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黄熱に関するQ&Aについて

2016年5月20日作成

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【一般の方向け】

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問1 黄熱とは、どのような病気ですか?

答 黄熱は、ジカウイルス感染症やデング熱、日本脳炎などの感染症の原因となるウイルスと近縁の黄熱ウイルスに感染することにより起こる蚊によって媒介される感染症です。 感染すると、発熱、寒気などの症状を呈することがあり、更に一部の患者で重症化し、適切な治療を行わないと死に至る場合があります。有効なワクチンが開発されており、予防が可能です。

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問2 どのようにして感染するのですか?

答 黄熱ウイルスを持った蚊がヒトを吸血することで感染します(蚊媒介性)。基本的に、感染したヒトから他のヒトに直接感染するような病気ではありません。また、感染しても全員が発症するわけではなく、症状がないか、軽い症状のみで軽快する場合が大半です。

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問3 世界のどの国・地域がリスク国・地域ですか?

答 アフリカ、中南米で発生があります。リスク地域の熱帯雨林では、蚊と霊長類の間で常時感染がみられており、偶発的にヒトに感染する場合(森林型サイクル)や、デング熱のように都市部でヒトと蚊の間での感染が起こる場合(都市型サイクル)、サバンナのような地域で、霊長類とヒトと蚊の間で感染がみられる場合(中間型サイクル:アフリカのみ)があります。都市型サイクルでは大規模なアウトブレイクを起こす場合があり、現在ではアフリカの一部の地域でみられることがあります。201512月以降、アフリカ中部のアンゴラで大規模な都市型サイクルのアウトブレイクが発生し、隣国のコンゴ民主共和国にも拡大しています。

詳しくは、FORTH(厚生労働省検疫所ホームページ)を確認してください。

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問4  日本国内での発生はありますか?

答 第二次世界大戦終戦以後の海外のリスク国・地域で感染し発症した例、日本国内で感染した例ともにこれまで報告はありません。アメリカ合衆国とヨーロッパにおいては、これまでもリスク国・地域に渡航後に発症した例が1970年~2013年の間で10例みられ、201512月以降のアンゴラを中心とした流行では、中国などでは、ワクチンを接種せず流行地域に渡航し、発症した例が報告されています。

 

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問5 感染を媒介する蚊は日本にもいますか?

答 日本には常在しないヤブカ属のネッタイシマカが、黄熱ウイルスを媒介することが確認されています。日本の秋田県および岩手県以南に常在するヒトスジシマカについては、黄熱ウイルスを媒介することができるか否かは分かっていません。

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問6 治療薬はありますか?

答  黄熱ウイルスに対する有効な薬は見つかっておらず対症療法が中心です。有効なワクチンがあり予防することができます。

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問7 罹ると重い病気ですか?

答 黄熱は、感染しても症状がないか、軽い症状のみで終わってしまう場合もあります。症状を呈した患者のうち15%が重症になり、黄疸、出血傾向を来たし、重症になった患者のうち2050%の患者が死亡すると言われており、発症した場合には、重症になるリスクの高い感染症です。

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問8 妊婦や胎児に黄熱は影響しますか?

答  黄熱については、これまでのところ、ジカウイルス感染症のような胎児の先天性障害の関係は指摘されていません。

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問9 リスク国・地域へ渡航をする場合は、どのように予防すればよいですか?

答 海外の黄熱リスク国・地域に渡航する際は、黄熱リスク国・地域へ入国する10日前までに黄熱の予防接種を打ちましょう。国によっては、入国に際し、黄熱の予防接種証明書(イエローカード)の提示を求められる場合があります(予防接種証明書は、接種後10日目以降から有効となります)。また、黄熱リスク国・地域では、その他の蚊媒介感染症(デング熱など)の流行もみられることから、渡航先では蚊に刺されないように注意しましょう。このため、長袖、長ズボンの着用が推奨されます。また、蚊の忌避剤(虫よけスプレー)なども利用しましょう。

黄熱リスク国及び黄熱予防接種証明書(イエローカード)の要求国については、FORTH(厚生労働省検疫所ホームページ)を確認してください。

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問10 黄熱予防接種はどの程度有効ですか?

