の結果が得られております。よって、粉体ろ過法をクリプトスポリジウム等の濃縮法としての使用に適しているのではないかということで、提案する次第です。
 以上が粉体ろ過法の御紹介です。ありがとうございました。

○遠藤座長
 ありがとうございました。大分厚い資料ですけれども、重要なことは御説明いただけただろうと思います。これにつきまして質問、御意見等がありましたらお願いいたします。泉山先生の御説明は、前回のこの検討会で出てきた問題点を列挙して、それについてどの程度改善された、あるいは解決されたかというところが示されたと思います。この点をご理解いただいたうえで御意見、御質問等をいただけたらと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

○国包委員
 どうもいろいろと詳しい御検討をいただきまして、ありがとうございました。
 1つ、私、詳しくは試験法を理解していないのかもしれませんが、私にとっては、まだ余り明確ではないのは、捕捉性能のことです。言葉はこういうふうにされたということで、回収率は全体についての回収率。これはこれで、よくわかりますが、捕捉性能というのが説明なしに、この言葉だけですと、少なくとも私自身はよくわかりませんし、今、御説明いただいたのですが、それでも私自身はよくのみ込めていないのです。
 例えば試験法の中でこういう言葉を使われるとか、公式の場でこの言葉を使われるのでなければ、このままでも構わないと思いますけれども、資料の別添6の比較表にも捕捉性能という言葉が出てきますね。恐らく、この表でも捕捉性能という言葉だけでは、何のことか余りよくわからない、場合によっては誤解もあるのではないかという感じがしたのです。その辺り、少し懸念を持ちましたので、あえてコメントさせていただきました。

○泉山委員
 泉山です。コメントありがとうございます。
 捕捉性能という言葉は、このクリプトの試験法の中でこれから先も使うのではなく、この会議の中で一時的に使っているので、今後、重大な影響を及ぼすことはないと思うのですけれども、捕捉性能という言葉の意味について改めてご説明しますと、単独で使用した場合の性能を評価したいという意味で使っていまして、例えば単純にフィルターでろ過をして、一体どれだけの目的粒子がフィルターの上に乗ったかという単純なことを言いたくて、そのように使っているものです。
 検査法は複数のステップで構成されていますが、途中の1か所だけを取り出して評価した場合。この場合ですと、ろ過だけを取り出した結果になるのですけれども、ろ過したらどれだけのものが引っかかったか、捕捉されていたかということだけを言いたくて使っている言葉となっています。

○遠藤座長
 一般的にメンブレンフィルターの性能保証をする場合は、私も細かくは知らないのですけれども、例えば0.22μmのメンブレンフィルターというのは何を意味するかということですが、メンブレンフィルターのポアサイズが0.22μmを保証しているということだろうと思います。これが言うなれば捕捉性能ということになると思うのですね。要するに、それ以上大きなものはみんな引っかけますということで、メンブレンフィルターの性能が示されているのだろうと思います。
 ところが、粉体ろ過の場合は砂ろ過と同じですから、粉体を積層してできてきた間隙の大きさを直接的にはかることができませんので、既知の大きさの粒子を流し、それが漏出することなく捕捉されていることを示すことでポアサイズを保証しているものと思います。
 もう少し付け加えますと、メンブレンフィルターのポアサイズも目的にあった大きさの細菌、例えば0.22μm程度の細菌、をある決められた条件で流して、その細菌が確実に捕捉されることを確認することで0.22μmの保証がなされていると理解しています。

○国包委員
 私が申し上げたかったのは、必ずしもそういうことではなくて、端的に言えば、ろ過をする前の水にあったクリプトを100として、ジアルジアでもいいのですけれども、フィルターにとどまったものを幾らということで、その割り算をしたものが捕捉率だとか、あるいはフィルターにとどまっただけではなくて、それをまた洗い出して、それで何らかの方法で同定なり検出をして、その数が100に対して幾ら捕捉性能があるとか、そこのところが明確であればいいということなのです。それが試験法との関係で明確に示されていれば、非常にわかりやすいなと思ったのです。
 ただ、こういう言葉は一般には使わない、あくまでもここだけだということであれば、それはそれでいいのかなと思いますけれども。

○泉山委員
(会議後補足:50mL遠心管を2本用意し、1本目はろ過回収した粉体を塩酸で溶解したもの、2本目にろ過の際の添加と等量の蛍光ビーズ(クリプト)を懸濁。2本の遠心管の液量を揃えて、それぞれから一部分、等量を複数枚の観察用フィルターにろ過し(必要により蛍光抗体染色)、スライドに封入、蛍光顕微鏡下で計数。1本目からの計数の平均値が分子、2本目が分母、として求めたのが捕捉率。)
 具体的にこの捕捉性能の数字がどのようにして算出されているのかということを御紹介したいと思います。
 別添1に検証結果があるのですけれども、これを1ページめくっていただきますと、5ページの下に捕捉性能、原水、蛍光ビーズ使用という表があります。ろ過前の水の中に入っていたビーズは、一番下の行に添加ビーズ数確認というのがありまして、これが113個あるいは81個と(2回)顕微鏡下で数えて、その平均が97個でした。
 この水をろ過しまして、今度は実験ナンバー1、2、3(の3回のろ過実験)と、(ろ過毎に3回の)検出の操作をして、90個、118個、69個と顕微鏡下でこのような数が実測されて、その平均値は92.3個でした。92.3を97で割りますと、95%という計算の仕方をしています。

○遠藤座長
 国包先生が先ほど御説明いただいたように、泉山委員の説明ではフィルターでどれだけの捕捉がされているかを示したものが捕捉性能。それから、一連の検査をした結果を回収率と言っているのだと思います。どうぞ。

○国包委員
 いや、余りこだわるつもりはありませんが、先ほどの泉山先生の御説明によれば、ろ過をする前の総量が100、ろ過をして回収して検出まで行って、その段階で幾つ出たかという。単に捕捉されただけではなくて、最後まで行ってしまって、それで幾つ出たかという、それが分子になっているということですね。だって、検出まで行かないと、何個つかまったかわからないですね。それを一体と考えるというのであれば、それはそれでいいのですけれども、単にろ過の操作だけで幾らとどまったかということではない。違いますか、私の理解が不十分。

○泉山委員
(会議後補足:検出は行うが、通常の最後までの試験操作ではありません。)
 御質問いただいた意味が少しわかってまいりました。要するに、もう1ステップ、ろ過だけではなくて計測という操作が実は加わっていて、その誤差(損失)も入っているか、ということ。

○国包委員
 いや、誤差はどうでもいいのです。どれが分子になっているかということです。

○泉山委員
 分子は、ろ過直前の水の中の粒子数です。
(会議後補足:分子には(分母にも)、検出操作の誤差(損失)を含んでいます。ただし、濃縮や精製の操作を行うこと無く試料の一部のみを観察用ろ過フィルターにろ過しただけで直ちに封入・計数の操作を行ない、分母も分子も全く同じ操作を行い、検出操作の誤差(損失)は無視出来るようにしています。)

○国包委員
 それは分母。

○泉山委員
 失礼しました、分母です。分子は、ろ過が終わった後にろ過フィルターに乗った粒子数になります。その粒子数は、どのようにして数えたかということになるのですけれども、誤差が生じないように粉体をかきとったもの全量を塩酸で全部溶解してしまって液量を合わせて、その一部だけを観察用のフィルターにろ過して損失なく観察用フィルターに乗せて、それを顕微鏡下で数えたという操作になっています。

