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2011年12月26日 第5回水道水における放射性物質対策検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成23年12月26日(月)13:00~15:00


○場所

厚生労働省12階専用第12会議室


○出席者

出席委員

浅見委員、大原委員、欅田委員、朝長委員、古米委員、眞柄委員、桝本委員、森口委員

○議事

○尾川水道水質管理官
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第5回「水道水における放射性物質対策検討会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。
 議事に先立ちまして、健康局外山局長よりご挨拶を申し上げます。

○外山健康局長
 健康局長の外山でございます。
 構成員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ、本検討会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 本検討会は、今回をもちまして第5回目の開催となります。第3回検討会までの御議論につきましては、その結果を「中間とりまとめ」として公表させていただきまして、また、第4回検討会での御議論によりまして、「水道水等の放射能測定マニュアル」をとりまとめていただきました。幾多の貴重な御提言をいただきましたこと、本当に改めて御礼を申し上げます。
 さて、厚生労働省におきます、水道水以外の放射性物質への最近の対応といたしましては、食品衛生法の暫定規制値の見直しの議論がございます。本日は水道水中の放射性物質の検査の状況につきまして、後ほど詳しく御報告申し上げますとともに、食品における対応を踏まえました水道水中の放射性物質に係る指標の見直しにつきまして、御審議を賜りたいと考えております。
 また、そのほか、前回検討会以降の最近の動向につきまして御報告申し上げる予定でございます。
 各先生方におかれましては、御専門の見地から、水道水の安全性の確保に向けた放射性物質対策について、忌憚のない御意見を頂戴したいと考えておりますので、本日はよろしくお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 本日でございますけれども、構成員8名、全員の御出席をいただいております。
 まず最初に、事務局の方から配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料をご覧ください。ホチキスどめで、議事次第といたしまして、議事次第の裏に配付資料目次がございます。そちらをご覧ください。「議事次第」と書きました配付資料、委員名簿、それから座席表に続きまして、資料の1~3、参考資料1~8までクリップでとめてございます。
 順に申し上げます。
 資料1「水道水等の放射性物質検査の実施状況について」という31ページ物でございます。
 資料2「水道水中の放射性物質に係る指標の見直しについて(案)」で8ページの資料がございます。
 資料3はPowerPointの打ち出し2枚物「浄水発生土の保管及び処理状況」でございます。
 参考資料1は、3月19日、21日の現在の指標について、通知をまとめてございます。
 参考資料2は、6月30日に改定いたしましたモニタリング方針でございます。
 参考資料3は、環境省報道発表資料を、18ページございますが、束ねてございます。
 参考資料4は、1枚紙で文科省のモニタリングの結果を付けてございます。
 参考資料5は、食品安全委員会の答申、評価書でございます。
 参考資料6は、先週木曜日、12月22日の薬・食審の放射性物質対策部会報告書でございます。
 参考資料7は、右上に別冊と書いてございますが、参考資料6の別冊でございます。
 参考資料8は、WHO飲料水水質ガイドラインの一部暫定仮訳でございます。
 委員の皆様には、机の上に、10月にまとめました「水道水等の放射能測定マニュアル」を置いてございます。
 資料の過不足等ございましたらば、事務局の方にお申し付けお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、これ以降の進行を眞柄座長にお願いいたします。よろしくお願いします。

○眞柄座長
 それでは、早速議事に入りたいと思います。議事次第にありますように、まず第1に「水道水等の放射性物質検査の実施状況について」、事務局から御説明をお願いします。

○尾川水道水質管理官
 では、資料1を説明させていただきます。水道水質管理官の尾川でございます。
 資料1をご覧ください。「水道水等の放射性物質検査の実施状況について」でございます。
 1番といたしまして、1ページに実施状況をまとめてございます。
 実施体制、実施状況につきましては、これまでの御報告と変わりはございません。実施体制については、政府の原子力災害現地対策本部、それから文部科学省、そして水道事業体、地方公共団体の水質検査を実施しておりまして、それを厚労省でもとりまとめて公表しているところでございます。
 (2)にございますが、現在、福島県及びその近隣の1都10県を重点区域といたしまして検査を行ってございます。そして6月30日のモニタリング方針での改定点というのを下から4分の1のところに書いてございますけれども、流域単位での原水モニタリングですとか、あるいは表流水の影響を受けない地下水の扱いですとか、これらについてまとめたところでございます。
 現在、避難区域内で、まだ水道施設が動いていないところがございますが、それらを除きまして、すべての市区町村において水道水の検査が実施されているところでございます。
 ページをあけていただきまして、2ページでございます。
 (3)といたしまして、水道事業者と委託先検査機関の実施体制について、今月の中旬にまとめた結果を次ページの表にも示してございます。76機関で検査機器の整備状況を調べましたけれども、12月中旬時点でゲルマニウム半導体検出器が169台整備されてございまして、6月にとりまとめていただきました中間とりまとめのときには82台でございましたので、台数としては大幅に増加をしているというところでございます。
 また,ゲルマニウム半導体検出器のほかにも、Nalシンチレーションスペクトロメータなどの機器についても所有をしてございます。
 また、お聴きしましたところ、水道水以外の食品などの検査も実施しておられて、更に今後、ゲルマニウム半導体検出器の追加購入予定というものもあるというふうにお聴きをしてございます。
 6ページに飛んでいただきまして、これらの検査機関につきまして、検出限界値がどうなっているかというところをまとめておりますのが6ページ以降でございます。
 7ページにグラフが書いてございますが、これはまず、厚生労働省でとりまとめております水道事業者などの検査結果、これで10月から検出限界値も併せて公表するようにしてございますけれども、聴き取った検出限界値を調べたものを、文章と表でまとめてございます。低いところでは0.18 Bq/kgだとか、放射性ヨウ素について調べているところがございますけれども、中には放射性セシウムで10 Bq/kgを超えているところもございます。一番多いのは、グラフを見ていただければ一目でございますが、1Bq/kg以下まで調べているところが、一番大きな山があるというのが現状でございます。
 続きまして8ページをご覧いただきまして、今回の指標等の見直しに当たりまして、10 Bq/kgを超えていたところが気になったものですから、8ページに10 Bq/kgを超えている検査機関に対しまして、聴取調査を行った結果をまとめてございます。お聴きした中身というのは、10 Bq/kgを超えて、10 Bq/kg以上の検出限界値で検査を行っているわけですけれども、なぜ10 Bq/kg以下の検査実績がないのかということ、そして10 Bq/kg以下に下げることができるかという低減可能性、もしそれをやろうと思った場合には、どういう措置が必要かということをお聴きしたものでございます。
 そういたしますと、ゲルマニウム半導体検出器を持っているところにつきましては、機器としては対応可能なのだけれども、そのような依頼がなかったので、10 Bq/kg以下まではやっていませんということであります。やろうとすれば、試料の増量、多くのところで100mLのU-8を使っていたり、あるいはマリネリ容器を使っていても、時間が短かったりしたわけでございますが、容器を変えたり、あるいは時間を延ばすことによって、0.5 Bq/kgまで確保することは可能だということではございましたが、一方で、やることはできるんだけれども、確保ということになりますと、経営の観点から現実的ではない。余りにも下げるのはどうかという御意見もあったことを御報告させていただきたいと思います。
 また、一番下のパラでございますが、ゲルマニウム半導体検出器を所有していないところについて、やはり10 Bq/kgを超えておりましたので、10機関に聴きましたら、そのうち1機関は対応可能だということだったのですけれども、9機関については、このままでは10 Bq/kg以下の測定は困難であるというお話でございましたが、9機関のうち1機関につきましては、今後、機器を購入予定であるというお話でございました。
 9ページは測定法マニュアルにも書いてございます検出限界値の表でございます。必要があれば、後ほどこちらを御説明させていただきます。
 10ページへ参りまして、こうした検出限界値の状況でございますが、これまでの重点区域内の検査結果について、これは、これまでの表に右側を付け加える形で整理をしてございます。今回、特に放射性セシウムについてご覧いただきたいので、12ページの表1-3を見ていただきたいのですけれども、これは下が全部のデータ数でございまして、分子、分母になって、分子側が10 Bq/kgを超えているものでございます。一番下に合計ということで書いてございますけれども、5月までは、わずかに10 Bq/kgを超えているデータというのがあったわけでございますが、6月以降につきましては、分子がゼロということで、超えているところはございません。また、一番濃かったデータでございますけれども、福島県の3月16日~3月31日のところに140.5 Bq/kgというのがございます。これが一番高い濃度であったということであります。
 以上は水道事業者などが実施している検査結果でございますが、13ページから先は文科省の方でございます。
 14ページの横長のグラフがございますけれども、上が放射性ヨウ素、下が放射性セシウムということでございます。こちらはもとからかなり高い感度、高感度で試験を行ってございますけれども、4月11日以降は、放射性セシウムにつきましては検出限界が、7月だとかに少し山がございますけれども、1Bq/kgは行かないぐらいのレベルであるということでございます。
 15ページに参りまして、摂取制限等の状況でございます。これまでの情報でございますが、新たに摂取制限などを行ったところはございません。
 また、(4)に、これまで摂取制限が行われた水道事業者の検査結果ということでお示しをして、グラフが次、16~20ページにかけてございますけれども、最初に高いピークがあったわけですが、その後については超えてはいないということであります。
 21ページでございます。これまでは浄水の結果でございましたが、21ページは水道原水の方の結果であります。水道原水についても、22ページ、23ページに、上水と同じ形式で、表でまとめてございます。原水については、ちょうどその高い時期に、余り測定していたところがなかったものですから、先の方を見ていただくと、原水でも、サンプルは上水に比べてかなり少ないのですけれども、5月以降、10 Bq/kgを超えて検出されている例がないということをお見取りいただけるかと思います。
 24ページはそのグラフであります。
 25ページでございますけれども、参考資料にもお付けしました環境省のモニタリング結果について少し御説明をさせていただきます。
 公共用水域のモニタリングにつきまして、環境省がモニタリングを実施して8月に各省集まりまして、モニタリング調整会議が開かれまして、そこで総合モニタリング計画というのがまとまってございます。それに基づいて、福島県と、その周辺県を順次、測定をしてございまして、水質だけではなくて、底質、それから河川敷などの周辺環境の放射能濃度を測定して、公表してございます。
 その中で、一番濃かった福島県内の結果について、表1-6に示してございます。水質についてご覧いただきますと、放射性ヨウ素は全時点、検出限界以下ございましたけれども、放射性セシウムにつきましては、表1-6の下の方にございますけれども、高いところでは10 Bq/L幾つということでございます。放射性セシウムは足して評価をいたしますので、一番高いところでは27 Bq/Lぐらい出ていたということであります。ただ、多くのところでは検出限界以下でございました。
 26ページの(2)に、特に濃かったところについて抽出をしてございます。表1-7をご覧いただきますと、これはいずれも浪江町、最も放射性物質の沈着量が多かった地域でございますけれども、そこの請戸川水系上流の大柿ダムと、下流の橋のところで測ったデータが超えておりまして、足した結果といたしまして、大柿ダムの水源地でございますけれども、27 Bq/Lというのが最高値であったということであります。
 御参考までに、浪江町にも上水道事業がございますけれども、いずれも浅井戸を水源としてございまして、請戸川の水の直接の利用はございませんが、同じ地域を流れている川で、これだけのものが出たと。これらの3地点以外は、足して10 Bq/Lを超えて検出されたところはなかったという結果であります。
 26ページ下、(3)が地下水の結果であります。同じく環境省で、総合モニタリング計画に基づきまして、地下水の測定を実施し、その結果を公表してございます。福島県内でございますけれども、わずかに検出されているところもございますけれども、多くの地点では不検出であったということであります。福島県外では検出されたところはございません。環境省は、いずれも検出限界値は1Bq/Lで、測定を実施してございます。
 27ページから先が、これは前回もデータをお示しいたしましたが、東京都水道局の個別の事例でございますけれども、御紹介をさせていただいております。東京都は3月22日、金町浄水場で出たということで、放射性ヨウ素で摂取制限をいたしたわけでございますが、その後につきましては、非常に低い状態が続いてございます。
 また高濁度において、原水を測ってございますけれども、次の28ページの図を見ていただきますと、濁度がはね上がったときであっても、原水中の放射性セシウムについてもほとんど出てきていないという結果が見て取れるかと思います。
 29ページから先でございます。29ページは浄水発生土が問題になってございます。御案内のとおり、放射性セシウムは多くが濁質の方に存在してございますので、流れてきたものが浄水発生土の方へ移行してございます。当初、少し高いところもございましたが、最近では浄水発生土の濃度、30ページの下が放射性セシウムでございますけれども、ちょっと縦が大き過ぎます。3月、4月辺りは一部の浄水場で8,000 Bq/kgを超えていたところがございますけれども、最近では、かなり低いデータになっております。
 また、31ページは浄水発生土の濃度をもちまして、便宜的に水道原水中の放射能濃度を推計したものであります。やり方といたしましては、浄水発生土が発生した期間の配水量を持ってまいりまして、それで浄水発生土の放射能の量を割るということで、原水中に含まれていたであろう放射性セシウムの濃度を推計したものでございますが、一番右を見ていただきますと、0.1幾つだとか、0.2だとか、1Bq/kgを大きく下回るものでございました。
 ということで、以上、資料1をもちまして実施状況の概要を御報告させていただきました。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明がありました水道水などの放射性物質検査の実施状況について、委員の先生方から御質問や御意見ございましたら、どうぞお出しください。
 いかがですか、よろしいですか。では、森口先生どうぞ。

