05/02/24 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会平成17年2月24日議事録         薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 【日時】 平成17年2月24日(木) 午前10時00分〜午前11時47分 【場所】 中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室 【出席委員】(敬称略)      石田 裕美、小沢 理恵子、工藤 一郎、棚元 憲一、長尾美奈子(部会長)、      堀江 正一、米谷 民雄、山川 隆、山添 康、四方田 千佳子 【事務局】松本参事官、中垣基準審査課長、宇津課長補佐、蛭田課長補佐 【議題】(1)ヒドロキシプロピルセルロースの新規指定の可否について     (2)アミルアルコール、イソアミルアルコール及び2,3,5−        トリメチルピラジンの新規指定の可否について     (3)その他 ○事務局  それでは、定刻となりましたので薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を 開催させていただきます。本日は、御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうご ざいます。  本日は、中澤委員、西島委員、吉池委員より欠席の御連絡を事前にいただいておりま す。なお、四方田委員は出席の予定と伺っておりますが、ちょっと遅れておられるよう でございます。  現在、添加物部会の委員13名中9名の委員の先生方に御出席いただいております。し たがいまして、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、まず始めに松本参事官より御挨拶申し上げます。 ○松本参事官  おはようございます。ただいま、御紹介いただきました、大臣官房参事官で、薬事・ 食品衛生審議会を担当しております松本でございます。委員の先生方には、平素より食 品添加物行政に御協力いただきまして、誠にありがとうございます。私も仕事はリスク コミュニケーションということで全国を回っておりますけれども、消費者の関心は農 薬、輸入食品、あるいは添加物に関心が高うございまして、質問も多うございます。本 日、新規指定に向けまして御審議いただく、ヒドロキシプロピルセルロース及び香料3 品目につきましては、国際的に安全性が確認され、かつ汎用されているものとして国が 主体的に指定に向けて検討を進めた品目として、昨年8月16日及び11月5日にそれぞれ 食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼したものでございます。現在、食品安全委員 会の添加物専門調査会におきまして食品健康影響評価が行われ、審議結果案についての パブリックコメントが実施されているところでございます。  食品安全委員会における最終的な評価は、もう少々時間がかかりますけれども、本日 は審議結果案を基に御審議いただければと思っております。先生方の活発な御議論を賜 りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますけれども御挨拶に代えさせてい ただきます。 ○事務局  今回は、先月末に開催されました、薬事・食品衛生審議会総会において、委員改選後 初めて開催される添加物部会でございます。先般の総会におきまして、添加物部会長は これまでに引き続きまして、長尾部会長にお願いすることとなっておりますので、どう ぞよろしくお願いいたします。  次に、当部会委員に新たに御就任いただきました、委員の先生方の紹介をさせていた だきます。これまで、鈴木先生、成田先生に添加物部会委員をお願いしていたわけでご ざいますが、両先生方が御退任され、新たに女子栄養大学の石田先生。 ○石田委員  石田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局  埼玉県衛生研究所の堀江先生。 ○堀江委員  堀江でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局  両先生方に御参加いただいております。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。  それでは、座長を長尾部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○長尾部会長  引き続き部会長を務めさせていただきます、長尾でございます。御協力のほどよろし くお願いいたします。  本日の議事に入ります前に、部会長がその職務を執行できない場合に、職務を代理し ます部会長代理を指名する必要がございます。議事に入る前に部会長代理を指名させて いただきます。  部会長代理としまして、本日御欠席ではございますけれども、引き続き中澤委員にお 願いしたいと思います。中澤委員には御内諾を得ております。御異存ありますでしょう か。               (「異議なし」と声あり) ○長尾部会長  どうもありがとうございます。それでは、配布資料の確認を事務局よりお願いいたし ます。 ○事務局  御説明させていただきます。着席して御説明をさせていただきたいと思います。  本日、先生方の御手元に置かせていただきました資料でございますけれども、まず1 枚目に本日の座席表を添付させていただいております。そのほか、議事次第、委員名 簿、資料一覧でございます。その次に、まず議題1に係る資料といたしまして、「ヒド ロキシプロピルセルロースの新規指定の可否について」という冊子でございます。  まず、資料1でございますけれども、こちらは薬事・食品衛生審議会への厚生労働大 臣からの諮問書の写しでございます。  2ページでございますけれども、資料2といたしまして、こちらは食品安全委員会の 方でまとめられました評価結果(案)、食品健康影響評価に関する審議結果の案でござ います。  次に資料3でございます。めくっていただきまして、14ページになりますけれども、 こちらが添加物部会の報告書(案)でございます。  次に議題2に係る資料でございます。こちらは後ほど御説明いたしますが、3品目の 香料を併せて御説明をさせていただきたいと考えております。  まず「アミルアルコールの新規指定の可否について」という冊子でございますが、資 料4につきましては、先程と同様に厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会会長あての 諮問書の写しでございます。  資料5といたしまして、アミルアルコールに係る食品安全委員会の審議結果(案)で ございます。  資料6でございますが、こちらが添加物部会の報告書(案)ございますが、6ページ になります。  参考1でございますが、12ページ「アミルアルコールのガスクロマトグラム」を付け させていただいております。  次に「イソアミルアルコールの新規指定の可否について」という冊子でございます が、資料7は先程と同様に諮問書の写しでございます。  2ページでございますが、資料8といたしまして、イソアミルアルコールに係る食品 安全委員会の審議結果(案)でございます。  資料9でございますが、8ページになりますけれども、添加物部会の報告書(案)で ございます。  一番最後のページでございますが、14ページ、参考2といたしまして「イソアミルア ルコールのガスクロマトグラム」でございます。  次に「2,3,5−トリメチルピラジンの新規指定の可否について」といたしまし て、資料10の諮問書の写し。  2ページでございますが、資料11の食品安全委員会の食品健康影響評価に関する審議 結果(案)でございます。  これを受けまして、資料12、6ページになりますけれども、添加物部会の報告書(案 )でございます。  12ページになりますが、参考3として「2,3,5−トリメチルピラジンのガスクロ マトグラム」でございます。  最後に報告資料でございますけれども「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影 響評価結果について」というものでございます。お手元にお配りしております資料は、 以上でございます。不足等ございましたら、お申し出いただければと思います。 ○長尾部会長  よろしいでしょうか。それでは、審議に入りたいと思います。  まず最初に、議題1の「ヒドロキシプロピルセルロースの新規指定の可否について」 の審議を行いたいと思います。  事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○事務局  まず、背景から御説明いたします。ヒドロキシプロピルセルロースでございますけれ ども、平成14年7月の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会におきまして了承されまし た、国際的に安全性が確認され、かつ欧米で汎用されている添加物の取り扱いについて に従いまして、厚生労働省において資料をとりまとめた添加物でございます。  平成16年8月16日、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼したものでございま す。食品安全委員会におきましては、平成16年12月22日に開催された、添加物専門調査 会において審議が行われ、その審議を踏まえた報告書(案)がとりまとめられたことか ら、平成14年1月20日から2月16日までパブリックコメントが実施されたものでござい ます。資料に基づき御説明をさせていただきます。  「ヒドロキシプロピルセルロースの新規指定の可否について」という冊子を御覧にな っていただけますでしょうか。  1ページは、先程の説明のとおり諮問書の写しでございます。  2ページから御説明をしたいと思っております。