ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 水道水における放射性物質対策検討会> 第4回水道水における放射性物質対策検討会議事録




2011年9月29日 第4回水道水における放射性物質対策検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成23年9月29日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省18階専用第22会議室


○出席者

出席委員

浅見委員、欅田委員、朝長委員、古米委員、眞柄委員、桝本委員

○議事

○松田室長補佐
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第4回水道水における放射性物質対策検討会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。
 議事に先立ちまして、篠田大臣官房審議官よりごあいさつを申し上げます。

○篠田審議官
 おはようございます。構成員の先生方、お忙しい中、お時間を割いていただきましてお集まりいただきまして、御礼申し上げたいと存じます。
 本検討会も今回で4回目ということになります。顧みますと、前回、中間取りまとめをお願いいたしまして定めていただいたところでございます。そちらの定めていただいたものによりまして、所定の手続を経た後、現在も改定されたモニタリング方針に沿って放射性物質のモニタリングについては続行中でございます。各市町村におきまして、その方針に基づきまして実行されているところでございます。重ねて御礼申し上げたいと思います。
 その後、御案内のとおり、台風があったり、集中豪雨があったりということで、各地、大変雨が降っております。その間、後で説明もありますけれども、幸いなことに、放射性物質は、検出されても非常に低レベルという状況であるかと思います。こちらにつきましては、また御説明申し上げることになろうかと思います。
 そういうことで、今回は放射性物質の測定マニュアルの作成についてのお話でございます。こちらにつきましても、桝本先生に非常にお時間をちょうだいして作業部会を設けていただきまして、大変密度の高いものを作っていただいたと承知いたしております。本日は、そちらにつきまして、また御審議をいただければということでございます。
 御案内のとおり、放射性物質の話、水道に限りませんけれども、依然として継続中でございます。食品あるいは環境につきましても、依然として各地でいろいろ話が出ているところでございます。いましばらく、水道を含めて、このお話につきましては対応していかなければいけないだろうということになりますので、その場合に必要になりますのは専門的な裏付けということになります。また私ども、一般の方々、消費者の方々にそういったことをわかりやすくお伝えするということも必要な行政上の手続と申しますか、必要な行為だと思っております。
 いずれにいたしましても、今後しばらくまたお付き合いをしなければいけない放射性物質についてのお話でございますので、委員の先生方から忌憚のない御意見をちょうだいいたしまして、また私どものこれからの方針の方向を示していただければと考えているところでございます。
 今日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

○松田室長補佐
 それでは、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは恐縮ですが、会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、御協力をお願いします。
 それでは、事務局の方から配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第の配付資料を見ていただきまして、そこで後ろに付いている資料を御確認いただければと思います。
 配付資料について読み上げます。
 資料1-1「水道水等の放射性物質検査の実施状況について」。
 資料1-2「関係自治体におけるモニタリング実施計画の策定状況について」。
 資料2「『水道水等の放射能測定マニュアル』について」。
 資料3「内閣府食品安全委員会食品健康影響評価(案)(抜粋)」。
 資料4「浄水発生土の保管及び処理状況」。
 資料5「原子力損害賠償の動向」。
 参考資料1として「今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針について」をお付けしております。
 また、各構成員の方の机上には、「水道水における放射性物質対策 中間取りまとめ」の冊子を配付しております。
 以上、もし資料について不足等ございましたら、事務局の方にお申し付けいただければと思います。
 本日でございますが、6名の構成員に御出席いただいております。また、大原構成員、森口構成員からは御欠席の連絡をいただいております。
 また、前回の検討会以降、事務局に異動がございましたので、御紹介します。

○尾川管理官
 7月1日に水道水質管理官を拝命いたしました尾川でございます。これからどうぞよろしくお願いいたします。

○松田室長補佐
 それでは、これ以降は眞柄座長に議事の進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○眞柄座長
 おはようございます。本当にお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 まず第1に「水道水等の放射性物質検査状況について」、事務局から説明をお願いします。

○松田室長補佐
 それでは、事務局より、まず資料1-1「水道水等の放射性物質検査の実施状況について」説明いたします。
 まず1ページ目の1.実施状況でございますが、(1)水道水中の放射性物質検査の実施体制ということでございます。
 これについては、中間取りまとめにまとめていただいた実施体制と変わらずに、現在も政府の原子力災害現地対策本部、文部科学省、地方公共団体、水道事業者等により実施されております。
 それで、それぞれ政府の原子力災害現地対策本部が実施した検査については、厚生労働省がデータを公表しておりまして、文部科学省については、検査を実施した文部科学省がデータを公表している。また、地方公共団体、水道事業者等が実施した検査については、それぞれの実施主体が各々公表しているということでございます。
 次に、厚生労働省におきましては、これはおさらいになりますけれども、今年の4月4日に今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針を示しまして、福島県及びその近隣10都県を重点区域とすること。また、1週間に1回以上を目途に検査を行うこと。ただし、検査結果が指標等を超過し、または超過しそうな場合には、原則毎日、実施することなどを定めております。
 このモニタリング方針につきましては、より合理的かつ効果的な検査体制に移行するため、この検討会の中間報告を踏まえまして、平成23年6月30日付で、「『今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針について』の改定について」ということで、一部改定をしております。
 主な改定点について紹介しますと、流域単位での原水モニタリングが可能となった場合、水道用水供給事業から受水している場合、島嶼部の場合、それぞれについてモニタリング箇所を省略する。また、表流水の影響を受けない地下水を利用する水道事業の検査頻度を1か月に1回とすることを可能とする。また、浄水場での放射性物質に対する水質管理の実施に役立たせるため、検査対象試料として蛇口の水より浄水場の浄水を優先するという主な改定点でございます。
 厚生労働省におきましては、このモニタリング方針に基づく検査の実施を地方公共団体、水道事業者等に対して要請を行ってございまして、関係都県におきましては、避難区域内や被災のため検査を実施することが困難な福島県内の5町を除くすべての市区町村で水道水の検査が実施されているということでございます。
 これについて、図1-1検査の実施状況ということで、ブルーになっている部分については検査を実施している11都県です。黄色の部分が検査が実施されていないということでございます。
 次に3ページに行きまして、水道事業者等及び委託先検査機関の検査体制でございます。
 これにつきまして、水道水中の放射性物質の検査を自ら実施する水道事業者等及び水道事業者等から水道水中の放射性物質の検査を受託する検査機関に対して、9月中旬に所有する機器の種類、台数及び購入予定についての調査を実施した結果を表1-1に示しております。
 表1-1は4ページ、5ページに付けております。水道事業者等、地方自治体、大学等研究機関、また関係機関、こういう4つの区分に分けまして、その機関ごとのゲルマニウム半導体検出器、シンチレーションスペクトロメータ、サーベイメータ等について、機器の台数を幾つ持っているという点について整理しております。また、ゲルマニウム半導体検出器については、新規の購入予定というのも聞いておりますので、この点についても紹介しているところでございます。
 本文3ページに戻りまして、評価対象とした55機関では、水道水中の放射性物質の検査用として、計140台のゲルマニウム半導体検出器を所有している。前回の5月に調査結果をこの検討会に報告させていただいておりますが、そのときに比べて54台増加しているということでございました。また、一部の検査機関においては、ゲルマニウム半導体検出器のほか、ヨウ化ナトリウムシンチレーション、スペクトロメータ等の測定機器を所有しているということがわかっております。また、調査対象の多くの検査機関においては、水道水以外にも食品や環境媒体の検査を実施しているということでございます。また、補足情報でございますが、福島県内の5水道事業者等においては、8月末から9月前半にかけて、ゲルマニウム半導体検出器が1台ずつ、計5台導入されていて、10月以降の運用開始に向けた整備を進めていると聞いております。
 次に6ページに行きまして、水道水中の放射性物質検査の検出限界値ということで整理しております。重点区域内の水道事業者等が実施している水道水中の放射性物質検査結果について、検出限界値を採取地点ごとに整理しております。
 これについては、図1-2、7ページを見ていただければと思います。放射性核種ごとの検出限界値の分布ということでございます。このグラフの見方でございますが、3つのグラフがございます。グラフの横軸について、1から15まで書いてありますが、これは検出限界値ということで、左から1、2、3。0~1 Bq/kgの場合は1の区間になります。これが1から15までのメモリがあるということでございます。それで、縦軸の左側については、採取地点の数、また右側については、採取地点の累計ということでございます。これについて、9月8日に厚生労働省に報告された検査結果のうち、採取地点ごとの最新の検査結果を抽出して整理したものでございます。なお、中には5~10 Bq/kgという検査結果もあるんですが、それについては8の区間のデータ、7.5 Bq/kgということで整理しております。
 6ページの本文に戻りますと、この図1-2のデータからすると、放射性ヨウ素及び放射性セシウムともに、検出限界値は1 Bq/kg以下から15 Bq/kg以下までの範囲内で設定されていた。検出限界値を1 Bqごとの区間で分けた場合、検査数が最も多い区間については、検出限界値を1 Bq/kg以下に設定した区間で32~34%ということでした。また、全体の97~98%で検出限界値を10 Bq/kg以下に設定していたということでございます。
 次に8ページに行きまして、水道水中の放射性物質検査の結果についてでございます。これは、前回までの検討会において、水道水中の検査結果の情報についてお出ししたところでございますが、引き続き水道水中の放射性物質の検査結果を更新しているということでございます。その検査結果については、表1-2と表1-3にお示ししております。
 9ページの表1-2につきましては、水道水中の放射性ヨウ素の検査結果で、宮城県から新潟県、重点区域内の11都県のデータについて、これを3月中旬から末日まで、また4月、5月、6月、7月、8月、それと9月は1日から10日までに区切って、どれだけデータ数があるか。例えば宮城県は計701、上の方は12です。見方としては、下は全部のデータ数。上の12というのは、10 Bq/kg以上を超過したデータ数ということでお示ししております。
 また、あわせて10 Bq/kg以上のものがどれぐらいの割合で存在するか。また、最大値は何Bqかという点について、こちらの方に情報をお示ししております。それにつきまして、傾向を申しますと、放射性ヨウ素については5月以降、また表1-3にもセシウムのデータがございますけれども、これについては6月以降、10 Bq/kg以上の放射能が検出された水道事業者等はないということになっております。
 また、表1-2に関して申しますと、放射性ヨウ素が5月、6月、7月に検出されたという報告が栃木県と埼玉県の水道事業者であったところでございますが、このデータについて確認したところ、ヨウ化ナトリウムのシンチレーション検出器による検査結果のため、放射能核種の特定ができなかった、また、あわせてゲルマニウム半導体検出器を用いて、このヨウ素が検出されたとする試料を検査したところ、不検出であったという説明がございました。この点について紹介させていただきます。
 次に11ページに行きまして、文部科学省の検査結果でございます。
 文部科学省による水道水中の放射性物質の検査結果を図1-3に示しております。文部科学省におきましては、全国47都道府県のうち、一部震災でできない宮城県などを除きました、その他の自治体の1つの箇所で定点調査ということで検査を実施しているということでございます。放射性ヨウ素につきましては、13都県において検出されているということでございます。
 これについては、前回の検討会でも紹介しておりますので、前回の6月13日の検討会以降のデータを見ると、いずれの地点においても放射性ヨウ素の濃度は検出限界値未満、放射性セシウムについても、4月以降は一部の地点で微量が検出されるのみということでございました。
 次に13ページに行きまして、水道水の摂取制限及びその広報の実施状況ということでございます。
 これについては、前回の中間取りまとめで報告した段階で、20の水道事業者等で水道水の摂取制限の広報を実施してきたということでございますが、中間取りまとめ以後、先ほどの水道水の検査結果もございますので、水道水の摂取制限の広報を行った水道事業者等はないという状況でございます。
 また、(4)摂取制限が行われた水道事業者等の検査結果、5つの水道事業者等のデータをお付けしておりますが、いずれも中間取りまとめ以降のデータも含めて、水道水中の放射性ヨウ素、放射性セシウムは、4月以降はほぼ検出されていない状況にあるということでございます。
 次に19ページに行きまして、水道原水中の放射性物質検査結果を図1-5、表1-4及び表1-5に示しております。
 図1-5につきましては、水道原水中の放射性物質の検査について、長期間のデータがあるものを抜粋して、それについてどのように変わってきているかというのを、放射性ヨウ素、放射性セシウム、それぞれ付けているということでございます。また、表1-4は水道原水中の放射性ヨウ素について、表1-5は放射性セシウムということで、10 Bq/kg以上が全体のデータの中でどれだけあるか、7都県のデータをお示ししているということでございます。
 この結果を見ていただくと、水道原水中の放射性ヨウ素については、図1-5を見ると、3月に高い時期があったんですが、4月以降、水道原水から10 Bq/kg以上の放射能が検出された水道事業者はない。放射性セシウムについては、5月以降、10 Bq/kg以上の放射能が検出されている事業者等はないということでございました。放射性ヨウ素に関して言うと、4月以降、減少傾向。5月中旬以降は、いずれの都県も検出されていない。放射性セシウムについても、水道水中の放射性セシウムと同様に、放射性ヨウ素と比較しても、その濃度はおおむね低いという状況でございました。
 あわせて、23ページに東京都水道局の事例ということで、東京都水道局から提供いただいた資料をこちらに参考までにお付けしております。
 まず、(1)水道水中の放射性物質の検査結果ということで、東京都水道局の3月22日以降のデータを情報としてお付けしております。水道水中の放射性ヨウ素については4月中旬以降、放射性セシウムについては3月22日以降、いずれの浄水場においても不検出の状態ということでございます。原水の検査につきましては、4月12日に開始しているということですが、いずれの浄水場でもおおむね不検出の状態が続いている。検出されたとしても、2~3 Bq/kgということでございました。
 また、高濁度時の水道原水中の放射性物質及び濁度ということで、東京都水道局金町浄水場の水道原水、水道水中の放射性物質濃度、濁度の推移を図1-6に示しております。こちらを見ていただきまして、茶色い丸印が「濁度(原水)」ということで、濁度については日々刻々と変わっていまして、新潟・福島豪雨や、また台風12号、15号が来たときには濁度が上がっているわけですけれども、これと比較しても、原水に含まれるヨウ素とセシウムについては、濃度として上がるという傾向はあまり見られていないということでございます。ほぼ検出されていないということでございます。
 次に25ページに行きまして、東京都水道局の浄水場の浄水発生土の放射性物質濃度の推移について、図1-7ということで26ページにお示ししております。
 上のグラフが放射性ヨウ素濃度、下が放射性セシウム濃度ということで、浄水場ごとにデータを付けております。左の軸は濃度でございますが、浄水発生土の処理に関する取扱で基準となっています10万Bq/kg、8,000 Bq/kgと見比べてどうかということで、こちらの方に赤い線を付けております。
 このデータを見ていただきますと、3月には比較的放射能濃度が高い浄水発生土が発生していたということでございますが、いずれの浄水場においても、新たに発生する浄水発生土中の放射性物質濃度は減少傾向にあり、最近では8,000 Bq/kgを大幅に下回っているということでございます。
 資料1-1は以上でございます。