○森口構成員
 質問といいますより、コメントめいたところも含めまして、2、3、発言させていただきます。
 今日、参考資料としても付けていただいた環境省の公共用水域の水質のデータ等も、最近見ておるのですが、全体として、水からはほとんど検出されない。しかしながら河川の底質にはそこそこ高いところがあるというような、そういう状況かと思うのですけれども、浄水発生土のデータから推計をされている原水中の数字とかあるわけです。これについて、原水に含まれている懸濁質的なものに付着しているのかどうかというと、そういう形態的なところの研究的なことになってしまうかと思うのですが、ルーチン的な測定の中では、なかなかそういうところは見分けられないかと思うのですけれども、その辺りについて、どの程度、この水道水の原水という観点から分析をされているか。これは質問させていただきます。
 と申しますのは、これはいろいろなことに関わってくると思うのですけれども、例えば、これは、ここの直接の所管ではないわけですが、水田における、土壌から米への移行係数等を定めるに当たっても、土壌中で、放射性セシウムがどういう形態で存在しているかということは非常に重要な点かと思います。だからそういったところで、土壌あるいは水に関わる放射性セシウムの挙動に関して、いろいろな分野で知見を集積して交換をしていくということは非常に重要かなと思うものですから、その観点から、今の点についてお尋ねいたしました。
 もう一点は、これは現在、水道事業が営まれているところについてはこういう数字かと思うのですけれども、今後、1月以降、特措法が施行され、除染が進み、現在、人がお住まいになっていないところの復帰、帰還ということについても今後、検討されていくわけです。そういったところでの給水といいますか、水源との関係で、これはむしろ資料2の方に関わることかもしれませんけれども、そういったところの見通しといったところについても、既に何らかの情報収集等をされているのかどうか、そんな点についてお教えいただけることがありましたらお願いいたします。
 以上2点です。

○眞柄座長
 ありがとうございます。

○尾川水道水質管理官
 では、1点目でございますけれども、6月のとりまとめの際に、浅見先生からデータを提供していただいたものがありましたが、浄水過程でどれだけ取れているかというデータですけれども、こちらでは、それ以上の知見の集積はございません。水を測っても、つまり溶存態ということかと思いますけれども、出てこないというのが現状でありまして、先ほど御紹介したものも、ほとんどすべてが濁質だろうと。その凝集沈殿でもって落ちるとすればということでございまして、それ以上のものはございません。
 2番目につきましては、まさに御指摘のとおり、資料2の方で考えていくべきかと思いますが、今回、環境省のデータをお示しいたしましたのも、幸いにして、警戒区域内や、あるいは旧避難準備区域などで、環境省が公共用水域のデータを取ってございますので、その水道水源ずばりということではないのですけれども、浄水操作をする前のデータとして参考にできるのではないか。つまり、実際に給水する場合には、施設を動かして、調べてみて、浄水中に放射性物質が一定以下、一定以上含まれていないことを確認するわけですけれども、その原料となる水についてのデータは、これらの知見も活用したいと思っております。

○眞柄座長
 ありがとうございました。ほかにいかが。では古米先生。

○古米構成員
 質問させていただきたいと思います。後半の水道原水のところで、降雨があって濁度が上がっても、原水の方には放射性物質は検出されないというようなデータであるとか、あるいは発生土の放射性セシウムの量に対して、配水量で割ることによって原水中の濃度を推定をしたところ、非常に低い値が出てきているということなのですが、このデータ自身は、東京都水道局の金町浄水場でのデータです。ある浄水場のデータであると考えると、それ以外にも多くの、すなわち、金町浄水場以外の浄水場で、更に汚染の高い地域の流域から受水、水源としているところも存在している可能性もあると。
 そして6月の時点で、雨のときには頻度を上げてモニタリングをするということも決まっていますので、実はある1か所を見るだけで低かったという判断をするのは、ある意味、危険で、それ以外でもっと高くなり得るかもわからないところのデータも、同時にある程度、確認しておかないと、これで安全だというような方向に行ってしまうと、ちょっと危険なような気がします。
 きっとそのような場所で確認をしても、それほど高くないという結果が出るような気がいたしますけれども、やはり、金町以外にも、ある程度しっかり、頻度よく測っておられるところの水道事業体のデータも併せて御検討されているようであれば、確認させていただきたいと思います。

