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2012年2月10日 第1回新水道ビジョン策定検討会議事録議事録

健康局水道課

○日時

平成24年2月10日(金)14:00~17:00


○場所

厚生労働省 省議室


○出席者

出席構成員

滝沢座長 浅見構成員 岡崎構成員 岡部構成員 尾崎構成員
木暮構成員 佐藤構成員 長岡構成員 服部構成員 平田構成員

○議題

(1) 新水道ビジョン策定検討会の設置について
(2) 水道ビジョン(平成20年7月改訂)の概要について
(3) 地域水道ビジョンの策定状況について
(4) 水道ビジョン改訂版のレビューについて
(5) 今後の論点について
(6) 全体討議
(7) 検討会の実施スケジュール(案)について
(8) その他

○議事

○ 名倉課長補佐
では、定刻となりましたので、ただいまから新水道ビジョン策定検討会を開催させていただきます。構成員の皆様にはご多忙にもかかわらず、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。私、厚生労働省健康局水道課の課長補佐をしております名倉でございます。座長が選任されるまでの間、進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。まず構成員の出席状況でございますけれども、本日11名すべての構成員にご出席いただいております。では、開会に当たりまして、厚生労働省・外山健康局長よりごあいさつ申し上げます。

○ 外山健康局長
健康局長の外山でございます。構成員の皆様におかれましては、本日はご多忙中のところ、本検討会にご参集いただきまして、まことにありがとうございます。この水道ビジョンは平成16年6月に策定されまして、平成20年7月に改訂されたところでございます。この水道ビジョンにおきましては、21世紀の中ごろを見通しつつ、今後の水道に関する重点的な政策課題と、その課題に対処するための具体的な施策及び方策、それから工程など、日本の水道が果たすべき役割と目標を定めております。水道ビジョンの策定から7年が経過いたしまして、人口の減少が現実のものとなるなど、水道を取り巻く環境が変化してきております。中でも昨年3月の東日本大震災では、水道も大きな被害を受けまして、取り組み内容の見直しの必要性を痛感しております。本検討会では皆様から貴重なご意見を賜りまして、現行水道ビジョンをレビューいたしまして、来年度の新しい水道ビジョンの策定に向けてご議論いただきたいと考えております。新たな水道ビジョンでは、国、都道府県、水道事業者の役割分担を明確に示しまして、危機管理、アセットマネジメント、住民への適切な説明、国際展開のあり方など、わかりやすく示していきたいと考えております。皆様、どうか闊達なご議論をよろしくお願い申し上げます。

○ 名倉課長補佐
本日、第1回目の検討会でございますので、本日ご出席の構成員の皆様には、1分程度でお名前や水とのかかわりなど自己紹介をお願いしたいと思っております。それでは、五十音順で浅見先生からお願いいたします。

○ 浅見構成員
ご紹介ありがとうございます。アイウエオ順で失礼いたします。国立保健医療科学院で水質の研究をしております。ずっと水質関係の分析ですとか、危機管理ですとか、事故対応というようなことをお手伝いさせていただいたり、研究をさせていただいておりまして、20年ぐらい前からの状況を比べますと、都市部では非常に高度処理が導入されたり、いろいろな問題が解決している部分も多いと思うのですが、全国的な状況を拝見いたしますと、いろいろな状況が変化をしておりまして、同じような水質を送り続けることが非常に困難なところというのもたくさんあると承知しております。今回もいろいろとなれないことがございますが、よろしくお願いいたします。

○ 岡?構成員
よろしくお願いします。全日本水道労働組合(全水道)の岡?と申します。私たちは全国の上下水道事業体で働く労働者で構成する労働組合ですから、この新ビジョンの策定については大変大きな関心をもっております。一方で、ご承知のように、今、国政レベルでは水循環法、水の基本法ということで、法それ自身は理念法になるのかもわかりませんが、そうした論議が与野党間でも進んでおりますし、それから、何よりも間もなく1年になろうとしています3・11のあの東日本の大災害のときには、水道課、日本水道協会の皆さんを基軸にした現地への応援体制、私たちの仲間が全国から入りまして、被災地の上下水道事業体の仲間と一緒に対応してきたという経験もあります。そういう意味では、水循環法理念、3・11の痛苦な経験、教訓といったものも含めた現場からの実態論、そうしたところを総合的にこの検討会でも論議をしていただければなと思います。よろしくお願いします。

○ 岡部構成員
よろしくお願いします。水団連の岡部です。正式には社団法人日本水道工業団体連合会といいますけれども、通称、水団連のほうがわかりやすいかと思います。水団連といいますのは、水道産業界の関係団体及び代表的な企業で構成されています。先ほどもお話があった3・11の復興などでも、各社、自社メーカーの製品だけではなく、横に連携しながら、いろいろ復旧のお手伝いをさせていただきました。また、これから新水道ビジョンということで、この中で新しい技術、製品、そういったものが必要になると思いますので、製品情報や技術情報のユーザーへの提供の立場から、水団連としてご協力していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○ 尾?構成員
日本水道協会の尾?でございます。よろしくお願いします。私は水にかかわって三十数年間たちます。今、水道をみますと、世界にこれだけすばらしい水道というのはなかなかないぐらい、日本の水道というのはかなりよくなってきたと自負しているところであります。しかし、まだまだ課題がたくさんあります。その課題を何とか乗り越えて、やはり将来にわたって安全な水の安定供給に努めていかなければ、ということで、現在一生懸命取り組んでいるところです。皆さん、ご協力よろしくお願いします。

○ 木暮構成員
埼玉県庁の生活衛生課(水道担当)の木暮と申します。いわゆる都道府県水道行政という立場です。埼玉県下には59の水道事業体がありまして、数百人程度の簡易水道から 100万人を超えるような大規模な事業者までありますけれども、日々、そういうところの方々から相談を受けたり、助言をしたりしております。今回、新水道ビジョンの検討に構成員ということでかかわることができて、ある意味、喜びもありますけれども、重責もあるなと感じております。来年度いっぱいということですけれども、1年間よろしくお願いしたいと思います。

○ 佐藤構成員
佐藤裕弥と申します。私は現在、浜銀総合研究所におきまして、公営水道の経営問題を専門に研究テーマとして取り組んでおります。これまで水道の広域化の推進アドバイザー、あるいは各地の水道料金の適正化や公民連携計画の策定などに携わってまいりました。最近、特に問題意識としてもっているのは、人口減少下において水道事業の経営はいかにあるべきかという点であり、このところを非常に強く関心をもって研究を進めております。今後、将来、規模の小さい水道事業体においても、何らかの克服策を見出していかなければいけないという思いを強くもっておりますので、今回の検討会では今後の道筋を示せるように参加していきたいと思います。

○ 長岡構成員
東京都市大学の長岡と申します。よろしくお願いいたします。私は上水の分野でいうと膜を使った水処理についてずっと研究しておりまして、膜の浄水なども研究しております。あるいは、管路の分野でも、管路のプロジェクトに参加させていただいておりまして、特に管内での水質によって管の老朽度を診断するというような研究も行っております。また、ソフト的な研究も行っておりまして、例えば小学校で児童が水道を飲むようにするにはどうしたらいいかというようなことについても、アンケート調査をしながら検討するというようなこともやっております。水道とのかかわりというのは、MAC21という膜浄水のころからかかわっておりますけれども、今回、水道ビジョン策定検討会に参加させていただくということで、精いっぱいやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○ 服部構成員
水道運営管理協会の服部でございます。当協会は2002年の水道法改正の翌年、2003年に浄水場の機械、それから電気等の設備を中心として、その浄水場施設建設のEPCのできる会社をグループ内にもっている会社が集まりまして、特にオペレーション&メンテナンスを中心に集まった協会でございます。当協会は、日水協さんや水道技術センターさん等が進める民間委託のガイドライン、それから、積算マニュアル等の編集にご協力したり、また、そのPRを各自治体に行っております。また一方で、水道技術の維持のために、資格等でマニュアルをつくったり、本をつくったりしまして、水道施設管理技士の取得促進に努めているというようなことを行っております。水道の民営化のために多少なりともお力になれればと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

○ 平田構成員
横浜水道局、水のマイスター、平田水夏と申します。水のマイスターとは、横浜市水道局が平成18年から開始した制度で、水や水道事業について関心のある市民が、水道局開催の講座やイベントなどを通して学んだ知識を市民に伝えていくという制度です。市民が市民に対するメッセンジャーとなり、水道事業をより身近に考えていただけることを目的とし、現在、52名の水のマイスターが活動しております。年間の活動ポイントにより、毎年、星の認定があり、最短5年間で最高位の五つ星マイスターまで進むことができます。マイスターの中には、道志川水源林ボランティア、横浜防災ライセンス指導員、日本茶インストラクターなど、さまざまな資格と経験をもつ市民が活躍しております。私は現在、三つ星マイスターで、また、水に限らず広く環境や自然に関心があり、日本オーガニック検査員協会オーガニック・コミュニケーターとして、有機商品の推進活動もしております。ことしは近代水道が横浜で完成してから 125周年です。近代水道発祥の横浜から消費者の率直な考えをお伝えできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 吉岡構成員
岩手県矢巾町上下水道課の吉岡と申します。3・11東日本大震災の際は皆様方に多大なるご支援をいただきまして、ありがとうございました。私は水道の担当になってからことしで16年目になります。その間、人口減少社会となって、小さい水道事業は危ない、危ないといわれているのが現状です。これは現場レベルでみても全く同様の認識をもっています。この状況を整理すれば、人口減少社会だからしようがないじゃないか、経営資源が乏しいからしようがないじゃないかといいわけをしてしまいがちですが、私は決してそう思ってはいなくて、むしろこのような社会が到来することはあらかじめ予見できたわけで、それに対する対応策であるとか、打開策をこれまで見出してこなかった私たちの取り組みをまず反省するべきではないかと考えています。そうした反省に立ち、我々の子供たちの世代まで信頼できる水道を引き継いでいく方策をこのビジョンで皆さんと話し合えたらいいのかなと思って参加しておりました。よろしくお願いいたします。
○ 滝沢構成員
東京大学工学系研究科都市工学専攻におります滝沢と申します。よろしくお願い申し上げます。工学系研究科におりますので、もともと技術屋でございますけれども、随分以前から、技術を開発してそれを有効に活用していただくにはどうしたらいいのでしょうという疑問を諸先輩に問いかけたり、ご相談申し上げたりしていく中で、だんだん技術だけではなく、取り巻く周りのいろいろなことを勉強させていただきまして、最近では技術にかかわらず、いろいろな会議に出席させていただきながら勉強しているところでございます。よろしくお願い申し上げます。

○ 名倉課長補佐
ありがとうございました。また、この検討会ではオブザーバーとして総務省自治財政局公営企業経営室の笠井室長、清水目課長補佐にご出席いただいております。笠井室長、一言ごあいさつをお願いいたします。

○ 笠井公営企業経営室長
総務省の笠井でございます。よろしくお願いいたします。地方公共団体の水道事業は、水道法とともに地方公営企業法も重畳的に適用されるという形になっておりまして、今回、地方公営企業の担当ということでオブザーバー参加をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

○ 名倉課長補佐
それでは、厚生労働省側で外山局長以外の出席者をご紹介いたします。石飛水道課長でございます。尾川水道水質管理官でございます。熊谷水道計画指導室長でございます。小須田水道課課長補佐でございます。泉水道課技術係員でございます。また、本検討会の運営補助といたしまして、株式会社日水コンを同席させております。

○ 泉技術係員
続きまして、議事に入る前に事務局より配付資料の確認をさせていただきます。まず頭に議事次第がございます。1枚めくっていただきまして、添付—1が検討会名簿、もう1枚めくっていただきまして、添付—2が座席表でございます。次に、資料-1、新水道ビジョン策定検討会開催要領がございます。1枚めくっていただきまして、ホチキスどめ、水道ビジョンの概要です。次に資料-3、これもホチキスどめで地域水道ビジョンの策定状況です。次が資料-4、水道ビジョン改訂版のレビューとなります。こちら、その後、資料ナンバーがついていないものが5冊、施策群1、2、3、4、5と5冊ついてございます。これらまとめて資料-4でございます。その後、資料-5、今後の論点について、一枚紙がございます。最後、資料-6、検討会の実施スケジュール(案)でございます。その後ろに参考資料-1、現行の水道ビジョン、参考資料-2、地域水道ビジョン作成の手引きがついでございます。資料は以上です。もし足りないものがございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。よろしいでしょうか。

○ 名倉課長補佐
続きまして、座長選出に移らせていただきます。資料-1にあります当検討会の開催要領の2の (2)をごらんいただけますでしょうか。この中には、座長は第1回検討会において委員中から選出するとなっております。事務局といたしましては、東京大学の滝沢先生にお願いしてはいかがかと思っております。滝沢先生におかれましては、先ほどごあいさつにもありましたように、水道分野に大変お詳しく、適任と思っておりますので、推薦させていただきますが、いかがでしょうか。

(満場拍手)