こちらにつきましては、食品安全委 員会での審議結果(案)ということでございまして、現在、公表されているものでござ います。  まず、ヒドロキシプロピルセルロースという物質につきまして簡単に御説明したいと 思います。これは、天然に広く存在するセルロースを原料といたしまして、これをアル カリで処理した後に、プロピレンオキサイド等のエーテル化剤を用いまして得られる、 非イオン性のセルロースエーテルということでございます。  我が国においては、添加物としては使用が認められておりませんが、日本薬局方に収 載されている物質でございまして、様々な用途で既に使用がなされているものでござい ます。  米国においては、添加物としての使用が認められておりまして、乳化剤でありますと か、フィルム形成剤、安定剤といったような、様々な目的で、GMPという条件下にお いて、特段の使用制限がなされずに使用が認められている状況でございます。  また、EUでございますけれども、後ほど御説明いたしますけれども、特定の一部の 食品を除きまして、GMP、先程と同様でございますが、特段の使用制限がなされずに 使用が認められているところでございます。  国際的な添加物等の安全性を評価する機関であります、JECFAにおきましては最 終的な評価でございますけれども、1989年に同様な構造を持つ一群の物質(7種の加工 セルロース)につきまして、グループで評価をしており、この7種の加工セルロースの 中にヒドロキシプロピルセルロースが含まれております。  その7種の加工セルロースについては、「ADIは特定しない」というような評価が なされている状況でございます。  2番目の背景でございますけれども、先程参事官から説明ございましたとおり、国際 汎用添加物の1つで、厚生労働省が資料をまとめ食品健康影響評価を依頼した品目でご ざいます。  添加物指定の概要でございますが、米国において使用の制限が設けられていない。ま た、EUにおいても特定の食品の品質を規定するための添加物の使用制限がございます が、衛生規制としての安全性に基づく使用制限ではないということですので、我が国に おいても使用基準は設定せず、新たに添加物として指定したいと考えているものでござ います。  4番目でございますが、ヒドロキシプロピルセルロースの構造式等が掲載されており ます。  安全性でございますけれども、安全性の評価について個別すべて御説明することは省 略させていただきたいと存じますが、このヒドロキシプロピルセルロースでございます けれども、消化管からほとんど吸収されないというものでございます。更に安全性とい う観点からも、NOAELと言っておりますけれども、反復投与毒性試験等から得られ る無毒性量は、3.0mg/kg体重/ 日といったようなデータが記載されておりますけれど も、そのような特性を持った物質でございます。  ただ、この食品安全委員会の最終的な評価結果(案)のところにもございますけれど も、このヒドロキシプロピルセルロース単体ですべてのデータがそろっているというわ けではなくて、総合的にこの加工セルロース類、JECFA等でも評価されているわけ でございますが、総合的に他の加工セルロースのデータ等も参考として、食品安全委員 会でリスク評価がなされております。  食品安全委員会の最終的な評価結果(案)でございますけれども、11ページを御覧に なっていただけますでしょうか。「評価結果」でございますけれども「HPCについ て、提出された毒性試験成績等は必ずしも網羅的なものではないが、本物質及び類縁の 加工セルロースを用いた試験結果から総合的に判断すると、遺伝毒性及び発がん性を有 しないものと考えられる。また、体内動態に関する試験結果から、本物質はほとんど体 内に吸収されないと考えられ、かつ、毒性試験で認められた主な所見は、難消化性の食 物繊維を大量摂取した際にみられるものと同様、軟便等の消化管への軽度な影響であ り、本物質は極めて毒性の低い物質であると考えられる。さらに、限られたデータでは あるが、既に使用が認められている海外における使用量と反復投与試験等の結果から得 られたNOAELとの乖離も大きい。  なお、本物質は、我が国においても医薬品分野で使用経験があり、これまでに安全性 に関して特段問題となる報告もない。  JECFAでは、HPCを含む7種の加工セルロースについて、1989年に「ADIを 特定しない」と評価している。」  以上から、「HPCが添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考 えられ、ADIを設定する必要はないと評価した。」という案が示されている状況でご ざいます。  これを受けまして、添加物部会報告書(案)でございますが、14ページを御覧になっ ていただけますでしょうか。添加物部会報告書(案)でございます。  「1.品目名」で、ヒドロキシプロピルセルロース。  「2.用途」で、滑沢剤、コーティング剤、乳化剤等と記載させていただいておりま す。「3.概要及び諸外国での使用状況」については、既に御説明したとおりでござい ます。この14ページの下の方でございますが、我が国の状況について御説明をさせてい ただきたいと思います。  現在、我が国におきまして食品添加物としてこの加工セルロース類の中で指定されて いるものがございまして、この4品目については、現在、加工セルロースとして我が国 でも使用が認められている添加物でございます。  カルボキシメチルセルロースカルシウムからメチルセルロースまでは、昭和27年代か ら昭和38年代に指定されたものでございますし、その一番下でございますが、HPMC ということで略称される物質でございますが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースに ついては平成15年6月に新規指定された物質でございます。  現在、それぞれにつきまして使用基準といたしまして、ここに記載されているような 使用基準に限定がかかっているわけでございます。これの根拠でございますけれども、 15ページの上段を御覧になっていただけますでしょうか。まず、この昭和27年から38年 に指定された加工セルロース類でございますけれども、この設定の根拠につきまして通 知が出ておりまして、それを見ますと、繊維素グリコール酸ソーダ(カルボキシメチル セルロースナトリウム)は、栄養上なんら価値のないものであって、これを過量に用い ることは、食品の品質低下を来すものであって、食品衛生法上厳に警戒しなければなら ないということで、2%を、アルギン酸ソーダでありますとか、寒天等とその使用量を 揃えて設定したということが記載されております。  また、注の2でございますけれども、HPMCでございますが、こちらにつきまして は「保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品形態でない食品の成分となる 物質の指定及び使用基準改正に関する指針」に基づいた要請がなされ、指定されたとい うことで、この保健機能食品たるカプセル剤等以外の食品に使用してはならないという 制限が付けられております。  15ページの4でございますが、「食品添加物としての有効性」ということでございま すけれども、幾つかの文献が公表されております。  まず「錠剤成型への利用」ということでございますが、ビタミンCを主成分とする錠 剤を成型する際に、結合剤といたしまして、HPC、HPMC及びでん粉を1〜4%の 濃度で添加して、錠剤の引張り強度を測定したものがございます。  その結果でございますでけれども、1〜4%のいずれの濃度におきましても、HPC の強度は、HPMC及びでん粉と同等以上の成績ということが示されております。(2 )でございますが、「油で揚げた菓子への影響」ということが報告されております。円 盤状の菓子の生地を調製いたしまして、2%のジェランガム溶液というもの、更に2% のヒドロキシプロピルセルロース、HPCでございます。若しくは、2%のメチルセル ロース溶液に浸しまして、被膜処理したもの、更に対照といたしまして被膜処理してい ないものを、4分間の油揚げ調理前後の水分損失量及び油分増加量を測定し、その結果 を比較しております。  結果の表が、16ページの上段にございます。まず水分の損失量でございますが、被膜 を用いてないものが3.78g損失したとなっております。それに対して、ジェランガムで 被膜処理したものでございますけれども、ほぼ100 %、倍量の水分が損失したという結 果が得られております。  一方、HPC、メチルセルロースでございますけれども、水分の損失量が約20%〜30 %減少したという結果が得られております。  また、油分の増加量でございますけれども、被膜処理いたしませんと、1.01g増加す るわけでございますが、この被膜処理をすることによって約50%〜90%の油分の増加が 減少したという結果が得られております。  16ページの(3)でございますが、「食品中での安定性及び食品中の栄養成分に及ぼ す影響」ということでまとめられております。HPCは、「化学的に安定な物質であっ て、水溶性、油性いずれの食品でも食品中の他の成分に与える影響はほとんどないと考 えられる」とされております。なお、本物質にメチルエーテル基が付加されたHPMC のカプセルを用いたアスコルビン酸、リボフラビンまたは甘草抽出物を充填いたしまし たカプセル剤の安定性試験が、HPMCでは行われております。  また、アスコルビン酸にHPMCコーティングをした錠剤の安定性試験が実施されて おります。これによりますと、食品の他の成分に特段の影響が認められないということ が確かめられております。こちらは、HPMCの新規指定の際にまとめられました薬食 審の報告書から抜粋されております。  「5.食品安全委員会における評価結果について」でございますけれども、添加物と して適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを設定する必要は ないと評価したということでございます。  