○眞柄座長
 そのことに関して、これから調べようというのであれば、水源にダム貯水池がある流域と、ダム流域がない貯水池と分けて調査をしていかないと、表土流出、表面流出の影響が、水源というか、水道水の濁水の、濁質の質に影響を大きく与えますから、そういう観点も考慮して調査をする必要があるだろうと私は思います。
 ただ、そうなると、貯水池やダムの底質の放射性セシウムと放射性物質はだれの責任かと。水道の方の責任ではなくて、もしかしたら環境省が考えるか、管理者である国交省が、河川サイドが考えるべきか、そういう問題まで考えていただかないと、研究は勿論さることながら、現在まだ日本の環境中に排出された放射性物質をどういうふうにして、今後、国全体として責任を分担していくかということも明確にされるべきだと思いますので、調査をするとすれば、そういうようなところまで、もう少し事細かに調べていただきたいというふうに思います。
 それと、もう一つ別の観点から、私は事務局に御質問したいのですが、検出感度を下げるということに関して、経済的な理由を挙げて、検出感度が今は高い状態にある、あるいはゲルマニウム半導体検出器を持っていないので、検出感度を下げられないというところの回答があったというお話ですが、水道担当の行政部局としては、現状では経済的な事由で、要するに検出限界を下げれば、測定時間がかかるというような問題点とか、シンチレーションスペクトロメータからゲルマニウム半導体検出器に変えるには、当然コストがかかるのでできないと言っておりますが、将来的にこれは、今申し上げたような問題は解決できるというふうに考えておられるのか、あるいはこれは、非常に深刻な問題であるというふうに考えておられるのか、どちらかということを説明してください。