答 黄熱ワクチンは、黄熱ウイルスの病原性を極めて弱くして作成された生ワクチン(生きたウイルスを含むワクチン)であり、接種10日後には90%の接種者で十分な免疫が得られ、接種後14日後にはほぼ100%の予防効果があるとされています。免疫効果はほぼ一生持続すると考えられています。

 

 

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問11 黄熱予防接種はどこで接種できますか?

答  検疫所や一部の機関で接種が可能です。黄熱の予防接種証明書は接種後10日目以降から有効となるため、予防接種証明書の提示を求める国では、渡航の直前に接種を行っても入国が認められない場合があります。黄熱予防接種機関では、計画的に接種を実施しており、事前の予約が必要です。黄熱リスク国・地域への渡航を計画している人は、渡航先により、黄熱以外の予防接種やマラリア予防薬の処方を受けた方がよい場合もあります。早めに黄熱を含めた予防接種の接種スケジュールを立て、黄熱予防接種を受けるようにしましょう。 なお、黄熱以外の予防接種については、接種する医療機関の医師と相談してください。

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問12 黄熱ワクチンを接種できない人はいますか?

答  次のいずれかに該当する場合は、黄熱ワクチンを接種できません。

(1)9ヶ月齢未満の乳児

(2) 明らかに免疫機能に異常のある疾患をお持ちの方及び免疫抑制をきたす治療を受けている方

(3) 明らかな発熱のある方

(4) 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方

(5) ワクチンの成分(卵など)によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方

(5) 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者

(6) 胸腺に関連した疾患(重症筋無力症、胸腺腫)に罹患したことがある、又は、胸腺摘除術を受けた方

(7) 上記のほか、接種を行う医師が予防接種を行うことが不適当な状態であると判断した場合


また、次のいずれかに該当すると認められる場合は、接種の可否について、接種を行う医師と慎重に検討することが必要です。

(1) 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患をお持ちの方

(2) 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方

(3) 過去にけいれんの既往のある方

(4) 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる方

(5) 妊婦又は妊娠している可能性のある女性の方

(6) 高齢者

(7) ゼラチン含有製剤又はゼラチン含有の食品に対して、ショック、アナフィラキシー等の過敏症の既往のある方

(8) ワクチンの成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある方

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問13 日本で購入した忌避剤は、流行地域においても効果がありますか?

答 国内では、「ディー ト」や「イカリジン」を成分とした忌避剤が市販されています。アフリカや中南米の蚊にも効果があります。製品の用法・用量や使用上の注意を守って使用しましょう。製品の忌避効果は、蒸発、雨、発汗などにより持続性が低下するので、一定の効果を得るためには、定期的に再塗布することが必要です。

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問14 海外旅行中に流行地域で蚊に刺された場合はどこに相談すればよいですか?

答  すべての蚊が黄熱ウイルスを保有している訳ではないので、蚊に刺されたことだけで過分に心配する必要はありません。   心配な場合は、帰国された際に、空港等の検疫所にご相談ください。また、帰国後に心配なことがある場合は、最寄りの保健所等にご相談ください。なお、発熱などの症状がある場合には、海外に滞在したこと、蚊に刺されたことなどを告げて、医療機関を受診してください。

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問15 日本国内で黄熱ウイルスに感染する可能性はあるのでしょうか?

答 日本には黄熱ウイルスの媒介蚊であるネッタイシマカは常在していません。デング熱などを媒介するヒトスジシマカは秋田県および岩手県以南のほとんどの地域に生息していますが、ヒトスジシマカが黄熱ウイルスをヒトに感染させる能力はネッタイシマカと比較すると低いと言われています。また、これまで、リスク国・地域で感染して黄熱を発症した人が報告されている米国や欧州、中国では、感染者を発端とした国内での感染例は報告されていません。こうしたことから、国内でヒトと蚊の間で感染が起こる可能性は低いと考えられます。

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【医療機関・検査機関の方向け】

 

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問16 黄熱の病原体は何ですか?