○熊谷室長
 松田の方から資料1-1に従いまして、現在の放射性物質検査の実施状況について御説明させていただきました。
 資料1-2は、モニタリング方針を一部改定したものに従いまして、各都道府県、市町村がどのような計画をもって、これからモニタリングしていこうかという内容について、概況をまとめて御紹介したものでございます。
 まず1ページ目は、今回の調査方法なり、2ページ以降のデータの整理の基本方針をお示ししています。2ページから8ページまでが、各県のモニタリング状況の概況。それ以降に表流水等1~10までで、主に表流水のモニタリングの状況を地図上に図示したもの。それ以降、地下水1~10で、各都道府県ごとに地下水のモニタリングの状況を図示したものを整理しております。
 全体的に各都道府県のモニタリングの状況を見ますと、ほぼこちらのモニタリング方針に沿った体制がとられていると事務局としては評価しております。今回の資料そのものは、都道府県単位というよりは、市町村ごとにモニタリングの方針に沿った形になっているかどうかということで、全体を整理しております。その関係で、幾つかサンプルを見ながら御説明させていただきたいと思います。
 1枚めくっていただきまして、まず2ページ目、今回のモニタリングの実施計画をまとめましたのは、福島県を除きました10都県ございます。この中に、東京都23区を含めまして410の基礎的自治体がございまして、そのうち市町村単位で見て390の区市町村につきましては、私どものモニタリングの方針に合致した形で計画を作っていただいております。
 20ばかりの市町村の中で、現在の水道事業の復興の状況、また周辺の状況、また地理的な問題等で、市町村単位としては、モニタリング方針にあるほどの頻度にはなっていないところが若干ございますけれども、周辺の市町村等を見ると、ほぼ体制がとれる状況になったと理解しております。
 8ページ目の後ろ、表流水等1をサンプルで見ていただければと思います。
 今回、ここで整理しました対象の10都県の中で、いわゆる流域外から供給するような広域の水道事業者、用水供給事業者が存在するのは、ほぼ宮城県だけと言ってもいい状況かと思います。
 それ以外の都県に関しましては、用水供給事業といえども、一つひとつの流域ごとに事業者が存在して、その用水供給事業者と市町村の全体のモニタリングの頻度でモニタリング方針に合っているか否かということが判定できますけれども、宮城県だけは特殊事情で、今回非常に大きな震災被害も受けましたけれども、特に仙南・仙塩という阿武隈川を水源として、その流域外に導水していますので、宮城県がモニタリングの状況としては一番評価しにくいものかと思います。
 全体の図示のものですけれども、丸印で置いていますのが浄水のモニタリング。その中にすみません、アルファベットでちょっと小さいですけれども、「W」と書いてあるものがウィーク、週1回以上の頻度でモニタリングがなされている。それから、「M」と書いていますのは、週1回までは行かないものの、月1回以上のモニタリングをしている場所。それから、四角で図示していますのが、原水側のモニタリングをやっている場所ということになります。
 宮城県の場合は、北東部がいわゆる津波被害で非常に大きな打撃を受けて、全体的な水道事業の体制自体もまだとれていない場所で、ここに関して若干頻度が落ちているというのは、いたし方ない状況かなと理解しております。
 宮城県の仙台市のちょっと上側、大き目の丸のWが2つある間に白抜きの場所があると思いますけれども、これが色麻町という仙台市北部の町ですが、ここは水道事業以上のもので表流水を使った事業者がございませんので、表流水のモニタリングがされていない。
 10ページばかり後ろになりますが、地下水1の空白の部分に肌色が塗られているのがわかると思いますけれども、ここが色麻町になりまして、地下水に関してモニタリング方針に沿った状況になっているということで、全体としてはほぼモニタリング方針に沿った状況になっているかと思います。
 宮城県中部の海岸部につきましても、幾つか津波被害を受けた事業者、またここが先ほど申しました仙南・仙塩の用水供給事業者から受けていて、その市町村域の頻度としては若干落ちるという状況が2つばかり存在している状況になります。
 表流水等の2ページ以降を見ていただくと、山形県も後ろ側の地下水とあわせますと、ほぼ全域がモニタリング方針に沿っていますし、茨城県についても、リスクの高い表流水だけで、ほぼ全域、モニタリング方針に従っているということで、全県域で見ていくと、しっかりしたモニタリング状況になっていることが御理解いただけるかと思います。
 幾つか頻度が落ちているところの代表例が群馬県の表流水等5になります。
 県の西部側でほとんど検出事例がないところについては、どうしても問題意識を持ち切れない部分があるかなと理解しております。西部に関して頻度の低いところがございますけれども、それでも地域的に見れば、幾つかの場所で月1回ぐらいの頻度のものが一定のエリアに分布した形でやられていますので、最低限の地域的な状況というのは把握できる状況になっているかと思います。
 同じような状況が表流水等10にあります。新潟県になります。
 新潟県の一番西側、糸魚川流域地区ですけれども、ここも当初からほとんど検出等が見られない場所です。ここについて、若干の頻度の低さはございますけれども、それのすぐ東部の関川流域になりますと、週1回以上のモニタリングのポイントが3点以上存在するということで、今後の検出状況の推移を見ながら、全体のモニタリングをまた精査していくということで、現段階として、ほぼモニタリングに沿った状況と評価してもよろしいのではないかと事務局としては考えているところでございます。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、これまでの説明につきまして、御質問や御意見がある方、どうぞお出しください。お願いいたします。
 それでは、私から桝本先生にちょっとお伺いしたいんですが、一般的に化学物質の試験のときには、定量限界と検出限界と使い分けていますけれども、放射線については、先ほどの資料1-1の説明では定量限界という言葉が使われていなくて、すべて検出限界になっていますが、放射線の測定に関しては、それはあえて区別する必要がないと、一般的に扱われているんでしょうか。