○尾川水道水質管理官
 まず検査結果について、多少説明をはしょりましたので、放射性セシウムを中心にお話しさせていただきます。
 資料1の12ページ、表1-3が浄水であります。この中で、最大値というのが、それぞれ各県別に出てまいりますけれども、検出限界値の問題はありますが、大部分、10 Bq/kgどころか、測っている検出限界値を下回っている。一番高いところで宮城県に少し、0.4 Bq/kgだとか、1Bq/kgだとか、1.2 Bq/kgという数字が出ておりますけれども、これぐらいのレベルであって、その他の県では検出されているという報告はありません。
 同様に原水につきましても、23ページ、放射性セシウムがございますけれども、いずれも、こちらの方は最近では検出限界以下。宮城県は8月などで1.5 Bq/kgだとか、7月に3.1 Bq/kgという数字が出てございますけれども、こういう状況であります。
 したがって、一部、検出限界値の高いところがあって、NDというところがございますので、それについては、この後の議題にもなりますけれども、検出感度を上げて、どれぐらいのところにあるのかということを調べていただきたいということを考えています。
 それから眞柄座長が御質問の感度の問題でございますけれども、今回お聴きしたのは、大部分は1Bq/kgを下回っているということで、数が少ない、10 Bq/kgを測ることができない機械に対して対応できるかということであったわけですけれども、そのうちの大部分は、ゲルマニウム半導体検出器を持っておるということでございまして、確かに数は少ないのですが、ゲルマニウム半導体検出器を持っていないところでは、対応できないというところがございますが、マクロで見れば、水道水の原水なり浄水を感度よく測る体制というのは、でき上がっているというふうに考えております。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 ほかに何か御質問ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、とりあえず資料1の実施状況について、議論をしたということにいたしたいと思います。
 それでは次の、今日の本題かと思いますが、「水道水中の放射性物質に係る指標の見直しについて(案)」ということでございます。この内容について、事務局から説明をしてください。お願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 では、資料の2を御説明させていただきます。この資料は、今回の指標の見直し、それからモニタリング体制、それから指標値に変わる目標値を超えた場合の措置について、紙としてまとめたものでございます。
 まず「1.はじめに」でございます。これは経緯を書いたものでございまして、3月19日、21日に指標を決めました。現在では、放射性ヨウ素が300 Bq/kgと100 Bq/kg、放射性セシウムが200 Bq/kgということであります。参考資料1に原本を付けてございます。その後、この指標も定めましたので、4月4日にモニタリング方針を定めまして、第3回の検討会でもんでいただいた中間とりまとめ、それからその結果でもって、モニタリング方針の見直し、更には10月に放射能測定マニュアルのとりまとめを行ったところでございます。
 「今般」というパラがございますけれども、薬食審の放射性物質対策部会におきまして、食品安全委員会からの答申を踏まえまして、飲料水を含む食品全体の経口摂取によります内部被ばくを許容できる線量以下に管理するための新たな食品規格基準の基準値を定めることとされたわけでございます。
 水道水につきましても、現行の指標を見直して、新しい目標を定めるということと、モニタリング方法と超過時の措置等について検討するということを書いてございます。
 「なお」ということでございますけれども、今般、この後に書いてございます新たな目標につきましては、飲料水の基準値との整合を図るという、当然のことでございますけれども、それ以外に、先ほど御説明いたしましたモニタリング実績を踏まえまして、また、管理ができるという観点に立ってございますので、その管理の可能性を考慮して設定するものとするということであります。
 あと、Bq/L、Bq/kgにつきましては、同等と扱う。ここが「1.はじめに」でございます。
 「2.食品中の基準値等に係る動向」でございます。食品分野につきましては、暫定規制値を3月に決めてございます。その際に、暫定規制値が一応、緊急を要するということで、食品安全委員会の評価を受けずに決めたということで、3月20日時点で、食品安全委員会に諮問といいますか、食品健康影響評価を要請してございました。食品安全委員会から10月27日に評価書が通知されたということで、これらにつきましても、参考資料にお付けをしてございます。
 薬食審におきましては、先週、木曜日の部会におきまして、飲料水を含む食品中の放射性物質の基準値の案をお示しになって、これからパブリックコメントの募集の手続、そして4月1日の施行ということで準備を進めてございます。参考資料5、6、7にこれらの動きが載ってございますが、必要な場合に参照するといたしまして、この資料2をもちまして、中身の説明をさせていただきます。
 「3.水道水の新たな目標の設定対象核種」につきまして御説明をいたします。
 (1)が食品規格基準の方で、どのような規制対象核種になっているかというところでございます。東電福島第一原発事故直後の暫定規制値に代わりまして、来年4月以降の長期的な状況に対応するものであるということで、規格基準の新しい基準値を定めようとしております。したがいまして、半減期が長いことによりまして、長期的な影響を考慮しなければいけない放射性核種ということで、放射性セシウム以外に、ストロンチウム、ルテニウム、プルトニウムの同位体、これらの核種を規格基準の管理の対象としております。
 この際、ベータ線などを測定するストロンチウムを初めとした他の核種というのが、非常に測定に時間がかかるということもございまして、食品の方では、放射性セシウムとの比率を算出いたしまして、合計して、全体で年間の1mSvを超えないように基準値を決めるということにしております。
 また、放射性ヨウ素につきましては、半減期も短いということと、検出報告がないということで、規制の対象とはしないということであります。
 したがいまして、「(2)水道水の目標の設定対象核種」でございますけれども、同じく24年4月以降の長期的な状況に対応するということになりますと、食品と同様に、放射性セシウム、セシウム134と137の合計を対象として、目標を設定することとしたいと考えております。
 4が目標値でございます。新たな目標の設定でございますが、同様に、食品の飲料水に係る基準値について、まず御説明をいたします。
 食品の飲料水、こちらは、飲料水はすべての人が摂取し、代替が利かないものであるということ。そして量自体が、2L、2kgということで、大きいということ。そしてWHOが飲料水水質ガイドラインで、ガイダンスレベルを示しているということ。そして水道水中の放射性物質は厳格な管理が可能であるということで、他の食品とは独立の区分ということにされてございます。その上で、飲料水は約0.1 mSvに当たりますWHOの飲料水水質ガイドラインのガイダンスレベルを使うことといたしまして、セシウム134と137の合計で10 Bq/kgということにされたところでございます。
 3ページへ参りまして、水道水を検討するに当たりまして、飲用以外の利用に伴います被ばく線量について考察をいたしましたのが(2)でございます。水道水につきましては、御案内のとおり、飲用以外に、入浴だとか、手洗いで、浸されることによって被ばくするのではないか、また水道水から揮発して、それを吸い込んで被ばくするのではないか。こういう2つの曝露経路について考慮する必要があるかと思います。
 このうち、入浴による線量につきまして、これは環境省が、水浴場で50 Bq/Lという、放射性セシウムについて決めた指針がございますけれども、そのときに考えられた仮定と同じようにいたしまして、より影響の大きいセシウム134がすべてであると。実際には1対1に近い割合で放出されているわけでございますが、それがセシウム137はゼロで、セシウム134がすべてであるというふうに仮定をいたしまして、その濃度がぴったり10 Bq/kgだとしたときに、毎日30分、全身が浸されたとして、換算係数を用いますと、年間で0.0017 mSvぐらいということであります。
 手洗いは、恐らく入浴よりは、部位も小さいですし、時間も短いので、入浴よりも更に低いだろうと考えております。
 あと揮発については、放射性セシウムという物質そのものが揮発しづらい物質でございますので、これらの経路については想定しにくいということにしてございます。
 こうしたことを考えますと、特にこれらの飲用以外の水道水の利用による推定被ばく線量というものを考慮する必要はないのではないかということであります。
 (3)はその他の核種でございます。放射性セシウム以外の核種として、食品の方で検討いたしました結果として、ストロンチウム90について考慮してございます。
 ストロンチウム90が特に初期の淡水中濃度比というものを用いているわけですが、その他の核種に比べて大きいのですが、それでも0.02と、セシウム137に対して2%ぐらいだということでございました。ストロンチウム90のガイダンスレベルというものが、ストロンチウムと放射性セシウムは同じ10 Bq/Lを使ってございますので、2%が乗っても大きな影響はないのではないか。また、実際の環境中のデータで見た場合のストロンチウム90の最大濃度が0.018 Bq/kgと、非常に低い濃度にあるということであります。
 ということで、(4)でございますが、飲用以外の影響の話、それから放射性セシウム以外の核種の影響、それぞれ、いずれも小さいということでございますので、飲料水の基準値のセシウム134、137の合計の10 Bq/kgというのを水道水中の新しい目標としてはどうかということでございます。このうち、放射性セシウムにつきましては、濁度成分として原水中に流入している。そのほとんどが濁度成分であろうということ。そして濁質にとらわれた放射性セシウムにつきましては、水道の通常の浄水処理でございます凝沈ろ過という浄水処理過程で除去することが可能であろうということで、これの目標値というのは水道施設の濁度管理の目標値として、管理目標値という形で位置づけることが適当ではないかということであります。
 次のWHOのパラでございますけれども、飲料水水質ガイドラインにおきまして、単一の試料がガイダンスレベルを超過する場合、その濃度と同じ濃度が1年間継続する場合、その1年間の預託実効線量の個別線量基準でありますところの0.1 mSvを超過するとみなされるということ。そしてその超えた単一試料は、それ自体が飲用不適であることを意味するわけではないとしているところでございます。WHOの考え方に倣いまして、水道水質検査を評価するときには、単一の検査結果ではなくて、数回以上の検査結果により評価する必要があるというふうに結んでございます。
 「5.」の検出状況は、先ほど資料1で御説明申し上げたとおりでございまして、モニタリングは実施されていたということ、そして表流水、あるいは地下水の挙動につきましては、大気から沈着したものが混入して、当初は水面に直接落ちたものが高濃度で検出されたということでしょうけれども、その後につきましては、土壌あるいはその底質にくっついたものが粒子と一緒に流出、あるいは溶けて溶脱していくという形で取水地点に到達するということを想定しております。
 これまでの1都10県の検査結果、モニタリング結果につきましては、10 Bq/kgを超えて検出されているものはないということでございます。また、環境省や原子力災害現地対策本部などによりまして、警戒区域内も含めまして測定をされてございますが、先ほど御紹介した、一部の水域を除きましては、10 Bq/Lを超える放射能は検出されていない状況にございます。
 これらを踏まえまして、「6.」のモニタリング及び検査法につきましてまとめてございます。モニタリングの考え方でございますけれども、「今後、以下によりモニタリングすることが適当である」ということです。
 モニタリング方法といたしまして、まず、「ア.モニタリング結果の集積」でございます。これまでも重点区域につきましては、1週間に1回以上、測ってくださいと厚労省からも申し上げていたわけでございますけれども、これらについて、今後とも、十分な検出感度でのモニタリング結果と。つまり、福島県内はおおむね5だというふうに聴いてございますけれども、検出感度を随時上げていただきまして、モニタリング結果を集積するということが重要でございます。その結果、継続的に来年の春以降もモニタリングが必要であると判断される場合には、この集積結果で、どの地点で、どのような頻度で検査をするのかということを、事業体の定めます水質検査計画の中に位置づけるということにしたいと思っております。
 「イ.対象項目」でございます。セシウム134と137のみということであります。
 5ページへ参りまして、「ウ.検査対象試料」でございます。これは水道水源から入ってまいりますので、浄水と原水ということを検査対象試料といたします。
 検査頻度でありますけれども、年間の被ばく量ということが基になってございますので、原則として1か月1回ということでございますが、ただしということで、表流水、あるいは表流水の影響を受ける地下水を利用する水道事業者等、これまでも言っていたところでございますけれども、そちらについては1週間以上を目途に検査をするということ。そして濁度が高い時期にも、管理目標値を十分下回っているということを確認してから、初めて、1か月1回以上の検査とする必要があるということであります。
 また逆に、もっと頻度を上げるべき。先ほど、森口先生から御質問もあったかと思いますが、高い恐れのある地域もございますので、そちらについては、これに限らず、必要に応じて検査頻度を高める必要があると考えております。また、減らす際の考え方でございますけれども、これは十分な検出感度による水質検査を行っても、3か月連続して出てこないというようなときには、以降の検査は3か月に1回に減じてよいのではないかということを書いてございます
 更に「オ.」が頻度と地点を減ずる場合ですけれども、多少繰り返しになりますが、濁度が高い時期の原水、それから水道水の水質検査結果が管理目標値を十分下回っているということ、あるいは先ほども御紹介したように、浄水発生土中の放射性セシウム濃度を測って、その結果から原水の濃度を推計したときのオーダーが十分低いのではないかというようなときについては、頻度だとか地点を、更に減ずることができるというふうにしております。
 また、これは現在のモニタリング方針にも書いてある考え方でございますが、流域単位のモニタリングということで、流域単位で代表性があるところで、原水が測れているということであれば、ほかの地域も代表できるというふうに考えて、更に減ずるということであります。用水供給のデータを受水団体が使うということは当然かと思います。
 以上がモニタリングの方法ということでありまして、(2)が検査方法でありますが、これは10月にまとめていただきました「水道水等の放射能測定マニュアル」によることとします。そのときに原則として、ゲルマニウム半導体検出器を用いるということでございまして、検出限界値1Bq/kgを確保することを目標としたいということであります。それぞれでございますので、足すというのか、1Bq/kgと1Bq/kgだと2Bq/kgということになろうかと思いますが、このような考え方であります。
 (3)は体制の確保ということで、先ほど御説明いたしました聴取調査の結果、1Bq/kgを測ろうということになりますと、容器を自動的に測定できるU-8からマリネリに変えなきゃいけないとか、あるいは長くしなきゃいけないということがございますので、その場合には、適宜、地点を削減することによって、必要な検査体制を確保することが適当であるということであります。
 (4)のとりまとめにつきましては、引き続き、全国の検査結果を厚労省において集約をして、検出限界値とともに公表したいと考えております。
 「7.」が、では測った結果、管理目標値を超えた場合、どうするかということであります。
 WHOの考え方を御紹介させていただきますと、これは飲料水水質ガイドラインの中で、参考資料8にも付けてございますけれども、超過したときに、追加して試料採取を行うなど、更に調査する必要があるということを示すものであって、超過ということは、そういう調査の必要性というものであるということにしてございまして、検討の上、必要に応じて線量を低減させるための防除対策を取るというのがWHOの考え方でございます。
 日本の場合には、当初は除去できなかったイオン状のもの、この図は「中間とりまとめ」の中から持ってきたわけでございますが、イオンの形態で入ってきて除去できなかったものが、水道水に入ってきたということでございますが、現在は環境水中でも、濁度成分と一緒に、土壌なり、濁質なりにくっついているということでございますので、恐らく浄水処理のところで、凝集沈殿等ろ過によって除去できるだろう。それでも超えるということは、浄水能力を超えていたり、非常に高い濁度で入ってくるとか、あるいは溶存態が多いとか、そういうことが考えられるわけであります。それが、もし長期間超えていくということになりますと、その機能が損なわれて、改修に時間がかかるようなケースというのが、長期間超えるということではなかろうかということでございます。
 これらの前提でもちまして、対応を以下(1)以降にまとめております。
 (1)は、1回超えた場合でございますけれども、管理目標値を超えたときには、すぐに浄水と原水の放射能濃度だとか、あるいは濁度を検査して、そしてろ過設備の運転がしっかりしているかということを確認いたしまして、これらによりまして、超過原因の究明を行うということが、まず第一であります。再検査をしたり、あるいは濁質の除去性能の確認をする、除去機能の確認をするということで、必要があれば、周知をして、また、給水車だとか、飲料水の手配をするということが超えた場合であります。
 (2)が、超えた状態が継続する場合ということでございます。これはWHOの考え方でございますが、超過すること自体が不適であるということを意味しない。ただし、1回の検査であっても、著しく上回るなど、年間の被ばく線量が0.1 mSvを超える、あるいは点検整備や複数回の検査でも、なお継続して管理目標値を超えるだとか、そういう、今後も長期間超えるということが見込まれる場合につきましては、水道水の安全・安心に万全を期すという考え方から、他の水源への振り替えだとか、摂取制限という措置を講じているということ、そしてそのことを周知してという措置を取る必要があろうかと思っています。この場合に、浄水場の系統が異なるときには、給水区域ごとに措置を講ずるというのは当然かと思います。
 (3)が周知の考え方でございます。テレビ、ラジオ、広報誌などを使いまして、容易に情報を入手できる形で広報していくということ。
 (4)の解除の目安でございますけれども、原因が不明の場合はどうにもなりませんが、原因がわかっていて、実際に、もう回復したということが確認できているのであれば、そしてその監視体制ができたということであれば、初めて摂取制限をした場合の解除というものが可能であるというのが目安であります。
 (5)の根拠法令ということで、参照情報を下に付けてございますけれども、水道法の22条で、衛生上の措置というものがございます。また23条には、給水の緊急停止というものがございます。ろ過機能が損なわれている場合に、その機能を復旧させるということについては、22条に該当するものとして、また、濁度が超えたりして、給水停止をしなければならないという場合には、23条の1項を根拠として、措置をすることとしたいと思っております。
 ただ、これらはあくまでも平常時でございますので、緊急事態宣言が発令されているときには、現在、3月19日、21日の指標等と同様に、原対本部の指示なり、厚労省からの要請で摂取制限を行うということは書いてございません。
 最後の8ページでございます。「その他」ということで、専用水道、一般用井戸の取扱いについてでございます。専用水道については、多くは地下水を使っていると思いますが、検査をして、検査結果を超えたときには、継続的に供給する施設でございますので、水道事業者に準じて措置を取っていただきたいということであります。
 また、一般用井戸で、地下水は余り超えていないのですけれども、超えたときには、それは濁質なりが入っているということが疑われますので、これは飲用しないことが望ましいという考え方であります。
 あとは緊急事態における措置は、また大規模な放出が起きたとき、現在は冷温停止状態等の宣言がなされておるわけでございますが、万が一ということには、従前のモニタリング方針を使うということ。それから食品と同様に、4月1日をもって施行と言いますか、適用するということを、その他にまとめさせていただきました。
 以上が資料2の御説明でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、御質問や御意見、どうぞお出しください。いかがでしょうか。
 確認ですが、今日議論をして、まとまれば、パブコメを出して、パブコメに対する対応を議論した上で、先回と同じように、水道課長通知で対応するということでよろしいでしょうか。

