05/06/23 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会平成17年6 月23日議事録         薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 【日時】平成17年6月23日(木) 10:00〜10:21 【場所】中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(6階国会側) 【出席者】工藤委員、佐藤委員、棚元委員、長尾委員、中澤委員、      堀江委員、山川委員、吉池委員(敬称略) 【事務局】外口食品安全部長、中垣基準審査課長、宇津課長補佐、      古賀課長補佐 【議題】(1)アセトアルデヒドの新規指定の可否について     (2)その他 ○事務局  それでは、定刻となりましたので薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を 開催させていただきます。  本日は、御多忙のところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日は、 石田委員、小沢委員、米谷委員、山添委員より欠席との御連絡を事前に受けておりま す。  添加物部会の委員13名中、まだ西島先生がいらっしゃっておりませんが、現在8名の 委員の先生方に御出席をいただいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを 御報告申し上げます。  それでは、まず始めに、外口食品安全部長から御挨拶申し上げます。 ○外口食品安全部長  おはようございます。委員の先生方には、平素より食品添加物行政に御協力いただき まして大変ありがとうございます。  本日は、新規指定に向けて御審議いただく、アセトアルデヒドについてでございます けれども、国際的に安全性が確認されかつ汎用されているものとして、国が主体的に指 定に向けた検討を進めた品目として、平成15年11月21日に食品安全委員会に食品健康影 響評価を依頼したものでございます。  本品につきましては食品安全委員会の添加物専門調査会における食品健康影響評価の 審議結果案についてのパブリック・コメントが、6月16日より実施されているところで あり、食品安全委員会における最終的な評価はもう少し時間がかかりますが、本日は審 議結果案を基に御審議いただければと思っております。先生方の活発な御議論を賜りま すようお願い申し上げます。 ○事務局  委員の交代がございましたので、御報告させていただきます。  6月20日付けで四方田委員が退任され、新たに国立医薬品食品衛生研究所食品添加物 部第一室長の佐藤恭子先生が就任されております。佐藤先生、よろしくお願いいたしま す。 ○佐藤委員  佐藤です。よろしくお願いします。 ○事務局  それでは、座長を長尾部会長にお願いしたいと思います。  よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長  それでは、配付資料の説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、座って御説明させていただきます。  本日、先生方のお手元に置かせていただいた資料は、議事次第、委員名簿、資料一 覧、座席表。  そのほか、議題(1)に係る資料といたしまして、この一くくりの中、  資料1、アセトアルデヒドの新規指定の可否に関する薬事・食品衛生審議会の諮問に ついて。3枚おめくりいただきまして、ページ1と振っているものでございます。  また、2ページ目になりますが、資料2、「アセトアルデヒドを添加物として定める ことに係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)」。これは食品安全委員会添加物 専門調査会の報告書(案)でございます。  そして、9ページになりますが、資料3といたしまして、アセトアルデヒドの新規指 定に関する添加物部会報告書(案)でございます。  また、参考資料といたしまして、16ページになりますが、参考1「アセトアルデヒド のガスクロマトグラム」。  そこから2枚おめくりいただきまして、「議題(2) その他」に係る報告資料とい たしまして報告資料1、「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果につ いて」でございます。  本日、お手元にお配りしている資料は以上でございます。もし、過不足等ございまし たら、事務局へお申し出いただきたいと存じます。 ○長尾部会長  資料は揃っていますでしょうか。よろしければ審議に入りたいと思います。  それでは、最初に議題(1)アセトアルデヒドの新規指定の可否について審議を行い たいと思います。事務局より資料の説明をお願いします。 ○事務局  それでは、まず背景から御説明いたします。  