○桝本構成員
 区別する必要がないことはなくて、通常の検出限界は3σ、定量下限は10σという考え方は持っておりますけれども、この事態で基本的にはあるかないかということで気にされる場合がございますので、放射性物質の表現として、検出されたか否かというところの検出限界で、まずはお見せするという方針をとっておいた方が、より安全側に行っているということで出しているんだと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 ほかにはよろしいですか。
 それでは、資料1-2のことですが、6月30日付で一部改定がされて、先ほど御説明もありましたように、ある意味ではできるだけ水道事業者の判断で、当該水道事業者の水について放射線の影響がないと思われるような場合には、判断で簡略化していいという印象も受けるんです。
 ただ、先ほどの資料1-2の、例えば表流水の栃木、群馬、埼玉等、いわゆる利根川の流域の一つ一つの県で見たときにはこんなものかと思いますが、関東平野全体で利根川、荒川、鬼怒川の流域を見ると、ものすごい数を測っているわけですね。確かに関東平野というのは、東北地方よりも地方自治体の数が多いので、要するに地方自治体ごとに測れと。例えば栃木県の地下水でもものすごい数を測っているわけですが、こんなに測らなければならないものなのか。
 そういう意味で、例えば厚労省では水道事業体に水安全計画を立てて、それである種の危機管理を行いなさいという御指導をされているんですが、放射線についても水安全計画の枠組みの中に入れて、なおかつ近隣の市町村と連携をとって、ここまでやらなくてもいいじゃないかという印象をちょっと受けたんです。
 今どうこうというわけじゃないですが、今後の方針として、そんな考え方は必要なのか、あるいはがっちりそれぞれの事業体の市民・町民の方たちの安心感のために、今までどおり行った方がいいのか、その辺の分かれ目はどの辺にあるんだろうかという印象を受けたんですけれども、いかがでしょうか。

○熊谷室長
 おっしゃるとおりで、これをまとめる作業内でいろいろ都道府県ともお話をさせていただきました。1つは、頻度が落ちたところをきちんとさせる方を中心に、今回の整理をやらせていただいたんですけれども、いい意味でも悪い意味でも、年度内にモニタリングの体制を変えるというのは、都道府県単位で非常に難しい。増やさせるのも難しければ、一旦決めたものをもう1回落としてしまうのもなかなか難しい。
 実は、よかれと思ってやったモニタリング方針の変更が、残念なことながら、モニタリング地点の重点化とか数を減らすという意味では、正直、あまり効果を生みませんでした。多分、今年度いっぱいはこういう形で進んでいって、4月以降、来年度の計画をどうするかといったところで、今まさに眞柄座長、御指摘いただいたとおり、もう少し重点化とか全体の流域を見ながらやることに向かって、私どもと都道府県で少し話し合いをしながら、全体を考えていくというところかなと思います。
 いただいたとおり、特に地下水利用が多い場所については、住民の安心ということもあった当初の対応が今年度いっぱいはほぼ続いてしまって、確かに地図に落としてみると、ここまでと思わされるところがあるんですけれども、年度の切り換えのところで、全体をもう一度整理したいと考えております。

○眞柄座長
 それでは、ほかにございましょうか。
 なければ、次の議題で、どちらかというと今日の本題になると思いますが、「水道水等の放射能測定マニュアルについて」御説明をお願いします。

