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2011年6月22日 第2回 職場におけるリスクに基づく合理的な化学物質管理の促進のための検討会議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成23年6月22日(水)14:00~16:00


○場所

経済産業省別館 8階 825号室


○議事

○ 奥野安全専門官 本日は大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第2回職場におけるリスクに基づく合理的な化学物質管理の促進のための検討会」を開催いたします。本日は市川委員代理として、日本労働組合総連合会藤冨様にご出席いただいております。また菅野委員から欠席とのご連絡をいただいております。武田委員からはご欠席の連絡はいただいておりませんが、遅れられているようでございます。
 はじめに資料の確認をいたします。手元の資料の議事次第の次から資料が始まります。資料1が1頁です。前回の議事概要の(案)です。3頁から資料2-1が始まります。局排等以外の発散抑制方法の導入のイメージ(素案)です。4頁が資料2-2、局排等以外の発散抑制方法の導入の際の検討事項です。資料2-2は6頁まで続いています。7頁からが資料3-1、作業環境測定の評価結果等の労働者への周知についてです。最後の8頁が資料3-2、作業環境測定の評価結果等の労働者への周知のあり方(素案)です。それでは名古屋先生よろしくお願いいたします。
○ 名古屋座長 それでは第2回を始めます。議事に入る前に前回の議事録の概要を事務局から説明をお願いします。
○ 柳川調査官 それでは資料1に基づいて前回の議事概要を説明いたします。まず、1は日時と場所で、2が出席者ですが、省略します。3が概要で(1)として名古屋先生が座長に選任されました。(2)で職場におけるリスクに基づく合理的な化学物質管理の促進について事務局より説明いたし、その資料に基づいて自由討議が行われました。概要は以下のとおりです。
まず、1として、この検討会はいつごろまでに結論を出すのかというご質問があり、事務局より7月もしくは8月ぐらいまでに解決をしたいと申し上げました。ただひとつご了解いただきたいのは、その後3.11に関して、現在の電力需給が非常に逼迫しているということで、原則、厚生労働省として7、8、9月の3カ月については会議を開かないとなっておりますので、10月以降に第3回を開催して、結論を出していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 2として、局所排気装置以外の発散抑制方法の導入についてです。前回の資料2-2について、1と2、1は導入の際に確認をするもので、2は導入の後の必要事項について説明をいたしました。
 2番目として、規制対象外の物質はこの場合対象から外れるのかというご質問がありましたが、これはもともと局所排気装置が義務づけられているものについて、局所排気装置以外の発散抑制方法を認めていこうというものですから、規制対象外の物質は除かれますというご説明をしております。
 それから局所排気装置以外の発散抑制方法の例として、例えば温度を下げて蒸気の発散を抑制したり、あるいは卓上の空気清浄機、労働安全衛生法の要件を満たさないような局所排気装置により、気中濃度を下げるという方法が考えられるのではないかというご指摘がありました。それから取扱う量が少なくて、短時間であるということにより、気中濃度が結果的に低くなれば、何も設置しないということもあり得るのではないかというご指摘がありました。これについてその後若干のご検討がありましたが、その中で大きく2つの考え方が示されたのではないかと思っております。詳細は省略していますが、1つはこちらの考え方はあくまでも結果、つまり管理区分が一になることを求めるのであり、管理区分が一になるのであれば、それは良好な作業環境の状態になるのですから、そういう状態になるのであればどういう方法であったとしても、一になるという結果を求めるという思想ですので、そういう方法で問題はないのではないかというお考えと、いま1つはそうは言っても、管理濃度が一とは言え、職場の作業環境中の気中濃度は低ければ低いほどいいわけであり、何か事故があった場合を考えれば、マージンは大きいほうがいい、もしくは管理濃度はこれまで改善をされたということも過去にはあるわけですから、そこも低ければ低いほうがいいわけであり、現に局所排気装置という解決方法がある以上は、局所排気装置の性能を下げてまで管理一であればいいのではないかという発想はおかしいのではないかと、そういったようなご議論があったと事務局としては考えております。
 次は管理一を達成する方法はよいけれども、局所排気装置以外の発散抑制方法が認められた場合、管理一を達成できなければ法違反が問われるのかというご質問がございまして、法制度の設計については、審議会で別途検討すると回答を事務局からしております。
 また現行の規制は、発散抑制方法を局排等に限定した上で、性能要件・稼動要件を満たしていれば、結果までは求めていないけれども、今回検討しているものは、あくまでも結果を求めるものであるというご指摘がありました。それから厚生労働省に提出する書類、これは最初のときの認定のときの書類ということですが、これは公的機関が認定するのか、自社で判断できるようにするのかは検討が必要ということでしたが、基本的に自社で判断をして、作成をした書類について労働基準監督署長が確認をして、認定をするという方法を事務局としては考えております。
 次は局所排気装置等以外の発散抑制方法を認めるのであれば、測定頻度を高めるという必要があるだろうということです。リアルタイムモニタリングであれば、常時監視ができるであろうというご指摘がありました。それから健康有害性がある分解生成物が発生するような恐れがあるようなものについては、このモニタリングの頻度、間隔を短くする。頻度を増やす必要があるけれども、例えば温度管理によって蒸気の発散を抑制するという方法であれば、この頻度を増やす必要はないのではないかというご指摘がありました。それから年間総使用量とリスクの間には、関係があるのかというご質問があり、これに対して設計時の使用量よりも、実際の使用量が大きければ、それだけリスクは増加する可能性があるであろうと。したがってこれは、最初の申請のときの確認よりも、使用量が大きくなれば、それは確認の効果はそこまで及ばないのではないかというご指摘がありました。
 それからVOCモニタリングを認めていただければ、運用はしやすくなるというご指摘がありました。それからVOCモニタリングによる管理は、アルコール系とほかの系が混在していると、これは極めて難しいのではないかというご指摘もありました。
 次に3、これは作業環境測定の結果、この評価の結果を労働者へ周知をするあり方についてです。これについては現場では雇用主の違う労働者が混在していることが多いため、下請等の労働者、この「等」の中には派遣労働者が入ろうかと思いますが、こういう方々も含めて、周知が行われる必要があるというご指摘がありました。
 次は周知に当たっては、掲示がわかりやすいけれども、管理一であったとしても、管理一という掲示をしてしまうと、そこは安心であるという印象を労働者に与える恐れがあるけれども、管理一であったとしても、規制対象外の他の有害な化学物質が存在する恐れがあり、「管理一即安全」というように見えてしまうことは、いけないのではないかと。またこの周知は単位作業場ごとに周知する必要があるであろうというご指摘がありました。それから周知すること自体はある意味簡単ではあるが、ただ評価結果が何を意味しているかや、リスク提言措置の必要性を労働者に伝えていくことは、小規模な事業場にとっては難しい面があるから、フォローが必要であるというご指摘がありました。
 最後に、事業者に対して専門的な説明ができる機関の例として、作業環境測定機関や産業保健推進センター等が挙げられるであろうというご指摘がありました。以上でございます。
○ 名古屋座長 ただいまの説明について、ご質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。それではこれは確認されたということで進めていきます。それでは本日の議題に入ります。局所排気装置以外の発散抑制方法の導入について、資料2-1、2-2を使い事務局から説明をお願いします。
○ 柳川調査官 それでは資料2-1及び2-2を使い、局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入のイメージについて(素案)をご説明します。前回、私どもから枠組みについてのたたき台を示しました。それについて先生方からさまざまな大変貴重なご意見をいただきましたので、その貴重なご意見を念頭に置き事務局で(素案)として作成したものがこちらです。
 まず概要ですが、事業者は監督署長の許可を受けることにより、一定の要件の下で、現在はいわゆる4規則に定めている密閉化設備・局所排気装置・プッシュプル以外の発散抑制方法を導入することができるということが大きなイメージです。ではその局所排気装置等以外の発散抑制方法としてどのようなものがあるかですが、1つには新しい技術を用いた発散抑制方法、現在はあまり存在はしていないかもしれませんが、例としては低温とすることにより、発散を抑制をする。あるいは光触媒等により有害な化学物質等を分解するといったものが考えられるのではないかと考えております。あるいは局所排気装置等以外の換気装置によって管理一が達成できるのであれば、そういうこともあり得るのではないかを念頭に置いております。基本は下の図で、原則は事業者が監督署長に対して申請をし、監督署長がそれに対して許可、不許可の結論を出す。これについて初期のころはすべて必要があることになろうかと思いますが、本省に置かれる専門家による検討会に対し検討を依頼し、そこで検討結果を監督署長に対して伝達をして、監督署長がその許可、不許可を出せるようにすることを考えております。最初の許可の要件は、事業者は監督署長に申請をし、どのような場合に監督署長が許可を出すかですが、1~6まで(素案)として考えております。まず1として、事業者の方が新たな発散抑制方法を用いた上で、現実にその作業を行ってみて、第一管理区分となることを確認することが必要であるとしたらどうかということです。ただ現実問題として、実際の作業場にその装置を導入をしたが、結果的に第一管理区分とならなかったということ、あるいは許可が出なかったとなりますと、かなり大きなリスクを負うことになるので、そこへの実験的なものでもよしとすることが妥当ではないかと考えております。
