ホーム> 政策について> 分野別の政策一覧> 健康・医療> 食品> 食品中の残留農薬等> 食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法> LC/MSによる農薬等の一斉試験法II(畜水産物)

LC/MSによる農薬等の一斉試験法II(畜水産物)

1.分析対象化合物

別表 参照

 

2.装置

液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計( LC-MS/MS

 

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。

スチレンジビニルベンゼン共重合体カラム(内径 12 mm ) 内径 12 mm 、長さ 100 300 mm のステンレス製のカラム管に、ゲル浸透クロマトグラフィー用に製造したスチレンジビニルベンゼン共重合体(ハードタイプゲル、粒子径 16 μm 、ポアサイズ 30 Å )を充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。

各農薬等標準品各農薬等の純度が明らかなもの。(各農薬等の個別試験法で、標準品の純度が示されている場合にはそれに従う。示されていない場合には、純度 95% 以上のものを使用することが望ましい。)

 

4.試験溶液の調製

1)抽出

試料 10.0 g (脂肪の場合は 5.00 g )を量り採る。これに 2 vol %酢酸 15 mL (乳及び卵などの水分の多い試料は 10 mL )を加え、ホモジナイズした後、アセトン及び n - ヘキサン( 2 3 )混液 60 mL を加え、さらにホモジナイズする。毎分 3,000 回転で 5 分間遠心分離した後、有機層及び水層を吸引ろ過する。残留物にアセトン及び n - ヘキサン( 2 3 )混液 40 mL を加えてホモジナイズした後、全量を吸引ろ過する。得られたろ液を合わせ、 40 ℃以下で 20 mL 以下( 18 mL 程度が望ましい)まで濃縮する。これに塩化ナトリウム 5 7 g を加えて溶解する。

2)精製

(1) はちみつ以外の場合

a 多孔性ケイソウ土カラムクロマトグラフィー

多孔性ケイソウ土カラム( 20 mL 保持用)に1)で得られた溶液を全量注入する。このカラムを 10 分間放置した後、酢酸エチル 150 mL を注入し、溶出液を 40 ℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物の重量を測定した後、アセトン及びシクロヘキサン( 3 17 )混液に溶かし、正確に 20 mL としたものを抽出溶液する。

b ゲル浸透クロマトグラフィー

aで得られた抽出溶液を毎分 3,000 回転で 10 分間遠心分離し、その上澄液 2 mL をゲル浸透クロマトグラフィー用カラム(スチレンジビニルベンゼン共重合体カラム)に注入し、アセトン及びシクロヘキサン( 3 17 )混液で溶出する。アクリナトリンの保持時間からトリシクラゾールの溶出終了までの溶出液を採り、 40 ℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトン 2 mL を加えて溶かす。

c トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルカラム及びエチレンジアミン -N- プロピ ルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー

トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム( 500 mg )の下部にエチレンジアミン -N- プロピルシリル化シリカゲルミニカラム( 500 mg )を接続し、アセトン 10 mL を注入し、流出液は捨てる。このカラムにbで得られた溶液を注入し、さらにアセトン 18 mL を注入して、全溶出液を採り、 40 ℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をメタノールに溶かし、正確に 5 mL (脂肪の場合は 2.5 mL )としたものを試験溶液とする。

(2) はちみつの場合

a 多孔性ケイソウ土カラムクロマトグラフィー

多孔性ケイソウ土カラム( 20 mL 保持用)に1)で得られた溶液を全量注入する。このカラムを 10 分間放置した後、酢酸エチル 150 mL を注入し、溶出液を 40 ℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトンに溶かし、正確に 20 mL とする。

b トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルカラム及びエチレンジアミン -N- プロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー

トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム( 500 mg )の下部にエチレンジアミン -N- プロピルシリル化シリカゲルミニカラム( 500 mg )を接続し、アセトン 10 mL を注入し、流出液は捨てる。このカラムにaで得られた溶液 2 mL を注入し、さらにアセトン 18 mL を注入して、全溶出液を採り、 40 ℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をメタノールに溶かし、正確に 5 mL としたものを試験溶液とする。