○尾川管理官
 それでは、資料2をごらんください。私の方から説明させていただきます。
 分厚い資料になってございますけれども、一番表に概要を1枚ぺらで付けてございます。
 経緯とありますけれども、この検討会で6月にとりまとめていただいた中間取りまとめの中で、科学的知見の集積に基づいて検査法のマニュアルを整備すべしというお話もございましたので、この裏に名簿を付けてございますけれども、ここにいらっしゃいます桝本先生に座長を務めていただいて作業会合を組織いたしました。
 会合自体は、8月8日、9月14日の2回だけでございますけれども、会合の合間にも作業会合の構成員の先生方と個別に御相談させていただいたり、資料をいただいたりということで、本日お配りしておりますマニュアルに至ったものでございます。
 今回、作りましたマニュアルでございますけれども、2の冒頭にございますように、目的でございますが、先ほど資料1-1でも御説明いたしましたように、水道事業者自らが測定機器を有することにもなってございます。また、福島県でも、これまで現地対策本部で測定しておりましたけれども、県の方で機器を準備して10月以降の測定に備えるということもございます。
 こうした水道事業者の方々が使用することを念頭に置きまして、その場合にどのような検査精度を設定して、それに基づいて機器の選択をするのか。そして、測定を正しく行うための方法をマニュアルとしてまとめよう。中身といたしましては、採取の方法、測定方法ということであります。
 したがって、タイトルでございますけれども、検査という言葉は、指標値なりとの比較・判定を行うときに使うのでありましょうと。検査に必要な水道水、水道原水中の濃度を測るということでございますので、その手順を書いたマニュアルであるということから、測定マニュアルという言葉にしてございます。
 中身でございますが、全体は5章構成になってございます。すみません、目次を見ていただいた方がよろしいかと思います。おめくりいただきますと、目次が何枚か続いてございます。
 最初の総説のところで、目的とか適用範囲について記述してございます。
 それから、2章では水道事業体なりで水を採取して運搬する手順についてまとめてございます。
 3章、4章、5章の3つの章が、それぞれ測定方法に対応した章立てになってございまして、3章と4章が定量測定のための機器、特に3章は中心になるでありましょう、ゲルマニウム半導体検出器を用いた方法。それから、4章がシンチレーションスペクトロメータであります。
 5章は、少し趣を変えまして、スクリーニングということで、サーベイメータを使いまして、これは核種の同定はできないんですけれども、特に緊急時等に役に立つであろう。精度は落ちますが、使えるかもということで、あくまでスクリーニング目的の方法を掲げるということであります。
 そして、巻末には用語集を御用意いたしておりまして、放射性物質あるいは放射能の測定になじみのない方々でもわかるようにということで、中間取りまとめの後ろに用語集があるんですけれども、それにまた測定固有の言葉を加えまして、用語集という形でリリースする予定であります。
 ただ、実はメインテーブルの皆様には、現時点での用語集の案をお配りしてございますけれども、使用許諾の関係でまだ手続をしておりませんので、傍聴の方々には申しわけございません。今日はお付けしておりません。手続が終わりまして、世の中にリリースするときには、この用語集が付いた形でマニュアルとして世の中にお示しする予定であります。
 それでは、中身について簡単に御説明させていただきますので、マニュアル本文の1ページをごらんいただきたいと思います。
 第1章の総説でありますけれども、1-1 背景及び目的はもう皆様御存じのとおりでありまして、1ページの最後から2ページの頭にかけまして、先ほど私が申し上げた目的を書きまして、背景・目的としてございます。
 2ページに参りまして、1-2の水道水中の放射性物質の現状につきましても、本日御説明した中身が書いてあるということで、ここでは説明を割愛させていただきます。
 3ページの1-3の適用範囲について御説明申し上げます。
 まず、今回、マニュアルを策定するに当たりまして、第1段階、第2段階ということを頭に置いております。これは、別に私どもで独自に考えたものではございませんで、政府全体で決めております環境放射線モニタリング指針の中で、第1段階、第2段階という言葉が定義されてございます。第1段階は、原子力緊急事態の発生時に迅速に行うものであって、緊急時のモニタリングということであります。そして、第2段階は、周辺環境に対する全般的影響を評価するということで、緊急時モニタリングとは別物ということであります。
 第1段階、第2段階がございますので、第1段階につきまして3ページの上半分、第2段階につきまして3ページの下半分で、さまざまな想定がございますが、時間の関係もございますので、4ページの表1-1に私どもがマニュアルを策定した際に想定しております段階別の測定法の利用用途を表にしてございますので、そちらをごらんいただきたいと思います。
 大規模な放出がございます第1段階、ヨウ素なりが中心になろうかと思いますけれども、そのときの水道水のモニタリングというのは、これまでも検査結果を公表してございますけれども、定めました指標値を超過しているかどうか。超過している場合に、その摂取制限なりをかけるべきか、広報すべきかどうかを判断することが主たる目的になろうかと思います。また、事後になろうかと思いますが、その時点でどれぐらい水道水から人々が内部被曝をしたかという計算に使うこともできようかと思います。第2段階になりますと、水道水については濃度の確認ということで、わずかではございますけれども、推計にも使うための測定法というものが必要かと思います。
 原水につきましては、実際には今回、大規模放出時、原水までなかなか測定に至らなかったところが多いわけでございますが、再度あってはいけないわけですが、考えますと、第1段階におきましては、原水でありますので、浄水に至る前、水源に近いところで測ることによりまして、あらかじめ予想して、そして処理していく。活性炭を投入したり、あるいは出水を回避することはなかなか難しいんですけれども、そうしたとれる措置について対策をとるための測定というものが必要かと思います。第2段階も、御案内のとおりセシウムは濁質に付いておりますので、より高い安全性を確保するという意味で、浄水処理を行う前の原水の濃度レベルを調べることによりまして、安全確認ができましょうし、その発生土についても、これを使うことによって多少なりともコントロールのデータが得られるのではないかと考えてマニュアルを作ってございます。
 その表の下に書いてございますが、もちろん放射性物質は多数ございますし、今回御紹介しております測定法は、多くの放射性物質について対応可能でございますけれども、現状を考えますと、放射性ヨウ素と放射性セシウムの2つの核種に特化いたしまして、このマニュアルはとりまとめております。
 1-4の選択方法でありますが、申し上げましたように、3章、4章、5章と3つの章にわたりまして測定方法を御紹介しております。ユーザーの皆様がどれを選んだらいいかということにつきまして、1-4に書いてございます。
 ここでは、明確にどの方法ということをお示しするということではなくて、それぞれの検査の目的というのがあるわけでございますので、このマニュアルの後ろの方に検出限界値の目安というものも御紹介しております。それを見ながら、あと、当然、現場において確認していただきながら、この検出限界値というものを、統計による不確かさというものが出てまいりますので、3倍がとれるようなもの、200を判定する場合あるいは100を判定する場合、それぞれの目的に応じまして必要な感度が確保できるものを選択するということを考えてございます。
 ただ、5章に書いてございますスクリーニングに関しましては、その3倍という考え方ではなくて、これは数字を求めるのではなく、オン、オフを判定するということでありますので、スクリーニングレベルを設定して、区間上限を決める。これは、我が省の食品が出しております牛肉のスクリーニングと同じ考え方でございますけれども、この考え方によりまして判定する。これが得られるかどうかで決めようということであります。
 あと、留意事項といたしまして、申し上げましたように、既存のマニュアルがございますので、それを使ってこのマニュアルは作ってございます。ただ、水道水に特化しております。特に文科省のマニュアルが非常に丁寧で正確なんですけれども、300数十ページで、私どももとても読むのが大変だったので、ここでは最小限のものに記述を絞ってございます。詳しくお知りになりたい方は、そこをごらんくださいということを注意書きで書いてございます。
 5ページですが、各章末に「参考」というパートを設けてございます。少し字も小さくしてございますけれども、なるべく字の大きいところだけを読んでいただいて、より詳しく知っていただきたいものを置くようにしてございます。1章の参考につきましては、化学分析を中心にやっておられる方々もごらんになるということで、特に違うことについて、ここではバックグラウンド測定が必要である。あるいは、直線性、検出限界値についての簡単な御説明を付けているところでございます。
 続きまして、2章でございます。水道水にしても、水道原水にしても、サンプリング行為を行ってございますので、その流れを書きましたのと、注意事項について多少記述してございます。
 例えば6ページの2-1のところが具体の手順でありますけれども、これは当然のことかと思いますが、ラベルを貼りましょうということです。放射能の検査の結果というのは、半減期がございますので、採取時点のものをということでありますので、時刻をしっかり書いていただくということ。あと、保存剤は今回は添加しないことで考えてございますけれども、添加した場合の種類とか、こういう注意事項を書いております。
 また、6ページの下にございますが、器具としてはプラスチック瓶を使ってくださいということで、7ページの解説に書いております。解説というのは、即座に読んでいただきたいものを各所に書いてございます。ガラス瓶を使いますと、特にセシウムは定着するので使わないでください。なぜプラスチック瓶じゃなければいけないのかということを、解説で御説明する形でございます。
 この2章については、参考にも3点、保存剤の添加については8ページにございますけれども、御説明するようにしております。
 3章以降が測定法本体でございます。3章だけ多少時間をかけて御説明させていただきます。
 ゲルマニウム半導体検出器の方法でございますけれども、3-1の特性ということで、対象核種は、冒頭申し上げましたようにヨウ素とセシウムだけということであります。御案内のとおり、核種ごとに固有のエネルギーが決まってございますので、どういうエネルギーかということをここの表には掲げております。
 特徴といたしまして、ほかの方法の比較を頭に置いた場合には、このゲルマの方法というのはエネルギー分解能が非常に高いということで、核種を同定するというのが確実に容易にできることがいい点だと思います。また、ピークを拾っていくわけですけれども、ピークも狭いので、カウントしていく計数を数えやすいということで、低レベルの放射能の分析につきまして、特にすぐれた方法かと思います。
 10ページに全体の流れをフローとして掲げてございますが、これは章の中の節構成の説明も兼ねた形になりますけれども、放射能を測定する場合には、まず機器校正をしてください。エネルギー校正と効率校正が必要であります。そして測定に入ったときには、事前準備として毎回、動作の確認をした上でバックグラウンドの測定をする。これは、文章中にも書いてございますけれども、バックグラウンドを差し引いて検出することがございますので、遮へいなりをしてバックグラウンド値をしっかり低いレベルに確保するのは非常に重要でございますので、それが保たれているかどうかを確認した上で測定に入っていくということであります。
 実際の測定につきましては、現在、組み込まれているソフトウエアがほぼ自動的に計算していただけるということでありますが、マニュアルでございますので、簡単な手順あるいは原理的なものを書いてございます。
 測定後、解析に移りますけれども、ピーク領域なり、また後ほど御説明いたしますが、数字を決めていって、あとは検出の有無を判定する。検出限界値についても、ここで算定して記録して報告に至るという流れでございます。
 11ページでございますけれども、ゲルマニウム半導体の測定に用いる機器について、3-2-1に記してございます。
 全体の構成は3-2-1の冒頭3行に掲げているとおりでございますけれども、要件といたしまして、検出器につきましては、相対効率とエネルギー分解能の2つの要件を与えまして、これを満たす検出器にしてくださいということであります。説明は、解説に書いてあるとおりでございます。
 そして、遮へいにつきましても、桝本先生とお話しておって、問い合わせてくる方々の中には、遮へい自体を御存じないような方も、遮へいしましたかということをアドバイスされたようなこともございますので、何が大事かということを特書きして遮へい体という項を設けてございます。一般的には、鉛の10~15 cmが使われているわけでございます。必要な容器がおさまるように、この容器のサイズは、大きければ大きいほど検出限界値を下げることができますので、それがおさまるようにということであります。また、この検出器の形状も遮へいに非常に大きく影響しますので、それについても注意書きを書いてございます。
 3-2-2が器具等ということで、使う試料の容器の御紹介。すみません、図面が後ろの方にございますので、具体のものは後ほど御説明いたします。それから、エネルギー校正、効率校正に使う線源の種類とかソフトウエアの要件、この4項目について資料等の欄に記載してございます。
 3-3以降は、具体の手順ということで、フローで御説明申し上げたスペックごとに節を立てまして、具体の注意事項を書いてございます。この辺りは、私も素人で、説明すると具合が悪いので、後ほど御質問がありましたら桝本先生にお答えいただくことにいたしまして、先の方へ進めさせていただきます。
 解析のところ、14、15ページに書いてございますけれども、14ページに概念図がございます。
 放射能の分析の場合には、特定のpのところ、エネルギーのところにピークが出てきますので、高さではなく面積を測るということであります。そして、下のところに台形の点線がございますけれども、このバックグラウンドの部分を面積として差し引いて、つまりNSのところを求めていく。それが非常に定量性がございますので、これを使って放射能の数値を求めて、ボリュームで割って濃度を算出するというのが基本の流れであります。
 検出限界値につきましても、15ページに簡単な式がございますが、ここは皆様の御関心もあろうかと思いますので、後ろの22ページから24ページにかけまして、参考3-13で計算例をお示ししてございます。
 放射能の場合には、計算式によって、あらかじめ検出限界値を求めることが可能であります。23ページの上の式にございますけれども、kは係数です。右辺にございますのはnBとtがございますけれども、nBはバックグラウンドの係数率ということで、周りの環境が汚れてまいりますと、ずっとスペクトルが上がってまいりますので、このバックグラウンドのレベル、つまり周辺の環境が汚れているレベルによって検出限界値というのは変わってまいります。それから、tという時間でありますけれども、これも測定時間を長くすれば詳しく測ることができる。k/tのところで入ってございますので、時間も効いてくるということであります。
 計算式がございますが、具体の数字の例を24ページの下にお示ししてございます。表3-4がヨウ素でありまして、3-5がセシウム137であります。これは、表3-3から、単純な割り算で出てくるわけでございます。
 どこの数字をごらんいただくかというと、典型的には左から2番目、上から2番目、つまりnBが0.002で、測定時間が1,000秒というところをごらんいただきますと、これはもちろんバックグラウンドの計数率は周辺の環境によって変わっているわけでございますが、たまたまnBが0.002で、そこで1,000秒で測った場合には、ヨウ素については2Lのマリネリ容器を使うことによって、0.5 Bq/Lまで理想的には検出限界値が設定できるだろう。セシウムについては0.7ということであります。
 ただ、マリネリ容器はこういうことで、1 Bq/L未満まで測ることができるということでありますが、もう一つ、よく使われているU-8という100 mLの容器を使いますと、20分の1しかボリュームがございませんので、同じ時間だと20倍までしか測れない。ただし、小さい容器であっても、右の方に測定時間を延ばすことによって、検出限界値は下げていくことができるということであります。
 1つごらんいただきたいのは、21ページの参考3-9にスペクトルの絵がございます。ゲルマニウムの検出器を使って見えるスペクトルの図でございます。右側がエネルギーということでありまして、ぴんぴんとピークが立っていくのが検出された核種であります。これだと高さに見えますが、実際には面積を求めていくわけですが、これが汚れてまいりますと、スペクトル全体がずっと上に上がっていく。あるいは、出てくるピークが、もともとのカウントの中に埋もれてしまって上に出てこないことになりますので、いかにしてこのバックグラウンド値を下げていくかということが大事だということと、この面積を計算機、スペクトルの解析ソフトウエアによって計算しておるというのが、ゲルマニウムの検出器の方法であります。
 もとに戻りまして、16ページ、17ページでありますが、16ページには、報告及び記録の方法、項目を丸付き数字で掲げてございます。3-5は注意点ということで、バックグラウンド管理の重要性とか、何度も申し上げますが、汚染防止ということで、中が汚れないようにしてください。あるいは、日常管理での注意事項ということを示してございます。
 4章以降も同じような構成になってございまして、25ページからであります。
 同じく定量分析ができるシンチレーションスペクトロメータによる測定法につきまして、御紹介しております。各章の構成は、3章と同じでございます。
 26ページの流れも、これは同じであります。
 違うものといたしまして、検出限界値につきまして31ページに書いてございます。
 大体の目安ということでありますけれども、30 Bq/kgぐらいかなということであります。これによって、レベルとしてはこれぐらいのところは測定できるわけですが、勿論、周りの遮へいの程度とかサンプルの量を変えることによって、この30という数字は変わってまいります。
 そして、5章のサーベイメータ・計数装置のスクリーニング法であります。
 これも36ページ以降、説明がございますが、手順としても、大きな流れは変わらないのですが、イメージ図が45ページにございます。
 マリネリ容器を使うときには、下に検出器を当てまして、周りから来るものを測定するということですけれども、V5タイプの丸型のV式容器を使うときには、上から突っ込んでいく。あるいは、下にあるように、アイボーイを使うときには、?の左の図は、横から2 Lの広口瓶に検出器を当てている絵でありまして、右は上から突っ込んでいる様子であります。
 そして、サーベイメータはどうしても検出限界値が高くなるんですけれども、46ページをごらんいただきますと、水でありますので、検出器を18 Lのポリタンクで挟んであげますと、ある程度ボリュームを稼げる。あるいは、水モニタということで、おけ状の中に検出器を突っ込むことによって、40 Lとか、ボリュームを稼げば測ることができます。
 検出限界値の目安が48ページ、49ページに書いてございますが、48ページは計数率計という形、49ページは積算計数計という2つのパターンをこのマニュアルでは御紹介しております。表の上の方がヨウ素で、下がセシウム137であります。
 スクリーニングレベルといたしまして、指標値の2分の1を検出限界値と設定するということでありますので、セシウムですと200の半分の100という数字を念頭に置いていただきながら、下の表を見ますと、200の判定というのは、マリネリでもなかなか厳しいんですけれども、ポリタンクを使うと、これもバックグラウンドの指示値によりますけれども、100未満の数字が回ってございますので、200の判定に使う可能性があろうかと思います。ヨウ素については、上の表であります。
 ということで、5章について、このようにまとめさせていただいた次第であります。
 一わたり説明させていただきました。最初にも申し上げましたけれども、福島県などで、そろそろ10月以降に測りたいということもございますので、本日御意見をいただきまして、事務局といたしましては、なるべく早く世の中に見せていきたい。いろいろ不備の面もあろうかと思いますが、こうした形でマニュアル化して通知なりをしていきたい、かように考えてございます。
 御意見、よろしくお願いいたします。