お手元の資料17ページをおめくりいただきますと参考といたしましてこれまでの経緯 を記載してございます。  こちらは、平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました国際的に安全性が確認さ れ、かつ欧米で汎用されている添加物としての香料の取扱いに従いまして、厚生労働省 において資料をとりまとめ、平成15年11月21日に香料としての添加物指定に係る食品安 全委員会に食品健康影響評価を依頼した品目でございます。  食品安全委員会におきましては、平成17年4月13日の添加物専門調査会で審議を行わ れ、その審議結果を踏まえました報告書案がとりまとめられましたことから、平成17年 6月16日より食品安全委員会でパブリック・コメントの募集が実施されているところで ございます。  その内容につきまして、資料に沿って御説明いたします。  まず、資料1の1ページ目でございますが、こちらが諮問書でございます。  おめくりいただきまして2ページ目、資料2。こちらが食品安全委員会からの審議結 果案でございます。  今回の対象となります品目、アセトアルデヒドでございますが、これは1.にありま すように、フルーツ様の香気を有しておりまして、通常、果実やフルーツジュース、ま た野菜、乳製品、パンなどの食品に天然に含まれているものでございます。また、お 茶、ソフトドリンク、ビール、ワイン等の飲料にも含まれております。欧米におきまし ては、清涼飲料やキャンディーなどの加工食品に香りを再現するために添加をされてい るものでございます。  先ほど申し上げましたとおり、国際的に汎用されている香料ということで審議が行わ れているものでございます。  名称はアセトアルデヒド。  構造式等は3.に記載されているとおりでございます。  そして、4番の「安全性」でございますけれども、安全性につきましては、例えば、 遺伝毒性につきましては、Ames試験などで陰性の結果が報告されておりますもの の、動物を用いる試験系においては、陽性の結果が報告されているものであります。ま た、ページをおめくりになりまして、3ページ目になりますが、発がん性につきまして も、ラットの吸入試験やハムスターの吸入試験におきまして、その吸入部位におきます 発がんが認められており、グループ2B(ヒトに対して発がん性があるかもしれない) というグループに分類にされているというものでございます。  ページをおめくりになりまして4ページになります。「5.摂取量の推定」でござい ますけれども、本物質の香料としての使用量につきまして食品安全委員会におきまして 検討が行われております。  通常の年間使用量の全量を人口の10%が消費していると仮定するJECFAのPCT T法に基づきます米国及び欧州における一人一日当たりの推定摂取量につきましては、 それぞれ19,211 μg 及び9,618 μg と推定されております。  既に許可されている香料物質の我が国と欧米の推定摂取量は同程度との情報があるこ とから、我が国での本物質での推定摂取量もおおよそこれらの推定の範囲にあると考え られます。  なお、米国におきましては、食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量 というものは、意図的に添加された本物質の4倍との報告がございます。  そして「6.安全マージンの算出」でございますけれども、11週間反復投与試験成績 から得られますNOAEL120 mg/kg 体重/ 日と、先ほどの推定摂取量を日本人の平均 体重で割ることで算出いたします推定摂取量とを比較し、安全マージンは313 ないし 625 が得られております。  次に「7.構造クラスに基づく評価」でございますけれども、本物質及びその代謝産 物は生体成分と同一物質であり、また主な代謝産物は酢酸である。更に二酸化炭素と水 に代謝され、尿中及び呼気中に比較的速やかに排泄され、クラスIに分類されるもので ございます。  「8.JECFAにおける評価」でございますけれども、JECFAでは1997年に飽 和脂肪族非環式鎖状一級アルコール類、アルデヒド類、酸類のグループとして評価さ れ、先ほど申し上げましたとおり、クラスIに分類されております。そして、NOAE Lは125mg/kg体重/ 日、ラットのデータが採用されております。推定摂取量は、クラス Iの摂取許容量とされております1,800 μg/ヒト/日を上回っておりますが、完全に生 体成分に代謝され、かつそのレベルは生理的範囲を超えないと予測されるため、香料と しての安全性の問題はないと評価がされておるところでございます。  9.でございますけれども、我が国におきまして「国際的に汎用されている香料の我 が国における安全性評価法」に基づく評価の結果がこちらに記載してございます。これ につきましては「本物質はAmes試験では陰性であったものの、その他の遺伝毒性試 験等において陽性の結果が得られていることから、定性的には遺伝毒性を有するものと 考えられる。