「6.一日摂取量の推計等」でございますけれども、食品安全委員会において審議が 行われておりまして、米国における食品向け使用量からの算定、更に英国においては摂 取量調査が行われているようでございますが、α−セルロース、メチルセルロース、H PC、HPMC、エチルメチルセルロースの合計量で12.2mg/ ヒト/ 日という報告があ るということでございます。  「7.使用基準案」でございますけれども、米国及びEU等において、それぞれGM Pで使用することが認められているということでございまして、使用基準は特段設定し ないこととするとまとめております。  「8.成分規格案」でございますが、別紙1のとおり設定することが適当であるとい うことでございます。  別紙1でございますけれども、それぞれ規定がなされているわけですが、その根拠に つきまして、19ページでございますが別紙2ということでその設定の根拠を説明させて いただきたいと思います。基本的な考え方でございますが、国際汎用添加物ということ でもあり、JECFA、FCC、EUといった国際規格を参考として組み立てられてい るものでございます。  ただ、定量法でございますけれども、我が国で汎用されている分析法を採用したとい うことでございまして、こちらは後に出てまいりますけれども、既に指定がなされてお ります、HPMCと同様の方法が採用されております。  その含量の基準値でございますけれども、JECFA、FCCにならって、80.5%以 下ということでございます。こちらにつきましては、先程申し上げましたとおり、国内 で既に指定されているHPMCの定量方法を準用しているところでございます。  性状でございますけれども、JECFA、FCCと同様でございます。ただ、JEC FAにおきましては、純度試験の方で規定されております、「本品は、エタノールに溶 解し、エーテルに溶けない。本品に水を加えるとき、膨潤し、澄明又はわずかに混濁し た粘ちょう性のある液となる」というような記載がございますが、こちらにつきまして は、HPMCの規定が性状の方になされているということで、このHPCにおいても性 状のところで記載をさせていただいております。  確認試験でございますけれども、泡立つ、沈殿を生じないといったものですけれど も、JECFA、FCCに合わせて記載されております。  純度試験でございますけれども、液性でございますが、JECFA、FCCにならっ て、5.0 〜8.0 となっております。  (2)のプロピレンクロルヒドリンでございますけれども、こちらにつきましては、 JECFA及びEUにおいては、0.1ppm以下という規定がございます。しかしながら、 我が国においては1ppm以下という規格が提案されております。  この根拠でございますけれども、JECFAにおきましては、そのガスクロマトグラ フにおいて、特異的な国内ではあまり使われない検出器を使用しているということでご ざいまして、通常食品添加物の公定書等で使用されております、FIDと記載しており ますが、水素炎イオン化検出器を用いて検討いたしましたところ、0.1ppmという数字自 体検出が困難であるということで、我が国において現在、加工デンプンという添加物の 指定の検討を食品安全委員会に依頼しているところでございますが、そういったところ においても、プロピレンクロルヒドリンの限度値が1ppm 以下というふうに規定してい るということもございまして、我が国においては1ppm 以下ということで、提案をさせ ていただいております。  重金属につきましては、JECFAで規定されておらず、JECFAにならいまして 鉛として2μg/g 以下ということで提案がなされております。  乾燥減量、強熱残分等については、JECFAに従って規定を提案させていただいた ところでございます。  概要は以上でございます。御審議いただければと思います。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。ただいま御説明がございましたけれども、今回の成 分規格をとりまとめられました、国衛研の食品添加物部から何か補足事項ありますでし ょうか。  どうぞ。 ○四方田委員  重金属のところなのですけれども、当初重金属で提案しておりまして、後で鉛に変え ようということになっているのですけれども、ここ重金属のままに記載が残っておりま して、鉛に修正させていただくということになると思います。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。  それでは、ヒドロキシプロピルセルロースの新規指定の可否について、御意見をお願 いいたします。  どうぞ。 ○小沢委員  消費者の立場で見たときに、3点ほど頭の整理がつかない問題があってお伺いしたい というか、意見を申し上げたいと思うのですが、1つは、経過としては国際的に汎用さ れているということでノミネートされた中で審査が行われたということはわかるのです が、具体的に欧米で、どういう食品に、どんなふうに使われているのか、錠剤というこ とで、言わば保健機能食品的に使われているものを形づくるというのはわかるのです が、他にフィルム形成剤とか、そういう抽象的には書かれているのですが、どういうも のに、どんなふうに使われているかということを、1つ情報としていただきたいと思い ます。  2番目ですが、ここでも同じ加工セルロース類という取り扱いの記述もいろいろあり ますけれども、私が存じているのは、2002年にヒドロキシプロピルメチルセルロースの 御申請があって、そのときは、保健機能食品の錠剤をつくるための申請ということで、 使用基準もその錠剤に使うということだったのですが、そのときは食品安全委員会がな くて、この添加物部会とその前の調査会が3回ぐらい開かれて議論があったのですね。  私の記憶によると、ADIの設定の問題で、相当な議論があって、私は素人ですから よくわからないのですが、とにかく調査会で検討されて、慎重を期してADIを設定し ましたと。21mg/kg/day でしたか、そういう議論があって、その設定をするプロセスに ついて、延々とどの数値を採るかということで先生たちが御議論なさっているのです。 それで、安全係数100 をかけるのだということで、その100 をかける意味についても相 当な御議論があって、このメチルセルロースについてはADIがあると。  今回は、食品安全委員会で御議論になっていて、JECFAもADIが要らないと言 っているしということで、片方では要らないでしょうという御判断になっていて、出て いらっしゃる委員の先生と御専門の先生が同じ方々が結構重複しておられるので、これ は何か考え方としてどんなふうに考えたものかなというのが、私は一つよくわからない ということがございます。  それと、議論の中で毒性ではないけれども、物理的な性格上、非常に下痢をするとい うか、緩下作用が強いということで、結構な議論があって、そのことについては事務局 の御説明では、例えば、カプセル剤でも非常に大きなカプセル剤になってきて、1日9 錠〜12錠ぐらい摂取すると、かなりADIに近くなってしまいますよということが議論 されていて、事務局としてはそういうことがあるので、製造・販売しようとする事業者 に対しては、カプセルの大きさ、あるいは摂取量の選定に際して、緩下作用について留 意する必要があるということをあらかじめ注意喚起しますよということと、必要な場合 は消費者に対してもそういう情報の提供をするのだというふうに、事務局からの御説明 があったというふうに覚えております。  それで、第3番目なのですが、今回の使用基準の方なのですが、ADIについては食 品安全委員会でJECFAが要らないと言っているから要らない。ただ、JECFAが 要らないと言うときには、結構適正に使用される範囲においてはという条件が付いてい て、それで技術的にも有効なものでなければならないし、必要最小限の濃度で使用され て、食品の劣悪な品質低下を隠したり、栄養上のアンバランスを生じるようなことがあ ってはならないという、条件付きだというふうに私は理解しているのですが、そのこと と今回の使用基準が要らないということと、どんなふうに考えたらいいのか。  あとは、欧米でもGMPの下でというふうに、これもまた条件が付いていて、日本の 場合使用基準も要らないというふうになった場合に、どのような使い方がされるかとい うことが、言ってみれば日本の場合はGMPで担保される条件はどこにあるかというの が、非常に疑問で、極めて、まだ日本ではOKということにはなっていないのでしょう が、他にCMCなり、既に認可されているものもあるのですが、そういうことも含めて どういうふうになるのかがいま一つよく見えないので、丁寧な議論が必要ではないかと いうふうに私は感じました。  以上でございます。 ○長尾部会長  それでは、事務局、お願いいたします。 ○事務局  まず、使用対象食品として、どんなものがあるのかという御質問でございますけれど も、CODEXの基準においては、例えば、クリーム、バターといったものでございま すとか、魚介加工品、砂糖、シロップ、調味料、コーヒー飲料、保健機能食品のカプセ ル剤、顆粒剤及び錠剤といったようなものが記載されている。議論されているところで ございます。  そういった食品に対して、海外では使っているらしいということが言えるかと思いま す。一方、もう一つでございますけれども、HPMCとの指定等に当たる議論と、今回 のHPCの御議論ということでございますけれども、HPCにつきましては、先程もお 話がございましたとおり、いわゆる保健機能食品等に限定するガイドラインに従って指 定の要請に基づいて御議論いただいて、最終的に指定がなされたということでございま す。従って、保健機能食品という使用制限がつくられているものでございます。  