健康・医療武田社の新型コロナワクチン(ノババックス)について

 武田薬品工業株式会社の新型コロナワクチン関する情報をお届けします。本剤については、ノババックス社が開発したワクチンを武田薬品工業株式会社より薬事承認申請されたものであり、令和4年(2022年)4月19日に薬事承認され、同年5月25日から接種で使用されていますが、令和5年(2023年)12月25日をもって接種が終了となりました。

特徴

ワクチンの種類

本剤は組換えタンパクワクチンであり、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の遺伝子をもとに作られた組換えタンパク質をナノ粒子化した製剤で、免疫の活性化を促進するためのアジュバントが添加されています。本剤の接種により組換えスパイクタンパク質がヒトの細胞内に取り込まれると、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられています。

 組換えタンパクワクチンは不活化ワクチンの一種であり、B型肝炎ウイルスワクチンなど、他のワクチンでも使用実績があります。




(第31回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より引用)

接種対象者

※武田社(ノババックス)のワクチンは令和5年12月25日で接種が終了

接種方法

通常は、三角筋(上腕の筋肉)に、1回0.5mL(5μg)筋肉注射という方法で接種します。

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接種回数と接種間隔

※武田社(ノババックス)のワクチンは令和5年12月25日で接種が終了

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有効性について

新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。
 本ワクチンの接種を受けた人は、受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないということが分かっています。
 初回接種における臨床試験の結果、オミクロン株が流行する前のデータではあるものの、臨床試験を通じて、約80~90%の発症予防効果が確認されています。また、オミクロン株に対する知見は限定的ではあるものの、接種により中和抗体価が上昇したとの報告があります。
 追加接種については、本剤を初回接種(1回目・2回目)した12~17歳と18歳以上の健康成人を対象に実施された臨床試験では、初回接種後に上昇した中和抗体価はその後経時的に低下するものの、本剤の追加接種(3回目・4回目)により、2回目接種後に比べて高い中和抗体価(12~17歳で3回目接種後は2.7倍、18歳以上で3回目接種後は3.5倍、4回目接種後は3.7倍)が確認されたことから、一定の有効性が期待できるとされています。
 初回(1回目・2回目)接種で本剤以外のワクチンを接種し追加接種で本剤を接種(交互接種)した場合の知見は現時点で限られていますが、海外で実施された試験では、日本で薬事承認されている接種間隔と異なることに留意する必要があるものの、交互接種においても抗体価が有意に上昇したことが報告されています。また、オミクロン株に対する知見は限定的ではあるものの、本剤を3回接種することで中和抗体価が上昇し、4回接種することで中和抗体価が再度上昇したとの報告があります。
 ただし、追加接種を受けても、発症等を完全に予防できる訳ではありません。ワクチン接種にかかわらず、引き続き、適切な感染防止策を行う必要があります。

 臨床試験の概要については、「さらに詳しい情報」をご覧ください。

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安全性について

主な副反応は、頭痛、関節や筋肉の痛み、注射した部分の痛み、疲労、寒気、発熱等があります。また、まれに起こる重大な副反応として、ショックやアナフィラキシーがあります。
 また、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を疑う事例が報告されています。接種後数日以内に胸の痛みや動悸、息切れ、むくみ等の症状が現れたら、速やかに医療機関を受診してください。
 万が一、ワクチンの接種によって健康被害が生じた場合には、国による予防接種健康被害救済制度がありますので、お住まいの各自治体にご相談ください。

 臨床試験の概要については、「さらに詳しい情報」をご覧ください。

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予防接種を受けることができない人、注意が必要な人

下記にあてはまる方は、本ワクチンの接種ができない、または接種に注意が必要です。
 当てはまるかどうかや、ワクチンを受けて良いか、ご不明な方は、その病気を診てもらっている主治医にご相談ください。
 また、当てはまると思われる方は、必ず接種前の診察時に医師へ伝えてください。

受けることができない人

  • 明らかに発熱している人(※1)
  • 重い急性疾患にかかっている人
  • 本ワクチンの成分に対し重度の過敏症(※2)の既往歴のある人
  • 上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人

注意が必要な人

  1. (※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。
  2. (※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。なお、1回目あるいは2回目の接種でこれらの症状が認められた方は、同一のワクチンを用いた追加接種を受けることはできません。
    • 抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
    • 過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
    • 心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
    • 過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
    • 過去にけいれんを起こしたことがある人
    • 本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人

  3.  妊娠中、又は妊娠している可能性がある人、授乳している人は、接種前の診察時に必ず医師へ伝えてください。ただし、かかりつけの産婦人科医に確認していない場合でも、予診医によりワクチン接種が可能と判断された場合は、接種が可能です。

    ※本ワクチンの成分
    1. 有効成分
    2. SARS-CoV-2 rS(SARS-CoV-2の組換えスパイクタンパク質)
    3. 添加物
    4. Matrix-A注)
    5. Matrix-C注)
    6. リン酸水素二ナトリウム七水和物
    7. リン酸二水素ナトリウム一水和物
    8. 塩化ナトリウム
    9. ポリソルベート80
    10. pH調節剤

    11. 注)添加剤として、コレステロール、ホスファチジルコリン、リン酸水素二ナトリウム二水和物、リン酸二水素カリウム、塩化カリウム及び塩化ナトリウムを含む
    12.  