○尾川水道水質管理官
 こちらはモニタリング方針のときと同様に、生活環境水道部会、こちらの方へ報告をした後ということになります。
 それから、並行いたしまして、文科省の放射線審議会に、これは技術上の基準を決めるということになりますので、これを諮問いたします。

○眞柄座長
 わかりました。では、そういう前提で。どうぞ、大原先生。

○大原構成員
 いずれも質問なのですが、2、3、お尋ねしたいと思います。
 1つは3ページ目のストロンチウム90のところです。ちょっとこれを読んでいるだけでは、根拠資料がよくわかりませんので、もう少し詳しく根拠とされたデータをお示しいただけないでしょうかというのが1つ。
 2つ目は、5ページ目の上から10行目ぐらいのところです。「放射性セシウムが大量に沈着している」云々かんぬん、「必要に応じて検査頻度を高める」というところですけれども、ここは具体的に、ではどうするのと。どうするのというのは、「大量に沈着している地域」、あるいは「水道水源に到達するおそれがある」云々かんぬんという辺りを、どうやって特定するのか、見極めるのかという話。この辺の具体的なところを、もし何か考えておられるのでしたら教えてください。
 それから最後の8ページ目、上から10行目ぐらいのところに、「従前のモニタリング方針」とあるのですが、申し訳ございません、勉強不足で済みませんが、「従前のモニタリング方針」というのは具体的に何なのでしょうか。
 この3点を教えてください。

○尾川水道水質管理官
 では、順繰りに。ストロンチウムの件は、詳しい資料が参考資料7にございます。まず22ページの表7をご覧いただきたいのですけれども、文章では中に説明してあるのですが、私の方から御説明いたしますと、表7をご覧いただくと、今回の管理対象の核種につきまして、半減期と、あと土壌中の濃度比、それから淡水中の濃度比でもって、まず整理をしております。飲料水については、これは土壌ではなくて、一番右の3月の時点に、最初に放出されたとき、それが初期でございますが、初期の淡水中の濃度比というものをまず置いております。セシウム137を1としてございますので、これでご覧いただくと、ストロンチウム以外については10のマイナス4乗ですとか、10のマイナス6乗、7乗ということで、非常に小さいものであるということで、ストロンチウムは2%が存在したとして、どれくらい影響があるかということを確認しております。
 確認の方法でございます。23~24ページ、これはまとまった表がないのですが、2%存在し、半減期なども考慮した数字でございますが、それぞれの表の中に、飲料水摂取による線量、mSv/yというのがあろうかと思います。この表は、表8-1が1歳未満、表8-2が1-6歳、男、女ということで、男女、年齢別、それから最後に表8-10は妊婦さんでございますけれども、それぞれの群に対しまして、仮に放射性セシウムが10Bq/kgであって、同じ割合の2%のストロンチウムが入った場合、どれくらいの線量になるかということを計算したものでございます。一番高いのが13歳から18歳、表8-6、8-7の男女の辺りの1年後、2年後というところでございます。これをご覧いただくと、約0.12 mSv/yということでございますけれども、おおむね0.1 mSv/yの中におさまっている。ほかのところについては、0.1 mSv/yよりもかなり低いということであります。
 ということで、食品の方では、こうした形で、ストロンチウムだけではないのですが、その他の核種も含めて考慮したということであります。
 そして、実際の濃度がどうなっているかということで、16ページの図5に書いてございます。これが0.02という初期濃度比に対しまして、実際の測定値がどうなっているかということでありますが、現実の河川水中のストロンチウムの値というのは、セシウム137の0.02倍よりも低いところに測定値が入っているということであります。以上をもって、ストロンチウムについて、あえて考慮しなくてよいのではないかということであります。
 2番目の御質問でございますけれども、5ページの上から10行目にございます検査頻度の中で、特に高いところをどう考えるかということであります。これにつきましては、既に福島県内は、現在も毎日調査をやっているところが多うございます。これらについて、1週間よりも更に頻度を高めるということでございまして、このエリアについては、1週間に1遍、1か月に1遍、3か月ということではなく、高い頻度で測定もされておりますし、それについて、ここでも書いたということであります。
 それから、従前のモニタリング方針は、参考資料2にお付けしているものでございます。参考資料2は本検討会の6月の中間とりまとめの後、6月30日に、当方で数値を改正する形で世の中にお示ししたものが、従前のモニタリング方針ということであります。これは大規模放出直後の事態を想定したものでありまして、放射性セシウムで言うと200 Bq/kgに対応したものは、この方針ということであります。
 御質問に対するお答えは以上でございます。

○眞柄座長
 どうぞ。

○大原構成員
 済みません、1点だけ確認させてください。参考資料7の16ページ目、ストロンチウム90とセシウム137の比率のデータですけれども、これは具体的にはどこの地域のデータでしょうか。多分、地域によって大分、この比率が違うのではないかと予想されるので、そこの辺りをちょっと教えてください。

○尾川水道水質管理官
 参考資料7の4ページに書いてございますが、文科省が、6月から8月に福島県内で行った検査結果をそのままプロットしておると聴いております。福島県内の河川であります。