○遠藤座長
 回収率はどのように計算しているのですか。

○泉山委員
 回収率は、クリプトスポリジウムの試験法、全部を通して最後まで操作します。濃縮をして精製して顕微鏡下で数えるという、すべてのステップを踏みます。その結果が回収率となっていまして、クリプトの精度管理で普通に使われている言葉、回収率と全く意味が一緒です。

○国包委員
 そうすると、済みません、ろ過をしてフィルターに付いたものを計数しますね。計数するまでのステップというのは、通常のサンプルの場合と違っているわけですか。

○泉山委員
(会議後補足:はい、違っています。)
 性能だけを出したい場合には、そういうフィルター以外の要素をすべて排除してしまいたいわけで、とにかく単独での性能評価をしたいということをするために、とにかくろ過の直前・直後の2つだけを比較するという評価を行っています。とにかくフィルター性能、ただそれだけを見ているということを意味しています。

○国包委員
 わかりましたけれども、実際にフィルターから取り出して計数する。そこのところで、もしかしたら回収ができていない部分、つまりろ過での回収ではなくて、その後も込みの捕捉性能。

○泉山委員
 無視できる程度ですが、誤差(損失)は、ご指摘の通り、入っています。

○国包委員
 そこのところについては、今の別添6でしたか、一覧表がありますけれども、ほかの試験法も全部同じ、横並びで比較できるデータだということでいいわけですね。

○泉山委員
 鋭い御指摘、ありがとうございます。厳密に言いますと、横並びで評価できるかといいますと、評価する方法はそれぞれ違っているものになりますので、完全に横並びで見比べることのできる数字ではないです。厳密な意味では見比べることができないのですけれども、およそ意味としては比べられるだろうということで項目を立ててはいるのです。例えばフィルターですと、バブルポイントによるフィルター性能を求めるとか、実際のろ過の捕捉物の数で評価するとか、いろいろなろ過の性能評価方法がありまして、それを混在しているような状況になっています。

○遠藤座長
 粉体ろ過では漏出は見ていないのですか。それは報告書か何かで示しているのではなかったなかったのですか。

○泉山委員
 済みません、今すぐ資料が出てこないのですが、チェックはしたと思います。
(会議後補足:以下の理由で、漏出の確認をせず、捕捉の確認のみ行いました。)
 それから、支持体の方が1μmを捕捉するフィルターを使っていますので、漏れてくることはないフィルターになっています。

○国包委員
 どうもありがとう。大体わかりました。

○遠藤座長
 ほかにございませんでしょうか。今の関連した御質問でも結構ですが。どうぞ。

○片山(浩)委員
 その95%の残りの5%は、下の支持体のフィルターの方に行っていると考えておられるのでしょか。

○泉山委員
 支持体側に行っているもの、途中の流路に引っかかっているものなど、考えています。

○遠藤座長
 勝山さん、実際に使ってみて、感想というか、捕捉率あるいは、信頼性みたいなものについて何かコメントございませんか。

○勝山委員
 私どもでやった実験では、こういう捕捉性の検討とかはやっていなかったので、この辺のことは何とも言えない感じです。実際のサンプルをちょっとやるだけでしたので、回収率とか添加回収まではやりませんでしたので。

○遠藤座長
 それでは、特にございませんようでしたら、この方法はろ過装置としてはそれなりの性能を持っていて、ほかのメンブレンフィルター等に匹敵するものと認めていただき、検査法の中に取り込んでいくという方向で考えてよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
 では、そのような形で取り込んでいきたいと考えます。ありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。次は、「クリプトスポリジウム等の検出のための試験方法等の改正について」、資料2、2-1、2-2及び2-3をまとめて事務局の方から御説明いただきたいと思います。