答  フラビウイルス科フラビウイルス属に属する黄熱ウイルスです。

 

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問17 潜伏期間はどのくらいですか?

答 3 6日と言われています。

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問18 どのような症候がみられますか?

答 主として発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、背部痛、悪心・嘔吐などで発症します。約15%の発症者で数時間から1日程度の症状の寛解期に引き続き、高熱の再燃と、黄疸や出血傾向が進行し、ショックや多臓器不全に至る場合があります。重症化した場合、20-50%の致死率があります。

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問19 診断検査はどのように行うのですか?

答 検査は、血液からのウイルス分離または PCR 法による病原体遺伝子の検出により行います。血清学的検査による診断は、IgM抗体または中和試験による抗体の検出により行います。検査を希望される場合は、お近くの保健所にご相談ください。

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問20 鑑別を要する疾患は何ですか?

答 同じ蚊媒介感染症であるデング熱、チクングニア熱、マラリア、同様に肝機能障害や黄疸を来すことのあるレプトスピラ症、A型肝炎、E型肝炎、腸チフスなどとの鑑別が必要です。

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問21 治療法はありますか?

答 対症療法となります。重症化すると肝機能障害、腎機能障害が進行し、集中治療を要する場合があります。 出血のリスクを助長するため、非ステロイド系消炎鎮痛薬やアスピリンの使用は避けた方が良いとされています。

 

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問22 感染症法上の取り扱いはどうなっていますか?

答 感染症法の四類感染症に指定されており、医師による保健所への届出義務があります。

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問23 ネッタイシマカについて教えてください。

答  現在、ネッタイシマカは国内には生息していません。かつては国内でも沖縄や小笠原諸島に生息し、熊本県牛深町には 1944 1947 年に一時的に生息していたことが記録されていますが、 1955 年以降は国内から消滅したとされています。ただ今日では、航空機によって国内に運ばれる例も確認されており、定着の可能性は皆無ではありません。


(参考)

国立感染症研究所昆虫医科学部ホームページ
ネッタイシマカノ写真

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問24  ネッタイシマカは国内に定着できますか?

答 ネッタイシマカの分布の北限は台湾の高雄市周辺とされています。従って、国内では沖縄県の南方(石垣島・西表島など)以北の野外では定着できないと考えられます。しかし、空港ターミナルなど、一定の温度が維持されているような特別な場所では定着できるかもしれません。   

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問25 日本で黄熱ウイルスに感染する可能性はありますか?

答 第二次世界大戦終戦以後、リスク国から帰国後の方を含め日本での黄熱患者の報告はありません。デング熱などを媒介するヒトスジシマカは秋田県および岩手県以南のほとんどの地域に生息していますが、ヒトスジシマカが黄熱ウイルスをどの程度媒介するかについては現状では科学的な知見は限られていますが、ネッタイシマカと比較すると黄熱ウイルスをヒトにうつす確率は小さいと考えられています。黄熱リスク国・地域でウイルスに感染した発症期の人(日本人帰国者ないしは外国人旅行者)が国内で蚊にさされ、その蚊が一定期間の後に感染性が発現し、他者を吸血した場合に、感染する可能性はありますが、低いと考えられます。

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問26 蚊に刺されないようにするにはどうしたらよいでしょうか?

答 ネッタイシマカは屋内で活動するため、屋内での服装や対策にも留意しなければなりません。ヒトスジシマカは、早朝・日中・夕方(特に日没前後)に活動し、ヤブや木陰などでよく刺されます。その時間帯に屋外で活動する場合は、長袖・長ズボンの着用に留意し、忌避剤の使用も推奨されます。

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