ありがとうございます。では、検討会といたしまして、滝沢先生に座長をお願いいたします。滝沢先生、よろしくお願いいたします。座長席にお移りいただけますでしょうか。

○ 滝沢座長
改めまして、東京大学の滝沢と申します。よろしくお願い申し上げます。一言、議事の前に座長としてごあいさつをさせていただきたいと思います。先週、日本水道協会、横浜市水道局、国際水協会(IWA)の主催で、横浜でアセットマネジメントのワークショップをしておりました。海外、主に先進国の方々ですが、お招きしてアセットの状態がどうなっているというような会議をしておりまして、私も参加させていただきました。途上国はもとより、お話を聞いておりますと、先進国の皆さんとお話をしても、時々、違和感といいますか、感覚のずれを感じることがございまして、実は先ほど日水協の尾?専務のおっしゃられたことと全く同じようなことなのですけれども、そもそもよって立つベースがかなり違う。先進国を相手にしてもかなり違う。それは、水道、水質の管理や水質のあり方はもとより、漏水率の水準をどう考えるとか、施設の管理の仕方、施設の水準も、先進国と比べても、やはり日本の水準がかなり高くて、そもそものベースの議論が、よって立つ部分が随分違うのだなという感覚をもちました。これは相対的な問題かもしれませんが、非常に高い規格、あるいは水準の水道を今まで諸先輩、あるいは市民の皆さんの支援により築いてきたわけでございますが、足元をみますと、水道事業に携わる職員の方の大量退職がもうじき控えていること、あるいは水道を取り巻く社会経済環境が大きく変化しようとしているようなこと、これが現在、それから将来にわたって水道の事業経営に対してさまざまな影響を及ぼすだろうということが予想される状態にございます。こういう中で、これまで築いてきた水道という我々の命、経済を支える重要な基盤を、子や孫の世代にいかにしてしっかりと引き継いでいくかといったことが我々の世代の重要な責務であろうと考えております。この水道ビジョンというのは、我が国の水道のあり方を考える上で最も重要なビジョンの1つ、考え方の1つであると考えておりますので、委員の皆様方の活発なるご意見をご協力いただきながら進めてまいりたいと思いますので、よろしくご協力のほどお願い申し上げます。
それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。本日の議事の1番目でございますが、新水道ビジョン策定検討会の設置についてです。ざっとごらんいただきますと、本日、議事が7つございます。関連する資料が1から6という形でございます。この中で、最初の新水道ビジョン策定検討会の設置についてから水道ビジョンの策定、改訂の動向までお話しいただきたいと思いますが、まず最初に資料-1から資料-3まで、これを事務局からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○ 名倉課長補佐
まず資料-1をごらんください。新水道ビジョン策定検討会の開催要領でございます。趣旨としましては、先ほどからの話にもございますように、現行の水道ビジョンというのは平成16年6月に策定されて、平成20年7月に改訂されております。策定から7年以上経過いたしまして、水道を取り巻く環境にも変化が生じてきているということを受けまして、内容について見直しの必要性が生じているというものでございます。こうした背景から、現行の水道ビジョンの進捗状況のレビューをするということ、それから、レビューの結果、近年の水道を取り巻く状況にかんがみまして、平成24年度中を目途に新たに水道ビジョンを策定するというものでございます。この検討のために現行局長が各関係者と構成員といたしました検討会を設置することとしております。したがいまして、委嘱期間といたしましては平成25年3月末日までということになっております。それから、この会の運営についてでございますけれども、3.その他の (3)といたしまして、検討会は原則公開といたします。ただし、議事内容により非公開とする場合は、開催予定とともに非公開である旨及びその理由を公開するということにしております。資料-1については以上でございます。
それから、資料-2についてでございます。水道ビジョンの概要でございます。現行の水道ビジョンそのものは参考資料-1にございますけれども、資料-2に沿って説明させていただきます。水道の将来的な展望については、過去からいろいろな形で示されてきたものでございますけれども、平成13年の水道法の改正等も受けまして、現状とか将来の見通しの分析、評価をいたしまして、今後の水道のあるべき姿ということで、関係者が共通目標を設定して、今後の政策課題を明確化するものとして策定をしたものでございます。そのときの現況については、1ページ目の下のほうに書いているような状況があったということになります。めくっていただきまして2ページ目でございますけれども、目指すべき方向性といたしまして、水道関係者の共通目標ということで、「世界のトップランナーを目指してチャレンジし続ける水道」というのを基本的な理念としたということでございます。それに基づきまして、2ページ目の下のほうでございますけれども、長期的な政策目標といたしまして、5つのキーワード、安心、安定、持続、環境、国際というキーワードで政策をまとめていったということになります。3ページ目の上になりますけれども、そうした基本的な政策の目標に対して、それぞれ課題解決型の施策群を設けたというものでございます。それぞれについてご説明いたしますと、3ページ目の下のほうからになりますけれども、例えば水道の運営基盤の強化については、まず一番左に状況というのがございまして、人口の減少とか、施設の老朽化とか、更新需要があるというような状況に対しまして、施策の課題として、新たな概念の広域化の推進といったような施策課題を設けまして、それに対して解決するための施策というのでまとめていったというものでございます。めくっていただきまして、4ページ目の上のほうには、安心・快適な給水の確保ということで、これも状況といたしましては、水源の水質の悪化の中での水質管理の必要性ですとか、貯水槽水道などの水質の問題といったものがございまして、それに対しても施策課題といたしまして、給水安全度の向上といったもののために主要な施策というのを課題解決のための施策として設けたというものでございます。下のほうに行っていただきますと、3つ目には災害対策等の充実ということで、これも状況といたしましては、施設の耐震化等の不足といったことがあることに対しまして、災害対策を充実していくということで、施策といたしましても、地震対策の充実ですとか、渇水対策の推進というものを設けました。5ページ目の上のほうでは、環境・エネルギー対策の強化ということで、状況といたしまして、温暖化対策とか廃棄物減量化の推進の必要性があったということに対しまして、施策課題がありまして、主要施策としても水道運営への経済性と環境保全のWin—Winアプローチの導入といったような施策を設けたというものでございます。下のほうでは、国際協力等を通じた水道分野の国際貢献ということで、これも状況といたしましては、途上国における衛生的な水供給の不足などがあることに対しまして、主要な施策としまして、水道分野の国際貢献の推進などを盛り込んだものでございます。めくっていただきますと、6ページ目でございますけれども、このそれぞれについてさらに細分化いたしまして、各種の方策と、それを図るための施策の指標というものを設けまして、施策についてそれぞれ目標を設けていったものでございます。例えば水道の運営基盤の強化ということでは、施策の目標としまして、新広域化人口率 100%とか、給水カバー率 100%といったような目標を設けたものでございます。この定義も含めまして、後のレビューのところで出てまいります。安心・快適な給水の確保ということでは、施策の目標としましては、異臭味被害率ゼロとか、水質事故発生率ゼロといったようなことを目標として設けたものでございます。また、7ページ目の上に行っていただきますと、災害対策等の充実に係る方策としましては、基幹施設の耐震化率 100%とか、基幹管路の耐震化率 100%といったような目標を設けました。下のほうの環境・エネルギー対策の強化に係る方策ということでは、浄水汚泥の有効利用率 100%とか、単位水量当たりの電力使用量10%削減といったものを設けました。最後のページ、8ページ目では、国際協力等を通じた水道分野の国際貢献に係る方策といたしましては、施策の目標としては、水道分野の研修生の受け入れ数を10年間で約 600人にするといったような目標を設けて、共通の目標としたものでございます。資料-2については以上でございます。
資料-3でございますけれども、こういった国でつくった水道ビジョンに対しまして、それぞれの水道事業を営んでおられる水道事業者、また都道府県等に地域水道ビジョンというのを策定してくださいということで、これも地域水道ビジョン作成の手引き、参考資料-2になりますけれども、そういうものをつくって作成に取り組んでいただいているというものでございます。実際の策定状況につきましてはグラフで示しておりますので、めくっていただきまして、例えば2ページ目でございますけれども、これは簡易水道を含めない上水道事業での策定率になっておりますが、左のほうが事業者数の割合になりまして、49%、半分ぐらいの事業者につくっていただいている。ただ、これを給水人口別にみますと、84%ぐらいのところでつくっていただいているということで、こういうことから、より大きいところについてはつくっていただいているけれども、より小さいところについてはまだ策定されていないというような状況がわかります。めくっていただきまして3ページ目ですけれども、これは用水供給の事業についてでございます。左側は事業数の割合でいきますと66%、これを最大給水量でみますと92%ぐらいになっているということになりまして、これもより大きいところがつくっていただいている傾向にあるということになります。この傾向につきましては、4ページ目をみていただきますと、上の段が上水道について、左から右に行くほど給水人口が多い、より大きい上水道事業になりますけれども、青で書いたものが策定済み、赤いものが未策定のところということで、大きいところのほうが割合として多くつくっていただいている。下のほうの用水供給についても、これは最大給水量でみておりますけれども、右のほうの大きいところに行くほどつくっている割合は大きいということになっております。5ページ目でございますけれども、これは都道府県の水道ビジョンの策定状況でございます。現在のところ、7道県につくっていただいているということなのですけれども、逆にいうと、まだ7つにとどまっているというような状況にあるということでございます。資料-3まで、以上でございます。

○ 滝沢座長
それでは、ただいまご説明いただきました資料-1から3まででございますが、何かご質問、あるいはお気づきの点はございますでしょうか。いかがでしょうか。どうぞ、佐藤さん。

○ 佐藤構成員
では、資料-3、地域水道ビジョン策定状況について、質問、確認がございます。1ページ一番下の欄にありましたとおり、都道府県の水道行政主管部の水道ビジョンはわずか7プランと報告されていますけれども、この原因であるとか背景などがもしわかっているようであれば、ご説明いただければと思います。もしそうでなければ、今後、例えば都道府県というのが1つのキーワードとなってくるとするならば、今後の議論を深めるためにも、調査もしくはヒアリングということもここで提案しておきたいと思います。

○ 滝沢座長
いかがでございましょうか。

○ 名倉課長補佐
恐らくその県の中で全部をまとめ上げるのが、なかなか調整もいろいろありますので、大変だとかいうことが原因ではないかと考えますけれども、特にこれまで定量的な調査というのはなかったかと思いますので、今後に向けてそういうことも調べてまいりたいと思っております。

○ 滝沢座長
埼玉県の木暮さん、いかがでございますか。

○ 木暮構成員
5ページの絵をみていただくとわかるように、埼玉県では昨年度策定いたしました。もともと水道整備基本構想というのは、各都県ともかなり策定されている状況であるかと思うのですけれども、やはりこれを改訂したりする場合には、各事業者との協議とかが必要になってきますので、その辺に苦労があると思います。埼玉県の場合につきましては、水道の広域化ということを念頭におきまして、平成17年ぐらいから約5年間、名前は研究会なり協議会なりがあったのですけれども、各事業者と詰め合わせながらやっと策定したという状況であります。ほかの都県につきましても検討されているところであるかと思いますが、その辺、やはり都道府県だけの考えでできるわけではないので、なかなか難しい部分があるのかなと、担当として、去年携わった身としてはそのように考えております。

○ 滝沢座長
よろしいですか。

○ 佐藤構成員
ありがとうございました。

○ 滝沢座長
ほかに何か。どうぞ。

○ 吉岡構成員
資料-3の地域水道ビジョン策定状況に関係することなのですけれども、これまで水道ビジョンのほうはレビューをそれぞれしてきたわけですが、地域水道ビジョンの策定についてはそのような形ではなかったと記憶しています。小規模水道事業の現場では、比較的短期間での人事サイクルで人がかわっております。私どもの周辺の勉強会でも、平均在職年数が3年程度になっております。そういう状況では、地域水道ビジョンの策定状況をいくら示しても、時間の経過とともに、どうしてつくるのだろうという根本のところが抜け落ちている現状があるのではないかと思います。「こういう取り組みがあるんだよ」ということを説明すると、「えっ、そうだったの」という人も意外とある。これが現状なのかなということを考えると、地域水道ビジョンの策定についてもこれから積極的に推進していく何らかの方策があるべきではないかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。コメントとして受けたいと思います。ほかに何かお気づきの点。浅見構成員、どうぞ。

○ 浅見構成員
今のを拝見いたしまして、上水道のところと用水供給で決めていらっしゃるところと都道府県で決めていらっしゃるところというのが、それぞれ事情が県によって異なると思いました。といいますのも、県によりまして、県の水道部局が給水率が高くて、全体的に用水供給も含めて給水をしているところですとか、管理をしているところ、末端までやっているところもあれば、県によりましては全然違うところもあり、特に政令指定都市が入っているところですと、そこが非常にパワフルだと、ほかのところが逆に埋もれてしまっているというような、県ごとの事情が非常にあるかなと思います。今後、本当に必要だけれども、ビジョンを策定していないのか、それとも、ほかのところが策定をしているので、結果的にはかなりカバーされているのかというところもみていただいたほうが、実際のカバーにつながるのではないかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。統計数字とともに、その背景に踏み込んで考える必要があるというご指摘だと思います。ほかにご意見。どうぞ。

○ 木暮構成員
地域水道ビジョンの策定なのですが、やはり小規模事業体は5万人以下ですと都道府県の指導というのが非常に重要なポイントになるのかなと思います。埼玉県の場合につきましても、26~27の都道府県認可の事業があるのですけれども、やはりなかなか指導といっても、つくらなければいけないというものではありませんので、その辺の必要性を細やかに説明してあげないと、なかなかモチベーションといいますか、動機づけが出てこないというのが実態なのかなと思います。ですから、一応、国のほうで手引きですとか、その辺をつくられていますけれども、それを読み込む力ですとか、時間、余裕もないというのが現状だと思いますし、小規模事業体の場合については、地域とか、都道府県での勉強会、指導というものがないと、なかなか策定する状況には至らないのかなと日々感じております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかにお気づきの点ございますでしょうか。いかがでございましょうか。

○ 岡?構成員
論議がそこのところに集中してしまうかもわかりませんけれども、翻って考えたら、全国の事業体の問題点のポイントというか、そこにきっとあるのだと思うのです。大中、一定成熟した事業体は、技術力、マンパワーを含めて、こういう策定状況についてもそれなりの数字が出てくるわけで、問題は小規模事業体、その皆さんの実態と置かれている苦悩、ここのところにどう手をつけていくのかということだと思うのです。それはおっしゃるように、3年、4年のサイクルで人事異動がなされるような事業体の実情からすると、そうした実態を抜きに、一般的にいってみせるんじゃないというところがきっとおありだろうと思うのです。だから、結論からいうと、今、木暮構成員がおっしゃったように、それ自身についても丁寧な手だて、手順というものが必要だと思います。それは水道課を軸にして縦の線だけではなくて、それぞれの地域の横の線で、事業体同士の大中小の規模のお互いの向かい合いと協力のし合いということが、やはり縦横を含めて問われているのだと思うのです。なぜそういうかというと、私自身がそういう事業体の一員としての資格、責任があると思いますから、そういう反省を込めてあえて申し上げたい。もう一回翻って、全国の小規模事業体をどうするのかということについては、こういうテーブルで、今後の検討会の論議、論点にしっかり位置づけていただいて、その論議、手だてを組んでいくということが大事なのではないか。ここはツボどころだと思いますから、さらっと受け答えをして済ますということはお互いがしないというようにはぜひお願いしたいと思います。

○ 滝沢座長
大変重要なコメントだと思いますので、今後のこのビジョンの会議の中でしっかりと取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。それでは、この件に関しまして、資料-1から3、特に追加のコメントがございませんようでしたら、次に議事を進めさせていただきたいと思います。それでは、議事の (4)になりますけれども、水道ビジョン改訂版のレビューについてでございます。現行の改訂版水道ビジョンが5つの施策群から成っておりますので、その施策群ごとに事務局補佐から説明ということで、1つずつ取り組んでまいりたいと思います。それでは、施策群の1からご説明をお願いしたいと思いますが、施策群1、水道の運営基盤の強化について、日水コンさんからご説明いただきます。よろしくお願いします。