○橋口係長
 では、資料に基づきまして事務局より説明させていただきます。
 まず、資料2「クリプトスポリジウム等の検出のための試験方法等の改正について」をごらんください。
 1.平成21年度以降の当検討会等の開催経緯でございます。
 平成21年度厚生科学研究におきまして、クリプトスポリジウム等の遺伝子検出法(LAMP法、PCR法)及び粉体ろ過法の研究がなされました。それで、実用化に向け、課題と課題解決のための提案がなされたところでございます。
 それを受けまして、平成22年3月23日開催の平成21年度第1回水道微生物問題検討会におきまして、遺伝子検出法及び粉体ろ過法が検査法として妥当かどうか検証するために、複数の協力機関において試料の検査を実施し、その結果を評価していくこととされたところでございます。
 その後、平成22年度第1回の微生物問題検討会におきまして、8機関の遺伝子検出法の検査結果に基づきまして、検査法の評価及び改善点の検討されたところでございます。遺伝子検査法が検査法として使用可能であることが示されましたが、免疫磁気ビーズ法を塩酸分離する方法等の改善点が明らかになりましたため、その点も考慮した試験方法を作成することが必要とされたところでございます。
 平成22年度第2回微生物問題検討会におきまして、5機関の粉体ろ過法の検査結果に基づきまして、検査法の評価及び改善点が検討されたところでございます。粉体ろ過法が検査法として使用可能であることが示されましたが、ケーキろ過層が捕捉性能を十分に発揮する上での留意点等が明らかになりましたため、その点も考慮した試験方法を作成することが必要とされたところでございます。また、試験方法を作成する上での追加の確認事項や要望事項も示され、それに関しては、先ほど資料1で御説明いただいたところでございます。
 2.水道に関するクリプトスポリジウム等の検出のための試験方法等の改正についてということで、これまでの検討会における指摘事項等につきましては、水道事業体の協力等を得まして検討が行われ、その結果が本検討会で報告されたところでございます。
 その評価結果を受けまして、泉山委員、そして遠藤座長の協力のもと、水道に関するクリプトスポリジウム等の検出のための試験方法の改正案、飲料水におけるクリプトスポリジウム等の検査結果のクロスチェックの実施要領の改正案を作成したところでございます。
 2.1「水道に関するクリプトスポリジウム等の検出のための試験方法」改正内容でございます。
 ア.粉体ろ過法及び遺伝子検出法の追加等としまして、まず懸濁粒子の捕捉・濃縮方法に粉体ろ過法を、そしてオーシストの検出方法に遺伝子検出法をそれぞれ追加することといたします。
 なお、現行の試験方法としましては、試験操作等を確定的に記述する「標準的方法」と、基本操作のみを記述する「その他の方法」に分類してございますが、新たに追加します粉体ろ過法及び遺伝子検出法は、どちらも「その他の方法」として記載することと考えてございます。
 その理由としましては、粉体ろ過法については、結果の蓄積が少ないこと。更に、確定的に記述した方法を営利目的で使用した場合などに、特許料の支払いが生ずるおそれがあることなどと考えてございます。
 遺伝子検出法におきましては、国内に標準試料の供給体制が整っていないこと、また結果の蓄積が少ないこと、更に確定的に記述した方法を営利目的で使用した場合に、特許料の支払いが生じるおそれがあることなどと考えてございます。
 また、遺伝子検出法の追加に伴い、汚染の有無を判定する定性的試験のみならず、顕微鏡法と同様に定量値が求められる向きもありましたことから、付録4としまして遺伝子検出法におけるオーシスト定量を追記してございます。
 更に、両法の追加に伴って、現行の試験法の構成についても適宜、改正を行ったところでございます。
 このまま説明を続けさせていただきまして、イ.既存の方法の修正等として、改正案に対し、本検討会に先駆けまして委員からもいろいろと意見を伺ったところでございますが、その際に粉体ろ過法及び遺伝子検出法のみならず、既存の方法についても御意見をいただいたところですので、それについても適宜、修正を行っております。
 なお、資料2-3、後で御説明いたしますが、こちらについては、本日御欠席されております船坂委員から提出された意見です。これについては、本検討会の中で御紹介させていただきたく、資料として準備させていただきました。
 資料2について、引き続き説明をさせていただきます。
 2.2「飲料水におけるクリプトスポリジウム等の検査結果のクロスチェックの実施要領」の改正内容。こちらは、遺伝子検出法を追加することに伴いまして、クロスチェックに必要な標本等及び試料の搬入方法につき、顕微鏡法と遺伝子検出法とを分けて記載することとしております。
 では、先に今後の対応についても御紹介させていただきますと、本検討会で審議をいただきまして、その内容で必要な修正を行い、今年度中には改正通知を発出できればと考えております。
 では、枝番の資料を説明するに当たりまして、先に資料2-3を御説明させていただきたます。こちらは、先ほど申し上げましたとおり、資料2-1「クリプトスポリジウム等の検出のための試験方法」に対して、この検討会に先駆けて委員の皆様から御意見を伺った際に、本日御欠席の船坂委員からいただいた御意見でございます。なお、委員の皆様方に配付しております資料には、青書きで対応方針を追加してございますが、傍聴者の方々に配っております資料につきましては、その部分は記載しておりませんので、御留意ください。
 では、船坂委員の提出意見を読み上げ、その対応方針も簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 まず、1つ目としまして、アセトン溶解法としては、界面活性剤添加PBS、PTFEメンブレンフィルター法ではPET溶液が使われておりますが、PTFEメンブレンフィルター法でPETのかわりに界面活性剤添加PBS-Tweenを用いることはできないかという御意見をいただいております。
 これにつきましては、界面活性剤等変更の独自法については、実際に行われていると聞いてございます。試験方法通知にすべてを紹介することはできませんが、検査担当者が結果に支障がないか確認の上で御使用いただくことは問題ないと考えております。
 2つ目の意見としまして、アセトン溶解法ではTween80の使用濃度が0.1%、PTFE法では0.01%となっている。過度の発泡を抑える意味でも使用濃度は0.01%程度がよいと思われますが、前者において10倍濃度の界面活性剤を用いる理由はなぜかという御意見。
 これに対しては、2つの方法は、もともとの提案者が異なるために、濃度は統一されたものではない。高濃度の界面活性剤の使用は、手の届かない容器内部からの回収を期待していると考えられます。なお、加圧ろ過では問題となっていないことを確認済みということでございます。
 3つ目の意見としまして、一般に、異なった界面活性剤を混合すると、競合により界面活性効果が失われるなどの問題が生じるおそれがある。また、基本的に異なった組成の緩衝液を混合することは避けるべきだと考える。
 ところで、検査工程の中で、免疫磁性体法あるいは蛍光抗体染色においては、市販の検査試薬が用いられ、その際には試薬キットに添付の緩衝液が用いられる。添付の緩衝液の組成は開示されていないことから、指針指定の緩衝液が残存した状態で、市販試薬キットを用いる工程に移行することは避けるべきだと考える。市販キットを用いる工程に移行する際には、それ以前の工程で使用された緩衝液等の影響を受けないよう、精製水等への置換・洗浄を行う必要があると考えるとの意見でございます。
 これに対しましては、市販キットの使用説明で注意書きがなされているため、試験方法通知への追記は不要だと考えているところでございます。
 4つ目としまして、PTFEメンブレンフィルター法による濃縮では、ろ過前の試料水に界面活性剤(PET溶液)を加えているが、アセトン溶解法では行っていない。試料水にあらかじめ界面活性剤を加えておくことは、容器等へのオーシスト/シストの付着を抑える効果が期待できることから、試料水採取時に界面活性剤等を添加するよう変更すべきではないか。
 こちらについては、御指摘の趣旨を踏まえ、試験方法の「1 試料の採取」に備考を追加することを考えてございます。
 では、時間の関係がございますので、質問を紹介しながら、既に通知に反映しているものは簡単に触れることにさせていただきます。
 5.の試料の採取に関する記載の指摘でございますが、こちらについては御指摘に準じて修文しているところでございます。
 6.及び7.については御指摘を踏まえた内容を追記しているところでございます。
 8.については、浸水性PTFEメンブレンフィルター法のろ過操作、回収操作におけるPETが、これは100倍濃度PETの誤りではないかという御意見ですが、こちらについては、必ずしも誤りではなく、特に吸引に際しては、発泡することから100倍の使用は避けられていると聞いております。指針以後に出された文献においても1倍とするものもあるということで、こちらは反映しておりません。
 9.については、低温下で一晩の反応でも良好な結果が得られるという御指摘ですが、こちらはご指摘を踏まえた内容を追記しているところでございます。
 10.については、ブロッキング試薬の処理についての話でございますが、こちらもご指摘を踏まえて修正しているところでございます。
 資料2-3については、以上でございます。
 こちらを踏まえて、資料2-1の説明をさせていただきたます。追記した内容を簡単にその趣旨を説明していきたいと思います。
 まず1ページ、概要については、粉体ろ過法、遺伝子検出法の追加に伴った必要な修正を行ったところでございます。
 下の方に構成を変更している部分がございますが、こちらは2.4に粉体ろ過法を追加し、もともと蛍光抗体染色法と顕微鏡法を4と5と項目立てておりましたが、これらをすべて遺伝子検出法も含めて4.オーシストの検出という項目にまとめたところでございます。
 次のページを見ていただきまして、付録4を追加しております。
 付録4の直下に、標準的方法とその他の方法に関する説明書きがございますが、こちらは先ほど申し上げたとおり、今回追加した方法というのがその他の方法ですので、番号ずれの関係で修正がございますが、これ以上の変更はございません。