また、クラスIに分類され、11週間反復投与試験に基づく安全マージン は、適切な安全マージン1,000 を下回り、想定される推定摂取量は、クラスIの摂取許 容量を超えている。」という評価となっているところでございます。  そのほかでございますけれども、このアルデヒドは一般天然食品中や生体中にも存在 するものございまして、その代謝につきまして食品安全委員会において検討がされてい るところでございます。アルデヒドにつきましては経口で容易に吸収されるものでござ いますけれども、初回通過効果によりまして大部分が肝臓で代謝される、もしくは肝細 胞の膜表面タンパクとの結合により除去されることから、循環血中に入る量は極めて少 ないと考えられるということ。  また、特に日本人ではALDH、アルデヒド脱水素酵素の遺伝的多型性とアルコール 代謝の関連につきましても検討が行われておりまして、日本人ではアルデヒド脱水素酵 素II型の欠損の人が多いことが知られておりまして、このII型の欠損によりアルコール 感受性が高い人の場合には、感受性が低い人と比較して血中アルデヒド濃度が上昇しや すい可能性はあるものの、別の代謝経路が補完的に働いているものと考えられていると いうことの報告がございます。  以上のことを踏まえまして「11 評価結果」でございますけれども食品安全委員会に おきましては、この評価結果にあるとおり、まず前提としましてアセトアルデヒドは高 用量の吸入暴露による発がん性を示す。Ames試験では陰性だったものの、その他の 遺伝毒性試験等において陽性の結果が得られていることから、定性的には遺伝毒性を有 するものと考えられるが、今後は定量的評価も必要となろう。なお、発がん標的臓器に おける遺伝毒性に関する試験データは得られていない。  また、本物質の想定される推定摂取量はクラスIの摂取許容量を超えており、11週間 反復投与試験に基づく安全マージンは適切な安全マージン1,000 を下回っている、とし た上で「しかしながら」といたしまして、まず、吸入試験の用量は、想定されるヒトの 暴露量より高いレベルであり、認められた発がん性は細胞毒性の強いアセトアルデヒド の直接暴露によるものと推定される。  本物質は、果物や酒類など日常の食品から摂取されており、その量は香料として意図 的に添加されて摂取される量よりも多いと想定されること。  また、食品として摂取されていると想定される量のレベルでは、消化管粘膜にあるア ルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸へと代謝を受けたり、タンパク質との結合 により除去されること、また、たとえ消化管から吸収されたとしても肝臓における初回 通過効果により大部分が代謝され、全身循環血中にほとんど入らないと考えられる。  更に、本物質は生体成分であり、長年欧米における使用実績があり、香料としての使 用による健康被害の報告はない。  そして最後に、JECFAでは、本物質はクラスIに分類され、推定摂取量はクラス Iの摂取許容量を上回るものの、完全に生体成分に代謝され、かつそのレベルは生理的 範囲を超えないと予測されるため香料としての安全性の問題はないと評価されている。  以上を総合的に判断し食品安全委員会におきましては、アセトアルデヒドは完全に生 体成分に代謝され、かつそのレベルは生理的範囲を超えないと予測されるため、食品の 着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えるとの評価をいただいていると ころでございます。  そして、3ページほどおめくりになって9ページになります。  こちらにありますのは、当部会報告書の案でございますけれども、この品目名、構造 式等は今、御説明したとおりでございます。用途は香料でございます。  先ほどの食品安全委員会の評価結果も6.に記載してございます。   そして、10ページを御覧いただきまして、摂取量の推定は先ほど御説明をいたしま したとおりでございます。  それらを踏まえまして「8.新規指定について」ということでございますけれども、 本物質を食品衛生法第10条の規定に基づく添加物として規定することは差し支えない。 ただし、同法第11条第1項の規定に基づき、次のとおり使用基準と成分規格を定めるこ とが適当であるといたしまして、まとめといたしまして、11ページの「(1)使用基準 案」でございますけれども、香料として使用される場合に限定して食品健康影響評価が 行われたことから、使用基準は「着香の目的以外に使用してはならない。」とすること が適当であると考えております。  そして「(2)成分規格案」でございます。1枚おめくりいただきまして、こちらに 記載してございます。  こちらにつきましては、海外で使用されておりまして、JECFAやFCCでの規格 値に基づきまして作成したものでございます。規格の根拠につきましては14ページに記 載してございます。