 また2として、新たな発散抑制方法それ自体、要するに新たな発散抑制方法といっても、有機溶剤、そういった化学物質を分解するようなものが出てくる可能性があるわけですが、分解する仕組みそのものがヒトに対する有害性があるということでは、これ何のために発散抑制をしたのかわかりませんし、分解をした結果、分解生成物がまたヒトに対する危険有害性があるということでは、規制対象物質については管理一になったとしても、意味がないわけですので、こういうことがないことは確認するべきであろうというのが2です。
 3として、そういう設備が入ったとしても、それをきちんと管理運営がなされということが前提ですので、定期的な点検等により、維持管理が行われるための体制が整備されているということも条件にするべきではないかと考えております。また、1~3について、これは事業場外でも事業場内でも構わないと思いますが、きちっとした専門家が確認を行っているということも、確認の要件に付け加えてはどうかと考えております。それから労働者の意見が反映されているということについて、衛生委員会においてきちんと関係する労働者、その作業に関係する労働者の意見が反映されているといったようなこと。衛生委員会の設置されている事業場においては、関係する労働者について意見調整が行われていることを条件にしてはどうか。
 6についてはその他ということです。これは後ほど細かく説明いたします。
 次に、許可後の要件として、事業場へ導入後、直ちに作業環境測定を実施する。既に行われている場合には構わないかと思いますが、実験的に一になるということであれば、直ちに作業環境測定を実施し、その結果が出るまでは保護具を着用していただく。1の法定の作業環境測定の結果、第一管理区分が継続していること。これは当然のことながらこういう条件が必要であろうと思います。
 3として、定期的な点検等による維持管理や衛生委員会における調査審議等が継続的に行われていることが必要であろう。また4として、作業環境測定の評価結果等について、労働者へ周知をし、これは後ほど出てくることになりますが、適切に意見調整が行われていること。5として、これらの結果の記録を保存をすることです。
 かなり抽象的な説明でしたが、具体的にはこういうことになるのかなということで書いているのが、資料2-2になります。まず対象物質です。先ほども申し上げましたように、こういう規制対象物質が対象になるのは当然ですが、1つには有機則の有機溶剤を対象にしてはどうか。それから特化則の第二類物質を対象にしてはどうか。第一類物質については、微量のばく露によっても重大な健康障害を生じる恐れがある有害物質ですので、これは現行でも大臣の許可の下、厳密な管理が必要となっておりますので、これについては当面見合わせることでどうかと思っております。第三類物質については、もともと局排等の設置に係る規定が適用されませんので、そもそも本制度の対象にはなり得ないものと考えております。
 それから四アルキル鉛については、これも密閉化、囲い式フードといった大変厳しい管理が求められているものですので、また四アルキル鉛は現在日本ではあまり使われていないということもありますので、当面これについては見合わせていただくことが妥当ではないか。それから粉じん則についても、粉じんについては、現実問題としては、いわゆるベーパーなどそういうものとは作業場内のふるまい等も違っておりますし、これは局所排気装置以外の方法といっても、なかなか難しい面があろうかと思いますので、当面別途検討にさせていただいております。
 それから特別則の規制対象ではないところの有害物質については、そもそも局排等の設置に関わる規定が適用されないため、この制度の対象にはならないということです。
 次に許可の要件です。まず新たな発散抑制方法を用いた上で、第一管理区分となることを確認した上で、提出していただくことになるわけですが、これらの実験設備もしくは導入予定作業場内で、試験的に測定をした結果、管理一になることを認めればいいのではないかと思っております。それについてはおそらく論点として、継続的に第一管理区分が維持されていることを確認する必要もあるのかという論点が出てくるかと思います。また例えばコンピューターシミュレーションのようなものを認めるのかといったような論点も出てこようかと思います。
 それから2として、新たな発散抑制方法がヒトへの危険有害性がないことということですが、分解剤、吸着剤、副成生物等、危険有害性がないことが以下の点により確認されていることということです。1つは、きちっとした論文により確認されているということが、最低限必要ではないかと考えております。それからその論文の論拠が十分合理的なものであること。それからその方法にヒトに対する健康影響があることを伺わせるような他の論文が存在している場合、それに対する合理的な反論がなされていることが必要ではないかと考えております。
 定期的な点検等による維持管理が行われるための管理体制が整備されていることということで、1つには「労働安全衛生マネジメントシステム指針を実施」、あるいは「専門家の指導を受けた上で、作業標準が策定をされ、MSDSを活用する等により、化学物質のリスクアセスメント指針を実施している」といったようなことを条件として掲げてはどうかと考えております。また定期的な点検等により、いわゆる局所排気装置等以外の設備の維持管理の実施が行われていることが重要であろう。例えば作業主任者、衛生管理者、衛生推進者による週1回の職場巡視であるとか、あるいは問題がある場合については必要な対応を講じるための体制が整っているかといったことが例として挙げられるのではないかと考えております。
 それから衛生委員会においての調査審議が継続的に行われていること。あるいは衛生委員会がない事業場については、則の第23条の2に基づく関係労働者の意見を聞くことといったようなことが行われていることを条件として挙げてはいかがかと思っております。それからマネジメント指針等の実施状況。測定・評価結果、対処方針等の審議を行うといったことも、この衛生委員会の中の審議として挙げられるのではないかと考えております。
 では問題はこの専門家としてどういったような方が挙げられるのかですが、1つには衛生工学の労働衛生コンサルタントとか、作業環境測定士、あるいは衛生工学衛生管理者の中で専門知識あるいは実務経験の豊富な方ということを条件とすることが、挙げられるのではないかと考えております。
 次に許可後の要件です。定期的な作業環境測定を実施していただくのは当然なこととして、では作業環境測定機関の要件について、何か設定をする必要はないだろうかということが論点として挙がってくるのではないかと考えております。作業環境測定は半年に1回ですので、この設備が新しい局所排気装置以外の設備がきちっと今日と明日と明後日とで同じように動いているかどうかということは、当然確認する必要が出てこようかと思いますので、作業環境測定を補完するための測定の必要性があるのではないかと考えております。1つはリアルタイムモニタリング、もしくは例えば毎月B測定のようなものを実施するということの必要性がないだろうか。これについてはいろいろな論点があろうかと思いますが、例えばリアルタイムモニタリングは急性毒性・爆発性物質、あるいはばく露量が多いような場合については、必要かもしれないけれども、そういったような場合でなければ、例えばある程度インターバルがあってもいいのではないかというご議論は当然あろうかと思います。それからリアルタイムモニタリングの有効性は、許可・申請の際に、測定機を本省の専門検討会において検討して公表し、その後は国の検討を経ることなく使用ができるようにするといったことが考えられるかと思います。それから取扱う化学物質が限られている場合については、VOCモニタリングの活用も考えられるのかなと考えております。またリアルタイムモニタリングに代わるものとして、バイオロジカルモニタリングを使うことも当然論点としては挙がってこようかと思いますが、ただバイオロジカルモニタリングの対象物質というのは、現在はあまり多くはありませんし、またその測定の時期、例えば作業の直後にやらなければ意味がないようなものもありますし、なかなかいろいろな難しい課題が多いのではないかと事務局としては考えております。
 3は作業環境測定結果の評価等の記録保存は必要といたしまして、これに加えて、例えば作業環境測定の評価結果を監督署に報告する必要がないだろうかといったようなことも論点として挙がってこようかと思っております。その他の検討事項として、1~3まで挙げておりますが、例えば申請上はある条件のもとで申請をするわけですけれども、当然のことながらそれに変更を加えることはあり得るわけですが、では変更をする場合に、どの程度の変更がある場合に再度許可・申請を行うのかといったようなことが、論点になってくるかと思います。根本的な変更があった場合のみ、再度許可・申請を行えばいいのか。あるいは根本的な変更がないような場合については、例えば専門家の確認を受けて、監督署長へ報告をし、認定を受ければ可とするといったようなことも考えられるでしょうし、それからイの場合については、当然のことながら直ちに作業環境測定を実施をして、第一管理区分であることの結果が出るまでは、労働者には保護具の使用をさせる。その結果が一になるということであれば、これは一を求めるという制度ですので、それでいいのではないかといった論点はあろうかと思います。それから問題は、許可後に、作業環境測定の評価結果、これは当然二または三になるということも、これは論理的にはあるわけでして、その場合についての対応も考えておかざるを得ないだろうと思います。