 1 試料の採取における最初の試料水の量などの修正については、船坂委員の意見を踏まえての修正でございます。
 2ページ下の備考の書きぶりも、船坂委員の意見をいただいての追記でございます。
 3ページをご確認ください。
 下の注意書きを削除しているところがございますが、もともとこの注意書きについては削除されていなかったものですので、今回、あわせて修正したところでございます。
 少し飛ばしまして5ページをご確認ください。
 こちら、注1を少し修文してございますが、船坂委員からの推奨枚数を書くべきではないかという御意見を踏まえての修正でございます。
 注6も船坂委員からの御意見を踏まえて、セルロースの有無を確認するとよいという旨の注意書きを追加したところでございます。
 6ページをご確認いただきまして、こちらは必要な修正を行ったところでございます。
 続いて、8ページをご確認ください。こちらが、今回追加した粉体ろ過法でございます。
 こちらは読み上げさせていただきます。
 本法は、メンブレンフィルター上に直径30μm前後の粉体を積層させたケーキろ過層を用いて試料をろ過した後、フィルター部分から分離させたろ過層の粉体を塩酸で溶解し、遠心分離操作により濃縮物を回収する方法である。アセトンを使用しないで済む利点がある一方、免疫磁性体粒子法による精製を行う前に、粉体の溶解に使用する塩酸をよく除く必要がある。
1)基本操作
 均質なケーキろ過層が形成できなければ正確な濃縮が期待できないので、先に精製水をろ過してケーキろ過層に異常がないことや、ろ過条件が正常値の範囲にあることを目視やろ過補助装置で確認し、問題がなければ試料水のろ過を始める。ろ過の中断によりメンブレンフィルター上のケーキろ過層が乱れないよう、連続的にろ過する。試料容器内の試料が無くなったら界面活性剤加PBSにより容器内部を洗浄し、洗浄液をろ過する。洗浄中には、ろ過の中断によりメンブレンフィルター上のケーキろ過層が乱れないよう、界面活性剤加PBSや精製水をろ過する。ろ過層がろ過物により閉塞しないよう、適宜ろ過を停止して粉体ろ過層を交換する。
 ろ過濃縮物は、粉体を塩酸で溶解してから、遠心濃縮と洗浄等で取り出す。
 なお、本法を採用する場合は以下の点に十分留意する必要がある。
(1)操作法等については、ろ過層並びにろ過補助装置の用法や使用上の注意に従う。
(2)懸濁粒子が多い試料では閉塞して複数回のろ過を必要とする。予め目的試料で濁度とろ過回数の関係を確認し、濁度に応じたろ過回数の目安をたてておくと、濃縮法を選択するうえでの判断材料になる。
(3)免疫磁性体粒子法による精製を行う場合、濃縮物は塩酸を除いて中性にしておかなければ、抗原抗体反応が阻害され、オーシスト等の回収が不能となることに留意する。
(4)ケーキろ過層が乱れると十分な捕捉性能を発揮できなくなるため、乱れの原因となる圧力変化等が起きないよう留意する。
(5)ろ過が完了した後、直ちに溶解・除去を行わない場合は、ろ過層を遠沈管等に入れ乾燥させないよう密栓して冷蔵保存する。
(6)その他、試料の操作ロスを極力少なくするため、界面活性剤を十分に使う必要がある。
 先ほどの議論で、捕捉性能の件がございましたけれども、こういった形で試験方法で使いますので、その点についてはまた改めて御相談させていただきたいと思います。
 続きまして、12ページをご確認ください。
 こちらは、免疫磁気ビーズ法について若干必要な修正を行ったのと、あと委員からの御意見をいただきまして、方法論の留意点を冒頭に追加してございます。
 そして、下の基本操作の(5)は、船坂委員からの意見で、低温下、一晩の反応でも良好な結果を得られるということを追加してございます。
 次は、14ページをご確認ください。
 3)操作の(1)の中で少し修正しておりますが、こちらは構成の変更と、粉体の加工、追加に伴う追記でございます。
 (2)フィルターの調製において削除している部分がございますが、こちらは船坂委員の意見を受けての修正でございます。
 続いて、16ページをご確認ください。
 こちらは、(7)に今回の技術的な検討を踏まえて、必要な追記を行ったものが注7でございます。
 そして、注9については、先ほどと同様に、低温下で一晩の反応でも良好な結果が得られるという船坂委員の意見を受けて追記をしてございます。
 次は、19ページをご確認ください。こちらは、新たな検出法の追加でございます。
 4.2遺伝子検出法。
 本法は、遺伝子検出法用に調製した試料より抽出した核酸を用いて遺伝子増幅反応を行い、標的とする生物種に特異的な遺伝子配列を定性的(あるいは定量的)に検出する方法である。標的配列の増幅の検出には、蛍光強度をリアルタイムに測定する方法あるいは濁度を測定する方法等が一般的に使用される。この用途には市販の試薬と機器が既に販売されているが、目的の生物種や属にのみ反応する反応特異性が重要であり、実際の河川水を用いて特異性の検証を経た上で使用する必要がある。一方、多量の水試料中にわずか1つ程度の病原体からも検出を可能とする高い感度が求められる。rRNAやrDNA等の多コピーの遺伝子を標的とすることで検出感度を向上させる方法があり、rRNAについてはその逆転写産物を標的とする逆転写PCR法や逆転写LAMP法がある。
1)基本操作
 3.2免疫磁性体粒子法(免疫磁気ビーズ法)を用いて夾雑物を除去した精製物から核酸を抽出し、抽出した核酸を遺伝子増幅試薬と混合して反応を行う。核酸抽出操作として、凍結融解、タンパク質分解酵素処理、熱処理等を行う。PCRあるいはLAMPにより遺伝子増幅反応を行い、必要に応じて逆転写反応(RT反応)を組み合わせる。増幅の有無は、リアルタイム装置により経時的な蛍光強度や濁度の変化、あるいは保温装置によるエンドポイントの濁度の変化として検出する。反応後、遺伝子増幅の有無を記録し、クリプトスポリジウム等の有無を判定する。
 なお、本法を使用する場合は以下の点に十分留意する必要がある。
(1)操作法等については試薬キットの用法や使用上の注意に従う。
(2)汚染防止のため、作業場所及び操作機器は、遺伝子検査試薬調製、核酸抽出、陽性対照添加の目的別に分けることが望ましい。また、増幅反応後のチューブを開封すること等により、増幅産物で試験環境を汚染しないよう十分注意する必要がある。
(3)汚染の有無と試薬の機能を確認するため、陽性対照、陰性対照及び試料を別々のチューブで同時に反応させ、正しい結果が得られることを確認する。
(4)核酸以外の夾雑物が混入した試料では遺伝子増幅が阻害される恐れがあるので、免疫磁性体粒子の洗浄操作を複数回繰り返して、夾雑物の除去を徹底しておく必要がある。
(5)遺伝子増幅反応への阻害物質の混入を極力防ぐため、夾雑物が完全に除去されるまで免疫磁性体粒子-オーシスト結合物を繰り返し洗浄する。
(6)免疫磁性体粒子法で塩酸解離した後の試料は、適切に中和し、必要により遠心洗浄を行わなければ、遺伝子増幅反応が阻害されることがあるので注意する。免疫磁気ビーズから解離せずに抽出操作を行う場合は、ビーズへの吸着による損失を考慮する必要がある。
(7)試料中の核酸は分解酵素により分解される恐れがあるので、使用する試薬は、市販の調製済み試薬で、かつDNA、RNA分解酵素を含まない分子生物学グレードのものとする。なお、試薬の保存は添付説明書の条件に従う。
(8)試料と試薬の分解等を抑制するため、操作中は試料、試薬ともアイスバスのアルミブロック等で冷却して扱う。
(9)核酸抽出した後、直ちに遺伝子増幅反応を行わない場合は、資料を凍結保存(-20℃前後)する。
 本文としては以上でございまして、続いては26ページですが、1カ所、ホームページアドレスが書いてございまして、リンク切れでございましたので、修正を行わせていただきました。
 最後に、27ページ、付録4 遺伝子検出法におけるオーシスト定量でございます。こちらも読み上げさせていただきます。
 1 概要
水試料中のオーシスト数を求める定量PCR法について述べる。通常の試料と基準試料より同一の方法で核酸抽出と遺伝子増幅反応を行い、Ct値(定量PCRの蛍光による遺伝子検出に要するサイクル数)を測定する。オーシスト数とCt値の関係を片対数グラフにプロットし、回帰直線、すなわち検量線を作成する。この検量線を用いて、未知試料のCt値からオーシスト数を算出する。
 2 オーシスト原液の濃度の確認
   付録1 2に同じ。
 3 オーシスト希釈系列の調製及び検量線作成
  3.1 希釈系列の調製
  1)試薬及び器具
  (1)オーシスト原液:ホルマリン固定されていないもの。
  (2)核酸抽出に必要な試薬及び器具
  (3)核酸抽出した未知試料
  2)操作
(1)オーシスト原液から核酸抽出を行い、RT-PCR法の場合は概ね101~10-4個相当/5μLの濃度範囲となるように、TE緩衝液を用いて10倍希釈系列を作成する。
(2)各希釈試料ならびに未知試料より遺伝子増幅反応を行い、Ct値を測定する。
(3)片対数グラフに、反応チューブあたりのオーシスト数とCt値との関係をプロットし、回帰直線、すなわち検量線を作成する。
(4)作成した検量線を用いて、未知試料の反応チューブ内のオーシストの数を算出する。液量、希釈操作等のファクターを考慮して、未知試料水中のオーシスト数を計算により求める。
 こちらでクリプトスポリジウム等の検出のための試験方法改正案の説明でございます。
 引き続き、内容も少ないので、資料2-2についても御説明させていただきます。
 こちらは、もともと顕微鏡法のみを前提に書かれていたところを、遺伝子検出法の場合と場合分けをして書いてございます。
 まず、1.趣旨及び目的の中で、「顕微鏡標本及び顕微鏡写真がある場合には、その写真」、この後ろに「あるいは遺伝子検査法用の核酸抽出試料および増幅産物」を付け加える。
 2点目としては、裏に行っていただきまして、クロスチェックの実施の場合の(4)でございます。こちらは搬入方法を書いておりますが、こちらに遺伝子検査法の場合の追記をしておりまして、読み上げますと、「遺伝子検査法用の核酸抽出試料等については、分解を避けるため、冷凍状態で搬入する。」ということを追記してございます。
 以上で、試験方法及びクロスチェック実施要領の改正案についての説明を終わらせていただきます。

