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2011年2月24日 平成22年度第2回水道水質検査法検討会議事概要

健康局水道課

○日時

平成23年2月24日(木)14:00~18:00


○場所

金融庁1114会議室


○出席者

出席委員

青木正史、安藤正典、工藤幸生、小林利男、寺中郁夫、中村栄子、西村哲治、宮田雅典(敬称略)

○議題

(1) 検査法提案募集に関する検討の進捗について
(2) 「水質検査の信頼性確保に関する取組検討会」報告を踏まえた検査方法告示の見直しの検討について
(3) 「水道における指標菌及びクリプトスポリジウム等の検査方法」の見直しについて
(4) その他

○議事

審議事項

(1)検査方法提案募集の審議の進捗
 平成15年4月厚生科学審議会答申「水質基準の見直し等について」において、公定検査法以外であっても、これらと同等以上の方法と認められる検査方法については、これを積極的に公定検査法と認める柔軟なシステムを工夫すべきとの提言を受け、本検討会では最新の科学的知見を踏まえて水質検査法の検討を行うとともに、提案募集による水質検査法の柔軟な見直しの検討を行っている。
 これまで提案募集において提案された検査法について、技術的な検討による審査状況を報告するとともに、公定検査法として採用すべきとされた方法の検査方法告示案を以下のとおり審議頂いた結果、次回の検討会において引き続き審議頂くとともに、この他の検査方法について技術的検証を行うこととされた。

○ ハロ酢酸類の液体クロマトグラフ質量分析法は、標準原液の溶媒、保存方法、陰イオン類の共存時の影響等の技術的検証結果を踏まえ、公定法に適用可能なことから、検査方法告示案を検討し、引き続き審議を行うこととなった。

○ ジェオスミン及び2-MIBの測定において、2,4,6-トリクロロアニソールd3を内部標準物質として用いたガスクロマトグラフ質量分析法は、検量線や回収率の技術的検証結果を踏まえ、公定法に適用可能なことから、前回の検討会において既に公定法への採用が了承されていた固相抽出マイクロ抽出ガスクロマトグラフ質量分析法、塩析なしパージトラップガスクロマトグラフ質量分析法、ジェオスミン-d3を用いた内部標準法と合わせて検査方法告示案を検討し、引き続き審議を行うこととなった。

○ ジェオスミン、2-MIB及びVOCのトラップ-ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析法は、検量線や水道水の再現性の技術的検証結果を踏まえ、トラップ回数等の検討事項はあるものの概ね公定法に適用可能なことから、今後、検査方法告示案を検討することとした。

○  非イオン界面活性剤の高速液体クロマトグラフィー法は、現行法より感度が良好になり検水量を減量できる可能性が示唆されたが、検量線の再現性や濃度範囲等の検討事項が確認され、引き続き技術的検証を行うこととなった。

○ 臭素酸の同位体補正を用いた液体クロマトグラフタンデム質量分析法は、同位体の入手可能性やカラム等の検討事項が確認・整理され、引き続き技術的検証を行うこととなった。

○ 前回の検討会において既に公定法への採用が了承されていた非イオン界面活性剤の固相抽出吸光光度法の前処理法としてディスク型固相カートリッジを用いる方法の検査方法告示案を検討し、引き続き審議を行うこととなった。

(2)「水質検査の信頼性確保に関する取組検討会」報告を踏まえた検査方法告示の見直し
 「水質検査の信頼性確保に関する取組検討会」報告において、日本水道協会のアンケート結果や技術的検証を踏まえ、検査方法告示に関して水質検査において明確にすべき作業内容や、柔軟な検査法を採用する上で内容に不具合がある事項について審議頂き、以下の方針のとおり今後検討を行うことで了承頂いた。

○ 検査実施にあたっての共通事項の設定について
 現行告示法について、第1総則的事項、第2水質基準項目毎の検査方法に区別し、総則的事項において、空試験の実施、検量線の点数及び濃度範囲の明確化、連続試験の際における適切な標準試料の差し込み分析の実施、水道水の検査に用いる器具及び装置により水道水以外の高濃度試料の検査を行う場合の検査室の汚染防止措置、高濃度試料検査後の検査機器の洗浄、高濃度試料を同時検査しないこと等の規定を検討する。