○眞柄座長
 ありがとうございました。桝本先生には、これをまとめる委員会の座長をしていただきまして、ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明いただきました水道水などの放射能測定マニュアルについて、御意見や御質問がございましたら、どうぞお出しください。浅見先生、どうぞ。

○浅見構成員
 ありがとうございます。桝本先生と、委員の先生方には、非常にお忙しい中、精緻なマニュアルを作っていただいて、大変だったのではないかなと思いまして、ありがたく存じます。ちょっと拝見いたしまして、今まで水道の水質検査等に慣れている者とか、水道の分析というのを行っている機関で解釈するには、ちょっと難しいかなと思うところがございまして、大変恐縮なんですけれども、ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。
 主に2点ですけれども、まずは測定方法の選択と検出下限と容器の組み合わせというのが、皆さん非常に迷っていらっしゃるところと思っております。例えば第1段階では、どれとどれが、どのぐらいの条件であれば使えるのか。結局、求める検出下限から逆算して判断するような感じで、判断を任されているような感じはいたすんですけれども、実際はそこの判断を自分でするというのはなかなか難しいところもあるかなと思っております。
 もしマニュアルにそのまま記載するのが難しいようであれば、例えば検討会の中で、こういう組み合わせの例を、当面のお勧めといいますか、そういうことで出すというのもあり得るかなと思うんですが、測定方法と容器の組み合わせをもう少しわかるようにしていただけるとありがたいなと思います。
 もう一点は、線源を使いました校正のことなんですけれども、当院の測定でも一番困っておりますところがここでして、校正をどのぐらいの頻度でやればいいのかと、これは大体毎日されているところが多いかと思うんですが、バックグラウンド。あと、標準線源の入手が困難になっておりまして、作るところも、基本は年に2回しか製造されないということで、お借りしたり、何とかやりくりをして、この容器で測りたいときは、これとさせていただいているんです。
 ほかのところでも御苦労されていると思いますので、それの確保と、あと校正の頻度というのを書いていただけるとありがたいなと思います。
 以上です。

○眞柄座長
 事務局の方、何か対応することはありますか。同じことなんですけれども、シンチレーションを使うのはわかるんですが、先ほど一番最初に御説明いただいた検査の実施状況のデータで、シンチレーションはそんなに多くないんですよね。
 しかも、先ほどの御説明を聞いていると、検出限界がかなり高いということからすると、このマニュアルにシンチレーションを入れる必要があるのかなと。シンチレーションが入っていると、浅見先生が言うように、シンチレーションの場合はどうのこうのとなって、ますますセレクションの幅が広がってしまうので。
 もう一度3月のときみたいなイベントがあったときには、確かにシンチレーションは有効かもしれないけれども、今朝のニュースでも1号炉が100℃下がったと言っておりますので、そういうことからすると、ちょっとシンチレーションは参考程度で、外した方がいいのかなという印象を受けました。
 もう一つ、今のことと同じように、校正もそうですが、データとして、記録としてσの値が残るんですが、σの値を使って品質管理でコントロールチャートの作り方がJISで決まっていますね。そういう意味で、コントロールチャートの作り方を書いていただいて、そのコントロールチャートで幅を超えたら校正に入るとか、そういう説明を入れていただくと、案外わかりやすいのかなという印象。
 私は話を伺っていただけなので、実際に測定されていらっしゃる方々から御意見やサゼスチョンをいただければと思いますが、私が感じたのはそんなところです。
 桝本先生、何かありましたら教えてください。

○桝本構成員
 冒頭、管理官から説明がありましたように、第1段階と第2段階というものがございましたので、そういう名称よりも、私どもの委員会の方では、非常に多数の試料が一気に押し寄せてくるときにどういう処理をするか、測定をこなすかというときには、台数が少ないと言われていましたけれども、実際に自治体とか、いろいろなところに納入されている実績は非常に多い。値段が安いということもあるので、そういったことに対する注意書きは書かざるを得ないだろうということで、入れた次第でございます。
 ですから、第1段階、第2段階という言葉はありますけれども、どちらかといえば、試料数に対応して測定時間を短くしてでもこなすと。ある程度の指標値を出すということで、そういうのを入れさせていただいたということがございます。だから、基本的に今、安定段階に来ていると、ゲルマしかないというのは常識的なことかと思います。それもマリネリみたいなもので大量を測るというような丁寧な測り方をしていくことになるのかと思います。その書き方が不明瞭であれば、もうちょっとちゃんとした書き方を検討する必要があるのかなという気がします。
 それから、校正の頻度ですけれども、エネルギーについては測定開始、ゲルマですと週1回ということもマニュアルに書いておりますので、そういったところはチェックする。機関によっては毎日見ているところもあるようでございます。シンチレーションの方は、毎日見ないと危ないということがありますので、それはやっていただく。
 それから、効率・校正の方は、基本的に検出器がよほど劣化しない限り、やる必要はなくて、1回やっておけば、しばらくは使えるということで、私どものところも年に1回といった頻度でしかやっておりません。私どもの学会等でも、お互いにルーチンで回すといったことをやっています。非常に価格も高いということもございますので、販売元には申しわけないんですけれども、そういうやり方でネットワークを作って、お互いに持っている情報を供給し合いながら、校正を順番にしていくということを今もやっております。
 それから、コントロールチャートの話については、私もきちんと勉強した上で、必要であれば提示させていただきたいと思います。

○眞柄座長
 ほかに。まだありますか。

○浅見構成員
 コントロールチャートに関しては、ひょっとしたらなじみにくいのかなというか、測定の原理と誤差の表現方法等が確率的に出てくるようなところがありまして、コントロールチャートがそのままうまく化学物質みたいにいくのかどうか、若干わからなくて申しわけありません。

○眞柄座長
 σでコントロールチャートを使う。

○浅見構成員
 σの幅を毎回記録するというのを同じ試料を希望されると思うんですけれども、同じ試料というのは、線源が常にあればできるんですけれども、今のように回しているような状態とか、一般的に水道事業体とかの許可をとっていないところでは、溶液を溶かして使うことができませんので、そこがちょっと難しいかなと思ったところです。

○眞柄座長
 ほかにございますか。もう水道事業体の倉庫にはなくなってしまったんですけれども、鉛管を撤去したものをみんないっぱい持っていたので、こういうことが起きれば、その鉛管を有効利用して遮へい体に使うことができたんですが、もうほとんど処分されてしまったので、持っていればよかったなと思っています。あの鉛管、すごい量なんです。まだ埋まっているんですけれども、どこへ行ったのかね。鉛は水道だけじゃなくて、いろいろなところで嫌われ者になってしまって、知らない間に世の中からなくなってしまっているんだけれども、こういう有効な使い方があるんだったら、もう少し工夫して置いてもらったらと。これは半分冗談ですけれども、ありがとうございました。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。