○遠藤座長
 ありがとうございました。試験方法全体につきまして御説明いただきました。
 御意見、質問等ございましたら、御発言いただきたいと存じます。はい。

○泉山委員
 最後の資料2-2ですが、「遺伝子検査法用」という言葉が出てきまして、資料2-1では、これは「遺伝子検出法」で統一されていたと思いますので、「検査法」ではなくて「検出法」、表と裏、2か所あるのですけれども、両方修正した方がいいのではないかと気が付きました。

○遠藤座長
 語句の統一等、修文につきましては、また全体的に検討させていただきたいと思います。
 ほかにございませんでしょうか。黒木先生。

○黒木委員
 資料2-1の19ページの4.2 遺伝子検出法のところですが、1)基本操作の4行目。こちらで、PCR法とLAMP法について遺伝子増幅反応を行い、必要に応じて逆転写反応」と書いてあるのですけれども、これは通常のPCRと逆転写PCRあるいはLAMP法では感度が全く違いますし、試料中のクリプトスポリジウムの数が非常に少ないということを考えますと、原則として、これは最初から逆転写反応を使ってということの方がよいように思われるのですけれども。

○遠藤座長
 泉山委員。

○泉山委員
 御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり、高い感度を求めるために逆転写を追加していますので、必要に応じてではなくて、原則として、あるいは基本的に逆転写反応を行い、とした方が適切かもしれません。ありがとうございます。

○遠藤座長
 逆の言い方で質問すると、逆転写しなくてもいいような条件もあるのでしょうか。それはどういう場合ですか。

○泉山委員
 今回の検討の中でジアルジアのrDNAを検出するLAMP法が、rDNAが多コピーだったので、逆転写しなくても検出ができた結果がありました。

○遠藤座長
 ありがとうございました。今のところは、基本的に逆転写、RT-PCRを行うという方向で修文することでよろしでしょうか。

○尾川管理官
 ちょっと1点。今のジアルジアの件ですけれども、逆転写をやったとしても悪いことはないということでよろしいのでしょうか。

○泉山委員
 はい。PCRに使う場合には、逆転写反応を1本でクリプト用ジアルジア用を同時に行って、逆転写反応産物を次のクリプト検出用PCR、ジアルジア検出用PCRに分けて使うことができたので、ジアルジアでも逆転写反応を行って差し支えないと思います。むしろ有利だと思います。

○尾川管理官
 ありがとうございます。

○遠藤座長
 ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

○黒木委員
 次の20ページの(6)免疫磁性体粒子法のところで、これはビーズから解離せずに抽出操作を行う場合は、ビーズへの吸着ということがあるのですが、これはDNAがビーズに吸着するということでしたね。

○泉山委員
 DNAとRNA、両方が吸着されてしまいました。

○黒木委員
 なので、ここはちょっと勘違いすることがあるかどうかはあれですけれども、ビーズにクリプト、オーシストがくっついているということではなくて、DNAやRNAが付くからということを補足で入れた方がいいように思われたので、ちょっと指摘させていただいたのですが。

○泉山委員
 おっしゃるとおり核酸とはっきりと書いた方がわかりやすいということで、承知しました。

○遠藤座長
 どうやって書きますか。

○泉山委員
 ビーズへの核酸の吸着による損失。「核酸の」と追加すると、理解しやすいのではないかと思います。

○遠藤座長
 御異議ございませんか。どうぞ。

○黒木委員
 済みません、私ばかりで申しわけないです。クロスチェックのところでちょっと言わせていただいてよろしいですか。クロスチェックのところで、遺伝子検査法のクロスチェックとして核酸抽出試料と増幅産物となっていますけれども、クロスチェックのときに増幅産物を持ち込むということで、それをいかにクロスチェックするかというのが、ちょっとイメージとしてつかめないので、その辺のイメージを教えていただけますか。

○泉山委員
 増幅産物からは、PCR産物では塩基配列決定を行うことができますので、必要に応じて増幅されたものの内容をチェックすることを考えます。

○遠藤座長
 これは、両方持ってくることが絶対条件ではないでしょうか。

○泉山委員
 絶対とは言いません。LAMP法の場合ですと、こちらで塩基配列決定ができないので、LAMP法の場合でしたら核酸抽出試料のみでもよいかと思います。

○遠藤座長
 ごめんなさい。そこのところ、ちょっとはっきりした方がいいですね。LAMPの場合、できないというのはなぜですか。

○泉山委員
 私、例えば自分の施設を想定して考えているところですけれども、LAMP法のチューブを開封するというのは、かなり危険を伴うことと認識しておりまして、専用の設備等があればと思うのですけれども、それがないと、そう簡単にLAMP法の増幅産物でのクロスチェックを引き受けることはできないだろうと理解しています。

○遠藤座長
 なかなか難しい問題ですね。危険だと泉山委員が言っているのは、要するにLAMP法だと遺伝子が多量に増幅されているので、反応チューブのふたを開けただけで実験室全体が増幅された遺伝子の断片によって汚染される危険があるということです。そうなると、その部屋ではPCR反応ができなくなってしまうわけです。どのようなことかと申しますと、陰性反応が起きなくなってしまうという問題が生じてしまうことになります、そこで、同じ検査室で増幅産物の蓋を開けないことというのが遺伝子検査を行う時の条件になるわけです。
 その一方で、クロスチェック機関が、「私のところでは開けないよ」というわけにはいきませんので何かの対応策を考える必要があると思います。この点については厚労省とも御相談の上、環境整備をしていく必要があろうかと思います。

○黒木委員
 いえ、LAMP法に関して言えば、これは反応が出た段階で陽性ということに決めてしまえば、抽出試料だけで十分という考え方でいいような気もするのです。それで、依頼してきた機関が抽出試料を使ってLAMP法をやって陽性になりましたという結果を持ってきて、では、同じ試料を使ってクロスチェック機関でやってみたら、やはり陽性になったということで、そこから先はLAMP法はやらないということでいいのではないでしょうか。
 PCRの場合は、産物を使ってシークエンスが見られるので、その先までやってもいいということになると思うのです。ですから、その辺は使い分けをしてということで、この要領の中にそこまで書き込むかどうかは、またちょっと検討が必要かと思うのですけれども、実際にやるときにはPCRはシークエンスまで可能ですよ。LAMP法は、もう一回LAMP法をやり直して、陽性になったらそれで終わりですよということでもいいのではないかと思います。