○眞柄座長
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、森口先生。

○森口構成員
 済みません、3点ございます。
 1点目は4ページ目のモニタリングでありまして、これは資料1の方でもお尋ねすべきだったかと思うのですけれども、福島県及び近隣の10都県が書かれておりまして、これは放射性物質汚染対処特措法の施行規則にも、たしか県名が明記されていたので、多分それと整合しているのではないかと思うのですけれども、一方で特措法の汚染状況重点調査地域ですか、この8県とは実は必ずしも同一ではないわけですね。例えば除染の対象となる汚染状況重点調査地域については、岩手県が含まれていますし、一方で、ここで列記されている中で言えば、山形県、東京都、神奈川県、新潟県は含まれていないという関係にあるわけです。
 その辺り、当然、多少意味合いが違うということはありますし、実は下水道の方も微妙に対象都県が違うということがありますけれども、これについては、この対象とする都県の範囲の見直しというのを、今回のタイミングで、何らかの形で検討された上で、これを維持されたのか、それともこれまでのモニタリング対象を踏襲したのか、当初、なぜこの10都県だったかということは、私も記憶が定かではないところがあるのですけれども、その辺りの不整合がないかどうかについてが1点目でございます。
 2点目は、大原委員から御質問のあった2点目のところにも関係するのですが、5ページの検査頻度のところで、「土壌粒子が水道水源に到達するおそれのある水道事業者等については」ということに関して、除染に伴う公共用水域への放射性セシウムの流入ということが、現実にはあり得るのではないか。除染の方のマニュアルづくりの方の検討会にも、直接のワーキングには関わっていないのですが、そこでも気になっているのは、除染サイドでも、なるべくその水は回収するということは言っているわけですけれども、これを徹底するということは非常にコストもかかるので、なかなか難しい。現実には、公共用水域へ放流しても、除染に伴う放流以外にも、いずれにしても自然流下によって、河川には流れてくるのだから、なかなか除染のところだけコントロールし切れないのじゃないか、こういう意見も一方ではあります。
 さはさりながら、積極的な除染活動によって、公共用水域に新たに放出される可能性があるという状況の下で言えば、先ほど申し上げた1点目の、除染が積極的に行われる可能性のある県とは、やはり一致をしていないと、カバーしている範囲が広いのはいいんですけれども、具体的には、重点調査地域に入っていながらここに入っていない自治体に関して、そこの監視がおろそかにならいかどうか、そこのところがちょっと気になりました。
 これは前半部の議論で、眞柄先生からも御指摘があったように、あえて今日は水に限りますけれども、河川水全体に関して、今、日本のどこの役所がどこまでこの問題に関して管理しているのかということは、非常にあいまいになっているのではないかなという気がするんです。除染する放流先、それから下水道であれば、下水道でやる、水道であれば、その取水源であれば対応されるということだと思うのですけれども、具体的にその河川を、利水という目的から見て、どう管理していくのか。これはどちらかというと国交省さんの話になるのかもしれませんけれども、そこのところ、どういう考え方を適用していくのか。これはこの場だけにはおさまらない話かもしれませんけれども、2点目に関わる点でございますので、発言をさせていただきました。
 3点目は、最後に御説明のあった、この後の手続の話です。放射線審議会の方にもお諮りになるということであります。これもちょっとここだけにはおさまらない話かもしれませんが、せっかくこの検討会には、食品の方の基準設定に関わられておられます浅見委員もいらっしゃいますし、それから放射線審議会委員の桝本先生もいらっしゃいますので、あえてお聴きするのですけれども、個別にそれぞれの基準が出てきて、放射線審議会に諮られると、これはやはり、よほどのことがない限り、なかなかノーという答えは出てこないのだと思うんですけれども、個別に諮られ、個別に各省から出てくる基準が、レベルの高い低いというのが本当にそろっているのかどうかということに関して、やはり放射線管理の立場の専門家の方々から、そこのところがそろっていないのではないかという御意見があるように私は感じております。
 基本的には、より厳しくされる方向なので、1mSv/yというのは、あちこちであって、合算すると超えてしまうのじゃないかという、この議論はどちらかというとクリアーされつつあるとは思うのですけれども、一方で、非常に厳しい基準と、そうではない基準が混在するということによって、トータルとして見れば、必ずしも費用対効果が一番いいところに落ちつかないのではないか、こういう議論があるように思うのです。これは手続論として、ここだけで議論し尽くせる話ではとてもないと思うのですけれども、ちょっとそういったところも感じておりますので、あえて、それについても発言をさせていただきました。
 以上、3点でございます。

○眞柄座長
 よろしいですか。どうぞ。

○尾川水道水質管理官
 1点目と2点目、関連いたしますのでお答えいたします。
 まさに御指摘のとおり、水道水源の上流域で、水を使った除染活動があるということは、そこに付着している放射性物質が混入し得るというところでございますので、条項としては、こちらの方へ、必要に応じて検査頻度を高めるというところに入っていくと思います。どこへ通知するかということになりますので、ただ、事実関係として、これまで重点地域について情報を集めておりましたので、そのエリアでの結果について、ここでは御紹介しておりますけれども、通知の際には留意をしていきたいと思っております。
 3番目の件は、私はお答えしづらいのですけれども、今回の飲料水ということであれば、食品とは十分に連絡を取っておりますけれども、排水ですとか、水全体ということになりますと、放射線審議会の場でも諮問させていただきますけれども、そうした調整が必要になってくるかとは考えております。

○眞柄座長
 ほかにいかがですか。古米先生どうぞ。

○古米構成員
 今回の検討する材料としては、6月に改定された、「今後の水道水の放射性物質モニタリング方針について」というところで、一応、検査頻度は1週間に1回以上をめどにするとか、雨が降ったときには頻度を高めるといったものを、今の長い間のデータ状況から判断して、1か月に1回程度に下げるということと、引き続き頻度を高くしなくてはいけないところもあるということを提示しながら、1か月1回として、3回十分低いということが確定できると、更に1か月から、3か月に1回に低減できる。それによって、より高度な、精度の高い分析もできるようにするというようなシナリオで整理されているように私は理解しました。
 その際に、この話自身は、既に1週間に1回測っていたり、データがあって、先ほどの御紹介があったように、既に、1か月間隔だとしても、3か月以上、低いデータが続いている結果を持っている事業体はたくさんあって、それをさかのぼって、これが適用されるのか、これが改めて出ていく時点から、3か月連続してというように読むのか、そこら辺はどのような立場になるのでしょうか。

○眞柄座長
 古米先生、6月のときは200 Bq/kgだったのです。今度は0.1 mSvになるわけですから、10 Bq/kgになるわけですから、10 Bq/kgになるということは、200 Bq/kgで言えば、もっと多かったはずだなと。そのままで推移すれば。でも今度10 Bq/kgになるのだから、10 Bq/kgを更に超えていないような状況であれば、今度の、今日提出されている見直しの測定方法に基づいて行おうという考え方だと思う。

○古米構成員
 ただ、分析結果としては、10 Bq/kg以下のデータがたまっていること自身には変わりはないですね。ただし、前の考え方とは基本的に違っているので、これを新たに適用した時点から考えるというように理解すればよろしいのでしょうか。

○眞柄座長
 と思うのだけれども、どう。

○尾川水道水質管理官
 現在見ますと、既に1Bq/kg以下という高い検出感度でやっているところもあります。これまでモニタリング方針では、原則1週間に1回以上と言っておりますので、その蓄積の結果があって、十分だということであれば、順番といたしましては、1か月になりますし、3か月になっていくという考え方であります。改めて今回定めるということなので、それで改めてということになります。

○眞柄座長
 ほかにありますか。私はWHOのガイドラインの策定グループのメンバーでありますので、あえて一言申し上げます。年間0.1 mSvというときの議論をしたときには、ほかの化学物質等で、食品と水と、曝露の寄与率がわからない場合には、水の方の曝露量を保守的にというか、コンサーバティブに考えて、一日耐用摂取量の10%を水に適用するというようにして化学物質でのガイドライン値を審議してきました。それで放射性物質についても、その流れの中で、0.1 mSvにしましょうというふうにやってきたわけです。そういう意味では、そのときのディスカッションしたメンバーも議論していたのですが、水道にとって0.1 mSvというのは厳し過ぎるのではないかという議論があったことだけ、言わせてください。
 その上で、0.1 mSvになったときに、前の測定のマニュアルのときに、最終場所は浄水場の出口か、中か、蛇口か、3つ併記してあるのです。今回もやはり3つ併記されるのか、あるいは先ほど古米先生がおっしゃった、あるいは先ほどから御紹介なさっている昨今のデータを見ると、蛇口だけでもいいのではないかなと、私はそういうふうに思えたのですが、そういうところ、採水場所の詳しいところまで、今までと同じような判断でするのかというのが1つです。
 もう一点は、今の水道法でもそういうふうに書いてありますが、23条の給水の緊急停止事項であります。23条の「水道事業者は、その供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに給水を停止し」と書いてあります。「直ちに」という給水停止の判断は、今までの厚労省の判断は、残留塩素が検出されなかったときが、直ちに給水停止の1つの要件になるというふうにされていたと私は理解をしているのですが、この放射性物質の場合の、直ちに給水を停止する理由というか要件は、平均で言って10 Bq/kg云々という話が、このペーパーの中に入っているのですが、直ちにというのは、給水停止条件はどこで、あるいは今後、どういうふうにして設定されようとしているのか、お話ししていただけませんか。

○尾川水道水質管理官
 まず、採水場所の考え方でございます。現在の、つまり6月30日に見直したモニタリング方針のときに、それまでは蛇口がメーンだったのですけれども、代表性ということも考えて、浄水場出口の方へシフトしていったという経緯があると承知をしております。今回も同じような考え方、勿論、水道法でありますので、すべての蛇口においてというのを、どこで保証するかということかと思いますけれども、放射性物質が原水中から入ってくるということであれば、なるべく上手、上手の方でチェックをしようということで、浄水と、更に今回は原水を併記で書いております。
 それから23条の件は、7ページの文章にも書きましたけれども、先ほど、眞柄先生から塩素ということもございましたが、今回は、濁度成分等ということを言っております。濁質がきちんと除去できない場合に、特に放射性セシウムなりの超える蓋然性が高いだろうということで、数字で申し上げると濁度2度という基準もございますので、それを超えている場合には、そういう要件に当てはまるのではないかというふうに考えております。