○ 日水コン(辻)
日水コンの辻と申します。私のほうは水道の運営基盤の強化についてご説明させていただきます。資料-4ですけれども、最初の1ページから7ページまでは、これからご説明するパワーポイントの目次となります。A3のものなのですけれども、8ページについては、現行ビジョンの体系をキーワードで並べて一覧に整理したもので、これは参考でみていただければと思っております。9ページについては、かなりパワーポイントの数が多いもので、施策群と主要施策、施策目標ごとに、経緯、目標の達成状況、施策の取組状況、まとめという形で、一覧にみられるように整理したものでございます。基本的には5つの施策群ごとに、主要施策、施策目標の構成に沿って、各担当がご説明いたします。なお、すべての資料を限られた時間内でご説明することは難しいので、おのおのの施策群について、現状における課題認識の観点から、このうち強調したいテーマを中心にご説明させていただきますので、ご了承ください。
まず主要施策群、水道の運営基盤の強化ということで、パワーポイントのほうをみていただければと思います。運営基盤の強化には3つの主要施策がありまして、まず最初に主要施策1の新たな概念による広域化の推進及び集中と分散を最適に組み合わせた水供給システムの構築についてご説明させていただきます。まず運営基盤の1—3ページをみていただきたいのですけれども、左が企業団営水道事業者のグラフと、右は企業団と都道府県営を含む広域水道事業者数の経年的な推移をお示ししております。平成12年度ごろから平成の大合併の影響で、広域水道事業者数は減少しておりまして、近年は横ばいに推移しています。なお、平成21年の広域水道事業者数は 149事業となっています。次に1—7ページになるのですけれども、施策目標となる新広域化人口率の状況なのですが、このパワーポイントからみられますように、達成状況は平成21年度で68.5%とあり、ここ数年、大きな変化はみられていません。一方、新たな広域化の概念として設定された業務の共同化についてなのですけれども、水道事業者へのアンケート調査で得たものなのですが、平成17年度の 155件に比べて、平成22年度は 950件と大きく増加しております。特に水質管理業務と危機管理業務で共同化が図られているということが把握できます。次に1—9ページになりまして、右側の一番下なのですけれども、国の施策としては、水道広域化の手引きなど、これから続くパワーポイントにも書いてあるのですが、そういった各種手引きというものを作成してきたという経緯がございます。また飛びまして、14ページになるのですけれども、平成20年に広域的水道整備計画を都道府県版地域水道ビジョンと位置づける通知が厚生労働省からありまして、先ほどご説明したとおり、今の都道府県版地域水道ビジョンの作成状況というのは、予定も含めて7件ということになっております。次に18ページに入りまして、これも水道事業者へのアンケート調査による今後の事業統合の状況なのですけれども、右のグラフは、例えば市町村内の簡易水道等の統合ということなのですが、予定をしているところは4割ということです。一方、左のグラフなのですけれども、市町村を超えた広域的な事業統合というのは、検討しているというところで全体の10%程度という状況がうかがえます。次に施策目標の給水カバー率というところなのですけれども、これは1—25ページに入りまして、左側の棒グラフをみますと、平成22年時点で、水道水ではなくて自家用井戸等を飲用しているという人口がまだ全国で 315万人いるという状況がございます。1—26ページ、施策目標の給水カバー率なのですけれども、平成21年度で97.7%ということで、平成17年度に対しては 0.3%増加しております。ただし、この式では現行ビジョンの定義でいう法適用外の小規模水道の技術的管理を行っている人口ということが今でも把握できない状況ですので、それが課題となって残っております。
次に、主要施策2—1ページになるのですけれども、最適な運営形態の選択及び我が国の水道にふさわしい多様な連携の構築についてご説明させていただきます。運営基盤の2—3ページと2—4ページでみられるように、水道事業の運営形態としては大きく個別委託、第三者委託、DBO、PFI、公設民営、完全民営という形で大きく6つに分類されます。代表的な2—6ページなのですけれども、第三者委託については、届け出数が経年的に大きく増加していまして、平成22年では 738件となっています。ただし、専用水道が民間へ委託するという方式がシェアが一番多いという状況です。下の2—7ページなのですけれども、平成23年にPFI法が改正されたという動きがありまして、2—9ページ、PFIの導入件数のグラフなのですが、契約件数をみますと、平成22年で13件となっています。2—10ページ以降にPFIの事例があるのですけれども、大体そのうち施設の所有権を公に戻して、民間が維持管理するBTOが8件と最も多くなっております。2—16ページ、水道事業へのアンケート調査でありますが、業務委託の実施状況というところをみますと、常駐施設 1,842カ所で回答がございまして、そのうち 1,805件が委託を実施している。そのほとんどが一部委託となっているのですけれども、そういった結果が得られております。2—17ページで、国としては運営基盤の強化を目的に、今まで多様な運営形態の選択に資する各種手引き、例えば第三者委託実施の手引きとか、PFI導入検討の手引きを策定してきたという経緯がございます。あとは、2—23ページに入りまして、水道事業の運営が、民間も含めた多様な運営形態が選択されているということで、第三者機関の公正な立場からのパフォーマンス評価等の必要性が問われておりまして、2—25と26をみていただきたいのですけれども、日本水道協会や水道技術研究センターでも、こういった水道事業評価にかかわる検討が現在行われている状況でございます。次に施策目標の水道事業に携わる技術者の確保ということなのですけれども、2—30ページ、技術職員数のグラフなのですが、上水道及び用水供給事業の技術職員数は年々減少しております。下の2—31になるのですけれども、職員1人当たりの給水人口で換算した場合も、職員数の負担も増加しているという状況が把握できます。次をめくって2—33の下のグラフになりますが、平成21年度の年齢別職員数を示したものですが、現時点でも全体の41%が50歳以上ということで、今後も大量退職が継続することが把握でき、技術の継承が今後大きな課題となっていくということです。2—35なのですけれども、左側の技術者の数、これは第三者委託等も含めた技術者の数なのですが、オレンジとピンクが民間人の割合ということになるのですけれども、その数自体はふえているのですが、技術者の総数でみると減少傾向にあるという実態が把握できます。次に2—43ページ、これは水道事業者へのアンケート調査でございまして、今後の業務遂行の可能性はどうですかということを聞いているのですけれども、5年後までは23%、6~10年後までは35%の事業体が対応できないという回答をしております。2—44が人口規模別にみたものでありますが、事業規模が小さいほど、その回答が多くなっているというような状況になっております。
次に主要施策3のコスト縮減を行いつつ適切な費用負担による計画的な施設の整備・更新ということで、まずパワーポイントの3—2ページをみていただければと思うのですが、我が国の水道というのは昭和50年前後と平成年代をピークとして整備されてきまして、現在の水道資産をこれまでの投資額の蓄積として評価いたしますと、平成20年度価格で46.7兆円と試算されます。次をめくって3—3になるのですけれども、現行施設の更新需要を算出いたしますと、法定耐用年数で更新した場合は59兆円、法定耐用年数の1.25倍で更新した場合は46.2兆円となり、法定耐用年数の1.25倍で更新した場合の更新費用を年当たりに換算いたしますと、1兆 760億円となります。平成21年度の投資額は 9,800億円ということですので、それを上回る水準だということが把握できます。ですので、3—6ページをみていただきたいのですけれども、今後、更新需要は増加することが見込まれる中、人口減少に伴い、1人当たりの負担額というのはこれから増大していきますし、更新需要の先送りは次世代の負担を増加させるということから、着実な更新事業と財源確保を行わなければならないということになります。3—7と3—8なのですが、老朽化施設の割合ゼロの指標値という考え方でみますと、上の経年化浄水施設率、下の経年化設備率の値自体をみますと減少しているのですが、 100万人以上の大規模事業体では大きな減少がみられるのですが、人口規模によっては増加しているというところもみられます。次に3—9ページの経年化管路率をみますと、これは増加傾向ということで、 100万人以上の大規模事業体をみますと、そこは減少しているのですけれども、その他の人口規模は大体増加傾向がみられるということで、管路の更新率になりますと、経年化管路率が増加しているということは、必然的に更新率は減少しているという状況がこの値から見受けられます。平成21年度で0.87%ということなので、すべての管路を更新するには 115年かかるという試算になり、管路の更新が進んでいるとはなかなかいいがたいという状況が把握できます。3—11ページ以降は、国の取り組みとして水道事業におけるアセットマネジメントに関する手引きや、水道施設の機能診断の手引きとか、水道施設更新指針等を作成し、こういった手引き、指針を活用して計画的な水道施設の更新を推進してきました。3—19ページ、これは事業体へのアンケート調査によるものなのですけれども、アセットマネジメントの実施状況なのですが、実施しているところは3割程度ということになっています。ほとんどタイプ2Bなどの簡略型とか、タイプ3Cの標準型ということになっています。次に3—24ページの右側のグラフで、将来の改築・更新に向け、自己資金の確保を計画的に行っているかということで、一番右側の全体の棒グラフになるのですが、実際に行っているのは6割程度という実態でございます。あと、3—32ページになるのですけれども、専用水道の推移を示したグラフがございます。これをみますと、緑のところなのですけれども、自己水として水道を併用する専用水道というものが増加しておりまして、災害時の断水への備えやコストダウンのメリットを利用して、地下水を処理して水道水を補給水とする大口需要者が増加していることが想定され、水道事業者としては収益減ということですので、水道事業の財政に今後影響を及ぼすという要因もございます。あとは3—35、36になるのですけれども、これからは需要者のニーズへの的確な対応、需要者の視点に立った事業運営が必要不可欠になりまして、水道事業体が実施している情報提供の取り組みを水道事業者のアンケート調査で行ったものなのですが、水質検査計画とか水質検査結果、これは3—36です。水道料金等については9割以上の事業体が実施しているということで、右側の需要者への情報提供の方法をみますと、ホームページでの公表が最も大きいという結果になっております。
以上で運営基盤のほうの説明を終わらせていただきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。それでは、施策群1の中の3つの施策をご説明いただきましたけれども、これにつきまして何かお気づきの点、あるいはご意見でも結構でございます。ございましたら、ご発言をお願いしたいと思います。施策群1、水道の運営基盤の強化について、ご意見、あるいはご質問、確認でも結構でございます。岡部構成員、どうぞ。

○ 岡部構成員
先ほどの地域水道ビジョンの話で、幾つ作られているかという話題がありましたが、作ること以上に、作ったあともなかなか実行できないという話を聞いています。その中で何が問題かというと、先ほど技術者の人数の表がありましたが、1人当たりの給水人口というのもわかりますが、例えば給水規模別に、1事業体当たりの技術者職員数などを出してみると少しわかりやすいと思います。私が地方の小さな事業体に行った感じですと、技術職員がほとんどいないイメージです。ですから、作る人もいない、実行する人もいないという状態なので、一度、給水人口別の1事業体当たりの技術職員数というような形のものも出してみたらいいのではないかと思います。あと、先ほどのこれからの課題ということで、施設更新というのが大きな課題になってくると思うのですが、40年、もしくはその1.25倍で更新したとしても、それでもまだ少し更新が足らないようなお話がありました。あれもかなり長期的なマクロ的な話になっているので、実際には先ほど投資額のグラフがありましたけれども、水道の投資というのはかなりアップダウンがありますので、実際に時系列的にみると全然足らないときとかが出てくると思うので、そのあたりももう少しわかりやすい形のものを用意していただければと思います。もう一つは、よくいいますけれども、更新の平準化みたいなことについても少し着目する必要があると思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ただいまご指摘の2点ですけれども、事業体当たりの技術職員、これは事業体規模別にみせるということでしょうか。

○ 岡部構成員
そうですね。そうすると実態がもう少しわかるのではないかなと思います。

○ 滝沢座長
何かそういうグラフをみた記憶もあるのですけれども、ご記憶ないですかね。日本水道協会の統計でしたかね。みたような気もします。後ほどご確認いただければと思います。それから、投資についても、1つは年によってといいますか、時代によって、アップダウンがあったのではないかというご指摘と、平準化ということも考えなければいけないというご指摘だろうと思います。これについてもいろいろなグラフがあったような記憶がありますけれども、事務局のほうでご確認いただき、必要であれば次回の会議以降にお示しいただけますでしょうか。よろしくお願いします。

○ 岡部構成員
あともう一つ追加ですけれども、小さな事業体の職員数もあるのですが、先ほど県レベルの話も出ていました。私はよく知らないのですけれども、県のほうの指導体制みたいなものとか、国も立入検査をやると聞いているのですが、例えば年間どういう頻度とか、これから多分、水道ビジョンをつくって実行していくときに、小さな事業体さんも大変ですけれども、それを指導したりする体制もどうなっているかというものを押さえておかないと、実効性が低くなると思います。わかればですけれども。後でも結構です。

○ 滝沢座長
今すぐにご回答いただくのは難しいと思いますが、何かコメントといいますか、ご発言ございますか。県の指導体制がどうなっているのかということを調べたらどうかということですけれども。

○ 名倉課長補佐
まず技術者の数については、水道統計等から恐らく計算はできると思いますので、次回提出させていただきます。また、指導の体制についても、立入検査のときの指摘の数とかはたしかあったと思いますので、どういう形でお示しできるかはわからないのですけれども、できるだけ検討に役立つような形のものを探したいと思います。

○ 滝沢座長
恐らく今、岡部構成員がご指摘になったのは、新ビジョンというのができて、それを実行する段階で、先ほど木暮構成員から県の指導力といいますか、支援も非常に重要だというようなご指摘がございましたので、そういった支援なり指導なりをするような体制が整っているかどうかということをお知りになりたい、そういうことですか。

○ 岡部構成員
そうですね。いいビジョンをつくっても、それが実施されないといけないので、現状どうなっていて、そこにも何か問題があるのであれば、それに対する何か提案も必要なのかなということです。

○ 滝沢座長
わかりました。次回以降、ご検討ください。ほかにお気づきの点、ございますでしょうか。どうぞ。

○ 吉岡構成員
先ほどから必ず小さな水道事業というところが話になっておりますので、ここら辺で私もコメントしなければなと思うのですが、技術者という中で、果たしてこの資料がいっている技術者というのは、全体像を表わしているのか疑問に思います。地方の小さな水道事業がもつ技術者と大都市レベルで議論する技術者というのは、イコールではないと私は思うのです。例えば東京都でしたら職員数はたしか 3,800人ぐらいいらっしゃるはずです。そのヒエラルキーの中で、水質なら水質、土木なら土木という形で専門性を追求していきますから、当然、非常に高度な技術を有すると思います。ただ、そういう方が例えば地方の小さな水道事業に来て、小さな水道を全部できるかといったら、必ずしもそうではないと思うのです。小規模水道事業では1人がオールマイティーにこなさなければいけないという技術が求められています。また、実態としては、事務職で採用されても、研修を重ね、OJTを重ね、組織内では技術者と呼ばれている方もたくさんいます。ただ、統計をとると、うちは事務職だから技術者ではないという判断に必ずなってしまう。これは本当に実態をあらわすのか疑問があります。大都市中心の議論の中で、必要な技術者と小規模水道事業のように限られた人的資源の中で様々こなさなければならない技術者と本当にイコールなのかなというのが常々疑問に思っているところなのです。ぜひそういうところもフォローしていただきたいと思います。

○ 滝沢座長
中身にも立ち入って考えなければいけないということですね。ありがとうございます。ほかに。佐藤構成員、どうぞ。

○ 佐藤構成員
今、技術力をもった職員数のテーマになっております。例えば、資料、運営基盤2—30、もしくは運営基盤2—31などから広く職員が整理はされておりますので、これに関連づけて私の意見と、あるいは今後のデータ分析の着眼点を少し提案してみたいと思います。もともと技術といった場合に、特に現場では経営管理にかかわるような分野の専門家も経営技術としてこの中に入れて良いと思います。これまで特に水道ビジョンなどにおいて、あるいは水道を展望するに当たって、経営に携わるような部分というのは、余り重きを置いて技術というようには位置づけられていなかったようにも思われますけれども、今後、将来を展望した場合には、例えば新しい公営企業会計制度の改正への対応であるとか、料金適正化であるとか、こうしたところというのは、広く経営管理力という点でまとめられると思います。こうしたところも経営面での技術をもった職員という見方もできると思いますので、できれば今後においては、職員の問題をみる場合には、こういった経営面からの分析もされたらいかがかということを意見としてお話ししたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかにお気づきの点ございますでしょうか。いかがでしょうか。どうぞ。