○欅田構成員
 すみません、ちょっとだけ。

○眞柄座長
 どうぞ。

○欅田構成員
 1つだけ。測定方法に関しては、いろいろな議論を交わされた中で、ここできちんと作られたと思うんですけれども、測定結果の提言に関して、ちょっと注意いただいた方がいいんじゃないかなというのが、事故に関係しなくても、平常時でも医療用のRIとかが検出されてくることがありますので、それが原発由来のものと誤った認識をされることがあります。そういったことに関しての情報の提示の仕方とか、そういうことが起こり得るよということをどこかに一言書いておいていただいた方がよろしいのかなという気もしたんです。
 今回も、自治体で測っているときにヨウ素が検出されて、それがいまだに原発由来のものなのかということがちょっと議論になっていたりしているところがあると思いますので、そういったものに対しての提示方法についても、何かコメント、注意書きみたいなものがあったらよろしいかと思ったんです。

○眞柄座長
 欅田先生、古米先生もですけれども、水道水とか河川水の中の薬品や家庭用品の化学物質について測定していますと、放射線は測っていませんけれども、医療用のヨウ素が検出されるわけですね。pptぐらいのレベルなんですが、pptレベルだと放射線量としてどれぐらいの値になるんですか。

○桝本構成員
 全部放射線だったら、とんでもないです。

○眞柄座長
 大変ですよね。だから、出る可能性は非常に高いわけなので、医療用のヨウ素が今、高いところはpptぐらいでしょう。要するに、医療用ヨウ素が水道原水や河川水から検出されていますね。その濃度から推定して、どれぐらいの線量になるか。だから、医療用で使われているヨウ素剤が水道原水から検出されるというデータは、浅見さん、欅田先生も承知しておられるでしょう。
そのデータから想定して線量がどれぐらいあるかというのは、おおよそでいいかもしれないけれども、これぐらいのものが出る可能性がありますよという形で示しておいていただくといいんじゃないかと思います。

○桝本構成員
 放射性ヨウ素は医療用に4種類ぐらい使われております。それで、治療用に使うときが一番多い量を使っていて、診断用とかはそんなに多くないです。それから、ヨウ素としての殺菌が何だかんだということで使われている場合がありますので、安定ヨウ素を測ったからといって、放射性物質があるという結論にも至らないと思います。

○欅田構成員
 ゲルマの測定の方で出ていることが平常時でも結構あるものですから、それに対する解釈をどこかで織り込んでおいた方がいいのかなと思ったところです。

○眞柄座長
 ありがとうございました。そのほかについて。
 では、次に入りたいと思いますので、よろしくお願いします。

○松田室長補佐
 それでは、資料3、報告事項ということで、食品安全委員会の放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループ評価書(案)の資料について御説明したいと思います。
 まず、ページを開いていただきまして要約でございます。
 要約の一番最初に経緯が簡単に書いてありますけれども、東京電力福島第1原発の事故に関連して、厚生労働省は緊急時ということで、食品安全委員会の評価を受けずに、3月17日に食品衛生法に基づく暫定規制値を原子力安全委員会により示された「飲食物摂取制限に関する指標」を用いて定めたということでございます。その暫定規制値を設定した後、厚生労働省は3月20日に、食品安全基本法に基づきまして、食品安全委員会に食品健康影響評価を要請しているということでございます。
 こちらの資料には書いていないんですが、水道との関わりの部分に関して補足して申し上げますと、先ほど3月17日に食品衛生法に基づく暫定規制値を設定したというお話をしましたが、その設定を受けて、水道水中の放射性物質への対応ということで、3月19日付及び3月21日付、健康局水道課長通知に基づきまして、原子力安全委員会の飲食物摂取制限に関する指標や食品衛生法の暫定規制値の設定を踏まえて、水道水の摂取制限に関する指標を設定しているところでございます。
 また本文に戻りますが、食品安全委員会において、3月29日に放射性物質に関する緊急とりまとめを報告したということですが、それを受けて、4月4日に食品衛生法の暫定規制値を当分の間、維持するということで厚生労働省が発表したわけですけれども、同日、水道水の摂取制限の指標についても指示しているという経緯がございます。
 その後、食品安全委員会において、この放射性物質に関する緊急とりまとめの中においても、放射性物質の発がん性のリスクの課題もあるということで、4月21日から放射性物質の専門家などを含めたワーキンググループを設置して審議を進めて、7月26日の第9回ワーキンググループにおいて、この評価書(案)をとりまとめて、その上で食品安全委員会に報告を行っております。
 その後、7月29日から8月27日までの間、パブリックコメントを行っておりまして、このパブリックコメントの期間が終了しましたので、現在、食品安全委員会において鋭意作業を進めているということでございます。
 今般、厚生労働省において8月31日に開催した薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会において、この食品安全委員会の評価書(案)要約資料を提出しているということでございますが、本検討会においても情報提供するという意味でお出ししております。今後、食品安全委員会がパブリックコメントを受けた作業によって、評価書(案)を変更することもあり得るということでございますが、その前提で紹介したいと思います。
 それでは、本資料に戻りまして、要約という部分でございます。
 2つ目のパラグラフにおいて、食品健康影響評価を行うに当たって、この原子力放射性に関する国連科学委員会、また米国毒性物質疾病登録機関の放射性物質に関する報告書に引用されている文献、また国際放射線防護委員会や世界保健機関が公表している資料、その他、放射性物質に関する文献というのを幅広く検討の対象としているということでございます。
 ただ、経口摂取による放射性物質の健康影響に関する文献は限られているということで、この内部被曝の報告だけではなくて、化学物質としての毒性に関する報告も含め、広く知見を収集したということでございます。
 個別の核種につきましては、暫定規制値が定められている放射性ヨウ素、放射性セシウム、ウラン、プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種、更に放射性ストロンチウムについて検討を行ったということでございます。ただ、検討を行った各核種について、経口摂取による健康影響に関するデータは乏しかったということでございます。
 また、放射線による影響よりも化学物質としての毒性がより鋭敏に出ると判断されたウランについては、TDIを設定することとしているところでございます。
 ウラン以外の核種については、甲状腺への影響が大きく、甲状腺がんが懸念される放射性ヨウ素、及び食品中からの放射性物質の検出状況等を勘案すると、現状では、食品からの放射性物質の摂取に関して最も重要な核種と考えられた放射性セシウムも含め、個別に評価結果を示すに足る情報は得られなかったということでございました。
 このことを踏まえて、低線量放射線の健康影響に関する検討を行い、その結果をまとめた。ただし、ウランについてはTDIを設定したということでございます。
 そこで、エビデンスに関する記載をその次のパラグラフに書いておりまして、成人に関して言うと、低線量での健康への影響が見られた、あるいは高線量での健康への影響が見られなかったと報告をしている大規模な疫学データに基づく文献の主なものを3つ紹介しております。
 この3つの知見から、食品安全委員会のワーキンググループが検討した範囲では、放射線による影響が見出されたのは、通常の一般生活において受ける放射線量を除いた生涯における累積の実効線量として、およそ100 mSv以上と判断したと記載されております。
 また、小児に関しては、より影響を受けやすい可能性があると考えられるということでございます。
 100 mSv未満の線量における放射線の健康影響については、疫学研究で健康影響が見られたとの報告はあるが、信頼のおけるデータと判断することは困難ということでございました。また、種々の要因によって、低線量の放射線による健康影響を疫学調査で検診し得ていない可能性を否定することもできず、追加の累積線量として100mSv未満の健康影響について言及することは、現在得られている知見からは困難であったということでございました。
 ウランについては、ラットの91日間飲水投与試験における全投与群で認められた腎尿細管の変化より、LOAELはウランとして0.06 mg/kg/dayであった。この試験におけるLOAELについて、不確実係数を適用してTDIを算出することが適切だと考えた。そこで、不確実係数300を適用してTDIは0.2 μg/kg/dayとなったということをこちらに記載しております。
 その次のページの220ページ以降に、今の要約に関する記載を示しているということでございます。221ページの6行目ぐらいに、ヒトは常に自然界からの放射線を、世界平均では約2.4 mSv/年や正常なヒト体内に存在する放射性物質からの放射性など、自然線源からの被曝のみならず、医療被曝などの人工被曝を受けている。データの解釈に当たっては、これらの被曝に加え、種々の要因による放射線被曝以外の健康上のリスクも存在していることを考慮して検討を進めることとしたと記載されています。
 こちらの13行目からも書いてありますが、本来は、食品の摂取に伴う放射性物質にる内部被曝のみの健康影響に関する知見に基づいて評価を行うべきであるが、そのような知見は極めて少なく、客観的な評価を科学的に進めるためには外部被曝を含んだ疫学データをも用いて評価せざるを得なかったということを示しているということでございます。
 最後に、ウランについても、要約に関する部分について補足いたします。次のページに行きまして、3.ウランによる健康影響についてということですが、ウランについては、同位体が放射性核種であるということで、化学物質と放射性物質の両方の毒性を発現する可能性があるということでございます。
 ただ、先ほどから紹介したTDIというのは、まさに化学物質の毒性ということでお出ししていて、最後の224ページの6行目に書いてありますが、TDIに相当する摂取量のウランによる放射線量は、実効線量として約0.005 mSv/年に相当する。十分低い線量であるということで、ウランの毒性については、化学物質としての毒性がより鋭敏に出るものと考えられたとしております。よって、化学物質としての毒性としてTDIを設定したということが記載されてございます。
 以上です。