 また先ほど出てきたいわゆるモニタリング、この結果有害物質の漏洩が確認された場合にどうするのか。1つは直ちに作業環境測定を行って、改善されたことを確認するための作業環境測定を行っていただくことが必要であろうかと思います。当然のことながらその結果は一になることが必要であろうと。それから作業環境測定の評価結果もしくはモニタリング結果、これは異常が出たということですので、ここで監督課長と書いてあるのは誤植で監督署長ですが、報告をする必要があるだろうと思います。それから作業環境を改善するまでの間は、労働者に保護具を使用させること等を条件とし、問題はいつまでも二または三であるという状況のまま続けていくということは、当然のことながら許可の前提条件が外れたわけですから、ここは許可を外さざるを得ないのですが、ただ1回二になったら直ちに許可を外してしまうというのでは、事業者としてもかなりのリスクを負うことになりますので、改善の余地は与える必要はあるかと思いますが、問題はどのぐらいの期間改善のための期間を認めるのかは問題になろうかと思います。それが例えば1カ月にわたって一になることができないのであれば、そこで直ちにその許可は取り消すということにするのか。あるいはそれが2カ月なのか、3カ月なのかといったことはご議論はあろうかと思います。ただ有害物質の漏洩が非常に多く、急性中毒の汚染があるような場合については、作業環境を改善するまでの間、直ちに発生源である設備の稼動を止めるといったようなことも検討をする必要は出てこようかと思います。
 3として発散抑制方法を講じなくても第一管理区分が達成されればいいと。これは何かといいますと、先ほどの前回のご議論の中でありましたが、結果として第一管理区分を求めるというのが、この新しい考え方の骨幹をなす以上は、発生物の発散抑制方法を全く講じなかったとしても、それが第一になるのであれば、当然それはその事業場としては、労働衛生環境としては大変いい環境が整っているわけですから、それでもいいのではないかというご議論があったかと思います。これについては、現行の適用除外の認定等の規定がありますので、これによるということでもよろしいのではないかと事務局としては考えております。私からたたき台として提出いたしますものについて、ご説明いたしました。以上でございます。
○ 名古屋座長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして質問等、ありますでしょうか。よろしくお願いします。
○ 岩崎委員 資料2-2に対象物質とありますが、ここの有機溶剤というのは、第三種は特化の第三類と同じでしょう。対策は、要するに局排等の設置に係る規定というのは、たしかなかったと思います。
○ 柳川調査官 そうですね。
○ 岩崎委員 ですから、それも、この制度からは除外されることになろうかと思います。
○ 柳川調査官 失礼しました。
○ 名古屋座長 あとよろしいですか。
○ 藤冨様(市川委員代理) 5頁の4の専門家の確認ですが、専門家に確認してもらう以上は、専門家の方の素質をいかに確保するのかと、あと育成という観点がすごく重要だと思っています。この中で「専門知識や実務経験が豊富な者」という記載があるのですが、この専門家の方々の質をいかに確保していくのか。あるいはその方の育成の点に関して、現在のお考えをお伺いしたいと思います。
○ 柳川調査官 それにつきましても、この検討会の中でご検討いただきたいと思っていますけれども、ひとつには、少なくともこれは現行制度の下で、これに拠らなければできないというものではありませんので、ある程度の質を確保するという考え方は当然のことながらあろうかと思います。ただ、現実問題として、例えば衛生工学の労働衛生コンサルタントで実務経験が3年とか4年というふうに切って、そのレベルであれば認めていくといったことはあろうかと思います。これにつきましては基本的に提出の際の認定を、申請を出す際に専門家に確認していただくということがあり、その後、当然、監督署長の認定という行為がありますから、あまりガチガチに固める必要はないのかなと考えています。
 例えば作業環境測定士であれば、これも政省令に係るかどうかは別として、作業環境測定協会がやっている、オキュペイショナルハイジニストといったものを取っていれば無条件でいいとか、作業環境測定士として何年間の実務経験があればいいとか、そういった形になろうかと思います。
 ただ、難しいのは、例えば北海道にはそういった人が1人もいませんとか、何々県にはそういった人が1人もいませんということでは実効性が湧いてきませんので、ある程度そこら辺は緩く決めていく必要はあるのかなと思います。最終的に監督署長が確認する前提ですし、これが無条件で入ってしまっているのはありませんので、ある程度そういった常識的なところで線を引けばいいのかなと思っています。ただ、実務経験は3年がいいのか4年がいいのかは、当然、いろいろなお考えがあろうかと思います。
○ 名古屋座長 よろしいですか。判断基準は難しいと思います。
○ 藤冨様(市川委員代理) でも専門知識という面では、労働衛生コンサルタントの方や作業環境測定士、衛生工学衛生管理者という方は、かなりレベルの高い専門性は持っている。あと実務がどうかというのはあるかもしれません。そこは先ほどありましたけれども、2年にするのか3年にするのかはあるのかもしれない。
○ 名古屋座長 あと自由に、お気づきの点がありましたら。
○ 山田委員 4頁で許可の要件の2ですが、新たな発散抑制方法がヒトへの危険有害性がないことということで、ア、イ、ウの条件が必要だということですけれども、このア、イ、ウというのはどれかという意味合いですか、すべてではなくどれかですか。
○ 柳川調査官 事務局の考えとして、すべてと考えています。
○ 山田委員 すべてだとなると、これはどちらかというと論文とか、かなりハードルが高いような書き方ですけれども、発散抑制方法というのは2つ考えられる。1つは、おそらく使用条件ということです。温度を下げたりとか、そういうようなやり方と、もう1つは、ハード的に吸引したものを何か処理する。この書き方だと、それを処理するというイメージがすごく強いのです。そういうものだとおそらく技術書みたいなものですね、処理装置というのはメーカーのものがあるかもしれないし、そういうものに頼ることもあるのではないかと思います。ですから、すべて論文という形になるときつい部分が出てくると思ったのです。
○ 柳川調査官 あくまでも、これにそぐわないようなものがあろうかと思います。私どもが念頭に置いていたのは、例えば何か新しい化学物質でも何でもいいですが、それを使って分解するような場合に、分解されたものについては論文等で、これはそんなに害がないことを確認しておく必要があると考えているのです。というのは、そういうのは局所排気装置は使われないというのが前提ですから、要するに分解するための物がそこにあるわけですので、そこはある程度きちっとした確認をしておくことが必要だろうと考えます。
○ 山田委員 おそらく製品を作るというときは、分解されると困ると思うし、あとに分解しなければいけないから、何か装置が必要だなというイメージが湧いてしまうのです。
○ 柳川調査官 ですから、その物質そのものは必要だけれども、基準に入れてくる必要はないというところだと、直ちに分解するためのものを何か使うとしますね。あそこに局所排気装置があれば何の問題もないのですが、局所排気装置は付けないのが前提ですから、それは当然のことながら人が吸うことになります。かつ、局所排気装置というものが全くない状態で、これを許可するか許可しないかということであれば、間違いなく人体に対して悪影響を与えるような場合であれば禁止する。そうでない場合については何とかということは考えようと思いますけれども、ほかに取り得る手段があるわけです。そういう場合でも、あえてこれを使うということである以上は、そこはきちんと確認していかざるを得ないと思います。
○ 山田委員 あと合理的な説明というときには、論文がなくても、いわゆる従来からの物理化学的な原理原則で計算することも可能です。
○ 柳川調査官 そういう面はあろうかと思います。
○ 北野委員 3頁の許可の要件で、「事業者は監督署長に申請し、監督署長が許可を出す」と、最終的にはここに落ち着きますよとなっていますが、一般的に考えたときに、そんなに申請があちこちの監督署に出るようなものでもないでしょうし、レベル合わせというか、いま山田委員がおっしゃったように、どういうふうに合否を決定するかもかなり難しいので、右に書かれているような専門家による検討会という、本省がバックアップした所できっちり公平・公正に、また皆さんによくわかるように管理されることが必要だと感じますので、原則はこの専門家でやりますよというほうがいいのではないか。それでうまくいった後、また変えるのは結構かと思いますが、なかなか監督署長では現実的に難しいのではないかと思いました。
○ 柳川調査官 あくまでも本制度的な意味においては、専門家による検討会というのはあまり見えないので、一般の方から見ると監督署長に出して、監督署長が許可を出すというのが原則になるのです。原則は署長判断ですが、現実は専門家による検討会の判断ということで、正直申し上げまして99.9%上げてきて、ただ、同じようなものが何度も続くということであれば、署長レベルということになろうかと思います。
○ 北野委員 わかりました。