○眞柄座長
 浄水場の出口で2度。

○尾川水道水質管理官
 浄水場の出口です。

○眞柄座長
 浅見先生、それでいいですか。

○浅見構成員
 恐れ入ります。当初、3月から6月のころは、非常に消費者の方といいますか、利用者の方々の一番近いところというような形で、給水栓のデータが多かったと思うのですけれども、これまでの知見で、配水過程での変化というものがほとんどないということと、あとは放射性セシウムに関しまして、半減期も長いということもありまして、浄水場の出口の値を中心にされた方がいいのかなというところは、そうではないかなと思います。
 あとは同じように給水停止のところなのですけれども、これは確かに、「直ちに」というところを、それこそ直ちに適用するのではなく、長期的な摂取を前提に計算された値だということもあるので、何回かのデータを取ってということで評価をするのかなというのは、私もちょっと気になっておるところですので、わかりやすく、でも、よほどのことがないと、そういう状態ではなくなるかなというところもありますので、状況に応じて、これを適用するかどうかというところを決めていただいた方がいいのかなと思います。
 といいますのも、長期的な摂取を目標にしてつくられたもので給水停止をしてしまうと、衛生状態が非常に悪化したり、トイレに行けなくなってしまったり、すべてのことが止まってしまうということもありますので、その辺も考慮して、状況を見て、23条の適用にすべきかどうかというところは、ケース・バイ・ケースで判断されるということもあり得るのではないかなと思っております。

○眞柄座長
 あえて申し上げますけれども、給水停止をしますと、今の水道管というか、配水管の現状から見ると、すぐ残留塩素がなくなってしまって、なおかつパイプの中が、すぐ還元状態になってしまって、給水停止の前に塩素を例えば2ppm入れていて、残留塩素が0.2 ppmで出た。給水停止をして、給水を戻そうとすると、2ppmではとっても追いつかないのです。20 ppmも30 ppmも、要するにパイプの内面が還元状態になっているので、その還元状態の落ち込んだ部分を酸化状態に戻してあげてやるというのは大変なのです。
 そういうことから言うと、そういう状況が続くというのは、浅見先生が言われたように、水道水のほかの効用が失われることによる、公衆衛生への悪影響ばかりじゃなくて、更にそれが長く続いて、水道施設そのものが存在しきれなくなるような状況にもなってしまう。これは震災等で断水したとき、そういうことが頻繁に起きるわけです。
 そういう意味では、この辺のところは将来的に、多分、水道事業体から質問等が出てくる可能性も高いところでありますので、よろしく御検討をいただきたいと思います。
 それから、もう一点ですが、水道事業体が自分の水質試験のところで測定する場合はいいのですが、実際は委託をしている場合が多いので、そのデータの評価をする上で、どれくらいの採水をして、測定をして、事業体に結果が戻ってくるような、そんなようなところも、この文章とは別でしょうけれども、どこかQ&Aか何かで工夫をしていただければありがたいと思います。現に測っておられるところも、多数の試料が来てはなかなか測れないので、断るにも、断れる理由がやはり欲しいというようなことを言っておられるところもあります。その辺のところも少しお考えをいただきたいと思います。
 ほかに何かございますか、ほかの先生方で。いかがでしょうか。
 欅田先生、何かございますか。

○欅田構成員
 非常に厳しい基準をつくっていただいて、安心も得られると思うのですけれども、やはり今の現状の中で、数値を出していくときに、それでもやはり理解できないということで、非常にまた厳しく、もっと下げてほしいというふうな声も出てくることがありますので、その辺に関しては、ここに書いていただいている文面はこのままでいいと思うのですけれども、発表するときに、その辺のコミュニケーションを上手に、また気をつけて出していただくということが大事になってくるのかなと。今の状況の中で、これは各ステージにおいて、それぞれ適正化のバランスを取って、6月の基準、今回の基準という形でつくっていただいている。委員の方は皆さん、そういう背景で見ていただいていると思うのですけれども、一般に出すとき、そういった状況については、丁寧な説明が必要かなと思いました。

○眞柄座長
 桝本先生、測定法上の何か問題点か御意見がありましたら、お話しいただけますか。

○桝本構成員
 分析する側は、感度が示されれば、その感度に従って、分析表をつくるということしかありませんので、それ以上のことは言えないと思います。
 ただ、現状では、私どものところでも、本当はないと思うのですけれども、計算上、1Bq/kgというのは結構難しい状況ではあります。というのは、バックグラウンドが既にありますので、その差っ引きをやらなくてはならないというところで誤差が伝播しますので、そういった微量のもの同士を引いて真値を出すというときに、更に誤差が大きくなるということがあります。
 今、私どもも避難解除区域の井戸水を、各家庭からいただいて、かなりの数の測定を続けておりますけれども、検出限界以下という状況なのです。その場合には、試料水を多くくださいと言っても、結局、採取機関の方、環境省がまとめておられるのですが、500 mLのこれで送ってきます。2Lくれと言ってもこれで来ますので、測定時間を今、1万秒とか、そのぐらいに延ばすとかしながらも、まだ感度1Bq/kgというのはかなり難しいという状況でやっております。

○眞柄座長
 ありがとうございます。
 朝長先生、どうぞひとつお願いします。

○朝長構成員
 先ほどWHOの基準と一致するようになったというところで、0.1 mSv、年間ですね。これはやはり、食品の1つとしての寄与度も考慮してというお話がありましたけれども、もっと長期にこれをずっと飲んでいった場合には、やはり例の発がんレベルの100 mSvというものが、ある程度想定されて、議論されているのでしょうか。それはいかがでしょうか。

○尾川水道水質管理官
 考え方は、食品安全委員会からの100 mSvがありまして、食品として、飲料水だけではなくて、食品全体で年間1mSvというのをまず決めて、食品の方では、水道をまず先取りをして、水道が0.1 mSvあったとした場合に、残りの食品で0.9 mSvを超えないように確認をするという考え方を取っております。計算では、0.7 mSvだったか0.8 mSvぐらいに、全体でおさまるようになっている。あくまでも食品として1mSvというのがまずありきであって、その中で、WHOが使っている0.1 mSvを水に当てはめるということであります。

○朝長構成員
 その100 mSv、生涯というのが、ちょっといつも気にかかっているのですけれども、いわゆる原爆の場合の100 mSvというのは瞬間被爆ですね、全身ですね。それをどのくらい分割して、毎日受けていったときに、トータルで100 mSvになったときに、本当に意味があるかということで、いつも疑問に感じているのですけれども、そういうデータというのがないわけですね、極端に言いますと。WHOなんかは、そこら辺は議論はされたのでしょうか。

○眞柄座長
 記憶間違いでなければ。もし間違っていれば、後から修正していただきますけれども、およそ0.1 mSv、毎年です。生涯の発がんのリスク10のマイナス5乗に近いというところで議論した覚えがあります。10のマイナス5乗に近いところというのは、環境中の発がん物質の生涯リスクを10のマイナス5乗ぐらいでガイドラインレベルを示そうというのを1つの約束として、ずっとやってきましたから、放射線、放射能についても、それと大きく乖離しないようなところでやろうじゃないかと。ただ、我々、化学物質関係の人間が議論しているわけですけれども、実際に作業自体はICRPの方々につくっていただいたものでございますので、ICRPの方が、そういう考え方の下でも、そんなに違わないというようなことをミーティングで説明をされていたというふうに覚えています。

○朝長構成員
 ありがとうございました。それで、今度の新たな基準というのは、暫定基準という、これまでのは勿論廃止されまして、もし新たな事象がここで起こったときは、これで行くわけですね。違うのですね。そこを確認して。

○尾川水道水質管理官
 WHOの参考資料の8をご覧いただければと思います。
 1ページ目の数式の上のところに、「ガイダンスレベルは、既存又は新規の」というパラがございますけれども、一応ルーチン、またはノーマルな状態での運転条件に、このガイダンスレベルは適用されるということであります。このガイダンスレベルが適用されている範囲というのは、緊急時被ばくのようなものは除いているということでありまして、WHOでは「一度担当官署が緊急時被ばく状況の終息を宣言」したときに、「ガイダンスレベルは再び適用される」ものであるということであります。したがいまして、大規模放出の場合に、これを適用するということではなく。

○朝長構成員
 じゃないわけだ。

○尾川水道水質管理官
 おさまったときには、これでやりましょうということであります。

○朝長構成員
 わかりました。

○眞柄座長
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、特にこれ以上御意見もございませんので、一応、原案どおり、主要な見直しについてということを、この検討会の結論といたしたいと思います。
 それでは最後、もう一つ議題がございまして、「その他」ということで、事務局から説明してください。