 

5.検量線の作成

各農薬等標準品をそれぞれアセトニトリルに溶解して標準原液を調製する。各標準原液を適宜混合してメタノールで希釈した溶液を数点調製し、それぞれ LC-MS/MS に注入し、ピーク面積法又はピーク高法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中 0.01 mg/kg に相当する試験溶液中濃度は 0.002 mg/L である。

 

6.定量

試験溶液を LC-MS/MS に注入し、5の検量線で各農薬の含量を求める。

 

7.確認試験

LC-MS/MS により確認する。

 

8.測定条件

(例)

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径 2.0 mm 、長さ 150 mm 、粒子径 3 μm

カラム温度: 40

移動相: A 液及び B 液について下表の濃度勾配で送液する。

A 液: 10 mmol/L 酢酸アンモニウム溶液

B 液:アセトニトリル

 

時間(分)

A 液( %

B 液( %

0

90

10

20

5

95

35

5

95

35

90

10

移動相流速: 0.2 mL/min

イオン化モード: ESI (+又は-)

主なイオン( m/z ):別表参照

注入量: 3 μL

保持時間の目安:別表参照

 

9.定量限界

別表 参照

 

10.留意事項

1)試験法の概要

農薬等を試料から酢酸酸性条件下アセトン及び n - ヘキサン( 2 3 )混液で抽出し、多孔性ケイソウ土カラム、ゲル浸透クロマトグラフィー及びトリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラムとエチレンジアミン -N- プロピルシリル化シリカゲルミニカラムの連結カラムで精製し(はちみつの場合はゲル浸透クロマトグラフィーを省略する)、 LC-MS/MS で定量及び確認する方法である。

2)注意点

(1) 本試験法の対象は、 logPow -0.8 (メタミドホスなど)程度以上であり、かつ酸性でない農薬等である。

(2) 別表は本法を適用できる化合物を五十音順に示したものであるが、規制対象となる品目には本法を適用できない代謝物等の化合物が含まれる場合があるので留意すること。また、保持時間の異なる異性体は、化合物名欄に個別に示した。

(3) 本試験法は別表に示した全ての化合物の同時分析を保証したものではない。化合物同士の相互作用による分解等及び測定への干渉等のおそれがあるため、分析対象とする化合物の組み合わせにおいてあらかじめこれらの点を検証する必要がある。

(4) 吸引ろ過の際には、ろ過助剤(ケイソウ土)を使用する。 1 回目の抽出では、遠心分離後の残留物(固形物)を遠心管に残したまま、できるだけ有機層及び水層のみを吸引ろ過する。残留物がろ過助剤上に落ちた場合には、吸引ろ過終了後にできるだけ残留物のみを採り容器に戻す。 2 回目の抽出では遠心分離は行わず、全量を吸引ろ過する。また、 1 回目の抽出で遠心分離後に残留物がなければ、 2 回目の抽出は行わず、容器をアセトン及び n - ヘキサン( 2 3 )混液 40 mL で洗い、洗液を吸引ろ過する。

(5) 抽出液を濃縮後に放置すると、牛の脂肪やはちみつなどは固まることがある。固ま らなくても粘度が増加し、多孔性ケイソウ土カラムに負荷したときに、ケイソウ土の表面に均一に分散せず、溶出溶媒の流速が低下したり、カラムが詰まることがあるため、できるだけ速やかに以降の操作を行う。また、固まった場合には、約 40 ℃の水浴で温めて融解させ速やかに負荷する。

(6) 濃縮後の抽出液に塩化ナトリウム( 5 7 g )を加えて溶解する際には、超音波洗浄機にかけながら行うなど、十分に飽和させる必要がある。添加する塩化ナトリウムが多すぎる場合は減らしてもよいが、十分に飽和する量を加える。