○ 半田化学物質対策課長 同じようなご説明の繰り返しになって申し訳ありませんが、この法体系全体を見ていくと、こういったものの許可、不許可は、この安衛法の体系の中でも基本的には署長レベルでやるのが非常に座りがいいということです。そのためには、署長レベルで判断できるような明確な基準を示す必要がありますが、現実問題としてこの問題は、要するに今までやったもの以外にどんなものかというのが見えないので、そういったところは政治的な判断をする。あるいは確実な判断をしていくためにも、本省の専門家チームによるバックアップが必要であろうと考えているところです。ですから現実的には、当面は本省の専門家チームがバックアップしてやっていく。それで実績を重ねていって、こういう技術の場合は、こことここを見てきちんと判断すればいいとか、そういう明確な基準を示せるようになったものは、どんどん署長判断に委ねていく仕組みにいくのだろうと思います。同じことを言っているわけですが、我が法令の体系の中では、原則論として署長許可としたほうが座りがいいということです。
○ 北野委員 背景のご説明をいただきまして、よく理解できました。ありがとうございました。
○ 名古屋座長 そこの例えば1のところに、「(実験的なものでも可)」と書いてありますが、なかなか実験は難しいかもしれないので、例えばコントロール・バンディングとか、そういう形のリスク評価をすることも、この中には入れてよろしいのでしょうか。
○ 柳川調査官 逆に、先生方にお尋ねしたいのですが、そこをそこまで認めていいかどうかご検討いただければと思います。結果的に2の許可後の要件の1というのがありますので、実際に測定してみて一にならなかったと。それまでは保護具をちゃんと付けてくださいと。ただ、それが出なければ事業者の方が、要するにそれを外して局排を付けなさいということになりますので、リスクを負うことになりまということになろうかと思いますが、その辺は検討会の先生方にご検討いただければと思います。
○ 半田化学物質対策課長 私どもがお示ししているのは素案で、これでご了解いただきたいとご説明しているつもりではありません。こういう素案をご用意して揉んでいただければということです。
 いまの部分に関して実は私どもで少し議論しました。いま先生がおっしゃったような計算式みたいなことでやって、予測して申請するのでもいいのではないかという議論もあったのですが、そのときに、それはそれでまた問題があるとして議論になったのは、こういうことで申請し、それで説明を作ってやりました。さあ、やりましょうと思ってやったらば、実は結構漏れましたということになると、せっかくやっていただいた準備が全部パーになってしまうこともあります。そうすると、どうするのがよろしいのか。とりあえず本物を作って確認してやるのがいちばんいいのですが、そこまで求めるとなかなか大変だし、ごく簡単にしておいて実際に作って申請したら、結局、許可が下りませんでしたというのもお気の毒だし、そうすると実験的なもので確認しておくのがいちばん確実かなと、そんな議論を私どもはしました。それが妥当かどうかは先生方のご意見、ご示唆をいただきたいと思います。
○ 名古屋座長 実験であろうが、それであろうが、結局、申請するほうの問題なので、だから、あえて問題としては実験的なものでも可と書くのではなく、要するに申請したときに設置したことが第一管理区分になることだけでいいです。そのときの設計要件は別のシミュレーションをしようが実験をしようが、それは要するに申請するほうの問題ですからということでいい。考え方としてはそういうことでいいですね。
○ 半田化学物質対策課長 ということは、実験であろうが何であろうか申請していいと。
○ 名古屋座長 ここに「実験的なものでも可」と書いてあるから、それではコントロール・バンディングでもいいのか、あるいはシミュレーションでもいいのかなと思ってしまう。そうでなくて、申請するときには何らかの形で管理区分一になることは事業主が確認していると。やってみたら駄目だというのは申請するほうの問題ですから、そこは何ともないのではないか。
○ 半田化学物質対策課長 あまり心配することはないということですね。
○ 名古屋座長 そういうことです。だからあえてそこは書かなくても、要するに管理区分一になることは、何でもいいけど確実にしておいたほうがいいですよという形が、合っているのかなと思います。
○ 柳川調査官 もう1つお聞きしたいのは、専門家による検討会をして、そこでこれを見た結果、一になって許可をしました。許可をした結果、2の1のところで結果が出たところが二でした、三でしたということになると、せっかく許可をもらったのに何だということにもなりかねませんので、ある程度、この程度のものはというのは必要かと思います。ただ、それがどうなのでしょう、コントロール・バンディングでも構わないしシミュレーションでもいいということで、よろしいのでしょうか。その辺は任せますよということ。
○ 岩崎委員 最近、シミュレーションというのは結構やっていますからね。例えば発散源があって、それに対する対策としてのシミュレーションをして、確認をした上で設置をするということは時折やられていますから、そういうのは入れておいてもいいのではないかと思います。
○ 柳川調査官 わかりました。
○ 山田委員 いまのシミュレーションの問題も、シミュレーションというのは2つあると思います。1つは、かなりリアルにシミュレーションする場合です。もう1つは非常に過剰にシミュレーションして安全を見て、非常に高いところでそれでもオーケーだというのを見る。その2つがあると思います。例えば厚生労働省の有機則の許容消費量、あれはまさに簡単な計算でシミュレーションをやっているのです。それでやってかなりの安全率が出ているからいいとか、そういうのを取り入れているので、そういう考え方はいまの中に取り入れるべきではないかと思います。いまは全部国がやって係数を示しているのですが、これはむしろ計算してもらったほうがいいのではないかという気がします。いまの関係だと、例えば有機だと一種、二種、三種で係数を与えてしまっていますけど、あれは分子量もすべて代表的なものしか与えていないのです。だったらちゃんと計算してもらったほうがいいのかなという気がします。あれで使っている計算式というのは非常に単純なので、誰でもできる計算式しか使っていない。そういう意味では過大評価なのですが、それで安全であれば問題なしとなると思います。
○ 柳川調査官 要するに換気装置についてのシミュレーションだったら、簡単だと思いますけれども、全く新しい技術のときにどうするかという問題はあるのかなと思います。
○ 名古屋座長 そのためには先ほど言ったように専門家による検討会が必要で、そういう形のものを全部見て、できるかどうかという形のをしていかないと無理ということではないか。当面は監督署長では無理で、そこはバックアップとして専門家がいてと、いま半田課長が言われたとおりだと思いますので、そんなふうにいけばいいのかなと思います。
○ 柳川調査官 わかりました。基本的にここのところは実際にやってもいいし、実験でもいいしシミュレーションでもいいと。とにかく何らかの形で確認してくれと。
○ 名古屋座長 そういうことです。もう1点お聞きしたかったのは、資料2-1の対象物質の中に「粉じんの対象については別途検討」ということで、粉じん則の粉じんが除かれたような記述になっているのですが、これはどうなのでしょうか。というのは、比較的有機だと処理するということで、2次生成物の問題があるのですが、粉じんの場合はヘパとか要するに取るだけですので、どういうところで使えるかどうかは別にして、技術的にいちばん適用しやすいのが、ここだと思います。それが除かれているのはどうなのか。粉じんのところでそれが使えるかどうか別にしても、要するに対象物質の中から外されているのはちょっと理解に苦しむのですが、これは何か意図があるのですか。ヘパフィルターを使って持ってくれば技術的にいちばん楽ですし、あえて生成物質ができるわけではない。例えば心配されていると思うのは、あまりよくない抑制装置だとしたら細かい粒子が出てきてナノの問題が起こってくる。その心配をされているのかなと思いますが、それは逆に言うと、窓を開けてしまったら外からナノが入って来るのと、どう変わるかで違ってくるので、ここは使えないようにするのではなく広く構えていて、申請するときに、あえてここで粉じん則から別途検討するというのは外さないで、対象物質に置いたほうが、より技術的な検討ができていいのかなと私は個人的に思います。これはどうなのでしょうか。
○ 柳川調査官 これはやらないということではなくて、別途検討ということです。ただ、私どもで考えたのは基本的に空気を吸って、いま、おっしゃったようにヘパでも何でもいいですが、フィルターを通すというようなことはあり得るのでしょうが、いわゆる全く新しく何かそれを分解するといったことは難しいのかなと思っています。当面、こちらは4規則のほうで運用してみて、その結果を見つつ、別途検討ということにさせていただけないかなと思っています。
○ 名古屋座長 だから局所排気以外の発散抑制という中に、粉じんは概念として入らないよということですね。
○ 柳川調査官 どうもそんな感じがするものですから、ちょっとこれは別途ということにさせていただければと。
○ 岩崎委員 でも特化則の中にも粉じんはあるわけでしょう。
○ 柳川調査官 もちろんありますけど、ただ、特化則の中で「ただし、粉じんは除く」と書くのもあれなので、ちょっと特化則の粉じんというのは考え難いですけど、あえて除かなくてもいいのかなというぐらいのことなのです。
○ 北野委員 いまの話を聞いて、粉じん則を入れておいても、それに合った装置が出てこなかったら出てこないで放っておくというか、結果として出てこないのであって、いま先生がおっしゃったように入れておいても別に、他意がないであろうから除くということをここで決めなくても、包含しておいて結果としてそういう手法はなかなか難しい、出てきませんでしたというところに落ち着くというのも、ひとつの考え方ですよね。
○ 柳川調査官 もちろん、そういう考え方もあろうかと思いますけれども。