その際の安全性の議論でございますけれども、当然安全性の議論は尊重されるべきと 思いますし、そういう結果も残っているところでございますが、そういうことも踏まえ て、現在の食品安全委員会においては、最新の情報等も含めて御審議いただいて、AD Iは特定せずというような審議結果案を現在、提案させていただいているというふうに 理解しているところでございます。  もう一つ、添加物のGMPでございますけれども、こちらにつきましては、現在、日 本国内において、その食品衛生法の中でそういう規定はございませんので、いわゆる添 加物を使用するに当たって、事業者サイドでそういうことは当然想定されながらやって いただいているものとは思いますけれども、現状で、例えばJECFAでありますと か、CODEX、米国等でGMPの制限というふうに言われておりますけれども、食品 衛生法の中で現行ではございません。 ○中垣基準審査課長  3つの御質問をいただいて、1番目の御質問については、大体答えさせていただいた と思います。  2番目のADIの問題については、食品安全委員会の専権事項と申しますか、安全委 員会があくまで我々から独立をして、中立・公正に評価をするということでございます ので、それについて言及することはなかなか職責上も難しいわけでございますけれど も、安全委員会の今回の評価結果を見てみますと、11ページにまとめられております が、まず体内動態でほとんど吸収されないということを大きな論拠として挙げておるわ けでございます。その上で、では実際にやった試験ではどうかということを、次に言及 いたしておりまして、具体的には5ページの2番目のパラグラフ、上から10行目ぐら い、Wistarラットから始まるパラグラフでございますが、ここにおきます無毒性量が 3.0g/kg 体重/ 日というふうになっておりまして、3.0g/kg 体重/ 日という非常に大き い値になっておるということを挙げておるわけでございます。  更にそれに加えて、既に使われておる欧米の摂取量と比べると、この無毒性量という のは、かけ離れておるということに言及した上で、更には国内における医薬品での使 用、あるいは海外での評価をまとめた形で、ADIを提案してきておるということなの だろうと思います。  勿論、無毒性量だけからADIを算出していくということも1つの筋としてあるのだ ろうと思いますが、この場合においては無毒性量があまりに大きい、更には吸収されな いというようなことから、このようなことを提案しておるのではないかというふうに推 測しておるところでございます。  3番目のGMPの問題でございます。GMPの問題というのは、私、食品衛生法の当 然の前提なのだろうというふうに考えております。しかし、これを使用基準に書くかど うかということについて申し上げますと、あまりに抽象的な概念でございますので、そ ういう意味から申し上げますと、現在の使用基準が、例えば、何ppm 以上使ったら違反 ですよ、この食品には使ってはいけませんよというような、ある面で申し上げますと単 純明快な規制という形になっておりますので、そういう意味から申し上げますと、使用 基準としてはなじまないのかなとは思いますが、改めて食品業者、あるいは製造業者に 注意を喚起するということが重要なのだろうと考えております。  そういう意味から申し上げますと、仮に御了解いただけるのであれば、指定したとき の施行通知において、小沢委員がおっしゃったようなGMPの考え方、必要最低限の量 にするのだということを強調して、通知をするとともに、その普及を図っていくという ことが重要なのだろうと考えている次第でございます。 ○小沢委員  どういうものに使われているかというのは、先程お伺いしましたけれども、欧米で使 われていると。日本でこれを使いたいというか、そういう要請、まだ誰もおっしゃって ないかもしれないのですけれども、相当使い勝手がいいものだったら、恐らく広がって いく可能性は相当ありますし、やはり保健機能食品のカプセル剤みたいなものに使われ ていく可能性というのはあるのか。その辺のイメージがもう一つというのが1つです。  それと、前のメチルセルロースのときの議論の緩下作用、おなか壊しますよという話 は、今回の話では全く無視してしまっていいのかというのが、一つ気がかりなのです が、いかがなものでしょうか。 ○中垣基準審査課長  錠剤、カプセル剤に使われるかという御質問であれば、使われると私も考えておりま す。  それ以外にも、ここでも油物みたいなことが出てきている試験結果がございますけれ ども、こういったところに使われていくのだろうと考えております。  2番目の緩下作用の関係でございますが、毒性試験の議論でございました、いわゆる 先程御紹介した無毒性量というのは緩下作用からきた無毒性量でございますので、そう いう意味からいっても、実際の使用量との間では、非常に開きが大きいのだというの が、安全委員会での御議論だと思いますし、ただ、繰り返しになりますが、かなり安 全、安全を比較するとまたなかなか、今のかなり安全というのも非常に抽象的で怒られ そうなのですが、例えば、このものであっても、むやみやたらに使っていいというわけ ではないというのは、もう小沢委員のおっしゃるとおりだろうと思いますので、そうい う意味で先程御提案したような趣旨の通知を出すということ、またそれを普及してい く。それこそ、松本参事官もおられますが、リスコミ等の中でそういったことをやって いくということでいかがかと思っているところでございます。 ○長尾部会長  どうぞ。 ○山添委員  小沢先生の御質問に、私は食品安全委員会にも関わっているので、そっちの方の、 今、中垣課長がおっしゃったとおりでありまして、議論の対象になりました。まず、ホ ットのデータからほとんど吸収されないと。しかも、その中で尿中に出てきたものが、 多少分子量は糖としては少し修飾はされているけれども、ほとんど変化したものではな いと。一部もともと分解したものではないかと、もともとの製品に入っていた分解物 が、またまた尿中に出てきただけで、事実上は製品としては吸収されてないのじゃない かということが最大の根拠でした。  それから、ヒトで30gまでの服用の実験があって、軟便と下痢が確かに出ていまし た。ですけれども、その程度は食物繊維等で見られる程度のものであると。実際には、 30gを使うことはないであろうということが根拠だったと思います。 ○長尾部会長  ありがとうございます。  他に御意見、いかがでしょうか。どうぞ。 ○工藤委員  細かいところで恐縮なのですが、11ページの評価結果のまとめのところですが、これ も何か言ってはいけないところなのかもしれないのですが、それから6行目の「所見は 」というところですね。「難消化性の食物繊維を大量摂取した際にみられるものと同様 」と、この言い方が随分定性的に聞こえまして、どのぐらい大量摂取しているものと同 等なのか、ほかのところの文章に比べまして、説得力がないのではないかという感じが すごくいたします。  元が4ページの下から3行目でございますが、「10%投与群において投与初期より軟 便が認められ」というふうに書いてあって、10%食物繊維が入るということはあるのか というふうに思ったりしたのですけれども、この食物繊維を大量に摂取した際に見られ る軟便というのは、当然のことであるというふうに受け止めてよろしいでしょうか。 ○長尾部会長  山添先生、何かコメントありませんか。 ○山添委員  多分、浸透圧の関係で、水分吸収が結構保水になりますし、当然これだけ10%投与の ものが入っていけば、軟便になるのは当然ではないかと思います。実際は、なかなかこ ういうものはあり得ないと思います。 ○長尾部会長  それから、これは食品安全委員会の評価ですので、今、公開されていますので、御意 見を直接おっしゃるのも一つの方法かと思います。  他には、どうぞ。 ○米谷委員  17ページの別紙1の規格のところなのですが、純度試験の(2)のところで、最初に 「本品約1gを精密に量り」ということになっておりまして、それで最後は、比較する ときに標準溶液のピーク面積を超えないということになっておりますけれども、普通 「約1gを精密に量り」ですと、当然ながら後で重量換算して、その重量で割ったとき に何々を超えないという書き方か、あるいは定量する方に持っていくのですが。これは 最初の文が、多分本品1gを正確に量り、最後に比較するのだと思いますので、そうい うふうに変更された方がいいかと思います。 ○長尾部会長  四方田先生、何かございますか。 ○四方田委員  当初、検量線を書いておりましたので、そのように修正させていただきます。 ○長尾部会長  他には、よろしいでしょうか。 ○事務局  「精密に量り」というところを「正確に量り」ということでよろしいですか。 ○四方田委員  「約」を取ると。 ○事務局  鉛につきましては、先程四方田委員から御説明ございましたが、「重金属」を取りま して。 ○四方田委員  鉛2.0 μg/g 以下ということです。 ○事務局  はい、鉛2.0 μg/g 以下。 ○四方田委員  括弧内も修正はします。 ○長尾部会長  他には、御意見ありますでしょうか。もしなければ、このヒドロキシプロピルセルロ ースの新規指定につきましては、可とするということでよろしいでしょうか。どうぞ。 ○中垣基準審査課長  先程討議させていただきました、GMPの趣旨を中心とした記載を御了解いただける のであれば、この部会報告書の中に盛り込みたいと思います。  具体的には、16ページの下から6行目に「7.使用基準案」とございますけれども、 使用基準は設定しないこととするとあります。ここに、ただし、適正に使うのは当たり 前なのだと、更に何遍も書くかどうかは別問題として、先程小沢委員から御紹介のあっ たCODEXでの取り扱い等を参考に、記述を考えてみて、部会長と御相談をした上 に、文書で各委員に御了解をいただければというふうに考えている次第でございます が、そういう手続でよろしゅうございますでしょうか。 ○長尾部会長  ありがとうございます。よろしいでしょうか。                (「はい」と声あり) ○長尾部会長  それでは、その他の細かいところは事務局で御訂正いただきまして、その後のスケジ ュールの御説明をお願いいたします。 ○事務局  今回の審議結果に基づきまして、食品衛生審議会での審議のほか、パブリックコメン ト、WTO通報等の所定の準備手続を開始することになると考えております。 ○長尾部会長  その点よろしくお願いいたします。  それでは、次の議題にまいります。議題2のアミルアルコール等の3品目の香料につ きましては、食品安全委員会でも同時に検討が進められていると聞いております。事務 局より、この3品目の香料につきまして、続けて御説明をお願いいたします。 ○事務局  御説明いたします。まず、背景でございますけれども、平成14年7月に食品衛生分科 会で了承されました、国際的に安全性が確認され、かつ欧米で汎用されている添加物と しての香料の取り扱いに従いまして、厚生労働省で資料をとりまとめて、昨年の11月5 日になりますが、香料としての指定について食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼 した品目でございます。食品安全委員会におきましては、平成17年1月、本年1月でご ざいますが、添加物専門調査会で審議が行われまして、その審議を踏まえた報告書案が とりまとめられ、本年の2月10日よりパブリックコメントが実施されているところでご ざいます。  資料に基づきまして御説明いたしますと、まず「アミルアルコールの新規指定の可否 について」という冊子でございますが、1ページは諮問書の写しでございます。  2ページからが、食品安全委員会における審議結果の各案でございますけれども、ま ずアミルアルコールでございますが、この物質はフルーツ様の香気を有しているもので ございまして、果実等の天然の食品にも含まれている成分でございます。欧米におきま しては、清涼飲料水等、様々な加工食品において香りを再現するために添加されている 物質ということでございます。  こちらにつきまして、2.でございますが、先程のとおり、国際汎用されている香料 ということで、国が資料をまとめたものでございます。これにつきましては、平成8年 に厚生労働省が通知いたしました「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」 ではなく、「国際的に汎用されている香料の安全性評価の方法について」ということ で、国立医薬品食品衛生研究所の井上センター長にとりまとめていただいた考え方に基 づいて資料の整理が行われたものでございます。  名称等は、ここに記載されたとおりでございます。  安全性でございます。遺伝毒性でございますけれども、3ページを御覧になっていた だきますと、こちらは2004年ですから昨年でございますけれども、現行のガイドライン に従いまして、GLP適合試験として3点、Ames、染色体、小核が行われておりま すが、すべて陰性であったということで、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はない ものと考えられるとしております。  (2)の反復投与でございますが、NOAELが1,000mg/kg体重/ 日ということで す。  (3)の発がん性については、国際的な機関での評価はされておりません。  内分泌かく乱性を疑わせる報告もないということでございます。  「摂取量の推定」でございますけれども、物質の年間使用量の全量を人口の10%が消 費していると仮定しております、JECFAのPCTT法というものがございますが、 その手法に基づきまして推定がなされております。米国及び欧州における一人一日当た りの推定接収量は、34μg 及び83μg というふうに推定されております。正確には、認 可後の追跡調査が必要と考えられるけれども、既に許可されている香料物質の我が国と 欧米の推定摂取量は同程度との情報があるということから、我が国での本物質の推定摂 取量は、おおよそ34から83μg の範囲にあると想定されるとまとめられております。  一方、天然にもともと存在する成分としての、本物質を摂取する量としては、意図的 に添加された物質の47倍であるとの報告もあるということでございます。  安全マージンの算出でございますけれども、先程の1,000mg/kg体重/ 日と、先程の推 定される摂取量、34〜83μg/ヒト/ 日でございましたけれども、この推定摂取量を日本 人の平均体重で割って出される推定摂取量とNOAELを比較することによりまして、 安全マージンが約58万〜約147万という数字が得られております。  構造クラスに基づく評価ということでございますが、JECFAによって行われてい るように、その構造、毒性が認められないような生体内成分に代謝されるかどうか等も 含めて、構造クラスI〜III ということでJECFAでは分類しているわけでございま すが、本物質につきましては、速やかに生体成分と同一に代謝されて、最終的に二酸化 炭素と水に代謝されて、尿中及び呼気中に排出されるということで、構造クラスがIと いうことで分類されております。  JECFAにおける評価でございますけれども、1997年に評価されておりますけれど も、想定される推定摂取量、これがクラスIの摂取許容値を下回るということでござい ます。クラスIの摂取許容値につきましては、JECFAの方が文献を調査いたしまし て、数千のデータを基に、このクラスIに推定される化学物質の摂取許容値を公表して いるところでございまして、そのクラスIの摂取許容値が1,800 μg/ヒト/ 日となって いるところでございます。  この推定摂取量が摂取許容値を下回っているということでございまして、香料として の安全性の問題はないとまとめられております。  9番目、4ページでございますけれども「国際的に汎用されている香料の我が国にお ける安全性評価法」に基づく評価ということでございますが、本物質は生体にとって特 段問題となる遺伝毒性はないと考えられる。また、クラスIという化学物質の構造から 分けられて、安全マージンは90日間反復投与試験の適切な安全マージンとされる1,000 を大幅に上回り、かつ想定される推定摂取量はクラスIの摂取許容値を超えていないと まとめられております。  結果案でございますけれども、本物質を食品の着香の目的で使用する場合、安全性に 懸念がないと考えられるとまとめられております。  5ページでございますけれども、これはJECFAにおける構造分類を決定する際の 質問表をフローチャートにしたものでございます。  6ページでございますけれども、このような食品安全委員会における評価を踏まえま して、添加物部会の報告書(案)でございます。  「1.品目名」で、アミルアルコール。  「2.構造式、分子式及び分子量」でございます。  「3.用途」で、香料でございます。  「4.概要及び諸外国での使用式」については、先程お話したとおりでございます。  「5.食品安全委員会における評価結果(案)」でございますけれども、現時点で食 品の着香目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられると提案されているとこ ろでございます。  「6.摂取量に推定」につきましては、先程の食品安全委員会の評価結果(案)に記 載されているとおりでございます。  7ページでございますけれども「7.新規指定について」ということでございます が、「本物質を食品衛生法第10条の規定に基づく添加物として指定することは差し支え ない。ただし、同法第11条第1項の規定に基づき、次のとおり使用基準と成分規格を定 めることが適当である。」ということでございます。  「使用基準案」としては、リスク評価が香料に限定して行われておりますので、使用 基準は「着香の目的以外に使用してはならない」とすることが適当である。  「成分規格案」については、別紙1のとおり設定することが適当であるということで ございます。  別紙1、8ページでございますが、アミルアルコールの成分規格案でございます。  9ページに「参照赤外吸収スペクトル(アミルアルコール)」を掲載させていただい ております。  10ページでありますけれども、その規格設定の根拠でございますけれども、まず「含 量」でございますが、JECFA、FCCの規格値に従って98.0%以上としておりま す。  「性状」でございますけれども、JECFA、FCCの規格を参照して、更に特有の 香気を持つということでございますので、「無色〜淡黄色の透明な液体で、特有のにお いがある」というものでございます。  「確認試験」でございますが、JECFAに従いまして、IRを採用しております。  「純度試験」でございますが、屈折率と比重を採用しておりますけれども、いずれも JECFA、FCCという国際規格に沿ったものでございます。  「定量法」につきましては、JECFA等でも使用しておりますけれども、GC法を 採用して提案させていただいたところでございます。  アミルアルコールは以上でございます。  次に「イソアミルアルコール」でございます。まず、2ページを御覧になっていただ きますと、イソアミルアルコールの香気でございますが、ラム酒またはウイスキー様の ものということでございます。これも様々な天然食品に含まれている成分ということで ございまして、欧米においては先程と同様に、様々な加工食品において香りを再現する ために添加されているものでございます。  こちらにつきまして、背景等は国際汎用香料でございまして、同様に国際的に汎用さ れている香料の安全性評価方法に基づいて整理されております。  名称等は、記載のとおりでございます。  安全性につきましては、遺伝毒性でございますが、2ページの一番下で、特段問題と なる毒性はないということでございます。  3ページでございますが、反復投与につきましては、NOAELでございますけれど も、295mg/kg体重/ 日ということでございます。  発がん性につきましては、国際機関、IARC等では評価されておりません。  