○名倉水道課長補佐
 資料3に従いまして、浄水発生土の保管と処理の状況について、御報告させていただきます。
 資料3の1枚目の下の方、2ページ目に書いておりますけれども、放射性物質を含む浄水発生土につきましては、6月に通知が出されまして、その中で、10万Bq/kg超の場合、それから10万Bq/kg以下の場合、8,000 Bq/kg以下の場合というふうに、濃度によって取扱いに違いがあるというようなことを通知しております。
 一番下、100 Bq/kg以下につきましては、これは再利用する場合に、再利用したものの濃度として100 Bq/kg以下ということですので、必ずしも浄水発生土として100 Bq/kg以下ということではないのですけれども、一応、便宜的に100 Bq以下/kgというふうに書いております。
 こうした濃度で整理しましたものが、めくっていただきまして、上の方の3ページ目、「放射性物質濃度の状況?」というもので、これは12月9日時点でとりまとめたものでございます。
 それぞれ10万Bq/kg超、それから10万~8,000 Bq/kg、8,000~100 Bq/kg超、100 Bq/kg以下ということで、各県ごとにまとめております。これらを合計しますと、23万8,901 tということで、前回この会合で、9月9日時点のものを報告させていただいたときには、測ったものが12万9,000 tぐらいだったのですけれども、その倍ぐらいになっているということでございます。未測定保管も3万4,000 tぐらいありまして、これは前と大体同じぐらいの量なのですけれども、そういう量になっております。
 濃度別にいきますと、10万Bq/kg超のものはございませんで、10万Bq/kg以下で8,000 Bq/kgというのが下にありますように1%ぐらい、それから8,000~100 Bq/kgというのが68%ぐらい、100 Bq/kg以下が31%というような状況になっております。
 その下、4ページでございます。上の方は累積になるのですけれども、下の方はそれぞれの時点ごとに、直近のものについて整理したものでございます。最初は7月12日に集計したもので、それぞれの浄水場からのデータの直近のものについて調べたところ、100 Bq/kg以下のものが55%ぐらい、100~1,000 Bq/kgが17%、1,000~2,000 Bq/kgが4%、2,000~4,000 Bq/kgが6%、4,000~8,000 Bq/kgが15%、8,000 Bq/kg超が4%という状況でございました。
 12月9日に集計したもので、その時の直近のデータを見ていきますと、それぞれ100 Bq/kg以下が59%、100~1,000 Bq/kgが29%、1,000~2,000 Bq/kgが7%、2、000~4,000 Bq/kgが3%、4,000~8,000 Bq/kgが1%、8,000 Bq/kg超が1%ということで、先ほど、東京都の浄水発生土のデータの推移がございましたけれども、大体全体的に、濃度は変化しながらも下がっているというようなことが、こうしたことからもわかるかと思います。
 それから、処分の状況でございます。その次の5ページでございますけれども、保管されているもの、最終処分場に仮置きされているもの、最終処分されているもの、再利用、その用途ごとに示しております。保管されているものが10万6,000 t、最終処分されているものが6万7,000 t、セメント原料が2万1,000 t、建設改良土が3万9,000 t、農土・園芸用土が4万6,000 t、その他が315 tということになっております。
 それぞれ、濃度と処分の状況について、各毎月ごとのデータで整理したものが、その下の6ページ目で、縦の棒グラフにしております。それぞれ、その時点で、これは累積で書いておりますけれども、濃度10万Bq/kg超はございませんのでゼロですが、8,000~10万Bq/kg、100~8,000 Bq/kg、100 Bq/kg以下というのをそれぞれ図にしております。
 処分の方につきましても、6ページ目の右の棒グラフになりますけれども、保管の量も、最近はちょっと横向き、大分鈍化しているのですけれども、まだ伸びているという状況でございます。仮置きはございませんで、最終処分の量が大分増えてきておりますし、再利用についても少しずつ増えてきているというような状況でございます。
 浄水発生土につきましては、7ページ目で書いておりますけれども、特措法が制定されております。この中では、放射性物質により汚染された廃棄物の処理、真ん中左の方でございますけれども、ある一定の基準のものについては指定を受けるということで、それは国が実施するということになっておりますけれども、先般、環境省令が出されまして、この指定を受ける基準としましては、8,000 Bq/kgというところで基準が設けられております。また、それぞれ処理・処分する際の基準も併せて示されているところでございます。
 したがいまして、それ以上のものについては、国の方で実施するということになりますけれども、それ以下のものについては、それぞれまだ、事業体の方で持っていただいており、処分を進めていただかないといけないということになっております。
 資料3につきまして、以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。今の御説明について、御質問や御意見ございますか。森口先生どうぞ。

○森口構成員
 ちょっと細かい確認で教えていただきたいのですけれども、未測定保管という扱いなのですが、これは最初に未測定のまま保管したという扱いのものを挙げておられて、現在、この量が保管されているというわけではないという理解でよろしいかどうか。
 というのは、3枚目のスライドを拝見しますと、神奈川県で未測定保管量が4,331tとあって、5枚目では神奈川県の現在の保管量2,674tという数字があるのですね。それを整合性のある説明を考えようとすると、一旦、測らないまま保管という実施をしたのだけれども、その後測ってみたら、こうだったのでどうしたということかなと考えたのですね。
 それが正しいとすれば、お尋ねしたいことは、現在保管されている10万6,000 tですか、これは正しいのですね。これは累積ではなく、現在の、現時点での保管量ということでよろしいでしょうか。これの下水汚泥の方が、ちょっと古い数字ですけれども、6万数千tだったと思いますが、ちょっとこちらの方が多いということで、3ページのスライドを拝見すると、100 Bq/kg以下のものも結構あるので、今でも非常に低いものも保管されているというような現状があるのかどうか。
 と申しますのは、恐らくここの中で言うと比較的低い神奈川県でも、表層土壌の、普通の一般地域の土壌がこのぐらいありますので、そういう地域で、これと同等のものを保管しているということが一体どういう意味を持つのかということに関して、これはもう少しちゃんと説明をしていかないと非常におかしなことが起きている。何かどこかの施設で出た高いものだけを保管しなきゃいけないという話になっているとすると、非常にバランスを欠いたことをやっているような気がいたしますので、そういうことはさすがにないのかどうか。ほかの県でも結構なのですが、100 Bq/kg以下のものでも、今でも保管している実態があるかどうかだけでもお教えいただければと思います。

○名倉水道課長補佐
 まず、3ページ目の未測定保管につきましては、まだ測定をしていないという状況ですので、ものとしては、どんどん変わっている。測定待ちのような状態になっているものでございます。
 一方で、5ページの方の保管につきましては、これは測定したけれども保管しているというものになりますので、処分先が未定である、もしくは処分先は決まっているけれども、まだ搬出前の状態でデータを集めたので、保管というところに整理しているというような扱いのものでございます。

○眞柄座長
 ほかでは。

○名倉水道課長補佐
 そうですね。濃度が低いものにつきましても、場合によって保管しているものはあるというふうに考えております。

○眞柄座長
 ほかはいかがでしょうか。結局、最終処分場の行き先を確保できないために、浄水場内で保管せざるを得ないところがまだまだ残っているというところが現状ではないだろうかと思います。
 それでは、よろしいでしょうか。
 特にないようでございますので、これをもちまして、本日の検討会は終わりたいと思います。事務局にお返しをいたします。

○外山健康局長
 貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。4月以降、構成員の皆様から5回にわたりまして、本検討会におきまして、専門の御知見から幅広く御議論いただいてまいりました。そして本日、水道水中の放射性物質に係る新しい目標につきまして、大変意義深い御議論、御提言をいただくことができました。この目標値については、御了解していただいたというふうに思っております。
 また、いろいろ御提言いただきましたけれども、特にモニタリング地域と除染区域の不整合の問題につきましては、行政の継続性ということもありますけれども、我が方でも関係省庁と調整しながら、検討してまいるべき問題だというふうに承りました。
 それから、特に水道法23条の関係でございます、直ちに給水停止ということになりますけれども、前段にあります「人の健康を害するおそれがあることを知ったときは」ということを、いかに定義するかということに尽きると思っておりまして、貴重な提言ありがとうございました。
 今後、文科省の放射線審議会や厚生科学審議会での審議を受けまして、本日、御議論を賜りました水道水の新しい目標値の設定や、着実な運用に向けて進めてまいります。今後とも水道水の安全・安心の確保に取り組んでまいる所存でございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
 本日は誠にありがとうございました。

○尾川水道水質管理官
 本日の議事録につきましては、また先生方の御確認を経まして公開とさせていただきます。
 次回の検討会につきましては、追ってまた日程を調整させていただきます。
 ありがとうございました。



(了)
<照会先>

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