○ 長岡構成員
2点ほどなのですが、まずPFIのことが話題になったと思うのですが、実施事例というのが幾つかあって、横浜でも大きい事例があるのですけれども、この辺の評価、PFIをしていいことが本当にあったのか、あるいは問題点があったのか、その辺のレビューは必要なのではないかなと考えておりますので、その辺も検討が必要ではないかと思っております。それから、最後のほう、3—36、需要者への情報提供をしていますよということが書かれているのですけれども、情報提供をしていますよということではなくて、本当に利用者がそういう状況を把握しているかどうかということが重要だと思うので、なかなか難しいと思うのですが、需要者が例えば老朽化の現状を把握しているかどうか、そういうことを調査すべきではないかなと思います。情報提供の効果について調査する必要があると考えております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。大変重要なご指摘だと思います。情報提供の効果については大変重要なのですが、どうやってはかるかとか、なかなか難しい点がございますけれども、日本水道協会の尾?専務、そういったことについて何かご知見といいますか、東京都の経験も踏まえて何かお考えはございますでしょうか。

○ 尾?構成員
情報公開といいますか、情報を提供して、それがどの程度に効果があったかというのは、総論で言うのはたやすいけれども、各論のときにはかなり難しい面があります。私が前にいた職場、東京都水道局では、お客様の満足度調査とか、そういう情報収集の中でどのように変わってきたかというようなアンケートとかもやっていますので、そういうものをある程度積み重ねて効果を把握していたというのが実感です。ただ、もっといい方法があれば逆にお聞きしたいなというのが実態です。それから、指名されたので1つお話しをさせていただきます。今回、いろいろデータをとってもらったのですが、これまでの水道ビジョンならばこの程度のデータでよかったのかもしれないのですが、これから、先ほど来のさらに突っ込んで課題を解決するとなると、この表やデータにあらわれないところに問題点が内在しているのだろうと思います。だから、なかなか進まないのだろうとか、そういう実態、日本水道協会としてもそういう思いをもっています。このデータにあらわれないところをどのようにしたらいいのかと思いますと、ある面で実態調査みたいな、さっきから地方というと怒られますけれども、いろいろなところに聞いて回って、実際にこのデータにどういう矛盾があるのかとか、どういう問題点があるのかという課題も付してもらって、それを入れた中でデータを示してもらえると、次の施策というか、次のところがみえてくるのかなと思いますので、作業は大変だと思うのですが、よろしくお願いいたします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。大変重要なご指摘だと思います。データの数だけではなくてその中身、あるいはデータの裏にある原因、理由のようなものをちゃんと理解しないと前に進めないのではないかというご指摘だと思います。よろしくお願いします。ほかに。岡?構成員、どうぞ。

○ 岡?構成員
質問です。もっと早くお聞きすればよかったのですが、具体論ではなくて、このレビューの基本的な位置づけ、扱い、責任主体、そこのところはお互い確認をしておいたほうがいいのではないかと思うのです。というのは、この場はそれぞれ皆さんいろいろな立場で、日本の水道をよかれと思って集まる場でしょうから、少々意見の違いや立場の違いを超えて、共通財産としてどう仕上げていくかということがベースでしょうから、大事にしたいと思いますから、ゆえにお聞きをしますけれども、この5つの主要施策の進捗状況レビュー、レビューはレビューでしかありませんから、資料としてもこれのみだとは思っていませんが、こういう基本的なレビュー、たたき台論議になるレビューの主体責任はどこになるのですか。質問です。

○ 滝沢座長
事務局からご回答いただけますか。

○ 名倉課長補佐
これは水道課としてつくっている水道ビジョンを私どもとしてレビューをしているので、こちらということになります。

○ 岡?構成員
きっとそういうことになると思うのです。実務的に一生懸命つくっていただいた皆さんの努力に敬意を表しながら、あえていうのですが、いずれにしても水道課の責任だと。すべてそういうところははっきりさせておいたほうがいいと思います。足りるもの、足りないもの、十分なもの、不十分なもの、必要なもの等々を含めて、すべてこの場で論議に出たものは水道課がちゃんと集約をしていただいて、責任をもって今後の論議の積み重ねに寄与していただくということはお願いしておきたいと思うのです。そこのところを基本にしておかないと、このレビュー1つとってみても、例えば1—24、運営基盤のまとめにしても、最後のほうに、例えば具体論でいいますけれども、広域化の阻害要因というのはリーダーシップの欠如と事業体間の格差だと。水道事業体自身のきっかけや動機づけが弱いとまでいわれてしまうと、いわれてしまっているじゃないかと思うわけです。責任回避したいとか、ここまでいわれたくないといっているのではないですよ。これは事実ですから、お互い真摯に厳しい現実、事実として受けとめ合わなければいかんと思うから、よくぞここまで書いてくれたなと思っているわけです。ただ、しかし、これがひとり歩きをしたり、一般的にいってみせたということで終わるのではなくて、しっかり責任主体の側はこれを受けとめて、今後の論議につなげていってほしいという思いで先ほど質問しました。だから、全部のレビューにかかわってそのことをお聞きしたというだけです。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。それでは、まだ施策群1でございますので、あと4つございます。最後にまとめてまたご意見をちょうだいしたいと思いますので、施策群2のほうに進みたいと思います。ご説明をお願いします。

○ 日水コン(榊原)
日水コンの榊原と申します。施策群2、安心・快適な給水の確保についてご説明いたします。この施策群につきましては、下のページの4つの主要施策から成り立っております。以下、順にご説明いたします。
まずめくっていただきまして、スライドの2から3、4までにつきましては主要施策の1ということで、原水から給水までの統合的アプローチによる水道水質管理水準の向上という施策です。スライドの2、3、4につきましては、水道における異臭味被害の発生状況をとりまとめたものでございます。特にスライド2をごらんいただきますと、折れ線グラフが被害人口で、棒グラフが被害の事業体の数ですけれども、平成2年に 2,100万人という被害人口がございましたが、近年では 200万人を切っているということで、特に高度浄水処理の普及とともに、人口としてはかなり減っております。一方、事業体の数でみてみますと、 100カ所ぐらいが、まだ60~70カ所ぐらいということで、事業体の数としてはさほど減っていないというような状況でございます。続きまして、スライドの5から9あたりまで、高度浄水処理の関係をお示ししております。5ページの下のところに、高度浄水全体ということで、これは粉末活性炭、粒状活性炭、オゾン、そして生物処理の導入を水道統計と全国のアンケート調査を行いまして集計を行ったものでして、日本全国で 240カ所ぐらい高度浄水が入っております。このうちの粉末活性炭が 130カ所ぐらいで、残りがオゾン、活性炭、生物処理となっております。6ページの下のところに文章を書いておりますが、高度浄水は1970年に初めて稼働して以来、着実に導入が進みまして、特に1990年以降、導入数が増加しております。粉末活性炭と粒状活性炭につきましては1970年以降、オゾンと生物処理は1980年以降から入っております。それから、高度浄水という枠ではないかもしれませんが、膜ろ過と紫外線ですけれども、8ページに膜ろ過の実態を示しておりまして、これは先ほど長岡先生のお話にございましたMAC21のころから、日本の水道産業界において相当力を入れてやってこられた。今現在、施設数では 700施設を超えまして、施設能力は 140万トンを超える実績に来ております。もう一つ、紫外線ですが、クリプト対策の観点から、平成18年ごろから入ってきておりまして、今現在では 140施設、処理水量としましては56万トンといった規模まで進んできている状況であります。続きまして、原水の汚染事故ということで、スライドの10から12でございまして、まずスライドの10が水質汚染事故による被害を受けた水道事業者等の経年変化ということで、これは国のほうに報告された件数の集計でありまして、実態は軽微なものはこの中にはカウントされておりませんが、報告としては年間60~80件ぐらい、原水での水質汚染事故が発生しているということであります。特にこの中で給水停止まで至った事例といいますか、カウントということで、12ページの左側の棒グラフですけれども、年間で10~20件ぐらい、水質汚染事故により給水停止または給水制限を行ったというケースがございます。このような水源の問題と、それに対して浄水処理で対応しているわけですけれども、一般の方々の水道水への信頼性という1つの指標としまして、直接蛇口の水を飲むかどうかといったようなことで、これはなかなかどれぐらいの方が実際に蛇口の水道水を飲んでいるかという実態を知ることは難しいですけれども、ここではアンケート調査の中で、水道事業として需要者の方々に直接飲用に対しての何らかの働きかけをしているかどうかといった集計でございまして、13ページの左側がそういったアンケート調査をやっているかどうか、右側は何らかの情報提供をしているかどうかという実態を示したグラフであります。続きまして、14ページから17ページですけれども、これはまだ主要施策1ですが、水道の原水が水道の原料としてどの程度、水質的にいい状態になっているかということを示すために、水道統計から、1例でご説明いたしますと、14ページですが、有機物の原水の年間の最大値を水源の種類別に集計しまして、オレンジ色が表流水、黄緑色がダム湖沼水、紫色が地下水ですけれども、年間の最大値がどれぐらいの分布になっているかということです。TOCは浄水の基準3ですので、これを仮に原水に当てはめた場合に、それぞれ達成率が、地下水はほとんど達成しておりまして、表流水、オレンジ色ですと90%ぐらいが達成している。ダム湖沼水ですと80%ぐらいが原水の段階で達成しているというような状況でございます。
同じような観点で、かび臭、2-MIBとジェオスミン、それから、アンモニアは直接水道の基準ではございませんが、浄水処理にかなり影響を与える項目ということで、同じような整理をしてございます。続きまして、水道原水の保全についてです。18ページ以降になっておりまして、まず18ページですけれども、水源保全ということで、どういった取り組みがあるかということで、条例の制定ですとか、水源涵養林への関与、流域協議会など、こういった取り組みの内容を整理したものでございます。それから、水源二法ということで、平成7年、8年ぐらいにかなり話題になりましたけれども、水道原水水質保全事業の実施の促進についての要請状況ということで、最近は余り出ておりませんが、この辺の要請したことがある、ない、わからないといった事業体の意識調査を行った結果をお示ししております。それから、この以前に水道法第43条におきまして、水源の汚濁防止のための要請等というのがうたわれておりますけれども、この認識についてもあわせて整理をしております。21ページ以降が水源保全の取り組みということで、水道事業体のホームページから幾つか抜粋させていただいております。話がまた変わりまして、22ページ、水安全計画ですけれども、水源から給水栓に至る水道水の安全性を確保するために、想定されるリスクを抽出して管理措置を設定していくという、水道水の安全性を高めるための一連の検討の手法がございますが、平成19年度に厚生労働省からガイドラインが出されました。水安全計画の実施状況を23ページに示しておりますが、黄緑色の円グラフがまだ策定していないということで、日本全国の86%が未策定ということになっております。クリプトの観点ですけれども、24ページのスライドで、レベル4、3、2、1のフローですが、最新の情報でいきますと、レベル4と3でまだ対策が行われていないという、対策の必要な浄水施設が 6,719施設ございます。このうち 3,922が対応済みで、残りの 2,797が検討中という扱いになっております。この辺がろ過等、または紫外線の対応に向けた検討を行っているということでございます。水質基準のことですが、26ページ、27ページにお示ししております。特にこの間の話題としましては、逐次改正ということで、毎年、水質基準の超過実態を踏まえて、50%値、10%値の超過などをもとにして、逐次改正で決めているということで、27ページに直近の状況をお示ししております。主要施策1につきましては以上です。
続きまして、めくっていただきまして31ページをごらんください。主要施策2ということで、未規制施設等小規模な施設の水質管理対策の充実ということで、飲用井戸、貯水槽水道などの状況についてお示ししております。31ページをごらんいただきたいのですが、飲用井戸ということで、平成21年度に3万 8,990カ所の井戸の水質検査を行ったところ、全体の21%において、一般細菌、大腸菌、硝酸・亜硝酸、その他、いずれかの項目が超過しているということですので、全体の2割です。水道の水質検査の超過率などと比較すると、明らかに飲用井戸の超過が多いというような実態になっております。このような状況のもと、現状の枠組み、対策といいますか、行政的な枠組みとしまして、33ページ、条例、要綱などの制定によっていろいろと指導されているということでございます。
主要施策3ですが、36ページをごらんいただきたいと思います。主要施策3、給水管・給水用具の信頼性の向上ということで、まずは鉛管です。この後、3のほうでも鉛管のご説明をいたしますが、現状、 7,500キロの鉛管が残存しているということです。給水用具などの関係ということで、38ページに給水用具が衛生上の問題を起こした事故実例、そして、給水栓の製品の試買試験の話題を入れさせていただきました。
主要施策4ということで、41ページですけれども、産官学の連携ということで、最近の厚生労働省さんの枠組みによる研究の事業の事例を載せております。42ページ、43ページは水道技術研究センターさんの取り組みということで、ホームページより抜粋させていただきました。施策群2の説明につきましては以上です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。施策群2の4つの主要施策についてご説明いただきました。これにつきまして何かお気づきの点、ご意見ございますでしょうか。どうぞ、浅見構成員。

○ 浅見構成員
30ページと31ページのところで、未規制小規模施設の把握率と水質管理率のことが出ているのですけれども、残念ながら進捗が余りよくなくて、水質管理としては、特に井戸に関しては進んでいないというのが実態というように拝見いたしました。11ページをみていただきますと、井戸水については事故が起こるということがあると、井戸ですとか、簡易水道ですとか、小規模なところで健康影響が出てしまっているということが多いですので、ここを一層強めていかなければいけないなと思います。ここをもう少し丁寧にみていけたらと思っているのですけれども、もう一つ、戻っていただくのですが、先ほどの運営基盤の1—25のところで、未普及地域の状況というグラフがありまして、その中に給水区域内と自家用井戸を使っている方々の割合ということで、こちらは人数のようですので、なかなか一緒に比べてみることができないのですが、県によっては計画給水区域内の未給水人口が非常に多いところですとか、自家用の井戸の給水人口が多いところがございまして、ここと井戸の管理率というのをあわせてみて、県によっては水道の給水カバー率を目指すというよりは、井戸の水質管理をしっかりとやっていただくというところに重点を移してやっていただいたほうがいいところもあるのかなと拝見いたしました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかにご意見ございますでしょうか。どうぞ。

○ 木暮構成員
33ページのところで、小規模貯水槽の検査率というところがあるのですけれども、小規模貯水槽水道については設置の報告とか義務はないわけでして、当県でも当然、10立方メートル以下の小規模貯水槽水道についての指導はしているところですが、なかなか設置の状況は把握できません。簡易専用水道についてもそうなのですけれど、基本的には分母がなかなか固定ができないというところで、統計の数字も正直いうと余り信頼性がないのかなと。自分の県の統計をとっていてそのように感じているところです。その辺で、水道事業者は当然、給水装置の受付や検査をしますから、把握できているところではあるのですけれども、基本的に水道事業者は指導ということはしませんので、行政と事業者の連携というところで、データのやりとりがないと、この辺の数字がうまく合わないというところが出てきますので、都道府県によって濃淡が出てくるのかなというところは日々の業務で感じているところです。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。そのほかに、安心・快適な給水の確保の施策群につきまして、何かお気づきの点はございますか。尾?さん、どうぞ。