一方、ラットの経口投与試験におきまして、悪性腫瘍の発生が報告されている場合も あるという記載があるということでございますが、定量的、定性的に不正確な試験であ って、この物質の発がん性を評価するのに適した方法とは言えないと評価されておりま す。  内分泌かく乱性を疑わせる報告はないということでございます。  摂取量の推定でございますが、先程と同様に欧米での一人一日当たりの推定摂取量か ら、我が国での推定摂取量を推定いたしますと、おおよそ1,581 〜2,194 μg の範囲に なると推定がなされております。  ちなみに、天然中の本成分の摂取量は、意図的に添加された物質の95倍というような 報告があるということでございます。  6番の安全マージンは、6,700 〜9,300 程度でございます。  4ページでございますが、構造でございますけれども、速やかに生体成分と同一物質 に代謝されて、最終的に二酸化炭素と水に代謝されるということで、先程と同様でござ いますが、構造クラスはIに分類されるというものでございます。  JECFAにおける評価でございますけれども、同様な評価がされておりまして、構 造クラスが想定される推定摂取量等から、香料としての安全性の問題はないと評価がな されております。  「国際的に汎用されている香料の我が国における安全性評価法」に基づく評価でござ いますが、特段問題となる遺伝毒性はないと考えられるとしております。  また、クラスIに分類され、安全マージンは90日間の反復投与試験の適切な安全マー ジンを上回るというものでございます。ただ、推定される摂取量は、クラスIのJEC FAで規定されているものでございますが、推定許容値を上回る可能性があるという御 報告でございます。  また、本物質につきましては、代謝過程におきまして、アルコール脱水素酵素及びア ルデヒド脱水素酵素が関与するということでございまして、これらにつきましては、遺 伝的多型性があるということでございまして、これについての評価がなされておりま す。  それによりますと、日本人では、ALDHII型欠損の人が多いことが知られている が、別の酵素が補完的に働くことも報告されており、遺伝的な背景の違いを考慮して も、ヒトにおいて適応可能な代謝経路が存在するとまとめられております。  評価結果案でございますけれども、生体内において特段問題となる遺伝毒性はないと 考えられる。推定される摂取量は、クラスIの摂取許容値を超える可能性があるけれど も、安全マージンは90日間試験の適切な安全マージンとされる1,000 を上回っているこ と、本物質は幅広い食品にもともと存在する成分であって、食事から日常的に摂取して いるものと考えられ、その摂取量は意図的に添加される本物質の摂取量よりかなり多い と推定される情報もあること、ヒトにおいて明確な代謝経路が存在しており、速やかに 生体成分と同一物質に代謝されることなどから総合的に判断し、イソアミルアルコール を食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられると評価されてい るところでございます。  これを受けまして、部会報告書(案)でございますが、8ページを御覧いただきたい と思います。「イソアミルアルコールの食品添加物の指定に関する部会報告書(案)」 でございますが、1、2、3、4ということで、記載のとおり、これまでの御説明のと おりでございます。  「5.食品安全委員会における評価結果(案)」でございますが、現時点で着香の目 的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられるとされております。  「6.摂取量の推定」につきましては、先程の説明のとおりでございます。  9ページでございますけれども、「7.新規指定について」ということでございます が、第10条の規定に基づく添加物として指定することは差し支えない。ただし、同法第 11条第1項の規定に基づき、次のとおり使用基準と成分規格を定めることが適当である ということでございます。  「使用基準案」につきましては、先程と同様に「着香の目的以外に使用してはならな い」。  「成分規格案」につきましては、別紙1のとおり設定することが適当ということでご ざいまして、10ページでございます。イソアミルアルコールの成分規格案でございま す。  11ページに、確認試験で採用されております「参照赤外吸収スペクトル(イソアミル アルコール)」でございます。  12ページでございますが、「イソアミルアルコールの規格設定の根拠」でございま す。ここに記載されております、「含量」「性状」「確認試験」「定量法」いずれもJ ECFAまたはFCCという国際的な規格に準拠して設定されています。  「純度試験」におきましても、屈折率、比重いずれもJECFA、FCCに規定され ているものでございますけれども、こちらにつきましては、JECFAの規格が屈折率 につきまして、1.405 〜1.410 となっているところでございますが、流通品の測定を行 いましたところ、1.404 というものがございましたので、規格案の下限値を1.404として おります。 比重につきましても、JECFA等においては、0.807 〜0.813 とされて いるところでございますが、流通品を考慮いたしまして、0.806 〜0.813 と規定をさせ ていただいているところでございます。  「イソアミルアルコール」は以上でございます。  3品目目でございますが「2,3,5−トリメチルピラジンの新規指定の可否につい て」でございます。  2ページでございますが、資料11が食品安全委員会のリスク評価の審議結果案でござ います。本物質はローストナッツ様の加熱香気を有する食品中に天然に存在する成分と いうことでございます。欧米においては、焼き菓子であるとか、アイスクリーム等、様 々な加工食品に使われているものでございます。  背景等につきまして、これまでの2品目と同じ扱いでございます。  3番の名称等、構造等については、そこに記載されているとおりでございます。  安全性でございますけれども、遺伝毒性につきましては、こちらも総合的に評価いた だいて、生体にとって特段問題となるような遺伝毒性はないものと考えられるとまとめ られております。  3ページでございますが、反復投与の90日の試験から、NOAELが18mg/kg 体重/ 日というふうに評価されています。  発がん性につきましては、国際的な機関でも評価はなされておりません。  内分泌かく乱性を疑われる報告もないということでございます。  「5.摂取量の推定」でございますけれども、こちらも欧米の調査における推定か ら、我が国での推定摂取量を想定しておりますが、おおよそ46から120 μg の範囲にな るというような想定がされています。  こちらにつきましても、天然の食品中に存在する成分でございまして、意図的に添加 された物質の65倍の摂取量があるというような報告がございます。  「6.安全マージンの算出」でございますけれども、こちらについては、7,500 から 約2万というものでございます。  「7.構造クラスに基づく評価」でございますけれども、本物質、先程の構造を見て いただきますと、いわゆるピラジン誘導体というものに分類される成分でございますけ れども、こちらの代謝でございますけれども、主な代謝産物は、この構造の中でメチル 基が酸化された水溶性のピラジンカルボン酸、あるいはピラジン環自体が水酸化された ヒドロキシピラジンカルボン酸というものができるとされております。  それらにつきましては、生体内成分ではないということでございますけれども、明確 な酸化の代謝経路が存在するということ。更に経口毒性が低いということが示唆される ということで、構造からするとクラスIIに分類されるというふうに評価がされておりま す。  4ページでございますけれども、JECFAにおける評価といたしましては、国内と 同様にピラジン誘導体ということで評価がなされておりまして、クラスはI、II、III とあるわけですが、クラスIII は毒性が否定できない物質でございまして、クラスIIと いうのはIとIII の間に分類されるような物質ということでございます。  推定される摂取量は、クラスIIの摂取許容値、こちらが540 μg/ヒト/ 日というもの が公表されているところでございますが、それを下回っているということでございまし て、香料としての安全性の問題はないというふうに評価がなされております。  9番目でございますが、我が国における安全性評価法に基づく評価でございますが、 生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと考えられると。また、クラスIIに分類さ れ、安全マージンは90日反復投与試験の適切な安全マージン1,000 を上回って、かつ推 定される推定摂取量はクラスIIの摂取許容値を超えていないということでございまし て、評価結果でございますが、本物質については食品の着香の目的で使用する場合、安 全性に懸念がないと考えられると評価がなされています。  これを受けまして、添加物部会の報告書(案)でございますが、6ページでございま す。  「1.品目名」。  「2.構造式、分子式及び分子量」。  「3.用途」。  「4.概要及び諸外国での使用状況」については、記載されているとおり、若しくは これまでお話したとおりでございます。  「5.食品安全委員会における評価結果(案)」は、食品の着香の目的で使用する場 合、安全性に懸念がないと考えられるというものでございます。  「6.摂取量の推定」については、先程の説明のとおりでございます。  7ページを御覧になっていただけますでしょうか。「7.新規指定について」という ことでございますけれども、本物質を第10条の規定に基づく添加物として指定すること は差し支えないと。ただ、同法第11条第1項の規定に基づいて、使用基準、成分規格を 定めることが適当であると。  「使用基準案」でございますけれども、これまでのものと同様に「着香の目的以外に 使用してはならない」。  