○名倉課長補佐
 続きまして、資料4と資料5について説明させていただきます。
 資料4は、「浄水発生土の保管及び処理状況」をお示ししております。
 めくっていただきまして1ページ目でございますけれども、浄水発生土、浄水汚泥とも言われておりますけれども、浄水場での浄水作業に伴って出てくる汚泥のことでございます。左の方を見ていただきますと、濃縮槽から始まっておりますけれども、その前に浄水工程がございまして、その中で凝集剤等を入れて沈んだものを集めてきまして、それを濃縮して脱水して絞った形で浄水発生土として搬出しているということでございます。
 通常時ですと、かなりの部分は有効利用されておりまして、セメントの原料とか園芸用土として利用されたりしておりまして、残った部分については産廃として最終処分されているものでございますけれども、この浄水発生土の中で、先ほど資料1の中でも東京都のものについて説明がありましたけれども、放射性物質が出てくるということで、どういうふうに扱えばいいのかということを、6月16日に当面の取り扱いということで通知しております。
 6月16日のものについては、浄水発生土だけではなくて、下水からの下水汚泥とか工業用水のもの、それから農業集落排水からの汚泥とかも同じように扱うということで原子力災害対策本部が示しまして、それを各省が所管の事業に通知をしたということで、厚生労働省としては水道事業者に通知したというものでございます。
 それぞれセシウムの濃度によって取り扱いというのを定めておりまして、一番上を見ていただきますと、10万Bq/kg超のものについては、県内の遮へいできる施設で保管してくださいということ。それから、10万Bq/kg以下のものについては、濃度ごとになりますけれども、敷地境界から一定の距離をとって、管理型処分場に仮置きすることができますということを言っております。それから、8,000 Bq/kg以下のものですと、管理型処分場の跡地を居住等の用途に供しない場合であれば、管理型最終処分場に、これは仮置きではなくて埋立処分してもいいですということになっております。
 この10万Bq/kgとか8,000 Bq/kg以下のものについては、右の方にありますけれども、引き続き検討する要素があるとか、跡地利用については用途ごとに安全性を評価するといった留意事項もございます。
 それから、クリアランスレベル以下のものは再利用できることになっております。クリアランスレベルというのは何かというと、右下に米印で書いておりますけれども、原子炉等規制法に定めるコンクリート等のクリアランスレベルというのは100 Bq/kgになっております。これは、浄水発生土が100 Bq/kg以下ということではなくて、四角囲みの中に書いておりますように、ほかの原材料と混合されて希釈等をされるということで、市場に流通する前にクリアランスレベル以下になればいいということになっております。つまり、セメントとかコンクリートの状態で市場に出す前に100 Bq/kg以下になっていればいいということで、かなり希釈されますので、それ以上のものでも受け入れることができるという取り扱いを出しております。
 右の方に、園芸用土については、直接手で触れる可能性があるとか、そこで作物等を育てて、それを食べるかもしれないということもありますので、当面、出荷を自粛する。今後、安全性を評価するということで、現在、評価してございます。
 実際、どういう状況になっているかということが2ページ目に載っております。
 これは、7月28日に記者発表したものの更新をしたものでございます。7月28日のときは、7月12日時点のものをまとめたものでございますけれども、今回のものについては、9月9日時点のものをまとめております。関係の県が縦に並んでおりまして、濃度ごとに横に示しているものでございます。
 見ていただきますと、10万Bq/kgを超えるものは、すべてゼロになっておりまして、浄水発生土の場合、そういうものはないということになります。それから、10万~8,000 Bq/kgについては3,104 t、8,000~100 Bq/kg、これは一応便宜的に100 Bq/kgにしたということで、クリアランスの考え方からすると、必ずしも100 Bq/kgということではないんですけれども、整理として100 Bq/kg以下としているものです。8,000~100 Bq/kgについては、8万4,613tございまして、100 Bq/kg以下が4万tぐらいある。これは、測ったものの中でこういう内訳になっているということで、下がこれを円グラフであらわしたものになっておりまして、10万Bq/kg超はないのでゼロ%で、8,000~10万Bq/kgが2%ぐらい、8,000~100 Bq/kgが66%、100 Bq/kg以下が32%になっている。その表の一番右のところは未測定保管ということで、まだ測定していない分が3万6,820tあるということでございます。
 それから、この測定したものについて、どういうふうに処分されているかというのが3ページ目でございます。右下の合計のところを見ていただきますと、12万9,316tということで、測定したものの合計になっております。
 そのうち、左から見ていただきますと、保管されているものが8万tぐらいある。最終処分場に仮置きというのは、今のところありませんで、ゼロになっております。それから、最終処分されたものが3万t弱ぐらい。それから、セメント原料に利用されているものが6,000 t、建設改良土に使われているものが1万4,500 t、農土・園芸用土に使われているものが400 tとなっておりまして、その他が119 tとなっております。
 園芸用土は、先ほど当面自粛と書いていたんですけれども、ここで園芸用土に回っているものはNDであったものになります。
 こういう仮置きもなかなか進まない、最終処分もなかなか進まないで、保管が続いているという状況になっておりまして、なかなか処理が進んでいない。
 4ページ目でございますけれども、何とかしないといけないということで、法律ができております。これは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法というのが既に成立しております。
 目的としては、放射性物質で環境が汚染されているものについて措置を講じるというものでございます。
 責務がありますけれども、その下の制度のところを見ていただきますと、まず基本方針。環境大臣が基本方針を策定するということになっております。
 それから、基準の設定ということで、環境大臣が汚染された廃棄物及び土壌等の処理に関する基準を設定する。監視・測定を実施することになっております。
 措置については大きく2つありまして、左側の方が放射性物質により汚染された廃棄物の処理。右側がすみません、同じものが書いてあるんですけれども、こちらの方は除染でございまして、放射性物質により汚染された土壌等の除染等の措置ということになります。今回、浄水発生土関係、左側の廃棄物の処理というところに関係しております。
 ?では、環境大臣が汚染されているおそれがある地域を指定するということで、?で、その地域の処理に関する計画を策定する。?で、?の地域外の廃棄物であって、放射性物質による汚染状態が一定の基準を超えるものについて指定することになっております。
 そういった?の地域内の廃棄物とか?の指定を受けた廃棄物の処理について、国が実施するということになっておりまして、それ以外の汚染レベルの低いものについては、廃棄物処理法の規定を適用するとか、あとは不法投棄を禁止することになっております。そういうことで、特定廃棄物とか除染によって生じた除去された汚泥の措置を推進していくことになっております。
 費用の負担としましては、国が財政上の措置を実施するということになっておりますけれども、2つ目の丸で、本法の措置は、原子力損害賠償法による損害に係るものとして、関係原子力事業者の負担のもとに実施する。国が出すけれども、原子力事業者から負担してもらいますということになってございます。
 これの運用については、基本方針等も含めて、現在、調整されているところでございまして、平成24年1月1日に施行されることになりますので、その時点で処理がどこまで進められるかということになります。
 続きまして、資料5でございますけれども、原子力損害賠償についてでございます。
 1枚だけでございます。この検討会の中でも測定等を行ってきているけれども、その負担はどうなるんだという議論がこれまでもされておりますけれども、現時点でこういうふうになっておりますというものでございます。
 原子力損害の賠償に関する法律というものの中で、原子力損害賠償制度というものが設けられております。その原賠法に基づいて、原子力損害賠償紛争審査会というものが設置されておりますけれども、その中で8月5日に中間指針というものが策定されております。中間指針の中では、賠償すべき損害として、類型化が可能なものを示しております。
 ただ、この中で触れていないものでも賠償の対象になる場合もありますし、場合によっては、個別の事情では対象とはならない場合もあるということでございますけれども、水道関係では、この下の四角内にあるようなことが規定されております。
 その中では、例えば水に係る摂取制限指導に要した費用とか、水に係る放射性物質検査の指導とか、検出された上下水処理等副次産物。これは、先ほどの浄水の場合ですと、浄水発生土が当てはまりますけれども、その取扱に関する指導の対象事業者において生じた営業損害とか、これはあまりないかもしれないですけれども、就労不能に伴う損害、あと検査費用とかについて賠償すべき損害と認めることになっております。
 2つ目の塊のところでございますけれども、事故以降に生じた買い控えとか取引停止等による被害のうち、以下のものは賠償すべき損害と認めるということでございまして、上下水処理等副次産物の取扱に関する指導等について、その引き取りを忌避されたことによって発生したものとか、製品を製造していた事業者の当該製品に係るものが当てはまる。
 それから、放射性物質検査の指導を行っている都県で、取引先の要求で実施を余儀なくされた検査に係るものというのが入るということでございます。
 一番下の塊では、全体的な事項ですけれども、地方公共団体が民間事業者と同様の立場で行う事業ということで、水道事業などについての損害についても、事業者等に関する基準に照らして賠償すべき損害の範囲が判断されることになっておりますので、これをそのままとりますと、今回、水道水の検査による費用、それから浄水発生土の問題に伴って負担している費用というのは、賠償の対象になるという類型が示されているということでございます。
 以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、今、御説明いただいたことに関して、質問や御意見がありましたら、どうぞ。では、桝本先生、どうぞ。

○桝本構成員
 浄水発生土の取り扱いの説明図がございますけれども、クリアランスレベルという用語がここに使われております。私、学会の方でもこれに対してずっと異議を申し立てております。つまり、クリアランス制度は国が作った制度でして、その制度を達成するためのレベルがクリアランスレベル。
 クリアランス制度というのは、国は二重に管理すると言っています。まず、事業者が検認する方法を国に申請する。その上で、区分した物質について、国が立ち入って検査する。検査して、十分達成できていると確認しない限り、クリアランスレベルにはなっていないということになる。それが要件としてあるわけです。ですから、安易にクリアランスレベルという言葉をこういったところで使うのは、混同を招くと思われます。
 ちなみに、クリアランスレベルは、非常に管理された事業所から廃棄物が出るときに何万tというのを想定する。1発電所が解体されるときに想定されるコンクリートと金属だけの量を決めて、それが埋設に行ったり再利用されるときの被曝線量のみを評価していますので、こういう地域的に全域が汚染されたような状況を想定しているシナリオではないと、私自身は思っています。
 ですから、現存被曝状況と今、言いますけれども、そういう状況と、こういうクリアランスというのは、管理された区域から外に出す。そのときに十分安全性を確認して出すというやり方のシステムですから、全く違うと私自身は思っているんですね。ですから、いろいろな省庁でクリアランスレベルということを引用されるんですけれども、それは安易に引用されるべきではないんではないかと思います。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございます。私もそれを言おうかと思っていたんだけれども、ありがとうございました。
 ほかに。古米先生。

○古米構成員
 同じ資料で質問させていただきたいと思いますけれども、先ほど東京都の浄水発生土のデータも示していただきましたけれども、ここで放射性物質が検出されたという定義は、同じように10 Bq/kgぐらいになるとか、100 Bq/kgだという基準があって決まっているのか。場合によっては、県ごとに全然違う数値によって、こういった情報が整理されているのか、その辺、ちょっとお聴きしたいと思います。