○ 尾?構成員
ちょっとつらい質問なのかもしれないのですが、先ほど鉛管の整備が残っているところがあるとか、井戸で2割ぐらい水質的に問題があるという状況のときに、どういう指導をどの程度に行って、どのようにもっていこうとしているのかというのをお聞きできればと思います。

○ 滝沢座長
それは厚生労働省としてということですね。

○ 尾?構成員
そうですね。

○ 滝沢座長
これまでの事例でも結構ですので、ご回答いただけますでしょうか。

○ 名倉課長補佐
まず鉛管については、補助金の制度も入れまして、毎年、担当者向けの会議なりで啓発をしているというのはございます。それから、井戸の検査につきましても、通知によりまして指導をするようにということで、要領をつくって指導を依頼しているというような状況にございます。今後、どういう形でよりよくできるのかというのは、こういうところでまた議論いただきながら、できることについて、できるだけ進めていきたいと思っております。

○ 泉技術係員
鉛給水管については、立入検査においても更新の計画があるかどうかなどは必ず確認をするようにしております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかに、安心・快適な給水の確保でお気づきの点はございますか。どうぞ、長岡構成員。

○ 長岡構成員
先ほどと関連するのですけれども、13ページ、安心・快適な給水の確保で直接飲用についての取り組みということなのですが、いろいろな事業体で直接飲用をしているかどうかというアンケートはやっていると思うのです。それを全国規模でまとめて、どういう傾向にあるか、PRのようなものが効果があるかどうか、そういうことを今後ぜひ取り組む必要があると思いますので、すぐそういう資料は出てこないと思うのですけれども、ぜひ今後、よろしくお願いしたいと考えております。

○ 滝沢座長
よろしくお願いいたします。ほかにお気づきの点ございますでしょうか。木暮構成員、どうぞ。

○ 木暮構成員
今、長岡構成員がいわれたところもあるのですけれど、埼玉県でも飲用をしているかどうかというアンケートはとったことがありまして、なかなかそのまま飲むという方が少ないというところでございます。大都市の東京都さんですとか横浜市さんですと、水道キャラバンの取り組みとか、そういったところで広報、あるいは学校への派遣ですとか、取り組みはかなりされていて、教育等もやっていると思うのですが、中小はどうしてもその辺で限界があるのかなというところでございます。次の新ビジョンでもそういうところの取り組みについて何らかの施策とか指針みたいなものが、特に子供たちに教育——教育という言い方はおかしいのかもしれませんけれども、水に親しむとか、水道水は飲むものだとか、そういうところで教えていかないと、なかなか世代で引き継いでいけないのかなというところは感じるところです。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。

○ 吉岡構成員
私も木暮構成員のご指摘に全く賛同するところなのですが、私も小学生の子供がいる父親ですが、小学校で水筒に水を入れてもってこいとか、お茶を入れてもってこいということをいうのです。幾ら事業体が頑張っても、それは事業体の規模の問題ではなくて、そうやって育ってきた子供たちというのは、きっと大人になっても水を飲まない可能性が高いと思うのです。長岡先生もおっしゃっていましたけれども、水教育という部分の中で、いかに子供たちに水を飲んでもらうかという部分については、このデータから何を目指していくのかを明確にする必要があると思います。そうした使い方をしないと、ただ飲まないことが分かるだけで、実は原因はほかのところにあることを見過ごしてしまう可能性があるので、ぜひそういった視点も取り入れていただきたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。子供の教育が大変大事だということですね。どうぞ。

○ 木暮構成員
今の関連で補足なのですけれども、都道府県で行政をやっていますと、簡易専用水道の設置届が出てくるのです。最近は民間の高層住宅などでは、割と直結で高架水槽を設けない例が多いのですけれども、埼玉県の場合、学校の施設基準があるのか、その辺はわからないのですが、受水槽は危機管理の面でも大切ですから大体設けるのですが、相変わらず高架水槽を使っている。そうすると、学校ですと夜とか土日、長期の休みもありますので、滞留時間も長くなり衛生的な水の確保というところでは難しい面も出てくるので、そういったところの連携というか、設置部局との調整も必要になってくるのかなというところは、最近、感じるところではございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。これまで、施策群2、幾つかご意見をいただきました。まだ追加のご意見がございましたら、最後、まとめの議論をしたいと思います。それでは引き続きまして、施策群3、災害対策の充実について、事務局からご説明ください。

○ 日水コン(赤坂)
日水コンの赤坂と申します。施策群3、災害対策の充実ということで、こちらでは主要施策として4つがあります。それに対して、その他として水害、東日本大震災の被害と水道の断水状況、今後の課題等についても加えて整理させていただきました。
それでは、施策1から説明させていただきます。まずページを開いていただきまして、1ページ、2ページのところでは、大規模地震の過去の経緯ということで、平成に入ってからかなり頻発している大規模地震に対して整理をしております。これに対して下の3ページのところでは、過去の大規模地震に対しての水道の断水状況を示しております。これは昨年の東日本大震災の断水戸数 230万戸ということで、規模がほかのものとは違うという状況で、地震だけではない津波災害というものも影響している状況がうかがえるかと思います。その次のページ、4ページから8ページまでにつきましては、基幹施設の耐震化率 100%ということで目標を掲げておりまして、目標の達成状況を整理させていただいております。4ページのところでは、浄水施設の耐震化率と配水池施設の耐震化率ということで、現状といたしましては、浄水場で18.7%、配水池で38%という状況になっております。ただし、浄水施設自体はすべての処理工程が耐震化された場合にのみ耐震化施設として計上されることになっておりますので、現実的にいいますと、全面的な更新に合わせて耐震化を施すというところがありますので、若干、耐震化の進捗が遅いというような数値になっているということがわかります。続きまして、7ページをみていただきたいと思います。こちらは基幹施設、管路施設の耐震化状況ということで、全延長に対する耐震適性のある管路ということで、全体としては31%程度の耐震化状況であるということになっております。続きまして、石綿セメント管の早期解消ということで、9ページ、10ページに整理させていただいております。こちらは耐震性が非常に低いということと、経年による劣化が著しいため、漏水事故が多発しているという問題が大きくなっておりますので、これの早期解消ということで施策として取り組んでいる状況であります。近年ではかなり減ってきてはいるのですが、まだ21年度末では 8,860キロが残存している状況でございます。次の10ページですが、こちらでみますとおり、約 1,500事業体ある中で、 900以上の事業体、約6割がまだ石綿セメント管を有しているという状況になっておりまして、全体の9割が10%を切っておりますが、30~40%の残存率がある事業体もまだあるという状況で、解消に向けた取り組みが若干おくれているという状況がうかがえます。続きまして11ページですが、このような地震が頻発している状況の中で、耐震化計画が作成されているかというところの策定化の状況を示しております。 1,500自治体のうち、管路施設で 281自治体、18%程度、基幹施設としましては 328自治体、21%程度ということで、ここにつきましても、双方20%程度の作成率になっているという状況になっております。これを受けまして、まとめといたしましては、先ほどの地震が起きている状況と水道の施設の耐震化進捗の継続というのが非常に重要であるということと、耐震化計画が十分に策定されていない状況であるということで、それについても継続的に進めていく必要があるということであります。主要施策の地震対策の充実、確実な対応は以上です。
続きまして、主要施策の2ということで、16ページ以降、地域特性を踏まえた渇水対策の推進ということで、16ページから22ページまでで整理させていただいております。まず17ページをごらんください。近年、過去の大渇水の年表ということで整理させていただいておりまして、こちらでは長期間、給水制限する大渇水が近年、たびたび発生しているという状況があります。特に近年につきましては、特定の地域における渇水が発生している傾向が非常にうかがえまして、地域特性が非常にあらわれているような状況が考えられます。これを受けまして、20ページ、それとは別に現況の気候変動の影響を考えますと、雨の降り方等が近年変わってきておりまして、積雪量も減ってきているという状況を考えますと、ダムの水のたまり方というのが結構変化してきているということが考えられます。早期に、春先に流出量がふえてきて、河川の流出量の減少で、ダムの枯渇が危惧されている状況にあります。早期流出というものが、ダムが満水状態に達すると貯留されない、要は無効な放水が発生するという状況が考えられますので、先ほどの渇水を救う手だてとしての問題点も危惧される状況になってきているということであります。
続きまして、主要施策の3につきましては、相互連携、広域化による面的な安全性の確保ということで、23ページから25ページの3枚で整理させていただいております。こちらにつきましては、すべての事業で応急給水目標量を確保するということで、現状として配水池の容量の2分の1と緊急貯水槽全量の合計容量を給水人口で割った数字ということで、1人当たりの給水量を整理しております。今、全体としては、平成21年度末で 179リットル程度確保できておりまして、こちらにつきましては、平均で既に10日分程度の応急給水量を確保できている状況になっております。ただし、23ページにも書いておりますが、施策1でも述べましたように、貯水池の耐震化率が38%の容量ベースということで、実際には災害が発生したときの配水池が被害を受けた状況を想定した対応が求められるという状況が考えられます。
続きまして、主要施策4の災害発生時の事後対策の充実ということで、26ページから33ページまでに整理させていただいております。まず26ページから30ページまでにつきましては、すべての事業で応急復旧体制を整備するということで、災害対策にかかわる各種計画策定、協定締結状況を示させていただいております。こちらをみますと、現在の応急給水計画及び復旧計画では、策定状況として平成21年度末で40%前後であるという状況です。あと、応急給水の協定におきましては、県内でおおむね48%程度、県外を含めますと非常に少なく、17%程度という状況になっております。また、27ページでみますと、大規模な人口を有するところにつきましては、計画等、協定等を締結しておりますが、小規模になると応急復旧体制の整備がおくれている状況であるということがうかがえます。29ページで、応急復旧体制の整備ということで、マニュアル等の策定、あとは防災訓練を実施しているかどうかというところにつきましても、現状としましては、全体としては62.8%程度の策定状況でありますが、地震対策マニュアル、地震の訓練というところだけでみますと、半数以下という状況になっておりまして、現状の地震が発生する頻度等を考えますと、地震マニュアルの体制等の整備が今後必要になっていくであろうということが考えられます。今の状況をみまして、今回の東日本大震災における応急要請と情報連絡体制ということで、32ページをごらんください。先ほどのマニュアル策定等、情報交換等の策定状況も低かったわけですが、今回、実際に東日本大震災で被害が広範囲に及んだということで、東北地方支部長及び宮城県支部長にも甚大な被害が出ております。これを受けまして、現実的な稼働ということで、日本水道協会が中心になり調整を行ったという状況があります。実際に復旧がおおむね終了するという見込みが立った時点で本来の流れになっているということが考えられますので、33ページにも書きましたが、支部の都市が被災した場合の応急申請等のあり方について、今後、検討する必要性が示唆されたというような状況が考えられます。
以上が4つの主要施策に対する説明です。加えまして、その他のところで、水害と大雪、寒波についての資料として整理させていただいております。最後に東日本大震災による今後の課題と教訓ということで、38ページに整理させていただいております。項目として7つほど、施設の耐震化、停電の影響等、今後、これを踏まえて耐震化のあり方等について検討していく必要があると考えております。以上です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。施策群3、災害対策の充実につきまして、4つの主要施策とその他についてご説明いただきました。東日本大震災を受けて、震災への対応につきましてはしっかりと経験を盛り込んでいかなければいけないと皆さんお感じになっていると思いますけれども、何かお気づきの点ございますでしょうか。岡部構成員、どうぞ。

○ 岡部構成員
災害対策はこの間の東日本大震災を受けて非常に大切だと思いますけれども、このレビューの中にも実際の被害や震災時の体制など物理的なものはあるのですが、先ほども少し出ましたけれども、こういった水道の施設の耐震性とか、そういったものが市民というか、住民の人たちにどれだけ知らされているのか。実際、民間企業ですと、工場などがあり、そのときに果たしてそこに水が来るのか来ないのかとか、そういったことも意外と知らされていなくて、実際にも地震があると大体1週間ぐらいとまります。そのときの対応が1週間でいいのか、2週間でいいのかも、実際、余りわかっていないというようなことがあるので、民間の工場もそうですし、市民もそうですし、最近の言葉でいえば、リスコミュニケーションではないですが、情報を与えて、それに対してどういう対応をするかとか、今後の新水道ビジョンを考えるのであれば、現状どうなっているのかというようなところは押さえておかないと、次のステップに行けないのではないかという気がします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。耐震化を進めるとともに、その情報をしっかりと市民と共有するということが大事だというご指摘だったと思います。ほかにお気づきの点ございますでしょうか。いかがでしょうか。どうぞ、吉岡さん。

○ 吉岡構成員
東日本大震災で長期間断水した市町村に応援給水をしに行ったときの現場の実際の声ということで皆さんにお伝えしたいと思って発言します。沿岸の被災地は津波被害を受けて、水源が海水をかぶってしまい、水質基準に適合するような水を流せなくなってしまったところがあります。かなり長期間、その井戸が回復するまで断水してしまったわけですが、そこの現場では、水はきれいで、飲んでも問題ないのではないかというような水が行っていても、まだ飲んではいけない。ひたすら使わないでくださいと言っている。でも、蛇口をひねれば水が出てくるという現状が実際にありました。その中で、実際に被災者は、飲料水ではなくて、生活用水が困っていたのです。トイレの水を流すことができないとか。応援給水に行っていた私たちも、飲料水を配っていたのではなくて、ひたすらそういった部分での生活用水を給水車で配っていたという現実があります。今回のような非常時には水道法の解釈を暫定的に変えることができないかを非常に思ったところがありました。これはこの場で話をするのが適切かどうかというのは自信がなかったのですが、そういう現状があったということも認識していただいて、法律というソフトの部分についても目を向けて、災害対策に役立てることができないのかなという視点で発言させていただきました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ご発言いただけますか。

○ 名倉課長補佐
今回の東日本大震災でも、原水、井戸が津波をかぶって塩水化するというので、長期間、塩水化しているという事例がございましたけれども、今のご指摘にもありましたように、生活用水としては使えるけれども、飲用するにはちょっとというような場合もありました。こちらにお問い合わせをいただいたときには、飲まないようには周知しつつ、提供することは可能ですということで、考え方をお示ししておりまして、そういった対応を現地のほうではとっていただいていたものと思っております。

○ 滝沢座長
よろしいですか。

○ 吉岡構成員
わかりました。多分、それが現場まで届いていなかったのだろうなということで、ありがとうございます。

○ 滝沢座長
被災者の実情に応じたような支援が必要だということと、コミュニケーションの重要性ということかもしれません。ほかにお気づきの点ございますか。岡部さん、どうぞ。