○ 半田化学物質対策課長 いずれにしましても粉じんの問題はかなり広範囲で、もちろん化学物質の取扱量が事業場は多いですが、粉じんの事業場というのはもっとあり、現にいろいろな国賠訴訟も進行してない状況ですので、そういうことも考え併せると少し慎重にやっていきたいと思います。かといって、そこを除いて動かないというのも何なので、とにかくできるところからやっていこうという考え方です。いま、調査官から申し上げましたように、特化物の中にもちろん気体、液体ばかりでなく固形、固体物質もありますから、そういう意味では粉じん則と全く別というわけではないのですけれども、一応、それはマイナーなグループです。ですから有機、特化の中の確実にできそうなところで、まず一歩踏み出してみたい。踏み出させていただきたいというのが私どもの気持です。
○ 名古屋座長 ただ、思うのは、せっかく新しいことに一歩踏み出そうとしているのに、そこを止めてしまうのはどうかなと。プッシュプル換気装置のときにショットブラストのところを外したのですが、結果的に外さないでプッシュプルをかけておけばよかったなと。あとで見てくるとそういうことがあるので、入れておいたほうが技術的なことが進歩する可能性があるので、あえて除く理由がなかったら、入れておいたほうが私はいいのかなと思います。これから一歩踏み出すところに、現時点のものがあるので踏み出せないというのはどうなのか。踏み出せるということは、それに対して努力をしよう、研究者が研究しようというのを削いでしまう可能性があるかもしれない。せっかく除外しようとしているところだから、入れておいてもいいのではないか。申請したときに初めて検討すればいい話であって、あえて除く話ではないのかなと思います。
○ 半田化学物質対策課長 別途検討するという意味ですので、やらないという意味ではないのですが、ご指摘も踏まえて検討します。なかなか申し上げにくいところですけれども。
○ 名古屋座長 あと何かお気づきの点はありますか。
○ 岩崎委員 5頁に、「1を補完するための測定の必要性」とありますが、B測定というのがここに出ていますね。そのB測定で本当に抑制の評価というのができるのでしょうか。というのは、B測定というのは、ご存じのとおり非常に不安定なというか、濃度が最も濃いと思われる場所とか、あるいは発散する時間帯という定義です。そうすると測定をする方によってかなり違いも出てくるのではないかという考えも、ひとつはあるだろうと思います。ですから、こういう新しい設備のときの発散抑制方法の評価というのは、今まで特化則などで抑制濃度の方法がありますね。その場所がきちっと決められている。こういう場所の測定をして、それが抑制濃度以下であればよろしいという測定方法がありますね。それがいちばん正しいというか、改善の効果を見るためにはヒットしているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○ 柳川調査官 原則として、局所排気装置は存在していないという前提のもとで。
○ 岩崎委員 局排がなくても、ほかの新しい技術の改善がなされているわけです。そして作業環境測定するわけです。そのときに、新しい設備の発散がしやすいような周りの濃度で評価するというのが、いちばん適切ではないかなという感じがします。
○ 柳川調査官 そうしますと先生のご意見として、あくまでも半年に1回、作業測定をやるわけですが、それを補完するものとしてはB測定ではなくて、抑制。
○ 名古屋座長 B測定でなくて、新しい装置があったとしたら漏洩濃度とか、そういう形のものできちっと、そこのところは評価できる測定方法にしたほうがいいと思います。B測定だととても評価できるわけではないのです。あくまでもそこに設置されているものが、きちっと運用されて出ていないかどうかという形で、B測定は私も違うと思っています。
○ 柳川調査官 これは、あくまでも事務局が考えたたたき台ですので、大いに修正していただければと思いますが、B測定のところはどういう表現がよろしいのでしょうか。
○ 名古屋座長 漏洩濃度測定でもいいのです。
○ 柳川調査官 漏洩濃度測定。
○ 名古屋座長 要するに、そこから出てくるものをきちっと把握できる。ただ、抑制濃度の測定地点は検討していないので、やめてほしいということです。抑制濃度の測定方法の測定という1のところは、まだ管理濃度委員会で検討していないので、そこのところは現実に合っていない。そうでなくて漏洩濃度を測定するのは測定士に任せるのかどうかわかりません。一応、そこから出てくるものの漏洩濃度とか有害性の高いものは、きちっと測っておきましょうということ。
○ 柳川調査官 大体何ポイントぐらいやれば、よろしいですか。
○ 名古屋座長 そこはたぶん、いろいろ議論の分かれるところで難しいかなと思いますが、何分とかそういう形の決め方をしないほうがいい。もう1つあるのは、リアルタイムモニターを使って書いている。ではリアルモニターを置けばいいか、どこに設置するか細かく決めていないわけです。そこと同じで、何を何分やるかという決め事でなく、そういうものを使って漏洩していないことを確認しましょうということなので、測定方法はまた違った形で検討していかないといけない。
○ 柳川調査官 わかりました。毎月という部分がありますが、漏洩濃度にした場合、これは毎月でよろしいのでしょうか。それともここも。
○ 武田委員 漏洩濃度測定全体をもう少し別に決めるのであれば、ここに毎月を入れておかなくても、そのときに一緒に決めればいいと思います。
○ 半田化学物質対策課長 漏洩濃度は、何となくイメージとしてはわかるような気もしますが、通常、私どもの行政の中では使ったことのない概念かと思います。
○ 名古屋座長 抑制濃度を測るときに測定点を決めていますね。あれはもともと漏洩濃度を測りますね。そこから出てくる濃度が、それ以下にしなさいとなっている。それと同じ考え方ではないですか。漏洩してくる濃度がある抑制濃度は決められたところの中で5cm測りなさい、そこのところ以下に下げなさいということですから全く一緒ではないですか。昔からある方法でしょう。そこから漏れてくる濃度が、それ以下になったらいいでしょうという話ですから、我々が行ったときに局所排気が性能しているかどうかというのは、当然、制御風速を見ますね。それからばく露濃度を見ますね。同時に、ある程度漏れてくるかどうか測定器を置いていて、そこの濃度がどの程度になっているかちゃんと確認します。それは一般的にやられている方法ですので、別に特別な方法ではないと思います。
 ただ、細かく決めてしまうのでなく、そういうもので確認しましょうと決めておいたほうが、ここの場合は測定法の問題ですから、たぶんB測定がいいとかA測定がいいとか、いろいろな話が出てくるし、我々にとってはほかの測定法も考えられる部分もあるので、あえてそういうのでなく、そういうものを使って確認する。要するに補完する測定として、あるものが必要ですよという書き方をしているだけなので、そこにしたほうがいいのではないか。それの1つとしてリアルタイムモニターを使うという形ではないかと思います。だってリアルモニターを使うのだったら、どこに置いたらいいか。きちっとそこを決めないと、よくセンサーを使って確認すると、あまり離れすぎてしまって、結局、センサーの意味を成さないという設置の仕方がいっぱいあるわけです。リアルモニターがいいわけではなくて、リアルモニターを使う。かつ、どこで測るかがすごく問題ということなので、そこは細かく決めるのではなく、測定方法は別途考えていかなければいけない。ここで決めることではない。こういうものを使って確認しなさいという書き方をしていて、測定は別途検討したほうが私はいいと思います。
○ 柳川調査官 この「毎月」というのも落としたほうが、よろしいということでしょうか。
○ 名古屋座長 期間は決めないほうがいい。
○ 半田化学物質対策課長 ただ、ここはある意味、非常に肝の部分です。つまり今回の制度見直しが何を求めようとしているかというと、何をやれ、何を成すべきかという組立てから、どういう結果を出しているかということに視点を変えていこうとしているわけです。だから、まさにここは、ちゃんとできていますよということを確認する部分なので、私どもの考えですけれども、いちばんいいのはリアルタイムモニタリングです。ただ、これがすべての物質についてできるとは限らない。もちろん、いま先生からご指摘がありましたように、リアルタイムモニターをどこに設置するかの問題はあるにしても、それ以前に、すべてのものができるわけではないという中で、それに代わるものとしてどういうのがあるかというので、このB測定云々ということを、とりあえず考えたわけです。
 ですから、漏洩濃度の測定云々でもよろしいのですが、これが半年に一遍でいいよみたいな話になってくると、どうなのか。それで結果がちゃんと担保できるのか。こういうのをきちんと設計すれば、1回測れば半年間有効とか、そういう状況を担保できるのだというものであればよろしいですが、そのところは何かほしいなというのが私どもの考えです。
○ 名古屋座長 リアルモニターが使える物質だったら、あえて半年と決めなくても置いておけばいいのですが、それが使えない物質についてどうするかです。日程的なものはわかりませんが、最終設置したときはかなり頻繁に測定したほうがいいし、ある程度経過してくると状況がわかってくるので、空けてもいいよという形のやり方になる。要するに初めから1回でなく、最初は設置されて新しい事項だから、本当にどうかという可動性がわからない。そのときは例えば半月に1回ずつやる。それが何回かやって落ち着いたら半年に1回でいい。施設が変わらない限りは半年でいいという形の柔軟な運用が必要なのではないかと思い、初めからいくつと決めるのはまずいのかなと思っています。
 もう1点は、リアルモニターを使えと書いてあり、ここで必ずお願いしたいのは精度管理をちゃんと国が指定してほしいということです。いまの放射線を測っている所も、きちっと精度管理ができていないでいろいろ測っているわけです。そこのところでリアルモニターを使うためには、粉じん計と同じような精度管理をちゃんとしないと駄目ですということ。何を測っているかよくわからないことが起こってくるので、ここのところはきちんと精度管理をしたものを使う形で、半年に1回、1年に1回必ずやるという形の条項を付けて、初めてリアルモニターが使える形にしておいてほしいと思います。