「成分規格案」は、別紙1のとおり設定することが適当ということでございます。  8ページでございますが、2,3,5−トリメチルピラジンの成分規格案でございま す。  9ページでございますが、確認試験で採用されています「参照赤外吸収スペクトル (2,3,5−トリメチルピラジン)」でございます。  10ページを御覧になっていただきますと「2,3,5−トリメチルピラジン規格設定 の根拠」を掲載させていただいております。こちらにつきましては、すべてJECFA 及びFCCという国際規格に準拠して設定されているものでございます。  3品目の説明は以上でございます。御審議、よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。今、御説明のありました成分規格につきまして、今 回まとめられました国衛研の食品添加物部の先生方、追加事項ありますでしょうか。 ○四方田委員  2,3,5−トリメチルピラジンの赤外吸収スペクトルの参照スペクトルなのですけ れども、ちょっとピークが小さいものを今回出させていただいているのですけれども、 もう少しピークの大きいものに後で差し替えさせていただきたいと思います。 ○長尾部会長  それでは、この香料3品目の新規指定の可否について、御意見をお願いいたします。 ○事務局  長尾先生、1点だけ事務局から訂正をさせていただきたいと思います。2,3,5− トリメチルピラジンの規格案でございまして、8ページの別紙1でございますけれど も、「本品は、無〜黄色の透明な液体で、特有のにおいがある」という記載をさせてい ただいているところでございます。これにつきましては、JECFAにおいては、無色 〜淡黄色の透明な液体となっているところでございますけれども、米国等の流通品の比 較の中で、無色〜黄色というものがございました関係で、我が国における成分規格の原 案といたしましては、無色〜黄色の透明な液体ということで記載をさせていただきまし た。訂正申し上げます。 ○長尾部会長  どうぞ。 ○米谷委員  全体的と言いますか、3点共通でお伺いします。まず含量規定ですが、98.0%以上を 含むということでございますけれども、これは文章は同じでも、例えば、食品添加物公 定書と日本薬局方と海外のJECFAで、通則のところに多分上限値が書いてないとき には、上限値を幾らにするということが書いてあると思いますけれども、JECFAの 方の上限値と食品添加物公定書の上限値というのは同じなのでしょうか。それを御確認 いただきたいのですけれども。後でわかればということです。多分、国内でも日本薬局 方と食品添加物公定書では違っていたような記憶もありますので、文章は同じになって いても、中身が上限の方で違ってくるということがありますので、JECFA及びFC Cの規格と、下は同じでも上の方が違う可能性があるので、それを確認していただけれ ばと思います。  もう一つ、分析法のところなのですが、すべてGC法を使うということで、国内の面 積百分率法の第2法ということで、非常に簡便な方法を使っております。JECFAや FCCでも面積百分率法を使っているのか、御存じの方があれば教えていただきたいの ですが。 ○長尾部会長  四方田さん、どうぞ。 ○四方田委員  最初の香料の指定のときに、一般試験法に香料のガスクロマトグラフィーを入れさせ ていただきまして、そこで面積百分率を入れているのですが、それは全部JECFA、 FCCと同様のものにしております。それで、面接百分率が採用されています。  それから、面積百分率ですので、パーセンテージが100 を超えることはまずないので す。ですので、いずれにしても、どの規格も100 %以下ということになると思います。 ○長尾部会長  どうぞ。 ○米谷委員  それから、赤外吸収のところなのですが、2,3,5−トリメチルピラジンのものは 若干プアーだから取り直すということでございましたけれども、最初の2つのアミルア ルコールとイソアミルアルコールで、一般試験法に従って赤外吸収をとったときに、 110 %ぐらいになるというのは、どういう状態の場合に考えられるのでしょうか。  御専門の先生に聞かれて、もしこのチャートがおかしいということであれば、直して いただければ結構ですし、これでいいのだということであれば、これで結構でございま す。 ○四方田委員  スペクトルはすべて岡山大学の斎藤先生にお取りいただいたものを使用させていただ いていまして、ブランクの方に線を入れるか入れないかという問題だと思います。  それから、今の一般試験法は、公定書の規定はもう少し短い規定になっているのです が、次回の第8版で5%から80%と改訂する予定になってございますので、今の一般試 験法に比べるとちょっとピークが長過ぎるきらいにはなっております。 ○米谷委員  100 %を超えるというときはブランクとの関係だと思うのですが、それは一般試験法 の解釈内で起こることなのですか、その辺を確認したかったのですが。 ○四方田委員  ブランクに何を取るかというところまでは記載がないのです。一般試験法には。 ○米谷委員  空気を入れるとか、セルを入れるとか、それで当然ここまで上がってきても問題はな い、おかしくないと、それならそれでいいのですけれども。 ○四方田委員  ブランクのピークに対する規定はなくて、ピークの幅という規定になっているので す。そこまで、法の規定ではございませんので、一般試験法に合わないということはな いです。 ○長尾部会長  他に御意見ありますでしょうか。どうぞ。 ○石田委員  すべてに関わることなのですけれども、このフルーツ様の香気であるとか、使われる 可能性があるものがお菓子類、そういったようなものに使われていくだろうというふう に想定したときに、食べる側が子どもであることも多いだろうといったときに、このヒ トでの確認ということが成人をベースにして、例えば、体重なども設定されているので すけれども、子どもとか高齢者といったようなところでも、まず体重換算をすれば問題 はないと思うのですけれども、その辺りのことは問題ないといったようなことも示して いただいた方がよろしいのではないかと思います。 ○事務局  まず、香料の安全性の評価手法でございますけれども、香料につきましては、いわゆ る一般的な添加物、先程のHPC等のように、フルセットの27日間の反復投与試験か ら、例えば、慢性毒性試験、発がん性試験、更に生殖毒性、催奇形成試験といったよう な、フルセットのデータを用いて評価がなされているものではございません。いわゆる 香料の特徴であります、例えば通常の食品の成分として入っているものが多いというこ と。実際に香料自体の特性から食品に対する使用量というのはおのずと制限されるとい うこと。生体内成分に分解されるということ等から、JECFA等におきましては、香 料の安全性評価は判断樹、ディシジョンツリーを用いまして安全性の評価がされており ます。  そういう中で、恐らく香料そういった特性等も踏まえて評価する中で、当然小児であ るとか、そういったことも考慮されているかと思いますけれども、実際に特定の何歳か ら何歳までの小児に対して、どの程度の摂取量が推定されて、それが実際の安全マージ ンでありますとか、そういったものがどの程度になるといったような評価は、国際的に もされていない状況でございます。 ○中垣基準審査課長  御指摘の子ども、あるいは老人、そういう意味で申し上げますと、弱者の評価という のを、いつも念頭に置くべきというのは先生のおっしゃるとおりだろうと思います。  添加物の検討、あるいは農薬の検討などなど、我々もそういう観点を今までもやって きましたし、これからももっと強化していくのだろうと思っております。  では、具体的にどうするかということでございますけれども、先程小沢委員から御意 見がございましたとおり、例えば、ADIを決めなければいけない。もっと申し上げま すと、ここまでは安全だという量と、推定される摂取量がかなり近ければ近いほど、大 人で近いのか、子どもで近いのか、老人で近いのかというような議論をしていかなけれ ばならない。例えば、農薬の基準設定に当たっては、国民平均のほか、子ども、妊婦、 老人という3パターンで推定をしていっている。  一方、今回の場合には、この推定される無毒性量と摂取量というのが、もうこんなに 開いているので、そもそももうそういった議論は必要ないのではないかというような立 場に立っておるということなのだろうと思います。  ですから、当然のごとく今回のイソアミルアルコールの中でも、アルコールの代謝酵 素、ALDHの欠損が日本人に多いというような形で、わざわざそこに言及をして議論 が展開されておりますけれども、例えば小児、あるいは乳幼児でそういうことが必要な 場合には、当然安全委員会においてもそういった議論がなされてくるのだろうと考えて おります。 ○長尾部会長  よろしいでしょか。他には、御意見ございませんか。  それでは、御意見もないようですので、このアミルアルコール等の香料3品目の新規 指定については、可とするということでよろしいでしょうか。                (「はい」と声あり) ○長尾部会長  それでは、事務局、今、幾つかの訂正がありましたところ。 ○事務局  御意見、御指示いただきました修正等につきましては、適切にさせていただいた上、 先生方に確認させていただきたいと思います。 ○長尾部会長  そして、今後のスケジュールについても御説明お願いします。 ○事務局  今後のスケジュールでございますけれども、先程と同様に、食品衛生分科会での御審 議をいただいた上、パブコメ、WTO通報等、所定の準備手続を進めたいと考えている ところでございます。 ○長尾部会長  それでは、他に議題として、事務局、何かありますか。 ○事務局  議題はございません。 ○長尾部会長  それでは、報告事項をお願いいたします。 ○事務局  報告事項を御説明いたします。最後の報告資料でございますけれども「食品安全委員 会への意見聴取及び食品健康影響評価について(平成17年2月現在)」というものを御 説明させていただきます。  