○ 岡部構成員
もう一つよろしいですか。基幹管路の耐震化率はよく前からいわれていますけれども、1つは、最近、重要管路というか、病院とか避難所とか、そういったところの耐震化も当然急ぐべきだし、大切だという話がよく出ています。そのあたりも新水道ビジョンの中だと、「基幹管路」という考え方をとるのか、「重要管路」というか、「耐震すべき管路」という考え方をとっていくのかですけれども、そのあたりも少し整理しておくことが必要だと思います。重要管路、病院とか避難所の実際の耐震化率みたいなものはすぐにはわからないかもしれませんけれども、そういうものも必要だと思います。あと、基幹管路については、分岐があるとかないとかで分かれているのですが、実際の小規模の水道だとその辺の区分があいまいになったりします。そのあたりの基幹管路の定義なども今後考えていく必要があるのではないかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。今後の整理の仕方の課題だと思います。よろしくお願いします。ほかに。では、長岡構成員。

○ 長岡構成員
簡単なことなのですが、災害の23ページ、安全性の確保ということで、配水池とか緊急貯水槽というのが書かれているのですけれども、おいしい水ということでいうと、直結給水を推進してきたのですが、災害対策ということで、貯水槽の役割が見直されつつあるのかなという気がします。その意味で、給水量確保という点で、貯水槽をどう位置づけるかというのがちょっと悩ましいところで、その辺も今後検討しなければいけないのかなという気がします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。それでは、岡?構成員、どうぞ。

○ 岡?構成員
3・11のときに、率直にいって、現場、それから全国からの応援団が困ったのは、通常の災害、津波、地震の結果としての体制については、少々手こずりましたけれども、時間をかけて皆さん努力されていったと思うのです。ただ、問題は、ここに触れられていませんが、原発です。ここのところは、お互いが立場、あるいは考え方を超えて、つらいことですけれども、お互いが肝心なことは触れ合わないとまずいのではないかと思います。あの3・11が起こって、どの自治体とはいいませんが、福島原発に近い自治体で一番困ったのは原発対応です。放射能対応。要は、先ほど応援の話もありましたけれども、原発絡みでいいますと、市長さんの所在がどこにあるのかということを含めて、市の行政自治体の指揮系統が壊れていて、水道事業管理者、局長の資格、責任においてすべてを対応せざるを得なかったというときがあったのです。一番は情報に困ったということです。指揮系統が壊れていますから、放射能にかかわる的確、有効な情報は入らない。やばいのか、やばくないのかもわからない。ですから、我々が連絡をとり合って、急遽、苦肉の策で対応したのは、とにかく無線を確保しろと。無線確保と同時に、自衛隊と警察、消防方面の動きをみろと。その部隊の動きに変化があった場合は、即座にその部隊指揮官と直接接触をして、撤退すべきなのか、現場対応をそのまま継続すべきなのか、その判断をしろと。その際もなおかつ、どうしても抑えられないときには、ヨウ素剤を全員に配付して、いざというときの対応をする。いざというときには、若い人たちを広報車に乗っけて、若い連中から撤退させろと。その際は、申しわけないけれども、我々世代、もう孫の顔もみた年寄りは現場に残ってくれと。技術力、現場力が必要ですから。地域住民を置いて逃げるわけにはいかないということで、ある意味では相当な覚悟も含めて、自治体の事業体主体は踏ん張ってくれたという事実が現実にあるわけです。これらはそれぞれの立場で情報として、水道課のほうへ集中するなら集中して、教訓化しておくべきだと思います。とにかくあの原発、放射能というのは、従来の域を超えていますから、マニュアルとか対応というのは別個組み立てないとまずいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。大変重要なご指摘だと思います。これまでにないような災害が起こったときにどういう対応をするのかということもある程度想定していかなければいけないということだろうと思います。ほかにお気づきの点はいかがでしょうか。

○ 尾?構成員
例えば今、マニュアルの話が出たのですが、単に更新だけしているマニュアルもあるのではないか。今回はこういう形で不幸にして起きてしまった地震ではあるが、地震被害は時間がたつと忘れる可能性が高い。震災対策の担当者の間では、地震被害のあったときは関心をもってみてくれるのだけれども、その後、時間が経つとともに忘れられてしまう。予算もつかないとか、いろいろな中で流されてしまう。マニュアルも経年的にただ更新するだけだというような形もありますので、マニュアルもどういう形でつくられているかによって、その位置づけがかなり変わってくると思われますので、単にマニュアルができているからそれがいいのだという話にはならないのではないかと思います。突っ込んでみる必要があるのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。形骸化を防ぐということですね。ほかにお気づきの点ございますでしょうか。どうぞ。

○ 木暮構成員
管路の耐震化とか、その辺の関係の話なのですけれども、例えば10ページに石綿セメント管の話がありまして、解消に向けた取り組みがおくれているところもあるということがありますが、事業者のいいわけをするわけではないのですが、基本的にはよく頑張っていると私は思っているのです。埼玉県も過去においては40%以上、石綿セメント管が存在していまして、今やっと3%ぐらいになりました。補助事業が今年度で終わるということで、来年度からまた事業の進捗スピードは遅くなるのかなとは考えています。一部の大規模事業体を除けば、いろいろな事業を並行して進めるというのはなかなか厳しいところがありまして、埼玉県の場合は、過去においては石綿セメント管の解消をずっと行政としてもお願いして、国の補助金を活用しながら、県としてもやってくださいということでやってきました。管路の耐震化ですとか耐震化計画はこれからのことだと思います。最近、配水池の耐震化に取り組む事業体も増えてきました。その辺の事業体のパワーの問題もありますので、 100%という目標を挙げてもなかなかそこにたどり着くのは厳しいのかなというのが実態としてはあるかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。それでは、施策群3までご意見をいただきましたけれども、あと2つ残っておりますので、施策群4をご説明いただきたいと思います。環境・エネルギー対策の強化です。よろしくお願いします。

○ 日水コン(榊原)
施策群4、環境・エネルギー対策の強化についてご説明いたします。これは3つの施策から成っております。順番にご説明いたします。
ページをめくっていただきまして、主要施策1、水道運営への経済性と環境保全のWin—Winアプローチの導入でございます。左側のグラフをみていただきますと、浄水汚泥の有効利用率、全国ということで、特に赤い折れ線グラフをごらんいただきますと、最新の平成21年度では69.3%ということで、かなり順調に上がってきているということがわかります。その内訳としましては、3ページのセメント原料への再利用、4ページ、園芸用土への再利用、5ページ、グラウンド改良土などであります。ただ、このことにつきましては、先ほど来、話題になっておりますが、放射性物質の影響が実際に出ておりますけれども、28ページをごらんいただきたいと思います。まとめのところで、上の○の資源の循環的利用の促進の下ですけれども、放射性物質が検出された浄水発生土の扱いについては、「放射性物質が検出された浄水発生土の当面の取扱いに関する考え方について」ということで、平成23年6月16日付で出されております。今後、検出実績を大幅に上回る放射能濃度が脱水汚泥等から検出された場合等、状況の変化があった場合には、本考え方の見直しを含め、適切に対応していくということになっておりまして、資源の循環利用の扱いにつきましては、今回の新水道ビジョンの検討会の中でも、その時々の状況を踏まえつつ、まとめていきたいと考えます。戻っていただきまして、6ページをごらんください。今度、話が変わりまして、主要施策の2、水利用を通じた環境保全への積極的な貢献ということで、主に電力の使用に関する情報を整理いたしました。6ページは、青い折れ線グラフが電力使用量、単位は億kWh、赤字が電力使用の原単位ということで、1立米当たりに直したものであります。青の電力使用量はこの15年間ほぼ横ばいで推移しておりますが、原単位につきましては、この20年間、上昇傾向が継続しております。その下の7ページですが、電力原単位の階層別にヒストグラムをつくってみますと、高いところでは2を超えているところもありますし、低いところでは 0.1以下ということで、かなりのばらつきがございます。このばらつきは、水道事業体のさまざまな特性に依存していると考えられます。幾つか水道事業体の特性ということで平均値を計算したものが、8ページに4つグラフがございますけれども、現在給水人口、有効率、有収水量密度、配水量1立米当たりのポンプ揚水量ということで、つまり、規模が大きいほど効率はいい。有効率が高いほど原単位が低く、なおかつ、有収水量密度ですから、人口密度が高いほど、そしてポンプが大きいほど今度は高くなる。当たり前とお考えになるかもしれませんが、そのような幾つかの水道事業体の特性によって原単位が変わってくるということです。9ページの円グラフは、プロセス別にみたポンプ規模ということで、水道事業においてポンプが電力使用の大部分を占めますけれども、当然、取水、導水、配水、送水といったところで、水の輸送系が大部分を占めるということであります。続きまして10ページですけれども、水道において電力使用の場面がほとんどポンプであるということで、自然流下を最大限活用したらどうかということで、今から2年前になりますが、水団連さんのほうで、首都圏における低炭素化を目標とした水循環システム実証モデル事業ということで、かなり大規模な委員会を開催して検討されましたが、ちょっとみにくいかもしれませんが、関東地方の上流6カ所に大型の浄水場を集約しまして、そこから自然流下で行った場合に、 CO2の総排出量が60~80%程度削減するというような試算結果などもご紹介させていただいております。11ページは省エネルギー対策のメニューの一覧、12ページ、13ページにつきましては、ポンプのインバータ制御、NAS電池など、事例を紹介させていただきました。続きまして14ページですが、石油代替エネルギーということで、特に小水力、太陽光発電のこの10年程度の状況をみてみますと、14ページの上のグラフで、水色からオレンジ、ピンクと行くに従いまして、平成13、18、21年度というように時系列になっておりますが、水力、太陽光のいずれともエネルギーの利用率が上がってきているという状況であります。その事例を15ページ、16ページ、17ページにお示ししております。続きまして18ページをごらんいただければと思います。
18ページは有効率です。有効率は有効水量を給水量で割った値ということで、有効率に入らないものが無効水量ということで、主に漏水等になりますけれども、漏水ということは、その水をつくるために使ってきた電気も一緒に捨てているということになりますので、有効率を向上させるということは、電力使用量の削減にも寄与するということです。最新の情報でいきますと、日本全国で有効率94.5%。ちなみに有収率は92.3%を達成しております。事業体の規模で比較しますと、19ページの大規模事業体の青いところの一番右側が94.4%です。一方、中小規模ということで、10万人未満でみたのが20ページのグラフですけれども、最新の有効率88.9%ということになっております。説明がおくれましたが、主要施策3、健全な水循環系の構築に向けた連携強化・水道施設の再構築という部分に入っております。こういった観点からの対策の事例ということで、有効率の向上ということで、適切な配水コントロールによる漏水防止対策を23、24ページに挙げております。25ページは水の有効利用ということで、特に夏場のヒートアイランド現象の緩和に対して、水道事業体が水道事業としてどういうことができるかということで、ドライミストですとか、光触媒、カーテンウォールなどの事例を載せております。最後、26、27ページにつきましては、ちょっと情報が古いですけれども、これは最新の情報に差しかえさせていただきますが、水道技術研究センターさんの管路と浄水での取り組みについてのご紹介をさせていただきました。環境・エネルギーにつきましては以上です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。施策群4についてご説明いただきました。何かお気づきの点、ご質問等ございますでしょうか。これについても最近の電力需要の逼迫というような観点もございますので、これまでどちらかというと電力使用を抑えよう、省エネルギー、あるいは環境対策としての見方が中心だったかと思いますが、もう一つ、やはり安定供給とも絡めてエネルギーというのは非常に重要——もちろん、これまでの施策である水道分野におけるエネルギー使用量の削減というようなことも取り組まなければいけないと思いますけれども、もう一つ、安定供給に向けて、エネルギーのあり方等も含めて考えていかなければいけないということもあろうかと思います。いかがでしょうか。服部さん、どうぞ。

○ 服部構成員
省エネに関しては、我々もオペレーションをやっておりまして、この間の計画停電があったときに、何%か削減してくれという通達がありまして、そのためにいろいろなオペレーションを考えたのですけれども、何とかやりくりはしたのですが、先ほどの第1施策の中にあるとおり、浄水場の施設が非常に古くなって、運転のやりくりだけではドラスティカルにエネルギー削減ができない。ここに書いてある新しい施設を入れるだとか、新しい技術を入れるだとか、そんなに話になっているのですけれども、実のところ、今の浄水場の機械の設備をどんな更新していくかによって、エネルギー効率というのは変わっていくというところが非常にあるのではないかと思っています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかにお気づきの点。木暮さん、どうぞ。

○ 木暮構成員
先ほど日水コンさんの説明にもあったのですが、4ページのところで、浄水発生土の関係です。1年前まではほとんど 100%有効利用されていたわけですけれども、当然、今の状況ですと逆の数字になってしまっているような状況でして、今後、新水道ビジョンをつくるに当たって、恐らく今の状況でみると、浄水発生土もしばらくの間はほとんど有効利用はできないというような状況だと思いますので、後でも論点とかその辺で出てくるのかと思いますが、この辺を今後どうするのかというのは大きな問題だと思いますので、この中でもそういう議論をしていただきたいと思っています。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。先ほどの服部さんのご指摘に戻るのですけれども、施設の能力とか管路延長その他の統計は、施設をつくったときの能力の統計、積み上げでは割とよく出ているのですが、ご指摘のとおり、だんだん古くなってくると、なかなか思ったとおりの能力が出ない場合とか、危機に対する対応能力に欠けている場合、あるいは更新することによって逆にもっと機動力のある、能力のあるものに変更していける可能性があるといったこともありますので、そこら辺、中身も含めてどういう状況にあるのかというのを、もし可能であれば今後の検討会で何かわかるような資料を出していただけたらと思います。私からのコメントです。ほかに何か。岡部さん、どうぞ。

○ 岡部構成員
水道の場合、エネルギーは水圧確保するために水圧を上げなければいけないですから、確かに余りなくすことができないエネルギーだと思いますけれども、電力会社の人に聞いたら、ピークというのは水と一緒で限られているそうです。電力では2時とか3時ぐらいにピークを迎えるという話があります。これからは使用する電力量は一緒だけれども、ほかの水道事業体でも、幾つかやっていましたけれども、夜間電力で配水池に上げておいて落とすとか、時間差攻撃ではないですが、みんなが使わないところをうまく使うような工夫とか、そういったことでは結構できることはあると思います。そのあたりをまた考えていったらいいのではないかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。そうすると、配水池とか、いろいろな施設計画全体の中で考えていかないといけないですね。ほかに。長岡先生、どうぞ。

○ 長岡構成員
10ページなのですが、首都圏水循環のプロジェクト、私もかかわっていて、非常に懐かしいなという気がするのですが、この絵はいろいろ賛否両論あったと思うのですが、基本的には上流取水をして重力を使うというのが省エネルギーという面では非常に効果が大きいということの証明になったと思うのです。このとおりするというのではなくて、この方向にこれから進んでいかなければいけないと思うのです。そういう意味では、広域化とか、広域連携とか、もう一つは水利権をどのように確保していくか。その辺が欠かせないと思いますので、私としてはこういう方向に進むようにしていただければと考えております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ご意見としてお聞きしておきます。ほかに何かございますか。よろしいですか。それでは、予定している時間を超過しておりますので、もしご意見があれば最後にまとめてお聞きするということで、施策群の5の説明をお願いします。