○泉山委員
 ありがとうございます。これは資料2-2に書き込まれる内容ではないので、今すぐどうこうということではないのですけれども、おっしゃるとおりで、LAMP法の場合には、持ち込まれたサンプル、当面の解決方法としては再反応あるいは別のPCR法によるチェックという方法が考えられると思いますので、増幅産物の取り扱いについての解決策は、後日、御相談させていただければと思います。

○遠藤座長
 これは私、座長として申し上げるというよりも、かつてクロスチェックの機関として、ある考えのもとにクロスチェックを行ってきました。例えば、写真を用いてのクロスチェックであれば、顕微鏡写真を持ってきなさい。標本を持ってくる場合には、同時に顕微鏡写真を持参いただき、その上で依頼者本人に顕微鏡標本をクロスチェック機関の顕微鏡を使ってクリプト等を示していただくことを条件としていました。
 と言いますのは、標本だけが送ってこられる、写真と一緒に送っていただいたとしても、クロスチェック機関で標本の中にクリプトが見つからなければ当事者との間で水掛け論になってしまいます。それを避けるためにクロスチェックの現場で当事者が顕微鏡下に示す作業が必須であることを再三お伝えしてきました。
 そう言った発想からすると、遺伝子検査において試料を持ってきてもらうことも重要ですけれども、産物も持ってきて、その産物のチェックとあわせて、クロスチェックによる産物と、当事者の産物とを比較する必要がありますことから、産物も持ってきてもらった方がいいだろうと私は考えます。
  御異議ございませんでしょうか。それでは、次に移り船坂委員の方から来ている意見で、免疫反応を低温で長時間やる方法を加えたいという御意見がありました。検査機関としては、検査の試料が持ち込まれてから結果を出すまでの間に、どこか休憩なり、少し時間を置ける場所が欲しいということを恐らく考えているのだろうと思います。一連の検査をするとなると徹夜でやらなければいけなくなってしまいます。そうなってくると、検査機関としては、水とかサンプルの搬入時間にかなり大きく影響してくるのではないでしょうか。
 ところが、例えばご意見のように免疫反応のところを、安全を見越して低温で長時間反応させておくことが許されるならば、そこで一定時間検査から離れることもできるし、かといって検査としては中断しているわけではないという形になるので、こんな意見が出されたのだろうと推測されます。検査現場を考えると、こういうことが重要なポイントになるのではないかなと思っておりますので、これを付け加えるということは意味のあることではないかなという感想を持ちました。
 ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

○片山(浩)委員
 資料2-1の20ページの(4)と(5)は非常に内容が近いと思うのですけれども、これを2つに分けて書く必然性といいますか、どの辺を強調したいという趣旨なのでしょうか。

○遠藤座長
 泉山委員、如何ですか。

○泉山委員
 御指摘ありがとうございます。内容としては、おっしゃるとおり、重なっている部分ですので、統合してまとめたいと思います。

○遠藤座長
 これ、読み方によっては、ビーズ法を二度も三度もやらなければいけないように読めてしまいます。もうちょっと具体的に示す必要はないですか。

○泉山委員
 今、御指摘いただいたのは、磁気ビーズ法の精製操作が終わってクリプトを塩酸解離した後に、更に磁気ビーズ法を最初からスタートするのかという御指摘なのですけれども、そうではなくて、磁気ビーズとクリプトが結合している状態で洗浄操作を複数回繰り返すという意味で書かれていますので、わかりやすくなるように文章の修正を考えたいと思います。

○遠藤座長
 わかりました。ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

○国包委員
 ちょっと別のことになりますが、この資料2-1は事前にお送りいただいたものとは内容が変わっているのですね。確認させていただきたいのですが。

○橋口係長
 資料2の頭に書いておりましたが、特許の関係で座長から御意見いただきまして、事前にお送りいたしましたときには、手順を細かく書いてございましたが、それだと営利目的で使った場合に特許料が発生する。そういったことから、既に試験法として示しており、かつ特許法である免疫磁気ビーズ法の書き方に倣って、今回、追加する方法においても構成を見直したところでございます。

○国包委員
 わかりました。いろいろ見せていただきまして、どうも印象が違ったものですから。
 それと、そのことに関係が全くないわけではないのですが、標準的方法とその他の方法と分けてと、頭のところに書かれていますね。それで、その他の方法に相当するところを見てみますと、かなり共通してなのですけれども、特に新しく加わった粉体ろ過法もそうなのですが、基本操作だけが1つ新しくというか、枝番が付いて、それぞれ出ています。これはいいとしても。
 かなりの場合は基本操作かなと思って見ていますと、ほとんどが注意点なのです。基本操作が数行あるのですけれども、大半が留意事項みたいなことが書いてあります。これはこれで参考になる情報ではあると思うのですが、書き物として、項目が基本操作ではなくて、例えば留意事項とか、何か別の項目になっていた方がわかりやすいかなと思いました。ほかのところもみんなそうなっているものですから、余り触らない方がいいということかもしれません。とりあえず意見を。

○遠藤座長
 その点につきましては検討させていただいて、文章をもうちょっときれいな形にできるのなら、直していきたいと思います。確かに御指摘のように、基本操作と言いながら二、三行しか書いていない。あとは全部留意点というのはまずいので、基本操作については例えばキットの説明に従うとか書いておいて、それについてはこういう留意点が必要だということを書くようにした方がいいかもしれません。検討させていただきます。

○国包委員
 あと、関連して、もう一つよろしいですか。
 私自身、試験法を実際に使って仕事をやったということではないので、これも今、疑問に感じて、これは事務局の方にお聞きするのですけれども、その他の方法と書かれているものについて、こういった方法を使って試験をした結果というのは、標準的方法によって試験された結果と同等の扱いになるのですか。それとも差別扱いと言ったら変ですけれども、ちょっと違った扱いになるのですか。その辺りはどう扱われる。
 ここのところに試験方法、試験操作なり器具なり、事細かに書いていない以上は、あくまでも参考データという扱いなのかなと思うのです。ただ、そこが頭書きに余り明確に書いていない。むしろ、同等に扱うとも読めるような書き方になっているものですから、ちょっとその辺が気になったのです。

○橋口係長
 その辺りについては、試験方法の2ページの第2パラグラフ「一方」というところで、「その他の方法については基本操作を記述した。必要に応じて、標準的方法との比較や添加系における回収実験を行い、対象水に対する適切性、回収率等を確認することが適当」と記載しております。
 つまり、標準的方法との比較を行った上で、適切な結果が出せるものであれば、最終的な結果における差別化を行わないという趣旨で記載しているところでございます。

○国包委員
 ということであれば、その他の方法と言われる、そういう分類がされているものを使って出した結果であれ、それなりの十分な根拠があれば同等に認めるということですね。わかりました。ありがとうございます。
 以上です。

○遠藤座長
 基本的に、このその他の方法で入っているのは、恐らく実際的にはお使いになっているところはほとんどないだろうというものなのですが、それを載せないと100%使えなくなってしまうという不安があって、それでこんな形で残っているのだろうと思います。実際問題として、ポリカーボネートを使ったら絶対いけないかと申しますと、そんなことはないのですが実際に使用したらポリカーボネートはすぐに詰まってしまことがわかっています。そんなことがあるものですから、残しているわけですが、追々整理していくのがいいかもしれません。

○国包委員
 粉体ろ過法についてここまでやっていただいておいて、それでその他の方法では、ある意味で残念というか、もったいないなという感じもしたものですから、あえて申し上げました。