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接種当日の注意事項

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ワクチンを受けた後の注意点

  • 本ワクチンの接種を受けた後、15分以上(過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を起こしたことがある方や、気分が悪くなったり、失神等を起こしたりしたことがある方は30分以上)、接種を受けた施設でお待ちいただき、体調に異常を感じた場合には、速やかに医師へ連絡してください。(急に起こる副反応に対応できます。)
  • 注射した部分は清潔に保つようにし、接種当日の入浴は問題ありませんが、注射した部分はこすらないようにしてください。また、接種後に体調が悪い時は無理をせず、入浴は控える等、様子を見るようにしてください。
  • 接種当日は、通常の生活は問題ありませんが、激しい運動や過度の飲酒は控えてください。
 

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さらに詳しい情報

有効性について(臨床試験の概要)

▷18歳以上
<海外における臨床試験>

 米国及びメキシコ合衆国において実施された試験では、ワクチンを接種する人とプラセボ(生理食塩水)を接種する人に分け、約3週間の間隔で2回接種した時、新型コロナウイルス感染症の発症がどの程度抑制されるか比較されました。なお、発症の確認に当たっては、発熱や咳、息切れ等、感染が疑われる症状が1つ以上あり、PCR等の核酸増幅検査で陽性となった人を、新型コロナウイルス感染症が発症した人と定義されました。約3万人の被験者を対象に、2回目の接種後7日以降の発症の有無が比較された結果、90.40%のワクチン有効率が確認されました。



 また、英国において実施された試験でも、ワクチンを接種する人とプラセボ(生理食塩水)を接種する人に分け、約3週間の間隔で2回接種した時、新型コロナウイルス感染症の発症がどの程度抑制されるか比較されました。約1.5万人を対象に、2回目の接種後7日以降の発症の有無が比較された結果、中間解析では89.3%、最終解析では89.7%のワクチン有効率が確認されました。




<国内における臨床試験>
 日本人の健康成人200人を対象に、ワクチンを接種する人とプラセボを接種する人に分け、約3週間の間隔で2回接種しました。その後、2回目の接種から14日後の、血清中の新型コロナウイルスに対するSタンパク質特異的抗体及び従来株に対する中和抗体の増加状況が確認されました。なお、Sタンパク質特異的抗体とは、新型コロナウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質を特異的に認識する抗体、中和抗体とはウイルスの感染力又は毒素の活性を中和できる抗体のことです。
 2回目接種から14日後の、血清中のSタンパク質特異的抗体価(値が大きい程、Sタンパク質の受容体への結合を阻害する可能性が高いことを示します。)及び50%中和抗体価(値が大きい程、中和活性が高いことを示します。)は下記のとおりであり、日本人でも、それぞれの抗体価の上昇が確認され免疫原性が認められています。



 発症予防効果が確認された海外における臨床試験と同様の傾向が見られたことや、複数の国、人種、民族が組み入れられた海外試験において有効性が示されたことを踏まえ、日本人でも、同様にワクチンの有効性が期待できると考えられています。

▷12~17歳
 12~17歳を対象とした臨床試験の概要はこちらをご覧ください。

▷追加接種(3回目・4回目接種)(18歳以上)
<海外における臨床試験>

 米国及びオーストラリアにおいて実施されました。18~84歳の一部の被験者を対象に、2回目のワクチン接種から約6か月後、本剤の3回目接種を行い、接種から28日後の、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体の増加状況を確認しました。本剤の3回目接種前と3回目接種から28日後の、従来株に対する中和抗体価の幾何平均は下記のとおりであり、3回目接種後には中和抗体価の上昇が認められました。



 さらに、本試験で3回目接種から約6か月後、本剤の4回目接種を行い、接種から14日後の血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体価の増加状況を確認しました。本剤の4回目接種前と4回目接種から14日後の従来株に対する中和抗体価の幾何平均は1.8倍に増加し、4回目接種後には中和抗体価の上昇が認められました。

▷追加接種(3回目接種)(12~17歳)
<海外における臨床試験>

 米国及びメキシコ合衆国において実施されました。12~17歳の一部の被験者を対象として、2回目のワクチン接種から5か月後以降に、本剤の3回目接種を行い、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体の増加状況を確認しました。本剤の従来株に対する中和抗体価の幾何平均と抗体陽転率について、2回目接種14日後と比較して3回目接種28日後は下記のとおりであり、非劣性が示されました。


 

安全性について(臨床試験の概要)

▷18歳以上
<海外における臨床試験>

 各回接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。なお、有害事象とは、接種後に生じる好ましくない症状のことであり、接種との因果関係があるか分からない、又は直ちに判断できない事例を含みます。

(米国及びメキシコ合衆国で実施された試験)


(英国で実施された試験)



<国内における臨床試験>
 各回接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記の通りでした。


▷12~17歳
 12~17歳を対象とした臨床試験の概要はこちらをご覧ください。

▷追加接種(3回目・4回目接種)(18歳以上)
<海外における臨床試験>

 3回目接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記のとおりでした。


 また、4回目接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記のとおりでした。



▷追加接種(3回目接種)(12~17歳)
<海外における臨床試験>

 3回目接種後7日間における主な有害事象の発現割合は下記のとおりでした。



詳細(添付文書等)についてはこちらをご覧ください。(医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページ)

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