○ 柳川調査官 繰り返しになりますが、毎月というインターバルについては発散抑制方法、もしくはそのものによって違ってくるだろうから予め決めない。逆に言うと許可のときの条件として、こういうふうに測定しなさいということを、例えば委員会のほうで、例えばこれだったら最初の半年は半月に1回ぐらいと決めていただいて、それを許可の条件の中に付けるといったものが理想だと、そういう考えでよろしいのでしょうか。
○ 名古屋座長 当然、設置した直後、あるいは何か改善が起こったとき、直前にはすぐ測る。これは確かに必要だと思います。その後に例えば新規のものだとしたら、半年に1回で確認が要るかもしれないけれど、継続的なもので変えたときにも最初は必ず直近で測定して、半年に1回、2回やってオーケーだとしたら、毎月は要らないと思うので回数を減らしていく。どう減らすかは何とも言えませんが、そういう形のやり方をしたほうが私はいいと思います。
○ 柳川調査官 その条件として、決め事ですので決めざるを得ないのですが、例えば最初の3カ月はこういう間隔で、それから後はこうというふうに一律に決めてしまえるものなのか。それとも設備、発散するものによって、この場合についてこう、あの場合についてはこうというふうに変える必要があるから、例えば委員会でこのインターバルについては決めますと、それを許可の要件に付けますよとするのがいいということなのか。
○ 名古屋座長 物質ごとに決める必要はない。
○ 武田委員 設備ごと。今までずっとやってきたような。
○ 名古屋座長 そう、違ってくるから何とも言えない。
○ 武田委員 規定はできないですね。
○ 柳川調査官 この間隔は、要は本省の専門家による検討会のほうで決めていただいて、それを許可の要件に付けるみたいなこと。ただ、法律的にいくらか問題がありますけどね。
○ 名古屋座長 そこまでいいのではないか。
○ 柳川調査官 わかりました。
○ 名古屋座長 確認する必要はあるのですが、期間を決めるというのは、決めなければいけないですけども、すぐ具体的にいつというのは、ちょっとまだまだ、どうですか。
○ 山田委員 リアルタイムみたいなものがあれば、どんな期間でもできるのです。もう1個は検知管も使えるのかなと思うのです。いま許可のほうでは、混合溶剤でも検知管が、法があっても使えるようなシステムを作っていますから、これはすぐ何回でもできるなと思うので、それ以外の物質が難しいかなという感じです。
○ 柳川調査官 要は精度を出すということよりも、安全側に倒れさえすれば。
○ 山田委員 従来よりも高くなくても、それは必要かなと思いますけどね。
○ 名古屋座長 ちょっとこれは検討をまだ、してください。ほかに議論が必要なことはありますか。
○ 藤冨様(市川委員代理) 6頁の2で、許可後に評価結果、第二、第三管理区分であった場合の具体的なオペレーションですが、アで「直ちに作業改善を行い、改善されたことを確認するための作業環境測定を行う」、イで「評価結果を監督署長へ報告する」と。「直ちに作業改善を行い」と書いていて、これは毎月なのか測定のタイミングにもよると思いますが、これは例えば第二、第三管理区分であった場合に一度監督署長に報告し、作業改善に入るということではなく、各事業場において第二、第三管理区分であったことが判明した場合には、その事業場の中で行うと、そういうことをおっしゃっているのでしょうか。
○ 柳川調査官 当然、そうです。いちばん最初にやらなければいけないことは、まず「マスクを付けなさい」、もしくは「作業をやめなさい」、どちらでもいいですが、緊急を要するのがまずそれです。それから改善のための手立てに入り、監督署長のほうは、その結果、許可を取り消す場合も出てきますので、知らなければ取消しようがないですから、報告をしなさいと。監督署長への報告は若干、インターバルがあってもいいのかなと思いますが、何よりもやらなければいけないのは、とにかく「マスクを付けなさい」、もしくは「作業をやめなさい」です。
○ 大谷委員 いまの点ですが、6頁で4の1の申請内容を変更する場合のイですけれども、「根本的な変更がない場合は、専門家の確認を受け、監督署長へ報告し、認定を受ければ可とする」というのは、「報告する」でいいのではないでしょうか。というのは、上のほうで根本的なことに関しては許可条件に係るわけですから、それは可能だと思いますが、下の段は大きな枠組みの中の条件を変えるといった範囲内のはずですので、大きな許可をもらった中の話と考えられますから、これは「報告する」だけのレベルでいいのではないかと思います。
○ 柳川調査官 ですから、いちばん最初に許可を受けたときの条件を全く変えないのであれば、そもそもイも必要ないだろうと思います。これはあくまでも許可を受けたときの提出した書類の中身が若干変わってくるけれども、要は根本的というのをどう判断するかというのが1点あると思います。いま先生がおっしゃったのは、おそらく申請の範囲内ということであれば、これはイも要らないと思います。どうぞ、ご自由におやりくださいなのです。だから問題は、どこまで変えたときに再許可が必要で。
○ 大谷委員 申請を外れたら、それは再許可でアの問題です。
○ 柳川調査官 よろしいですか。ということはイは要らないと。要は根本的でも何でもなくて、申請時の条件に変更した場合は再許可を取りなさいと。イは要らないと。
○ 大谷委員 ええ。
○ 柳川調査官 ウも要らなくなりますね。
○ 大谷委員 そうですね。
○ 柳川調査官 だから申請時の条件が外れた場合については、再許可を取りなさいと。
○ 名古屋座長 その上ですけれども、これに加えて、要するに3です。測定結果を記録・保存するはいいのですが、「監督署長へ報告することも求める必要がある」、ここはどうなのでしょうか。今までもないわけです。
○ 柳川調査官 4の2で、二又は三のときには報告が必要だというのがあるので、これは一についてなのです。ですから、これはご検討いただければと思います。
○ 武田委員 なるべく扱いやすい制度にしたいので、ないほうがいいと思います。
○ 名古屋座長 現状でもそうかなと思うので、これはないほうがいいのかなと。
○ 藤冨様(市川委員代理) 記録・保存はやるのですね。報告は必要ないということですね。
○ 名古屋座長 これはどうでしょう。
○ 藤冨様(市川委員代理) だから現状は、報告を求めてはいないということですね。
○ 柳川調査官 いないです。
○ 大谷委員 だから現状どおりでいいのではないでしょうか。記録は残すと、何かの立入りがあれば当然、説明して出さなければいけない。
○ 名古屋座長 では落とすということで。
○ 半田化学物質対策課長 ちょっと検討させていただいてよろしいですか。というのは、本来、結果を求めているのですから、それで尽きているのですが、今までの考え方から、小さいようですけどこれは大きな思想の転換なのです。ですからいろいろなところでご心配になる向きもありますし、我々としても、このパラダイムシフトで間違いがあっては絶対いけないという気持があります。そうしないと、せっかく新しい方向に行こうとしているのが、全部ポシャってしまって、また元の木阿弥になります。そういう中で私どもの気持としては、結果をきちんと確認しておく。行政側としてもきちんと確認しているというところがほしいという気持が正直ありました。ただ、もらう方はもらう方で、またそれに対して適切な指導ができるか、いろいろ難しい問題にも波及してくるところですから、どちらがいいのかわかりませんが、ただいまの先生方のご指摘は承りましたので、いま一度、私どもも部内で相談させていただければと思います。
○ 名古屋座長 たぶん、そういうことはないと思いますが、もしこの報告することが認められたときには、現状を報告していませんよね。そこにまで波及してすべての測定結果を報告するということはなくて、あくまでもこの事項に関して報告するとなるのでしょうかね。その辺は微妙なところですね。もし波及すると大変なことになりますね。要するに測定結果を全部しなさいとなると、これは莫大な資料が全部そちらに行ってしまいますので、監督署が大変なことになるのではいかと逆に思います。それのほうを心配してしまいます。
○ 半田化学物質対策課長 むしろ逆に、そういうこともあり得るのかなと思いながら、この部分は書いていたところです。
○ 名古屋座長 経産省は、鉱山などの測定したものは必ず報告しなさいということで、その報告を見て技術指導していますから、そういう意味では、あくまでも対象事業場とか鉱山、その他が少ないから、たぶん報告義務をかけて、それと同時に監督官が指導しているという形になるけれども、労働は大きいので全部報告させると大変かなと思っています。新しい方法なので確認したほうがいいということで、こうなったのかわかりませんけれども、我々としたら報告するのは大変かなと。
○ 柳川調査官 必要がないということ。
○ 名古屋座長 いや必要ないというよりも大変かなと。
○ 大谷委員 それか、この新しいほうの許可を得た方法に限るという形にして、既存の作業環境測定をしているのは、ものすごい数があると思いますけれども、そこには及ばないという形が取れればいいかもしれない。
○ 武田委員 例えば6カ月に1回という頻度に落ち着いたときは、もう要らないと思います。短期間で何度か確認しておかなければいけないときは、あるかもしれないけれども、もう落ち着いたという状態であれば、いまの作業環境測定と一緒なので、そこまでは要らないのではないかという気がします。やるとしたらですね。
○ 名古屋座長 ちょっと検討してみてください。あとよろしいでしょうか。また何かありましたら戻るということで、もう1つ、作業測定結果の労働者への周知というのがあります。ここに進みたいと思います。資料3-1ですが、事務局から説明をお願いします。