(7) 多孔性ケイソウ土カラムに負荷した後の容器を酢酸エチル 20 mL 2 回洗い込み、さらに 110 mL で洗い込むと良い。洗い込む際に付着物があれば、必要に応じて適量の無水硫酸ナトリウムを加えて超音波洗浄機にかけながら洗い込むと良い。試料によっては濃縮の際に容器の内側に強固な付着物が認められることがあり、無水硫酸ナトリウムはこれを分散させるために使用する。

(8) 多孔性ケイソウ土カラムからの溶出では、流速を 4 5 mL/ 分に調節する。カラムの出口にストップバルブ(テフロン製など汚染の可能性の少ない材質のものを使用する)をつけて調節すると良い。

(9) 多孔性ケイソウ土カラムクロマトグラフィー後の残留物が 2 g 以下であることが明らかな場合には、残留物の重量を測定しなくても良い。

(10) 多孔性ケイソウ土カラムクロマトグラフィー後の残留物が 2 g を超える場合には、残留物のゲル浸透クロマトグラフィーカラムへの負荷量が概ね 0.2 g 以下になるように、抽出溶液をアセトン及びシクロヘキサン( 3 17 )混液で整数倍希釈する。毎分 3,000 回転で 10 分間遠心分離し、その上澄液 2 mL をゲル浸透クロマトグラフィー用カラムに注入して溶出液を分取する操作を希釈倍数と同じ回数繰り返し、溶出液を合わせる。例えば、脂肪の場合は、残留物が 3.5 g 程度残るので、 2 倍希釈してゲル浸透クロマトグラフィーによる精製を 2 回繰り返し、溶出液を合わせる。

(11) ゲル浸透クロマトグラフィー条件の例を以下に示す。

カラム:スチレンジビニルベンゼン共重合体カラム(内径 12 mm 、長さ 300 mm 、ハードタイプゲル、粒子径 16 μm 、ポアサイズ 30 Å )に、ガードカラムとしてスチレンジビニルベンゼン共重合体カラム(内径 12 mm 、長さ 100 mm 、ハードタイプゲル、粒子径 16 μm 、ポアサイズ 30 Å )を接続したもの又は同等品

移動相:アセトン及びシクロヘキサン( 3 17 )混液

流速: 3 mL/min

カラム温度: 45

注入量: 2 mL

分取範囲 *1 :アクリナトリンの保持時間からトリシクラゾールの溶出終了までを分取範囲とする。

分取範囲の確認:アクリナトリン及びトリシクラゾールの標準溶液( 5 mg/L*2 )を移 動相で調製し、ゲル浸透クロマトグラフィー用カラムに注入して 254 nm でモニター *3 して、あらかじめ分取範囲を確認する。

*1 精製が不十分な場合には、アクリナトリンとフルバリネートの各保持時間の中央からトリシクラゾールの溶出終了までを分取範囲とすると良い。なお、分取範囲を確認する際には、アクリナトリンとフルバリネートは分離しないので別々に測定する必要がある。

*2 各標準溶液の濃度は、装置の感度に応じて適宜変更しても良い。

*3 溶出液を適当な間隔で分取して画分ごとに測定するなど、他の適切な方法を用いても良い。

(12) 濃縮し、溶媒を完全に除去する操作は、窒素気流を用いて穏やかに行う。

(13) ミニカラムは使用条件で各農薬等の溶出調査を事前に行い、溶出位置を確認してから使用する。

(14) 精確な測定値を得るためには、マトリックス添加標準溶液又は標準添加法を用いることが必要な場合がある。

(15) 定量限界は、使用する装置や測定条件により異なるので、必要に応じて最適条件を検討する。

 

11.参考文献

なし

 

12.類型

C

ホーム> 政策について> 分野別の政策一覧> 健康・医療> 食品> 食品中の残留農薬等> 食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法> LC/MSによる農薬等の一斉試験法II(畜水産物)

ページの先頭へ戻る