○遠藤座長
 わかりました。ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。先生、どうぞ。

○秋葉委員
 内容的なことではないのですけれども、例えば試験方法で概要のところで、「オーシスト等」と入れていて、あと留意事項のところでは「オーシスト」とか、全体的に特定してオーシスト、そのほかにシストと分かれているところもありますので、非常にわかりにくいところがあるなということで。
 それと、27ページ、これはケアレスミス的なものです。3のオーシスト希釈系列の調製、検量線の作成のところで3.1となっていますけれども、3.2がないので、あえて要らないのかな。
 それと、2)操作の(1)、濃度が濃い方から薄い。-4乗から1とか。
 あと、27ページの一番最初の概要のところで、「基準」という言葉を使っていたのか、「標準」なのか、確認をお願いいたします。
 以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。そういう語句等につきましては、座長預かりにさせていただいて、検討して、文章を十分整合性をとる形に修文作業をしたいと思います。御了解いただけますでしょうか。

○秋葉委員
 はい。

○遠藤座長
 ほかにございませんでしょうか。
(「はい」と声あり)
 よろしければ、この方法につきましてはこのような形で、あと御意見いただいたところ、あるいは文章をきれいにするところにつきましては、座長預かりにさせていただいて検討させていただきたいと思います。
 次に移らせていただきたいと思います。事務局に「水道におけるクリプトスポリジウム等対策の実施状況について」の御説明をお願いいたします。

○尾川管理官
 それでは、資料3をごく簡単に御説明させていただきます。
 表紙を見ていただきますと、これは毎年度、水道事業体等に確認しているものについてのデータなのですけれども、21年度末、つまり昨年3月末で、やや古うございまして、今年3月時点のものはまだとりまとめ中でございますので、ざくっと雰囲気をごらんいただければと思います。
 1ページ目の下にポンチ絵、皆様、御案内のとおり、基本的に水源につきましては、まず指標菌検査を行って汚染のおそれを判定して、地下水か地表水かによってレベル1、2、3、4に振り分けましょうということになってございます。レベル3または4、おそれが高いか、おそれがあるかに該当いたしますと施設整備が必要でございますし、また原水検査でクリプトもはかるということで、本日おまとめいただきましたクリプトの検査法につきましては、こうしたレベル3、4に該当した施設にとって非常に有益なものになると期待しているわけでございます。
 では、現状、判定なり対応がどうなっているかということを、次のページを見ていただきますと、3ページにございます表が21年度末のものでございます。数字ばかりでございますので、時間の都合で飛ばさせていただいて、絵を中心にごらんいただきたいと思います。
 ぱらぱらとおめくりいただきますと、4ページから先が都道府県別の状況で、7ページに日本地図がかいてございます。これがレベル3、4に該当したものの中で、対応状況がどうかと見ていただく日本地図でございます。
 未対応施設の割合でございますので、これは少ない方がいい数字なわけでございますが、判明した中で未対応施設の割合が80を超えていたり、あるいは過半数に至っているものも幾つかございます。
 施設が小さいものも多いので、むしろ下の図の人口をごらんいただいた方がいいと思いますが、未対応の人口が二、三割あるところ、鹿児島県とか、10%以上あるところもある。これは、あくまでも昨年3月末時点でございますが、こういう状況でございます。
 現在の対策指針ができましたのが18年度末でございますので、その後、現在のルールになって、1年後、2年後、3年後、19年度末、20年度末、21年度末の3つの数字を経年的にごらんいただいているものが9ページ以降でございます。
 9ページの図-3が全施設で、図-4は、それを上水なり簡水なり専用水道に分けたものです。ちなみに、この数字は事業体数ではなくて施設数ですので、浄水場の数とお考えいただければいいと思います。
 一番下のレベル未判定、つまり指標菌検査も余り行っていなくて、レベル1か2か3か4かわからないものについては、着実に減っていると思います。19年度で7,848という数字だったのが、21年度末で3,949。御案内のとおり、22年春に指標菌の検査方法について見直しをいたしましたので、この未判定の施設については、更に22年度で減っていることを期待しておりますが、まだ集計はしておりません。
 一番下の図、円グラフをごらんいただきますと、未判定の施設の内訳といたしまして、指標菌の検査は未実施であるという数がかなり圧倒的でございますし、はかってはいるのですけれども、まだレベルとしては振り分けていない。出ているのですが、まだ判定を保留しているものもあるということでありまして、指標菌の検査をやっていただくことによって、この未判定の施設が減ると思います。
 裏を返していただいて、10ページでありますが、これはレベル3または4に振り分けられたもの、濃いブルーの棒は未判定が判定になって、結果的にレベル4または3になったというものであります。この数自体は、全施設を見ていただくと着実に増えてしまっております。ただ、これは絶対数が増えたというよりは、未判定が判定になったことによって増えていると思っております。
 それが薄い肌色の部分でございますが、そのうち対応済みの施設も、19年度末には3,000を切っていたものが、3,900でありますので、約1,000の施設が対応済みになっているということで、対応済みの施設は増えているわけでございますが、この折れ線グラフで見ていただいているように、未対応の施設が4割近く存在しているということであります。
 これは、検査法というよりは、きちんと濁度管理をするなり、あるいは紫外線を入れていくといったお金の面での対応が必要になりますけれども、リスクのあるところについてはきちんと対応していただきたいと考えております。
 12ページに一覧表がございますけれども、給水停止の対応事例として、どれだけあったのか。有名な越生の例が一番上の平成8年度にございますが、この表に書いてございますのは、水道事業体において給水を停止した、あるいは浄水中にクリプトなりが入っているということで、広報を行った対応、それが厚労省に報告があったものをまとめたものであります。したがって、原水にのみ検出されていて、ろ過がきちんとできているものはここには入っておりません。
 これをごらんいただきますと、一番上にある越生以降は、特に感染症患者までは出ていない。上水から出ることもあるということでありますが、最近の事例といたしまして、一番下にございますけれども、昨年11月に、これはちょっと希有な例なのですが、成田市の5m3ほどの貯水槽。水源としては千葉県水道局の水でありますけれども、この貯水槽水道を利用している事業体でジアルジア症が出てしまったということであります。
 原因は実ははっきりしていないのですけれども、蛇口からもクリプトとジアルジアが出ておりますので、この貯水槽の水が原因である可能性はあると思います。どうも貯水槽が古かったのでしょうか、更新いたしまして、現在に至っております。千葉県水道局は、勿論、自らの浄水についてもはかっておりまして、そちらでは出ていないのですけれども、こうした形で貯水槽水道から感染症が出て、実際に4名の方がジアルジア症になったということもございました。
 こうしたこともございます。いつ何時、こうした事故・事案が出るとも限りませんので、また22年度末の数字も出てまいりますけれども、担当者会議等もございますので、こうした事例を私どもとしても周知して、対策未実施のところについては早急に対応をとっていただくように指示してまいりたいと思っております。
 資料の御説明としては以上なのですけれども、先ほど座長にもおまとめいただきまして、本日の検査方法につきましては、先生方には、今日の配付資料からの見え消し版の形で御確認いただいてファイナライズしていただこうと思います。こうした形で検査方法というのを確定して充実してまいりましたけれども、実は、厚労省で現在、新しい水道ビジョンの検討に着手しているところでございます。本件に関連いたしまして、今後新しい道として世の中に指し示すべきもの、あるいは対策なりで心しなければいけないもの。
 5時までは多少時間がございますので、座長ではないのでこんなことを言ってはいけないのですが、もしこの場でお気付きの点がございましたら、資料への質問とともに、御意見ということでお寄せいただければ幸いでございます。
 事務局から、以上でございます。