○ 柳川調査官 資料3-1ですが、1頁目は前回、ご提出させていただいたものとほぼ変わっていません。国際状況的にも職場環境の結果については、労働者はそれを知る権利があるのだという方向に、国際的には動きがあるというふうに理解しています。
 国内的には、作業測定結果というのは衛生委員会の付議事項にしなければなりませんし、また衛生委員会の検討結果は、労働者に対して周知しなければいけませんので、現行制度も間接的には、この作業環境測定結果は労働者に周知されているのだろうと考えていますが、如何せん、直接周知するシステムがないということで、周知をさせたいというものです。
 裏で、これは私どものほうで前回の先生方のご検討の結果を踏まえ、作成させていただきました素案です。1つには、周知対象は事業者が労働者、管理者、産業保健スタッフへ周知することになります。労働者の中には当然のことながら、その所有する労働者のみならず、さまざまな労働者、例えば派遣労働者であるとか、混在作業の場合については関係労働者に対して周知することが含まれると思います。
 周知内容と方法ですが、作業環境の評価結果(管理区分)を、例えば作業所の見やすい場所へ掲示する。おそらくここで問題になってくるのが、別に掲示をするだけではなくて書類を作って備えてもいいのではないかという、こういった論点はあろうかと思います。その際に出てくるのが、そうは言っても、例えば、たまたま機械の修理などで外部の別の事業場の労働者が来たときに、掲示であればパッと見ればわかるわけですけれども、例えば電子的な情報を入れてコンピュータでいつも見られるようにしたとしても、派遣労働者の場合、そういったものに対してアクセスする権限がないのではないかといった論点はあろうかと思います。ここをどうするかについてはご意見等をいただければと思います。
 留意点として、第二、第三管理区分の場合、改善の対処方法についても周知する。あるいは作業環境が改善されるまで労働者に保護具を使用させるといったことが、当然、必要になってこようかと思います。それから事業者は、必要に応じて、作業環境測定機関、あるいは都道府県産業保健推進センター等の専門家に、改善措置について相談するといったこともあろうかと思います。また第一管理区分の場合であっても、例えばそれを管理一とだけ表示する。しかしながら測定対象外の化学物質が使われていて、そちらのほうがある程度有害な状況になっている可能性があるので、管理一イコール安全ではないといったことを、きちっと周知する必要があるのではないかということはあると思います。
 周知の流れ(例)として下に書いていますが、1つは作業環境測定の実施と評価をし、その結果、三になれば当然、労働者に対して「マスクを付けてください」といった、健康障害防止のための対応は直ちに取る必要があるわけですが、この流れでは、一旦、衛生委員会等において対処方針を決定し、その後、周知というふうになり、それから改善という方向に動いていますけれども、これは対処方針を決定する前に周知をするべきだというご意見も当然あろうかと思っています。私からの説明は以上です。
○ 名古屋座長 ありがとうございました。ここのところについてどうでしょうか。
○ 武田委員 周知対象者の産業保健スタッフというのは、誰を想起しているのですか。
○ 柳川調査官 当然のことながら衛生管理者などは労働者に含まれますので、ここで考えているのは産業医です。
○ 武田委員 産業医はもう既に作業環境測定結果を管理しますね。
○ 柳川調査官 実はこれは、あり方検討委員会の中で、是非、この産業医に知らせるということを更に重ねてここで出してほしいというご要望もありましたので、あえて出させていただいたということです。
○ 武田委員 いま、産業医の業務のところと整理をしないといけないですね。
○ 柳川調査官 はい。
○ 名古屋座長 あと、お願いなのかよくわからないですが、いまのところ、たぶん自主的にやられているのだと思いますけど、せっかくお金をかけてやった測定なのですから、できたら測定士が安全委員会や衛生委員会に行って、測定結果を報告できるようなシステムにしてほしいと思います。そうすると、そこで測定の状況と、どのくらいばく露しているかを共有してディスカッションすることは、すごく環境改善に結び付くし、自分が喋ることで測定士の技量も上がります。聞くほうもいろいろなことができるので、できたらそういうシステムが構築できたらいいと常々思っています。大きな所はできても小さい所は難しいと思いますので、何らかの形で、ただ書類を渡すのではなく、何かそれができると進むのかなと思っています。
○ 柳川調査官 現行法令においても、測定士は衛生委員会に参加することは可能になっていますけれども。
○ 武田委員 社外の測定機関に依頼したときは、測定士は社外なので委員会には出ない。
○ 名古屋座長 できませんよね。
○ 柳川調査官 それはおっしゃるとおりです。あれは社内の場合です。
○ 武田委員 社外の人を衛生委員会に出すかということです。
○ 名古屋座長 何かできたらいいのかなと。
○ 亀澤環境改善室長 表現とかで、できるかどうかは別にして、こういう形で情報提供することが望ましいとか、進んだ例としてこういうことがあって、それは非常に役に立つというのはある。
○ 名古屋座長 それだけでもあればありがたいですね。今まで何もなかったので。
○ 柳川調査官 そういうふうにすれば、社内に第二種の衛生管理者でも養成して、それに喋らせることはできるかもしれない。
○ 名古屋座長 それでもいいし、何か今までなかったので、そういうことをしていただき、ちょっと書いていただけるだけでもずいぶん違うのと、そこでディスカッションできれば、例えば管理二になったときに、どうしてなったのか。それは作業性が悪いのか環境が本当に悪いのか、データを付けながら一緒にディスカッションできることは、すごくいいことではないかと思っているので、是非、何かそういう後押しができるものを付け加えてもらえればありがたいと思っています。
○ 柳川調査官 おそらく通達を出すことになると思いますので、そちらの中にそういった意味で書くことは可能かなと。
○ 亀澤環境改善室長 そうですね。
○ 半田化学物質対策課長 いまの点ですが、名古屋先生のご指摘は理解できます。逆に言うと、そういったことが進まないのはなぜなのか。何が阻む要因なのか。つまり、そういうことを推奨していないだけなら推奨すればいいということなのか。それとも何か遡む原因があるのでしょうか。
○ 武田委員 社内に作業環境測定士がいないからだと思います。
○ 半田化学物質対策課長 社内にいないから。そうであれば、少なくともそういうふうに取ることが望ましいということを、公式にアナウンスするだけでも、それなりに一定の効果は期待できるということですね。
○ 武田委員 社内に二種の測定士がいたほうが、ちゃんと測定機関がデザインサンプリングをやっているかどうかチェックする意味でも必要なので、社内に置かせるように誘導するのは悪くはないかなと。法的に縛るのではなくて、通達のようなもので誘導するのはいいのではないか。
○ 山田委員 衛生工学の人は無理ですか。一応、教育はしていますけどね。
○ 名古屋座長 あと、ほかにお気づきの点は何かありますか。
○ 武田委員 この周知の方法ですが、衛生委員会の議事の概要の周知とか、既に周知の方法というのは決まったルールがあるので、それに乗せて同じようにしてもいいのではないかと思います。それだと掲示以外の方法もたしか3つあって、それのいずれかという形だったので。
○ 柳川調査官 前回の検討会の中で、派遣労働者の方に対しても周知をしてほしいというお話で、派遣労働者はいいとして、いろいろな労働者が混在しているケースがあるという話がありました。ものによっては自己の雇用する労働者の所にしか行かないことも考えられますので、その辺をどうするかは検討課題かなと思います。
○ 武田委員 MSDSなんか、もっと限定された方法ですね。
○ 柳川調査官 そうですね。
○ 武田委員 あと労働者に周知するまでの期間を、どういうふうに表現する予定ですか。
○ 柳川調査官 ですから、そこを逆にご検討いただければと思います。おそらく「マスクを付けなさい」というのは指示なのです。その「マスクを付けなさい」と言ったときに、おそらく直接伝えるのが普通かなという気が我々はしているのですが、どんなものなのでしょうか。例えば、ここにあるように衛生委員会で対処方針を決めた後で周知をするのがいいのか、それとも三なら三だということで直ちに結果を伝えるのがいいのか。
○ 武田委員 測定機関に頼んで、測定結果が出るのに1カ月かかって、委員会がまた1カ月ぐらいやって、さらに先という形になってしまいますね。
○ 柳川調査官 そうなのです。そこはどの辺がよろしいのか。対策を取るのは直ちにであり、周知がいつかというのはまた別の問題だと思いますけど。
○ 名古屋座長 アメリカなんかだと、管理が悪いときは15日以内に必ず報告しなさいと決められています。管理が良かったときは1カ月でいいですよと。悪いときには必ず早くやりなさいと決められている。日本の場合は測定機関にお願いしているから、15日でできるかどうかわからない。そこの期間は、悪いとわかっているときは早くできるかどうか。向こうはそういう形で、要するに危ないものについては期間を早くして、かつ測定をもう一度繰り返してやりなさいとなっている。良いときは長くしてやる。ここも同じようにしてあげないと、例えば1カ月なら1カ月の間、労働者が屋内環境でばく露しているわけです。そこのところは早く結果が出た時点で周知徹底する。要するに報告書がいかなくても、何らかの形で伝達するシステムを作っておいたほうがいい。管理区分が二だったら、早く労働者にマスクを周知する形のほうがいいし、一だったらゆっくりでいいですよという形で、何か早目にできた時点で正式な報告とは別に早急にできる、状況を知らせてあげる形ができるといいと思います。