○名倉課長補佐
 検出されたのは、特に下限が幾らというのは決められておりませんので、検査をされて検出されているかどうかということで、特に下限がいくらであるという数値は示されておりません。

○古米構成員
 言い換えると、測定しないと検出されないという話が出てきて、水道の方は方針が出ているのに対して、発生土に対しては明確なものではないと。そうすると、水道の方については11都県だけれども、今回の表は、長野、山梨、静岡も入っているというように、同じような水道の話のときになぜ違う県が対象になるのかということも、ちょっと気になったので、その辺の整理の仕方の方針というのをお聞かせいただきたいと思います。

○名倉課長補佐
 これらにつきましては、今回、水道で蓋然性の高いところということで通知したものでございまして、水道水の場合、11都県が蓋然性が高いということで入っておりますけれども、長野、山梨、静岡は、下水汚泥でこれを出した当時出ていたということで、下水で出たら水道でも出る可能性もあるであろうということで、あわせて通知したものでございます。

○眞柄座長
 桝本先生の言われたことなんですけれども、例えば2ページの上の発生土の取り扱いのクリアランスレベルという数字も勿論あるんだけれども、なぜ100 Bq/kg以下という区分をしているのかというのが難しいなと思ったのと、それから、浄水処理をやれば、普通の排水処理施設の設計の一般的なやり方とすれば、濁度30度ぐらいだったら、処理水量の0.01~0.1%ぐらいの泥が出るわけですね。ということは、セシウムが来ているわけですから、1,000倍~1万倍濃くなるのは当たり前なわけです。そうしたら、原水に1 Bq/kgあったら、1,000~1万Bq/kgの範囲に出てくるのは当たり前でしょう。
 そういうふうに言えば、確かにこれだけ出てきても不思議はないんですが、とにかく保管している量が発生した13万tのうち8万tで、いろいろな事業体の方からお話を聞くと、どんどんたまっていって、そのうちに置き場もなくなって浄水処理ができなくなる。ちょっと乱暴な話かもしれないけれども、10 Bq/kgまで上水に流してしまっていいじゃないか。そして、泥の方に行く量を減らせばいいわけですよ。どっちに分配するかだけの話だから。そういうことまで行きかねないです。要するに、今、200 Bq/kgか。それ以下だったら、子どもだったら100 Bq/kgだから、100 Bq/kg以下だったら直接飲用の指導をしなくてもいいと。原水みたいな10 Bq/kgか、そこらある。それだったら、そこそこ、ろ過して出せばしまえばいいじゃないか。そうしたら、泥が全然濃いものが出てこないからいいじゃないかという話にもなりかねないので。ちょっと乱暴な例えですけれども。
 だから、こういう数字を見て、特別措置法で1月から運用指針が出るわけですが、環境大臣は汚染状態に一定の基準というのを作ろうとしている。その一定の基準というのは、それは産業界だけじゃなくて、水道の泥は幾らまでやってくれるのか、幾らまでは自分たちでやれという仕切りが出てくるわけですから、この運用の実態を決めるときに、要するに国民が水道水は飲み水だけじゃなくて、とにかくいろいろな用途に使っているわけだから、このことが原因で給水停止や給水制限が発生しないように、是非御努力いただきたいと思います。
 それから、先ほどの調査で、都道府県の地方自治体に通知を出したわけですよね。国直轄の水道というものがありますね。それには通知は行っているんですか。

○名倉課長補佐
 国直轄の水道事業者、それから都道府県認可のところは都道府県を通じて通知を出しております。

○眞柄座長
 国が直接認可の水道のデータは、ここに入っていませんね。さっきの測定の実施状況。

○名倉課長補佐
 入っております。

○眞柄座長
 それぞれの県の中に入っていると。わかりました。国直轄の専用水道で汚泥が出ているところはありませんね。

○名倉課長補佐
 県別に整理しておりますけれども、その中に国直轄のもの(水道事業及び用水供給事業)もあれば、都道府県認可のものも入っている。どの県の中に入っている事業体かということで整理しております。

○眞柄座長
 私の質問は、国直轄の水道で汚泥が仮置きなり、あるいは処分されたようなところはありますか。

○名倉課長補佐
 あると思います。

○眞柄座長
 うまくいっているのは、なぜうまくいっているのかという理由を教えてもらうと、国直轄の水道で出てきた泥は、ちゃんと埋め立てなり何なりに行っていると。国直轄でない地方自治体が運営している水道は、今、実態を見ると大変困っているわけですよ。だから、なぜ国のやつはうまくいって、普通の地方自治体がやっている水道は困っている。うまくいっているんだったら、うまくやっている方法を地方自治体がやっている水道に教えるということはできないんですかという意味です。

○名倉課長補佐
 この整理は、特に国認可と都道府県認可を分けておりませんで、全部。

○眞柄座長
 私が言ったのは専用水道。

○名倉課長補佐
 専用水道はこれの中には入っておりません。上水と用供です。

○眞柄座長
 国の専用水道というのは、もっとはっきり言えば、大きな自衛隊の基地は専用水道ですね。明らかに数千t以上、給水能力を持っている基地があって、そういうところの水道について、自衛隊だから当然、放射線を測っているだろうと思いますが、そういうところで泥が出ているところは、自分の基地のベースの中に置いているのか、ちゃんと埋立処分しているのか。
 埋立処分しているんだったら、彼らはどこかに埋立処分地を持っていてやっているんだったら、そこへ近場の地方自治体の水道の泥を一緒に埋めさせてもらうような便宜を県を通じて考えられないだろうかという、ちょっとした思い付きの話ですから、そんなに深く考えてもらわなくても結構ですが。
 もう一つ、私、不思議に思うのは、東京都が仮置きが少ないんですね。東京都が仮置きが少なくて、近隣の県で仮置きしなければならないところがあるんだったら、東京都で処分できているんだったら、近隣の埼玉とか千葉を東京都が助けてやれないかという工夫みたいなこと。そんなに困っていないところもあるんだったら、そこをどうやってほかのところも知恵をあげるとか、こういうふうにすればいいよという指導をしていただいたら、皆さん助かるんじゃないでしょうかという意味です。

○名倉課長補佐
 東京都の場合は、都が最終処分場を持っているということになりますので、水道をやっているのも都だということで、入れやすいのかなと思います。ほかのところは、市町村レベルで水道をやっていたりしますので、それをどこに持っていくかということになりますけれども。
 一般廃棄物の最終処分場を市町村が持っている場合がございますけれども、そこに入れることができるという判断は環境省がしておりますので、その情報については、各水道事業者にそういうことも考えてくださいということで連絡しているところです。

○眞柄座長
 東京都の方がいらっしゃると、私のところが狭くなると怒られるかもしれないけれども、東京都は自前の管理型の埋立処分地を持っているわけですね。まだ空間があるわけでしょう。だから、その空間を千葉なり福島の浄水汚泥を入れるのに使わさせてもらって、いずれ千葉とか茨城が自前のものができたら、そこへトレードオフじゃないけれども、その分、東京都のものを入れるということを、つまり広域的に今ある管理型の埋立処分地を活用する方法を考えてあげないと、大きな浄水場は別だけれども、小さな浄水場で仮置き場がなくて困っているところを私、たくさん知っていますよ。
 だから、そういうところのものを東京都の埋立処分地に入れてもらえるような、それは今の廃棄物法の中でできないのか、あるいはできるようにしてあげて、そういうところに使ってあげないと。だって、こんな状態が、1月で特別措置法で今度、国がやってくれるのを待っていればいいやという話になっても、国もできないわけだから、本当に真剣に関係のところと相談していただきたいなというのがねらいです。そういうことだと思いますが。

○名倉課長補佐
 実際には、国がやると言っても、どこかに処分場を、あるところに入れるか、新しいところを作るかということになると思いますので、そういうことも含めて考えられていくんではないかと思っております。

○眞柄座長
 それでは、ほかに何かありますか。朝永先生。

○朝長構成員
 先ほどの食品安全委員会のあれで、ちょっとコメントですが。インドでしたか、500 mGyで極端に高いですね。それから、100 mSvは原爆の被爆者のデータ。500 ミリぐらいでは影響がなくて、100 ミリで影響があるということは、疫学的な観察術としてはそれでいいと思うんですけれども、なぜそんなに違うのかというのはちょっと考えないといけないと思います。原爆は1分間ぐらいで、ばあっと火球から出た放射能を瞬間的に浴びるわけですね。それが一生、今でも続いているわけですけれども、がん起こしてくる。これは遺伝子レベルの影響だと思いますね。
 一方、自然放射線として毎日微量を浴びていく様式だと、かなり高い500 mGyまで来ても全然発がん率が上がっていないということは、動物実験とか試験管内の実験ではよく確かめられていることですね。影響が瞬間的な場合と比べると少ないということですね。そういう解釈を入れたらいけないだろうと思いますけれども。
 その2つぐらいしかデータがないということが現実の問題としては重要なので、その2つだけに基づいて適切な、特に100 mSv以下のグレイゾーンに関して、はっきりした基準を示すことはなかなか難しいと思われます。そういうコメントをちょっと申し上げておきたいと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございます。要するに、今回のことを追加的なリスクをどう考えるかということと、それからインドのように恒常的に曝露するときのリスクというのは、食品安全委員会で大変苦労されていらっしゃることだと思いますが、大変有益なコメントをありがとうございました。
 以上で一通り、議題と準備されていることが終わりましたので、特になければ、これで今日の検討会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

○尾川管理官
 どうもありがとうございました。本日いただきました御意見、承りました。
 本日の審議事項でございます測定法マニュアルにつきましては、御意見を桝本先生とも御相談させていただいて、最終版としたいと思います。また、その他、今後のモニタリング実施体制、浄水発生土等々、御意見を賜りましてありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局水道課水道水質管理室

代表: 03(5253)1111
内線: 4033 ・ 4034

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