こちらにつきましては、食品安全委員会発足後、厚生労働省から食品添加物の指定、 若しくは規格基準の改正に当たりまして、リスク評価を依頼した品目の一覧でございま す。 現時点におきまして、多くの品目について御回答いただいて、更に私どもの薬事 ・食品衛生審議会で御審議いただいているところでございますけれども、現時点におき まして、まだ食品安全委員会等において審議中のものもございますので、御説明させて いただきたいと思います。  まず、添加物の指定ということで、ポリソルベートの20、60、65、80でございますけ れども、こちらにつきまして、平成15年10月に添加物指定に当たってのリスク評価を依 頼したところでございます。このポリソルベート等につきましては、国際汎用添加物と して分類される品目でございます。こちらにつきましては、現在、食品安全委員会の方 でリスク評価をいただいているところでございまして、現時点におきまして食品安全委 員会より追加の試験を実施するよう御指示がございまして、追加試験を実施していると ころでございます。  その次の添加物指定、ナタマイシンでございますが、こちらにつきましては、現在、 食品安全委員会においてパブリックコメントの準備中であると聞いておりまして、基本 的な審議が終了しているところでございます。公表され次第、薬事・食品衛生審議会で 御審議いただく予定としております。  また、その下のナイシンにつきましては、こちらも国際汎用添加物でございますけれ ども、こちらも追加の試験を実施するよう御指示いただきまして、現在、準備中でござ います。  その下の添加物の指定、亜酸化窒素でございますけれども、こちらにつきましては、 国際汎用添加物でございますが、2月22日に答申をいただいたところでございまして、 添加物指定のための準備手続を現在進めているところでございます。  その下の亜塩素酸ナトリウムについては、現在、データ収集中でございます。  アセトアルデヒド、香料でございますけれども、これにつきましては、昨日、添加物 専門調査会が実施されておりますけれども、最終的な結論は出ておらず、現在、審議中 のものでございます。  香料3品目、イソブタノールから2,3,5,6−テトラメチルピラジンにつきまし ては、昨年の12月に告示させていただきました。  その下のプロパノールでございますけれども、本日、告示がなされております。添加 物指定がなされております。  イソプロパノールについては、食品衛生分科会まで終了しておりまして、現在、告示 の準備中でございます。  次のページを御覧になっていただけますでしょうか。国際汎用添加物、ステアリン酸 カルシウムについて、こちらは国際汎用添加物として指定された第1号でございます が、昨年の12月に告示されております。  その下、HPC、また香料3品目については、本日、御審議をいただいたという状況 でございます。  以上でございます。 ○長尾部会長  ありがとうございました。 ○中垣基準審査課長  この関係につきまして、1点、とりあえず御報告だけさせていただきたいと思いま す。  いわゆる国際汎用の添加物、すなわちJECFAという国際専門家会議で安全だと評 価され、アメリカでも、ヨーロッパでも売られておるというようなものについは、国が 主体的に資料収集等に当たれというような方針を、14年7月にこの審議会でいただいた ところでございます。  14年7月に、そういった御方針を出させていただいて、では何品目あるかということ を調査いたしましたところ、香料を除く普通の添加物で46品目あるということを、14年 12月のこの部会に報告させていただいたところでございます。  この46品目について作業してきたところでございますけれども、今、御報告させてい ただいた中では、ステアリン酸カルシウムの1品目にとどまっているというところがあ るわけでございます。勿論、香料については、かなり進んできておるわけでございま す。  今、どのようなことを事務局として言われておるかということを申し上げますと、O TOというような、これはOffice of Trade and Investment Ombudsmanと言うのだろう と思いますけれども、海外貿易の日本苦情窓口みたいなところ、あるいは内閣総理大臣 を議長といたします、対日投資会議みたいなところなどなどから、作業が遅いのではな いかというような御意見を賜っておるわけでございます。  一方におきまして、我々として譲れない点というのは、資料に基づいて科学的に評価 をする。それは、当然のことながらリスク評価は安全委員会にお願いをし、それ以外の 部分というのはこの審議会にお願いをする。この点というのは、我々としては譲れない 点でございまして、一方におきまして資料収集、その審議をお願いする前段階としての 資料収集につきましては、確かに急ぐ必要があるのかなと考えておる次第でございま す。  現在、46品目で申し上げますと、そのうちの、数え方にもよるわけでございますが、 加工デンプンを11種類と数え、ポリソルベートを5、6品目と数えると、20品目程度、 今、資料収集を終えて安全委員会に持っていっている。残り26品目という状況にあるわ けでございますが、この26品目について資料の収集を急ぎたいというふうに考えており ます。勿論、先程譲れる、譲れないという話をしたわけでございますが、極論を申し上 げますと、JECFAで安全と言われていて、アメリカでも安全と言われていて、EU でも安全だと言われているのだったら、直ちに認めるべきだというような御議論もある わけでございますが、その点を我々としては科学的に資料に基づいて評価をしていくと いう点は、厳に守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  一方、資料の収集については、少し急いでやっていきたいというふうに考えておりま して、具体的にはまた次の部会で御相談させていただきますけれども、そのようなこと を今、考えておるということだけ報告させていただきたいと思います。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。  他に、ただいまのに御質問は。どうぞ。 ○米谷委員  先程の課長のお話はよくわかったのですけれども、私、幾つか薬食審の部会を担当さ せていただいておりまして、その中でこの添加物部会に出るたびに、何を発言するかと いうことで非常に困っております。食品添加物ですと、先程もおっしゃいましたよう に、これから出てくるようなものは、諸外国でいろいろ使われているものですが、最初 に安全性に関しては、国内では食品安全委員会の評価が来ますので、それを読んで、サ ジェスチョンがあればするというぐらいしかできないわけで、食品安全委員会の専管事 項です。  それで、規格はということでこちらの方に来ましたときには、これはJECFAのも のをそのまま採用しているということで、すっと進んで行ってしまいまして、では使用 基準はということで、今日のように香料ですと、使用基準もあまりたくさん入れてはい けないので、自然に量も決まってきますので、この部会では何をディスカッションする かということで、非常に細かな規格の話を私の方ではさせていただいています。この部 会の委員の先生方は、遠くから、東北の方から、あるいは埼玉の方から来ていただいて いる先生がいらっしゃるのですが、事務局は隣から歩いてこられるのですが、今後、46 品目なり、あるいは香料で70品目くらい来た場合に、食品安全委員会の評価が終わった ものが、五月雨式に出されてきますと、委員の先生方は非常にお困りだと思いますし、 ディスカッションする内容もなかなかないということで、どういうふうに運営したらい いかということを、一度事務局の方で少しお考えいただけないかと思います。  ただ、このままやらないといけないのかもしれませんけれども。 ○中垣基準審査課長  今、米谷委員が御発言いただいたとおり、例えば、今日のヒドロキシプロピルセルロ ースの使用基準に関わるような議論というのが、まさしくここでの議論の1つの例なの だろうというふうに考える次第でございます。勿論、委員の先生方の御負担というのも 考えなければならないわけでございますし、今、大体月に一回を目途にやらせていただ いているわけでございますが、この頻度をこれ以上上げるというのはちょっと考えてお りません。そういう意味から申し上げますと、御欠席いただいたときに、ちょっと規定 等の整理をしないといけないのですが、例えば、今日の何とかについては御了解します というようなものをいただけると、定足数の中に入れられるのかどうか、ちょっと事務 的に考えてみたいと思いますが、基本的としては、両先生おっしゃったとおり、香料に ついてはあまり議論するべきところが見当たらないのだという点については、事務局と しても実は同じようなことを考えておりまして、そういう意味から今日の議題というの も、ヒドロキシプロピルセルロース1品目と香料3品目を2つの議題としてやってきた ということで、省力化を図ったつもりではあるのですが、より一層そういうことが可能 なのか、必要な議論は時間を取ってより深く、必要でないところはできるだけ省力化を 図るというようなことを、また事務局でも考え、部会長とも相談をしていきたいと思っ ております。 ○長尾部会長  それでは、本日の審議はこれで終了いたします。どうも長時間ありがとうございまし た。                                      以上                            ┌――――――――――┐                            |厚生労働省医薬食品局|                            |食品安全部基準審査課|                            |  古賀 加藤 坂西|                            |   内線 2453,2444|                            └――――――――――┘