○ 日水コン(植村)
施策群5については、私、株式会社日水コンの植村から説明させていただきます。施策群5につきましては、主要施策として2種類ございまして、まず1つが水道分野の国際貢献の推進というように挙げられております。もう一つが国際調和の推進等我が国水道の国際化ということで、この2項目についてご説明させていただきます。よろしくお願いします。
2ページに行きまして、海外からの水道分野の研修生をODAベースで今後10年間で約 600人受け入れる、これが1つの目標ということで掲げているのですけれども、グラフをみていただければわかるとおり、この10年間において 1,426名受け入れられているという現実がありまして、目標達成は一応できているという状況にあります。次のページへ行きまして、3ページ目なのですけれども、開発途上国へ専門家を10年で 400人派遣するというものが挙げられております。こちらにつきましては、過去10年間の派遣数が 281人、達成率としては70%ということになっております。続きまして4ページなのですけれども、研修生の受け入れ状況、これは平成22年段階でということなのですが、この表からは、研修の形態としては研修生が来日して日本で研修するケースが多く見受けられている。いろいろなケースがあるのですけれども、そういうことがうかがえるということになっております。次に5ページなのですけれども、今度はODAの実績について整理されたものなのですが、水と衛生分野の中でも上水道と下水道が84%、非常に高い率を占めていて、日本は水と衛生の分野における世界最大の援助国になっていることがうかがえます。次の6ページに行きまして、今度はアジアに対しての日本の支援実績ということで、一覧表にまとめられているのですけれども、1990年代より20年以上、アジアにおける衛生的な水供給に関して重要な役割を果たしてきているというような現実があるということがうかがえます。7ページに行きまして、無償協力案件の推移ということで、無償協力、有償協力ということで、ODA関係のプロジェクトとしてはあるのですけれども、その中の無償協力案件につきましては、アフリカへの協力が全体の50%を占めているということになっております。その一方で、8ページなのですけれども、有償協力案件につきましては 128件という形で、15年間のうち70%がアジアへの協力が主となっているということがうかがえます。続きまして9ページに行きまして、国連・ミレニアム開発目標に対する状況ということで、水道分野におきましては、国連・ミレニアム開発目標として2015年までに安全な飲料水及び衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減するというような目標を掲げられておりますけれども、安全な飲料水を継続して利用できない人口の割合は世界平均で1990年の23%から2008年の13%と、非常に大幅に改善している実態はあるのですが、依然、9億人が安全な飲料水を継続的に利用できないというような状況がうかがえます。アジアの地区におきましては特に改善が顕著ということでありますけれども、それでも 4.8億人が安全な飲料水を継続的に利用できないというような状況が見受けられるということがうかがえます。10ページに行きまして、状況は今までのとおりなのですけれども、この中で見出せる課題としましては、開発途上国等への派遣専門家の目標達成率が先ほど70%になっていましたので、目標達成には平均20人程度受け入れないと達成にならないということになりまして、引き続き継続していくということが必要になってくるかと思います。また、アジア地区において安全な飲料水を継続的に利用できない人々が、先ほど説明させていただいたとおり、まだ 4.8億人いるということから、これも引き続き国際協力の一環としてやっていく必要があるのではないかということがうかがえます。
続きまして、主要施策2の国際調和の推進等我が国水道の国際化について説明させていただきます。11ページに移りまして、すべての水道事業者で指標を用いて業務改善を行うという目標を掲げているのですけれども、こちらにつきましては、過去5年で国際PI指標のある自治体は向上しているということがうかがえるのですが、国際貢献の実績がある事業体というのは、ここ数年の間ではほぼ横ばいという形になっております。13ページに行きまして、新成長戦略における海外展開として、アジア展開における国家戦略プロジェクトというものが存在しております。これは13ページに示しているとおりなのですけれども、2013年までの具体的な実施事項、2020年までの成果目標について明記されているような状況になっております。続きまして、次のページをめくっていただきまして、14ページなのですけれども、国交省、厚生労働省、経済産業省、民間企業及び自治体、こちらによる海外水ビジネスの事業展開、官民連携に関する協議の場である海外水インフラPPP協議会というものが設立されております。ことし2月に第3回協議会が開催予定となっている状況でございます。15ページに行きまして、アジア・太平洋水サミットというものがあるのですけれども、日本でも水道技術の発信の場がありまして、国際会議への参加で貢献をしているという状況にあります。続きまして16ページなのですけれども、水道産業の事業規模の把握ということで、水ビジネス国際展開研究会で整理されている資料があるのですが、水ビジネス市場は上下水道ともに圧倒的に大きな可能性があるという報告になっております。世界の水ビジネス市場については、2025年までに87兆円規模に成長すると見込まれているという現状があります。続きまして17ページへ行きまして、国際規格の取り組みについてなのですけれども、水分野の国際標準規格の会議が40回以上開催されている。また、国内でも会議を開催されているというような現状があり、積極的に取り組んでいるというようなことがうかがえます。次に18ページに行きまして、自治体水ビジネスの展開状況ということで、アジアを中心に9事業体の国際展開事例というものがあります。いずれも大都市が中心的になっているところで、新聞でもよくご存じになっているところだと思います。実は19ページ以降にそれらの事例ということで紹介させていただいているのですけれども、時間の関係上、省略させていただきます。飛びまして、最後から2ページ目の国際—31ページをみていただきたいのですけれども、水道産業の国際展開ということで、国別に整理しているという表があるのですが、民営、公民混合、公営、この割合が国によってばらばらになっているということで、それぞれの国に合った事業形態となっているということがうかがえます。
最後、まとめなのですけれども、今後の課題としましては、国際PI指標における目標達成率が平成21年段階で22%ということでありますので、引き続き指標を用いて業務改善をすべての事業体によって実施していくということが必要になってくるのかなと考えられます。また、我が国の技術や経験を生かした諸外国の技術水準向上への貢献のための仕組みづくり、目標に向けた国際展開のための国内体制整備、あと国際化の推進及び国際競争力の強化などを考慮した新成長戦略等、各事業体と民間との連携が必要になってくるということが考えられます。駆け足になりましたけれども、国際分野、以上で終了させていただきます。ありがとうございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。施策群の国際協力等の話題ですが、お気づきの点ございますでしょうか。私のほうから、ささやかなことですけれども、国際—31ページ、これは引用なのでしょうか。海外における民営化の状況で、イングランド・ウェールズは 100%公営になっているようにみえますけれども、状況は公営ではないですよね。ほとんどが民営になっていると思いますので、もしこれを外へ出すときには確認が必要ではないかと思いますので、ご確認いただけますか。ほかにお気づきの点ございますでしょうか。どうぞ。

○ 岡?構成員
座長が触れられましたので、31に関連してお願いしたいのですが、民営化の状況、あるいは事業形態の現状結果という1つの資料としてはわかりますけれども、例えばそれぞれの国、それぞれの経過というものがあると思うのです。経過の変化、そういうものはそれぞれの事業形態にかかわる、それぞれの国の深刻なやりとりという経過があるわけですから、そこのところは正確に追加資料を出すなりは必要なのではないかと思います。その上で、質問ですが、国際—12、新成長戦略にかかわって、これにどうしても触れざるを得ないというのはわかりますけれども、今の政府の成長戦略なるものが基本的にどのように成熟をしていっているのか、あるいは具体的な論議がどのように政府、あるいは各省庁とされているのか、そこのところをもう少し、きょうは時間がありませんから、提示をされた以上は参考資料等々を追加していただきたい。あえて申し上げますけれども、特に国際—12の成長戦略、右の下のほうに新幹線とかエネルギーとかというように出ていますが、ご承知のように、例えば新幹線は、コピーであれ何であれ、中国の大きな事故が起こってしまって鳴りを潜めていますし、エネルギーというように一般的に出ていますが、これは原発をもっていこうという話だったわけで、そこのところについてだって、ひところの迫力はとまってしまっているのではないかとみえます。しかし、時の政府なり内閣なりが成長戦略というように国家戦略としていった以上のことは、一般的に羅列して提示をするということだけではなくて、ちゃんとしっかり押さえた上で資料提示をする、あるいは厚労省水道課としての見識を含めて問われるということになろうかと思いますから、そこのところは資料提供も考えていただきたいと思います。それとの関係で14に関して、海外水インフラPPP協議会というものが設立されて、2~3回程度やられている。直近でいえば2月に予定されるというけれども、この2~3回の開催内容がどういう内容で、どのように論議されて、ポイントはどこなのか、十分な協議になっていっているのかどうか、それから、この2月はどういう論議になりそうなのかというところも、ぜひとも今後の論議のために資料提供していただきたいと思います。決して揶揄、批判でいっているつもりはありません。私は四国の高知から、現場から上がってきて、乱暴者ですから率直にいわせていただきますけれども、もうけるならもうけるやり口はあると思っているのです。国際貢献の理念、あるいは水ビジネス、その総合性、どっちかというのもおありでしょう。しかし、水ビジョンで論議をする以上は、国際貢献理念は理念として、ビジネスはビジネスとして、かみ分け、さび分け、それから総合論というようにやっていかないと、この資料の構成の仕方も、何だか前段は自治体の貢献実態、経過、いい仕事をされているわけです。そのことにさっと新成長戦略論が入ってきて、最後はまた各自治体のご苦労、努力というものが出されてきている。語弊がありますけれども、あれこれのことがぐちゃぐちゃになって国際貢献、今の流行ですよという感じで出てきているというようにも受けとめられかねないですから、そこのところは厳密に提示をしていただきたい。そういう論議を真摯にし合うということについてはやぶさかではないし、それぞれの立場と責任において、よかれと思うことはどんどん推進するべきだと思います。横文字でワンパッケージだ何だといわないで、護送船団方式で、国も各省庁も企業も自治体も、みんながこぞってアジアに対して、途上国に対して出かけていって、いい仕事をするんだよというのだったら、そういう言われ方があると思っているのです。その渦中で民間の皆さんが、武士は食わねど高楊枝では済まないから、しかるべく商売にはさせてほしいというのもわかります。だけど、どこに大儀があって、何が定義されているのかというのがごちゃごちゃになっているのが一番気になりますから、あえて私の立場としては意見を申し上げたいということです。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。1点目は、会議開催日程だけではなくて、内容も含めてご提示いただきたいというご指摘です。2点目、もう一つは、資料の構成ももう少しよく考えて、再構成をしていただきたいということだと思いますので、次回以降、今回のご意見を踏まえてご用意いただければと思います。よろしくお願いいたします。どうぞ。

○ 佐藤構成員
今、資料の構成の話も出ましたので、重ねて私からもコメントしておきたいと思います。全体的にこの資料を拝見させていただくと、徐々にではありますが、地方公共団体、水道事業体の国際展開も進捗しつつある状況がよくわかりました。これは今回、水道ビジョンのレビューということですので、水道ビジョンの中で国際貢献ということを位置づけている以上、このページの中で例えば国、あるいは厚生労働省としてどういうことをやったのかというページを入れて、それをレビューすることも重要ではなかろうかと思います。例えばカンボジア王国との覚書の締結とか、いろいろと国としても貢献があったように思われます。そうしたところと今回の自治体の水ビジネスが国と一体的に展開されているというようなページ構成を工夫されてはいかがかということを意見として申し伝えておきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。その点についても次回以降、よろしく工夫をお願いいたします。それでは、次の議題に進みたいと思います。今後の論点について、資料-5に基づいてご説明をお願いいたします。

○ 名倉課長補佐
資料-5に基づきまして説明させていただきます。まず初めに、先ほど災害対応のところとかでかなりさらっとした資料になっているのですけれども、後でスケジュールのところでもご説明させていただきますが、今後、一定の段階で特定テーマに絞って、1回に1テーマとか2テーマという形で議論をしていくような形を考えております。今回の東日本大震災のレビューにつきましては、現在、詳細な調査を進めておりまして、それが年度内ぐらいにまとまるであろうと考えておりまして、年度が明けたところでの検討会で詳細なデータなりを出してご議論いただきたいと考えております。資料-5につきましては、今後、議論を進めていただくに当たって、どういう観点が考えられるかということで、まず事務局の案として挙げたものでございます。今までの議論でもこういう調査もしたほうがいいとか、こういう論点もあるということをもう既に出していただいているものもたくさんあるのですけれども、どういった論点があるか、どういった観点があるかということについてご意見をいただくために、たたき台として出したものでございます。幾つかの固まりごとに数字、1、2、3というように分けて書いておりまして、こういう観点があるのではないかということで、こちらで考えたものでございます。
1つ目は水道サービスの持続性の確保ということで、運営基盤の強化ということでございますけれども、人口減少とか節水が進んできておりまして、給水量が減少している現状があるという観点でございます。それから、もう既に出ておりますけれども、施設の老朽化とか更新需要に対応していかないといけないということで、そういったものに対しまして、現在、解決策の方向としては、矢印の後で書いておりますが、例えばアセットマネジメントとかをやっておりますし、資金の確保が重要になってくるということでございます。それから、職員数としまして、先ほど技術職員だけではないのではないかという意見ももう既に出していただいておりますけれども、職員数の減少とか技術力の低下についての問題がある。そのための解決として考えられるのは、技術職員を確保するための取り組みとか、研修とか、再雇用とかも考えられるのではないかとか、広域化を推進するということも考えられるのではないかとか、官民連携を推進することも考えられるのではないかとか、手引きとかガイドラインを使っていくこととか、民間企業も含めて技術開発を進めていくというようなことも考えられるのではないかということで、この矢印は、必ずしも職員数に対応するというだけではなくて、上のほうの人口減少とか施設の老朽化についてもいえることではないかと思っております。それから、エネルギー、水道の場合は主に電力ですけれども、その逼迫への対応ということでもございます。短期的には非常用電源設備の充実とか、燃料の備蓄等があり得るかと思いますし、長期的には省電力の水道施設へ再構築ということで、これは施設、設備を省電力型にするということもあり得るでしょうし、先ほどあったように、自然流下を活用するとか、そういう方向もあるのかなと思っております。それから、資料の中でも出てきましたけれども、地下水を利用した専用水道というのがふえてきているということも問題としてあるかと思います。解決策としては、ほかにもあるかもしれないのですけれども、とりあえず水道料金等のあり方というように書いております。
2つ目としまして、安全な水の確保ということで、資料にもありましたけれども、未普及地域とか、給水区域でも水道を引いていない人、未普及者というつもりで書いていますが、そういう方への対応とか、有害物質とか有害生物対策のあり方ということで、水安全計画のあり方とかが問われることになるかと思っております。とりあえず入れるところがないので、ここに入れたのですけれども、先ほどからもあります水道水とか浄水発生土の放射性物質の対策というのも論点としては入ってくるかと思っております。それから、貯水槽水道などの小規模水道の管理の問題、給水装置とか給水工事の信頼性確保とか、もう議論になっておりましたけれども、鉛給水管の問題というのもあるかと思っております。それから、危機管理を徹底していくという点で、これも分け方をどうしようかとも思ったのですが、日ごろからの備えの問題、耐震化を進めるとか、マニュアルなりを整えておくとかということもあるかと思いますし、起こったときにどうするかというので応急給水、復旧に向けてはどう迅速化するか。対応として、1つの事業体なりで対応はなかなか難しい、幾つかまとまっても難しいということもあり得ますので、広域的な災害対策という視点が要るのかなということも書いております。裏に行きまして、風水害への対応というのもありますし、渇水とか水質汚染事故に対するリスク管理、場合によってはテロ対策とかも入ってくるかと思っております。
4として、住民等との連携ということで、これが安心の確保ということで書いておりますけれども、安全だけれども不安感があるとかいうことは、水質の面でも、先ほどもありましたが、例えば耐震性とか、いざというときどうなるのかというようなこともありますので、そういうところでどのようにしていくかという観点としまして、住民等とどう連携していくか。あと連携するに当たってどういう情報提供をしていくかというのもあるかと思っております。5番としまして、国際協力とか国際展開の推進としまして、官民連携、外に出ていくにしても、民だけではなかなかという場合には、最近進んでおりますのは、官と民が一緒になってというのもありますので、官民連携を推進するとか、あと経験的にやってきている暗黙知というものをどのように形式知化していくかとか、場合によっては標準化もどうするかという問題はあるかと思っております。それから、それぞれの主体がどう役割分担をしていくかということで、国とか都道府県の衛生部局とか保健所とか、あと水道事業者とか、専用水道の設置者というのが主体としては考えられると思いますし、そうした中では、冒頭にもありましたように、都道府県ビジョンの考え方とか、水道事業者がつくっているビジョンの位置づけをどうしていくかという観点もあるかと思っております。それから、民間企業の問題というのも、資材なりをつくられる側、維持管理される側というのをどのように役割分担していくかというのも考えられるかと思っております。一応、たたき台としてこういう観点があるのではないかということでつくってみましたけれども、ほかにどういう観点があるかとか、こういう観点をみるにはこういう調査をすればいいのではないかという意見をいただけると幸いでございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。これはあくまでもたたき台ということでございますので、この中に抜け落ちているような点、あるいはそもそもの視点、方向性というようなことでも、今後の議論の進め方を決める重要な点でございますので、皆様のご意見をお聞きしたいと思います。いかがでございましょうか。何かお気づきの点、ここのところは議論をしておいたほうがいいというような点がございましたら。長岡先生。