○ 柳川調査官 おそらく問題点が2つあると思います。1つは、マスク等についても直ちにだと思います。それと先生がいまおっしゃったのは、作業環境測定をやった後は直ちに評価をしなさいと。評価をした結果に基づいて云々と今はなっているのですが、評価をする前の段階で知せるべきだと。サンプリングをして粗々の結果が出た段階でもう知らせなさいと、そういう感じでしょうか。評価をした結果が二又は三だった場合については、速かにもしくは直ちにといった表現になると。
○ 大谷委員 作業環境測定をしっかりして、その結果が出てこない限り判断はできないわけですから、その結果が出たら直ちにだと思います。
○ 名古屋座長 中災防などはどうですか。そんなに早く出せますか。
○ 山田委員 物質とか、あと数ですね、それによります。
○ 名古屋座長 できるだけ早く通知するか、測定士が現場に行って見る。経験を積んでいる測定士だと、粉じんなどはすぐわかりますけど、ほかのところでも臭いだとかいろいろなことがわかるかもしれないので、できたらそういう人たちが、管理区分二だと思ったら早く分析する形になると、ありがたいですねということです。
○ 柳川調査官 表現する過程は問題はあると思いますけど。
○ 名古屋座長 そこのところは難しいと思いますけど。
○ 柳川調査官 いずれにせよ、評価をしたら直ちにだということですね。
○ 名古屋座長 そうです。
○ 武田委員 屋外の作業環境測定のガイドラインがありますね。あれはどういう取扱いになりますか。
○ 柳川調査官 おそらく常識的にはですね、政省令に書かれるものは、あくまでも法律で義務がかかっているもののみということであって、通達レベルのものは通達で、これらについても作業環境測定を行った場合については周知をすることが望ましい、あるいは周知をすることと書くか、おそらくそれは通達レベルになると思います。ただ、常識的に考えて作業環境測定をやった以上は、たとえ指導レベルであったとしても伝えないという選択肢は、おそらくないのかなという気がしないでもないのです。
○ 武田委員 通達の改正もあるということですか。
○ 柳川調査官 あるいは逆に、これの通達を出すときに、併せてこれこれの通達に関しても書くことと、そこにまとめて書いてしまうかです。
○ 名古屋座長 屋外ガイドラインの中に、作業測定結果は作業者に伝えなさいと書いてあります。
○ 柳川調査官 失礼しました。
○ 名古屋座長 あれは、今までなかったので我々が作るときに、そこがいちばん肝心なので、あくまでもガイドラインというのは個人管理ですから、必ず作業者に伝えないと駄目だよということで、アメリカ方式を使って入れましたので間違いないと思います。
○ 柳川調査官 失礼しました。
○ 山田委員 これは、管理区分一、二、三のどれであっても表示すると、そういう考え方ですか。騒音はたしか三だけしかない。
○ 柳川調査官 これが、ほかのと並びで考えますと、一というのはなかなか難しいのですが、例えば一については通達で併せて周知したほうが望ましいとか、要するに単に周知をサボっているだけなのか、一だからしていないのかというのは労働者にはわからないのです。ただ、ほかの作業環境測定結果を労働者に周知しなければならないというものとの並びで考えると、一はどうなのでしょうか。
○ 名古屋座長 一、二、三で、一は安心してできるということだから、ないというのはいけない。一、二、三があったらちゃんと表示したほうがいいのではないか。ないということはどこかわかりませんけど、一だったら「管理区分一なんだな」と安心して作業できることにつながってくるので、一、二、三という形のものは表示したほうが私はいいと思います。
○ 柳川調査官 例えば一は通達レベルで、二、三は政省令ということはあり得るかもしれませんけれども。
○ 名古屋座長 いずれにしても、測定結果が現状はどうなっているか今までわからないで、作業者はその結果がわからないために疾病が起こる事例があるというのが、あり方委員会でしたから、その現状をきちっと知らせるということで、一、二、三は必ず知らせる形のほうがいい。ただ、山田委員が言ったように、同じ所でもほかの所から来ていて、要するに堆積場をうまく設定したときに、1つの事業場にいっぱいあるときにどう表示するか。それは創意工夫が要ると思いますが、ある程度、せっかく測った結果は労働者に知らせるという意味で、正確に知らせたほうがいいと私は思います。
○ 柳川調査官 わかりました。
○ 武田委員 現時点の中で必要に応じて測定機関等に相談するというのは、どういったことを相談することを想定されているのですか。
○ 柳川調査官 技術的なことについて、なかなかわからないというご指摘がありましたので。
○ 武田委員 設備改善のということ。
○ 柳川調査官 そうですね。あるいは伝え方とか、そういったようなことに関して事業場外の専門機関に尋ねるとしたら、どんなものがあるかということで例示をさせていただいたということです。
○ 藤冨様(市川委員代理) 先ほど周知対象のところで、口頭で補足があったかと思いますが、労働者の中には正社員の方だけでなく、いろいろな雇用形態の方も含まれますというお話をされたかと思います。労働者のところは、最終的な検討会の報告書になるのかもしれませんが、そこをしっかり書き出したほうがいいのではないか。労働者だけ書くと、どちらかというと正社員が頭にポンと浮かびますので、最終的にはしっかりそこを書き出していただきたい。これはお願いです。
○ 柳川調査官 そこで働いている、要は雇用関係がある労働者ということでなく、ばく露する恐れのあるすべての労働者ということですね。
○ 藤冨様(市川委員代理) そうですね。
○ 北野委員 周知方法のところで、作業場の見やすい場所への掲示と、かなり限定された書き方で捉えられますが、いろいろな事業場があって、それぞれ状況があろうかと思います。とにかくそこで働いている人が確認できる方法であればいいと思います。あまり縛ってしまうと実施ができない所が出てこないかなと。大きな所はいいのですけれども。
○ 柳川調査官 そこもご検討いただければよろしいかと思います。掲示であれば、そこを歩いていればひとりでに目に入ってくるだろうということですが、文書で備えている所であれば、あえてそれを見なければ周知はできないわけですし、コンピュータに入れているということであれば、先ほど言ったように派遣労働者などは権利がないという可能性もありますので、ではどういう方法がいいか。逆にどんな方法でもいいけれど、必ずすべての労働者に周知してくださいと書いておけば、それはそれでいいのかもしれませんし、そこは何が望ましいのかご検討いただければと思います。
○ 名古屋座長 MSDSなどでは、かなりいろいろな情報が載っているから、小さい所では書けなくて、かなり大きい所に書くか。あるいは紙ベースの中で見るという形です。作業環境測定の結果というのは、かなり大きな事業所でも工場の見取図を書いていて、その中で管理区分三だったら赤、二だったら何色と色を付けておいて、そうすると見取図を見ただけでわかる。A4ぐらいの紙で置いておくと、それを見だけで、自分はどこで働いているか当然わかりますから、俺の働いている所は管理区分が赤で三だとわかる。そんな表示の仕方でも工夫はできる。同じ事業場によっても濃度差があって、ここの事業場は悪いとか、例えば歩いて来たときに、ここは三だ、うちの所は一だとわかる。そんな表示の仕方があるのかなと思います。そこはたぶん事業場で工夫はできるのではないかと思います。あえて大きくしなくても、休憩室でもどこでも構いませんから、貼るだけでもずいぶん違うと思います。見やすい場所ならどこでも構わないということです。
○ 柳川調査官 おそらく事業場以外の場所というのは、ちょっと難しいのかなという気がします。いまのご議論で、問題は掲示に限るかどうかだろうと思います。要するに文書にして備えておくだけでもいいのか。
○ 名古屋座長 文書でもというのは、よほどのことがない限り大変なので簡単な方法で、例えばいま言ったように色分けしたぐらいでもわかるので、もっと興味があったら、そのデータが見られる形にすればいいけれども、何らかの簡単な形で表示してあげる。
○ 柳川調査官 掲示ということですね。
○ 名古屋座長 そう。関心があって、その結果はどうなのか、どのぐらいの濃度なのかを見れば、同じ三でも二に近い三と、うんと危ない三があるわけです。その時はどういうことなのか作業者が逆に意識を持てば、安全委員会などに聞いてどういうことかわかる。それに対して書類を見せてあげる形にすればいいので、掲示はなるべく簡単にしたほうがいい。
○ 柳川調査官 一、二、三の掲示は必要であると。
○ 名古屋座長 そうそう。
○ 柳川調査官 ただ、詳細については文書にして備えるだけでもよろしいのかなということですね。
○ 名古屋座長 単位作業場が1つのときは三と書けばいいのですが、いっぱい重なっているときは色分けとか、そういう工夫があってもいいのかなと思います。あとよろしいでしょうか。もう少し時間がありますけれども、先ほどの導入のイメージのところに戻ってお気づき点がありますか。よろしいですか。いろいろ意見をいただきました。いろいろ議論されたことをまとめていただいて、次回以降に反映していきたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
○ 奥野安全専門官 本日、ご議論いただきましたご意見を事務局でまとめて、次回にまたご検討をお願いしたいと考えています。今後、先ほどの議事概要のところでもありましたけれども、10月ごろに第3回検討会を開催したいと考えています。後日、日程調整させていただければと思います。なお次回までの間、委員の先生方にはメールでのやりとりをお願いするかもしれませんので、よろしくお願いします。
○ 名古屋座長 多岐にわたりましてご議論いただき、ありがとうございます。それでは第2回「職場におけるリスクに基づく合理的な化学物質管理の促進のための検討会」を閉会します。ありがとうございました。


(了)
<厚生労働省>

労働基準局安全衛生部 化学物質対策課 奥野

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