○ 空試験の実施について
  対象物質を試験する際に、その物質が存在しない場合においても結果が得られる場合もあるため、水質検査の精度を確保する観点から空試験を実施するように、空試験の規定を整備する。(空試験の必要のない項目の有無や、既存の空試験の規定も踏まえた検討を行う。)

○ 検量線の点数の明確化及び濃度範囲について
  検量線の設定がなされている項目に関して、検量線は試験に際して新たに作成したものを用い、検量線の濃度範囲内において4点以上測定し、精製水等により濃度がゼロとみなすことができる試料の検査も行い検量線に反映するよう規定を整備する。試験操作の分析に示される濃度範囲は、検査機器の濃度範囲を上限、下限とする。

○ 連続試験の際における適切な標準試料の差し込み分析について
理化学試験で、同一試験方法によって多数の試料を連続して試験する場合には、標準資料の差し込み分析を行うこととする。試料10本毎に定量下限値付近(基準値の1/5から1/10)の既知濃度の標準試料の分析を実施し、当該試料の既知濃度と測定結果の比較を行い、変動係数が無機物10%以内、有機物20%以内であることを確認する。変動係数がこの数値を超えた場合は、再測定を行うよう規定を整備する。

○ 試料採取から前処理を含む水質試験の開始までの時間の明確化について
現在試験法において、試験室で行う検査項目として、試料採取から前処理を含む水質試験の開始までの時間が示されていないシアン化合物(イオンクロ-ポストカラム吸光光度)等について、それぞれの物質の分解性や前処理による長期保存の可能性も考慮して、試料の採取から水質試験(検査法告示において試験操作に記載する一連の作業)の開始までの時間が明確化されている他の項目との整合性も踏まえ、規定を整備する。

○ その他明確にすべき基本的な作業内容について
ハロ酢酸の標準液調製方法について標準液と精製水を適切に混合できるように修正し、ハロ酢酸及びホルムアルデヒドの標準列作成時の調製量を修正するとともに、VOCやカビ臭物質の標準液の調製方法についてメスフラスコを用いるよう告示の規定を整備する。

○ 水質検査の技術向上と自主性の観点から柔軟な検査法について
金属類の前処理操作に関して検水量や試験液量の最小量を定め、検査機関の実情に合わせた変更を可能にするとともに、金属類標準原液、内部標準原液等告示法に示される○○標準原液について、告示法に定める方法により精製されたことが保証されている市販品を用いることを可能とするように告示の規定を整備する。

(3)「水道における指標菌及びクリプトスポリジウム等の検査方法」の見直しについて

○ 嫌気性芽胞菌の検査方法について
 クリプトスポリジウム対策指針において、汚染のおそれに応じた予防対策として原水等における大腸菌、嫌気性芽胞菌及びクリプトスポリジウム等の検査を実施することとしている。
このうち、嫌気性芽胞菌の検査方法について、従来のハンドフォード改良寒天培地法の代替となる培地を複数の培地製造会社が開発したところであり、これらの培地を用いた嫌気性芽胞菌の試験結果を報告し、使用可能な培地として妥当であると評価頂いた。

○ 大腸菌の検査方法について
 検査方法告示は定性試験法(検水量100mL)、検査方法通知は定量試験法(検水量60mL)であるが、クリプト等の汚染のおそれを判断するうえでは、定性試験法で検査を行うことを基本とするよう検査方法通知を見直すことが了承された。



今後の取組

 検査方法提案募集で提案された検査法に関して、今回の検討会で公定法への採用が了承された案件については、次回検討会において検査方法告示の改正案の審議をいただく予定。
 検査方法告示に関して水質検査において明確にすべき作業内容や、柔軟な検査法を採用するために変更が必要な事項に関して、今回の検討会で了承頂いた方針を踏まえ、検査方法告示の改正案を作成し、次回検討会において審議いただく予定。
嫌気性芽胞菌の培地に関して、培地製造会社が製造した嫌気性芽胞菌の培地が従来認められていた培地と遜色ないこと等が了承されたことを受け、「水道における指標菌及びクリプトスポリジウム等の検査方法」に反映する。


<照会先>

健康局水道課水道

水質管理室: (代 表) 03(5253)1111
(直 通) 03(3595)2368

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