○ 長岡構成員
先ほど来、申し上げさせていただいているのですけれども、4の住民との連携なのですが、情報提供の内容もそうですけれども、いろいろな形でPRをしているのですが、その効果というのがどうも明らかになっていない。先ほども、どのぐらい住民が理解しているかというのもなかなか計測が難しいという話もあったのですけれども、やはりモニタリングの手法について、ぜひ検討するべきではないかと考えています。例えば東京都水道局が電車の中でビデオを流していますけれども、あれも非常に効果があると思うのですが、効果がどのぐらいあったのかというのがなかなか明確でなかったり、「東京水」とか、なくなってしまうのですけれども、「ほんまや」とか、ボトルウォーターの効果がどのぐらいあったのかというモニタリングがなかなかはっきりしていないと思いますので、ぜひその辺も検討したらどうか。あと、先ほども議論になりましたけれども、学校での取り組み、その辺をどうしていくかというところはやはり重要ではないかと考えております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかに。どうぞ、吉岡さん。

○ 吉岡構成員
私も4番の住民との連携というところですけれども、安心の確保というところにあると思うのですが、安全の積み重ねが、安心になるのだと思います。そして、それは最終的に事業者への信頼につながります。水道事業者は、その信頼を得るために住民と連携を強めていく必要性があると思います。そういう意味で、どうしたらそういう信頼を得ることができるかというコミュニケーションの方法が示せればよいと思います。長岡先生はモニタリングが必要だということをおっしゃっていました。私もそう思うのですが、事業者の立場からは、どんな方法があるかということが余りわかっていないところがあると思います。そういった意味で、連携の方法の研究も進めて、提示してあげることによって、例えば小さな自治体であればこんな方法がいいのではないかというような形で提供することができればいいのではないかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかの項目でお気づきの点。浅見先生、どうぞ。

○ 浅見構成員
今の資料-5を拝見して、一番最初のところが人口減少と書いてあるのですけれども、きょうのレビューの中では、人口のこれからの動態がどのようになっていくのか、今回、ビジョンの策定ができていないところとかのご意見もありましたが、そういうところがビジョンを策定しないまま、アセットマネジメントの適切な管理もしないまま、そのままほうっておくとどのようになるのかというところも現実には示していかないと、なかなか実際は済まなくなってしまう場合があるのではないかなというのを懸念しております。余り夢がないのもよくないなと思うのですが、現実として、ほうっておくとこうなるけれども、ちゃんとやればこうなるのだよというところを示せるのがビジョンとして適切だと思いますし、地域でつくっていくときもそういうのがないと困ってしまうなというのを感じていただかないと、つくる側もなかなかつくるモチベーションが上がらないというところがあると思います。人口と、抜けがないような、少し細かになるかもしれないのですけれども、大きなところだけではなくて、周辺も含めて考えるとどうなるかというのがみえていくような形にまとまっていかないといけないのかなという気がします。今回、運営基盤の1—22のところで、累積欠損金比率とかのデータも出していただいておりまして、これが規模によって物すごく状況が違っているというところが、将来的に全体にすごくかかわるところではないかと思っています。お金がないと結局、何もできないといって進まなくなってしまうところがあると思いますので、この辺の現状とかをもう少し細かくみせていただいて、どういうことができるのか、どういうことを示していったらビジョンとして皆さんに理解していただけるのかというところを考えていけたらいいのかなと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかにお気づきの点。佐藤さん、どうぞ。

○ 佐藤構成員
私からは着眼点を少し意見として申し述べたいと思います。特に水道事業は、地方公営企業として一般行政とは別体系で制度設計されているにもかかわらず、運用実態としては知事、市長、あるいは議会という政治の関与を受けて、なかなか合理的な経営ができないという実際上の問題があります。こうしたところから考えると、どうやらこの論点整理の資料でいえば、4番の住民等の「等」なのか、あるいは6番の国・都道府県・水道事業者等の「等」なのかわかりませんけれども、政治と合理的な水道事業運営の関係の適正化のような着眼点を盛り込めないかなということを意見として申し伝えておきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかに。岡部構成員、どうぞ。

○ 岡部構成員
最後の6番のところに役割分担とあって、民間企業とかもあるのですが、この辺が水団連がかかわるところかと思うのですけれども、水団連や、あと尾?さんのところの日水協さんとか、水道関係団体とか、浅見先生のところの研究機関とか、そういうものもしっかりと入れておいていただいたほうがいいと思います。あと、2番の安全な水の確保のところで、私は認識不足かもしれませんが、直結給水について、今、どういう扱いになっているかというのはあるのですが、今回の地震とかが絡むと受水槽のほうがいいとかではないですけれども、そのあたりもこれから再度議論すべきかなというのが1つ。最後に、1番の施設の老朽化とか更新需要への対応、アセットマネジメントと資金の確保という話は出ているのですが、これから運営を考えると、長寿命のものを使っていくとか、ロングスパンで考えていくことになりますので、「ライフサイクルコスト」の概念もこの中に入れて検討するべきかなというのを意見として申し上げておきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。どうぞ。

○ 木暮構成員
何点かお願いしたいのですけれども、1の3段落目の広域化の推進のところで、各地域における広域化のリーダーシップということがあるのですが、地方の都市でリーダーシップをとっていただきたいような事業体が、埼玉県にも結構あるのです。ただ、そういう事業体は、現状ではそれなりに経営も安定していていいのですけれども、地域の弱小の比較的経営状況のよくないところを、あえてリスクを侵してまで事業統合は当然できないというような状況がありますので、そこら辺で何かあめというわけではありませんが、動機づけみたいなものが必要なのかなと。先だって補助金で広域化促進費というものもできたのですけれども、検討している段階でいろいろお手伝いはした経緯もあったのですが、事業統合というのが要件に入っていますので、その辺でなかなか使いづらいなというところも感じておりますので、この辺についても議論をしていただきたいのが1つ。もう一つが、1の最後で、地下水利用専用水道への対応というところですが、これは事業者のほうからみた収益の問題についての視点だと思うのですけれども、一方、使う側からすれば、特に病院ですとか、その辺ですと水が来ないと生命にかかわることでありますので、当然、電気もそうですが、2系統化、水源の複数化というのは必要なことではあると思います。適正な地下水の利用の仕方というのはあると思いますので、その辺、環境に配慮しながら、どうやったら施策としていいのか、公水ですとか、そういう議論もありますけれども、そういったものも少し視点として入れておいたほうがいいのかなと思います。最後に、住民との連携ということで、いわゆる広報のやり方ということになるのですが、いろいろなメディアがありまして、当然、3・11の地震以降、放射性物質の検査結果ですとか、多くの事業者はホームページに載せるのが一番やりやすいので、ホームページをみてくださいというところでやっていたと思うのですが、すべての人がそういうものを利用できるわけではありません。今日は水を飲んで大丈夫ですかと毎日、電話をかけてくる人もいるのです。そういう方もいらっしゃいますし、最近、当県でも始めたのですが、テレビのデータ放送などを使って、そういうものを提示していく。そういった取り組みもありますし、また、若い人などですと携帯電話ですよね、水道の情報を携帯電話で流すということは1年ぐらい前には考えもしなかったのですけれども、携帯でもやってくれというリクエストもありました。そういった広報のやり方というのも検討というか、こういうやり方がいいのではないかと皆様で議論してもいいのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかにご意見ございますでしょうか。尾?さん、どうぞ。

○ 尾?構成員
どちらかというと、このまとめは縦の糸みたいな形なのですが、横の糸というか、先ほどから中小の問題などが出ていますが、全体をどうレベルアップさせることができるのか。つまり、今の小規模水道の課題、単に数値が上がればいいというのではなくて、その課題にどう対処すれば上に行くのかという視点をかなり突っ込んで検討してもらって、それを横ぐしに入れてもらいたいと思っております。それから、地下水の話が出たので、その辺をお話ししますと、地下水も2割が水質の問題点があるといわれていて、地下水を各井戸ごと、東京の場合、二百幾つかあるのだけれども、それを全部、どの程度の間隔でどう水質を調べればいいのか。やり方によっては水質検査が物すごく多くなります。深井戸ならばどうなのかとか、浅井戸ならどうなのか。浅井戸は緊急に水質が悪くなることもあります。そういう状況の中で、浅井戸を活用していくのだとすれば、まさに井戸にふさわしい地域環境がないとまずいのではないかという意見もあります。そういういろいろなところをよく把握してもらうと、次のステップがみえてくるのではないかと思われますので、非常に大変だと思うのですが、そこまで踏み込んでやってほしいと思いますので、よろしくお願いします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。私も今の尾?構成員のご発言のとおり、これは非常によく整理されているのですけれども、項目がよく整理され過ぎてしまって、逆に項目ごとにきちんと書かれていればそれでいいのかというような、ちょっと皮肉な言い方をしますとそんな感じがしました。実際、問題解決するためには、それを1回ほぐしてどう取り組むのかというところの視点が必要になるのではないかと思うのです。そこまで踏み込んでいただきたいというご意見だと理解いたしました。ほかにご意見ございますでしょうか。それでは、資料-5についてご意見をいただいているところでございますが、これに限らず、今、レビューをいたしました。それから、今後の進め方について、日程等を含めてこの後でご説明いただきますけれども、何かこの進め方についての留意点、皆さんの考え方、視点、こういう見方で進めるべきだというご意見がございましたら、ご発言をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞ。

○ 浅見構成員
ひょっとしてご提案があるかもしれないのですけれども、課題を抱えていらっしゃるところの生のお話を聞く機会があったほうがいいのかというのが、間に入るかと思いますので、お願いしたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ちょっと先になってしまいますけれども、資料-6で幾つか特定テーマで議論をするというようなお話を後ほど名倉さんからご説明いただきますが、こういうテーマについて議論をしたい、するべきだというお気づきの点がございましたら挙げていただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、もし今、お気づきでなければ、これ以降もまだ何回か検討会を重ねる機会もございますし、また事務局ともやりとりしていただいて、ご提案いただくということも可能だと思います。それでは、資料-6のほうに進みまして、今後のスケジュールについてご説明ください。

○ 名倉課長補佐
では、資料-6に従いましてご説明させていただきます。下のほうの絵をごらんいただければと思っております。本日、1回目の検討会でございまして、2回目までに例えば関係する団体との懇談会というのを事務局側でやっていきまして、そうした声についても、どういったご意見があったかということについて次回に報告させていただきたいと思っております。第2回目の検討会では、今回出された論点を整理しまして、次回までに間に合うものについては整えまして、あと追加調査、どういうものをどういうやり方でやるかということも、できる範囲でご報告させていただきたいと思っております。3回目につきましては、追加調査で報告できるものは報告いたしまして、3回目以降、特定のテーマを特出しして順次ご議論いただきたいと思っております。そこまでが年度内でございまして、4回目になりますと、先ほど若干申し上げましたけれども、危機管理関係ということで、今回、東日本大震災の調査結果がまとまってくると思いますので、そのご議論をいただきまして、その後も特定テーマにつきまして、それぞれご議論をいただければと思っております。7回目のところに書いておりますけれども、中間とりまとめ、どういう形になるかわからないのですが、それまでの議論を論点整理する。それから、赤で書いておりますけれども、被災事業体との意見交換とか、市民参加で会議をやって、そうした論点整理とか中間とりまとめについてもご説明して、ご意見をいただくとかいうこともできればやっていきたいと思っております。骨子やビジョンの案をつくっていきまして、それまでにも場合によっては検討会の回数をもっと重ねるかもしれないのですけれども、年度末に向けてまとめていきまして、ビジョンの案につきましてはパブリックコメントにもかけまして、まとめていくような形を想定しております。資料-6について、以上です。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。資料-6につきまして、何かご質問ございますでしょうか。今後の予定です。よろしいですか。それでは、以上で本日の議事、皆様のご協力をいただきまして、無事終了することができました。大変有意義な意見を多くちょうだいしたように思います。事務局とも相談いたしまして、次回の検討会に備えたいと思います。以上で議事が終了しましたので、事務局のほうに一たんマイクをお返ししたいと思います。

○ 名倉課長補佐
本日の議事録につきましては、皆様にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。また、第2回目の検討会ですけれども、3月9日金曜日の9時半から12時を予定しております。閉会に当たりまして、厚生労働省・外山健康局長よりごあいさつ申し上げます。

○ 外山健康局長
本日は構成員の皆様から貴重なご意見を賜りまして、まことにありがとうございました。皆様からいろいろお話を聞かせていただきまして、大変ためになりました。本日いただいたご指摘をもとに、現行水道ビジョンのレビューを精緻化するとともに、議論いただいた論点をまとめまして、新しい水道ビジョンの方針につなげてまいります。これからも新水道ビジョンの策定に向け、次回以降の検討会においてさらに議論を深めていただければと思います。本日はまことにありがとうございました。

○ 滝沢座長
どうもありがとうございました。



——了——


(了)
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