特に、JECFAの規格と異なる点につきましては、まずアセトア ルデヒドは沸点が21℃というかなり低沸点で揮発しやすいものであるということから、 一部、例えばJECFAやFCCに載っています比重であるとか、蒸発残分の試験につ きましては、適切にその試験を行うことが実際は難しい。また、比重などの測定につき ましては、14ページにございますけれども、JECFAやFCCなどの規格を用いなく ても、別途ガスクロマトグラフィーやIRにより、定性定量が可能であるということか ら、本規格案ではこれらを採用しないという点が異なっている点でございます。  15ページでございますが、定量法につきましては、JECFA、FCCの規格におき ましても、いずれもガスクロマトグラフィーの試験法により含量測定を行っております ことから、本規格案でもガスクロマトグラフィーの試験法を採用しておりますが、先ほ ど申し上げましたとおり、本品は沸点が21℃と非常に低いということから、試験に使用 するマイクロシリンジを5℃で少なくとも30分間冷却するといった配慮を加えていると ころでございます。  16ページには、その参考表のガスクロマトグラムの表を付けてございます。  また11ページにお戻りいただきまして「(3)その他」でございますけれども、食品 添加物の表示につきましては、加工助剤等一部のものを除きすべての添加物を含むよう 「物質名」表示を義務づけられておりますが、今回の香料につきましては、一括名であ ります「香料」または「合成香料」を記載することにより「物質名」の表示に代えるこ とができることとされている点につきまして、参考までにお付けしてございます。  以上が、本議題に関する資料でございます。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。  ただいま事務局から説明ございましたけれども、今回の成分規格をとりまとめられま した国立医薬品食品衛生研究所の食品添加物部から何か補足ありますでしょうか。 ○佐藤委員  特にございません。 ○長尾部会長  よろしいですか。  どうもありがとうございました。それでは、アセトアルデヒドの新規指定の可否につ いて御意見をお願いいたします。  何かありますでしょうか。  中澤先生何かありますでしょうか。 ○中澤委員  特にありません。 ○長尾部会長  よろしいですか。  それでは、特に意見はないということですので、よろしいですか。  それでは、御審議いただいたということになりますので、新規指定は可ということで よろしいと思います。  そうしますと、このままでスケジュールを先に進めていただくことになると思います が、どういうふうになりますか。 ○事務局  今回の御審議も踏まえまして、今後は食品衛生分科会での審議のほか、パブリック・ コメント、WTO通報等の所定の事務手続きを開始したいと考えてございます。 ○長尾部会長  では、それを適切に進めていただきまして、それで、本日その他の議題として事務局 から何かありますか。 ○事務局  審議事項はございません。 ○長尾部会長  それでは、報告事項をお願いいたします。 ○事務局  本日お配りいたしました資料の19ページを御覧ください。横の表で3枚お付けしてご ざいます。  こちら「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果について」というこ とで、これまでの進捗状況を一覧表にしてございます。  前回の3月24日の添加物部会の審議以降、新たに付け加えられたものでございますけ れども、19ページの下の方になりますが、新たにアルギン酸アンモニウムのほか、6品 目を食品安全委員会に評価を依頼しているところでございます。  そのほか、添加物の指定につきましては、19ページの一番上になりますけれども、御 審議をいただいていたイソプロパノールにつきまして、本年4月28日に告示をいたした ところでございます。  以上が前回の審議から変更があった点でございます。  以上でございます。 ○長尾部会長  何か御質問とか御意見とかありますでしょうか。よろしいですか。  それでは、次回の予定をお願いいたします。 ○事務局  次回の添加物部会でございますが、定例としております第4木曜日の7月28日木曜日 の午前10時より、本日と同じこちら第8会議室で開催を予定しております。議題につき ましては、改めて御案内させていただきたいと存じます。 ○長尾部会長  それでは、本日の審議はこれで終了いたします。  どうもありがとうございました。                        ┌──────────────┐                        |照会先:厚生労働省医薬食品局|                        |    食品安全部基準審査課|                        |          添加物係|                        |  内線:2453.2444|                        └──────────────┘