○遠藤座長
 ありがとうございました。お示しいただいた資料の感想等も含めまして、御意見等ございましたら御発言いただきたいと思うのですが。どうぞ。

○秋葉委員
 先ほどの千葉の例ですけれども、これは給水栓でなぜクリプトをはかったのでしょうか。何がきっかけと言いましょうか。

○尾川管理官
 これは体調不良を訴えた方がございまして、まず症状ありきで。実際には、ランブル鞭毛虫が出たものですから、どこから来たのかということで水をはかったら出てきたということであります。

○秋葉委員
 どこかから混入ということですか。

○尾川管理官
 一応、原因不明ということですけれども、貯水槽を更新したということは、何がしか汚水が貯水槽に入っているのではないか。これは千葉県の水道局の水のみが原水でありますので、そちらは白ということになると、どこか外壁から汚水が入り込んだのだろうということであります。

○遠藤座長
 患者さんの疫学調査はきちんとされたのでしょうか。例えば千葉の衛研とかが入って調査がなされたのでしょうか。

○尾川管理官
 今、持ってございませんけれども、報道もなされておりまして、それなりに検査されていると思っておりますが。

○遠藤座長
 ジアルジアの感染というのは、接触感染もありますし、きちんとした疫学調査をしませんと、水由来かどうかということについて、必ずしもそう簡単に言える問題ではないと思います。例えば浄水場でどんな喫食があったのかをきちんと調べませんと、簡単には結論に至らないと思います。こういうものは徹底してお調べいただかないと参考になになりません。お調べいただくような御指導をいただけたらと思います。

○尾川管理官
 承知しました。

○遠藤座長
 どうぞ。

○片山(浩)委員
 雑談でよろしいですか。日本のクリプトスポリジウム等対策というのは、世界的に見て結構ユニークな方針をとっていると考えております。以前、機会をいただきまして日米会議で発表したときも、アメリカを中心にした方々、あとWCAのときも非常に関心を持って見られているので、私などがそういう会議で発言するというやり方ではなくて、もう少しオーソライズした形で、日本のクリプト対策のとってきた道筋と、それがどう有効であったとか、あるいは今のところこういう問題を抱えているとか。
 言ってみれば、大きいところは対応できているとか、あるいは0.1度の濁度というのは、世界的に見て最強の一番厳しい基準であるという辺りで、日本の水道が果たしてきた安全対策と、その中で実際何が起こったかということをまとめて、情報発信を世界に向けてしていただくと、私も講義などで使いやすいので、お考えいただけるといいかなと思います。

○遠藤座長
 あわせて申しますと、これは大変なことになって、どこがそれを引き受けるかという問題はあるのですが、例えば平成8年から22年まで事例がこれだけあって、確認されていないのですよ。クリプトが出た越生と最後の成田の場合はそうかもしれませんけれども、その他のものについて必ずしも確認が取れていないのではないでしょうか。どこがどのようにしてクリプトと認めたのかが、必ずしもはっきりしていません。
 将来的にクリプト等の対策を続けていくべきか、あるいは縮小していいのかということについての判断材料が必要です。そのため、詳細で精度の高いデータにしていくためにクリプト等が検出された場合には、必ず確認機関で確認するというような制度作りが必要だと感じています。。これだけクリプトスポリジウム等が検出されていて患者が出ていないというのも、正直申して検査結果に疑問がないわけでもないこのような点を払拭する意味でも確認作業というのはどこかでなされるべきであろうと思います。
 私長いことマラリアの確認試験というのを担当しておりました。このような制度は行政検査の一環としてできるはずです。今、片山委員の方から申されたように、精度の高いデータとして世界に発信していくことも重要と思いますので、御検討をいただけると非常にありがたいと思います。
 どうぞ。

○国包委員
 クリプトとかに限ったことではないのですが、先ほど尾川管理官の方から水道ビジョンのお話なども出ましたので、その辺に関連して一言申し上げさせていただきたいと思います。
 クリプトのこともそうなのですが、そう言っては何ですけれども、小さいところがやらなければいけないとわかっていても、なかなかできないという事情がありますね。もしかしたら、ずっと何年もやりますということで、そのまま来ているところも多いのではないかと思います。そういったところは、それなりの支援をしていかなければいけないですし、片一方では、これは若干懸念もあるのですけれども、やるべきことをやっていないところについては公表するとか、そういったことも考える必要があるのではないかと思われます。
 全然違うことで、例の立入検査の結果は、今、文書での指摘を受けているところは全部公表されていますね。あれも私、この間見て驚いたのです。私自身もそうしていただきたいということは、何かの機会に申し上げたことがあります。こういったことについて、片一方では支援しなから、片一方ではちゃんとした実情を利用者とか一般の方にわかっていただくような努力が恐らく必要なのではないかと思います。
 もっと言いますと、これはまた別の書き物とかを見ていただければいいのですけれども、ニュージーランド辺りですと、公衆衛生の面から見た事業体の評価をやって、その結果を公表しているのです。ランクAとかBというデータが出ています。それも、役所、保健所が自らやっています。そういったこともこれから少し前向きに考えていっていただく必要があるのではないかと思います。

○黒木委員
 先ほど座長の方から、12ページの表でこれだけの事例があってというお話がありました。確認することは非常に大切なことだと思います。更にできたら、遺伝子レベルで型別をしますと、汚染源が何であるかということをかなり把握することができてきますので、汚染源が確定できればそれなりの対策をすることができるということがあると思います。
 遺伝子レベルの検査は、かなり普及してきましたし、数少ないオーシストやシストから遺伝子を抽出して、それを型別することも可能になっていますので、是非それをやっていただきたいと思います。この中で確定ができたのは、平成13年の一例だけでしょうか。

○遠藤座長
 唯一、兵庫県の事例がありますね。あとは、平成8年の越生でしょうか。

○黒木委員
 越生というのもありますけれども、非常に少ないわけです。できるだけ型別をお願いしたいと思います。

○遠藤座長
 ありがとうございました。時間も過ぎてしまいましたけれども、どうぞ。

○秋葉委員
 よろしいですか。これを見ていますと、小さな専用水道とかで対応がまだまだだというのがあります。ビジョンとかで、これからの方針として、例えば平成25年4月から簡専水の権限が委譲しますね。その反面、専用水道は地下水を汲み上げてかなり増えています。今回の震災があって、自前で水道を持とうということで、病院とかの感受性の強い方がいるところで結構増えていますので、現状を踏まえておいて、25年から市に落ちたらどうなるかとか。
 例えば市に落ちると、どこが監視するか、どこでもいいらしいのです。ちょっと詳しくわかりませんけれども、としますと、結局、水道事業体にとっては専用水道を設置されることは、売れなくなるわけですからマイナスになるわけです。そうすると、市が管理して、例えば事業体の方が関わったり、管理者が関わったりしますと、これは利害関係者ですから、そういったところで管理が厳しくなるのかわかりませんけれども、そういった面が出てくるのではないかということです。
 あと、先ほどの関連の質問で、貯水槽水道は10m3以上でしたか。

○尾川管理官
 5m3です。

○秋葉委員
 ありがとうございました。以上です。

○遠藤座長
 よろしいでしょうか。では、これで会議を終わらせていただきますが、最後に事務局の方から何か御連絡ございませんでしょうか。

○尾川管理官
 お礼でございます。先ほど申し上げました。今日はお忙しい中を、また最後に私の期待以上に貴重な御意見をたくさんいただきましたので、心して自己責任と言わず、専用水道や貯水槽水道にも当然目を向けながら、日本の公衆衛生というものについて考えてまいりたいと思いますし、具体的な施策につなげていきたいと思います。どうも今日はありがとうございました。

○遠藤座長
 以上をもちまして今日の会議を終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。


(了)
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